JP5578128B2 - 導電性パターン部材形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、新規な導電性パターン部材の形成方法に関するものである。
基板上に印刷法、インクジェット法を用いて導電性パターンを形成する方法が知られている。
また、導電性パターン上に機能性膜を形成することが知られている。
例えば、特許文献1には写真法を用いて作成した銀の導電性パターンに導電性高分子であるPEDOT/PSSをコーティングしている。このような構成は、ITOに代表される透明電極の代用になりうるものである。このような導電性パターンと導電性高分子の組み合わせは、希少金属を使用せず、柔軟で、低抵抗であり有用である。
他の応用例として、導電性パターン上に機能性膜として絶縁膜形成することでタッチパネルを形成することが挙げられる。
導電性パターン上に機能性膜を形成する場合、機能成膜は膜厚ムラなく、任意の膜厚で形成可能であることが望ましく、この点でインクジェット法により機能性インクを塗布し、乾燥により機能性膜を形成する方法は好ましい。
また、オンデマンドプリント特性を利用し、導電性パターン上の任意の場所にのみ機能性膜を形成でき、大面積にも対応でき、ロールtoロールのような連続生産形態にも適応可能である。さらに、導電性パターンが厚みを有する場合であってもインクジェット法であれば非接触印刷特性を利用し印刷が可能である。
しかしながら、インクジェットインクは通常印刷インキに比べて低粘度であり、薄膜で塗布する場合はじき故障が発生することがある。特に導電性インクを用いて導電性パターンを形成した上に機能性膜をインクジェットで塗布する場合は、インキ汚染の影響や、印刷前の基材前処理の影響などではじきやすく、機能性膜の厚みの均一性が劣る場合が多い。
特許文献2には、インクジェット法により基板に導電性パターンを形成する方法として、基板上でのインクの広がりを調整するために、基板表面に疎水性薄膜をコートする段階と、コートされた前記基板の表面エネルギーを調整する段階と、所望の線幅及びインクの粘着力に応じて表面エネルギーが調整された前記基板を所定の温度で加熱しながら所望のサイズの噴射ノズルを用いてパターンを形成する方法が開示されている。しかしながら、パターン上に別の薄膜形成するための表面エネルギー調整については記載されていない。
特許第4292154号明細書 特開2008−294391号公報
本発明の目的は、任意の厚みを有する種々の導電性パターン上に任意の厚みの機能膜を任意の位置に、均一に形成することにある。
インクジェット方式を用いることにより、任意の位置に機能膜を形成することを試みたが、ベタ印字された機能性インクが基材面を移動し、導電性パターン上に均一な厚みの機能膜を形成することができなかった。また、インクが基板上に着弾した後で広がるため、機能膜の境界線を正確に制御することができなかった。
従って、本発明の更なる目的は、インクジェット方式を用いて、低コストで、任意の位置に、任意の膜厚で、機能膜の端部の境界位置を正確に、機能性膜形成インクを導電性パターン上に付与することが可能な導電性パターン部材形成方法を提供することにある。
本発明の目的は、以下の構成により達成される。
1.基材上に形成された導電性パターンの表面の少なくとも一部に、型紙状のマスクを通して施されるUV−オゾン処理により表面処理を行った後、機能性インクをインクジェット法を用いて該表面処理を行った導電性パターン上に付与することで機能性膜を形成することを特徴とする導電性パターン部材形成方法。
2.前記機能性インクを付与する領域にのみ前記表面処理を行うことを特徴とする前記1に記載の導電性パターン部材形成方法。
.前記基材がガラスであり、導電性パターン部の表面が、導電性パターンの表面Aおよび該導電性パターンに囲まれ該導電性パターンに覆われていない基材の表面Bからなり、前記表面処理後の表面Bに対する純水の接触角が5°以上20°以下になるように処理することを特徴とする前記1または2に記載の導電性パターン部材形成方法。
本発明によれば、インクジェット方式を用いて、低コストで、任意の位置に、任意の膜厚で、均一に、機能膜の端部の境界位置を正確に、機能性膜形成インクを導電性パターン上に付与することが可能な導電性パターン部材形成方法を提供できる。
(a)導電性パターンが形成された基材を表わす図である。(b)型紙状のマスクを表わす図である。
本発明は、基材上に導電性パターンが形成されている導電性パターン部材上の少なくとも一部に、表面処理を行った後、機能性膜インクをインクジェット法を用いて導電性パターン上の少なくとも一部に付与することで機能性膜を形成することを特徴とする導電性パターン部材形成方法である。
(基材)
本発明の導電性パターン部材に用いられる基材としては、光透過性であっても、光不透過性であっても良い。例えば、基材としての硬度に優れ、またその表面への導電層の形成のし易さ等の点で、ガラス基板、樹脂基板、樹脂フィルムなどが好適に挙げられるが、軽量性と柔軟性の観点から樹脂フィルムを用いることが好ましい。
前記基材として好ましく用いることができる樹脂フィルムには特に制限はなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができる。
中でも耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミド樹脂フィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることがより好ましい。
前記基材は、導電パターン形成のために、前処理されていることが好ましい。該前処理としては、接着層の塗設、撥水層の塗設、コロナ放電、プラズマ照射、UV照射などがあげられ、これらの加工により基材の表面物性が、導電性パターンの形成に適するように、調整することが出来る。
(導電性パターン)
導電性パターンは、金、銀、銅などの金属材料やカーボン、導電性高分子等を含有する組成物で構成される。
導電パターンは、細線構造を含む。細線構造部の線幅、高さは限定されるものではないが、線幅10μm〜500μm、高さ0.1μm〜2μmが好ましい。
導電性パターンの抵抗値は低いほどよい。金属導電性インクを用いてパターン形成した場合は、通常焼成工程を行い金属結晶を生成させ抵抗値を下げるが、焼成温度、時間は抵抗値が最も小さくなるよう条件を決めて行うのがよい。導電性パターンの細線部の断面積は、抵抗値を下げるために一定の範囲にすることは好ましく、5×10−12〜5×10−10とすることが好ましい。
導電パターンは種々の方法で形成することができる。従来からのサブトラクティブ法で形成してもよいし、インクジェット法や印刷法、転写法などを利用したアディティブ法を用いても良い。インクジェット法や印刷法、転写法などを利用したアディティブ法は、材料消費量が少なく低コストで、任意のパターンを形成出来るので好ましい。
更に本発明の、機能性インクを用いたインクジェット法により、導電性パターン上の少なくとも一部に機能性インクを付与することで機能性膜を形成する方法と組み合わせると、導電性パターンと機能性膜が共に任意の形状で形成されるので一層好ましい。
導電性パターンの表面形状は平滑であることが好ましい。印刷法などで高粘度インキを用いて導電性パターンを形成する場合、表面形状が粗面になってしまうことがある。対してインクジェット法や一部の印刷方式の用に1mPa・s〜30mPa・s程度の低粘度インクを用いて導電性パターンを形成する場合表面形状は平滑であり好ましい。Ra0.005μm〜0.2μmの範囲にすることが好ましい。この場合、インクが低粘度である故に、インクが基材上で広がり、線幅が太くなる傾向がある。線幅を細くするために導電性パターン形成前に基材に前処理をすることは有効である。前処理としては、インク吸収層を設ける方法、インクを凝集、あるいは固化させる薬剤を基材に付与する方法、及びインクに対して撥性を有する層を形成しておく方法などがある。特に、インクに対して撥性を有する層を形成しておく方法は、薄膜あるいは単分子膜であってもインクの濡れ広がりを制御できるので有効である。
具体的には、撥水性化合物、特に撥水性ポリマーをスピンコートなどを用いて薄膜塗布する方法や、撥水機能のシランカップリング剤を用いて撥水膜を形成する方法が好ましい。
(導電性インク)
インクジェットを用いて前記導電性パターンを形成するための導電性インクは、導電性付与材料として金属微粒子、カーボン微粒子、導電性高分子を含有する。
金属微粒子としては、例えば、Au、Pt、Ag、Cu、Ni、Cr、Rh、Pd、Zn、Co、Mo、Ru、W、Os、Ir、Fe、Mn、Ge、Sn、Ga、In等が挙げられるが、その中でも特に、Au、Ag、Cuのような金属微粒子を用いると、電気抵抗が低く、かつ腐食に強い回路パターンを形成することができるので好ましい。特にコスト・安定性の観点からはAg(銀)を含む金属微粒子が好ましい。これらの金属微粒子は、平均粒子径が1〜100nmであることが好ましく、更には3〜50nmであることが好ましい。
本発明に係る導電性インクには、金属微粒子の保護コロイドとして分散剤または界面活性剤を用いることができ、分散剤としては分子量が2000以下であることが好ましい。
前記導電性インクのバインダーとして、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリアリルサルホン、ポリアクリレート等の熱可塑樹脂、または、エポキシ樹脂、フェトル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化樹脂を使用できる。
本発明に係る導電性インクは、水系導電性インクと油系導電性インクとが挙げられるが、水系導電性インクであることが好ましい。またインクが溶剤としてグリコールエーテル系の化合物を含むことが好ましい。
金属微粒子を、水を主体とする分散媒に分散して構成される水系導電性インクとしては例えば住友電気工業(株)から“銀ナノインキ”、バンドー化学(株)から“低温焼結ナノ粒子”として販売されている。
また、金属微粒子を油性分散媒に分散した油系導電性インクとしては、例えばハリマ化成(株)から“ナノペースト”、三ツ星ベルト(株)から“金属ナノ粒子”として販売されている。
通常は、導電性インクにおける金属微粒子の含有量は10〜60質量%、界面活性剤および樹脂成分の含有量は0.3〜30質量%、粘度は3〜30mPa・sとすることが好ましい。
(表面処理)
次に前記表面処理について説明する。表面処理は、機能性インクをインクジェット法を用いて導電性パターン上の少なくとも一部に付与することで機能性膜を形成する際に、所望の膜厚であっても、はじき故障なく、均一な厚みで所定の範囲に機能膜を形成することを目的に行う処理である。上記目的を達成するため、表面処理は機能性インクの濡れ性を制御するものである。
表面処理は、導電性パターンおよび基材の表面を改質するものである。例えば、基材の表面が撥水層により前処理されている場合は、前記表面処理により撥水層を除去すると同時に、導電性パターン上にあって機能性インクの濡れ性を阻害する物質を分解、あるいは除去する改質処理することができる。
別の具体例は、導電性パターン上に新たに、機能性膜インクの濡れ性を促進するよう薄膜を付与する処理あるいは、導電性パターン上を酸化処理するなどにより機能性膜インクの濡れ性を促進する処理である。以上の複数の処理を併用してもよい。
前記表面処理は、機能性インクの濡れ性を促進することが好ましく、この場合表面処理後の導電性パターンの無い基材部分に対する純水の接触角が5°以上20°以下になるように処理することが特に好ましい。
後で説明するが、機能性インクは、種々の基材に対して任意の場所に、任意の膜厚の機能性膜を均一に塗布するため、主媒体が、水、もしくは極性を有する低沸点の溶剤、もしくはこれらの混合物であることが好ましい。このような機能性膜インクの基材への濡れ性の代用評価として純水に対する接触角が適当であることを見出した。
前記表面処理後の基材部分に対する純水の接触角が5°以上の場合、機能性膜インクの濡れ性を抑制して、機能性インク付与領域の外周部へのにじみが防止され、コーヒーリングと類似現象が防止され、外周部の膜厚が均一になる。表面処理後の基材部分の純水に対する接触角が20°より小さい場合は、機能性膜インクの基材への濡れ性がよく、均一な膜厚と成る。
表面処理の具体的方法としては、紫外線照射法、プラズマ処理、酸化ガス処理、洗浄、濡れ性向上剤のコーティングなどがあり、単独もしくは複数の方法を組み合わせて用いることができる。
紫外線照射法としては、近紫外線(波長200〜380nm)、遠紫外線、真空紫外線(VUV、波長10〜200nm)などを用いることができる。紫外線を利用し、導電性パターン上の有機物を分解、除去あるいは基材の酸化処理をすることができる。
紫外線の波長、強度、照射環境、時間は前記の、表面処理後の基材部分の純水に対する接触角を測定しながら決めることができる。
紫外線の波長として好ましいのは、185nm,254nm,172nmの波長である。特に、185nmと254nmを両方を同時に使用することが好ましい。
照射環境は大気中でも、必要に応じ窒素ガスなどを任意の濃度で混合して設定してもよい。また、積極的に大気流入量を制御してもよい。
UV−オゾン処理は、低圧水銀灯(波長185nm,254nm)を用い、大気を任意の速度で照射雰囲気に取りこみ処理する方法であり、一般にUV−オゾン洗浄法と呼ばれ、好ましい方法である。この場合、導電性パターン上の有機物を分解、除去速度が速い半面、導電性パターン自体も酸化劣化するなど影響を受けやすい。必要以上に処理するとパターン膜強度劣化や抵抗値が大きくなるなどしてしまう。
基材がガラスの場合、導電性パターンの酸価劣化は基材の接触角と相関があり、表面処理を行った基材の接触角が5°以上と成るように表面処理を調節することにより、導電性パターンの抵抗値を低くすることができる。
波長172nmの光源を用いて、窒素雰囲気で紫外線照射する方法は、有機物分解はするものの、導電性パターン膜への影響が軽微で好ましい。
表面処理は、導電性パターンの任意の部分に適用しても全面に適用してもよいが、表面処理をする領域が、実質的に機能性インクを付与する領域のみであることは好ましい形態である。この場合は、機能性インクを付与する領域内は、機能性インクの濡れ性が良く、領域外は濡れ性が悪いため、いわゆるバンクが形成されることになり、機能性インク付与の着弾制度を甘めに設定してプリント速度を上げてもバンクにより、高精細な膜形成が可能である。また、機能性インクの濡れ性を一層向上させるため、インクの表面張力を制御して濡れ性を上げた場合でも、境界部からのインクのあふれを抑制でき、高精細な膜形成が可能である。
(型紙状のマスク)
表面処理を導電性パターンの任意の部分に適用する場合、非適用部分にマスク処理をして行うことができる。
特に前記紫外線照射法の場合、光学マスクを使用することが有効である。光学マスクとしては、フォトレジスト、シャドマスク、ダイレクトマスクなどが挙げられるが、このようなマスクは、表面処理後に特別な除去工程を必要とする。UVオゾン洗浄法を利用する形態の場合、型紙状のマスクを導電性パターン上に当てて任意の領域にのみUVオゾン処理ができる。
基材の表面処理を意図した部分は何も覆っていないので、オゾンとも接触可能であり、表面処理されるが、型紙に覆われた部分はUVが照射されないか、UVが照射されたとしてもオゾンの拡散による侵食が無く、その境界は型紙に忠実で鮮明であることが分かった。
前記型紙状のマスクは設置および除去が簡便であり、工数を低減することができる。この型紙状のマスクの材料は、UVを遮蔽可能な材料またはオゾンを遮蔽可能な材料であれば何でもよく、PET、PE、PP、PEN、シリコーンなどの樹脂、アルミ、ステンレスなどの金属、ガラス、これらの複合材料(混合材料、積層材料、および紙等との積層材料を含む)などが挙げられる。
(機能性膜)
前記機能性膜は電気の作用により機能を発揮する膜であり、透明導電性膜、半導体膜、発光膜、光電変換膜、液晶膜、絶縁性膜などが挙げられる。
本発明において、機能性膜は、機能性材料を含有する機能性インクをインクジェットにより塗布することにより形成される。
機能性膜が透明導電性膜の場合、導電性パターンと合わせて透明電極を形成できる。
透明導電膜を形成する場合、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリパラフェニレンビニレンなど多くの導電性高分子を用いることができる。
その他の機能性材料としては、絶縁材料挙げられる。
絶縁性材料を有する機能性インキは、バインダーとして導電インキと同じくポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリアリルサルホン、ポリアクリレート等の熱可塑樹脂、または、エポキシ樹脂、フェトル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化樹脂を使用し、必要に応じて、絶縁性粉末を用いる。上記絶縁性粉末としては、マイカ、酸化ベリリウム、タルク、酸化マグネシウム、二酸化珪素、アルミナ、窒化硼素、酸化ジルコニウム等の無機粉末が使用でき、その他必要により界面活性剤、チキソ性賦与剤等を加える。
(機能性インク)
前記機能性膜はインクジェット法を用いて前記機能性インクを印字することにより形成される。
透明導電性膜を形成するための機能性インクは、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリパラフェニレンビニレンなどの導電性高分子を含有することが好ましい。
これらの導電性高分子は、水または有機溶媒に溶解され、機能性インクを形成する。
有機溶媒としては、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルフォキシド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。
上記溶媒は複数の溶媒を組み合わせて用いることができるが、主媒体が、水、もしくは極性を有する低沸点の溶剤であることが好ましい。
機能性インクにおける導電性高分子の濃度は0.5〜2.0質量%が好ましい。
(インクジェット記録方法)
インクジェット記録に用いるインクジェットヘッドは、種々の方法を用いることができる。水系ベースから溶剤ベースまで種々の液媒体に適応範囲が広い、ピエゾ型ヘッドを用いることが好ましい。
ドットの抜けが無く、全面を均一にインクで覆うために、液滴サイズは、1pl〜80plであり、ノズル解像度180−1440dpiであることが好ましい。
以下、導電性パターン上に機能性膜として導電性高分子からなる膜を形成する実施例について説明する。
実施例1
表1に示す、基材の準備、基材の前処理、導電性パターン形成、表面処理、機能性膜形成、の工程を順に実施し、試料1〜25を作製した。ただし、表1に「なし」と記載されている欄はその工程を実施せず次の工程に進んだことを表わす。以下に表1の各工程を説明する。
(基材の準備)
基材として、サイズ100mm*150mm、厚さ0.5mmのガラス、およびサイズ100mm*150mm、厚さ0.3mmのPETフィルム(東レ社製)を用意した。両者とも純水及びイソプロピルアルコールを用いて超音波洗浄し、100℃にて乾燥したものを用いた。
(基材の前処理)
表1の前処理の「ポリマーA」は下記フッ素系ポリマーAの濃度1.0質量%のイソプロピルアルコール溶液を用いて、各基材上にスピンコータを用いて、乾燥固形分付きが、30mg/mになるよう塗布し、塗布後80℃にて1時間乾燥したことを表わす。「ポリマーB」は同様に、下記フッ素系ポリマーBの濃度1.0質量%のイソプロピルアルコール溶液を塗布乾燥したことを表わす。
フッ素系ポリマーA:共重合物(アクリル酸Cエステル/アクリル酸n−ブチル/アクリル酸=30/60/10(モノマー質量比)、重量平均分子量=8000)
フッ素系ポリマーB:共重合物(アクリル酸Cエステル/アクリル酸n−ブチル/アクリル酸=25/65/10(モノマー質量比)、重量平均分子量=8000)
なお、試料1〜20は基材の前処理の工程でUV−オゾン処理を施さなかったが、試料21〜25はポリマーAの層を設けた後にジヨードメタンの接触角が21°と成るようにUV−オゾン処理を行った。接触角の測定は下記の方法に準じて行った。
《導電性パターン形成》
表1の通り、下記スクリーン印刷法またはIJ法(インクジェット法)で下記の格子パターン(導電性パターン)を形成した。
(スクリーン印刷法)
銀ナノインキ(平均粒子径80nm,銀固形分量60質量%)をスクリーンメッシュ(#730メッシュ)を用いて、下記パターンのスクリーンにて印刷した。
パターン:縦横1mmピッチラインの格子パターン(格子パターン部分90mm*90mm、線幅50μm)
(インクジェット法)
銀ナノインク(平均粒子径50nm,銀固形分量60質量%)により以下の条件にて、下記パターンを印字した。
インクジェットヘッド名:KM512S(コニカミノルタ製)
液滴量:4pl
ノズル解像度:360dpi
操作方向解像度:3600dpi
1パス印字
基材温度70℃
パターン:縦横1mmピッチラインの格子パターン(格子パターン部分90mm*90mm)
前記基材上に形成された格子パターンを図1(a)に示す。図1(a)において、基材1上に格子パターン2が形成されている。下記の表面処理は、形成された格子パターン2を囲む目標の表面処理境界線3内を、はみ出したり、未処理部分が残ることなく正確に実施することが、前記機能性膜を正確な位置に設けるために好ましい。
(導電性パターンの測定)
上記により、導電性パターンを設けた試料1〜25の基材について、導電性パターンの線幅と高さをWYKOで測定した。
《表面処理》
導電性パターン(1mmピッチラインの格子)を形成後、表1に示したとおり、UV照射またはUV−オゾン処理の表面処理を行った。
(UV照射)
試料2、3は表面処理として下記の条件でUV照射を行った。
装置:光洗浄・光表面処理装置SK100N(有限会社マリオネットワーク製)
ランプと導電性パターンの距離:50mm
照射時間:3分
(UV−オゾン処理)
UV−オゾン洗浄機を用いて、導電パターン部材前面を低圧水銀灯(UV波長254nm,185nm)で30mmの距離から照度2mW/cmで照射し処理を行った。
この時、チャンバー内に、以下の送風条件で大気を送った。
送風条件1 2L/min
送風条件2 4L/min
送風条件3 6L/min
ただし、試料19、20および21では、導電性パターン部に合わせて型紙状のマスク(シリコーンゴムシート製、厚さ5mm)を重ね合わせて、導電性パターン部のみを露出させUV−オゾン処理を行った。試料20では、導電性パターン部に合わせて型紙状のマスク(PET板製、厚さ7mm)を重ね合わせて、導電性パターン部のみを露出させUV−オゾン処理を行った。
図1(b)に型紙状マスクを示す。型紙状マスク4は外周6に囲まれた打ち抜き部分5を有する。図1(a)の目標の表面処理境界線3と型紙状マスクの外周6が重なるように、導電性パターンが形成された基材1に型紙状マスク4を重ね合わせる。
この状態でUV−オゾン処理することにより、目標の表面処理境界線3の内部が正確に表面処理される。
(接触角の測定)
上記により表面処理された試料1〜25の基材の接触角を下記の方法で測定した。
純水に対する接触角:導電性パターン形成後、導電性パターンのない基材部分について、純水に対する接触角を、水滴を付着させてから60秒後に、接触角計DM301共和界面科学社製にて測定した。
(機能性膜形成)
機能性インクとして、PH510(PEDOT/PSSの2%溶液 H.C.Starck製)を導電性パターン部の目標の領域に以下の条件にて印字した。
液滴量 42pl
ノズル解像度360dpi
操作方向解像度 360dpi、720dpi
1パス印字
基材温度:30℃
インクジェットヘッド名:KM512L(コニカミノルタ製)
インク付き量:操作方向解像度を変えて、表1のように調整した。操作方向解像度を360dpiにすることにより厚さ10μmとなり、操作方向解像度を720dpiにすることにより厚さ20μmとなった。
《機能性膜の評価》
上記により、機能性膜を形成した試料1〜25について、下記の測定を行った。
(表面抵抗値)
湿度50%に調湿した試料の機能性膜上から下記抵抗率計を用い四探針法にてシート抵抗を測定。
抵抗率計:ロレスターAX MCP−T370(三菱化学アナリテック社製)
(塗布性評価)
20枚を印字し、はじき故障個所を数えた。
評価5:はじき個数0
評価4:はじき個数1〜2
評価3:はじき個数3〜5
評価2:はじき個数6〜10
評価1:はじき個数11以上
(塗布端部評価)
設計位置と機能性膜外周とのずれを計測した。4辺について各辺5点を計測し、合計20点のずれの絶対値の平均値を求めた。
評価5:50μm未満
評価4:50μm以上100μm未満
評価3:100μm以上300μm未満
評価2:300μm以上1mm未満
評価1:1mm以上
結果を表1に示す。
Figure 0005578128
表1より、表面処理を行うことにより機能性膜を形成する際のハジキが減少し、塗布性が向上することが分かる。また、表面処理が親水化処理であって、表面処理後の純水の接触角が5°以上であるとグリッド抵抗が低く、20°以下であると塗布性が良いことがわかる。また、表面処理が型紙状マスクを通してUV−オゾン処理により施された場合は、塗布性に優れ、塗布端部のズレが小さく狙い通りの範囲に機能性膜が形成されることが分かる。

Claims (3)

  1. 基材上に形成された導電性パターンの表面の少なくとも一部に、型紙状のマスクを通して施されるUV−オゾン処理により表面処理を行った後、機能性インクをインクジェット法を用いて該表面処理を行った導電性パターン上に付与することで機能性膜を形成することを特徴とする導電性パターン部材形成方法。
  2. 前記機能性インクを付与する領域にのみ前記表面処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の導電性パターン部材形成方法。
  3. 前記基材がガラスであり、導電性パターン部の表面が、導電性パターンの表面Aおよび該導電性パターンに囲まれ該導電性パターンに覆われていない基材の表面Bからなり、前記表面処理後の表面Bに対する純水の接触角が5°以上20°以下になるように処理することを特徴とする請求項1または2に記載の導電性パターン部材形成方法。
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