JP5579483B2 - 分岐脂肪族アルデヒドの製造方法 - Google Patents
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また、分岐脂肪族アルデヒドである2,4−ジメチルペンタナールが高収率で得られたことが開示されている(例えば、非特許文献2参照)。
以上のようなことから、分岐脂肪族グリシジル酸より分岐脂肪族アルデヒド類を高い収率で得る方法は、事実上知られていないに等しく、改善の余地がある。また公知の製造方法はいずれも150℃以上の高温を必要とするため、操作性の観点から改善の余地がある。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、分岐脂肪族アルデヒド類を効率よく得ることができる製造方法を提供することを課題とする。
<1> 水および水と混和しない有機溶剤を含み、水相におけるpHが2から7の範囲である混合溶媒中で、下記一般式(1)
<2> 前記一般式(1)および一般式(2)において、R1がメチル基であって、R2がイソブチル基である前記<1>に記載の分岐脂肪族アルデヒド類の製造方法。
<3> 前記一般式(1)で表されるグリシジル酸類またはその塩が、下記一般式(3)
<4> pHが2から7の範囲である水溶媒中で、下記一般式(1)
<5> 前記一般式(1)および一般式(2)において、R1がメチル基であって、R2がイソブチル基である前記<4>に記載の分岐脂肪族アルデヒド類の製造方法。
<6> 前記一般式(1)で表されるグリシジル酸類またはその塩が、下記一般式(3)
これにより、温和な条件で、かつ安定的に、分岐脂肪族グリシジル酸から分岐脂肪族アルデヒド類を、従来知られている方法を大きく上回る収率で製造することが可能になる。
アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどを挙げることができる。またアルカリ土類金属としてはベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどを挙げることができる。
水と混和しない有機溶剤の使用量は、用いる水に対して0.5倍重量以上であることが好ましい。また上限は特に設けないが、経済的観点から15倍重量以下とするのが好ましい。
水相のpHは、有機酸または無機酸を水相に加えることで調整できる。有機酸としては例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トシル酸、トリフルオロメタンスルホン酸等や、それらの塩類を挙げることができる。また無機酸としては例えば、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸、臭化水素酸等や、それらの塩類などを挙げることができる。
特に好ましい酸としては、リン酸である。これらの酸はそれぞれ単独で用いてもよいが、2種類以上を任意の割合で組み合わせて使用することもできる。
一般式(1)で表される分岐脂肪族グリシジル酸類及びその塩の初期水中濃度には特に制限はないが、反応収率の観点から、分岐脂肪族グリシジル酸またはその塩の、水に対する重量比率(分岐脂肪族グリシジル酸またはその塩/水)が50重量%以下となる濃度であることが好ましく、さらに経済的観点から10重量%以上30重量%以下となるようにするのがより好ましい。
水を単溶媒として用いた場合に、水溶媒のpHを2から7付近に調整することにより反応収率の向上が見られ、さらに水溶媒はpH3から5に調整するのが好ましい。
一般式(1)で表される分岐脂肪族グリシジル酸類及びその塩の初期水中濃度には特に制限はないが、反応収率の観点から、分岐脂肪族グリシジル酸またはその塩の、水に対する重量比率(分岐脂肪族グリシジル酸またはその塩/水)が50重量%以下となる濃度であることが好ましく、さらに経済的観点から10重量%以上30重量%以下となるようにするのがより好ましい。
一般式(3)におけるR1およびR2で表わされる炭素数1から6の直鎖又は分岐のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基であり、好ましくはメチル基及びイソブチル基であり、より好ましくは一方がメチル基であって他方がイソブチル基である。
また加水分解における反応温度としては特に制限はないが、水の凝固点以上沸点以下であればよく、反応速度および経済性の観点から0℃から室温が好ましい。
メタノール200g中に氷浴下、ナトリウムメトキシト゛55.0gを溶解させたのち、3−イソブチル−3−メチルオキシラン−2−カルボン酸メチル189g、水25.0gを加え、室温に戻した後8時間攪拌した。メタノールを減圧下濃縮後、水550gを加え酢酸エチル100gで2回洗浄した。水層に濃塩酸114gを加え160℃に加熱し、留出成分として、2,4−ジメチルペンタナール15.4g(収率:14.6%)を得た。
1H−NMR(CDCl3):δ0.88−1.09 (6H,m),1.16−1.20 (3H,m),1.21−1.25(1H,m),1.56−1.69(2H,m),2.39−2.45(1H,m),9.60(1H,s).
3−イソブチル−3−メチルオキシラン−2−カルボン酸20.0gに銅粉0.50gを加え、150℃まで加熱し、留出成分として、2,4−ジメチルペンタナール5.30g(収率:36.9%)を得た。
水44.0gに3−イソブチル−3−メチルオキシラン−2−カルボン酸ナトリウム19.0gを溶解させ、濃塩酸4.03gを滴下してpH=4に調整後、60℃に加熱して5時間攪拌した。反応終了時のpHは6.32であった。反応液をガスクロマトグラフィーで分析することにより、2,4−ジメチルペンタナール3.67g、(収率30.6%)が生成していることを確認した。
水44.0gに3−イソブチル−3−メチルオキシラン−2−カルボン酸ナトリウム19.0gを溶解させ、60℃に加熱し、pH=4を保持するよう濃塩酸9.72gを滴下しながら5時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析することにより、2,4−ジメチルペンタナール5.49g(収率:45.8%)が生成していることを確認した。
水44.0gに3−イソブチル−3−メチルオキシラン−2−カルボン酸ナトリウム19.0gを溶解させ、60℃に加熱し、pH=5を保持するよう濃塩酸8.17gを滴下しながら5時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析することにより、2,4−ジメチルペンタナール5.41g(収率:45.4%)が生成していることを確認した。
水26.0gに3−イソブチル−3−メチルオキシラン−2−カルボン酸ナトリウム10.8gを溶解させ、60℃に加熱し、pH=4を保持するようリン酸6.24gを滴下しながら5時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析することにより、2,4−ジメチルペンタナール3.65g(収率:53.2%)が生成していることを確認した。
水36.0g、キシレン18.0gに3−イソブチル−3−メチルオキシラン−2−カルボン酸ナトリウム3.71gを溶解させ、リン酸2.77gを滴下した後に加熱還流させ5時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析することにより、2,4−ジメチルペンタナール1.49g(収率:65.4%)が生成していることを確認した。
水36.0g、酢酸エチル18.0gに3−イソブチル−3−メチルオキシラン−2−カルボン酸ナトリウム3.71gを溶解させ、リン酸2.77gを滴下した後に加熱還流させ5時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析することにより、2,4−ジメチルペンタナール1.53g(収率:67.2%)が生成していることを確認した。
水36.0g、トルエン18.0gに3−イソブチル−3−メチルオキシラン−2−カルボン酸ナトリウム3.71gを溶解させ、リン酸2.77gを滴下した後に加熱還流させ5時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析することにより、2,4−ジメチルペンタナール1.53g(収率:65.9%)が生成していることを確認した。
水36.0g、トルエン18.0gに3−イソブチル−3−メチルオキシラン−2−カルボン酸ナトリウム3.71gを溶解させ、硫酸水素カリウム3.27gを加えた後に加熱還流させ5時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析することにより、2,4−ジメチルペンタナール1.48g(収率:65.0%)が生成していることを確認した。
水36.0g、トルエン18.0gに3−イソブチル−3−メチルオキシラン−2−カルボン酸ナトリウム3.71gを溶解させ、60℃に加熱し、pH=4を保持するようリン酸2.77gを徐々に加えて5時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析することにより、2,4−ジメチルペンタナール1.61g(収率:70.6%)が生成していることを確認した。
水36.0g、トルエン18.0gに3−イソブチル−3−メチルオキシラン−2−カルボン酸ナトリウム3.71gを溶解させ、60℃に加熱し、pH=4を保持するようリン酸5.76gを徐々に加えて5時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析することにより、2,4−ジメチルペンタナール1.48g(収率:64.9%)が生成していることを確認した。
水14.0g、トルエン7.00gに3−イソブチル−3−メチルオキシラン−2−カルボン酸ナトリウム2.30gを溶解させ、60℃に加熱して反応液がpH=4になるようリン酸1.77gを徐々に加えて5時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析することにより、2,4−ジメチルペンタナール1.16g(収率:79.7%)が生成していることを確認した。
Claims (6)
- 水および水と混和しない有機溶剤を含み、水相におけるpHが2から7の範囲である混合溶媒中で、下記一般式(1)
[一般式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、炭素数1から6の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。]で表されるグルシジル酸類またはその塩を脱炭酸することを含む下記一般式(2)
[一般式(2)中、R1及びR2は、一般式(1)におけるR1およびR2と同一である。]で表される分岐脂肪族アルデヒド類の製造方法。 - 前記一般式(1)および一般式(2)において、R1がメチル基であって、R2がイソブチル基である請求項1記載の分岐脂肪族アルデヒド類の製造方法。
- 前記一般式(1)で表されるグリシジル酸類またはその塩が、下記一般式(3)
[一般式(3)中、R1およびR2は、前記一般式(1)におけるR1およびR2と同一であり、R3は炭素数1から6の直鎖または分岐アルキル基を表す。]で表されるエステル類を、酸または塩基の存在下で加水分解して得られたものである請求項1又は請求項2記載の分岐脂肪族アルデヒド類の製造方法。 - pHが2から7の範囲である水溶媒中で、下記一般式(1)
[一般式(1)中、R1およびR2はそれぞれ独立に、炭素数1から6の直鎖または分岐のアルキル基を表す。]で表されるグルシジル酸類又はその塩を脱炭酸することを含む下記一般式(2)
[一般式(2)中、R1及びR2は、前記一般式(1)におけるR1およびR2と同一である。]で表される分岐脂肪族アルデヒド類の製造方法。 - 前記一般式(1)および一般式(2)において、R1がメチル基であって、R2がイソブチル基である請求項4記載の分岐脂肪族アルデヒド類の製造方法。
- 前記一般式(1)で表されるグリシジル酸類またはその塩が、下記一般式(3)
[一般式(3)中、R1およびR2は、前記一般式(1)におけるR1およびR2と同一であり、R3は炭素数1から6の直鎖または分岐アルキル基を表す。]で表されるエステル類を、酸又は塩基の存在下で加水分解して得られたものである請求項4または請求項5記載の分岐脂肪族アルデヒド類の製造方法。
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