ところで、公共の場所(コンビニエンスストア等)において、複数の証明書類のコピーを行う場合に、コピー対象の証明書類として、例えば免許証とパスポートとの2種類が存在するものとする。このとき、免許証、パスポートのコピーを別々の用紙で行いたい場合でも、これらの書類を同時に原稿台に載置すると、従来は、これらの書類が別々であることを認識することができないため、これらの書類に対して同時にスキャンが行われ、免許証およびパスポートが1枚の用紙にコピーされる。
なお、免許証やパスポートなどの証明書類は、原稿台に直接載置してコピーをとる必要があるため(自動搬送によるコピーができないため)、特許文献1の装置のように、自動搬送装置による搬送前に原稿サイズを検知し、複数の原稿が別々であることを認識することはできない。
したがって、免許証、パスポートのコピーを別々の用紙で行いたい場合は、まず、免許証を原稿台に載置してコピーを行い、コピー終了後にその免許証をカバンに確実にしまい込み、その後、カバンからパスポートを取り出してコピーする、というのが一般的な手順となる。しかし、このような手順では、免許証のコピー終了後に、免許証をカバンに収容する動作が必要となり、その分、次のパスポートのコピー開始までの時間が延びる。このため、免許証のコピー開始からパスポートのコピー終了までのトータルの時間が長くなる。
また、上記のように、免許証のコピー終了後に、免許証をカバンに収容する動作を行うと、その際に他人に免許証を見られる危険性がある。また、免許証の収容を慌てるがあまり、免許証がカバンの正規の場所に収容されず、紛失する危険性もある。さらには、後ろで装置の使用を待っている人がいると、そちらに気を取られて、あとで、免許証をカバンに収容したのか、どこかに置いたのかがわからなくなってしまうこともある。
証明書類は、個人情報を含む重要書類であるので、証明書類をカバンから出してコピーを行い、コピー終了とともに証明書類をカバンに収容するまで、できれば証明書類を他人に見られることは避けたいし、紛失しないようにも心掛けたいものである。このように、重要書類をコピーする場合でも、ユーザが安心して使用できる装置であることが望まれる。
なお、以上では、複数の原稿をコピーする場合の問題点について述べたが、複数の原稿の読取だけを行う場合についても、上記と同様のことが言える。つまり、例えば、免許証およびパスポートの読取データを記録媒体に収めるべく、免許証を原稿台に載置して読取を行い、読取終了後に免許証をカバンにしまい込んだ後、カバンからパスポートを取り出して読取を行うと、免許証の読取後に、免許証をカバンに収容する動作が必要となるため、その分、パスポートの読取開始までの時間がかかり、免許証の読取開始からパスポートの読取終了までのトータルの時間が長くなる。また、免許証をカバンに収容する際に、免許証を他人に見られる危険性や、見られるのを恐れるがあまり、焦って紛失する危険性もある。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、複数の原稿の読取を順に行わせる場合でも、最初の原稿の読取から最後の原稿の読取までに要するトータルの時間を短縮することができるとともに、これらの原稿を他人に見られたり、紛失する危険性を低下させることができる画像読取装置と、その画像読取装置を備えた画像形成装置とを提供することにある。
本発明の画像読取装置は、原稿台に載置された原稿のサイズを検知するための原稿サイズ検知部と、前記原稿台に載置された原稿の画像を読み取る画像読取機構と、前記原稿サイズ検知部の出力に基づき、前記原稿台上の原稿の有無を認識し、前記画像読取機構を制御する読取制御部と、を備えた画像読取装置であって、前記原稿台に原稿が複数載置されたときに、一の原稿のみを読取対象とし、他の原稿を読取対象から除外する原稿仮置モードを、装置の動作モードとして有し、前記原稿仮置モードでは、前記読取制御部は、前記原稿サイズ検知部の出力に基づき、直線上にみて、原稿が存在する領域と原稿が存在する領域との間に、原稿が存在しない領域である不存在領域を認識したとき、基準位置に最も近い位置に載置された原稿を前記一の原稿と定め、前記一の原稿をカバーしつつ、前記不存在領域の読取サイズよりも小さい読取サイズで、原稿を画像読取機構に読み取らせることを特徴としている。
原稿台に複数の原稿が載置されている場合、原稿仮置モードでは、読取制御部は、原稿サイズ検知部の出力に基づき、原稿台上で一方向に(例えば副走査方向に)、「原稿あり」、「原稿なし」、「原稿あり」を認識する。そして、画像読取機構は、基準位置に最も近い位置に載置された原稿を一の原稿と定め、その一の原稿をカバーしつつ、原稿の不存在領域の読取サイズよりも小さい読取サイズで、画像読取機構に上記の原稿を読み取らせる。
このように、原稿仮置モードでは、複数の原稿が原稿台に載置されても、画像読取機構は一の原稿の画像のみを読み取り、他の原稿は読取対象から除外され、仮置きとして扱われる。したがって、例えば、他の原稿の読取が既に終了している場合でも、上記のように他の原稿を仮置きすることで、一の原稿の読取前に他の原稿をカバンに収容しなくて済む。また、例えば一の原稿を読み取ってから他の原稿を読み取る場合でも、一の原稿の読取終了後は、一の原稿と他の原稿との載置位置を原稿台上で入れ替えればよく、ユーザは一の原稿をカバンに収容しなくて済む。つまり、先の原稿の読取後、次の原稿の読取前に、ユーザは、読取が終了した先の原稿をカバンに収容する動作を行わなくて済む。したがって、最初の原稿の読取から最後の原稿の読取までに要するトータルの時間を短縮することができる。
また、先の原稿の読取後、次の原稿の読取前に、読取が終了した先の原稿をカバンに収容する動作を行うと、カバンへの収容時にその原稿を他人に見られたり、見られるのを恐れる焦りから原稿を紛失するおそれがあるが、本発明では、原稿の読取後の上記の動作は不要であるので、紛失等の危険性は確実に低下する。したがって、読取対象となる原稿が特に重要書類である場合でも、ユーザは安心して装置を使用することができる。
本発明の画像読取装置において、前記読取制御部は、前記原稿サイズ検知部の出力に基づき、(1)前記基準位置を基準とする複数の原稿サイズに対応する前記原稿台上の複数の領域のうち、第1の領域に前記一の原稿が存在すること、(2)前記第1の領域よりも大きい第2の領域に前記他の原稿が存在すること、(3)前記第1の領域と前記第2の領域との間の原稿サイズに対応する第3の領域のうちで前記第1の領域を除く領域である残余領域にいずれの原稿も存在しないこと、をそれぞれ認識し、前記画像読取機構に対して、前記一の原稿の画像のみを前記第1の領域に対応する原稿サイズで読み取らせてもよい。
原稿仮置モードにおいて、読取制御部は、原稿サイズ検知部の出力に基づき、第1の領域に一の原稿が存在すること、第2の領域に他の原稿が存在すること、残余領域にいずれの原稿も存在しないこと、を認識することにより、原稿台上で一方向に、「原稿あり」、「原稿なし」、「原稿あり」を確実に認識することができる。これにより、読取制御部は、画像読取機構に対して、一の原稿の画像のみを確実に読み取らせることができ、原稿台に複数の原稿が載置された場合に、原稿仮置モードを確実に実行させることができる。
本発明の画像読取装置において、前記原稿サイズ検知部は、前記基準位置を基準とする副走査方向の複数の原稿サイズに対応する位置に配置される複数のセンサで構成されており、前記読取制御部は、前記原稿サイズ検知部の各センサのうち、前記第1の領域の原稿サイズに対応するセンサの出力に基づいて、前記第1の領域に前記一の原稿が存在することを認識し、前記第2の領域の原稿サイズに対応するセンサの出力に基づいて、前記第2の領域に前記他の原稿が存在することを認識し、前記第3の領域の原稿サイズに対応するセンサの出力に基づいて、前記残余領域にいずれの原稿も存在しないことを認識する構成であってもよい。
この構成では、読取制御部は、原稿サイズ検知部の各センサの出力に基づき、原稿台上で副走査方向に、「原稿あり」、「原稿なし」、「原稿あり」を認識することができる。したがって、ユーザが原稿台上で一の原稿に対して他の原稿を副走査方向に並べて載置することで、一の原稿の画像のみを読み取る原稿仮置モードを確実に実行させることができる。
本発明の画像読取装置では、前記原稿仮置モードにおいて、前記読取制御部は、前記原稿サイズ検知部の複数のセンサによってサイズが検知された原稿が1種類であり、かつ、最も小さい原稿サイズに対応するセンサによって前記原稿台上に原稿が存在することを検知できなかったときには、前記原稿台上で前記最も小さい原稿サイズに対応する領域を前記第1の領域として、前記第1の領域に前記一の原稿が存在するものと認識することが望ましい。
原稿仮置モードは、複数の原稿が原稿台に載置されることを前提としている。このため、原稿仮置モードにおいて、複数のセンサによってサイズが検知された原稿が1種類であり、最も小さい原稿サイズに対応するセンサによって原稿台上での原稿の存在を検知できなかったときは、そのセンサが検知できるサイズよりもさらに小さいサイズの原稿が原稿台上に載置されている可能性が高くなる。
そこで、このような場合には、読取制御部は、原稿台上で最も小さい原稿サイズに対応する領域を上記の第1の領域として、この第1の領域に一の原稿が存在するものと認識する。これにより、原稿サイズ検知部にて検知できる最小サイズよりも小さいサイズの原稿(一の原稿)を用いて原稿仮置モードを実行する場合でも、その原稿の画像のみを確実に読み取ることができる。
本発明の画像読取装置は、前記原稿台上での原稿の載置に関する指示を表示する表示部をさらに備え、前記画像読取機構にて第1の原稿の読取が既に終了しており、その後、第2の原稿の読取が行われる前に、前記読取制御部は、読取対象となる前記第2の原稿を前記原稿台の前記基準位置側に載置し、読取が終了している前記第1の原稿を前記第2の原稿に対して前記基準位置とは反対側に、前記第2の原稿と間隔を空けて載置する指示を前記表示部に表示させてもよい。
既に第1の原稿の読取が終了しており、次に、第2の原稿の読取を行う場合に、表示部が、第1および第2の原稿の載置に関する指示を表示して、ユーザにそのような載置を促すことにより、第1の原稿を仮置き原稿(他の原稿)として、第2の原稿を読取対象の原稿(一の原稿)とする原稿仮置モードを実行することが可能となる。つまり、複数の原稿の読取を順に行う場合で、既に一部の原稿の読取を終了させている場合でも、途中から(次の原稿の読取から)原稿仮置モードを実行することが可能となる。
本発明の画像読取装置において、前記読取制御部は、前記原稿サイズ検知部によって前記第1の原稿のサイズが特定サイズ以下であることが検知されている場合に、前記指示を前記表示部に表示させてもよい。
既に読取が終了した第1の原稿のサイズが特定サイズ(例えばA5縦)以下の場合、第1の原稿は重要書類(免許証、保険証、パスポート等)であることが多い。そこで、このような場合に、表示部が上記の指示を表示し、ユーザに各原稿の所定の載置を促すことにより、読取が終了した第1の原稿を他人に見られたり、紛失する危険性を確実に低下できる原稿仮置モードが非常に有効となる。
本発明の画像読取装置は、ユーザによる設定入力を受け付ける入力部と、前記原稿台上での原稿の載置に関する指示を表示する表示部とをさらに備え、前記入力部によって特定種類の原稿を読み取る特定原稿読取モードが設定されており、読取対象として、前記特定種類の原稿である第1の原稿以外に、第2の原稿がある場合に、前記読取制御部は、前記原稿台の前記第1の原稿の読取が終了した後、前記第2の原稿を前記原稿台の前記基準位置側に載置し、読取が終了している前記第1の原稿を前記第2の原稿に対して前記基準位置とは反対側に、前記第2の原稿と間隔を空けて載置する指示を前記表示部に表示させてもよい。
入力部により、特定原稿読取モード(例えば免許証読取モード)が設定されている場合、特定種類の原稿としての第1の原稿は、サイズの小さい重要書類(例えば免許証)である可能性が高く、さらに読取対象として第2の原稿がある場合には、この第2の原稿もサイズの小さい重要書類(例えば保険証)である可能性がある。
そこで、第1の原稿の読取終了後、表示部が上記の指示を表示し、ユーザに第1および第2の原稿の所定の載置を促すことにより、第2の原稿の読取時に、第1の原稿を仮置き原稿(他の原稿)として、原稿仮置モードを実行することが可能となる。つまり、第1の原稿の読取終了後、ユーザは第1の原稿をカバンに収容する動作を行わなくても済み、また、第2の原稿をカバンからスムーズに取り出すことができる。したがって、第1の原稿の読取終了後、第2の原稿の読取前に、これらの原稿を他人に見られたり、紛失する危険性を確実に低下させることができ、これらの原稿がサイズの小さい重要書類であっても、ユーザは安心して装置を使用することができる。
本発明の画像読取装置は、ユーザによる設定入力を受け付ける入力部と、前記原稿台上での原稿の載置に関する指示を表示する表示部とをさらに備え、前記入力部によって特定種類の原稿を読み取る特定原稿読取モードが設定されており、読取対象として、前記特定種類の原稿である第1の原稿以外に、第2の原稿がある場合に、前記読取制御部は、前記第1の原稿の読取前に、前記第1の原稿を前記原稿台の前記基準位置側に載置し、前記第2の原稿を前記第1の原稿に対して前記基準位置とは反対側に、前記第1の原稿と間隔を空けて載置する指示を前記表示部に表示させ、前記第1の原稿の読取終了後、前記第2の原稿の読取前に、前記第2の原稿を前記原稿台の前記基準位置側に載置し、読取が終了している前記第1の原稿を前記第2の原稿に対して前記基準位置とは反対側に、前記第2の原稿と間隔を空けて載置する指示を前記表示部に表示させてもよい。
入力部により、特定原稿読取モード(例えば免許証読取モード)が設定されている場合、特定種類の原稿としての第1の原稿は、サイズの小さい重要書類(例えば免許証)である可能性が高く、さらに読取対象として第2の原稿がある場合には、この第2の原稿もサイズの小さい重要書類(例えば保険証)である可能性がある。
そこで、第1の原稿の読取前および第2の原稿の読取前に、表示部が上記の各指示を表示し、ユーザに第1および第2の原稿の所定の載置を促すことにより、第1の原稿の読取時には、第2の原稿を仮置き原稿(他の原稿)とした原稿仮置モードを実行することが可能となり、第2の原稿の読取時には、第1の原稿を仮置き原稿(他の原稿)とした原稿仮置モードを実行することが可能となる。つまり、第1の原稿を読み取る場合でも、第2の原稿を読み取る場合でも、これらの原稿を両方とも原稿台に載置させることができる。
これにより、一方の原稿の読取終了後、ユーザは読取が終了した原稿をカバンに収容する動作を行わなくても済み、しかも、他方の原稿をカバンから取り出す動作も不要となる。したがって、第1の原稿の読取終了後、第2の原稿の読取前に、これらの原稿を他人に見られたり、紛失することが確実に無くなり、これらの原稿がサイズの小さい重要書類であっても、ユーザは安心して装置を使用することができる。
本発明の画像読取装置は、ユーザによる設定入力を受け付ける入力部と、前記原稿台上での原稿の載置に関する指示を表示する表示部とをさらに備え、前記入力部によって前記原稿仮置モードが設定されており、読取対象として第1および第2の原稿がある場合に、前記読取制御部は、前記第1の原稿の読取前に、前記第1の原稿を前記原稿台の前記基準位置側に載置し、前記第2の原稿を前記第1の原稿に対して前記基準位置とは反対側に、前記第1の原稿と間隔を空けて載置する指示を前記表示部に表示させ、前記第1の原稿の読取終了後、前記第2の原稿の読取前に、前記第2の原稿を前記原稿台の前記基準位置側に載置し、読取が終了している前記第1の原稿を前記第2の原稿に対して前記基準位置とは反対側に、前記第2の原稿と間隔を空けて載置する指示を前記表示部に表示させてもよい。
入力部により、原稿仮置モードが設定されている場合、読取対象としての第1および第2の原稿は、サイズの小さい書類(例えば免許証等の重要書類)であることが多い。
そこで、第1の原稿の読取前および第2の原稿の読取前に、表示部が上記の各指示を表示し、ユーザに第1および第2の原稿の所定の載置を促すことにより、第1の原稿の読取時には、第2の原稿を仮置き原稿(他の原稿)とした原稿仮置モードを実行することが可能となり、第2の原稿の読取時には、第1の原稿を仮置き原稿(他の原稿)とした原稿仮置モードを実行することが可能となる。つまり、第1の原稿を読み取る場合でも、第2の原稿を読み取る場合でも、これらの原稿を両方とも原稿台に載置させることができる。
これにより、一方の原稿の読取終了後、ユーザは読取が終了した原稿をカバンに収容する動作を行わなくても済み、しかも、他方の原稿をカバンから取り出す動作も不要となる。したがって、第1の原稿の読取終了後、第2の原稿の読取前に、これらの原稿を他人に見られたり、紛失することが確実に無くなり、これらの原稿がサイズの小さい重要書類であっても、ユーザは安心して装置を使用することができる。
本発明の画像読取装置において、前記読取制御部は、前記入力部によって前記原稿仮置モードが設定されており、かつ、前記第1の原稿および前記第2の原稿が両方とも特定サイズ以下の場合に、前記各指示を前記表示部に表示させてもよい。
読取対象としての第1および第2の原稿が特定サイズ(例えばA5縦)以下であれば、これらの原稿を原稿台に並べて載置できる可能性が高くなる。そこで、このような場合に、表示部が上記の各指示を表示して、ユーザに第1および第2の原稿の所定の載置を促すことにより、第1および第2の原稿のいずれの読取においても、原稿仮置モードを確実に実行することができる。
本発明の画像読取装置は、ユーザによる設定入力を受け付ける入力部をさらに備え、前記読取制御部は、前記第1の領域に前記一の原稿が存在すること、前記第2の領域に前記他の原稿が存在すること、前記残余領域にいずれの原稿も存在しないこと、をそれぞれ認識した後、前記入力部によって前記一の原稿のみが読取対象として選択され、前記他の原稿が読取対象外であることが入力された場合に、前記原稿仮置モードとなる画像の読取を前記画像読取機構に実行させてもよい。
読取制御部は、原稿台に載置された原稿として、一の原稿と他の原稿とを認識した場合でも、入力部での設定入力によるユーザの意思を確認した上で、原稿仮置モードとなる画像の読取を実行させることができる。したがって、例えば、一の原稿と他の原稿とを並べて配置してこれらを同時に読み取ることをユーザが希望する場合でも、ユーザの意思に反して原稿仮置モードが実行される事態を回避することができる。
本発明の画像読取装置は、前記原稿台上での原稿の載置に関する指示を表示する表示部をさらに備え、前記読取制御部は、前記一の原稿の読取終了後、前記入力部によって前記他の原稿の読取が指示された場合に、前記他の原稿を前記原稿台の前記基準位置側に載置し、読取が終了している前記一の原稿を前記他の原稿に対して前記基準位置とは反対側に、前記一の原稿と間隔を空けて載置する指示を前記表示部に表示させてもよい。
一の原稿の読取終了後、他の原稿の読取が入力部によって指示された場合に、表示部が上記の指示を表示し、ユーザに一の原稿および他の原稿の所定の載置を促すことにより、他の原稿についても、原稿仮置モードで画像を読み取ることができる。
本発明の画像形成装置は、上述した本発明の画像読取装置と、前記画像読取装置にて読み取られた画像を記録媒体上に出力する画像出力部とを備えている構成であってもよい。
この構成では、原稿台に載置された複数の原稿のうちの一の原稿のみ、原稿仮置モードによって画像が読み取られた場合でも、その読み取られた画像を画像出力部によって記録媒体上に出力することができる。
本発明によれば、原稿仮置モードでは、複数の原稿が原稿台に載置されても、画像読取機構によって一の原稿の画像のみが読み取られる。これにより、例えば他の原稿の読取後、一の原稿の読取前に、ユーザは、他の原稿をカバンに収容する動作を行わなくて済む。したがって、最初の原稿の読取から最後の原稿の読取までに要するトータルの時間を短縮することができる。また、上記の収容動作が不要なので、その動作に伴って原稿を他人に見られたり、紛失する危険性が確実に低下する。したがって、読取対象となる原稿が特に重要書類である場合でも、ユーザは安心して装置を使用することができる。
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。まず、本発明の画像形成装置の概略について説明する。
(画像形成装置の概略)
図1は、電子写真方式を利用して画像を形成する画像形成装置としての複写機200の概略の構成を模式的に示す正面視での断面図である。複写機200は、画像読取部1と、原稿搬送部2とを有している。
なお、以下での説明の便宜上、画像読取部1の後述する第1移動枠131(図2参照)の画像読取時の移動方向を副走査方向と称し、原稿台としての載置読取用コンタクトガラス12に平行な面内で副走査方向に垂直な方向を主走査方向と称する。なお、主走査方向は、画像読取部1によって原稿の画像が読み取られる1ラインに平行な方向とも言える。
画像読取部1は、原稿搬送部2によって搬送されて搬送読取用コンタクトガラス11上を通過する原稿の画像、または、載置読取用コンタクトガラス12に載置された原稿の画像を読み取る。この画像読取部1は、原稿搬送部2によって搬送される原稿の画像読取時には、光源6(図2参照)を有する第1移動枠131を読取位置に移動させ、その読取位置で搬送読取用コンタクトガラス11を介して原稿に光を照射し、原稿からの反射光をイメージセンサ15(図2参照)で受光することにより、上記原稿の画像を主走査方向の1ラインごとに読み取る。また、画像読取部1は、載置読取用コンタクトガラス12に載置された原稿の画像読取時には、第1移動枠131を副走査方向に移動させながら載置読取用コンタクトガラス12を介して原稿に光を照射し、原稿からの反射光をイメージセンサ15で受光することにより、上記原稿の画像を読み取る。なお、画像読取部1の詳細については後述する。
原稿搬送部2は、搬送読取用コンタクトガラス11上に読取原稿を1枚ずつ自動的に連続して搬送する原稿搬送装置であり、画像読取部1の上方に設けられている。この原稿搬送部2は、複写機背面側に水平に位置する回動軸(図示せず)を中心に回動可能に設けられており、画像読取部1の原稿台(載置読取用コンタクトガラス12)に原稿を載置する際に上下方向に開閉する上面カバーを構成している。また、載置読取用コンタクトガラス12に載置されるブック原稿の画像を読み取る場合、原稿搬送部2はブック原稿を上から押さえる原稿押さえ部としても機能する。なお、原稿搬送部2の代わりに、原稿押さえ部としての機能のみを有する上面カバーが設けられてもよい。
また、複写機200は、画像読取部1の正面側に操作パネル3を有している。操作パネル3は、複写機200の設定用のキーを表示しつつユーザによる設定入力を受け付ける入力部であり、タッチパネルを含む液晶表示部30と、コピー部数等の数字入力を行うためのテンキー部31と、印刷開始を指示入力するためのスタートキー32とを有している。なお、画像読取部1と操作パネル3とで、画像読取装置100が構成されている。
また、複写機200は、給紙部4A、搬送路4B、画像形成部5A、中間転写部5B、定着部5C等を備えており、画像読取部1で読み取られた画像を記録媒体上に形成する。なお、複写機200は、外部から送信される画像データに基づいて記録媒体上に画像を形成することもできる。
給紙部4Aは、複写機200の本体内に複数設けられており、それぞれ、各サイズ(例えば、A4、B4等のA型、B型用紙等)、各種用紙(例えば、コピー用紙、再生紙、厚紙、OHPシート等)を記録媒体として複数枚収容している。各給紙部4Aは、それぞれ回転駆動する給紙ローラ41を備え、印刷時、1枚ずつ搬送路4Bに用紙を送り込む。
搬送路4Bは、装置内で用紙を搬送する通路である。そして、搬送路4Bには、用紙の案内のためのガイド板や、用紙搬送時に回転駆動する搬送ローラ対42(図1おいて、上方から42A、42B、42Cの計3つ)や、搬送される用紙を画像形成部5Aの手前で待機させ、形成されたトナー像の転写タイミングに合わせて用紙を送り出すレジストローラ対43等が設けられる。また、定着完了後の用紙を排出トレイ44に排出する排出ローラ対45も設けられる。
画像形成部5Aは、複数の画像形成ユニット50(ブラック用の50Bk、イエロー用の50Y、シアン用の50C、マゼンタ用の50M)と露光装置51を含む。露光装置51は、画像読取部1で読み取られた画像の画像データ等に基づき、レーザ光を点消灯しつつ出力し、各感光体ドラムを走査露光する。画像形成ユニット50は、回転駆動可能に支持された感光体ドラムや、感光体ドラムの周囲に配設された帯電装置、現像装置、清掃装置等を備える。そして、各画像形成ユニット50と露光装置51によって、感光体ドラムの周面上にトナー像が形成される。
中間転写部5Bは、各画像形成ユニット50からトナー像の1次転写を受け、用紙に2次転写を行う。中間転写部5Bは、各1次転写ローラ52Bk〜52M、中間転写ベルト53、駆動ローラ54、複数の従動ローラ55、2次転写ローラ56、ベルト清掃装置57等で構成される。各1次転写ローラ52Bk〜52Mは、対応する感光体ドラムとで無端状の中間転写ベルト53を挟み込む。各1次転写ローラ52Bk〜52Mには、転写用電圧が印加され、トナー像は中間転写ベルト53に転写される。
中間転写ベルト53は、駆動ローラ54等に張架され、モータ等の駆動機構(不図示)に接続される駆動ローラ54の回転駆動により周回する。駆動ローラ54は、2次転写ローラ56とで中間転写ベルト53を挟み込む。各画像形成ユニット50で形成されたトナー像(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの各色)は、順次、ずれなく重畳して中間転写ベルト53に1次転写された後、所定の電圧を印加された2次転写ローラ56により、用紙に転写される。
定着部5Cは、用紙に転写されたトナー像を定着させる。定着部5Cは、主として、発熱体を内蔵する加熱ローラ58とこれに圧接する加圧ローラ59からなる。用紙が、加熱ローラ58と加圧ローラ59との間に形成されるニップを通過すると、トナーが溶融・加熱され、トナー像が用紙に定着する。定着部5Cから排出される用紙は、排出トレイ44に送られる。
以上のことから、給紙部4A、搬送路4B、画像形成部5A、中間転写部5Bおよび定着部5Cは、画像読取部1で読み取られた画像を記録媒体上に出力する画像出力部を構成していると言える。
(画像読取部の詳細)
次に、上記した画像読取部1の詳細について説明する。図2は、画像読取部1の詳細な構成を示す正面視での断面図である。画像読取部1は、箱形の筐体を有する。そして、画像読取部1の上面で中央よりも左側には、主走査方向に細長い透明板状の搬送読取用コンタクトガラス11が配される。また、画像読取部1の上面中央には、搬送読取用コンタクトガラス11よりも副走査方向に幅広の透明板状の載置読取用コンタクトガラス12が配される。上面カバーとしての原稿搬送部2を持ち上げ、載置読取用コンタクトガラス12上に読取面を下向きにして原稿を載置することにより、その原稿を読み取ることができる。
画像読取部1の筐体内には、第1移動枠131(キャリッジ)、第2移動枠132、ワイヤ133、巻取ドラム134、レンズ14およびイメージセンサ15等が配される。第1移動枠131は、光源6および第1ミラー161を保持する枠である。光源6は、原稿に光を照射するものであり、例えば複数のLEDが主走査方向に並んで構成されている。
第2移動枠132は、第2ミラー162および第3ミラー163を保持する枠である。第1移動枠131および第2移動枠132は、複数本のワイヤ133を介して巻取ドラム134に接続されている。巻取モータ13M(図4参照)によって巻取ドラム134が正逆回転することにより、第1移動枠131および第2移動枠132は個別に副走査方向に自在に移動する。レンズ14は、第1移動枠131および第2移動枠132の各ミラーを介して入射する光を集光してイメージセンサ15に導く。
イメージセンサ15は、光源6から出射されて原稿で反射された光を受光することにより、原稿の画像を主走査方向の1ラインごとに読み取り、画像データを生成する。このイメージセンサ15は、例えば、複数の受光素子(例えばCCD)を、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色ごとに主走査方向にライン状に並べたラインセンサで構成されている。
上記の構成において、原稿搬送部2により搬送される原稿の画像を読み取る場合、巻取モータ13Mの駆動により、第1移動枠131は、ホームポジションから搬送読取用コンタクトガラス11の下方位置に移動し、その位置で光源6が点灯する。なお、上記のホームポジションは、例えば、搬送読取用コンタクトガラス11と載置読取用コンタクトガラス12との間の下方位置である。また、第1移動枠131の移動に伴って第2移動枠132も副走査方向に移動する。
光源6が点灯すると、搬送読取用コンタクトガラス11を介して原稿に光が照射される。原稿からの反射光は、搬送読取用コンタクトガラス11を介して第1ミラー161に入射し、そこで反射された後、第2ミラー162および第3ミラー163で順に反射され、レンズ14を介してイメージセンサ15に入射する。イメージセンサ15は、反射光を画像濃度に応じたアナログの電気信号に変換して画像データを生成し、原稿の主走査方向1ラインの画像を読み取る。原稿を搬送しながらこのような動作を連続して行うことにより、原稿の主走査方向の1ラインごとの画像の読取が副走査方向に連続して行われ、1枚の原稿が読み取られる。
一方、載置読取用コンタクトガラス12上に載置された原稿の画像を読み取る場合、巻取モータ13Mの駆動により、第1移動枠131および第2移動枠132は、光源6を点灯させたまま、載置読取用コンタクトガラス12の下方を副走査方向に移動する。原稿の読取位置を副走査方向の一端側から他端側にかけて移動させながら、原稿からの反射光をイメージセンサ15で受光することにより、原稿の画像全体が読み取られる。
以上のことから、少なくとも、光源6、第1移動枠131、第2移動枠132、巻取モータ13M、巻取ドラム134、イメージセンサ15で、載置読取用コンタクトガラス12上に載置された原稿の画像を読み取る画像読取機構1a(図4参照)が構成されていると言える。
(複写機のハードウェア構成)
次に、複写機200のハードウェア構成について説明する。図3は、複写機200のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。複写機200は、本体制御部8を有している。
本体制御部8は、画像読取装置100(画像読取部1、操作パネル3)、原稿搬送部2、給紙部4A、搬送路4B、画像形成部5A、中間転写部5B、定着部5Cと接続され、用紙搬送やトナー像形成等、各部の動作制御を行う。操作パネル3での設定やコピー実行指示は、本体制御部8に伝達される。本体制御部8は、上記の設定や指示に基づき、画像読取部1および原稿搬送部2に対して動作指示を与える。そして、本体制御部8は、画像読取部1から受け取った原稿の画像データに基づき、印刷を行わせる(コピー)。
本体制御部8には、中央演算処理装置としてのCPU81と、記憶部82とが設けられている。記憶部82は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard disk drive)、フラッシュROM等の、不揮発性および揮発性のメモリで構成されている。なお、記憶部82は、本体制御部8の外部に設けられていてもよい。
記憶部82は、複写機200を制御するためのプログラム、データ等を記憶する。本体制御部8は、記憶部82のプログラムやデータを利用して、各部を制御し、印刷を行わせる。なお、本体制御部8は、全体制御や通信制御や画像処理を行うメイン制御部、画像形成や各種回転体を回転させるモータ等のON/OFF等を行い、印刷を制御するエンジン制御部等、機能ごとに分割して複数種設けられてもよい。ここでは、これらの制御部をまとめた形態で示して説明する。
また、本体制御部8には、画像処理部83が設けられる。画像処理部83は、ASICやメモリ等で構成され、濃度変換処理や、拡大縮小処理や、回転処理や、画像データの圧縮、伸張処理などの各種画像処理を行う。なお、画像処理部83は、その他、公知となっている画像処理(例えば、枠消し処理)等を行うこともできる。
(画像読取装置のハードウェア構成)
次に、上記した画像読取部1および操作パネル3を含む画像読取装置100のハードウェア構成について説明する。図4は、画像読取装置100のハードウェア構成の詳細を示すブロック図である。
画像読取装置100の画像読取部1は、上記した画像読取機構1a(第1移動枠131、第2移動枠132、巻取モータ13M、巻取ドラム134、光源6、イメージセンサ15)に加えて、原稿サイズ検知部17と、読取制御部18とを含んで構成されている。
原稿サイズ検知部17は、原稿台としての載置読取用コンタクトガラス12に載置された原稿のサイズを検知するものである。ここで、図5は、原稿搬送部2を開いた状態での画像読取装置100の平面図である。原稿サイズ検知部17は、基準位置Pを基準とする副走査方向の複数の原稿サイズに対応する位置に配置される複数のセンサ17aで構成されている。例えば、副走査方向に、基準位置Pを基準として、A6縦、A5縦、B5縦、B4縦、B5横、A4横、B4横、A3横の各原稿サイズを検知できる位置に、それぞれ対応するセンサ17aが配置されている。各センサ17aは、例えば、反射型光センサで構成されており、検知する原稿サイズの種類に応じた数だけ、副走査方向の所定位置に設けられている。各センサ17aからの出力は、読取制御部18に入力される。
なお、本実施形態の複写機200では、複写機200を上方からみて、載置読取用コンタクトガラス12の左上隅の点を基準位置Pとしている。したがって、ユーザは、載置読取用コンタクトガラス12に1枚の原稿を載置する場合、この基準位置Pに原稿の左上隅を合わせて載置することになる。なお、基準位置Pは、載置読取用コンタクトガラス12の左側における主走査方向の中央位置に設定されていてもよい。この場合、ユーザは、基準位置Pと主走査方向の中央位置とが合うように原稿を載置すればよい。
読取制御部18は、上述の本体制御部8や操作パネル3と通信可能に接続されており、例えば、操作パネル3のスタートキー32が押下された場合等、本体制御部8の指示を受けて、画像読取部1の各部の動作制御や、読取で得られた画像データの本体制御部8への送信制御を行う。このような読取制御部18は、中央演算処理装置としてのCPUや、画像読取装置100の制御に必要なプログラム、データを記憶する記憶装置としてのROM、RAMを含む基板で構成されている。
読取制御部18には、巻取モータ13Mが接続されている。これにより、巻取モータ13Mの回転を制御して巻取ドラム134を回転させ、第1移動枠131および第2移動枠132を副走査方向に移動させることができる。また、読取制御部18は、光源6と接続されており、画像読取時の光源6の点灯/消灯を制御している。さらに、読取制御部18は、イメージセンサ15および原稿サイズ検知部17と通信可能に接続されており、イメージセンサ15で読み取った画像のデータや原稿サイズ検知部17での各検知結果が、読取制御部18に送られる。読取制御部18は、これらの情報を本体制御部8に送信することもできる。本体制御部8は、読取制御部18から送信される各種の情報を受けて、読取画像の記録媒体への形成を制御することになる。
なお、読取制御部18の機能を本体制御部8に持たせたり、逆に、本体制御部8の機能を読取制御部18に持たせることも可能である。
また、読取制御部18は、上記の原稿サイズ検知部17の出力に基づいて、画像読取機構1aによる画像の読取を制御する。例えば、装置の動作モードとして、後述する原稿仮置モードが設定されていない場合、すなわち、載置読取用コンタクトガラス12上に1枚の原稿を載置してこれを読み取る通常の動作モードの場合には、読取制御部18は、原稿サイズ検知部17のいずれかのセンサ17aが検知した原稿サイズで、載置された原稿を読み取る。一方、装置の動作モードとして、原稿仮置モードが設定されている場合には、原稿サイズ検知部17でのサイズ検知に基づいて、載置読取用コンタクトガラス12上の原稿の有無を認識し、画像読取機構1aによる画像の読取を制御する。
ここで、原稿仮置モードとは、載置読取用コンタクトガラス12に原稿が複数載置されたときに、一の原稿のみを読取対象とし、他の原稿を読取対象から除外する動作モードである。この原稿仮置モードは、ユーザが操作パネル3を操作することによって設定可能である。例えば、免許証、パスポート、保険証、住民票、源泉徴収票、ネームカードなど、個人情報を有する重要書類を複数種類読み取らせたい、あるいはコピーしたいとき、このような原稿仮置モードで原稿を読み取らせることにより、複数の原稿の読取、あるいはコピーに要するトータルの時間を短縮することができる。以下、原稿仮置モードでの読取制御部18の制御の詳細について説明する。
(原稿仮置モードでの制御について)
(読取制御その1)
図6は、載置読取用コンタクトガラス12上で、原稿サイズ検知部17の各センサ17aによって検知される原稿サイズに対応する各領域の一例を示している。なお、同図では、便宜上、各センサ17aが検知する原稿の種類(サイズ、縦置き/横置き)を併せて示す。なお、縦長の長方形が上に付してある原稿サイズは、その原稿が縦置きの場合のサイズであることを示し、横長の長方形が上に付してある原稿サイズは、その原稿が横置きの場合のサイズであることを示す。
図6において、載置読取用コンタクトガラス12上で、基準位置Pを基準とする複数の原稿サイズに対応する複数の領域のうち、A5縦の原稿サイズに対応する領域を第1の領域R1とし、第1の領域R1よりも大きい領域であって、A3横の原稿サイズに対応する領域を第2の領域R2とし、A5縦とA3横との間の原稿サイズ(例えばB5縦)に対応する領域を第3の領域R3とする。このとき、第1の領域R1は領域aで表され、第2の領域R2は領域a+b+cで表され、第3の領域R3はa+bで表される。また、第3の領域R3のうちで第1の領域R1を除く領域を残余領域R3’とすると、残余領域R3’は領域bで表される。ただし、領域a、b、cは、第2の領域R2を第1の領域R1と第3の領域R3とで区切った領域であって、互いに重ならない領域とする。
図7は、載置読取用コンタクトガラス12上に、2つの原稿D1・D2を載置した状態を示している。このとき、原稿D1はA5縦サイズであり、原稿D2はA6横サイズよりも小さいサイズ(例えば免許証サイズ)とする。一方の原稿D1を基準位置Pに左上隅が合うように載置し、他方の原稿D2を原稿D1と間隔を空けて右上隅に載置すると、原稿サイズ検知部17の各センサ17aのうち、A5縦サイズを検知するセンサ17aは、原稿D1を検知し、A3横サイズを検知するセンサ17aは、原稿D2を検知する。これに対して、例えばB5縦サイズを検知するセンサ17aは、いずれの原稿D1・D2も検知しない。
したがって、読取制御部18は、このような各センサ17aの検知結果に基づき、第1の領域R1に原稿D1が存在することを認識し、第2の領域R2に原稿D2が存在することを認識し、残余領域R3’にはいずれの原稿D1・D2も存在しないことを認識することになる。なお、図7に示すように、原稿D2が第2の領域R2からはみ出て載置されていても、原稿D2の一部が第2の領域R2内に位置していることによって、対応するセンサが原稿D2の存在を検知したときは、読取制御部18は第2の領域R2に原稿D2が存在すると認識する。
このように、読取制御部18は、各原稿D1・D2の存在を認識するとともに、各原稿D1・D2が間隔を空けて載置されていることを認識すると、画像読取機構1に対して、原稿D1の画像のみを、第1の領域R1に対応するサイズ(この例では原稿D1のサイズと一致する)で読み取らせる。一方、原稿D2は読取対象から除外され、仮置きとして扱われることになる。
なお、図7の例では、原稿D1は、A5縦サイズを検知するセンサ17aでも検知されるし、これと隣り合う、A6縦サイズを検知するセンサ17aでも検知される。また、原稿D2は、A3横サイズを検知するセンサ17aでも検知されるし、これと隣り合う、B4横サイズを検知するセンサ17aでも検知される。このように、隣り合う複数のセンサ17aで原稿が検知される場合は、読取制御部18は、より大きいサイズを検知するセンサ17aでの検知結果に基づいて、原稿の有無を認識すればよい。
また、図7の例では、いずれの原稿D1・D2も検知しないセンサ17aとしては、B5縦サイズを検知するセンサ以外にも、A4縦、B5横、A4横の各サイズを検知するセンサがあるが、読取制御部18は、原稿を検知しないセンサが少なくとも1つあれば、残余領域R3’に原稿が存在しないことを認識することができる。
(読取制御その2)
図8は、載置読取用コンタクトガラス12上で、原稿サイズ検知部17の各センサ17aによって検知される原稿サイズに対応する各領域の他の例を示している。図8において、載置読取用コンタクトガラス12上で、基準位置Pを基準とする複数の原稿サイズに対応する複数の領域のうち、A4縦の原稿サイズに対応する領域を第1の領域R1とし、第1の領域R1よりも大きい領域であって、A3横の原稿サイズに対応する領域を第2の領域R2とし、A4縦とA3横との間の原稿サイズ(例えばB5横)に対応する領域を第3の領域R3とする。このとき、第1の領域R1は領域a+bで表され、第2の領域R2は領域a+b+c+dで表され、第3の領域R3はa+cで表される。また、第3の領域R3のうちで第1の領域R1を除く領域を残余領域R3’とすると、残余領域R3’は領域cで表される。ただし、領域a、b、c、dは、第2の領域R2を第1の領域R1と第3の領域R3とで区切った領域であって、互いに重ならない領域とする。
図9は、載置読取用コンタクトガラス12上に、2つの原稿D1・D2を載置した状態を示している。このとき、原稿D1はA4縦サイズであり、原稿D2はA6横サイズよりも小さいサイズ(例えば免許証サイズ)とする。一方の原稿D1を基準位置Pに左上隅が合うように載置し、他方の原稿D2を原稿D1と間隔を空けて右上隅に、載置読取用コンタクトガラス12からはみ出るように載置すると、原稿サイズ検知部17の各センサ17aのうち、A4縦サイズを検知するセンサ17aは、原稿D1を検知し、A3横サイズを検知するセンサ17aは、原稿D2を検知する。これに対して、例えばB5横サイズを検知するセンサ17aは、いずれの原稿D1・D2も検知しない。
したがって、読取制御部18は、このような各センサ17aの検知結果に基づき、第1の領域R1に原稿D1が存在することを認識し、第2の領域R2に原稿D2が存在することを認識し、残余領域R3’にはいずれの原稿D1・D2も存在しないことを認識することになる。なお、図9に示すように、原稿D2が第2の領域R2からはみ出て載置されていても、原稿D2の一部が第2の領域R2内に位置していることによって、対応するセンサが原稿D2の存在を検知したときは、読取制御部18は第2の領域R2に原稿D2が存在すると認識する。
このように、読取制御部18は、各原稿D1・D2の存在を認識するとともに、各原稿D1・D2が間隔を空けて載置されていることを認識すると、画像読取機構1に対して、原稿D1の画像のみを、第1の領域R1に対応するサイズ(この例では原稿D1のサイズと一致する)で読み取らせる。一方、原稿D2は読取対象から除外され、仮置きとして扱われることになる。
(読取制御その3)
図10は、載置読取用コンタクトガラス12上で、原稿サイズ検知部17の各センサ17aによって検知される原稿サイズに対応する各領域のさらに他の例を示している。図10において、載置読取用コンタクトガラス12上で、基準位置Pを基準とする複数の原稿サイズに対応する複数の領域のうち、A6縦の原稿サイズに対応する領域を第1の領域R1とし、第1の領域R1よりも大きい領域であって、A3横の原稿サイズに対応する領域を第2の領域R2とし、A6縦とA3横との間の原稿サイズ(例えばA5縦)に対応する領域を第3の領域R3とする。このとき、第1の領域R1は領域aで表され、第2の領域R2は領域a+b+cで表され、第3の領域R3はa+bで表される。また、第3の領域R3のうちで第1の領域R1を除く領域を残余領域R3’とすると、残余領域R3’は領域bで表される。ただし、領域a、b、cは、第2の領域R2を第1の領域R1と第3の領域R3とで区切った領域であって、互いに重ならない領域とする。
図11は、載置読取用コンタクトガラス12上に、2つの原稿D1・D2を載置した状態を示している。このとき、原稿D1はA6縦サイズよりも小さいサイズ(例えば免許証サイズ)であり、原稿D2はB5縦サイズとする。一方の原稿D1を基準位置Pと左上隅が離れるように載置し、他方の原稿D2を原稿D1と間隔を空けて右側に載置すると、原稿サイズ検知部17の各センサ17aのうち、A6縦サイズを検知するセンサ17aは、原稿D1がA6縦サイズよりも小さいサイズのため、原稿D1を検知しない。一方、B5横、A4横、B4横、A3横の各サイズを検知するセンサ17aは、原稿D2を検知する。また、A5縦、B5縦、A4縦の各サイズを検知するセンサ17aは、いずれの原稿D1・D2も検知しない。
ところで、原稿仮置モードは、複数の原稿が載置読取用コンタクトガラス12に載置されることを前提としているため、サイズ検知された原稿が1種類(この例では原稿D2)であり、最も小さい原稿サイズ(この例ではA6縦サイズ)に対応するセンサ17aによって原稿の存在を検知できなかったときは、図11のように、そのセンサ17aが検知できるサイズよりもさらに小さいサイズの原稿(この例では原稿D1)が載置されている可能性が高い。
そこで、読取制御部18は、サイズが検知された原稿が1種類であり、かつ、最も小さい原稿サイズに対応するセンサ17aによって、載置読取用コンタクトガラス12上に原稿が存在することを検知できなかったときには、上記最も小さい原稿サイズに対応する領域を第1の領域R1として、第1の領域R1に原稿が存在するものと認識する。したがって、この例においても、読取制御部18は、各センサ17aの検知結果に基づき、第1の領域R1に原稿D1が存在することを認識し、第2の領域R2に原稿D2が存在することを認識し、残余領域R3’にはいずれの原稿D1・D2も存在しないことを認識することになる。
このように、読取制御部18は、各原稿D1・D2の存在を認識するとともに、各原稿D1・D2が間隔を空けて載置されていることを認識すると、画像読取機構1に対して、原稿D1の画像のみを、第1の領域R1に対応するサイズ(この例では原稿D1よりも大きいサイズ)で読み取らせる。一方、原稿D2は読取対象から除外され、仮置きとして扱われることになる。
以上、原稿仮置モードでは、読取制御部18は、原稿サイズ検知部17の出力に基づいて、直線上(例えば副走査方向)にみて、原稿D1が存在する領域と原稿D2が存在する領域との間に、原稿が存在しない領域である不存在領域(上記の例では少なくとも残余領域R3’)があるかどうかを認識することができる。原稿仮置モードで上記不存在領域を認識できれば、載置読取用コンタクトガラス12上で、複数の原稿D1・D2が間隔を空けて載置されていると判断できる。読取制御部18は、原稿仮置モードで上記の不存在領域を認識したとき、基準位置Pに最も近い位置に載置された原稿D1のみを、上記不存在領域の読取サイズよりも小さい読取サイズで、画像読取機構1aに読み取らせる。
これにより、例えば原稿D2の読取が既に終了している場合には、原稿D2を載置読取用コンタクトガラス12上で仮置き状態としたまま、次に原稿D1のみを読み取らせることができ、ユーザは原稿D1の読取前に原稿D2をわざわざカバンに収容しなくて済む。また、原稿D1を読み取らせてから原稿D2を読み取らせる場合でも、原稿D1の読取終了後は、原稿D1と原稿D2との載置位置を載置読取用コンタクトガラス12上で入れ替えて、原稿D1を仮置きすればよく、ユーザは原稿D1をカバンに収容しなくて済む。
いずれの場合でも、ユーザは、先の原稿の読取後、次の原稿の読取前に、読取が終了した先の原稿をカバンに収容する動作を行わなくて済むので、次の原稿の読取を早く開始させることができ、最初の原稿の読取から最後の原稿の読取までに要するトータルの時間を短縮することができる。また、次の原稿の読取開始前に、先の原稿をカバンに収容する動作が不要なので、その収容動作の最中に原稿を他人に見られたり、収容途中で原稿を紛失するといった危険性も確実になくなる。したがって、読取対象となる原稿が特に重要書類であっても、ユーザは安心して装置を使用することができる。
このとき、読取制御部18は、(1)基準位置Pを基準とする複数の原稿サイズに対応する載置読取用コンタクトガラス12上の複数の領域のうち、第1の領域R1に一の原稿(例えば原稿D1)が存在すること、(2)第1の領域R1よりも大きい第2の領域R2に他の原稿(例えば原稿D2)が存在すること、(3)第1の領域R1と第2の領域R2との間の原稿サイズに対応する第3の領域R3のうちで第1の領域R1を除く領域である残余領域R3’にいずれの原稿も存在しないこと、をそれぞれ認識することで、載置読取用コンタクトガラス12上で一方向に、「原稿あり」、「原稿なし」、「原稿あり」を確実に認識し、上記した原稿の不存在領域を確実に認識することができる。これにより、読取制御部18は、画像読取機構1aに対して、一の原稿の画像のみを確実に読み取らせることができ、原稿仮置モードを確実に実行させることができる。
また、読取制御部18は、副走査方向に並ぶ、原稿サイズ検知部17の各センサ17aでのサイズ検知に基づいて、第1の領域R1に一の原稿が存在すること、第2の領域R2の他の原稿が存在すること、残余領域R3’にいずれの原稿も存在しないこと、をそれぞれ認識するので、載置読取用コンタクトガラス12上で副走査方向に、「原稿あり」、「原稿なし」、「原稿あり」を確実に認識することができる。したがって、載置読取用コンタクトガラス12上で副走査方向に複数の原稿を並べて載置した場合に、上述した原稿仮置モードを確実に実行することができる。また、載置読取用コンタクトガラス12は、通常、主走査方向よりも副走査方向に長いので、副走査方向のほうが複数の原稿を並べて載置しやすく、ユーザは原稿仮置モードを利用しやすくなる。
また、読取制御部18は、サイズ検知された原稿が1種類であり、かつ、最小の原稿サイズに対応するセンサによって原稿が存在することを検知できなかったときに、その最小の原稿サイズに対応する領域を第1の領域R1として、第1の領域R1に一の原稿が存在するものと認識する。これにより、原稿サイズ検知部17にて検知できる最小サイズよりも小さいサイズの原稿を用いて原稿仮置モードを実行する場合でも、その原稿の画像のみを確実に読み取ることができる。
(実施例について)
次に、上記した原稿仮置モードが利用される例について、実施例1〜4として説明する。
(実施例1)
図12は、実施例1の複写機200(画像読取装置100)における動作の流れを示すフローチャートである。この実施例1では、一の原稿について原稿サイズを自動検知して読取を行った後、他の原稿について原稿仮置モードでの読取を実行する場合について説明する。
まず、ユーザが免許証などの重要書類を第1の原稿として、載置読取用コンタクトガラス12の所定位置(基準位置Pに近い位置)に載置し、原稿搬送部2を閉じると、原稿サイズ検知部17は、第1の原稿サイズを検知する(S1)。その後、ユーザが操作パネル3によって読取開始を指示すると(S2)、画像読取機構1aは、S1にて検知されたサイズで第1の原稿を読み取る(S3)。
次に、読取制御部18は、S1でのサイズ検知に基づき、第1の原稿が特定サイズ(例えばA5縦)以下であるかをどうかを判断する(S4)。第1の原稿が特定サイズ以下であれば(S4にてYes)、読取制御部18は、第1の原稿はサイズが小さく、重要書類である可能性が高いと判断するとともに、次に第2の原稿の読取を行うか否かのメッセージを、操作パネル3の液晶表示部30に表示させる(S5)。
ユーザによる操作パネル3の操作により、第2の原稿の読取を行う場合には(S6でYes)、第2の原稿を載置読取用コンタクトガラス12の基準位置P側に載置し、読取が終了している第1の原稿を第2の原稿に対して基準位置Pとは反対側に、第2の原稿と間隔を空けて載置する指示を液晶表示部30に表示させる(S7)。この指示を受けて、ユーザは、原稿搬送部2を開けて、載置読取用コンタクトガラス12上で第1の原稿を右側に寄せ、次の第2の原稿を左側(基準位置P側)の所定位置に置いて原稿搬送部2を閉じ、操作パネル3を操作して読取開始を指示すると(S8)、読取制御部18は、画像読取機構1aに対して、上述した原稿仮置モードで第2の原稿のみを読み取らせる(S9)。
一方、S4にて、第1の原稿が特定サイズよりも大きければ、読取制御部18は、第1の原稿は重要書類である可能性が低く、次に第2の原稿の読取があっても原稿仮置モードを実行する必要性が低いと判断して、一連の処理を終了する。また、S6にて、第1の原稿の読取後、続けて第2の原稿の読取を行わない場合も、そのまま処理を終了する。
なお、用紙への印刷のステップについては、特にフローチャートで示していないが、第1または第2の原稿の読取終了後であれば、基本的にはどの段階で行うようにしてもよい。この点については、以降の実施例でも同様である。例えば本実施例では、S3のすぐ後で第1の原稿の読取画像を用紙に印刷し、S9のすぐ後で第2の原稿の読取画像を用紙に印刷してもよい。また、S9の後、第1の原稿の読取画像を用紙に印刷し、続けて第2の原稿の読取画像を用紙に印刷してもよい。
本実施例のように、第1の原稿の読取が既に終了しており、その後、第2の原稿の読取が行われる前に、読取制御部18は、S7にて、第1および第2の原稿の載置に関する指示を液晶表示部30に表示させ、ユーザにそのような載置を促すことにより、第1の原稿を仮置き原稿として、第2の原稿を読取対象とする原稿仮置モードを実行することが可能となる。つまり、複数の原稿のうちで一部の原稿の読取を既に終了させている場合でも、途中から(次の原稿の読取から)原稿仮置モードを実行することが可能となる。
また、既に読取が終了した第1の原稿のサイズが特定サイズ以下の場合、第1の原稿はサイズの小さい重要書類(免許証、保険証、パスポート等)であることが多い。そこで、読取制御部18は、第1の原稿のサイズが特定サイズ以下の場合に、上記の指示を液晶表示部30に表示させて、ユーザに各原稿の所定の載置を促すことにより、原稿仮置モードを途中から実行させることが非常に有効となる。つまり、重要書類である第1の原稿のカバンへの収容動作を不要とし、その収容動作に伴って第1の原稿を他人に見られたり、紛失する危険性を確実に低下させることができる。
(実施例2)
図13は、実施例2の複写機200(画像読取装置100)における動作の流れの一例を示すフローチャートである。この実施例2では、画像読取モードとして、特定種類の原稿を読み取る特定原稿読取モードが設定されており、そのような特定種類の原稿の読取終了後に原稿仮置モードでの画像の読取を実行できるようにしている。なお、特定種類の原稿としては、ここでは、例えば免許証を想定しており、特定原稿読取モードとしては、免許証読取モードを想定することができる。
まず、ユーザが操作パネル3によって免許証読取モードを設定し、載置読取用コンタクトガラス12上に免許証を載置すると(S11)、読取制御部18は、続けて他の原稿の読取を行うか否かのメッセージを液晶表示部30に表示させる(S12)。このとき、他の原稿がある場合には、免許証をカバンに収容せずに読取を行うことができる旨を上記メッセージに付け足してもよい。以下では、免許証を第1の原稿とも称し、他の原稿を第2の原稿とも称する。
読取制御部18は、ユーザによる操作パネル3の操作入力により、第2の原稿の読取を行うと判断した場合(S13でYes)、操作パネル3による読取開始の指示を待って(S14)、画像読取機構1aに対して第1の原稿を読み取らせる(S15)。なお、ここでは、免許証読取モードが設定されているため、第1の原稿の読取は免許証サイズ(例えば最小のA6縦サイズ)で行われる。
第1の原稿の読取終了後、読取制御部18は、第2の原稿を載置読取用コンタクトガラス12の基準位置P側に載置し、読取が終了している第1の原稿を第2の原稿に対して基準位置Pとは反対側に、第2の原稿と間隔を空けて載置する指示を液晶表示部30に表示させる(S16)。この指示を受けて、ユーザは、原稿搬送部2を開けて、載置読取用コンタクトガラス12上で第1の原稿を右側に寄せ、第2の原稿を左側(基準位置P側)の所定位置に置いて原稿搬送部2を閉じ、操作パネル3を操作して読取開始を指示すると(S17)、読取制御部18は、画像読取機構1aに対して、上述した原稿仮置モードで第2の原稿のみを読み取らせる(S18)。
一方、S13にて、第2の原稿の読取を行わない場合は、読取対象は第1の原稿だけであるので、読取制御部18は、操作パネル3による読取開始の指示を待って(S19)、画像読取機構1aに対して第1の原稿を読み取らせる(S20)。
以上のように、操作パネル3によって特定原稿読取モードが設定されており、読取対象として第1の原稿以外に第2の原稿がある場合に、読取制御部18は、第1の原稿の読取終了後、液晶表示部30に各原稿の載置の仕方に関する指示を表示させ、ユーザに各原稿の所定の載置を促すことにより、第2の原稿の読取時に、第1の原稿を仮置き原稿として、原稿仮置モードを実行することが可能となる。したがって、第1の原稿の読取終了後、ユーザは第1の原稿をカバンに収容しなくても済み、また、第2の原稿をカバンからスムーズに取り出すことができる。したがって、第1の原稿の読取終了後、第2の原稿の読取前に、これらの原稿を他人に見られたり、紛失する危険性を確実に低下させることができ、これらの原稿がサイズの小さい重要書類であっても、ユーザは安心して装置を使用することができる。
また、図14は、実施例2の複写機200(画像読取装置100)における動作の流れの他の例を示すフローチャートである。図14のS11〜S13は、図13のS11〜S13と同じである。
読取制御部18は、ユーザによる操作パネル3の操作入力により、第2の原稿の読取を行うと判断した場合(S13でYes)、第1の原稿を載置読取用コンタクトガラス12の基準位置P側に載置し、第2の原稿を第1の原稿に対して基準位置Pとは反対側に、第1の原稿と間隔を空けて載置する指示を液晶表示部30に表示させる(S21)。この指示を受けて、ユーザは、載置読取用コンタクトガラス12上で第1の原稿を左側に、第2の原稿を右側に置き、操作パネル3を操作して読取開始を指示すると(S22)、読取制御部18は、画像読取機構1aに対して、上述した原稿仮置モードで第1の原稿のみを読み取らせる(S23)。
第1の原稿の読取終了後、読取制御部18は、第1の原稿と第2の原稿との載置位置を入れ替える指示を液晶表示部30に表示させる(S24)。すなわち、読取制御部18は、第2の原稿を載置読取用コンタクトガラス12の基準位置P側に載置し、第1の原稿を第2の原稿に対して基準位置Pとは反対側に、第2の原稿と間隔を空けて載置する指示を液晶表示部30に表示させる。この指示を受けて、ユーザは、載置読取用コンタクトガラス12上で第2の原稿を左側に、第1の原稿を右側に置き、操作パネル3を操作して読取開始を指示すると(S25)、読取制御部18は、画像読取機構1aに対して、上述した原稿仮置モードで第2の原稿のみを読み取らせる(S26)。
一方、S13にて、第2の原稿の読取を行わない場合は、読取対象は第1の原稿だけであるので、読取制御部18は、操作パネル3による読取開始の指示を待って(S27)、画像読取機構1aに対して第1の原稿を読み取らせる(S28)。
以上のように、操作パネル3によって特定原稿読取モードが設定されており、読取対象として第1の原稿以外に第2の原稿がある場合に、読取制御部18は、第1の原稿の読取前および第2の原稿の読取前に、液晶表示部に上記の各指示を表示させ、ユーザに第1および第2の原稿の所定の載置を促す。これにより、第1の原稿の読取時には、第2の原稿を仮置き原稿とした原稿仮置モードを実行することが可能となり、第2の原稿の読取時には、第1の原稿を仮置き原稿とした原稿仮置モードを実行することが可能となる。つまり、第1の原稿の読取前に、第1の原稿も第2の原稿も載置読取用コンタクトガラス12上に載置しておくので、第1の原稿の読取終了後、ユーザは読取が終了した第1の原稿をカバンに収容する動作を行わなくても済み、しかも、第2の原稿をカバンから取り出す動作も不要となる。よって、これらの動作の際に原稿を他人に見られたり、紛失するといったことは全く無くなり、これらの原稿がサイズの小さい重要書類であっても、ユーザは安心して装置を使用することができる。
(実施例3)
図15は、実施例3の複写機200(画像読取装置100)における動作の流れを示すフローチャートである。この実施例3では、上述した原稿仮置モードがユーザによって設定された場合の動作について説明する。
まず、ユーザが操作パネル3によって原稿仮置モードを設定すると(S31)、読取制御部18は、載置読取用コンタクトガラス12に載置される複数の原稿(例えば第1の原稿、第2の原稿とする)が、両方とも特定サイズ(例えばA5縦サイズ)以下であるか否かをユーザに問い合わせるメッセージを液晶表示部30に表示させる(S32)。なお、上記のメッセージは、例えば、「両原稿とも、免許証、保険証、パスポート、ネームカード、源泉徴収票、住民票程度の大きさですか?」というように、特定サイズ以下の原稿の種類を列挙してユーザに問い合わせるものであってもよい。
この指示を受けて、ユーザが操作パネル3を操作することにより、両原稿とも特定サイズ以下である場合には(S33でYes)、読取制御部18は、第1の原稿を載置読取用コンタクトガラス12の基準位置P側に載置し、第2の原稿を第1の原稿に対して基準位置Pとは反対側に、第1の原稿と間隔を空けて載置する指示を液晶表示部30に表示させる(S34)。この指示を受けて、ユーザは、載置読取用コンタクトガラス12上で第1の原稿を左側に、第2の原稿を右側に置き、操作パネル3を操作して読取開始を指示すると(S35)、読取制御部18は、画像読取機構1aに対して、上述した原稿仮置モードで第1の原稿のみを読み取らせる(S36)。
第1の原稿の読取終了後、読取制御部18は、第1の原稿と第2の原稿との載置位置を入れ替える指示を液晶表示部30に表示させる(S37)。すなわち、読取制御部18は、第2の原稿を載置読取用コンタクトガラス12の基準位置P側に載置し、第1の原稿を第2の原稿に対して基準位置Pとは反対側に、第2の原稿と間隔を空けて載置する指示を液晶表示部30に表示させる。この指示を受けて、ユーザは、載置読取用コンタクトガラス12上で第2の原稿を左側に、第1の原稿を右側に置き、操作パネル3を操作して読取開始を指示すると(S38)、読取制御部18は、画像読取機構1aに対して、上述した原稿仮置モードで第2の原稿のみを読み取らせる(S39)。
一方、S33にて、両原稿とも特定サイズ以下でない場合(例えば一方または両方の原稿がA4サイズである場合)、原稿仮置モードの設定を解除して(S40)、原稿仮置モードとしての処理を終了する。原稿仮置モードの設定が解除されることにより、両原稿は、通常のモードで読み取り、コピーされることになる。すなわち、読取制御部18は、操作パネル3による読取開始の指示を待って(S41)、画像読取機構1aに対して、載置読取用コンタクトガラス12に載置されている1枚の原稿を読み取らせ(S42)、全ての原稿について読取が終了したことが操作パネル3によって入力されるまで、S41以降の処理を繰り返す(S43)。
以上のように、操作パネル3によって原稿仮置モードが設定されており、読取対象として第1および第2の原稿がある場合に、読取制御部18は、第1の原稿の読取前および第2の原稿の読取前に、液晶表示部30に上記の各指示を表示し、ユーザに第1および第2の原稿の所定の載置を促す。これにより、第1の原稿の読取時には、第2の原稿を仮置き原稿とした原稿仮置モードを実行することが可能となり、第2の原稿の読取時には、第1の原稿を仮置き原稿とした原稿仮置モードを実行することが可能となる。つまり、第1の原稿の読取前に、第1の原稿も第2の原稿も載置読取用コンタクトガラス12上に載置しておくので、第1の原稿の読取終了後、ユーザは読取が終了した第1の原稿をカバンに収容する動作を行わなくても済み、しかも、第2の原稿をカバンから取り出す動作も不要となる。よって、これらの動作の際に原稿を他人に見られたり、紛失するといったことは全く無くなり、これらの原稿がサイズの小さい重要書類であっても、ユーザは安心して装置を使用することができる。
また、第1および第2の原稿が特定サイズ以下であれば、これらの原稿を載置読取用コンタクトガラス12上に並べて載置できる可能性が高くなる。そこで、原稿仮置モードが設定され、第1および第2の原稿が特定サイズ以下の場合に、読取制御部18が上記の各指示を液晶表示部30に表示させて、ユーザに第1および第2の原稿の所定の載置を促すことにより、第1および第2の原稿のいずれの読取においても、原稿仮置モードを確実に実行することができる。
(実施例4)
図16および図17は、実施例4の複写機200(画像読取装置100)における動作の流れを示すフローチャートである。この実施例4では、載置読取用コンタクトガラス12上に複数の原稿が載置されていることを先に検知、認識してから、原稿仮置モードを実行する場合の動作について説明する。
ユーザによって、載置読取用コンタクトガラス12上に複数の原稿が載置され、原稿搬送部2を閉じたときに、例えば、A5縦サイズの原稿を検知するセンサ17aが、原稿ありを検知し、A4縦サイズの原稿を検知するセンサ17aが、原稿なしを検知し、A3横サイズの原稿を検知するセンサ17aが、原稿ありを検知したとする(S51)。この場合、読取制御部18は、A5縦サイズに対応する第1の領域R1に一の原稿が存在し、A3横サイズに対応する第2の領域R2に他の原稿が存在し、A4縦サイズに対応する第3の領域R3のうちで第1の領域R1を除く残余領域R3’にはいずれの原稿も存在しないことを認識する。つまり、読取制御部18は、原稿サイズ検知部17の検知結果に基づき、載置読取用コンタクトガラス12上に複数の原稿が載置されていること、および複数の原稿が間隔を空けて載置されていることを認識することになる(S52)。
ユーザが操作パネル3によって読取対象となる原稿またはそのサイズを指定すると(S53)、読取制御部18は、読取対象となる原稿として、一の原稿(例えばA5縦サイズの原稿)が選択されたか否かを判断し(S54)、一の原稿が選択されている場合には(S54にてYes)、他の原稿は読取対象外かどうかをユーザに問い合わせるメッセージを液晶表示部30に表示させる(S55)。操作パネル3による入力に基づき、他の原稿が読取対象外である場合には(S56にてYes)、読取制御部18は、一の原稿のみを読取を行う旨を液晶表示部30に表示させる(S57)。そして、ユーザが操作パネル3を操作して読取開始を指示すると(S58)、読取制御部18は、画像読取機構1aに対して、上述した原稿仮置モードで一の原稿のみを読み取らせる(S59)。
次に、読取制御部18は、再度確認のために、他の原稿の読取を行うかどうかをユーザに問い合わせるメッセージを液晶表示部30に表示させる(S60)。読取制御部18は、操作パネル3によるユーザ入力に基づき、他の原稿の読取を行わないと判断した場合には(S61にてNo)、そのまま処理を終了する。一方、読取制御部18は、他の原稿の読取を行うと判断した場合には(S61にてYes)、他の原稿を載置読取用コンタクトガラス12の基準位置P側に載置し、読取が終了した一の原稿を他の原稿に対して基準位置Pとは反対側に、他の原稿と間隔を空けて載置する指示を液晶表示部30に表示させる(S62)。この指示を受けて、ユーザは、載置読取用コンタクトガラス12上で他の原稿を左側に、一の原稿を右側に置き、操作パネル3を操作して読取開始を指示すると(S63)、読取制御部18は、画像読取機構1aに対して、上述した原稿仮置モードで他の原稿のみを読み取らせる(S64)。
また、S54にて、読取対象として一の原稿が選択されているにもかかわらず、S56にて、読取対象として他の原稿も読取対象であった場合、読取制御部18は、ユーザが両原稿を一度に読み取ることを希望しているものと判断し、一の原稿と他の原稿とを同時に読み取る(S65)。つまり、他の原稿が存在する第2の領域R2に対応する原稿サイズでこれらの原稿が一度に読み取られる。したがって、読取画像の用紙への出力は、一の原稿の読取画像と他の原稿の読取画像とが同時に1枚の用紙に出力される。このとき、複写機200の給紙部4Aが第2の領域R2に対応するサイズの用紙(この例ではA3横サイズ)を収容していない場合には、収容しているサイズの用紙に自動的に縮小コピーされる。なお、S54にて、読取対象として一の原稿が選択されていない場合も、S65以降の動作が行われる。
以上のように、読取制御部18は、載置読取用コンタクトガラス12に載置された原稿として、一の原稿と他の原稿とを認識した場合でも、操作パネル3での設定入力によるユーザの意思を確認した上で、原稿仮置モードとなる画像の読取を実行させることができる。したがって、例えば、一の原稿と他の原稿とを並べて配置してこれらを同時に読み取ることをユーザが希望する場合でも、ユーザの意思に反して原稿仮置モードが実行される事態を回避することができる。
また、読取制御部18は、一の原稿の読取終了後、他の原稿の読取が操作パネル3によって指示された場合に、一の原稿および他の原稿の載置に関する上記の指示を液晶表示部30に表示させ、ユーザに一の原稿および他の原稿の所定の載置を促すことにより、他の原稿についても、原稿仮置モードで画像を読み取ることができる。
なお、本実施形態では、2種類の原稿を載置読取用コンタクトガラス12上に載置する場合の原稿仮置モードについて説明したが、3種類以上の原稿を載置する場合でも、同様に原稿仮置モードを実行することは可能である。この場合、読取制御部18は、載置読取用コンタクトガラス12上で基準位置Pに最も近い原稿と、次に近い原稿との2つについて、本実施形態と同様の判断を行い、画像読取機構1aに対して、基準位置Pに最も近い原稿のみを読み取らせるようにすればよい(基準位置Pから2つ目の原稿、3つ目の原稿、・・・を全て仮置きとして扱えばよい)。
なお、本実施形態では、複数の原稿について、原稿サイズ検知部17により、副走査方向の原稿サイズを検知して、副走査方向における原稿のあり/なしを読取制御部18が認識し、原稿仮置モードを実行する構成について説明したが、主走査方向についても本実施形態と同様の考え方を適用することができる。
つまり、原稿の主走査方向のサイズ(長さ)は、原稿の左端の一部(画像の読取開始付近の主走査方向の複数ライン)を読み取ることで検知されるので、光源6を点灯させながら第1移動枠131および第2移動枠132を副走査方向に若干移動させることにより、主走査方向の原稿サイズを検知することができる。しかも、イメージセンサ15の主走査方向の各受光部からの出力に基づけば、主走査方向における原稿のあり/なしを読取制御部18が認識することは可能である。したがって、主走査方向の原稿サイズの検知に際して、光源6やイメージセンサ15を含む画像読取機構1aが、原稿サイズ検知部17として機能し、この検知結果に基づいて、読取制御部18が主走査方向に複数の原稿の存在を認識することで、主走査方向に複数の原稿を間隔を空けて載置した場合でも、一方の原稿のみを読み取る原稿仮置モードを実行することができる。
なお、本実施形態では、原稿仮置モードにおいて、原稿台に2つの原稿が載置された場合に、2つの原稿の間の原稿不存在領域よりも小さいサイズで一の原稿のみを読み取り、一の原稿のみを印刷するようにしているが、例えば載置された2つの原稿を同時に読み取り(原稿不存在領域よりも大きいサイズで読み取り)、印刷を行う際には、画像読取装置が一の原稿の読取データのみを画像形成部に送って一の原稿のみを印刷するようにしてもよい。この場合でも、印刷対象ではない他の原稿を仮置きして印刷したのと同じ効果を得ることができる。
なお、本実施形態では、画像形成装置として複写機200を例に挙げたが、本発明は、例えば複合機やファクシミリ装置などの他の画像形成装置にも適用可能である。したがって、本発明の画像読取装置としては、複写機200に搭載される画像読取装置100以外にも、上記した他の画像形成装置に搭載される画像読取装置や、画像形成装置に搭載されずに単体で存在する画像読取装置(いわゆるスキャナー)にも本発明を適用することは可能である。また、本実施形態では、タンデム式のカラーの画像形成装置について説明したが、その他、ロータリー式のカラー画像形成装置やモノクロの画像形成装置にも、本実施形態の構成を適用することが可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。