JP5580366B2 - チタンインゴットの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子ビーム溶解による金属インゴットの溶製方法であって、特に塊状の組成物原料を用いたチタンインゴットの溶製方法に関する。
従来、金属チタンは航空機に多く用いられてきたが、近年用途開発が進み、自動車や二輪車、建材や道路、あるいはスポーツ用品等の民生用にも広く用いられている。このような金属チタンは、反応容器内で四塩化チタンをマグネシウムによって還元する、所謂クロール法によって工業的に製造されている。
クロール法では、多孔質の金属塊であるスポンジチタンが生成し、製造されたスポンジチタンを破砕整粒後、加圧成形されたブリケットを組み合わせて電極とし、これを真空アーク溶解することによりチタンインゴットを製造している。
しかしながら、最近では原料を電極に加工しなくとも顆粒状あるいは塊状原料がそのまま使用できる電子ビーム溶解炉が脚光を浴びている。電子ビーム溶解炉の中でもハースを用いた電子ビーム溶解炉は、高密度介在物(High Density Inclusion、以下、HDIと略称する場合がある)や低密度介在物(Low Density Inclusion、以下、LDIと略称する場合がある)と呼ばれる介在物の分離性に優れているので、スクラップや戻り材を原料に使用して、グレードの高いチタンインゴットを製造することも可能になっている。
電子ビーム溶解炉では、スポンジチタンのような顆粒状金属、スポンジチタンをプレス成型して固めたブリケットや前記スポンジチタンあるいはブリケットを組み合わせて構成した棒状原料等の塊状金属等、種々の形態の原料を用いてチタンインゴットを製造することができる。
また、溶製されるチタンインゴットの種類によっては、粉状の添加材原料と顆粒状のスポンジチタンの混合原料を電子ビーム溶解炉に供給する場合もある。前記添加材原料が酸素や鉄の場合には、粉状の酸化チタンや酸化鉄が添加材原料として用いられる場合が多く、一般的には、顆粒状のスポンジチタンやスクラップと混合して電子ビーム溶解炉に供給される。
しかしながら、顆粒状金属に配合した粉状の添加材原料の一部が原料供給装置内に残留してハース内への供給が滞ることが多々あり、溶製されたチタンインゴットの組成が目標値から外れる場合があった。
また、粉状の添加材原料をハースに保持された溶融チタンプールに投入する際に、前記粉状の添加材原料の一部が溶解雰囲気中に飛散して、予定した量の粉状の添加材原料を溶融チタンプールに供給することができない場合があった。
このような問題点に対して、ソーダガラス中に懸濁させた粉状の添加材原料を表面に塗布した顆粒状のスポンジチタン原料を溶解炉に供給することで、目標の組成から外れることなく歩留まり良く電子ビーム溶解炉に溶解原料を供給する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、有機溶媒に懸濁させた粉状の添加材原料と顆粒状のスポンジチタンを混練してコンパクトに成型することで、歩留まり良く電子ビーム溶解炉に供給することができる技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、これらの技術では、ソーダガラスや有機溶媒等、原料以外の第三成分を添加することになるので、純度の高いチタンインゴットを製造するには必ずしも有効な方法ではないと思われる。
一方、表面に酸化チタン粉を塗した顆粒状のスポンジチタンを真空中で高温に加熱して、表面の酸化チタンをスポンジチタンに焼結させることにより、粉状の合金成分をスポンジチタンに効率よく配合するという技術も知られている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、この方法は設備と時間の点で自由度に制約があるために必ずしも効率的ではなく改善が望まれている。
また、スポンジチタンのような顆粒状金属と合金粉を混合して構成したブリケットを電子ビーム溶解炉あるいはVAR溶解炉に供給する技術も知られている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、前記したスポンジチタンのような顆粒状金属と酸化チタンあるいは酸化鉄のような粉状の酸化物を混合して構成したブリケットは、成型性や強度の点で改善の余地が残されていた。
更には、酸化チタンをペレットの形に焼成し、これをチタン原料と共にハースに供給する方法も知られている(例えば、特許文献5参照)。当該方法によれば、前記酸化チタンペレットをハースに供給する際に、崩壊または飛散により歩留まりが低下するようなことは解消されている。しかしながら、ハース内の溶湯に前記酸化チタンペレットを投入後、前記酸化チタンペレットが完全に溶融することなく、一部が未溶融のまま鋳型に投入される場合があり、改善が求められている。
このように、酸化チタンや酸化鉄のような粉状の酸化物と、スポンジチタンのような顆粒状金属を均一に混合させつつ、しかも歩留まり良く、また、両者の成分比を一定に保ちつつ、溶解炉に供給することができる技術が望まれている。
特開平01−156434号公報 特開平01−156436号公報 特開2001−279345号公報 特開2005−298855号公報 WO2008−078402号公報
本発明は、ハースを有する溶解炉によるチタンインゴットの製造方法において、添加材原料とチタン材との混合原料を歩留まり良く、また均一に溶解炉に供給する技術の提供を目的とするものである。
かかる実情に鑑み前記課題の解決手段について鋭意検討を重ねてきたところ、ハースを有する溶解炉によりチタン材および添加材原料である組成物を溶解してチタンインゴットを製造する際に、内部に貫通孔を有する前記組成物を、溶融チタン中に添加することにより、効率よく前記組成物を溶解消滅させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明に係るチタンインゴットの製造方法は、ハースを有する溶解炉によりチタン材および組成物を溶解してチタンインゴットを製造する方法であって、ハース内に保持された溶融チタン中に、組成物を添加する工程を有し、当該組成物は、その内部に少なくとも1個以上の貫通孔を有することを特徴とするものである。
本発明においては、貫通孔の容積が、組成物の容積に対して5%〜40%の範囲にあることを好ましい態様とするものである。
本発明においては、前記組成物の見かけ密度が、ハース内の溶融チタンの密度よりも小さいことを好ましい態様とするものである。
本発明においては、組成物を添加する工程において、顆粒状チタン材も同時に添加することを好ましい態様とするものである。
本発明においては、顆粒状チタン材が、スポンジチタンまたはリサイクルチタンであることを好ましい態様とするものである。
本発明においては、用いる溶解炉が、電子ビーム溶解炉またはプラズマアーク溶解炉であることを好ましい態様とするものである。
本発明によれば、内部に貫通孔を有する組成物とチタン材との混合物を溶解炉内に配置したハース内の溶融チタン中に供給した結果、前記組成物がハース内に保持された溶融チタン中をバイパスして未溶解のまま鋳型に流出することなく、ハース内にて完全溶解して鋳型に排出させることができるという効果を奏するものである。
また、ハース内の保持された溶融チタンに比べて前記組成物の嵩密度が小さくなるように構成されているため、ハース内に保持された溶融チタン中に供給した組成物がスプラッシュ等によりハース外に飛散することなく、ハース内の溶湯中に供給した組成物を全量溶解することができるという効果を奏するものである。
本発明の電子ビーム溶解炉の模式図である。 図1の電子ビーム溶解炉のハースに設けるガードゾーンの模式図である。 本発明の貫通孔を有する組成物の形状の一例を示す図である。
本発明の最良の実施形態について以下に詳細に説明する。
本実施態様においては溶解炉が電子ビーム溶解炉である場合を例により詳述するが、溶解炉がプラズマアーク炉の場合であっても本発明を好適に適用することができる。
本発明に用いる溶解原料は組成物であって、その内部に少なくとも1個以上の貫通孔を有していることを特徴とするものである。
本発明でいうところの組成物とは、たとえば酸化チタンや酸化鉄、あるいは、酸化チタンに酸化鉄を配合したもの、あるいは酸化チタンに窒化チタンあるいは窒化鉄を配合した窒化物等の化合物を含んでいる組成物を意味している。また、本発明でいうところのチタンインゴットとは、純チタンのみならずチタン合金インゴットも含むものとする。
本発明でいうところの組成物は、顆粒状、板状、ペレット状等の種々の形態をとることができる。本発明においては、前記形態の中でも、特に、板状あるいはペレット状の形態を好ましい態様とし、各形態において、それぞれの粒(顆粒、板、ペレット)に貫通孔を有するものである。ここでいうところの貫通孔とは、上記組成物の内部を文言どおり貫通する空洞部を有することを意味する。
本発明においては、前記貫通孔は、それぞれの組成物の粒に少なくとも1個以上形成されていることが好ましく、5個以上形成されていることが特に好ましい。
貫通孔の数は、組成物の大きさに依存するが、本発明においては、前記組成物の任意の断面における1cm当たりの貫通孔の数を意味する。
但し、組成物の単位断面積当たりの貫通孔の数が多くなりすぎると、組成物の強度が低下し、ハースに供給されるに先立って、自己崩壊する場合がある。よって、本発明においては、前記組成物の単位断面積(1cm)当たりの貫通孔の数は、25個以下とすることが好ましい。
本発明に係る組成物の内部に形成された貫通孔の容積は、組成物の容積に対して、5〜40%の範囲に構成しておくことが好ましい。
前記した範囲の容積を有する貫通孔を形成させておくことにより、前記貫通孔に溶融チタンが侵入することができ、その結果、短時間で溶解消滅させることできるという効果を奏するものである。
本発明に係る組成物内の貫通孔の容積が、5%未満である場合には、ハース内の溶湯が組成物の内部に侵入しづらく、その結果、組成物の完全溶解に要する時間を遅延させ、その結果、未溶解の組成物がハースで生成した溶湯を冷却固化させる鋳型内に逸流し、溶製されるインゴットの品質に悪影響を及ぼす場合がある。
一方、貫通孔の容積が40%を超えた場合には、組成物の強度が低下し、ハースに至るまでの原料搬送系において自己崩壊して、チタン材中の組成物が偏析を起こしてその結果、ハースに供給される原料組成が設定値から外れる場合がある。
よって、本発明に用いる組成物内の貫通孔の容積は、組成物の容積に対して、5〜40%の範囲とすることが好ましい。
本発明に係る組成物の見かけ比重は、ハース内で溶融保持している溶融チタンに比べて小さくなるよう構成することが好ましい。前記したような組成物の比重を構成することにより、ハースに投入された組成物は、ハースに保持された溶湯内を沈降することなく溶湯表面を浮遊しながらハース下流に向かって移動するので、電子ビームが照射されやすく、ハースの終端部に至るまでに溶融チタン中に完全溶解させることができるという効果を奏する。
ハース内の溶湯表面は、電子ビームが直接照射されており、よって、ハース内のチタン溶湯に比べて高温に保持されており、酸化チタンのような融点の高い組成物を確実に溶解させることができるという効果を奏するものである。
本発明に係る少なくとも1個以上の貫通孔を有する組成物とは、例えば、図3に示すように内部に複数の貫通孔を有する直方体形状を有する組成物30であって、その内部に壁31で区画された貫通孔32を有するような形状(すなわち、互いに通じていない複数の貫通孔32)を有していることが好ましい。
このように、内部に空洞を有する組成物30が、ハース内に保持された溶融チタン中に投下された場合に、溶融チタンが組成物の内部に形成された空洞部に侵入し、その結果、当該組成物が迅速に溶解し、未溶融の組成物がハース下流に配置した鋳型内に逸流するという現象も効果的に回避することができるという効果を奏する。
例えば、本発明に用いる組成物として酸化チタンや酸化鉄を用いた場合、ハース内に保持されている溶融チタン中の酸素や鉄成分を精度よく制御することができるという効果を奏するものである。
前記組成物の純度は、溶製するチタンインゴットの純度に応じて適宜選択すればよいが、本発明においては純度が99%以上の粉状酸化物を原料として用いることが好ましい。前記のような粉状酸化物を原料として用いることにより純度の高い組成物を形成でき、その結果、組成の安定したチタンインゴットを溶製することができる。
前記した粉状酸化物は、事前に所定の大きさの焼結体に形成しておくことが好ましい。前記内部に貫通孔を有する焼結体は、粉状酸化物にPVA(ポリビニルアルコール)のようなバインダーを適宜配合してペーストとした後、内部に中子を配置した型に充填後、乾燥する方法や、内部に壁を有するコンテナからの押出により内部に貫通孔を有する形状に成形することができる。
前記粉状酸化物を成形した後の形態は、直方体や立方体が好ましく、前記直方体や立方体を内部に形成された貫通孔に対して直交するように切断して板状や顆粒状やペレット状の組成物にすることが好ましい。
前記した組成物を成型するための粉状酸化物の粒度は0.1〜1.0μmの範囲となるように構成することが好ましい。前記した粒度範囲に粉状酸化物を構成することにより、組成物製造の圧縮成型のための型に前記粉状酸化物を効率よく充填することができるという効果を奏するものである。
また、前記粉状酸化物の純度がそれほど厳しく要求されない場合には、粉状酸化物の製造工程で発生する純度の低い塊状付着物を粉砕・整粒して用いることもできる。このような原料を用いることにより安価でしかもスプレー乾燥工程も不要となる。
本発明に用いる金属酸化物を含む組成物の形状は、球状、板状あるいは 直方体状等の任意の形状のものを使用することができるが、本願発明においては、特に板状あるいは直方体状の形状に成形しておくことが好ましい。
前記組成物が板状の場合に、前記板状組成物の相当直径に対する厚みの比は、0.2〜0.5の範囲となるように構成しておくことが好ましい。
前記板状組成物の相当直径に対する厚みの比が、0.5よりも大きくなると、溶湯面に達した時点で自己崩壊して空間部に飛散するという現象が予備試験により観察されている。また、ハース内に供給してから溶湯流に溶解消滅するまでに鋳型に排出されるという現象も観察されている。
一方、板状組成物である溶解原料の厚みが薄くなり、上記比が0.2未満になると、ハースに原料を供給するアルキメデス缶内において破損して、顆粒状金属との混合比が低下し均一な組成を有する原料をハースに供給することが困難となる。よって、本発明においては、板状ペレットの相当直径に対する厚みの比は0.2以上に設定しておくことが好ましい。
また、前記組成物が直方体状に成形する場合には、断面の形状が正方形状に形成させておくことが好ましい。但し、前記組成物の厚みは、断面の一辺の長さよりも短い方が好ましい。即ち、図3に示すように、平板上の組成物に対して、前記平板に対して、直交する方向に貫通孔を形成させておくことが好ましい。
前記した組成物を板状に成形(以降、「板状ペレット」と呼ぶ場合がある。)しておくことにより、電子ビーム溶解炉のハースに保持した溶湯面に達した後、短時間のうちに高温に昇温されて、ハース溶湯内に円滑に溶解させることができるという効果を奏するものである。
前記板状ペレットの製造に際しては、前記のプレス成形に代えて粉状酸化物を打錠器のような自動成型器に供給することにより、効率よく成形することができる。
前記した板状ペレットの焼結雰囲気は、不活性ガス雰囲気が好ましく、アルゴンガス雰囲気で焼結することがより好ましいとされる。このような高温でしかも不活性ガス中で焼結することにより緻密な板状ペレットを製造することができる。
前記板状ペレットの大きさは、5〜50mmの範囲から選択することが好ましい。前記した範囲の大きさに制御しておくことにより、溶融チタン表面に投下された場合に、効率よく溶融チタン中に溶解せしめることができるという効果を奏する。
また前記板状ペレットの比重は、溶融チタンに対して小さくなるように構成することが好ましい。前記したような構成とすることにより、溶融チタン表面に板状ペレットが投下された場合、電子ビームの照射により加熱されたプール表面を浮遊した状態で下流に向かって移動することができ、その結果、前記板状ペレットを効率よく溶解することができるという効果を奏するものである。
このような大きさに構成しておくことにより前記組成物とチタン材から構成された溶解原料の均一性を向上させることができ、その結果、溶製されるインゴットの合金組成の変動も最小限に抑制することができるという効果を奏するものである。
板状ペレットを酸化鉄で構成する場合には、周知のように鉄酸化物としてはFe、Fe、あるいはFeOのような複数の酸化物形態が存在するので、溶解原料に用いる前に、予め酸化鉄中の化合物成分を分析し、Fe以外の酸化鉄が含まれている場合には、大気中あるいは酸化性雰囲気中にて、高温処理しておくことが好ましい。その結果、溶製される合金中の酸素および鉄の組成を精度良く制御することができるという効果を奏する。
前記した方法により製造された前記板状ペレットは、チタン材と均一に混合した後、電子ビーム溶解炉内に溶解ハースに供給することにより均一な組成のチタンインゴットを溶製することができる。
また、本発明に用いるチタン材は、スポンジチタンのみならず、切粉や鍛造片等のリサイクルチタンを用いることもできる。本発明にいては、前記チタン材がスポンジチタンのような顆粒状チタン材の場合には、前記顆粒状チタン材の粒度は、1〜25.4mmの範囲に整粒しておくことが好ましい。前記した粒度範囲に整粒しておくことにより、前記組成物との混合均一性を高めることができるという効果を奏する。
次いで、前記した溶解原料を用いてチタンインゴットを溶製する好ましい方法について、図1を用いて詳細に説明する。図1は、本発明に用いる電子ビーム溶解炉Mの構成例を表している。本実施態様においては、顆粒状チタン材がスポンジチタンで、組成物である板状ペレットが酸化チタンで構成されている場合を念頭において以下に説明する。
符号1は、アルキメデス缶と呼ばれる円筒状回転式の原料排出装置であり、アルキメデス缶1の内部には螺旋状に仕切りが設けられており、缶内に充填された物体は、アルキメデス缶1の回転によって螺旋状の仕切り内を供給口から排出口へ順次移送される仕組みとなっている。
アルキメデス缶1の内部には、溶解原料3(顆粒状チタン材と板状ペレットから構成された顆粒状混合物)が充填されており、アルキメデス缶1の回転に伴い連続的に原料フィーダ2に排出される。なお、溶解原料3を構成するスポンジチタンと板状酸化チタンペレットは、アルキメデス缶1に供給される前に予め混合器を用いて充分に混合しておくことが好ましい。
本実施形態におけるアルキメデス缶1は、水平回転式の原料切り出し装置であって、前記アルキメデス缶1の内面には、らせん状のリブが配設されており前記リブにより、アルキメデス缶内に充填された原料が逆混合することなく、押し出し流れに近い状態で原料を電子ビーム溶解炉に供給することができる。その結果、原料組成の均一なインゴットを溶製できるという効果を奏するものである。
原料フィーダ2に排出された溶解原料3は、前記原料フィーダ2の下流に配置したハース4に供給される。前記ハース4に供給された溶解原料3は、電子ビーム照射手段10から溶湯5の表面に照射される電子ビームおよび溶湯5からの熱供給を受けて、前記ハース4内に保持された溶湯5中を滞留している間に完全に溶解して、溶湯5と一体化する。
この際、前記したハース4に保持した溶湯5の下流側には、図2に示すように他のハース領域に比べて電子ビームの照射密度を高めたガードゾーン55を設けるように操業することが好ましい。図2において、ハース4内の縦線の描画密度が、電子ビームの照射密度を模式的に表現している。
前記ガードゾーン55に照射する電子ビームの照射密度は、その他の領域にあるハース内の溶湯5に照射される電子ビームの密度に比べて、3〜15倍だけ大きく照射することが好ましく、4〜8倍大きく照射することがさらに好ましい。その結果、前記ガードゾーン55の温度を、その他のハース内の溶湯5に比べて高温に保持することができ、溶解原料がハースに滞留している間に確実に溶解させることができるという効果を奏する。
前記のガードゾーン55を設けることにより、ハース4内に溶湯5に供給された溶解原料3の一部が未溶解のままバイパスして下流側に流出しようとした場合においても、前記ガードゾーンに入ると、そこでバイパスしようとした溶解原料3がトラップされて完全に溶解されて溶湯5と一体化されるという効果を奏するものである。なお、前記ガードゾーン55では、ハース4内の溶湯5の流れと逆行するように溶湯流れの下流側から上流側に向かって、電子ビームを走査させつつ照射することが好ましい。
前記したような電子ビームの走査方式を採用することで、溶湯表面を未溶解物がバイパスして鋳型へ流入する現象を抑制できるのみならず、比重の小さいLDIの流出も効果的に抑制することができるという効果を奏するものである。
本発明においては、電子ビーム溶解炉を構成するハースに供給された板状の溶解原料を浮遊させつつ溶湯流に載置させて下流側に移動させ下流側に形成したガードゾーン内にて減速させた後、前記酸化物ペレットを溶解消滅させることが好ましい。
これは、ガードゾーンに照射する電子ビームの走査間隔や照射密度あるいはハースの下流側から上流側方向の照射速度を調節することで達成することができる。
ハースから鋳型プール6に排出された溶湯は、水冷鋳型7からの冷却を受けてインゴット8が形成する。前記水冷鋳型7により形成されたインゴット8は、前記インゴット8の下端部に係合された引き抜き装置9により下方に連続的に引き抜かれる。
以上述べたように本発明によれば、内部に貫通孔を有する組成物と前記顆粒状チタン材との混合物を溶解原料とすることにより、原料供給装置内への溶解原料の残留を極力回避することができるのみならず、前記原料供給装置からハース内の溶湯に供給された原料の自己崩壊による飛散を効果的に抑制できるという効果を奏するものである。
その結果、ハース内の溶湯に対する溶解原料の歩留まり低下を抑制することができるのみならず、溶製されるチタンインゴット中の成分変動も効果的に抑制できるという効果を奏するものである。
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例および比較例における各サンプルの製造条件は、以下に整理した通りである。
1.溶解原料
1)組成物
酸化チタン粉にPVA(ポリビニルアルコール)バインダーを適宜配合してペーストにした後、内部に壁面で区画された空間部を有するラムに充填した後、押出により、内部に貫通孔を有する成形体を得た。
次いで、前記成形体を高温にて焼結させた後、酸化チタンで構成された組成物としての板状ペレットを製造し、溶融チタン中への溶解試験を行なった。
・厚み:5mm
・直径:15mm
・内部空洞数:10
2)顆粒状チタン材
・スポンジチタン:5mm〜30mm
3)顆粒状チタン材に対する組成物の比:0.1%
2.溶解装置
以下の仕様の電子ビーム溶解炉を試験に供した。
1)出力:250KW
2)構造:ハース付き電子微ビーム溶解炉
3.溶解条件
1)減圧度:1×10−3Torr〜1×10−5Torr
2)溶解温度:チタンの融点+100〜200℃に過熱
[実施例1・比較例1]
上記条件で製造された溶解原料100g(実施例1)を電子ビーム溶解炉ハースにバッチ投入して、前記板状ペレットの完全溶解に要する時間を測定し、その結果を表1に示した。貫通孔のない板状ペレット(比較例1)の溶解時間を100とした場合の完全溶解時間を表1に整理した。
その結果、板状ペレットの内部に貫通孔を有する場合には、前記板状ペレットの溶解時間は、内部に貫通孔を有しないものに比べて35〜85%の短い時間で溶解消滅することが確認された。
Figure 0005580366
[実施例2・比較例2]
板状ペレット全容積に対する内貫通孔の全容積の比率を種々変更して、溶融チタンに対する溶解期間を測定して、表2にその結果を整理した。
その結果、板状ペレット1個当たりの全容積に対する内部貫通孔の全容積の比率が、5%〜40%の範囲(実施例2)においては、溶融チタンに対して円滑に溶解させることができた。
しかしながら、比較例2で、板状ペレット1個当たりの全容積に対する内貫通孔の全容積の比率が5%未満の場合には、板状ペレットの溶解時間が大幅に低下した。また、板状ペレット全容積に対する内貫通孔の全容積の比率が40%を超える板状ペレットを製造する途中で崩壊して、目的の形状の板状ペレットを製造することができなかった。
このように、板状ペレット全容積に対する貫通孔の全容積の比率が、5%〜40%の範囲においては、本発明に係る板状ペレットは、溶融チタン中で円滑に溶解させることが確認された。なお、表2の溶解時間は、貫通孔の占有比率が20%のときを100とした場合の相対値を表している。
Figure 0005580366
[実施例3・比較例3]
実施例1・比較例1において、板状ペレットを構成する酸化チタンに代えて、酸化鉄を用いた以外は、同じ条件でハースに保持された溶融チタンに対する溶解時間を測定した。その結果を表3に示した。
その結果、板状ペレット内部に貫通孔が形成されていない場合(比較例3)に比べて、1個以上の貫通孔が存在する場合(実施例3)には、ハースに保持された溶湯への溶解時間を効果的に短縮できることが確認された。
Figure 0005580366
本発明は、合金組成が均一でしかも歩留まりの優れたチタンインゴットを溶製する技術に好適であり、特に、電子ビーム溶解炉を用いた合金の溶製に好適である。
M 電子ビーム溶解炉
1 アルキメデス缶
2 原料フィーダ
3 溶解原料
30 貫通孔を有する組成物
31 壁
32 貫通孔
4 ハース
5 溶湯
55 ガードゾーン
6 鋳型プール
7 水冷鋳型
8 インゴット
9 引き抜き装置
10 電子ビーム照射手段

Claims (7)

  1. ハースを有する溶解炉によりチタン材および組成物を溶解してチタンインゴットを製造する方法であって、
    前記ハース内に保持された溶融チタン中に、前記組成物を添加する工程を有し、
    前記組成物は、その内部に少なくとも1個以上の貫通孔を有することを特徴とするチタンインゴットの製造方法。
  2. 前記貫通孔の容積が、組成物の容積に対して5%〜40%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のチタンインゴットの製造方法。
  3. 前記組成物の見かけ密度が、前記ハース内で溶解しているチタンの密度よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のチタンインゴットの製造方法。
  4. 前記組成物を添加する工程において、顆粒状チタン材も添加することを特徴とする請求項1に記載のチタンインゴットの製造方法。
  5. 前記組成物が、酸化チタンまたは酸化鉄から構成されていることを特徴とする請求項1に記載のチタンインゴットの製造方法。
  6. 前記顆粒状チタンが、スポンジチタンまたはリサイクルチタンであることを特徴とする請求項4に記載のチタンインゴットの製造方法。
  7. 前記溶解炉が、電子ビーム溶解炉またはプラズマアーク溶解炉であることを特徴とする請求項1に記載のチタンインゴットの製造方法。
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