JP4396025B2 - 4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノールの製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノールの製造法、さらに詳しくは、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−ベンゼンジメタノールをモノメチル化して4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノールの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノールをアルコール部分とするある種のエステル化合物が優れた殺虫効力を有することが知られている(特開昭57−123146号公報)。そして、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノールは下記スキーム化1に示される方法により製造されていた。
【化1】
しかしながら、この方法は、1,2,4,5−テトラフルオロベンゼンを原料化合物とし、ベンゼン環上の2個の置換基であるメトキシメチル基とヒドロキシメチル基を別々に構築する方法であり、多工程を要するため、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノールを多量に経済的に製造するためには有利な方法とは言えない。
そこで、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノールの有利な製造法の開発が望まれている。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、このような状況に鑑み、対称構造を有するため製造が容易であり、入手が容易である2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−ベンゼンジメタノールを原料化合物として選択し、モノメチル化することにより4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノールを製造する方法を検討した。
一般に同じ程度の反応性を有する2個のヒドロキシル基を有する化合物を原料化合物として高収率でモノアルキル化された化合物を高収率で製造することは困難である。なぜなら、モノアルキル化された化合物の生成に伴い、モノアルキル化された化合物がさらにアルキル化されてジアルキル化された化合物が生成する副反応が起こるためである。
【化2】
本発明者等は、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−ベンゼンジメタノールの選択的モノメチル化条件を鋭意検討した結果、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノールを収率よく製造する方法を見出し、本発明を完成した。
【0004】
なお、本発明により得られた4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノールは比較的純度が高いために、晶析または蒸留により高回収率で精製することができ、本方法は工業的な規模の製造に適したものである。
【0005】
すなわち、本発明はi)水存在下で2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−ベンゼンジメタノール(以下、原料化合物と記す。)と無機塩基とを反応させる工程、ii)その反応混合物に炭化水素及びエーテルからなる群から選ばれる水非混和性有機溶媒とジメチル硫酸とを加える工程を含むことを特徴とする4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノール(以下、目的化合物と記す。)の製造法、およびi)炭化水素及びエーテルからなる群から選ばれる水非混和性有機溶媒と水の存在下、2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンジメタノールと無機塩基とを反応させる工程、ii)その反応混合物にジメチル硫酸を加える工程を含むことを特徴とする4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノールの製造法(以下、あわせて本発明方法と記す。)を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明方法は以下の2工程を含むことを特徴とする。
第1工程:水及び必要に応じて水非混和性有機溶媒の存在下、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−ベンゼンジメタノールと無機塩基とを反応させる工程。
第2工程:第1工程で得られた反応混合物にジメチル硫酸と必要に応じて炭化水素及びエーテルからなる群から選ばれる水非混和性有機溶媒とを加える工程。
【0007】
第2工程において反応は水と炭化水素並びにエーテルからなる群から選ばれる水非混和性有機溶媒との存在下に行われる。水非混和性有機溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、t−ブチルメチルエーテル等のエーテルがあげられる。
【0008】
第1工程は原料化合物の塩を製造する工程と考えられ、例えば、出発物質を無機塩基の水溶液に加え混合するか、原料化合物を水に懸濁し、そこに無機塩基を加えて混合することにより実施できる。
第1工程で用いられる無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物があげられる。
反応に用いられる無機塩基の量は、原料化合物1モルに対して1モル以上であり、好ましくは1〜2モルである。
反応溶媒として用いられる水の量は、原料化合物1重量部に対して1重量部以上であり、原料化合物の塩の溶解性と容積効率の点から好ましくは3〜5重量部である。
反応温度の範囲は特に限定されるものではないが、好ましくは15〜65℃の範囲である。
【0009】
反応時間の範囲は反応温度及び反応スケールにもよるが、通常は15分間〜20時間の範囲である。第1工程の混合は、例えば原料化合物が完全に溶解し、均一な水溶液となるまで続けられる。
【0010】
第1工程の反応に用いられる溶媒は、水または水と他の溶媒の混合物である。他の溶媒を使用する場合、好ましくは炭化水素及びエーテルからなる群から選ばれる水非混和性有機溶媒が用いられる。炭化水素又はエーテルが第1工程の反応に用いられた場合、第2工程の反応において炭化水素又はエーテルを加えることは必須ではない。
【0011】
このように調製された反応混合物はそのまま第2工程に用いることができる。すなわち、第1工程で得られた反応混合物をそのまま第2工程の反応に用いることができる。
塩としては例えば、モノナトリウム塩及びモノカリウム塩があげられる。
【0012】
第2工程は、例えば第1工程で得られた反応混合物にジメチル硫酸と炭化水素及びエーテルからなる群から選ばれる水非混和性有機溶媒とを加えることにより行うことができる。
第1工程の反応混合物に既に炭化水素及びエーテルからなる群から選ばれる水非混和性有機溶媒が含まれている場合、第2工程は第1工程の反応混合物にジメチル硫酸のみを加えることによっても行いうる。
【0013】
第1工程で得られた反応混合物にジメチル硫酸等を加える方法としては、例えば第1工程で得られた反応混合物にジメチル硫酸またはジメチル硫酸と炭化水素及びエーテルからなる群から選ばれる水非混和性有機溶媒との混合物を滴下する方法、及び第1工程で得られた反応混合物に炭化水素及びエーテルからなる群から選ばれる水非混和性有機溶媒を加え、次いでジメチル硫酸またはジメチル硫酸と炭化水素及びエーテルからなる群から選ばれる水非混和性有機溶媒との混合物を滴下する方法があげられる。
第1工程で得られた反応混合物にジメチル硫酸またはジメチル硫酸と炭化水素及びエーテルからなる群から選ばれる水非混和性有機溶媒との混合物を滴下する方法には、ジメチル硫酸またはジメチル硫酸と炭化水素及びエーテルからなる群から選ばれる水非混和性有機溶媒との混合物を連続的に滴下する方法、断続的に滴下する方法が含まれ、第1工程で得られた反応混合物に炭化水素及びエーテルからなる群から選ばれる水非混和性有機溶媒を加え、次いでジメチル硫酸またはジメチル硫酸と炭化水素及びエーテルからなる群から選ばれる水非混和性有機溶媒との混合物を滴下する方法には、第1工程で得られた反応混合物に炭化水素及びエーテルからなる群から選ばれる水非混和性有機溶媒を加え、次いでジメチル硫酸またはジメチル硫酸と炭化水素及びエーテルからなる群から選ばれる水非混和性有機溶媒との混合物を連続的に滴下する方法、断続的に滴下する方法が含まれる。
第1工程で得られた反応物にジメチル硫酸またはジメチル硫酸と炭化水素及びエーテルからなる群から選ばれる水非混和性有機溶媒との混合物を滴下する場合の滴下時間は、目的を達成する範囲であれば特に限定されるものではないが、例えば5分間〜18時間の範囲である。
【0014】
この第2工程の反応は水と水非混和性有機溶媒中での出発物質の塩とジメチル硫酸との反応と考えられる。
【0015】
第2工程の反応で用いられるジメチル硫酸の量は、原料化合物1モルに対して、1モル以上であり、好ましくは1〜2.5モルである。
反応時の水層のpHは、10以上であることが好ましく、さらに13以上では反応が室温付近の温度で進行することから特に好ましい。第1工程で用いた無機塩基の量により水層のpHがそれ以下になる場合には、無機塩基又は無機塩基の水溶液を加えることにより水層のpHの範囲を前記の好ましいpH範囲に保持させることもできる。
【0016】
第2工程の反応に用いられる水非混和性有機溶媒の量は第1工程に用いられた原料化合物1重量部に対して、1重量部以上である。また、第2工程の反応に用いられる水の量は第1工程で用いられた原料化合物1重量部に対して1重量部以上であり、第1工程で使用した水をそのまま用いることができる。
第2工程の反応における反応温度の範囲は通常、0〜100℃であり、好ましくは15〜65℃である。
【0017】
反応時間は、反応温度及び反応スケールに応じて変化し得るが、通常は第1工程で得られた反応混合物にジメチル硫酸またはジメチル硫酸と炭化水素及びエーテルからなる群から選ばれる水非混和性有機溶媒の混合物を加えるために要する時間を含めて、15分間〜24時間の範囲である。
【0018】
第2工程の反応は、反応系内に実質的に第四級アンモニウム塩が存在しない条件下で行われるのが好ましい。第2工程の反応の反応系内に第四級アンモニウム塩を加えるとジメチル化された副生物である1,4−ジ(メトキシメチル)−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン(以下、副生化合物と記す。)の生成量が増加する。上記の第四級アンモニウム塩は一般的に合成反応において相関移動触媒として用いられるものであり、例えば、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド及びセチルトリエチルアンモニウムブロミドがあげられる。
【0019】
反応終了後は、例えば反応混合物を静置し、有機層を分離し、その有機層を濃縮することにより目的化合物を得ることができる。さらに、目的化合物を高収率で得るためには水層を有機溶媒で抽出し、目的化合物を回収することもできる。抽出を行う場合には、抽出効率の点から水層のpHは3以下であることが好ましい。抽出に用いられる有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、t−ブチルメチルエーテル等のエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル及びこれらの混合物があげられる。分液により得られた有機層と抽出により得られた有機層とを合わせて濃縮して、目的化合物を得ることができる。
【0020】
目的化合物は晶析、蒸留等の通常の操作により精製することもできる。特に、本発明方法は目的化合物が比較的高い純度で得られるため、晶析により高回収率で高純度の目的化合物を得ることができる。
晶析に用いることができる溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール並びにt−ブタノール等のアルコール;酢酸、トリフルオロ酢酸並びにぎ酸等の有機酸;水およびこれらの混合物があげられる。晶析により目的化合物の粗生成物に少量含まれる副生化合物はほぼ完全に除くことができる。
【0021】
原料化合物である2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−ベンゼンジメタノールは例えば英国特許公開2127013A号公報に記載の方法にしたがって製造することができる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を製造例、比較例をあげて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0023】
製造例1
窒素置換した反応容器に2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−ベンゼンジメタノール5.00g(23.1mmol)、水15.00g及び水酸化カリウム1.30g(23.1mmol)を順次仕込み、攪拌しながら60℃まで昇温した。この際、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−ベンゼンジメタノールの固体は完全に溶解した。この溶液に、55±5℃でトルエン15.0gとジメチル硫酸3.07g(23.1mmol)の混合物を加えた。50±5℃で1.5時間攪拌した後、水酸化カリウム0.64g(11.4mmol)とジメチル硫酸1.51g(12.6mmol)を加え、さらに同じ温度で1.5時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、反応混合物を分液した。この水層を酢酸エチル30mlで抽出し、有機層を合わせて水30mlで洗浄した、濃縮した後、減圧乾燥して5.22gの4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノールの粗生成物を得た。この4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノールの粗生成物のガスクロマトグラフィー(GC)を用いた内部標準法による含量分析を行った。
GC面積百分率:目的化合物87%、原料化合物4%、副生化合物8%
GC内部標準法による含量分析:目的化合物含量85%、純分収率86%
【0024】
製造例2
窒素置換した反応容器に、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−ベンゼンジメタノール5.00g(23.1mmol)、水15.00g及び27%水酸化ナトリウム水溶液6.85g(水酸化ナトリウム46.3mmol)を順次仕込み、攪拌しながら65℃まで昇温した。原料化合物は完全に溶解した。その後、反応混合物を攪拌しながら室温まで放冷した。この反応混合物にトルエン20.0gを加え、さらにジメチル硫酸4.33g(32.6mmol)を室温で7.5時間かけて滴下した。滴下終了後の水層のpHは13.5であった。反応混合物を分液し、水層のpHを10%硫酸水で約3に調整した。水層を酢酸エチル30mlで抽出した。有機層を合わせて水30mlで洗浄し、濃縮した後、減圧下乾燥して4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノールの粗生成物5.22gを得た。この4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノールの粗生成物のガスクロマトグラフィー(GC)を用いた内部標準法による含量分析を行った。
GC面積百分率:目的化合物85%、原料化合物1%、副生化合物13%
GC内部標準法による含量分析:目的化合物の含量85%、純分収率86%
【0025】
製造例3
窒素置換した反応容器に2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノール10.00g(47.07mmol)、水30.00g、水酸化ナトリウム3.77g(94.13mmol)及びトルエン50.00gを順次仕込んだ。室温で20分間攪拌している間に、内温は34.0℃まで上昇し、原料化合物は完全溶解して、透明な溶液となった。その後、内温30.5℃で反応混合物にジメチル硫酸8.75g(65.8mmol)を加え、1時間攪拌した。その後、反応液をサンプリングし、液体クロマトグラフィーによる分析を行った(下記分析結果1)。その後、10%硫酸水を加えて、水層のpHを1.02に調整し、有機層と水層を分液した。有機層と水層の両方を液体クロマトグラフィー(LC)を用いた外部標準法による含量分析を行った(下記分析結果2)。
(分析結果1)
LC面積百分率:目的化合物87.6%、原料化合物4.7%、副生化合物6.5%
(分析結果2)
LC外部標準法による含量分析:水層と有機層の両方を合わせた純分収率89.0%
【0026】
製造例4
窒素置換した反応容器内に2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノール10.00g(46.26mmol)、水19.99g及び27%水酸化ナトリウム水溶液13.71g(水酸化ナトリウム92.51mmol)を順次仕込み、攪拌しながら67.2℃まで昇温した。原料化合物は完全に溶解した。反応混合物を内温50±3℃に調製した後、t−ブチルメチルエーテル30.0gとジメチル硫酸6.14g(46.26mmol)を加えた。さらに内温50±3℃で攪拌を続け、ジメチル硫酸を2時間後に2.5g、3.5時間後に3.15g、5時間後に3.1g、6.5時間後に3.1gそれぞれ加え、また、27%水酸化ナトリウム水溶液を5時間後に6.86g、7時間後に6.86gをそれぞれ加えた。最後にジメチル硫酸を加えた時点から1時間後に、反応液の一部をサンプリングしてガスクロマトグラフィーによる分析を行い(下記分析結果3)、また反応混合物を室温まで冷却し、分液した。有機層を10%水酸化ナトリウム水溶液25gで4回洗浄し、濃縮した後、減圧乾燥して4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノールの粗生成物9.30gを得た。この4−メトキシメチルテトラフルオロベンゼンメタノールの粗生成物のガスクロマトグラフィー(GC)を用いた内部標準法による含量分析を行った(下記分析結果4)。
(分析結果3)
GC面積百分率:目的化合物89%、原料化合物0%、副生化合物10%
(分析結果4)
GC内部標準法による有機層濃縮物の含量:目的化合物の含量83.5%、純分収率75%
【0027】
参考例1
目的化合物の粗生成物5.15g(GC面積百分率:目的化合物89%、副生化合物9.5%)をトルエン7.5gとヘキサン10gに加えて内温66.3℃に加熱し溶解させた。その溶液を攪拌しながら1時間に約20℃の割合で冷却した。内温29.9℃で目的化合物の精製品約10mgを加え、同じ割合で20.1℃まで冷却し、室温で2日間攪拌した。さらに氷冷し、内温2.5±1℃で3時間攪拌した後、同温で濾過した。結晶をヘキサン10gで洗い、減圧下乾燥して、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノール4.05gを得た。この4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノールのガスクロマトグラフィー(GC)を用いた内部標準法による含量分析を行った。
GC面積百分率:目的化合物98.5%、副生化合物0.2%
GC内部標準法による含量分析:目的化合物含量96.6%、純分回収率93.3%
【0028】
比較例1
水素化ナトリウム/オイルディスパージョン0.20g(含量64.1%、5.3mmol)とN,N−ジメチルホルムアミド3.0gとの混合物に室温で2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−ベンゼンジメタノールを加え45分間攪拌した。この混合物にジメチル硫酸0.63g(含量95%、4.73mmol)を加え、室温で45分間攪拌した。この時、GC面積百分率で28%以上の原料化合物が残っていた。反応混合物に水素化ナトリウム/オイルディスパージョン0.05g(含量64.1%、1.3mmol)を追加して1時間攪拌し、次いでジメチル硫酸0.24g(1.90mmol)を加え、さらに30分間攪拌した。反応混合物に20%塩酸を2滴加えて得られた溶液のガスクロマトグラフィー(GC)を用いた内部標準による含量分析を行った。
GC面積百分率:目的化合物41%、原料化合物25%、副生化合物27%
GC内部標準法による含量分析:目的化合物12%、純分収率24%
【0029】
比較例2
2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−ベンゼンジメタノール1.00g(4.73mmol)とジメチルスルホキシド3.0gとの混合物に水素化ナトリウム/オイルディスパージョン0.18g(含量64.1%、4.7mmol)を室温で加え、1時間攪拌した。次いで反応混合物にジメチル硫酸0.60g(4.73mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。その後、反応混合物を5%塩酸水に注加し酢酸エチル30mlで抽出した。有機層を水洗した後、減圧濃縮して残渣1.11gを得た。その残渣のガスクロマトグラフィー(GC)を用いた内部標準法による含量分析を行った。
GC面積百分率:目的化合物35%、原料化合物37%、副生化合物16%
GC内部標準法による含量分析:目的化合物26%、純分収率27%
【0030】
比較例3
室温で、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−ベンゼンジメタノール1.00g(4.73mmol)、炭酸カリウム0.65g(4.73mmol)、ジメチル硫酸0.75g(5.94mmol)及びアセトン3.0gを混合し、8時間加熱還流下に攪拌した。反応混合物の溶媒を減圧留去し、残渣に5%塩酸30mlを加え、酢酸エチル30mlで抽出した。有機層を水洗し、減圧濃縮して1.08gの残渣を得た。その残渣のガスクロマトグラフィー(GC)を用いた内部標準法による含量分析を行った。
GC面積百分率:目的化合物33%、原料化合物51%、副生化合物6%
GC内部標準法による含量分析:目的化合物31%、純分収率31%
【0031】
参考例2
ガスクロマトグラフィー(GC)を用いた内部標準法による含量分析に用いる検量線は以下の方法により作成した。
目的化合物である4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノール43.4mg、83.6mg、131.0mgをそれぞれ40.0mg/10.0ml安息香酸フェニルのアセトニトリル標準溶液10.0mlに溶解し、ガスクロマトグラフィー分析を行った。
得られたクロマトグラムの各試料の内部標準に対するピーク面積比を各々計算して得られた以下の検量線を含量分析に用いた。
濃度(目的化合物mg/10ml)=60.91007313×(面積比)+2.2257(相関係数 1.0000)
なお、分析に使用した機器及び分析条件は下記の通りである。
使用機器
ガスクロマトグラフィー装置:GC−14A(島津製作所製)
積算記録計:CR5−A(島津製作所製)
自動注射装置:AOC−14(島津製作所製)
カラム:J&Wサイエンティフィック社製カラム(0.53mm×30m膜厚1.5μm)
分析条件
検知器:FID
注入温度:250℃
カラム温度:80℃(0分)→昇温5℃/分→300℃(停止)
試料溶液注入量:1μl
【0032】
参考例3
液体クロマトグラフィー(LC)を用いた外部標準法による含量分析に用いる検量線は以下の方法で作成した。
目的化合物である4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノール(GC面積百分率純度99.7%)11.4mg、34.6mg、53.9mgをそれぞれアセトニトリルに溶解し、全体量を20.0mlとした。このサンプルをLC分析し、各々のクロマトグラムのピーク面積から得られた下記の検量線を含量分析に用いた。
濃度(20ml中の目的化合物のmg数)=0.00001094×(ピーク面積)+0.1383(相関係数 1.0000)
なお、分析に使用した分析機器及び分析条件は、以下の通りである。
高速液体クロマトグラフィー装置:日立製作所製L−7000型
カラム:住化分析センター製Sumipax ODS A-212
検出:270nmの吸収
移動層:水−アセトニトリル、45分間で水:アセトニトリル=90:10(0分)から10:90(5分)の濃度勾配
注入量:10μl
【0033】
【発明の効果】
本発明方法により、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノールを有利に製造することができる。
Claims (10)
- i)水存在下で2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−ベンゼンジメタノールと無機塩基とを反応させる工程、ii)その反応混合物に炭化水素及びエーテルからなる群から選ばれる水非混和性有機溶媒とジメチル硫酸とを加える工程を含むことを特徴とする4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノールの製造法。
- 請求項1において無機塩基がアルカリ金属水酸化物であることを特徴とする4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノールの製造法。
- 請求項2においてアルカリ金属水酸化物が水酸化ナトリウムであることを特徴とする4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノールの製造法。
- 請求項1〜3において水非混和性有機溶媒がトルエンであることを特徴とする4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノールの製造法。
- 請求項1〜3において水非混和性有機溶媒がt−ブチルメチルエーテルであることを特徴とする4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノールの製造法。
- i)炭化水素及びエーテルからなる群から選ばれる水非混和性有機溶媒と水の存在下、2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンジメタノールと無機塩基とを反応させる工程、ii)その反応混合物にジメチル硫酸を加える工程を含むことを特徴とする4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノールの製造法。
- 請求項6において、無機塩基がアルカリ金属水酸化物であることを特徴とする4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノールの製造法。
- 請求項7において、アルカリ金属水酸化物が水酸化ナトリウムであることを特徴とする4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノールの製造法。
- 請求項6〜8において、水非混和性有機溶媒がトルエンであることを特徴とする4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノールの製造法。
- 請求項6〜8において、水非混和性有機溶媒がt−ブチルメチルエーテルであることを特徴とする4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンメタノールの製造法。
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