JP5577696B2 - 複合合成樹脂生成方法と複合合成樹脂生成装置およびそれにより作成された圧縮成形容器 - Google Patents
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Description
下記の特許文献1には、複合溶融樹脂素材のメイン層(特許文献1では主合成樹脂R1)を形成するメイン層形成溶融樹脂が流れる外側環状流路と、外側環状流路中に開口する内側排出口を有する溶融樹脂のシェル層(特許文献1では補助合成樹脂R2)を形成するシェル層形成溶融樹脂が流れる内側環状流路と、内側環状流路中に開口する最内側排出口を有する溶融樹脂のコア層(特許文献1では副合成樹脂R3)を形成するコア形成溶融樹脂が流れる最内側環状流路とを具備する複合溶融樹脂形成装置が開示されている。
最内側排出口には、これを選択的に開閉させるための開閉手段が付設されており、開閉手段による最内側排出口の開閉に応じて、シェル層形成溶融樹脂がコア層形成溶融樹脂をシェル状に被覆するようにして、外側溶融樹脂内に供給される。
内側排出口には、これを選択的に開閉させるための開閉手段(開閉弁)と、サブ層形成溶融樹脂を間欠的に外側排出口に配設する間欠手段とが付設されている。開閉手段による内側排出口の開閉に応じて、内側環状流路から外側環状流路に材質の異なる溶融樹脂が流入して外側環状流路の溶融樹脂内にコア層形成溶融樹脂が間欠的に流入される。このコア層形成溶融樹脂が、外側環状流路の内側に流入される際に、サブ層形成溶融樹脂によって押圧変形されるようにしている。
このような現象は、コア層およびシェル層を排出する環状流路を開閉する開閉弁の先端に付着したコア層およびシェル層材料が、メイン層材料の流れによって引き伸ばされることで生じる。
このような溶融樹脂をノズル開口部より排出した後、樹脂塊(ドロップ)へと切断する際に、糸引き部が切断されたとしても、その先端部は外層樹脂により内包されるため、外部へと露出することは無いが、材料や成形品の種類によっては一定以上の厚み(好ましくは20μm以上)を確保できることが好ましい。
その理由として、糸引き先端部が成形品の表面近傍に存在すると、成形品が例えばレトルト殺菌の様な高温状態にさらされる場合、メイン層(外層)材料とコア層およびシェル層(内層)材料の収縮率が異なることにより、変形やそれに起因する白化を生じる恐れがある。また、そのような変形が生じた場合、落下強度の低下や層間剥離(デラミ)等が生じやすくなるといった懸念もある。
さらに、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)などのように、バリア性能が水分によって影響される材料をバリア材として使用する場合、殺菌条件や保管条件によっては、内容品に含まれた水分がバリア性能に影響されることも懸念される。
上記複合合成樹脂生成方法においては、該流出路の該排出開口と該付加環状流出口とは同一平面上に位置することが好ましい。
また、上記複合合成樹脂生成方法においては、該第二の溶融樹脂と該第三の溶融樹脂とは材料が同一であることが好ましい。
さらに、上記複合合成樹脂生成方法においては、該複合溶融樹脂流出路は、該内側流出 口と該外側流出口との間にさらに溶融樹脂の流出口を具備し、該排出開口に該溶融樹脂を 流出することが好ましい。
また、本発明の複合合成樹脂生成装置は、先端に排出開口を有する複合溶融樹脂流出路と、該流出路中に開口する内側流出口を有する第一の溶融樹脂流路と、該流出路中に開口する外側流出口を有する第二の溶融樹脂流路と、該第一の溶融樹脂流路の該内側流出口を選択的に開閉するための開閉弁手段と、該複合溶融樹脂流出路の該排出開口から流出せしめられた複合溶融樹脂を該流出路の該排出開口に沿って切断するための切断手段と具備する複合合成樹脂生成装置において、更に、該流出路の該排出開口を囲繞する付加環状流出口を有する第三の溶融樹脂流路を備えている。
上記複合合成樹脂生成装置においては、該流出路の該排出開口と該第三の溶融樹脂流路の該流出口とは同一平面上に位置することが好ましい。
また、上記複合合成樹脂生成装置においては、該第三の溶融樹脂流路は、横断面形状が環状である導入部を含み、該導入部の下流部は下方に向かって漸次半径方向内方に傾斜して延びていることが好ましい。
さらに、上記複合合成樹脂生成装置においては、該複合溶融樹脂流出路は、該内側流出 口と該外側流出口との間に、さらに溶融樹脂の流出口を具備し、該排出開口に該溶融樹脂 を流出することが好ましい。
さらに、本発明の圧縮成形容器は、上記複合合成樹脂生成方法により作成された樹脂塊を圧縮成形することによって得られた成形容器であって、容器底部の一部に、連続した前 記第一の溶融樹脂の層から分岐した層を有する。また、上に凸の雄金型と下に凹型の雌金型からなる圧縮成形金型を用いて圧縮成形を行うことで、少なくとも容器の内面側においては、連続した前記第一の溶融樹脂の層から分岐した層が、内表面近傍に存在するのではなく、容器内表面を形成する樹脂により、容器内表面から一定の距離を隔てられた状態で形成されていることができると同時に、連続した前記第一の溶融樹脂の層が、厚み方向に対して、容器の底部おいてより外表面側に形成されていることが可能となる。
図1は、本発明に係わる複合溶融樹脂の供給装置のノズル本体を示している。
ノズル本体1は、複数の筒状ブロックから構成され、外側に位置する外側ブロック2と内側に位置する内側ブロック6とこれらのブロック2及び6の間に外側から内側へ順に配設される中間ブロック3,5とから構成されている。中間ブロック3,5及び内側ブロック6は、各々の外側に位置するブロックの内周部に嵌合するようにして配設されている。ブロック3,5,6の上部には蓋状の上部ブロック7が嵌合するように組み付けられている。また、外側ブロック2の下部には下端ブロック4が配設されている。
外側ブロック2の内周面と中間ブロック3の外周面との間には外側環状流路11が形成され、外側環状流路11には、メイン層となる第二の溶融樹脂である外側溶融樹脂が圧送されるメイン層供給口18が設けられている。中間ブロック3及び5の間には中間環状流路12が形成され、中間環状流路12にはサブ層となる中間溶融樹脂が圧送されるサブ層供給口19が設けられている。中間ブロック5と内側ブロック6との間には内側環状流路14が形成され、内側環状流路14にはコア層となる第一の溶融樹脂である内側溶融樹脂が圧送されるコア層供給口21が設けられている。
また、外側ブロック2の外周面と下端ブロック4の内周面との間には付加環状流路15が形成され、付加環状流路15には第三の溶融樹脂である付加溶融樹脂が圧送される付加供給口22が設けられている。
本実施形態では、第一の溶融樹脂である内側溶融樹脂を包含する中間溶融樹脂を設けているが、中間溶融樹脂を設けない場合が本発明の基本構成となる。また、中間溶融樹脂を包含する樹脂層を更に設けて、複数の中間溶融樹脂を形成することも本発明では可能である。
中間環状流路12も、横断面形状が環状である導入部12aと横断面形状が円形である中間環状流出口12bとを含んでいる。導入部12aの下流部は下方に向かって漸次半径方向内方に傾斜して延びており、導入部12aの下流端は中間環状流出口12bの上流端周縁部に接続されている。
内側環状流路14もまた、横断面形状が環状である導入部14aと横断面形状が円形である内側環状流出口14bとを含んでいる。導入部14aの下流部は下方に向かって半径方向内方に傾斜して延びており、導入部14aの下流端は内側環状流出口14bに接続されている。内側環状流出口14bは中間環状流路12の中間環状流出口12bの合流口における上流端に開口されている。
図3に示すように、付加環状流出開口15bは、ノズル本体1の先端部のノズル排出開口11cを囲繞するように配設され、その流出開口15bまでの流路は、下向きに半径方向内側にテーパ形状に傾斜するように形成されている。このテーパ面を付加環状流出開口15bまで連続させ、付加環状流出開口15b端とノズル排出開口11c端との隙間をなくすように形成している。また、本実施形態では、ノズル排出開口11cと付加環状流出開口15bを水平方向へ同一高さになるように配置している。こうして、それらの各々の排出開口11c,15bから吐出する溶融樹脂は、付加環状流出開口15b側の溶融樹脂がノズル排出開口11c側の溶融樹脂を囲繞するようにして合流する。
中間環状流路12のサブ層供給口19は、中間溶融樹脂供給手段29に接続されている。中間溶融樹脂供給手段29は、押出機30とその下流に必要に応じて接続されたギアポンプ31とを含んでおり、押出機30から押し出された溶融状態の中間溶融樹脂(例えば接着材)Bがギアポンプ31を介して中間環状流路12に供給される。中間溶融樹脂Bには、特に接着性樹脂(無水マレイン酸変性ポリプロピレン等)が好適に使用される。
内側環状流路14のコア層供給口21は、内側溶融樹脂供給手段32に接続されている。内側溶融樹脂供給手段32は、押出機33とその下流に必要に応じて接続されたギアポンプ34とを含んでおり、押出機33から押し出された溶融状態の内側溶融樹脂(例えばバリア材)Cがギアポンプ34を介して内側環状流路14に供給される。内側溶融樹脂Cには、特にガスバリア性樹脂(エチレンビニルアルコール共重合体等)が好適に使用される。
付加環状流路15は、外側溶融樹脂供給手段26に接続されており、押出機33から押し出された溶融状態の付加溶融樹脂Aがギアポンプ28を介して付加環状流路15に供給される。すなわち、図2においては、外側溶融樹脂供給手段26から吐出された樹脂は2系統に分割されており、片方が外側環状流路11へ、もう片方が付加環状流路15へと供給される構成を取っており、外側溶融樹脂Aと付加溶融樹脂Dは共通の樹脂である。
軸状開閉弁9の上端部は、昇降装置35(図2参照)を設け、軸状開閉弁9の開閉をするように構成されている。昇降装置35は、カム機構、駆動モータとネジ、あるいは流体圧シリンダ機構など、それ自体公知である物から構成することができる。
軸状開閉弁9がその軸方向に下降すなわち前進移動することによって、まず初めに内側環状流出口14bを閉じ状態として内側環状流路14の内側溶融樹脂Cの排出を停止させることができる。さらに、軸状開閉弁9が下降することにより、中間環状流出口12bを閉じ状態として、中間環状流路12の中間溶融樹脂Bの排出を停止することができる。
さらに軸状開閉弁9が上昇することにより、内側環状流出口14bを開状態に選択的に位置させることができる。軸状開閉弁9が開位置に位置せしめられると、導入部14aの下流端に配設されている内側環状流出口14bが開かれて、導入部14aが内側環状流路14に連通せしめられる。導入部14aに供給された内側溶融樹脂Cは、内側環状流路14の内側環状流出口14bを通り、ノズル本体1の複合流出路11dに流入される。
図1に示す押出機27,30,33を作動させて、各溶融樹脂A〜Cをノズル本体1へ供給する。図4の(B)に示すように、軸状開閉弁9が下死点に位置するとき、軸状開閉弁9が内側環状流路14の内側環状流出口14b及び中間環状流路12の中間環状流出口12bを閉じ状態にする。この状態では、内側溶融樹脂C(コア層c)および中間溶融樹脂B(シェル層s)の複合流出路11d内への吐出は停止されており、外側環状流路11の外側溶融樹脂Aすなわちメイン層mのみが複合流出路11d内に供給されている(なお、図4(B)には図示していないが、この段階で、前サイクルで押出されたコア層cとそれを内包するシェル層sが、複合流出路11dの下流側に存在している)。同時に、ノズル先端部1aでは、図5に示すように、メイン層mと共に、付加環状流路15の付加環状流出開口15bから連続的に付加溶融樹脂Aがメイン層mの溶融樹脂を囲繞するようにその周囲を連続的に覆っている。
さらに軸状開閉弁9を下降させると、中間環状流出口12bは閉じ状態となり、中間溶融樹脂Bの流出は停止され、内側溶融樹脂Cで形成されたコア層cを覆った中間溶融樹脂Bのシェル層sが外側溶融樹脂Aの流れとともに、雨垂れ形状になって、複合流出路11dを下方へ向かって流れる。
そこで、本第1の実施形態では、付加環状流路15を設け、付加環状流出開口15bがノズル排出開口11cを囲繞するように配置することで、メイン層mにより薄く覆われた糸引きaの先端部分を、付加溶融樹脂Dにより、さらに覆うことが可能となった。特に、付加環状流出開口15bの上流側がテーパ形状に形成されていることから、付加溶融樹脂Dがメイン層m側の表面に覆い被さるように吐出されるので、糸引きの先端部分を付加溶融樹脂Dによって効果的に覆うことが可能となった。
上記段落[0019]〜[0022]に記載した作業を1サイクルとして、これを繰り返し行うことにより、好適に糸引き先端部が付加溶融樹脂Dによって覆うプロセスを、連続かつ安定して行うことが可能となる。
図7の(B)は、成形容器40の底部41を示し、図面の上側が容器内表面であり、下側が容器外表面である。成形容器40はこの底部41に示すように、周壁42側を含めて容器内表面側から、裏面側へ向けてメイン層m、シェル層s、コア層c、シェル層s及びメイン層mの5層構造によって形成されている。
圧縮成形容器40の底部41の一部には、連続した中間層から分岐した層を有する構造をしており、それら中間層は完全に覆われている。詳しくは、中間層であるシェル層sから糸引きからなる分岐層aが分岐し、これらのシェル層sと分岐層aは、付加樹脂Dを含むメイン層mによって完全に覆われている。
また、外側溶融樹脂Aすなわちメイン層mの供給量やカッタ24による切断位置を調節することにより中間層(シェル層s及びコア層c)を外側よりに位置するようにした多層ドロップを作成すれば、底部41において、連続した中間層が厚み方向に対してより外表面側に形成されている容器を作成することができる(図7のB参照)。
このようにしてできた成形品は、例えばレトルト殺菌の様な高温状態にさらされる場合でも、メイン層(外層)材料とシェル層(内層)材料の収縮率の違いによる変形や、それに起因する白化を防止でき、さらには落下強度の低下や層間剥離(デラミ)等も防止することができるなど、成形品の品質を向上させることができる。
上記第1の実施形態では、付加環状流路15に供給する溶融樹脂を外側溶融樹脂供給手段26から供給したが、本実施形態では別途付加環状流路15への溶融樹脂供給手段を独立して設けており、それ以外の構成については上記第1の実施形態と同じである。よって、上記第1の実施形態と同一部分については、同一符号を付して説明し、詳細な説明を省略した部分は、上記第1の実施形態と同じである。
付加溶融樹脂供給口22は、付加用溶融樹脂供給手段37と接続されている。付加用溶融樹脂供給手段37は、押出機38とその下流に必要に応じて接続されたギアポンプ39とを含んでおり、押出機38から押し出された溶融状態の付加用溶融樹脂Dがギアポンプ39を介して付加環状流通路15aに供給される。このような、付加用溶融樹脂供給手段37を付加環状流路15に備えたことが上記第1の実施形態とは異なる。
押出機27,30,33によって、各溶融樹脂A〜Cをノズル本体1へ供給するとともに、付加用押出機38を作動させて、溶融樹脂Dを付加環状流路側へ押出させる。図4の(B)に示すように、軸状開閉弁9が下方の下死点に位置するとき、該軸状開閉弁9が内側環状流路14の内側環状流出口14b及び中間環状流路12の中間環状流出口12bを閉じ状態にする。この状態では、外側環状流路11の外側溶融樹脂Aのメイン層mが複合流出路11d内に供給される(なお、この段階では前段階で形成されたコア層cとシェル層sが既に押出されている)。同時に、付加溶融樹脂供給手段37から圧送された付加溶融樹脂Dが付加環状流出開口15bから連続的にメイン層mの溶融樹脂を囲繞するようその周囲を連続的に覆っている(図5参照)。
シェル層sに覆われたコア層cを形成するときは、図4の(A)に示すように、軸状開閉弁9が上方へ後退移動して中間環状流出口12bを開く。この状態では、外側溶融樹脂Aの内側を流れる中間溶融樹脂Bが外側溶融樹脂Aに囲まれるようにして複合流出路11d内に流出され、タイミングをはかって、軸状開閉弁9を上方の上死点まで後退移動させて、内側流出口14bを開く。
これらの環状流出口12b,14bを閉じると、中間溶融樹脂B及び内側溶融樹脂層Cの吐出は停止された状態となる。
このとき、軸状開閉弁9は内側環状流出口14bと中間環状流出口12bの双方を閉じた状態にしているが、軸状開閉弁9の先端には、内側環状流出口14bおよび中間環状流出口12bを閉じる時に付着した内側溶融樹脂Cおよび中間溶融樹脂Bが残留しており、これらの残留樹脂が外側溶融樹脂Aの流れによって引き伸ばされるため、糸引きaが生じる。
次に、図5に示す用に、ノズル排出開口11cから吐出された溶融樹脂を、カッタ24にて切断し、多層ドロップとする。切断は、カッタ24はノズル先端部1aの先端部分を水平方向へ移動することで行われる。このときの切断位置は、一般的に、糸引きaが存在する位置である。その時、糸引きaが切断されると、糸引きaの先端部分はカッタ24の移動方向へ引っ張られ、流出口1cの一縁部近くまでずらされる。この時、糸引きaの先端部はメイン層mに覆われており、表面に露出することはないが、先端部分は表面近傍に位置することとなる。
そこで、本第2の実施形態では、上記第1の実施形態と同様に、付加環状流路15を設け、付加環状流出開口15bがノズル排出開口11cを囲繞するように配置することで、メイン層mにより薄く覆われた糸引きaの先端部分を、付加溶融樹脂Dにより、さらに覆うことが可能となった。特に、付加環状流出開口15bの上流側がテーパ形状に形成されていることから、付加溶融樹脂Dがメイン層m側の表面に覆い被さるように吐出されるので、糸引きの先端部分を付加溶融樹脂Dによって効果的に覆うことが可能となる。
さらに、本第2の実施形態では、付加溶融樹脂供給手段37を別途設け、溶融樹脂を付加環状流路15に連続的に供給しているので、付加環状流出開口15bから、常時安定して付加溶融樹脂Dを吐出できる効果がある。
上記第1の実施形態では、付加環状流路15に供給する付加溶融樹脂Dを外側溶融樹脂供給手段26から分岐して供給したが、本第3の実施形態では、上述の第2の実施形態と同様に、付加環状流路15への溶融樹脂供給手段を独立して設けており、さらに、流路の途中に樹脂流路開閉手段48を設けている。それ以外の構成については上記第2の実施形態と同様である。よって、上記第2の実施形態と同一部分については、同一符号を付して説明し、詳細な説明を省略した部分は、上記第1および第2の実施形態と同様である。
また、付加溶融樹脂供給手段37と付加環状流路15との間には、付加溶融樹脂Dの供給量を調整する樹脂流路開閉手段48が配設されている。樹脂流路開閉手段48は、樹脂流路中を摺動可能なように配設されたバルブピンと、バルブピンに接続されたそれ自体公知の方法による動力装置(カム機構、駆動モータとネジ、あるいは流体圧シリンダ機構など)とにより構成されており、バルブピンが摺動し樹脂流路が開閉されることで、付加溶融樹脂Dを間欠的に脈動させながら圧送することができる。すなわち、樹脂流路開閉手段48が開状態になると付加溶融樹脂Dが供給され、樹脂流路開閉手段48が閉状態になると付加溶融樹脂Dの供給が遮断される。
このような、付加用溶融樹脂供給手段37と樹脂流路開閉手段48を付加環状流路15に備えたことが上記第2の実施形態とは異なる。
押出機27,30,33によって、各溶融樹脂A〜Cをノズル本体1へ供給するとともに、付加用押出機38を作動させて、溶融樹脂Dを付加環状流路側へ押出させる。図4の(B)に示すように、軸状開閉弁9が下方の下死点に位置するとき、該軸状開閉弁9が内側環状流路14の内側環状流出口14b及び中間環状流路12の中間環状流出口12bを閉じ状態にする。この状態では、外側環状流路11の外側溶融樹脂Aのメイン層mが複合流出路11d内に供給される(なお、この段階では前段階で形成されたコア層cとシェル層sが既に押出されている)。このとき、樹脂流路開閉手段48を遮断しておく。
シェル層sに覆われたコア層cを形成するときは、図4の(A)に示すように、軸状開閉弁9が上方へ後退移動して中間流出口12bを開く。この状態では、外側溶融樹脂Aの内側を流れる中間溶融樹脂Bが外側溶融樹脂Aに囲まれるようにして複合流出路11d内に流出され、タイミングをはかって、軸状開閉弁9を上方の上死点まで後退移動させて、内側流出口14bを開く。
これらの環状流出口12b,14bを閉じると、中間溶融樹脂B及び内側溶融樹脂層Cの吐出は停止された状態となる。
このとき、軸状開閉弁9は内側環状流出口14bと中間環状流出口12bの双方を閉じた状態にしているが、軸状開閉弁9の先端には、内側環状流出口14bおよび中間環状流出口12bを閉じる時に付着した内側溶融樹脂Cおよび中間溶融樹脂Bが残留しており、これらの残留樹脂が外側溶融樹脂Aの流れによって引き伸ばされるため、糸引きaが生じる。
次に、図5に示す用に、ノズル排出開口11cから吐出された溶融樹脂を、カッタ24にて切断し、多層ドロップとする。切断は、カッタ24はノズル先端部1aの先端部分を水平方向へ移動することで行われる。このときの切断位置は、一般的に、糸引きaが存在する位置である。その時、糸引きaが切断されると、糸引きaの先端部分はカッタ24の移動方向へ引っ張られ、流出口1cの一縁部近くまでずらされる。この時、糸引きaの先端部はメイン層mに覆われており、表面に露出することはないが、先端部分は表面近傍に位置することとなる。
そこで、本第3の実施形態では、上記第1の実施形態と同様に、付加環状流路15を設け、付加環状流出開口15bがノズル排出開口11cを囲繞するように配置することで、メイン層mにより薄く覆われた糸引きaの先端部分を、付加溶融樹脂Dにより、さらに覆うこととした。特に、付加環状流出開口15bの上流側がテーパ形状に形成されていることから、付加溶融樹脂Dがメイン層m側の表面に覆い被さるように吐出されるので、糸引きの先端部分を付加溶融樹脂Dによって効果的に覆うことが可能となる。
さらに、本第3の実施形態では、付加溶融樹脂供給手段37を別途設けると同時に、流路途中に配設された樹脂流路開閉手段48を、溶融樹脂切断直後に開閉することとにより、必要なときに必要な分量の付加溶融樹脂Dを間欠的に吐出させ、より効率的に糸引き先端部を覆うことが可能となった。
なお、本実施例においては、上述した第2の実施形態と同様の押出システム構成とした。
図3に示すように、ノズル本体1におけるノズル先端部1aのノズル排出開口11cの内径d1を18mm、付加環状流出開口15bの外径d2を20mm、直径方向の出口幅wを1mmに形成したノズル本体1を準備した。
ノズル本体1の外側環状流路11の外側溶融樹脂AとしてPP(ポリプロピレン)を用い、中間環状流路12の中間溶融樹脂Bとして接着材(無水マレイン酸変性ポリプロピレン)を用い、内側環状流路14の内側溶融樹脂Cとしてバリア材(エチレンビニルアルコール共重合体)を用い、付加環状流路15の付加溶融樹脂Dとして外側溶融樹脂Aと同一のPPを用い、複合溶融樹脂塊(多層ドロップ)を作成した後、図6の工程で圧縮成形を行い、口径φ80mm、深さ47mmのカップ型容器(図7(A))を成形した。
押出条件は、表1に示すとおりである。
このような条件で作成した多層ドロップを、上述のカップ型容器に圧縮成形し、容器内表面から糸引きまでの最小距離の測定を行った。なお、測定については、測定面を切断すると正確な測定ができない恐れがあるため、X線CT装置を用い非破壊で行った。
測定結果は図8のグラフに示す。図中において、縦軸は容器内表面から糸引きまでの最小距離を表し、横軸は付加溶融樹脂Dの割合(重量%)を表す。また、圧縮成形された容器底部の断面における各層と糸引きの位置関係の模式図と、容器内表面から糸引きまでの最小距離の取り方について、図8中左上の四角枠(図7のBに示すものとは上下逆である)内に示している。
なお、図8の結果において、付加溶融樹脂Dが0%〜20%の時、容器内表面から糸引きaまでの最小距離を0μmとしているが、計測器であるX線CT装置の特性上、容器表面に2〜5μmの幅で光の散乱が生ずるため、この範囲に糸引きが存在する場合には、正確な測定を行うことができなかったためである。しかし、10〜20%の範囲においても、表面にメイン層mが存在していることが予測された。
例えば、本実施形態では溶融樹脂を外側環状流路11、中間環状流路12及び内側環状流路14の3つの環状流路によって形成したが、外側環状流路と内側環状流路の2つの流路若しくは4以上の流路を有する押出し成形機のノズル本体にも本発明は適用が可能である。
1a ノズル
9 軸状開閉弁
11 外側環状流路
11b,12b,14b 流出口
11c ノズル排出開口
12 中間環状流路
14 内側環状流路
15 付加環状流路
15b 付加環状流出口
24 カッタ
26,29,32,37 溶融樹脂供給手段
27,30,33,38 押出機
40 成形容器
41 底部
A 外側溶融樹脂(第二の溶融樹脂)
B 中間溶融樹脂(B+Cとして第一の溶融樹脂)
C 内側溶融樹脂(第一の溶融樹脂)
D(A=Dの場合あり) 付加溶融樹脂(第三の溶融樹脂)
a 糸引き(分岐層)
c コア層
m メイン層
s シェル層
Claims (11)
- 先端に排出開口を有する複合溶融樹脂流出路中に、内側流出口を通して第一の溶融樹脂を間欠的に流出せしめると共に、該内側流出口を囲繞する外側流出口を通して第二の溶融樹脂を流出せしめ、該第一の溶融樹脂と該第二の溶融樹脂とを含む複合溶融樹脂を該流出路の該排出開口から流出せしめ、該排出開口から流出せしめられた該複合溶融樹脂を該流出路の該排出開口に沿って切断することによって合成樹脂素材を生成する合成樹脂生成方法において、
該流出路の該排出開口からの該複合溶融樹脂の流出に応じて該流出路の該排出開口を囲繞する付加環状流出口を通して第三の溶融樹脂を流出する、ことを特徴とする複合合成樹脂生成方法。 - 該流出路の該排出開口と該付加環状流出口とは同一平面上に位置する、請求項1記載の複合合成樹脂生成方法。
- 該第二の溶融樹脂と該第三の溶融樹脂とは材料が同一である、請求項1又は2記載の複合合成樹脂生成方法。
- 該複合溶融樹脂流出路は、該内側流出口と該外側流出口との間にさらに溶融樹脂の流出 口を具備し、該排出開口に該溶融樹脂を流出するようにした、請求項1〜3のいずれかに 記載の複合合成樹脂生成方法。
- 先端に排出開口を有する複合溶融樹脂流出路と、該流出路中に開口する内側流出口を有する第一の溶融樹脂流路と、該流出路中に開口する外側流出口を有する第二の溶融樹脂流路と、該第一の溶融樹脂流路の該内側流出口を選択的に開閉するための開閉弁手段と、該複合溶融樹脂流出路の該排出開口から流出せしめられた複合溶融樹脂を該流出路の該排出開口に沿って切断するための切断手段と具備する複合合成樹脂生成装置において、
更に、該流出路の該排出開口を囲繞する付加環状流出口を有する第三の溶融樹脂流路を備えている、ことを特徴とする複合合成樹脂生成装置。 - 該流出路の該排出開口と該第三の溶融樹脂流路の該流出口とは同一平面上に位置する、請求項4記載の複合合成樹脂生成装置。
- 該第三の溶融樹脂流路は、横断面形状が環状である導入部を含み、該導入部の下流部は下方に向かって漸次半径方向内方に傾斜して延びている請求項4または5に記載の複合合成樹脂生成装置。
- 該複合溶融樹脂流出路は、該内側流出口と該外側流出口との間に、さらに溶融樹脂の流 出口を具備し、該排出開口に該溶融樹脂を流出するようにした、請求項5〜7のいずれか に記載の複合合成樹脂生成装置。
- 前記請求項1〜3に記載の複合合成樹脂生成方法により作成された樹脂塊を圧縮成形することによって得られた成形容器であって、
容器底部の一部に、連続した前記第一の溶融樹脂の層から分岐した層を有する圧縮成形容器。 - 少なくとも容器の内面側においては、連続した前記第一の溶融樹脂の層から分岐した層が、容器内表面を形成する樹脂により、容器内表面から一定の距離を隔てられた状態で形成されていることを特徴とする、請求項9に記載の圧縮成形容器。
- 容器底部において、連続した前記第一の溶融樹脂の層が、厚み方向に対して、容器の底 部においてより外表面側に形成されていることを特徴とする、請求項9または10に記載の圧縮成形容器。
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