JP5581524B2 - 廃タイヤのゴム再資源化方法、及び再資源化システム - Google Patents
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Description
使用済みの廃タイヤの再利用、再資源化の方法としては、原型のまま、あるいは切断加工して遊具などとして使用したり、そのまま燃焼して高カロリーの熱源として利用されたりもしているが、一方では破砕装置によって粗破砕し、タイヤのゴム部分を補強するためにタイヤの内面に貼着された合成樹脂繊維製などのカーカスや、タイヤが路面に接する部分(トレッド)の内面に帯状に貼着された合成樹脂繊維製などのベルト、前記カーカスの両端を支持するとともにタイヤをリムに固定する金属製のビードワイヤー等の非ゴム素材をゴム部分から剥がして分離し、ゴム、合成樹脂繊維類、金属類をそれぞれ資源として再利用することも行われている。
しかし、前記の廃タイヤを資源として再利用する場合においては、ゴム部分から非ゴム素材を剥がして分離することが困難であること、そして分離したゴム部分に合成樹脂繊維や金属類の非ゴム素材が含まれていると、再生したゴム製品の商品価値が低下するという問題があった。
しかしこの方法では、粉砕機で粉砕された固形物を篩上まで搬送しなければならず、仮に粉砕機の排出口に接して篩装置を備えたとしても、篩い残された粗い粉粒体を粉砕機で再度粉砕するためには、篩い残された粗い粉粒体を破砕機の投入口まで何らかの手段で搬送する必要があり、粉粒体の製造装置が大型化するきらいがあった。
この「廃タイヤの凍結粉砕方法及びその凍結粉砕装置」では、凍結工程から破砕分離工程へ凍結された廃棄タイヤを、破砕分離工程から分別工程へ破砕された廃タイヤの破砕片を、また分別工程から粉砕工程へ非ゴム素材の破砕片と分離されたゴムの破砕片をそれぞれ搬送する手段が必要なことから、装置全体の規模のコンパクト化には至らなかった。
そこでさらに、本発明者は装置のコンパクト化を図るべく鋭意研究を重ね、「周壁に多数の一定口径の貫通孔を有する有底回転体内に投入された固形物を、同円筒体内で粉砕するとともに、同円筒体の回転に伴う遠心力により円筒体周壁の多数の一定口径の貫通孔から粉砕物を外部に放出して、一定粒径以下の粉粒体を収集する粉粒体の製造方法及び製造装置」の発明を行い、併せて前記「粉粒体の製造方法及び製造装置」を用いた「廃タイヤのゴム再資源化方法及び再資源化装置」の発明を行った(特願2009−169325)。
しかし、この「廃タイヤのゴム再資源化方法」においても、凍結してゴムの弾性を失なわせた廃タイヤを物理的手段によって破砕することからゴムと他の素材との分別が確実に行える保証はなく、分別する篩の目より大きな他の素材の破砕片に付着したゴムは再資源化されず、逆に篩の目より小さい他の素材の破砕片は、前記円筒体内に投入され粉砕されて外部に放出され、再資源化ゴムの品質に影響を与える懸念が多少残っていた。
(1)廃タイヤを真空雰囲気中で低温液化ガスなどの冷媒によって瞬間凍結して弾性を失わせる凍結工程と、凍結され弾性を失った廃タイヤを破砕する破砕工程と、破砕された廃タイヤの破砕片に過熱水蒸気含有燃焼ガス又は過熱水蒸気を吹きつけてゴムを溶融させることにより、前記廃タイヤの破砕片から該タイヤのカーカス、ベルト、ヒートワイヤに使用されたゴム以外の素材とゴムとを分別する溶融・分別工程と、溶融したゴムを低温液化ガスなどの冷媒によって再凍結する再凍結工程と、再凍結したゴム塊を周壁に多数の一定口径の貫通孔を有する回転円筒体内に投入し、同円筒体内に設けた多数の回転刃等の粉砕手段によって前記ゴム塊を粉砕するとともに、前記円筒体の回転に伴う遠心力により円筒体周壁の一定口径の貫通孔からゴム粉砕粒体を円筒体外に放出して、一定粒径以下のゴム粒状体を収集する粉砕・整粒工程とからなることを特徴とする廃タイヤのゴム再資源化方法。
(3)前記過熱水蒸気が、バーナーにより燃料を噴霧燃焼させて燃焼室内を700℃以上の高温に加熱するとともに、前記高温の燃焼室内に配設されたループ状水管の一端から注入された水が前記水管内で加熱されて他端から噴出して得られるものであることを特徴とする前項(1)に記載の廃タイヤのゴム再資源化方法。
(5)前記固形塊状物の粒状化装置が、垂設した回転軸に沿って多数の回転刃を上下に固設してなる回転刃体を備え、かつ前記回転刃体が昇降自在に前記有底回転円筒体内に配設されてなることを特徴とする前項(4)に記載の廃タイヤのゴム再資源化システム。
〈1〉廃タイヤを真空雰囲気中で低温液化ガスなどの冷媒によって瞬間凍結し、ゴムとしての弾性を失わせて破砕がしやすくし、また破砕した廃タイヤの破砕片に過熱水蒸気含有燃焼ガス又は過熱水蒸気を吹きつけてゴムを溶融させているので、カーカス、ベルト及びビートワイヤ等の非ゴム素材とゴムとを効率よくほぼ完全に分離でき、さらに、溶融したゴムを低温液化ガスなどの冷媒によって再凍結し、再凍結したゴム塊を、周壁に多数の一定口径の貫通孔を有する回転円筒体内に投入して同円筒体内に設けた多数の回転刃でなる粉砕手段によって粉砕するとともに、前記円筒体の回転に伴う遠心力により円筒体周壁の一定口径の貫通孔から粉砕されたゴムの粒状体を円筒体外に放出して一定粒径以下のゴム粒状体を収集するので、ゴム以外の素材の混入のない粒径の揃ったゴム粒状体が容易に得られ、再資源したゴムで造られた製品の品質向上に寄与でき、また廃タイヤの野積みや不法投棄による環境汚染の防止にも貢献できる。
また、前記固形塊状物の粒状化装置が、垂設した回転軸に沿って多数の回転刃を上下に固設してなる回転刃体を備え、かつ前記回転刃体が昇降自在に前記有底回転円筒体内に配設されているので、再凍結されたゴム塊を効率よく切断・粉砕できる。
本発明の廃タイヤのゴム再資源化方法は、図1に示すように、使用済みの廃タイヤから金属製のリムを取り外すとともに、タイヤに付着した泥や汚れを洗浄除去する前処理工程S1を行った後、廃タイヤを真空雰囲気中で低温液化ガスなどの冷媒によって瞬間凍結して弾性を失わせる凍結工程S2と、凍結され弾性を失った廃タイヤを破砕する破砕工程S3と、破砕された廃タイヤの破砕片に過熱水蒸気含有燃焼ガス又は過熱水蒸気を吹きつけてゴムを400〜500℃の雰囲気中で溶融させ、前記廃タイヤの破砕片から該タイヤのカーカス、ベルト、ヒートワイヤに使用されたゴム以外の素材とゴムとを分別する溶融・分別工程S4と、溶融したゴムを低温液化ガスなどの冷媒によって再凍結する再凍結工程S5と、再凍結したゴム塊を周壁に多数の一定口径の貫通孔を有する有底回転円筒体内に投入し、同円筒体内に設けた多数の回転刃でなる粉砕手段によって前記ゴム塊を粉砕するとともに、前記円筒体の回転に伴う遠心力により円筒体周壁の一定口径の貫通孔からゴム粉砕粒体を円筒体外に放出して、一定粒径以下のゴム粒状体を収集する粉砕・整粒工程S6を経てゴム以外の素材の混入のない粒径の揃ったゴム粒状体を得ようとするものである。
本発明の廃タイヤのゴム再資源化システムは、図2に示すように、廃タイヤを真空雰囲気中で低温液化ガスなどの冷媒によって瞬間凍結して弾性を失わせる凍結装置11と、凍結され弾性を失って破壊されやすくなった廃タイヤを例えばスイングハンマーなどの打撃や衝撃によって破砕する破砕装置12と、破砕された廃タイヤの破砕片に過熱水蒸気発生炉15で発生させた過熱水蒸気含有燃焼ガス又は過熱水蒸気を吹きつけてゴムを400〜500℃の雰囲気内で溶融させることにより、前記廃タイヤの破砕片を該タイヤのカーカス、ベルト、ヒートワイヤに使用されたゴム以外の素材とゴムとを分別する溶融・分別装置13と、溶融されたゴムを低温液化ガスなどの冷媒によって再凍結してゴム塊とする再凍結装置14と、再凍結したゴム塊を周壁に多数の一定口径の貫通孔2aを有する有底回転円筒体2内に投入し、同円筒体2内に設けた多数の回転刃3aによって前記ゴム塊を切断・粉砕するとともに、前記円筒体2の回転に伴う遠心力により円筒体周壁の一定口径の貫通孔2aから粉砕された一定粒径以下のゴム粒状体を円筒体2外に放出して、非ゴム素材の混じっていない粒径の揃ったゴム粒状体を粒状体収集部に集める固形塊状物の粒状化装置16とで構成され、先に廃タイヤのゴム再資源化方法で説明した図1に示す工程に従って、それぞれの装置を連携稼働させ、ゴム粒状体を製造するものである。
そして溶融・分別装置で溶融された溶融ゴムは、パイプ等の流路を介して再凍結装置に送ることができるので、ベルトコンベアやバケットなどの搬送装置を必要せず、システムのコンパクト化と、作業時間の短縮が図られる。
2a:貫通孔
3:回転刃体
3a:回転刃
4:粒状体収集部
11:凍結装置
12:破砕装置
13:溶融・分別装置
14:再凍結装置
15:過熱水蒸気発生炉
16:固形塊状物の粒状化装置
Claims (5)
- 廃タイヤを真空雰囲気中で低温液化ガスなどの冷媒によって瞬間凍結して弾性を失わせる凍結工程と、凍結され弾性を失った廃タイヤを破砕する破砕工程と、破砕された廃タイヤの破砕片に過熱水蒸気含有燃焼ガス又は過熱水蒸気を吹きつけてゴムを溶融させることにより、前記廃タイヤの破砕片から該タイヤのカーカス、ベルト、ヒートワイヤに使用されたゴム以外の素材とゴムとを分別する溶融・分別工程と、溶融したゴムを低温液化ガスなどの冷媒によって再凍結する再凍結工程と、再凍結したゴム塊を周壁に多数の一定口径の貫通孔を有する有底回転円筒体内に投入し、同円筒体内に設けた多数の回転刃によって前記ゴム塊を切断・粉砕するとともに、前記円筒体の回転に伴う遠心力により円筒体周壁の一定口径の貫通孔からゴム粉砕粒体を円筒体外に放出して、一定粒径以下のゴム粒状体を収集する粉砕・整粒工程とからなることを特徴とする廃タイヤのゴム再資源化方法。
- 破砕された廃タイヤの破砕片に吹き付けてゴムを溶融する過熱水蒸気含有燃焼ガスが、第1バーナーにより燃料を噴霧燃焼させて燃焼室内を700℃以上の高温に加熱するとともに前記高温の燃焼室内に第2バーナーから燃料と水を混合してなるエマルジョンの噴射燃焼によって得られるものであることを特徴とする請求項1に記載の廃タイヤのゴム再資源化方法。
- 破砕された廃タイヤの破砕片に吹き付けてゴムを溶融する過熱水蒸気が、バーナーにより燃料を噴霧燃焼させて燃焼室内を700℃以上の高温に加熱するとともに、前記高温の燃焼室内に配設されたループ状水管の一端から注入された水が前記水管内で加熱されて他端から噴出して得られるものであることを特徴とする請求項1に記載の廃タイヤのゴム再資源化方法。
- 廃タイヤを真空雰囲気中で低温液化ガスなどの冷媒によって瞬間凍結して弾性を失わせる凍結装置と、凍結され弾性を失った廃タイヤを破砕する破砕装置と、破砕された廃タイヤの破砕片に過熱水蒸気含有燃焼ガス又は過熱水蒸気を吹きつけてゴムを溶融させることにより、前記廃タイヤの破砕片から該タイヤのカーカス、ベルト、ヒートワイヤに使用されたゴム以外の素材とゴムとを分別する溶融・分別装置と、溶融したゴムを低温液化ガスなどの冷媒によって再凍結する再凍結装置と、再凍結したゴム塊を周壁に多数の一定口径の貫通孔を有する有底回転円筒体内に投入し、同円筒体内に設けた多数の回転刃によって前記ゴム塊を切断・粉砕するとともに、前記円筒体の回転に伴う遠心力により円筒体周壁の一定口径の貫通孔からゴム粉砕粒体を円筒体外に放出して、一定粒径以下のゴム粒状体を収集する固形塊状物の粒状化装置とから構成されてなることを特徴とする廃タイヤのゴム再資源化システム。
- 前記固形塊状物の粒状化装置が、垂設した回転軸に沿って多数の回転刃を上下に固設してなる回転刃体を備え、かつ前記回転刃体が昇降自在に前記有底回転円筒体内に配設されてなることを特徴とする請求項4に記載の廃タイヤのゴム再資源化システム。
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