JP2015192066A - 凹部を有するオルガノポリシロキサン膜の製造方法、積層体の製造方法、トランジスタの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面に凹部を有し、凹部内面と膜表面との間の接触角の差が大きく、欠陥の発生が抑制されたオルガノポリシロキサン膜を製造することができる、凹部を有するオルガノポリシロキサン膜の製造方法を提供する。【解決手段】Si−O結合を骨格とし、Si−R基を含有するオルガノポリシロキサン膜の表面の一部に紫外線を照射し、紫外線が照射された領域を撥水性領域から親水性領域に変換する工程と、紫外線が照射されたオルガノポリシロキサン膜とアルカリ溶液とを接触させ、所定のエッチング位置決定方法にて算出される深さ位置DX以内の範囲で、紫外線が照射された領域をエッチングし、オルガノポリシロキサン膜の表面に凹部を形成する工程と、を備える、凹部を有するオルガノポリシロキサン膜の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、凹部を有するオルガノポリシロキサン膜の製造方法、積層体の製造方法、トランジスタの製造方法に関する。
近年、印刷法やインクジェット法などを用いて電極ペーストなどの機能性材料を塗布し、機能性材料のパターニングをすることが数多く行われている。
一方で、単なる基板に液体を塗布した場合、液体が濡れ広がってしまうため、所望のパターニングができにくいというデメリットがある。そのため、被塗布表面を、親水性の領域と撥水性の領域とにパターニングすることで、いずれか一方の領域に選択的に液体を引き寄せることができ、精度の良いパターニングが可能となる技術が知られている。
上記のような親水性領域および撥水性領域を含むパターンを形成する方法としては、例えば、特許文献1においては、基材上に配置された、Si−O結合を主として、Siに疎水性置換基を直接接合された薄膜に励起光を照射し、薄膜にOH基と疎水性置換基とを有するようにする方法が開示されている。
また、特許文献2においては、親水性領域および疎水性領域に関する記載はないが、オルガノポリシロキサン膜の所定パターンの領域に、紫外線照射などのSiO化処理を施して、オルガノポリシロキサンをSiOに変化させ、アルカリエッチング液によりオルガノポリシロキサンをエッチングする技術が開示されている。
特開2012−91352号公報 特開2005−238789号公報
一方、近年、電子機器の高性能化に伴い、配線パターンや電極パターンなどのより一層の高精細化が求められている。
上記特許文献1に記載の方法では、表面に親水性領域および撥水性領域を含むパターンが形成され、その表面上に塗布した電極ペーストなどが一方の領域に比較的集まり易いが、形成されるパターン精度は昨今要求されるレベルを必ずしも満たしておらず、より一層の向上が必要であった。
また、特許文献2に記載の方法では、SiO化処理を施した部分をアルカリエッチング液にてエッチングする技術が記載されているが、そもそも親水性および撥水性のパターン形成については全く触れられていない。また、特許文献2の方法では紫外線照射などのSiO化処理が施された部分がアルカリエッチング液により全て除去されているが、本発明者らがこの態様について検討を行ったところ、例えば、アルカリエッチング液に長時間接触させてSiO化処理された部分を除去しようとしすぎると、膜の剥がれが一部生じしてしまい、欠陥が発生する。また、SiO化処理が施されていない領域での接触角が低下するため、SiO化処理を施した領域とSiO化処理が施されていない領域とでの親水性と撥水性との差(親撥コントラスト)が低下してしまうため、電極ペーストなどをその表面に付与した際に、一方の領域に集まりにくくなってしまう。
本発明は、上記実情を鑑みて、表面に凹部を有し、凹部内面と膜表面との間の接触角の差が大きく、欠陥の発生が抑制されたオルガノポリシロキサン膜を製造することができる、凹部を有するオルガノポリシロキサン膜の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、積層体の製造方法、および、トランジスタの製造方法を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、紫外線照射が施された領域でのエッチング深さを制御することにより、上記課題が解決できることを見出した。すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) Si−O結合を骨格とし、Si−R基を含有するオルガノポリシロキサン膜の表面の一部に紫外線を照射し、紫外線が照射された領域を撥水性領域から親水性領域に変換する工程と、
紫外線が照射されたオルガノポリシロキサン膜とアルカリ溶液とを接触させ、後述するエッチング位置決定方法にて算出される深さ位置D以内の範囲で、紫外線が照射された領域をエッチングし、オルガノポリシロキサン膜の撥水性の表面に親水性の内面を有する凹部を形成する工程と、を備える、凹部を有するオルガノポリシロキサン膜の製造方法。
なお、Rは、1価の炭化水素基を表す。
(2) Rが、メチル基である、(1)に記載の凹部を有するオルガノポリシロキサン膜の製造方法。
(3) エッチングを、深さ位置D×4/5〜深さ位置Dの範囲にて行う、(1)または(2)に記載の凹部を有するオルガノポリシロキサン膜の製造方法。
(4) 紫外線が照射された領域のみに、アルカリ溶液を留まらせる、(1)〜(3)のいずれかに記載の凹部を有するオルガノポリシロキサン膜の製造方法。
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法より得られるオルガノポリシロキサン膜の凹部に導電膜形成用組成物を付与して、導電膜を形成する工程を備える、オルガノポリシロキサン膜と導電膜とを備える積層体の製造方法。
(6) 基板と、基板上に配置されたゲート電極と、ゲート電極を覆うように配置されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に配置されたソース電極、ドレイン電極、および、半導体膜とを備えるトランジスタの製造方法であって、
ゲート絶縁膜が、Si−O結合を骨格とし、Si−R基を含有するオルガノポリシロキサン膜からなり、
ゲート絶縁膜の表面の一部に紫外線を照射し、紫外線が照射された領域を撥水性領域から親水性領域に変換する工程と、
紫外線が照射されたゲート絶縁膜とアルカリ溶液とを接触させ、後述するエッチング位置決定方法にて算出される深さ位置D以内の範囲で、紫外線が照射された領域をエッチングし、ゲート絶縁膜の撥水性の表面に親水性の内面を有する凹部を形成する工程と、
凹部に電極形成用組成物を付与して、ソース電極およびドレイン電極を形成する工程とを備える、トランジスタの製造方法。
なお、Rは、1価の炭化水素基を表す。
(7) ゲート絶縁膜の表面とソース電極の表面との間、および、ゲート絶縁膜の表面とドレイン電極の表面との間で、実質的に段差がない、(6)に記載のトランジスタの製造方法。
(8)基板と、基板上に配置されたゲート電極と、ゲート電極を覆うように配置されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に配置されたソース電極、ドレイン電極、および、半導体膜とを備えるトランジスタの製造方法であって、
ゲート絶縁膜が、Si−O結合を骨格とし、Si−R基を含有するオルガノポリシロキサン膜からなり、
ゲート絶縁膜上にソース電極およびドレイン電極を形成する工程と、
ソース電極およびドレイン電極の間のゲート絶縁膜の表面の少なくとも一部に紫外線を照射し、紫外線が照射された領域を撥水性領域から親水性領域に変換する工程と、
紫外線が照射されたゲート絶縁膜とアルカリ溶液とを接触させ、後述するエッチング位置決定方法にて算出される深さ位置D以内の範囲で、紫外線が照射された領域をエッチングし、ゲート絶縁膜の撥水性の表面に親水性の内面を有する凹部を形成する工程と、
凹部に半導体膜形成用組成物を付与して、半導体膜を形成する工程とを備える、トランジスタの製造方法。
なお、Rは、1価の炭化水素基を表す。
(9) エッチングを、深さ位置D×4/5〜深さ位置Dの範囲にて行う、(6)〜(8)のいずれかに記載のトランジスタの製造方法。
本発明によれば、表面に凹部を有し、凹部内面と膜表面との間の接触角の差が大きく、欠陥の発生が抑制されたオルガノポリシロキサン膜を製造することができる、凹部を有するオルガノポリシロキサン膜の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、積層体の製造方法、および、トランジスタの製造方法を提供することもできる。
本発明のオルガノポリシロキサン膜の製造方法の一実施形態を工程順に示す断面図である。 紫外線が照射されたオルガノポリシロキサン膜の一部拡大断面図である。 本発明のオルガノポリシロキサン膜中の紫外線が照射された領域での炭素濃度の深さ方向の二次イオンプロファイル(深さプロファイル)を説明する模式図である。 本発明の積層体の製造方法の一実施形態を工程順に示す断面図である。 本発明のトランジスタの製造方法の一実施形態を工程順に示す断面図である。 本発明のトランジスタの製造方法の他の実施形態を工程順に示す断面図である。
以下に、本発明の凹部を有するオルガノポリシロキサン膜の製造方法、積層体の製造方法、および、トランジスタの製造方法について説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
まず、本発明の特徴点を詳述する。本発明の特徴点の一つとしては、紫外線照射が施された領域でのエッチング深さを制御している点が挙げられる。紫外線照射が施される前のオルガノポリシロキサン膜には、Si−R基(Rは、1価の炭化水素基を表す。)が含まれるため、その表面は撥水性を示す。このオルガノポリシロキサン膜に対して紫外線を照射すると、紫外線が照射された領域において、Si−R結合の切断が起こり、R基が除去され、Si−OH基が形成されて、その表面は親水性を示すことになる。このようなSi−R結合の切断は、紫外線が照射された領域の深さ方向においても生じるため、一定の深さ方向にわたって親水性領域が形成される。なお、一度Si−R結合が切れると、その領域での紫外線吸収が起こらなくなるため、紫外線照射時間をのばすことにより、より深い位置まで紫外線を照射させることができ、Si−OH基を形成させることができる。また、紫外線照射時の光源のパワーを上げることにより、より深い位置までSi−OH基を形成することもできる。つまり、本発明では、紫外線の照射時間や照射エネルギーを調整することにより、精密にSi−R結合の切断領域の範囲を制御することが可能となる。
また、このような親水性領域とアルカリ溶液とを接触させると、親水性領域のエッチングが進行し、親水性を示す内面(表面)を有する凹部が形成される。凹部が形成されることにより、電極ペーストなどがその位置に留まりやすくなる。ただし、凹部の段差をより生じさせようとするために、長時間アルカリ溶液と接触させる処理などを実施すると、欠陥が生じることがある。また、アルカリ溶液により膜表面が改質されてしまい、撥水特性が低下してしまう。本発明者らは、所定の深さ位置D以内でエッチングする処理を実施することにより、上記凹部の段差の程度と、膜表面の撥水性と凹部内面の親水性との差異の大きさの程度とのバランスがより優れることを見出している。
また、本発明のさらなる効果として、エッチングの範囲をより制御することにより、ロット間での凹部の段差の違いがより小さくなる(製造再現性が向上する)ことを見出している。まず、紫外線照射の際、膜表面のほうがSi−R結合の切断が生じやすく、深さ方向に行くにしたがってSi−R結合の切断が生じにくくなる。そのため、膜表面近傍においてより親水性のより高い領域が生じやすい。ある所定の段差の凹部を形成しようとする際に、深い位置まで紫外線を浸透させてその表面の一部を除去しようとすると、その表面近傍の領域では高い親水性のためにエッチング速度が非常に速いため、エッチング条件(エッチング液の温度、濃度など)の少しの差によって凹部の段差の大きさがロット間で大きく異なる場合がある。それに対して、所定の深さ位置D近傍でのエッチング速度は、表面近傍でのエッチング速度と比較して小さい。そのため、ある所定の段差の凹部を形成しようとする際に、深さ位置Dが凹部の所望の段差の大きさとなるように紫外線を照射して、その後、深さ位置D近傍までエッチングを行う態様であれば、ロット間での凹部の再現性が高いことを見出している。
なお、本明細書において、撥水性および親水性とは、両者の間に濡れ性(接触角)の違いあることを示す文言であり、それぞれの領域の接触角の大きさを示すものではない。
以下では、まず、凹部を有するオルガノポリシロキサン膜の製造方法について詳述し、その後、積層体の製造方法およびトランジスタの製造方法について詳述する。
<凹部を有するオルガノポリシロキサン膜の製造方法>
凹部を有するオルガノポリシロキサン膜の製造方法は、オルガノポリシロキサン膜に対して紫外線を照射する工程(紫外線照射工程)と、紫外線が照射されたオルガノポリシロキサン膜をエッチングする工程(エッチング工程)とを備える。
以下、工程毎に、使用される材料およびその手順について詳述する。
[紫外線照射工程]
紫外線照射工程は、Si−O結合を骨格とし、Si−R基(Rは、1価の炭化水素基を表す。)を含有するオルガノポリシロキサン膜の表面の一部に紫外線を照射し、紫外線が照射された領域を撥水性領域から親水性領域に変換する工程である。
以下では、本工程で使用されるオルガノポリシロキサン膜について詳述し、その後、工程の手順について詳述する。
(オルガノポリシロキサン膜)
本工程で使用される膜は、Si−O結合(≡Si−O−結合)を骨格とし、Si−R基(≡Si−R基)(Rは、炭化水素基を表す)を含有するオルガノポリシロキサン膜である。このオルガノポリシロキサン膜は、紫外線が照射される膜であり、いわゆる前駆体膜である。
オルガノポリシロキサン膜とは、Si−O結合(シロキサン結合)を骨格として含む膜であるが、このSi−O結合を主骨格として含むことが好ましい。なお、主骨格とは、FT−IR測定において、Si−O結合由来のピーク強度が、他の結合由来のピーク強度と比較して、最も高いことを意図する。
なお、オルガノポリシロキサン膜は、Si−O結合を介して三次元的にネットワーク状に連結していることが好ましい。
オルガノポリシロキサン膜は、Si−R基を有する。Rは1価の炭化水素基を表すため、オルガノポリシロキサン膜の表面は撥水性を示す。
1価の炭化水素としては、1価の脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基(例:メチル基、エチル基、プロピル基)、アルケニル基など)、または、1価の芳香族炭化水素基(例:フェニル基)が挙げられ、導電膜の導電性がより優れる点で、1価の脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
なお、上記オルガノポリシロキサン膜は、Q単位(SiO)とT単位(RSiO3/2。R基の定義は上述の通りである)とを少なくとも有するともいえる。特に、Q単位が主骨格として含まれる膜であることが好ましい。
なお、Q単位はケイ素原子に結合した有機基(ケイ素原子に結合した炭素原子を有する有機基)を有しない単位であるが、本明細書中においては、オルガノシロキサン単位とみなす。つまり、本明細書中において、オルガノシロキサン単位とは、M単位、D単位、T単位、Q単位が挙げられる。
オルガノポリシロキサン膜の形成方法は特に制限されず、公知の方法を採用でき、例えば、(1)ケイ素含有化合物を用いたcat−CVDまたはプラズマCVDや、(2)ケイ素含有化合物を塗布して焼成する方法が挙げられる。
上記(1)の方法の場合、ケイ素含有化合物としては、モノメチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、テトラメチルシランなどの常温大気圧下でガスである原料(シラン系ガス)を用いることが好ましい。上記(1)の場合、上記のシラン系ガスをプラズマに導入し、プラズマCVD法またはcat−CVD法を用いることで、Si−O結合を骨格とし、Si−R(Rは、1価の炭化水素基を表す。)基を有するオルガノポリシロキサン膜が作製可能となる。
なお、常温でガスである原料とは、通常の実験室で加熱機構なしに原料が供給できる気体(25℃で1000Pa以上の蒸気圧を有する)を指す。
また、上記(2)の場合、例えば、下式で表されるMSQ・有機SOG材料と呼ばれるメチルシロキサン材料、または、これらの材料と類似構造を有する、Si−R基(特に、Si−CH3結合)を有し、Si−O結合を主成分とする材料、例えば、日立化成製HSG、ハネウエル社製HOSP・アルバックULKS Ver3などの市販材料を、Si−O結合を骨格としSi−R基が残存する条件で塗布・焼成することで、プラズマ重合よりも安価でオルガノポリシロキサン膜を作製することができる。
オルガノポリシロキサン膜の平均厚みは特に制限されないが、凹部の形成が容易である点から、10〜1000nmが好ましく、10〜300nmがより好ましい。なお、平均厚みは、オルガノポリシロキサン膜の任意の10点の厚みを測定し、それらを算術平均したものである。
オルガノポリシロキサン膜の純水に対する接触角は特に制限されないが、膜表面と凹部内面との接触角の差がより大きい点で、70°以上が好ましく、80°以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、Si−R結合を有する平坦面の理論接触角で決まり、100°未満の場合が多い。本発明は、エッチング深さをコントロールするものであるから、凹凸による超撥水効果を有さない範囲が好ましい。
なお、接触角の測定方法としては、接触角測定装置DM−500(協和界面科学社製)を用いて測定する。より具体的には、測定には純水を用い、着滴から測定までの待ち時間を5秒として、JIS−R3257に記載してある「静滴法」に準拠したθ/2法で測定する。
また、オルガノポリシロキサン膜は、必要に応じて、所定の基材上に形成してもよい。
基材としては、例えば、シリコン基材、ガラス基材、金属基材、セラミック基材、または、樹脂基材などが挙げられる。なかでも、フレキシブル性に優れる点で、樹脂基材が好ましい。
本工程で使用される基材の材質が樹脂である場合、樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN))、ポリアセタール樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、セルロース誘導体などが挙げられる。
なかでも、ポリエステル樹脂であることが好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレンナフタレート(PEN)であることがより好ましい。
すなわち、樹脂基材はポリエステル樹脂基材であることが好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)基材またはポリエチレンナフタレート(PEN)基材であることがより好ましい。
基材の厚さは特に制限されないが、1〜1000μmであることが好ましい。
(工程の手順)
本工程では、上記オルガノポリシロキサン膜の表面の一部の領域に紫外線を照射し、紫外線が照射された領域を撥水性領域から親水性領域に変換する工程である。上述したように、オルガノポリシロキサン膜にはSi−R基が含まれるため、その膜表面は撥水性を示す。このオルガノポリシロキサン膜に対して紫外線を照射することにより、Si−R結合が切断され、Si−OH基に変換され、紫外線が照射された領域が撥水性領域から親水性領域へと変換される。
より具体的には、図1(A)に示すように、上述したオルガノポリシロキサン膜10を用意する。用意されたオルガノポリシロキサン膜の表面にはSi−R基が存在している。次に、図1(B)に示すように、このオルガノポリシロキサン膜10の一部の領域に紫外線を照射すると、Si−R基がSi−OH基に転化され、図1(C)に示すように、Si−R基が残存する撥水性を示す第1領域12と、親水性を示す第2領域14とを有するパターン含有オルガノポリシロキサン膜16が形成される。
紫外線の波長は特に制限されないが、通常、400nm以下であればよい。
紫外線照射の好適な光源としては、低圧水銀灯(254nmと185nmの混合)、または、Xeガスのエキシマランプ(172nm)が好ましい。本発明においては、波長200nm以下の光が有効に作用していると推測される。
紫外線の照射時間は、5〜1800秒が好ましく、30〜600秒がより好ましい。
なお、紫外線照射を行う雰囲気は、大気中などの酸素雰囲気中、または減圧状態のいずれであってもよいが、大気中などの酸素雰囲気中とするのが好ましく、水蒸気が存在することがより好ましい。これにより、SiとRとが切断されるのとほぼ同時に、大気中の酸素や水蒸気などがUV光下でオゾンや活性酸素となるため、大気中に存在する酸素分子から酸素原子が効率よく導入されるため、Si−OH基やSi−O−Si結合に変化させることができる。
紫外線の照射領域はオルガノポリシロキサン膜表面の一部の領域であり、その領域の形状は特に制限されない。
また、照射領域のパターンは、例えば、開口メタルマスクをコンタクトするなどの方法で作製できる。光源の波長を変えることで、アライナーやステッパーなどの装置も使用可能である。
なお、開口メタルマスクで精度が出ない場合は、コヒーレント光(志向性の高い光)を用いて照射することで、迷光を防ぐことができ、パターン精度を上げることが可能である。例えば、エキシマレーザーなどの志向性の高い光でパターンを描くことができる。
紫外線が照射された領域の純水に対する接触角は特に制限されないが、膜表面と凹部内面との接触角の差がより大きい点で、20°以下が好ましく、10°以下がより好ましい。
なお、接触角の測定方法は、上述の通りである。
上述したように、紫外線が照射された領域においては、深さ方向にわたってSi−R基の切断が進行するため、所定の深さまでSi−R基の濃度が低下している領域(親水性領域)が形成される。より具体的には、図2に示すように、所定の深さTまでSi−R基の濃度が他の領域よりも低い親水性領域18が形成される。つまり、紫外線が照射された領域の表面から所定の深さ方向にわたった上層領域(改質層)においては、Si−R基の濃度が他の領域よりも低い。この領域は、他の領域と比較して、後述するアルカリ溶液に溶解しやすく、エッチングされやすい。結果として、凹部が形成される。
また、オルガノポリシロキサン膜の深さ方向にどの程度紫外線を照射するかは特に制限されないが、所望(所定)の大きさの段差の凹部を形成しようとする際には、後述する深さ位置Dが、凹部の所望の段差の大きさとなるように調整することが好ましい。
[エッチング工程]
エッチング工程は、紫外線が照射されたオルガノポリシロキサン膜(オルガノポリシロキサン膜表面)とアルカリ溶液とを接触させ、後述するエッチング位置決定方法にて算出される深さ位置D以内の範囲で、紫外線が照射された領域をエッチングし、オルガノポリシロキサン膜の撥水性の表面に親水性の内面(表面)を有する凹部を形成する工程である。上述したように、紫外線が照射された領域では、Si−R基がSi−OH基に転化され、この領域ではアルカリ溶液に対する溶解性が増加する。そのため、アルカリ溶液に接触させると、表面から所定の深さ方向に渡ってオルガノポリシロキサン膜の一部が除去される。本工程を実施することにより、所定の深さの凹部が形成される。なお、凹部内面は、オルガノポリシロキサン膜の表面よりもより親水化されている。
より具体的には、図1(C)に示す第1領域12および第2領域14を有するパターン含有オルガノポリシロキサン膜16とアルカリ溶液とを接触させると、図1(D)に示すように、第2領域14の表面から深さ位置D以内の範囲が除去されて、凹部20が生じる。このような凹部による段差ができると、その凹部に付与された液体が留まりやすくなり、形成されるパターン形状がより向上する。
以下では、まず、本工程で使用される材料(アルカリ溶液)について詳述し、その後工程の手順について詳述する。
(アルカリ溶液)
使用されるアルカリ溶液の種類は特に制限されず、アルカリ性を示す溶液であればよいが、上記段差が生じやすく、第1領域および第2領域の親撥特性の差がより維持される点で、つまり、SiOの骨格そのもの(紫外線未照射領域の膜部分)が溶解しにくいという点で、pH9.0未満のアルカリ溶液が好ましく、溶解を防ぐという観点では、pH8.5以下がより好ましい。一方、エッチング工程の時間を短くするという観点では、pHが高い方が好ましく、pH7.5以上が好ましい。
アルカリ溶液には、通常、溶媒が含まれるが、その種類は特に制限されず、水または有機溶媒が挙げられる。
このようなアルカリ溶液としては、例えば、NaOH、KOHのようなアルカリ金属水酸化物の水溶液、Mg(OH)のようなアルカリ土類金属水酸化物の水溶液、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの水溶液などが挙げられる。また、pHが安定しているという点で、緩衝液系も好まれる。例えば、東京化成製のKHPO−NaOHの混合液系や、HBO−KCl−NaOHの混合液系などが挙げられる。
(工程の手順)
オルガノポリシロキサン膜(オルガノポリシロキサン膜表面)とアルカリ溶液との接触方法は特に制限されず、公知の方法が採用される。例えば、アルカリ溶液をオルガノポリシロキサン膜上に塗布する方法や、アルカリ溶液中にオルガノポリシロキサン膜を浸漬する方法が挙げられる。なお、塗布する方法としては、インクジェット法、ディスペンサー法などを用いて公知の方法が使用される。
オルガノポリシロキサン膜とアルカリ溶液との接触時間は、後述する深さ位置D以内の範囲のエッチングができれば特に制限されない。
アルカリ溶液の温度は特に制限されないが、0〜100℃程度であるのが好ましく、15〜75℃程度であるのがより好ましい。
なお、アルカリ溶液は、紫外線が照射された領域のみに留まらせることが好ましい。つまり、膜上にアルカリ溶液を付与し、紫外線が照射された領域のみにアルカリ溶液が留まり、紫外線が照射されていない領域ではアルカリ溶液が弾かれることが好ましい。
紫外線が照射された領域のエッチングは、後述するエッチング位置決定方法にて算出される深さ位置D以内にて実施される。つまり、オルガノポリシロキサン膜の表面から最大でも深さ位置Dの範囲でエッチングが実施される。
以下、エッチング位置決定方法について詳述する。
エッチング位置決定方法では、まず、オルガノポリシロキサン膜の紫外線が照射された領域の表面(紫外線が照射された側の表面)から深さ方向に向かって、ダイナミック二次イオン質量分析(d−SIMS分析)を行い、炭素濃度(炭素原子濃度)の深さプロファイル(炭素濃度の深さ方向の二次イオンプロファイル)を得る。図3に、オルガノポリシロキサン膜の深さ方向の二次イオンプロファイルの一例を示す。図3中の横軸はオルガノポリシロキサン膜の深さ(nm)、縦軸はオルガノポリシロキサン膜中の炭素濃度(atoms/cm)を示す。なお、縦軸は常用対数での表記を意図する。図3中、深さが0はオルガノポリシロキサン膜の表面位置を意図する。
なお、ダイナミック二次イオン質量分析(d−SIMS分析)は、深さ方向において元素分析を実施できる装置であり、本明細書では、Physical Electronics製 PHI 6650を使用する。また、加速電圧3.0kVのCsを一次イオンとして照射する。なお、検出領域は、80×103(μm×μm)である。なお、膜の全膜厚はエリプソメトリー法により決定する。d−SIMS分析での深さは、エッチングが膜厚方向に同一に進むと仮定して、エッチング時間から換算して決定する。
上述したように、紫外線を照射した領域においては所定の深さにわたってSi−R基の切断が進行し、R基が除去される。そのため、図3に示すように、オルガノポリシロキサン膜の表面近傍では、R基に由来する炭素濃度が低い。本明細書では、炭素濃度が最小値を示す深さ位置(深さ位置D)を一つの基準点して、その深さ位置Dよりも深い位置にある位置を、深さ位置Dとする。
紫外線はオルガノポリシロキサン膜の深さ方向に行くにつれて届きにくくなるため、オルガノポリシロキサン膜中の炭素濃度は深さ位置Dの最小値から徐々に増加していき、所定の深さ位置において最大値を示す。なお、図3に示すように、所定の深さ以降においては、炭素濃度は略一定値を示し、いわゆるプラトー領域(飽和領域)を示す。
次に、得られたプロファイルから、プラトー領域の炭素濃度を検出して、その炭素濃度の1/3の値となる炭素濃度(図3中、「濃度1/3地点」)を示す深さ位置を、深さ位置Dとする。例えば、プラトー領域の炭素濃度が6×1022atoms/cmである場合、炭素濃度が2×1022atoms/cmを示す位置を深さ位置Dとする。
上記アルカリ溶液によるエッチングは、この深さ位置D以内の位置にて実施される。
なお、プラトー領域は、深さプロファイルにおいて、常用対数(log10)表記での炭素濃度(atoms/cm)の変化幅が0.2以内で深さ方向に5nmにわたってある領域を意図する。また、プラトー領域の炭素濃度とは、この領域での平均値を意図する。
上記工程でのエッチングの最大値は上記深さ位置D(nm)である。
深さ位置Dの値は形成されるオルガノポリシロキサン膜の膜厚などにより変わるが、通常、オルガノポリシロキサン膜の厚みT1よりも小さく、DxとT1との比(D/T1)は0.95未満が好ましく、0.90未満がより好ましい。
エッチングの最小値は特に制限されないが、各種液体がより留まりやすい点、1nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましい。
また、本工程でのエッチング深さの好ましい範囲としては、ロット間での凹部の再現性がより優れる点で、深さ位置D×4/5〜深さ位置Dの範囲でエッチングすることが好ましく、深さ位置D×9/10〜深さ位置Dの範囲がより好ましい。上記「深さ位置D×4/5」とは、深さ位置Dの大きさの5分の4の深さ位置を意図し、例えば、深さ位置Dが100nmであった場合、「深さ位置D×4/5」は80nmとなり、80〜100nmの範囲でエッチングすることが好ましい。
<凹部を有するオルガノポリシロキサン膜>
上述した方法により得られたオルガノポリシロキサン膜は、その表面に凹部を有する。
上述したように、オルガノポリシロキサン膜の表面にはSi−R基が多数存在するため撥水性を示し、凹部の内面(特に、底面)にはSi−R基の存在量が少なく、代わりにSi−OH基などが存在するため親水性を示す。より具体的には、図1(D)中のオルガノポリシロキサン膜表面(第1領域12に該当)は疎水性を、凹部20の内面(表面)は親水性を示す。
なお、オルガノポリシロキサン膜の表面(第1領域12に該当)の純水に対する接触角の大きさは、上述した通りである。
また、凹部の内面(表面)の純水に対する接触角の大きさは、紫外線が照射された領域の純水に対する接触角の大きさの定義と同義である。
形成された凹部の段差(段差高さ)は特に制限されないが、各種液体がより留まりやすい点、および、生産性の点から、1nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、通常、上述したDに該当する。
上記手順により得られた凹部を有するオルガノポリシロキサン膜は種々の用途に適用することができ、例えば、電極および配線層を形成するための基材(絶縁基材)、トランジスタのゲート絶縁膜、配線の層間絶縁膜などが挙げられる。
<積層体の製造方法>
上述した凹部を有するオルガノポリシロキサン膜は絶縁特性に優れる点から、絶縁膜として好適に使用することができる。つまり、凹部を有するオルガノポリシロキサン膜の製造方法は、オルガノポリシロキサン膜および導電膜を備える積層体の製造に好適に使用することができる。
より具体的には、オルガノポリシロキサン膜および導電膜を備える積層体の製造方法は、少なくとも以下の3つの工程を備えることが好ましい。
紫外線照射工程:Si−O結合を骨格とし、Si−R基(Rは、1価の炭化水素基を表す。)を含有するオルガノポリシロキサン膜の表面の一部に紫外線を照射し、紫外線が照射された領域を撥水性領域から親水性領域に変換する工程
エッチング工程:紫外線が照射されたオルガノポリシロキサン膜とアルカリ溶液とを接触させ、上述したエッチング位置決定方法にて算出される深さ位置D以内の範囲で、紫外線が照射された領域をエッチングし、オルガノポリシロキサン膜の撥水性の表面に親水性の内面(表面)を有する凹部を形成する工程
導電膜形成工程:凹部に導電膜形成用組成物を付与して、導電膜を形成する工程
紫外線照射工程とエッチング工程は上述した通りであり、説明を省略する。以下では、主に、導電膜形成工程について詳述する。
[導電膜形成工程]
上記紫外線照射工程およびエッチング工程を実施することにより、図4(A)に示す、凹部20を有するオルガノポリシロキサン膜22が形成される。
導電膜形成工程では、形成された凹部に導電膜形成用組成物を付与して、導電膜を形成する工程である。より具体的には、図4(B)〜(C)に示すように、凹部20に導電膜形成用組成物24を付与し、凹部20内にて導電膜26を形成する。凹部によって生じる段差のために導電膜形成用組成物が凹部内に留まりやすくなり、パターン形状が保持されやすくなる。特に、導電膜形成用組成物が親水性である場合、その効果が大きくなる。
以下では、まず、本工程で使用される材料について詳述し、その後工程の手順について詳述する。
(導電膜形成用組成物)
導電膜形成用組成物(以後、単に「組成物」とも称する)としては、導電膜を形成し得る公知の材料を含む組成物を使用することができ、例えば、金属粒子、金属酸化物粒子、または、導電性有機材料(導電性高分子)を含む組成物が挙げられる。
金属粒子および金属酸化物粒子に含まれる金属原子の種類は特に制限されないが、例えば、金原子、銀原子、アルミニウム原子、銅原子、クロム原子、ニッケル原子、コバルト原子、白金原子、パラジウム原子、ロジウム原子、イリジウム原子などが挙げられる。また、これらの原子が複数以上混合している合金でも構わない。また、導電性有機材料としては、後述するゲート電極で使用される導電性高分子や、炭素材料が挙げられる。
金属粒子および金属酸化物粒子の平均1次粒子径は特に制限されないが、組成物中での分散安定性がより優れ、得られる導電膜の導電性がより優れる点で、100nm以下が好ましく、10〜60nmであることが好ましい。平均1次粒子径の下限は特に制限されないが、1nm以上であることが好ましい。
なお、上記平均1次粒子径は、日本電子(株)社製の透過型電子顕微鏡TEM2010(加圧電圧200kV)を用いて撮影された画像から任意に選択した一次粒子1000個の粒子径(円相当径)を測定し、それらを算術平均して求める。なお、円相当径とは、観察時の粒子の投影面積と同じ投影面積をもつ真円を想定したときの円の直径である。
組成物には、必要に応じて、溶媒が含まれる。使用される溶媒の種類は特に制限されず、水や有機溶媒が挙げられる。
特に、凹部内に組成物がより留まりやすい点で、親水性溶媒(例えば、水、親水性有機溶媒(例えば、アルコール系溶媒、アセトン系溶媒など))が組成物中に含まれることが好ましい。
(工程の手順)
上記組成物を凹部に付与する方法は特に制限されず、公知の方法が採用される。例えば、スクリーン印刷法、インクジェット法などが挙げられる。
なお、組成物中に親水性溶媒が含まれる場合は、組成物をオルガノポリシロキサン膜上に公知の方法で塗布すると、膜表面の撥水特性によって組成物が弾かれ易く、かつ、凹部内の親水特性によって組成物が引き寄せられ易くなるため、自発的に組成物が凹部内に留まる形態が達成されやすい。なお、塗布の方法としては公知の方法が採用でき、例えば、ディップコーティング法、スプレー塗布法、スピンコーティング法などが挙げられる。
組成物を凹部に付与した後は、必要に応じて、乾燥処理が実施されてもよい。乾燥処理を実施することにより、凹部内から溶媒が除去され、導電膜のクラックなどの発生が抑制される。
乾燥処理の方法は特に制限されず、例えば、公知の加熱処理が挙げられる。乾燥処理の温度は特に制限されないが、40〜100℃であることが好ましい。乾燥処理の時間も特に制限されないが、1〜30分であることが好ましい。
凹部に付与された組成物から導電膜を形成する方法は、使用される組成物中の材料の種類に応じて最適な方法が選択される。
例えば、金属粒子および金属酸化物粒子が組成物中に含まれる場合、加熱処理および光照射処理のうち少なくとも一方の処理を行い、導電膜を形成することが好ましい。
加熱処理および/または光照射処理を行うことにより、金属同士の融着が進行し、導電膜が形成される。より具体的には、例えば、金属粒子が組成物中に含まれる場合は、上記処理を実施することにより、金属粒子が互いに融着してグレインを形成し、さらにグレイン同士が接着・融着して導電膜を形成する。また、例えば、金属酸化物粒子が組成物中に含まれる場合は、上記処理を実施することにより、金属酸化物粒子が還元して得られる金属粒子同士が互いに融着してグレインを形成し、さらにグレイン同士が接着・融着して導電膜を形成する。
なお、光照射処理を実施した場合、金属粒子または金属酸化物粒子が光を吸収し、熱に変換する光熱変換物質として働き、膜中に熱を伝達させる役割を果たしていると推測される。
加熱処理の条件は、使用される材料の種類によって適宜最適な条件が選択される。なかでも、短時間で、導電性により優れる導電膜を形成することができる点で、加熱温度は100〜300℃が好ましく、130〜250℃がより好ましく、また、加熱時間は5〜120分が好ましく、10〜60分がより好ましい。
なお、加熱手段は特に制限されず、オーブン、ホットプレート等公知の加熱手段を用いることができる。
光照射処理は、上述した加熱処理とは異なり、室温にて組成物が付与された部分に対して光を短時間照射することで金属への還元および焼結が可能となり、長時間の加熱によるオルガノポリシロキサン膜の劣化が起こらず、導電膜のオルガノポリシロキサン膜との密着性がより良好となる。
光照射処理で使用される光源は特に制限されず、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯などがある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
具体的な態様としては、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光、赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
光照射は、フラッシュランプによる光照射が好ましく、フラッシュランプによるパルス光照射であることがより好ましい。高エネルギーのパルス光の照射は、塗膜を付与した部分の表面を、極めて短い時間で集中して加熱することができるため、オルガノポリシロキサン膜への熱の影響を極めて小さくすることができる。
パルス光の照射エネルギーとしては、1〜100J/cm2が好ましく、1〜30J/cm2がより好ましく、パルス幅としては1μ秒〜100m秒が好ましく、10μ秒〜10m秒がより好ましい。パルス光の照射時間は、1〜100m秒が好ましく、1〜50m秒がより好ましく、1〜20m秒がさらに好ましい。
上記加熱処理および光照射処理は、単独で実施してもよく、両者を同時に実施してもよい。また、一方の処理を施した後、さらに他方の処理を施してもよい。
上記加熱処理および光照射処理を実施する雰囲気は特に制限されず、大気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、または還元性ガス雰囲気下などが挙げられる。なお、不活性ガス雰囲気とは、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、窒素等の不活性ガスで満たされた雰囲気であり、また、還元性ガス雰囲気とは、水素、一酸化炭素等の還元性ガスが存在する雰囲気を指す。
加熱処理を不活性ガス雰囲気下で行う場合、不活性ガス雰囲気の酸素濃度は、200ppm以下であることが好ましく、100ppm以下であることがより好ましく、50ppm以下であることがさらに好ましい。
上記工程を実施することにより、図4(C)に示すように、凹部20内に導電膜26が得られる。
導電膜の膜厚は特に制限されず、使用される用途に応じて適宜最適な膜厚が調整される。なかでも、プリント配線基板用途の点からは、0.01〜100μmが好ましく、0.1〜10μmがより好ましい。
なお、膜厚は、導電膜の任意の点における厚みを3箇所以上測定し、その値を算術平均して得られる値(平均値)である。
導電膜はオルガノポリシロキサン膜上にパターン状に設けられてもよい。パターン状の導電膜は、プリント配線基板などの導体配線(配線)として有用である。
パターン状の導電膜を得る方法としては、紫外線を照射する際に所望のパターン露光を行う方法が挙げられる。
また、上記手順により得られる積層体の好適態様の一つとしては、図4(C)に示すように、オルガノポリシロキサン膜の表面と導電膜の表面との間に段差が実質的にないことが好ましい。段差がないことにより、オルガノポリシロキサン膜上に形成される各種膜表面がより平坦となり、平坦化膜などの製造プロセスをなくすことができる。
導電膜が凹部内に配置されることにより、導電膜間のイオンマイグレーションをより抑制することもできる。
なお、段差が実質的にないとは、段差の大きさが50nm以下であることを意図し、10nm以下であることが好ましい。
上記手順により形成されたオルガノポリシロキサン膜および導電膜を有する積層体は各種用途に適用することができ、例えば、プリント配線基板、RF−IDタグのような配線を用いたアンテナ材料などが挙げられる。
<トランジスタの製造方法>
上述した凹部を有するオルガノポリシロキサン膜は絶縁特性に優れる点から、トランジスタのゲート絶縁膜として好適に使用することができる。つまり、凹部を有するオルガノポリシロキサン膜の製造方法は、トランジスタの製造に好適使用することができる。
(好適態様(その1))
トランジスタの製造方法の好適態様の一つとしては、ゲート絶縁膜上に凹部を形成し、その凹部にソース電極およびドレイン電極を形成する方法が挙げられる。この方法であれば、凹部内にソース電極およびドレイン電極を形成するための電極形成用組成物が所定の位置に留まりやすくなり、ソース電極およびドレイン電極のパターン形状がより優れる。
以下、トランジスタの製造方法について詳述する。
(ゲート電極形成工程)
まず、基板上にゲート電極を形成する工程が実施される。より具体的には、図5(A)に示すように、本工程により基板30上にゲート電極32が形成される。以下では、まず、使用される基板およびゲート電極について詳述する。
基板の種類は特に制限されず、主に、シリコン、ガラスやフレキシブルな樹脂製シートで構成され、例えば、プラスチックフィルムをシートとして用いることができる。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。このように、プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
ゲート電極を構成する材料は導電性材料であれば特に限定されず、例えば、金(Au)、銀、アルミニウム(Al)、銅、クロム、ニッケル、コバルト、チタン、白金、パラジウム、ロジウム等の金属;InO2、SnO2、ITO等の導電性の酸化物;ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリジアセチレン等の導電性高分子;フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素材料などが挙げられる。なかでも、金属であることが好ましく、銀、アルミニウムであることがより好ましい。
ゲート電極を形成する方法は特に制限されず、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等によるレジストを用いてエッチングする方法がある。
また、導電性高分子の溶液あるいは分散液、導電性微粒子分散液を直接インクジェットによりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザアブレーションなどにより形成してもよい。さらに導電性高分子や導電性微粒子を含むインク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
ゲート電極の厚みは特に制限されないが、20〜200nmであることが好ましい。
(ゲート絶縁膜形成工程)
本工程は、基板上のゲート電極と接触するゲート絶縁膜を形成する工程である。ゲート絶縁膜は、通常、ゲート電極を覆うように配置される。また、ゲート絶縁膜としては、上述したオルガノポリシロキサン膜が使用される。より具体的には、図5(B)に示すように、本工程によりゲート電極32を覆うようにゲート絶縁膜34が形成される。
ゲート絶縁膜の製造方法としては、上述したオルガノポリシロキサン膜の製造方法が挙げられる。
ゲート絶縁膜の膜厚は、特に限定されず、50nm〜3μmが好ましく、200nm〜1μmがより好ましい。
(紫外線照射工程およびエッチング工程)
次に、ゲート絶縁膜の表面の一部に紫外線を照射し、紫外線が照射された領域を撥水性領域から親水性領域に変換する工程(紫外線照射工程)と、紫外線が照射されたゲート絶縁膜(ゲート絶縁膜表面)とアルカリ溶液とを接触させ、上述したエッチング位置決定方法にて算出される深さ位置D以内の範囲で、紫外線が照射された領域をエッチングし、ゲート絶縁膜の撥水性の表面に親水性の内面(表面)を有する凹部を形成する工程(エッチング工程)とが実施される。本工程が実施されることにより、ゲート絶縁膜の表面に凹部が形成される。より具体的には、図5(C)に示すように、ゲート絶縁膜34の表面に凹部20が形成される。なお、後述するように、凹部内にはソース電極およびドレイン電極が形成されるため、図5(C)には2つの凹部がある。形成される凹部の数は特に制限されないが、ソース電極およびドレイン電極の2つを凹部内に形成するためには、少なくとも2つの凹部が形成される。
なお、図5においては、表面が平坦なゲート絶縁膜上に凹部を形成する態様が記載されるが、ゲート絶縁膜の厚みが薄い場合、ゲート電極がある領域の表面部分だけが高くなり、表面に傾斜が生じる場合がある。このような場合であっても、上記のような凹部をゲート絶縁膜上に設けることにより、電極形成用組成物が流れだすことを防止することができる。
紫外線照射工程およびエッチング工程の手順は、上述の通りである。
(電極形成工程)
次に、上記工程を経て形成された凹部に電極形成用組成物を付与して、ソース電極およびドレイン電極を形成する工程が実施される。より具体的には、図5(D)に示すように、本工程を実施することにより、凹部20内にソース電極36およびドレイン電極38が形成される。
本工程で使用される電極形成用組成物としては、上述した導電膜形成用組成物と同じ組成物を使用することができる。より具体的には、金属粒子、金属酸化物粒子、または、導電性有機材料(導電性高分子)を含む組成物が使用可能である。なお、導電膜形成用組成物と同様に、電極形成用組成物には親水性溶媒が含まれることが好ましい。
また、電極形成用組成物を凹部に付与する方法や、ソース電極およびドレイン電極を形成する方法としては、上述した導電膜形成用組成物を凹部に付与する方法や、導電膜を形成する方法(加熱処理、光照射処理)が挙げられる。
また、上記手順により得られるソース電極およびドレイン電極の好適態様の一つとしては、図5(D)に示すように、ゲート絶縁膜34の表面とソース電極36との表面との間、および、ゲート絶縁膜34の表面とドレイン電極38との表面との間に段差が実質的にないことが好ましい。段差がないことにより、ゲート絶縁膜上に形成される半導体膜表面がより平坦となり、平坦化膜などの製造プロセスをなくすことができる。
また、ソース電極およびドレイン電極が凹部内に配置されることにより、ソース電極およびドレイン電極間のイオンマイグレーションの発生をより抑制できる。
なお、段差が実質的にないとは、段差の大きさが50nm以下であることを意図し、10nm以下であることが好ましい。
(半導体膜形成工程)
次に、上記工程を経て形成された、ドレイン電極およびソース電極が配置されたゲート絶縁膜上に半導体膜を形成する工程が実施される。より具体的には、図5(E)に示すように、本工程を実施することにより、ゲート絶縁膜34上に半導体膜40が形成され、トランジスタ100が製造される。
半導体膜を構成する材料は特に制限されず、無機半導体材料であっても有機半導体材料であってもよい。
無機半導体材料としては、例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)および亜鉛(Zn)等のうちの1種または2種以上の混合物の酸化物が挙げられる。このような酸化物としては、例えば、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO,InGaZnO)が挙げられる。酸化インジウムガリウム亜鉛以外にも、In−Al−Zn−O系、In−Sn−Zn−O系、In−Zn−O系、In−Sn−O系、Zn−O系、Sn−O系などを用いてもよい。
有機半導体材料としては、例えば、6,13−ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン(TIPSペンタセン)、テトラメチルペンタセン、パーフルオロペンタセン等のペンタセン類、TES−ADT、diF−TES−ADT(2,8−ジフルオロ−5,11−ビス(トリエチルシリルエチニル)アントラジチオフェン)等のアントラジチオフェン類、DPh−BTBT、Cn−BTBT等のベンゾチエノベンゾチオフェン類、Cn−DNTT等のジナフトチエノチオフェン類、ペリキサンテノキサンテン等のジオキサアンタントレン類、ルブレン類、C60、PCBM等のフラーレン類、銅フタロシアニン、フッ素化銅フタロシアニン等のフタロシアニン類、P3RT、PQT、P3HT、PQT等のポリチオフェン類、ポリ[2,5−ビス(3−ドデシルチオフェン−2−イル)チエノ[3,2−b]チオフェン](PBTTT)等のポリチエノチオフェン類等が例示される。
半導体膜の厚みは特に制限されないが、10〜200nmであることが好ましい。
半導体膜を形成する方法は特に制限されないが、例えば、ゲート絶縁膜上に、半導体材料を溶媒に溶解させた半導体膜形成用組成物を塗布して、必要に応じて加熱処理を実施する方法が挙げられる。また、スパッタ法や、蒸着法などの気相法を採用することもできる。
(好適態様(その2))
トランジスタの製造方法の他の好適態様としては、ソース電極およびドレイン電極の間のゲート絶縁膜の表面の少なくとも一部に紫外線を照射して、ソース電極およびドレイン電極の間に凹部を形成し、その凹部に半導体膜形成用組成物を付与して半導体膜を形成する工程を有する態様が挙げられる。本製造方法によれば、凹部内に半導体膜形成用組成物が付与されるため、半導体膜形成用組成物がソース電極およびドレイン電極間に留まりやすく、パターン精度がより優れる。なお、上記好適態様(その1)と同様に、ゲート絶縁膜には、上述したオルガノポリシロキサン膜が使用される。
本製造方法を実施する際には、まず、公知の方法により、基板と、基板上に配置されたゲート電極と、ゲート電極を覆うように配置されたゲート絶縁膜とを備える積層体を用意する。例えば、上記好適態様(その1)で述べた(ゲート電極形成工程)、(ゲート絶縁膜形成工程)を実施する方法を実施し、図6(A)に示すように、基板30と、ゲート電極32と、ゲート絶縁膜34とを備える積層体を用意する。
次に、ゲート絶縁膜上にソース電極およびドレイン電極を形成する工程を実施する。本工程の手順は特に制限されないが、上述した(電極形成工程)の態様が挙げられる。本工程を実施することにより、図6(B)に示すように、ゲート絶縁膜34上にソース電極36およびドレイン電極38が形成される。
次に、ソース電極およびドレイン電極の間のゲート絶縁膜の表面の少なくとも一部に紫外線を照射し、紫外線が照射された領域を撥水性領域から親水性領域に変換する工程(紫外線照射工程)と、紫外線が照射されたゲート絶縁膜とアルカリ溶液とを接触させ、上述したエッチング位置決定方法にて算出される深さ位置D以内の範囲で、紫外線が照射された領域をエッチングし、ゲート絶縁膜の撥水性の表面に親水性の内面を有する凹部を形成する工程(エッチング工程)とが実施される。紫外線照射工程およびエッチング工程の手順は、上述の通りである。
図6(C)に示すように、この2つの工程を実施することにより、ソース電極36およびドレイン電極38の間のゲート絶縁膜上に凹部20が形成される。
次に、凹部に半導体膜形成用組成物を付与して、半導体膜を形成する工程を実施することにより、トランジスタが製造される。より具体的には、図6(D)に示すように、本工程を実施することにより、ゲート絶縁膜34上に半導体膜40が形成され、トランジスタ200が製造される。
本工程の手順は特に制限されないが、例えば、上述した(半導体膜形成工程)の手順が挙げられる。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1〜6および比較例1>
シリコン基板上に、モノメチルシラン(SiHCH)と酸素とを原料ガスとし、Arを希釈ガスとして、プラズマCVD法によりオルガノポリシロキサン膜を作製した。FT-IRにて計測したところ、Si−O結合(≡Si−O−Si≡)を骨格として、≡Si−CH基を含有する膜であることが確認された。
この膜にセン特殊光源株式会社製PM1102−3低圧水銀ランプ(17mW/cm)を用いて、表1に示す所定時間紫外線を照射した。照射の際は、金属製のマスクを用い、ランプが照射される領域と照射されない領域とを作製した。すると、紫外線を照射した領域では純水を用いた接触角測定では10°以下の超親水性であった。一方、紫外線を照射しない領域では、80°の接触角であった。
この膜をd−SIMSで膜厚方向に測定し、深さ方向の炭素濃度の測定を行い、各実施例および比較例における深さ位置Dの位置を決定した。
次に、紫外線が照射されたオルガノポリシロキサン膜を、アルカリ溶液である東京化成製HBO−KCl−NaOH緩衝液(pH8.4、25℃)に表1に示す浸漬時間(エッチング時間)にわたって浸漬した。
(膜性状評価)
得られたオルガノポリシロキサン膜を顕微鏡で観察し、膜の剥がれ(欠陥)が生じていない場合を「A」、膜の剥がれ(欠陥)が生じている場合を「B」とした。
(再現性評価)
各実施例および比較例での段差の大きさX(nm)と、各実施例および比較例でのエッチング時間を1.1倍に伸ばした場合に形成される段差の大きさY(nm)との比(Y/X)を求め、以下の基準に従って評価した。
「A」:Y/Xが1.0以上1.1未満である場合
「B」:Y/Xが1.1以上1.2未満である場合
「C」:Y/Xが1.2以上の場合
各種測定結果を以下の表1にまとめて示す。
なお、表1中、「深さ位置D」は上述したダイナミック二次イオン質量分析を用いた方法により求めた値である。「段差」は、凹部の深さ(エッチング深さ)を表す。
「UV非照射膜厚」および「UV照射部膜厚」は、エッチング処理後の各領域(UV非照射領域、および、UV照射領域)でのオルガノポリシロキサン膜の膜厚を意図する。
「UV非照射部接触角」および「UV照射部接触角」は、エッチング処理後の各領域(UV非照射領域、および、UV照射領域)での水接触角を意図し、上述した方法により測定する。また、表1中、「<10°」は10°未満であることを意図する。
表1に示すように、本発明の製造方法によれば、所望の凹部を有するオルガノポリシロキサン膜を製造することができる。特に、エッチング範囲が所定範囲(深さ位置D×4/5〜深さ位置Dの範囲)である実施例3、4および6では、再現性にも優れていた。
一方、深さ位置Dより深い位置までエッチングした場合は、所望のオルガノポリシロキサン膜を製造することができなかった。
なお、実施例1〜6にて得られたオルガノポリシロキサン膜に対して、45kPaの圧力でベンコットを用いて3000回または100000回擦っても、UV非照射部の接触角の低減は見られなかった。これは、オルガノポリシロキサン膜の表面が機械的強度に優れると共に、UV非照射部の表面から深さ方向に渡った領域全体が撥水性であるためである。
それに対して、公知の方法でガラス基板に撥水性基を有するシランカップリング剤を塗布した結合させた基板において、上記45kPaの圧力でベンコットを用いて3000回擦った場合、シランカップリング剤が除去され、撥水性が消失した。
また、上記では、プラズマCVD法にてオルガノポリシロキサン膜を製造したが、cat−CVD法や熱CVD法を用いても同様の膜の形成が可能であった。
また、上記では、紫外線が照射されたオルガノポリシロキサン膜を、アルカリ溶液である東京化成製HBO−KCl−NaOH緩衝液(pH8.4、25℃)に浸漬してエッチング処理を実施したが、紫外線が照射されたオルガノポリシロキサン膜上にアルカリ溶液である東京化成製HBO−KCl−NaOH緩衝液(pH8.4、25℃)を滴下して、上述した所定時間エッチングすることで、同様の凹部を有するオルガノポリシロキサン膜を製造することができた。なお、上記アルカリ溶液は、滴下後、主に紫外線が照射された領域に留まっていた。
<実施例7〜8>
アルカリ溶液の温度を25℃から60℃に変更し、UV照射時間およびエッチング時間を表2に示すように変更した以外は、実施例1〜6と同様の手順に従って、オルガノポリシロキサン膜を製造した。各種結果を表2にまとめて示す。
表2に示すように、アルカリ溶液の温度を上昇させると、より短時間のエッチングにて所望のオルガノポリシロキサン膜を製造することができた。
<実施例9>
実施例7ではセン特殊光源株式会社製PM1102−3低圧水銀ランプ(17mW/cm)を用いたが、代わりにFilgen社 UV照射装置(28mW/cm)を用いると、実施例7で得られたオルガノポリシロキサン膜と同じ膜を得るために、照射時間を2時間から1時間15分に短縮することができた。
<実施例10>
実施例7で使用した低圧水銀灯は185nmと254nmの光が混ざったものであるが、代わりにエキシマ社(10mW/cm)の172nmエキシマランプを用いると、実施例7で得られたオルガノポリシロキサン膜と同じ膜を得るために、照射時間を1/24に短縮することができた。具体的には、照射時間を2時間から5分に短縮することができた。
実施例1〜6で得られたオルガノポリシロキサン膜の凹部に金属粒子を含む組成物(藤倉化成株式会社製、ドータイト)を付与して、加熱処理を施したところ、凹部内に導電膜が製造され、オルガノポリシロキサン膜と導電膜とを備える積層体が得られた。
以下の手順に従って、トランジスタを作製した。
(ゲート電極形成)
無アルカリ硝子基板(5cm×5cm)上に、銀ナノインク(銀ナノコロイド H−1,三菱マテリアル社製)をDMP2831(1ピコリットルヘッド)を用いたインクジェット印刷により、配線パターンを形成し、その後、ホットプレート上、大気下で焼成することで、ゲート電極を形成した。
(ゲート絶縁膜形成)
上述した実施例3の手順に従って、ゲート電極上にオルガノポリシロキサン膜を製造し、実施例3と同様の条件にて紫外線照射およびエッチング処理を行い、凹部を2つ形成した。
(ソース・ドレイン電極形成)
DMP2831(1ピコリットルヘッド)を用いたインクジェット印刷により、形成された凹部に電極ペーストを吐出して、加熱処理を施し、凹部内にソース電極およびドレイン電極を形成した。
(半導体膜形成)
TIPSペンタセン(シグマアルドリッチ社製)のベンゼン0.5wt%溶液の有機半導体溶液をソース電極およびドレイン電極を形成した基板上に、滴下し、スピンコート(1000rpm,120秒)により、コートした。そのまま、大気下室温で2時間乾燥することで、有機半導体層を作製した。
10 オルガノポリシロキサン膜
12 第1領域
14 第2領域
16 パターン含有オルガノポリシロキサン膜
18 親水性領域
20 凹部
22 凹部を有するオルガノポリシロキサン膜
24 導電膜形成用組成物
26 導電膜
30 基板
32 ゲート電極
34 ゲート絶縁膜
36 ソース電極
38 ドレイン電極
40 半導体膜
100,200 トランジスタ

Claims (9)

  1. Si−O結合を骨格とし、Si−R基を含有するオルガノポリシロキサン膜の表面の一部に紫外線を照射し、前記紫外線が照射された領域を撥水性領域から親水性領域に変換する工程と、
    前記紫外線が照射されたオルガノポリシロキサン膜とアルカリ溶液とを接触させ、以下のエッチング位置決定方法にて算出される深さ位置D以内の範囲で、前記紫外線が照射された領域をエッチングし、前記オルガノポリシロキサン膜の撥水性の表面に親水性の内面を有する凹部を形成する工程と、を備える、凹部を有するオルガノポリシロキサン膜の製造方法。
    エッチング位置決定方法:前記オルガノポリシロキサン膜の前記紫外線が照射された領域の表面から深さ方向に向かって、ダイナミック二次イオン質量分析したときの炭素濃度の深さプロファイルにおいて、プラトー領域の炭素濃度に対して1/3の炭素濃度を示し、炭素濃度が最も低くなる深さ位置Dよりも深い位置にある深さ位置D(nm)を決定する。
    なお、前記Rは、1価の炭化水素基を表す。
  2. 前記Rが、メチル基である、請求項1に記載の凹部を有するオルガノポリシロキサン膜の製造方法。
  3. 前記エッチングを、深さ位置D×4/5〜深さ位置Dの範囲にて行う、請求項1または2に記載の凹部を有するオルガノポリシロキサン膜の製造方法。
  4. 前記紫外線が照射された領域のみに、アルカリ溶液を留まらせる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の凹部を有するオルガノポリシロキサン膜の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法より得られるオルガノポリシロキサン膜の凹部に導電膜形成用組成物を付与して、導電膜を形成する工程を備える、オルガノポリシロキサン膜と導電膜とを備える積層体の製造方法。
  6. 基板と、前記基板上に配置されたゲート電極と、前記ゲート電極を覆うように配置されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に配置されたソース電極、ドレイン電極、および、半導体膜とを備えるトランジスタの製造方法であって、
    前記ゲート絶縁膜が、Si−O結合を骨格とし、Si−R基を含有するオルガノポリシロキサン膜からなり、
    前記ゲート絶縁膜の表面の一部に紫外線を照射し、前記紫外線が照射された領域を撥水性領域から親水性領域に変換する工程と、
    前記紫外線が照射されたゲート絶縁膜とアルカリ溶液とを接触させ、以下のエッチング位置決定方法にて算出される深さ位置D以内の範囲で、前記紫外線が照射された領域をエッチングし、前記ゲート絶縁膜の撥水性の表面に親水性の内面を有する凹部を形成する工程と、
    前記凹部に電極形成用組成物を付与して、ソース電極およびドレイン電極を形成する工程とを備える、トランジスタの製造方法。
    エッチング位置決定方法:前記ゲート絶縁膜の前記紫外線が照射された領域の表面から深さ方向に向かって、ダイナミック二次イオン質量分析したときの炭素濃度の深さプロファイルにおいて、プラトー領域の炭素濃度に対して1/3の炭素濃度を示し、炭素濃度が最も低くなる深さ位置Dよりも深い位置にある深さ位置D(nm)を決定する。
    なお、前記Rは、1価の炭化水素基を表す。
  7. 前記ゲート絶縁膜の表面と前記ソース電極の表面との間、および、前記ゲート絶縁膜の表面と前記ドレイン電極の表面との間で、実質的に段差がない、請求項6に記載のトランジスタの製造方法。
  8. 基板と、前記基板上に配置されたゲート電極と、前記ゲート電極を覆うように配置されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に配置されたソース電極、ドレイン電極、および、半導体膜とを備えるトランジスタの製造方法であって、
    前記ゲート絶縁膜が、Si−O結合を骨格とし、Si−R基を含有するオルガノポリシロキサン膜からなり、
    前記ゲート絶縁膜上にソース電極およびドレイン電極を形成する工程と、
    前記ソース電極および前記ドレイン電極の間の前記ゲート絶縁膜の表面の少なくとも一部に紫外線を照射し、前記紫外線が照射された領域を撥水性領域から親水性領域に変換する工程と、
    前記紫外線が照射されたゲート絶縁膜とアルカリ溶液とを接触させ、以下のエッチング位置決定方法にて算出される深さ位置D以内の範囲で、前記紫外線が照射された領域をエッチングし、前記ゲート絶縁膜の撥水性の表面に親水性の内面を有する凹部を形成する工程と、
    前記凹部に半導体膜形成用組成物を付与して、半導体膜を形成する工程とを備える、トランジスタの製造方法。
    エッチング位置決定方法:前記ゲート絶縁膜の前記紫外線が照射された領域の表面から深さ方向に向かって、ダイナミック二次イオン質量分析したときの炭素濃度の深さプロファイルにおいて、プラトー領域の炭素濃度に対して1/3の炭素濃度を示し、炭素濃度が最も低くなる深さ位置Dよりも深い位置にある深さ位置D(nm)を決定する。
    なお、前記Rは、1価の炭化水素基を表す。
  9. 前記エッチングを、深さ位置D×4/5〜深さ位置Dの範囲にて行う、請求項6〜8のいずれか1項に記載のトランジスタの製造方法。
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