JP2002371027A - 3−アシル−2−ブタノンの製造方法 - Google Patents
3−アシル−2−ブタノンの製造方法Info
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Abstract
下に、簡便に、経済的に、高い選択率で収率よく、高い
純度で製造できる方法の提供。 【解決手段】 下記一般式(I)で表されるアシルクロリ
ドと、下記化学式(II)で表される2−メチル−アセト酢
酸t−ブチルエステルを、ピリジン系化合物およびマグ
ネシウム化合物の存在下に反応させて下記一般式(III)
で表される2−メチル−2−アシルアセト酢酸t−ブチ
ルエステルを製造し、それを酸の存在下に脱炭酸して下
記一般式(IV)で表される3−アシル−2−ブタノンを
製造する方法。 【化22】 (式中、Rは炭素数2〜8の直鎖状又は分岐鎖状の飽和
又は不飽和のアルキル基またはアルケニル基を示す。)
Description
3−メチル−2,4−ノナジオンに代表される3−アシ
ル−2−ブタノン類、およびその合成中間体である2−
メチル−2−アシルアセト酢酸t−ブチルエステルの製
造方法に関する。
される3−アシル−2−ブタノン類は、マリン様、グリ
ーン様の香気を有することから、香料などとして有用で
ある。従来、3−メチル−2,4−ノナジオンの製造方
法としては、例えば、(i)カプロン酸無水物とメチル
エチルケトンを三フッ化ホウ素ガスの存在下に反応させ
て合成する方法[J.Am.Chem.Soc.vo
l.67,284(1945)]、(ii)ヘキサン酸エ
チルとアセトンを水素化ナトリウムの存在下に反応させ
て得られる2,4−ノナジオンを、ナトリウムエノラー
トの存在下にヨウ化メチルでメチル化する方法[Fet
t.Wiss.Techol.vol.91,225
(1989)]が知られている。
フッ化ホウ素ガスを使用するため、腐食性、爆発性およ
び毒性などの問題がある。また、上記(ii)の従来法
は、2,4−ノナジオンの合成に当たって反応溶媒とし
てジエチルエーテルを用い、2,4−ノンジオンのメチ
ル化をヨウ化メチルを用いて行っていることから、経済
性および毒性の点から工業的に有利な方法であるとは言
い難い。しかも、上記(ii)の従来法による場合は、目
的物である3−メチル−2,4−ノナジオンの純度が4
0%と低く、精製もガスクロマトグラフィーにより行っ
ていることから目的物を大量に得ることが困難であるこ
とが報告されている]J.Am.Oil.Chem.S
oc.,vol.75,831(1998)]。
Chem.1985,50,2622−2624に、ア
シルクロリドおよびアセト酢酸エチルを、アシルクロリ
ドと等モル量の無水塩化マグネシウムおよび2倍モル量
のピリジンの存在下で反応させて、アシルアセト酢酸エ
チルエステルを合成する方法を報告している。しかしな
がら、このRathkeらの方法では、高価な無水塩化
マグネシウムをアシルクロリドと等モル量で使用しなけ
ればならないため経済的に有利な方法であるとは言い難
い。また、この方法では多量の塩化マグネシウムを用い
るため、塩化マグネシウムが溶媒に溶解せず、撹拌が困
難になり、操作性が悪く、さらに反応終了後に多量の塩
化マグネシウムが廃棄物として排出されるため、環境汚
染の点から問題があり、該廃棄物の処理に手間を要する
などの問題がある。また、このRathkeらの方法で
用いられるアセト酢酸エチルは、2位が無置換の化合物
であり、このRathkeらの方法は、2位が置換され
ていて立体障害などによって反応性が劣ることが予想さ
れる2−位が置換されたアセト酢酸エチルへの適用可能
性を何ら示唆していない。また、2−アシル−β−ケト
酸のt−ブチルエステルを酸性条件下で脱炭酸してβ−
ジケトン類を合成する方法が報告されている[J.Ch
em.Res.,Synop.,(9),302(198
7)、Gazz.Chim.Ital.,115(11
−12,Pt.A),633(1985)]。しかしな
がら、ここで使用されている2−アシル−β−ケト酸の
t−ブチルエステルは、いずれも2位が無置換のものの
みであり、しかも使用している酸は高価で毒性の強いト
リフルオロ酢酸であり、実用的でない。
ン様、グリーン様の香気を有し香料として有用な、3−
メチル−2,4−ノナジオンに代表される3−アシル−
2−ブタノン類を、温和な条件下に、簡便な操作で、経
済的に、収率よく、高純度で製造できる方法を提供する
ことである。さらに、本発明の目的は、3−アシル−2
−ブタノンの製造に有効に用い得る合成中間体の製造方
法を提供することである。
く、本発明者らは鋭意検討を重ねてきた。その結果、特
定のアシルクロリドと2−メチル−アセト酢酸t−ブチ
ルエステルをピリジン系化合物および少量のマグネシウ
ム化合物の存在下に反応させると、3−アシル−2−ブ
タノンの合成中間体として有用な2−メチル−2−アシ
ルアセト酢酸t−ブチルエステルが、高収率で、選択的
に生成すること、そしてそれによって生成した前記2−
メチル−2−アシルアセト酢酸t−ブチルエステルを酸
の存在下で脱炭酸すると、目的とする3−アシル−2−
ブタノンが、温和な条件下に、特別の精製法などを採用
しなくても、簡便な操作で、経済的に、収率よく、高純
度で得られることを見出して本発明を完成した。
式(I);
和または不飽和のアルキル基またはアルケニル基を示
す。)で表されるアシルクロリドと、下記の化学式(I
I);
を、ピリジン系化合物(a)および触媒量のマグネシウ
ム化合物(b)の存在下に反応させて、下記の一般式
(III);
和または不飽和のアルキル基またはアルケニル基を示
す。)で表される2−メチル−2−アシルアセト酢酸t
−ブチルエステルを製造し、該2−メチル−2−アシル
アセト酢酸t−ブチルエステルを酸の存在下に脱炭酸し
て、下記の一般式(IV);
和または不飽和のアルキル基またはアルケニル基を示
す。)で表される3−アシル−2−ブタノンにすること
を特徴とする3−アシル−2−ブタノンの製造方法であ
る。
(I);
和または不飽和のアルキル基またはアルケニル基を示
す。)で表されるアシルクロリドと、下記の化学式(I
I);
を、ピリジン系化合物(a)および触媒量のマグネシウ
ム化合物(b)の存在下に反応させて、下記の一般式
(III);
和または不飽和のアルキル基またはアルケニル基を示
す。)で表される2−メチル−2−アシルアセト酢酸t
−ブチルエステルを製造することを特徴とする2−メチ
ル−2−アシルアセト酢酸t−ブチルエステルの製造方
法である。
2−アシルアセト酢酸t−ブチルエステルの脱炭酸を、
ギ酸および/またはp−トルエンスルホン酸の存在下で
行う前記(1)の製造方法;(4) マグネシウム化合物
(b)を、2−メチル−アセト酢酸t−ブチルエステル
に対して0.01〜0.5モル当量で用いる前記(1)
〜(3)のいずれかの製造方法;(5) ピリジン系化
合物(a)が、α−ピコリン、ピリジンおよび2,6−
ルチジンから選ばれる少なくとも1種である前記(1)
〜(4)のいずれかの製造方法;(6) マグネシウム
化合物(b)が、無水の塩化マグネシウム、臭化マグネ
シウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキシ
ドおよびマグネシウムアセチルアセトナートから選ばれ
る少なくとも1種の無水マグネシウム化合物である前記
(1)〜(5)のいずれの製造方法;(7) マグネシ
ウム化合物(b)が、無水塩化マグネシウムおよび/ま
たは無水臭化マグネシウムである前記(6)の製造方
法;および、(8) アシルクロリドと2−メチル−ア
セト酢酸t−ブチルエステルの反応を、トルエン、ヘプ
タンおよびテトラヒドロフランから選ばれる有機溶媒の
1種または2種以上中で行う前記(1)〜(7)のいず
れかの製造方法;を好ましい態様として包含する。
(III);
和または不飽和のアルキル基またはアルケニル基を示
す。)で表される2−メチル−2−アシルアセト酢酸t
−ブチルエステルを酸の存在下に脱炭酸して、下記の一
般式(IV);
和または不飽和のアルキル基またはアルケニル基を示
す。)で表される3−アシル−2−ブタノンにすること
を特徴とする3−アシル−2−ブタノンの製造方法であ
る。
−2−アシルアセト酢酸t−ブチルエステルの脱炭酸
を、ギ酸および/またはp−トルエンスルホン酸の存在
下に行う前記(9)の製造方法;を好ましい態様として
包含する。
する。本発明では、上記の一般式(I)で表されるアシ
ルクロリド[以下「アシルクロリド(I)」ということ
がある]と2−メチル−アセト酢酸t−ブチルエステル
[以下「2−メチル−アセト酢酸t−ブチルエステル
(II)」ということがある]を、ピリジン系化合物
(a)およびマグネシウム化合物(b)の存在下に反応
させて、上記の一般式(III)で表される2−メチル−
2−アシルアセト酢酸t−ブチルエステル[以下「2−
メチル−2−アシルアセト酢酸t−ブチルエステル(II
I)」ということがある](合成中間体)を製造する。
おいて、Rは、炭素数2〜8の直鎖状または分岐鎖状の
飽和または不飽和のアルキル基またはアルケニル基であ
ればいずれでもよく、具体例としては、エチル基、直鎖
状または分岐鎖状のプロピル基(n−プロピル基、イソ
プロピル基)、直鎖状または分岐鎖状のブチル基(n−
ブチル基、イソブチル基)、直鎖状または分岐鎖状のペ
ンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、直鎖
状または分岐鎖状のプロペニル基、直鎖状または分岐鎖
状のペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オク
テニル基を挙げることができる。前記した基Rを有する
アシルクロリド(I)の具体例としては、プロピオニル
クロリド、ブチリルクロリド、ペンタノイルクロリド、
ヘキサノイルクロリド、ヘプタノイルクロリド、オクタ
ノイルクロリド、ノナノイルクロリド、イソブチリルク
ロリド、3−メチルブタノイルクロリド、5−メチルヘ
キサノイルクロリド、5−メチル−4−ヘキセノイルク
ロリドなどを挙げることができる。そのうちでも、アシ
ルクロリド(I)としては、Rが、n−ブチル基、イソ
ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基であるペン
タノイルクロリド、3−メチルブタノイルクロリド、ヘ
キサノイルクロリド、ヘプタノイルクロリドが、2−メ
チル−アセト酢酸t−ブチルエステル(II)との反応
性、入手の容易性、コスト、2−メチル−2−アシルア
セト酢酸t−ブチルエステル(III)の収率、最終的に
得られる上記の一般式で表される3−アシル−2−ブタ
ノン[以下「3−アシル−2−ブタノン(IV)」という
ことがある]の収率、香気強度、香質などの点から好ま
しく用いられ、ヘキサノイルクロリドがより好ましく用
いられる。
ト酢酸t−ブチルエステル(II)の使用割合は、両者の
反応性、経済性などの点から、モル比で、[アシルクロ
リド(I)]:[2−メチル−アセト酢酸t−ブチルエ
ステル(II)]=2.0:1.0〜1.0:2.0の範
囲内であることが好ましく、1.5:1.0〜1.0:
1.5の範囲内であることがより好ましい。前記したモ
ル比の範囲内で、アシルクロリド(I)と2−メチル−
アセト酢酸t−ブチルエステル(II)のうちの価格の安
い方を過剰に使用するとコストを低減することができ
る。
チルエステル(III)の製造に用いるピリジン系化合物
(a)としては、下記の一般式(V);
して水素原子、メチル基またはエチル基を示すか、或い
はR1とR2またはR2とR3が共に結合して環を形成して
もよい。)で表されるピリジン系化合物(ピリジンまた
はピリジン誘導体)が好ましく用いられる。本発明で用
いられるピリジン系化合物(a)の具体例としては、ピ
リジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、
2,6−ルチジン、2−エチルピリジン、3−エチルピ
リジン、4−エチルピリジン、キノリン、イソキノリン
などを挙げることができ、これらの1種または2種以上
を用いることができる。そのうちでも、2−メチル−2
−アシルアセト酢酸t−ブチルエステル(III)の収
率、経済性などの点から、α−ピコリン、ピリジンおよ
び2,6−ルチジンのうちの1種または2種以上がより
好ましく用いられ、α−ピコリンまたはα−ピコリンを
含むピリジン系化合物の混合物が更に好ましく用いられ
る。
メチル−アセト酢酸t−ブチルエステル(II)とを反応
させる際の塩基として、ピリジン系化合物(a)を用い
ることによって、2−メチル−2−アシルアセト酢酸t
−ブチルエステル(III)を高選択率、高収率で生成さ
せることができる。本発明者らの実験によれば、アシル
クロリド(I)と2−メチル−アセト酢酸t−ブチルエ
ステル(II)を反応させる際の塩基としてピリジン系化
合物(a)の代わりに一般的な塩基である水素化ナトリ
ウムを使用した場合には、下記の反応式において、一般
式(VI)で表されるO−アシル化物が30〜50%程度
の高割合(選択率)で副生し、その結果、2−メチル−
2−アシルアセト酢酸t−ブチルエステル(III)の収
率が大幅に低下することが確認された。
和または不飽和のアルキル基またはアルケニル基を示
す。)
ルクロリド(I)に対して1.0〜10.0モル当量
[アシルクロリド(I)1モルに対して1.0〜10.
0モル]であることが、目的とする3−アシル−2−ブ
タノン[以下「3−アシル−2−ブタノン(IV)」とい
うことがある]を高収率で得るために好ましく、1.5
〜2.5モル当量であることがより好ましい。
のマグネシウム化合物が好ましく用いられ、含水物を使
用すると、アシルクロリド(I)と2−メチル−アセト
酢酸t−ブチルエステル(II)との間の反応の停止や抑
制などが生じ易い。本発明で用いるマグネシウム化合物
(b)としては、無水の塩化マグネシウム、臭化マグネ
シウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキシ
ド(マグネシウムメトキシド、マグネシウムエトキシド
など)、マグネシウムアセチルアセトナートなどのマグ
ネシウム化合物を挙げることができ、前記した無水のマ
グネシウム化合物の1種または2種以上が好ましく用い
られる。そのうちでも、マグネシウム化合物(b)とし
ては、無水塩化マグネシウムおよび無水臭化マグネシウ
ムの少なくとも一方、特に無水塩化マグネシウムが、少
量の使用量で、アシルクロリド(I)と2−メチル−ア
セト酢酸t−ブチルエステル(II)との反応を速やかに
進行させて、目的とする高純度の3−アシル−2−ブタ
ノン(IV)を高収率で得ることができ、しかも入手が容
易で、空気中で比較的安定であることから、特に好まし
く用いられる。
を、2−メチル−アセト酢酸t−ブチルエステル(II)
に対して0.01〜0.5モル当量[2−メチル−アセ
ト酢酸t−ブチルエステル(II)1モルに対してマグネ
シウム化合物(b)を0.01〜0.5モル]の割合で
使用することが好ましく、0.1〜0.5モル当量の割
合で使用することがより好ましく、0.2〜0.5モル
当量の割合で使用することが更に好ましい。マグネシウ
ム化合物(b)の使用量が0.01モル当量よりも少な
いと、2−メチル−2−アシルアセト酢酸t−ブチルエ
ステル(III)を高収率で得るためにアシルクロリド
(I)と2−メチル−アセト酢酸t−ブチルエステル
(II)との反応に長い時間がかかるようになり、生産性
の低下やコストの上昇を招き易い。一方、マグネシウム
化合物(b)の使用量が0.5モル当量よりも多いと、
2−メチル−2−アシルアセト酢酸t−ブチルエステル
(III)の収率が低下し易い。しかも、マグネシウム化
合物(b)の使用量が0.5モル当量よりも多いと、反
応媒体中に分散しにくくなって撹拌などの操作が円滑に
行われにくくなり、更に反応終了後に廃棄物として排出
されるマグネシウム化合物(b)の量が多くなって廃棄
物処理に手間、経費、時間などを要するようになる。
ム化合物(b)の存在下でのアシルクロリド(I)と2
−メチル−アセト酢酸t−ブチルエステル(II)の反応
は、有機溶媒中で行ってもまたは有機溶媒を使用せずに
行ってもよいが、反応を速やかに且つ円滑に行うため
に、有機溶媒中で行うことが好ましい。有機溶媒として
は、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水
素;ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;テトラ
ヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテルな
どのマグネシウム化合物(b)に対して不活性な有機溶
媒が、2−メチル−2−アシルアセト酢酸t−ブチルエ
ステル(III)を高収率で生成することから好ましく用
いられ、これらの1種または2種以上を用いることがで
きる。そのうちでも、トルエン、テトラヒドロフランお
よびヘプタンの1種または2種以上が、2−メチル−2
−アシルアセト酢酸t−ブチルエステル(III)がより
高収率で得られ、しかも安価である点からより好ましく
用いられる。
特に制限されないが、一般に、アシルクロリド(I)、
2−メチル−アセト酢酸t−ブチルエステル(II)、ピ
リジン系化合物(a)およびマグネシウム化合物(b)
の合計1モルに対して、有機溶媒を25〜550mlの
割合で用いることが、反応の円滑な進行、反応時の撹拌
などの操作の容易性、コスト、釜効率などの点から好ま
しく、50〜250mlの割合で用いることがより好ま
しい。
ト酢酸t−ブチルエステル(II)の反応は、室温を含む
広い温度範囲で行うことができ、2−メチル−2−アシ
ルアセト酢酸t−ブチルエステル(III)の収率、副生
物の生成抑制、反応時間の長期化の防止、熱効率、撹拌
効率などの点から、一般的には、0〜120℃の温度が
好ましく採用され、5〜80℃の温度がより好ましく採
用される。反応温度が低すぎると、アシルクロリド
(I)と2−メチル−アセト酢酸t−ブチルエステル
(II)との反応が速やかに進行しなくなって、2−メチ
ル−2−アシルアセト酢酸t−ブチルエステル(III)
の生成に長時間を要するようになり、一方反応温度が高
すぎると、反応時間は短縮されるが副生物の生成が多く
なり、2−メチル−2−アシルアセト酢酸t−ブチルエ
ステル(III)の収率や純度の低下、ひいては目的物で
ある3−アシル−2−ブタノン(IV)の収率や純度の低
下を生じ易くなるので好ましくない。
ト酢酸t−ブチルエステル(II)との反応により得られ
る2−メチル−2−アシルアセト酢酸t−ブチルエステ
ル(III)は、減圧下で蒸留などを行うことにより単離
することができる。但し、2−メチル−2−アシルアセ
ト酢酸t−ブチルエステル(III)は、熱に対して不安
定でありで蒸留時に一部分解することがある。そのた
め、アシルクロリド(I)と2−メチル−アセト酢酸t
−ブチルエステル(II)との反応終了後に、生成した2
−メチル−2−アシルアセト酢酸t−ブチルエステル
(III)を特に単離精製せずに粗生成物の状態で、酸の
存在下に脱炭酸反応を行って、目的とする3−アシル−
2−ブタノン(IV)を生成させ、それによって得られた
3−アシル−2−ブタノン(IV)を蒸留などにより反応
系から回収すると、目的物である3−アシル−2−ブタ
ノン(IV)を高収率で得ることができる。
チルエステル(III)の脱炭酸反応に使用する酸として
は、ギ酸、酢酸などの有機カルボン酸類、p−トルエン
スルホン酸、メタンスルホン酸などの有機スルホン酸
類、硫酸、塩酸、リン酸などの無機酸類などを挙げるこ
とができ、これらの1種または2種以上を用いることが
できる。そのうちでも、目的とする3−アシル−2−ブ
タノン(IV)を高収率で得ることができることから、ギ
酸およびp−トルエンスルホン酸のうちの一方または両
方が好ましく用いられる。
チルエステル(III)の脱炭酸反応に使用する酸の量
は、2−メチル−2−アシルアセト酢酸t−ブチルエス
テル(III)に対して0.1〜50モル当量であること
が好ましく、0.5〜20モル当量であることがより好
ましい。酸の量が少なすぎると脱炭酸反応が円滑に進行
しなくなり、一方多すぎると副反応などにより収率が低
下し易くなる。
チルエステル(III)の脱炭酸反応は、無溶媒下で行っ
てもまたは溶媒中で行ってもよい。溶媒中で行う場合
は、反応条件下で酸に不活性な溶媒であればいずれも用
いることができ、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレ
ンなどの芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホル
ム、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、テトラ
ヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテルな
どのエーテル類などを挙げることができ、これらの1種
または2種以上を用いることができる。溶媒を用いて脱
炭酸反応を行う場合は、溶媒の使用量は、2−メチル−
2−アシルアセト酢酸t−ブチルエステル(III)1モ
ルに対して、270〜2700ml程度であることが好
ましい。
チルエステル(III)の脱炭酸反応は、室温を含む広い
温度範囲で行うことができ、目的物である3−アシル−
2−ブタノン(IV)の収率、副生物の生成抑制、反応時
間の長期化の防止、熱効率、撹拌効率などの点から、一
般的には0〜100℃の温度が好ましく、20〜60℃
の温度がより好ましい。反応温度が低すぎると、2−メ
チル−2−アシルアセト酢酸t−ブチルエステル(II
I)の脱炭酸反応が速やかに進行しなくなって、目的物
である3−アシル−2−ブタノン(IV)の生成に長時間
を要するようになり、一方反応温度が高すぎると、反応
時間は短縮されるが副生物の生成が多くなり、目的物で
ある3−アシル−2−ブタノン(IV)の収率や純度の低
下を生じ易くなるので好ましくない。
アシルクロリド(I)と反応させる出発原料として、2
−メチル−アセト酢酸エステルにおけるエステル基がt
−ブチル基によりエステル化されている2−メチル−ア
セト酢酸t−ブチルエステル(II)を選んで使用してい
る。そして、その2−メチル−アセト酢酸t−ブチルエ
ステル(II)をアシルクロリド(I)を、ピリジン系化
合物(a)およびマグネシウム化合物(b)の存在下に
反応させて、2−メチル−2−アシルアセト酢酸t−ブ
チルエステル(III)を生成させ、その2−メチル−2
−アシルアセト酢酸t−ブチルエステル(III)に酸を
加えていることにより、2−メチル−2−アシルアセト
酢酸t−ブチルエステル(III)の脱炭酸反応を選択的
に進行させることができ、その結果、2−メチル−2−
アシルアセト酢酸t−ブチルエステル(III)が1,3
−ジケトン構造を有する3−アシル−2−ブタノン(I
V)へと選択的に変換し、目的物である3−アシル−2
−ブタノン(IV)を高収率で且つ高純度で得ることがで
きる。これに対して、本発明者らが実験した結果、2−
メチル−アセト酢酸のエステルではあっても、そのカル
ボキシル基が通常の低級アルキル基であるエチル基によ
ってエステル化されている2−メチル−アセト酢酸エチ
ルエステル[以下の式(III')で表される化合物におい
てR’がエチル基である化合物]では、下記の反応式に
示すように、酸性条件およびアルカリ性条件のいずれで
おいても、脱炭酸反応が生じず、脱アセチル反応が選択
的に進行して、β−ケトエステル構造を有する式(VI
I)で表される化合物が生成し、目的とする3−アシル
−2−ブタノン(IV)が生成しないことが確認された。
的物である3−アシル−2−ブタノン(IV)を反応系か
ら回収する。反応系からの3−アシル−2−ブタノン
(IV)の回収方法は特に制限されないが、一般的には、
減圧蒸留法、シリカゲルクロマトグラフィー法などが好
ましく採用される。減圧蒸留によって3−アシル−2−
ブタノン(IV)を回収する場合は、温度60〜120
℃、圧力100〜1000Paが好ましく採用される。
本発明の方法により得られる3−アシル−2−ブタノン
(IV)は、高純度で副生物の含有量が少ないため、通常
の蒸留操作だけで、香料などとして有効に用いることが
できる。
体的に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定さ
れない。以下の例において、合成を目的とする化合物へ
の変換率および収率は次のようにして求めた。
社製のガスクロマトグラフィー装置「HP−5890
A」を使用し、ジーエルサイアンス株式会社製のカラム
「Chemical bonded column O
V−1」(25m×0.25mm)を用いて、キャリア
ーガスとしてヘリウムを使用して、初期温度100℃、
昇温速度10℃/分、注入温度250℃、検出温度25
0℃の条件下で測定し、下記の数式により変換率を算出
した。
ト酢酸t−ブチルエステルまたは2−メチル−2−アシ
ルアセト酢酸エステルのガスクロマトグラフィーエリア
%、A1は反応生成物中に残留している2−メチル−ア
セト酢酸t−ブチルエステルのガスクロマトグラフィー
エリア%(実施例1〜6および比較例1〜2)、または
反応生成物中に残留している2−メチル−2−アシルア
セト酢酸エステルのガスクロマトグラフィーエリア%
(実施例7〜8および比較例3〜4)を示す。]
液に、内部標準物質としてn−ペンタデカンを添加し、
ガスクロマトグラフィー上の生成物と内部標準物質との
ガスクロマトグラフィーエリア%比から、定法に従い検
量線を用いて収率を算出した。
イルアセト酢酸t−ブチルエステル;一般式(III)に
おいてR=−(CH2)4−CH3である化合物の合成] (1) 1リットルの四口フラスコに、2−メチル−ア
セト酢酸t−ブチルエステル115.74g(0.67
モル)を入れ、それに無水テトラヒドロフラン350m
lを加えて溶解した後、氷浴にて5℃に冷却して撹拌し
ながら、無水塩化マグネシウム12.81g(0.13
モル、0.2モル当量)を加え、α−ピコリン(2−ピ
コリン)133ml(2モル当量)を5分かけて滴下し
て加えた。5℃で15分反応させた後、ヘキサノイルク
ロリド95.1g(1.05モル当量)を15分かけて
滴下して加え、5℃で15分反応させた後、還流温度ま
で加熱し、5時間反応を行った。反応後にガスクロマト
グラフィーにて上記した方法で変換率を測定したとこ
ろ、94.4%と良好であった。 (2) 上記(1)で得られた反応生成物を、抽出水洗
後、減圧下で溶媒を留去して粗生成物184.1gを得
た。この粗生成物を用いて上記した方法で2−メチル−
2−ヘキサノイルアセト酢酸t−ブチルエステルの収率
(出発原料である2−メチル−アセト酢酸t−ブチルエ
ステルに対する収率)は80%であった。
イルアセト酢酸t−ブチルエステル;一般式(III)に
おいてR=−(CH2)4−CH3である化合物の合成] (1) 100mlのナスフラスコに、2−メチル−ア
セト酢酸t−ブチルエステル8.60g(0.05モ
ル)と無水塩化マグネシウム952mg(0.2モル当
量)を加え、これにトルエン40mlを加えて溶解した
後、氷浴にて5℃に冷却して撹拌しながらα−ピコリン
10ml(2モル当量)を滴下して加えた。5℃で15
分反応させた後、ヘキサノイルクロリド6.73g(1
モル当量)を滴下して加えた。さらに5℃で15分反応
させた後、反応系を80℃まで加熱昇温させて反応を継
続した。一定時間ごとにガスクロマトグラフィーにて反
応を確認して、上記した方法で変換率を測定したとこ
ろ、1時間の時点での変換率は68.4%、3時間の時
点での変換率は80.8%、24時間後の変換率は8
6.5%であった。 (2) 上記(1)で得られた反応混合物を、抽出水洗
後、減圧下で溶媒を留去して粗生成物13.7gを得
た。この粗生成物を用いて上記した方法で2−メチル−
2−ヘキサノイルアセト酢酸t−ブチルエステルの収率
(出発原料である2−メチル−アセト酢酸t−ブチルエ
ステルに対する収率)は78%であった。
イルアセト酢酸t−ブチルエステル;一般式(III)に
おいてR=−(CH2)4−CH3である化合物の合成] α−ピコリンの代わりに、ピリジン8.3ml(2モル
当量)を用いて、実施例2と同様にして反応を行ったと
ころ、2時間反応後の変換率は78%であり、また2−
メチル−2−ヘキサノイルアセト酢酸t−ブチルエステ
ルの収率(出発原料である2−メチル−アセト酢酸t−
ブチルエステルに対する収率)は75%であった。
イルアセト酢酸t−ブチルエステル;一般式(III)に
おいてR=−(CH2)4−CH3である化合物の合成] 無水塩化マグネシウムの使用量(2−メチル−アセト酢
酸t−ブチルエステルに対するモル当量)を、以下の表
1に示す量に変えて、実施例2と同様にして反応を行っ
た結果、2時間反応後の変換率および2−メチル−2−
ヘキサノイルアセト酢酸t−ブチルエステルの収率(出
発原料である2−メチル−アセト酢酸t−ブチルエステ
ルに対する収率)は、表1に示すとおりであった。
イルアセト酢酸t−ブチルエステル;一般式(III)に
おいてR=−(CH2)4−CH3である化合物の合成] トルエンの代わりにヘプタン40mlを使用した以外
は、実施例2と同様にして反応を行った結果、2時間反
応後の変換率は74%、および2−メチル−2−ヘキサ
ノイルアセト酢酸t−ブチルエステルの収率(出発原料
である2−メチル−アセト酢酸t−ブチルエステルに対
する収率)は、78%であった。
チルブタノイル)アセト酢酸t−ブチルエステル;一般
式(III)においてR=−CH2CH(CH3)2である化
合物の合成] ヘキサノイルクロリドの代わりに、3−メチルブタノイ
ルクロリド6.03g(1モル当量)を使用して、実施
例2と同様にして反応を行った結果、2時間反応後の変
換率は69%、および2−メチル−2−(3−メチルブ
タノイル)アセト酢酸t−ブチルエステルの収率(出発
原料である2−メチル−アセト酢酸t−ブチルエステル
に対する収率)は、65%であった。
イルアセト酢酸t−ブチルエステル;一般式(III)に
おいてR=−(CH2)4−CH3である化合物の合成] 100mlのナスフラスコに、2−メチル−アセト酢酸
t−ブチルエステル8.60g(0.05モル)を入
れ、そこに無水テトラヒドロフラン30mlを加えて溶
解した後、氷浴にて5℃に冷却して撹拌しながら、60
%水素化ナトリウム2.01g(0.05モル、1モル
当量)をゆっくり加え、5℃で水素の発生が収まるまで
反応させた。さらに5℃の温度で15分反応させた後、
ヘキサノイルクロリド6.73g(1モル当量)を滴下
して加え、さらに5℃で15分反応させた後、還流温度
まで加熱して1時間反応させた。ガスクロマトグラフィ
ーにて反応を確認して、上記した方法で変換率を測定し
たところ98.6%であった。しかしながら、ヘキサノ
イル基付加のC−/O−選択性[前記した反応式におい
て一般式(III)で表されるC−アシル化物と一般式(V
I)で表されるO−アシル化物の比率]は、67/33
であり、2−メチル−2−ヘキサノイルアセト酢酸t−
ブチルエステルへの選択性は低いものであった。
イルアセト酢酸t−ブチルエステル;一般式(III)に
おいてR=−(CH2)4−CH3である化合物の合成] (1) 比較例1において、60%水素化ナトリウム
2.01g(0.05モル、1モル当量)と共に無水塩
化マグネシウム952mg(0.2モル当量)を添加し
た以外は比較例1と同様にして反応を行ったところ、ヘ
キサノイル基付加のC−/O−選択性は、62/38で
あり、2−メチル−2−ヘキサノイルアセト酢酸t−ブ
チルエステルへの選択性は低いものであった。 (2) 上記(1)の反応を、トルエン60mlを用い
て有機溶媒中で行ったところ、ヘキサノイル基付加のC
−/O−選択性は、52/48であり、2−メチル−2
−ヘキサノイルアセト酢酸t−ブチルエステルへの選択
性は著しく低いものであった。したがって、上記比較例
1およびこの比較例2の結果から、アシルクロリドと2
−メチル−アセト酢酸t−ブチルエステルの反応を、ピ
リジン系化合物とマグネシウム化合物の存在下に行わず
に、水素化ナトリウムの存在下または水素化ナトリウム
とマグネシウム化合物の存在下で行うと、2−メチル−
2−アシルアセト酢酸t−ブチルエステルへの選択性が
低く、2−メチル−2−アシルアセト酢酸t−ブチルエ
ステルが高収率で得られないことが確認された。
タノン;一般式(IV)においてR=−(CH2)4−CH
3である化合物の合成] 100mlのナスフラスコに、実施例1で得られた2−
メチル−2−ヘキサノイルアセト酢酸t−ブチルエステ
ル1.0gを入れ、内部標準物質としてn−ペンタデカ
ン204mg(2−メチル−2−ヘキサノイルアセト酢
酸t−ブチルエステルの1/5量)および100%ギ酸
2.0g(2倍質量)を加え、室温で2日間撹拌下に反
応させた。ガスクロマトグラフィーにて上記した方法に
より変換率を測定したところ、100%であった。ま
た、内部標準物質を用いて上記した方法で収率を測定し
たところ、目的物である3−ヘキサノイル−2−ブタノ
ンの収率(2−メチル−2−ヘキサノイルアセト酢酸t
−ブチルエステルに対する収率)は97%であった。
タノン;一般式(IV)においてR=−(CH2)4−CH
3である化合物の合成] 酸の種類や使用量、反応温度を以下の表2に示すように
変えて、非溶媒下、または溶媒(トルエン)中で、実施
例7と同様の反応操作を行って3−アシル−2−ブタノ
ンを製造したところ表2に示すとおりの結果であった。
イルアセト酢酸エチルエステル;一般式(III’)にお
いてR’=−CH2CH3(エチル基)である化合物の酸
性加水分解反応] 50mlのナスフラスコに、2−メチル−アセト酢酸エ
チルエステル2.07g(8.6ミリモル)を入れ、そ
こに酢酸3mlを加えて溶解した後、6M/リットルの
塩酸水溶液6mlを加え、室温で一晩反応させた。ガス
クロマトグラフィーにて反応を確認して、上記した方法
で変換率を測定したところ45%であり、β−ケトエス
テル体である2−メチル−3−オキソ−オクタン酸エチ
ルエステル[上記の一般式(VII)で表される化合物]
の生成が確認され、目的物の3−ヘキサノイルー2−ブ
タノンの生成は確認されなかった。
イルアセト酢酸エチルエステル;一般式(III’)にお
いてR’=−CH2CH3(エチル基)である化合物のア
ルカリ性加水分解反応] (1) 50mlのナスフラスコに、水酸化ナトリウム
833mg(1モル当量)を入れ、エタノール15ml
を加えて溶解した後、室温下で撹拌しながら、そこに2
−メチル−アセト酢酸エチルエステル4.84g(0.
02モル)を加え、室温で1時間反応させた。ガスクロ
マトグラフィーにて反応を確認して、上記した方法で変
換率を測定したところ100%であり、β−ケトエステ
ル体である2−メチル−3−オキソ−オクタン酸エチル
エステル[上記の一般式(VII)で表される化合物]の
生成が確認され、目的物である3−ヘキサノイルー2−
ブタノンの生成を確認することができなかった。 (2) また、エタノール/水混合溶媒(1/1容量
比)を30ml用いて、上記(1)と同条件で反応を行
ったところ、やはりβ−ケトエステル体である2−メチ
ル−3−オキソ−オクタン酸エチルエステルの生成のみ
が確認され、目的物である3−ヘキサノイルー2−ブタ
ノンの生成を確認することができなかった。
グリーン様の香気を有し香料として有用な、3−メチル
−2,4−ノナジオンに代表される3−アシル−2−ブ
タノン類を、温和な条件下に、簡便な操作で、経済的
に、高い選択率で、収率よく、高純度で製造することが
できる。本発明の方法による場合は、3−アシル−2−
ブタノンを製造する際の合成中間体である2−メチル−
2−アシルアセト酢酸t−ブチルエステルを、温和な条
件下に、簡便な操作で、経済的に、高い選択率で、収率
よく製造することができる。本発明の方法により得られ
る3−アシル−2−ブタノンは、高純度で副生物の含有
量が少ないので、通常の蒸留などの簡単な精製処理を施
すだけで、香料などとして有効に用いることができる。
Claims (10)
- 【請求項1】 下記の一般式(I); 【化1】 (式中、Rは炭素数2〜8の直鎖状または分岐鎖状の飽
和または不飽和のアルキル基またはアルケニル基を示
す。)で表されるアシルクロリドと、下記の化学式(I
I); 【化2】 で表される2−メチル−アセト酢酸t−ブチルエステル
を、ピリジン系化合物(a)、および触媒量のマグネシ
ウム化合物(b)の存在下に反応させて、下記の一般式
(III); 【化3】 (式中、Rは炭素数2〜8の直鎖状または分岐鎖状の飽
和または不飽和のアルキル基またはアルケニル基を示
す。)で表される2−メチル−2−アシルアセト酢酸t
−ブチルエステルを製造し、該2−メチル−2−アシル
アセト酢酸t−ブチルエステルを酸の存在下に脱炭酸し
て、下記の一般式(IV); 【化4】 (式中、Rは炭素数2〜8の直鎖状または分岐鎖状の飽
和または不飽和のアルキル基またはアルケニル基を示
す。)で表される3−アシル−2−ブタノンにすること
を特徴とする3−アシル−2−ブタノンの製造方法。 - 【請求項2】 下記の一般式(I); 【化5】 (式中、Rは炭素数2〜8の直鎖状または分岐鎖状の飽
和または不飽和のアルキル基またはアルケニル基を示
す。)で表されるアシルクロリドと、下記の化学式(I
I); 【化6】 で表される2−メチル−アセト酢酸t−ブチルエステル
を、ピリジン系化合物(a)および触媒量のマグネシウ
ム化合物(b)の存在下に反応させて、下記の一般式
(III); 【化7】 (式中、Rは炭素数2〜8の直鎖状または分岐鎖状の飽
和または不飽和のアルキル基またはアルケニル基を示
す。)で表される2−メチル−2−アシルアセト酢酸t
−ブチルエステルを製造することを特徴とする2−メチ
ル−2−アシルアセト酢酸t−ブチルエステルの製造方
法。 - 【請求項3】 2−メチル−2−アシルアセト酢酸t−
ブチルエステルの脱炭酸を、ギ酸および/またはp−ト
ルエンスルホン酸の存在下で行う請求項1に記載の製造
方法。 - 【請求項4】 マグネシウム化合物(b)を、2−メチ
ル−アセト酢酸t−ブチルエステルに対して0.01〜
0.5モル当量で用いる請求項1〜3のいずれか1項に
記載の製造方法。 - 【請求項5】 ピリジン系化合物(a)が、α−ピコリ
ン、ピリジンおよび2,6−ルチジンから選ばれる少な
くとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の
製造方法。 - 【請求項6】 マグネシウム化合物(b)が、無水の塩
化マグネシウム、臭化マグネシウム、水酸化マグネシウ
ム、マグネシウムアルコキシドおよびマグネシウムアセ
チルアセトナートから選ばれる少なくとも1種の無水マ
グネシウム化合物である請求項1〜5のいずれか1項に
記載の製造方法。 - 【請求項7】 マグネシウム化合物(b)が、無水塩化
マグネシウムおよび/または無水臭化マグネシウムであ
る請求項6に記載の製造方法。 - 【請求項8】 アシルクロリドと2−メチル−アセト酢
酸t−ブチルエステルの反応を、トルエン、ヘプタンお
よびテトラヒドロフランから選ばれる有機溶媒の1種ま
たは2種以上中で行う請求項1〜7のいずれか1項に記
載の製造方法。 - 【請求項9】 下記の一般式(III); 【化8】 (式中、Rは炭素数2〜8の直鎖状または分岐鎖状の飽
和または不飽和のアルキル基またはアルケニル基を示
す。)で表される2−メチル−2−アシルアセト酢酸t
−ブチルエステルを酸の存在下に脱炭酸して、下記の一
般式(IV); 【化9】 (式中、Rは炭素数2〜8の直鎖状または分岐鎖状の飽
和または不飽和のアルキル基またはアルケニル基を示
す。)で表される3−アシル−2−ブタノンにすること
を特徴とする3−アシル−2−ブタノンの製造方法。 - 【請求項10】 2−メチル−2−アシルアセト酢酸t
−ブチルエステルの脱炭酸を、ギ酸および/またはp−
トルエンスルホン酸の存在下に行う請求項9に記載の製
造方法。
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---|---|---|---|---|
WO2014083936A1 (ja) * | 2012-11-27 | 2014-06-05 | 株式会社クレハ | カルボニル化合物の製造方法 |
WO2014083935A1 (ja) * | 2012-11-27 | 2014-06-05 | 株式会社クレハ | カルボニル化合物の製造方法 |
WO2015075981A1 (ja) * | 2013-11-22 | 2015-05-28 | 株式会社クレハ | カルボニル化合物の製造方法 |
-
2001
- 2001-06-08 JP JP2001174655A patent/JP4783519B2/ja not_active Expired - Lifetime
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WO2014083936A1 (ja) * | 2012-11-27 | 2014-06-05 | 株式会社クレハ | カルボニル化合物の製造方法 |
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CN104684881A (zh) * | 2012-11-27 | 2015-06-03 | 株式会社吴羽 | 羰基化合物的制备方法 |
CN104822646A (zh) * | 2012-11-27 | 2015-08-05 | 株式会社吴羽 | 羰基化合物的制备方法 |
US9206106B2 (en) | 2012-11-27 | 2015-12-08 | Kureha Corporation | Production method of carbonyl compound |
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