JP5576549B1 - 電気防食用バックフィル及びコンクリート構造物の電気防食構造 - Google Patents

電気防食用バックフィル及びコンクリート構造物の電気防食構造 Download PDF

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Abstract

【課題】コンクリート構造物の電気防食において、電気防食用電極の陽極電位を低くし且つコンクリート構造物への通電電圧を下げることが可能で、通電性能及び耐久性に優れており消費電力量の低減が可能な電気防食用バックフィル及びコンクリート構造物の電気防食構造を提供すること。
【解決手段】本発明の電気防食用バックフィルは、コンクリート構造物20中の鋼材21に防食電流を流す電気防食用電極11の周囲に設けられるもので、電極11と接触しつつこれを内包する電子伝導性の第1のバックフィル12と、第1のバックフィル12とコンクリート構造物20との間に介在されるイオン伝導性の第2のバックフィル13とを含んで構成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、コンクリート構造物中の鋼材を外部電源方式により電気防食するのに用いられる電気防食用バックフィル、及びそれを用いたコンクリート構造物の電気防食構造に関する。
コンクリート構造物においては、酸素、水、塩化物イオン等の内部浸透によって、その内部に配設されている鉄筋等の鋼材に腐食が発生する。そのような鋼材腐食が発生すると、それに伴う腐食生成物の体積膨張により、コンクリートにひび割れが発生し、腐食をさらに加速させ、鋼材の断面減少等が引き起こされ、最終的には構造物の強度等の諸性能が低下する。そのため、コンクリート構造物における鋼材の腐食を防止する様々な手段が開発されてきており、その中の一つに電気防食方法がある。
電気防食方法は、コンクリート構造物内の鋼材を陰極とし、該陰極と、該コンクリート構造物の表面又はその表面に切削した溝等に設置された陽極(電気防食用電極)との間に電流(防食電流)を通すことにより、鋼材(陰極)の電位を卑方向に変化させ防食する方法である。電気防食方法には、流電陽極方式と外部電源方式とがある。流電陽極方式は、陰極となる鋼材よりもイオン化傾向の高い卑金属を陽極(電気防食用電極)として電池を作製し、両極間の電位差によって防食電流を流す方式である。一方、外部電源方式は、直流電源装置を用いて陽極(電気防食用電極)から陰極(鋼材)に防食電流を流す方式である。
電気防食方法において、効果的に電気防食を行うためには、電気防食用電極(陽極)やその周囲に設ける材料等の検討が重要である。従来、電気防食用電極としては、白金族金属の少なくとも1種の酸化物により被覆されたチタン基材、又は耐酸化金属層により被覆された炭素繊維シート等が使用されている。また、電気防食用電極の周囲に設ける材料としては、該電極を保護する電極用保護材や、該電極の性能を保護してその分極抵抗を低減するために、該電極の外面に充填するバックフィルが知られている。
前記電極用保護材としては、例えば、セメントペースト、モルタルが知られている。これらセメントペーストやモルタルを使用する場合、陽極の表面積が小さく電流密度が比較的大きくなる。このため、陽極反応に伴い局所的に酸の生成が起こり、pHが低下することで電極近傍のセメントペーストやモルタルが劣化して電流分布が非均一になり、電気防食性能を著しく損なうおそれがある。その結果、陽極電位が上昇する。
前記バックフィルに関し、例えば特許文献1には、セメントペーストやモルタルの中に導電性樹脂粉末やグラファイト等を混入してなるものをバックフィルとして用いることが記載されている。また特許文献2及び3には、吸水性樹脂とアルカリ性水溶液とを含み、ゲル状であるバックフィルが記載されている。
特開昭62−199784号公報 特開2006−322043号公報 特開2008−127678号公報
特許文献1記載のバックフィルは、電解質である水溶液が少ないため、経年変化によってバックフィルの乾燥による陽極電位の上昇が生じる問題点がある。また、特許文献2及び3記載のバックフィルは、水溶液を含むゲルであるため、水溶液の漏れや蒸発が効果的に防止され、イオン伝導性及び保水性が良好であるという利点を有するものの、バックフィル中の吸水性樹脂が乾燥収縮した場合には、コンクリート構造物との界面に非接触な部分が生じるおそれがあり、改良の余地がある。電気防食用電極(陽極)を内包するバックフィルとコンクリート構造物との界面に非接触な部分が生じると、防食電流の分布が非均一になると共に、コンクリート構造物に通電する電圧(通電電圧)が上昇し、電気防食性能が著しく損なわれるおそれがある。
本発明の課題は、コンクリート構造物の電気防食において、電気防食用電極の陽極電位を低くし且つコンクリート構造物への通電電圧を下げることが可能で、通電性能及び耐久性に優れており消費電力量の低減が可能な電気防食用バックフィル及びコンクリート構造物の電気防食構造に関する。
本発明は、コンクリート構造物中の鋼材に防食電流を流す電気防食用電極の周囲に設けられる電気防食用バックフィルであって、前記電気防食用電極と接触しつつこれを内包する電子伝導性の第1のバックフィルと、該第1のバックフィルと前記コンクリート構造物との間に介在されるイオン伝導性の第2のバックフィルとを含んで構成されている電気防食用バックフィルである。
また本発明は、コンクリート構造物中の鋼材に防食電流を流す電気防食用電極と、該電気防食用電極の周囲に設けられる電気防食用バックフィルと、該電気防食用電極と該コンクリート構造物中の鋼材との間に防食電流を通電する通電手段とを備えた、コンクリート構造物の電気防食構造であって、前記電気防食用バックフィルが、前記電気防食用バックフィルである、コンクリート構造物の電気防食構造である。
本発明によれば、電気防食用電極の陽極電位を低くし且つコンクリート構造物への通電電圧を下げることが可能で、通電性能に優れており消費電力量の低減が可能な電気防食用バックフィル及びコンクリート構造物の電気防食構造が提供される。
図1は、本発明のコンクリート構造物の電気防食構造の一実施形態を模式的に示す斜視図である。 図2は、図1のI−I線断面(電気防食用電極の幅方向に沿う断面)を模式的に示す断面図である。 図3は、本発明のコンクリート構造物の電気防食構造の他の実施形態の図2相当図である。 図4は、実施例1のコンクリート構造物の電気防食構造の図2相当図である。 図5は、比較例3のコンクリート構造物の電気防食構造の図2相当図である。 図6は、通電試験における実施例及び比較例の電気防食構造の陽極電位の時間変化を示すグラフである。 図7は、通電試験における実施例及び比較例の電気防食構造の通電電圧の時間変化を示すグラフである。 図8は、通電試験における実施例及び比較例の電気防食構造のアノード分極曲線である。
以下、本発明の電気防食用バックフィル(以下、単に、バックフィルともいう)について、これを備えた本発明のコンクリート構造物の電気防食構造(以下、単に、電気防食構造という)と共に、その好ましい一実施形態に基づき図面を参照して説明する。図1及び図2には、本実施形態の電気防食構造10Aが示されている。電気防食構造10Aは、コンクリート構造物20中の鋼材21(例えば鉄筋)に防食電流を流す電気防食用電極11と、電極11の周囲に設けられる電気防食用バックフィル12,13と、電極11と鋼材21との間に防食電流を通電する通電手段(電流分配部材17、リード線18、直流電源装置19)とを備えている。
電気防食構造10Aは、図2に示すように、電気防食用電極11と接触しつつこれを内包する電子伝導性の第1のバックフィル12と、第1のバックフィル12とコンクリート構造物20との間に介在されるイオン伝導性の第2のバックフィル13とを含んで構成されている。本実施形態における電気防食構造10Aは、更に、バックフィル12,13を収容する収容体14を含んでいる。収容体14は、バックフィル12,13の収容部14a(内部空間の高さが相対的に高い部分)と、収容部14aから幅方向Yの外方に延在する固定部14b(内部空間の高さが相対的に低い部分)とを有し、固定部14bにて、ピン、アンカーボルト等の固定具15により、コンクリート構造物20の表面に固定されている。固定部14bの内部空間には、収容体14(固定部14b)とコンクリート構造物20の表面との隙間を埋めるように、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、発泡ポリエチレン、発泡ポリウレタン等の緩衝材が充填されて、緩衝層16が形成されている。尚、図中、幅方向Yは、電極11あるいはバックフィル12,13の長手方向Xと直交する方向である。
本実施形態における電気防食構造10Aは、図1に示すように、電気防食用電極11を複数(2本)備えており、各電極11に1対1で対するように、バックフィル12,13及び収容体14を備えている。各電極11は電流分配部材17により電気的に接続されており、電流分配部材17及びコンクリート構造物20中の鋼材21にはそれぞれリード線18が接続されており、直流電源装置19からリード線18を通じて防食電流が供給可能になされている。
電気防食用電極11としては、外部電源方式による電気防食方法に通常用いられる電気防食用電極を特に制限なく用いることができ、例えば、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム及びルテニウム等の白金族金属の少なくとも1種の酸化物により被覆されたチタン基材、又はニッケルにより被覆された炭素繊維シートが挙げられる。
収容体14の材質としては、この種のバックフィルにおいて収容体として使用可能なものを特に制限なく用いることができ、例えば、塩化ビニル、ポリエステル、エポキシ、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、PTFE(四フッ化エチレン樹脂)、PVDF(フッ化ビニリデン樹脂)、PEEK(ポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂)、等の樹脂、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)、ガラス、セラミック等が挙げられる。
本実施形態の電気防食構造10Aの主たる特徴部分の1つとして、図2に示すように、電気防食用バックフィルが2層構造となっている点が挙げられる。その2層構造は、コンクリート構造物20の表面から相対的に遠い側に位置する第1のバックフィル12と、コンクリート構造物20の表面から相対的に近い側に位置する第2のバックフィル13とを含んで構成されている。第1のバックフィル12は、電気防食用電極11と接触しつつこれを内包する電子伝導性のバックフィルであり、コンクリート構造物20と接触していない。一方、第2のバックフィル13は、電極11を内包していないイオン伝導性のバックフィルであり、第1のバックフィル12及びコンクリート構造物20の両方に接触している。
第1のバックフィル12は、電子伝導性を有し且つ電気防食用電極11の周囲を覆うように配されているため、コンクリート構造物20の電気防食において、第1のバックフィル12全体が電気防食用電極(陽極)として機能する。従って、第1のバックフィル12の採用によって、電極(陽極)表面積が実質的に拡大し、それによって、コンクリート構造物20中の鋼材21(陰極)に十分な防食電流を流すことが可能となる。また、第1のバックフィル12は、電極(陽極)表面積当たりの電流密度が低下することから、陽極反応速度が低下する。さらに、バックフィル12は、これを構成するセメント中の細孔溶液の一部において、陽極反応により電子伝導性からイオン伝導性へと物性が変わる。この陽極反応で生成する酸によって第1及び第2のバックフィル12,13全体のpH低下が緩やかになる。このような陽極反応速度の低下と緩やかなpH低下とによって、バックフィルの耐久性、延いては電気防食構造10Aの耐久性が向上する。
また、第2のバックフィル13は、イオン伝導性を有し且つ第1のバックフィル12とコンクリート構造物20の表面との間に介在配置されているため、コンクリート構造物20の電気防食において、第1のバックフィル12とコンクリート構造物20の表面との間をイオン伝導可能な状態に維持すると共に、電気防食構造10Aのコンクリート構造物20との接触面積を大きくすることができ、それによって、効率的に電気防食を行うことが可能となる。さらに、第2のバックフィル13は、電気化学的反応の場を提供し、電子伝導性からイオン伝導性へと物性が変わり、陽極反応で生成する酸を電極近傍から沖合いに分散することにより局所的にpHが低下することを抑制することができ、それによって、耐久性が向上する。
本実施形態の電気防食構造10Aは、このような特定組成のバックフィル12,13を積層してなる、2層構造の電気防食用バックフィルの採用により、コンクリート構造物20の電気防食において、電気防食用電極11(陽極)の電位を低くし且つコンクリート構造物20への通電電圧を下げることができ、そのような優れた通電性能の発現によって、少ない電力量で効率的に電気防食を実施可能であり、消費電力量の低減効果に優れる。また、電気防食構造10Aは、バックフィル12,13の作用により、陽極反応で生成する酸を分散することにより局所的にpHが低下することを抑制することができ、それによって、耐久性が向上する。
第1のバックフィル12は、セメントを主体として構成することができる。第1のバックフィル12に用いるセメントは特に制限されず、例えば、ポルトランドセメント、フライアッシュセメント、高炉セメント、シリカセメント、耐硫酸塩セメント、中庸熱セメント、超速硬性セメント、アルミナセメント等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。セメントの含有量は、第1のバックフィル12中、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは20〜30質量%である。バックフィル12におけるセメントの含有量が斯かる範囲内では、電子伝導性と形状保持する強度に一層優れる。
第1のバックフィル12には炭素質材料を含ませることができる。即ち、第1のバックフィル12の一例として、炭素質材料及びセメントを含んで構成されているものが挙げられる。第1のバックフィル12に炭素質材料を含有させることにより、電極(陽極)として機能する第1のバックフィル12の電極表面積が実質的に拡大し、導電性を更に向上させることができる。第1のバックフィル12に用いる炭素質材料としては、例えば、コークス、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。炭素質材料の形態は特に制限されず、繊維状でも良く、粉体でも良い。炭素質材料の含有量は、第1のバックフィル12中、好ましくは40〜60質量%、更に好ましくは45〜55質量%である。バックフィル12における炭素質材料の含有量が斯かる範囲内では、電子伝導性と形状保持する強度に一層優れる。
第2のバックフィル13は、電極(陽極)として機能する第1のバックフィル12とコンクリート構造物20(陰極として機能する鋼材21)とを電気的に接続する役割を果たすものであり、斯かる役割を果たすのに必要なイオン伝導性を確保する観点から、電気抵抗率の低い水溶液を含むことが好ましい。第2のバックフィル13に用いる電気抵抗率の低い水溶液としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カルシウム、四ホウ酸リチウム、四ホウ酸ナトリウム等のアルカリ剤を含むもの(アルカリ性水溶液)が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。アルカリ性水溶液におけるアルカリ剤の含有量は、好ましくは0.5〜4質量%、更に好ましくは1〜2質量%である。また、電気抵抗率の低い水溶液(アルカリ性水溶液)の含有量は、第2のバックフィル13中、好ましくは40〜70質量%、更に好ましくは45〜55質量%である。バックフィル13における電気抵抗率の低い水溶液(アルカリ性水溶液)の含有量が斯かる範囲内では、イオン伝導性と形状保持する強度に一層優れる。
また、第2のバックフィル13は、そのイオン伝導性及び形状が長期に亘って維持されるようにする観点から、保水性及び形状保持性を有していることが好ましい。第2のバックフィル13に保水性及び形状保持性を付与し得る材として、ゲル化剤、並びにパーライト及びベントナイトが挙げられる。第2のバックフィル13の好ましい形態として、アルカリ性水溶液に加えて、ゲル化剤、パーライト及びベントナイトからなる群から選択される1種以上を含むものが挙げられる。
第2のバックフィル13に用いるゲル化剤としては、アルカリ性水溶液と混合した際にゲル状を呈し、イオン伝導性が維持されるような保水性と形状保持性が得られるものであれば良く、例えば、カラギーナン;アクリル酸ナトリウム−アクリルアミド共重合体、アクリル酸ナトリウム−アクリルアミド共重合体、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体等の吸水性樹脂が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ゲル化剤の含有量は、第2のバックフィル13中、好ましくは5〜20質量%、更に好ましくは7〜12質量%である。バックフィル13におけるゲル化剤の含有量が斯かる範囲内では、イオン伝導性と形状保持する強度に一層優れる。
第2のバックフィル13に、パーライトを含有させることにより、保水性及び形状保持性の向上に加えて、軽量化を図ることが可能となる。パーライトの含有量は、第2のバックフィル13中、好ましくは10〜50質量%、更に好ましくは25〜35質量%である。バックフィル13におけるパーライトの含有量が斯かる範囲内では、保水性及び形状保持性の一層の向上が得られる。
第2のバックフィル13に用いるベントナイトとしては、カルシウム型、ナトリウム型のどちらも用いることができるが、カルシウム型よりも膨潤度の大きいナトリウム型のベントナイトが有利である。このナトリウム型のベントナイトとは、モンモリロナイトのシート状結晶の層間にナトリウムイオンやカリウムイオン等のアルカリ金属類を吸着しているベントナイトである。第2のバックフィル13にベントナイトを含有させることにより、第2のバックフィル13に高い保水性及び粘性を付与することが可能となる。ベントナイトの含有量は、第2のバックフィル13中、好ましくは10〜50質量%、更に好ましくは25〜35質量%である。バックフィル13におけるベントナイトの含有量が斯かる範囲内では、保水性及び形状保持性の一層の向上が得られる。
第1バックフィル12の厚みT1(図2参照)は、好ましくは5〜30mm、更に好ましくは10〜20mmである。このような厚みT1に設定することにより、電極(陽極)表面積が実質的に一層拡大する。
第2バックフィル13の厚みT2(図2参照。第1のバックフィル12とコンクリート構造物20とで挟まれている部分の厚み。)は、好ましくは5〜30mm、更に好ましくは7〜12mmである。このような厚みT2に設定することにより、陽極反応で生成する酸が電極近傍から沖合いに一層拡散されやすくなる。
厚みT1と厚みT2との比(T1/T2)は、好ましくは0.5〜3、更に好ましくは1〜2である。このような比T1/T2に設定することにより、局所的にpHが低下することを抑制することができ、耐久性が一層向上する。
図3には、本発明のコンクリート構造物の電気防食構造の他の実施形態が示されている。後述する他の実施形態については、前記実施形態と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、前記実施形態についての説明が適宜適用される。
前述した電気防食構造10Aは、コンクリート構造物20の表面に取り付けられるもので、該表面から突出していたが、電気防食構造10Bは、図3に示すように、コンクリート構造物20の内部に埋設されている。電気防食構造10Bは、電気防食構造10Aが備えていた収容体14(図2参照)を備えていない。電気防食構造10Bは、コンクリート構造物20の表層部(コンクリート構造物20の表面及びその近傍)を一部除去して設けられた凹部(切削溝)22に配されている。凹部22の開口部は、セメントペースト、モルタル等の充填材23によって封鎖されている。充填材23の外面(電気防食構造10Bとの対向面とは反対側の面)は、コンクリート構造物20の表面と面一になっている。充填材23は、コンクリート構造物20のコンクリート部分(鋼材21以外の部分)と同一組成であっても良い。電気防食構造10Bにおいては、凹部22の壁面が第2のバックフィル13で被覆されており、第1のバックフィル12は、第2のバックフィル13に包囲されている。電気防食構造10Bによっても、電気防食構造10Aと同様の効果が奏される。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、斯かる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
図4に示す如き、バックフィルが2層構造の電気防食構造10Cを作製した。電気防食構造10Cは、前述した電気防食構造10Aと同様に、コンクリート構造物20の表面に取り付けられるタイプのもので、平面視四角形形状(縦120mm、横120mm、厚み1mm)の繊維強化プラスチック(FRP)製の板状部材30aの四隅に、ポリエチレン発泡シート30b(幅10mm、高さ20mm)を貼り付けて容器状にしたものを、バックフィルの収容体とした。この収容体内に、第1のバックフィル32を、板状部材30aからの厚みが10mmとなるように充填し、第1のバックフィル32の厚み方向の中央部に、電気防食用電極としての陽極材31を配置した。陽極材31は、幅13mmのメッシュ状のチタン基材に酸化物被膜をめっき処理してなるもので、厚みは0.8mmであった。陽極材31の長手方向両端は、ポリエチレン発泡シート30bを貫通させて電気防食構造10Cの外部に露出させた。次いで、厚み10mmの第2のバックフィル33を、第1のバックフィル32上に積層した。こうにして作製した電気防食構造10Cを、平面視四角形形状のコンクリート板20(縦120mm、横120mm、厚み50mm)の一面に、ポリエチレン発泡シート30bに塗布したシリコンシーラントによって固定した。
実施例1の第1のバックフィル32は、炭素繊維を含むセメント材(積水フーラ社製、ドーデンクリートS)とコークス(小林商事社製、100号特粉)とカーボンブラック(電気化学工業社製、50%プレス)と水道水とを、質量比で、セメント材:コークス:カーボンブラック:水=1:2:0.1:1の割合で混ぜ合わせて作製した。
実施例1の第2のバックフィル33は、飽和炭酸リチウム水溶液とグリセリンとパーライト(三井金属鉱業社製、A35)とカラギーナン(三菱商事フードテック社製、CAM-H)と吸水性樹脂(住友精化社製、SSゲル)とを、質量比で、飽和炭酸リチウム水溶液:グリセリン:パーライト:カラギーナン:吸水性樹脂=54:5:30:8:3の割合で混ぜ合わせて作製した。
〔比較例1〕
第2のバックフィル33を設けなかった以外は実施例1(電気防食構造10C)と同様にして、単層構造のバックフィル(厚み10mmの第1のバックフィル32)を備えた電気防食構造を作製した。単層構造のバックフィルの厚み方向の中央部に陽極材31を埋設した。
〔比較例2〕
第1のバックフィル32を設けなかった以外は実施例1(電気防食構造10C)と同様にして、単層構造のバックフィル(厚み10mmの第2のバックフィル33)を備えた電気防食構造を作製した。単層構造のバックフィルの厚み方向の中央部に陽極材31を埋設した。
〔比較例3〕
図5に示す如き、電気防食構造10Dを作製した。電気防食構造10Dは、鉄筋コンクリートに対して実績の多い電気防食構造の構成を模したもので、コンクリート板20の一面上にモルタル(エルガードモルタルP&S)を流し込んで硬化させ、平面視四角形形状の単層構造の電極用保護材41(縦100mm、横100mm、厚み10mm)を形成した。電極用保護材41の厚み方向の中央部に陽極材31を埋設した。
〔評価試験〕
各実施例及び比較例の電気防食構造に対して、以下の手順で通電試験を行った。水を入れたプラスチック製の容器内に、評価対象の電気防食構造及びステンレス板を設置し、該容器外の直流電源のプラス端子及びマイナス端子と該電気防食構造の陽極材及び該ステンレス板をと接続して、通電した。通電時の電流密度は、通常に使用される最大の電流密度であるコンクリート面積当たり30mA/m2とした。通電期間は、実施例1の有用性が明確になるデータが得られるまでとし、実際には2.3ヶ月程度であった。通電期間中は、評価対象の電気防食構造の陽極電位及び通電電圧をそれぞれ任意の時間間隔で測定した。陽極電位は、プラスチック製容器の水中に飽和KCl銀塩化銀電極を入れて測定した。通電試験を開始してから30日目には、評価対象の電気防食構造のアノード分極特性を調べた。
図6には、前記通電試験における各実施例及び比較例の電気防食構造の陽極電位の時間変化、図7には、該電気防食構造の通電電圧の時間変化が示されている。図6から明らかなように、実施例1の陽極電位は各比較例のそれに比べて低く、且つ時間が経過しても陽極電位の上昇が少ない。また、図7から明なように、実施例1の通電電圧は、各比較例のそれに比べて低い。これらの結果から、外部電源方式のコンクリート構造物の電気防食において、一定の電流密度で通電を行う場合に、電気防食用電極の陽極電位を低くし且つコンクリート構造物への通電電圧を下げるためには、電気防食用バックフィルとして、前述した特定組成のバックフィルを積層してなる、2層構造のバックフィルの採用が有効であり、そうすることによって、通電性能が向上し、消費電力量を低減させることが可能であることが分かる。
図8には、前記通電試験において通電試験を開始してから30日目の各実施例及び比較例の電気防食構造のアノード分極曲線が示されている。図8から明らかなように、各比較例は、電流密度を大きくするとそれに伴って陽極電位も上昇しているのに対し、実施例1は、電流密度を大きくしても陽極電位の上昇が少なく低い値で安定しており、陽極特性が良い。この結果から、外部電源方式のコンクリート構造物の電気防食において、比較的大きな電流密度で通電を行う場合には、電気防食用バックフィルとして、前述した特定組成のバックフィルを積層してなる、2層構造のバックフィルの採用することにより、消費電力量の低減効果が更に高くなることが分かる。
10A,10B,10C,10D 電気防食構造
11,31 電気防食用電極(陽極)
12,32 第1のバックフィル
13,33 第2のバックフィル
14 収容体
14a 収容部
14b 固定部
15 固定具
16 緩衝層
19 直流電源装置
20 コンクリート構造物
21 鋼材
22 凹部
23 充填材

Claims (6)

  1. コンクリート構造物中の鋼材に防食電流を流す電気防食用電極の周囲に設けられる電気防食用バックフィルであって、
    前記電気防食用電極と接触しつつこれを内包する電子伝導性の第1のバックフィルと、該第1のバックフィルと前記コンクリート構造物との間に介在されるイオン伝導性の第2のバックフィルとを含んで構成されており、
    前記第1のバックフィルは、炭素質材料及びセメントを含んで構成されている電気防食用バックフィル。
  2. 前記第2のバックフィルは、アルカリ性水溶液及びゲル化剤を含んで構成されている請求項1記載の電気防食用バックフィル。
  3. 前記アルカリ性水溶液は、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カルシウム、四ホウ酸リチウム及び四ホウ酸ナトリウムからなる群から選択される1種以上を含み、前記ゲル化剤は、カラギーナン又は吸水性樹脂である請求項記載の電気防食用バックフィル。
  4. 前記第2のバックフィルは、パーライト又はベントナイトを含んで構成されている請求項1〜の何れか一項に記載の電気防食用バックフィル。
  5. 前記電気防食用電極は、白金族金属の少なくとも1種の酸化物により被覆されたチタン基材、又はニッケルにより被覆された炭素繊維シートで形成されている請求項1〜の何れか一項に記載の電気防食用バックフィル。
  6. コンクリート構造物中の鋼材に防食電流を流す電気防食用電極と、該電気防食用電極の周囲に設けられる電気防食用バックフィルと、該電気防食用電極と該コンクリート構造物中の鋼材との間に防食電流を通電する通電手段とを備えた、コンクリート構造物の電気防食構造であって、
    前記電気防食用バックフィルが、請求項1〜の何れか一項に記載の電気防食用バックフィルである、コンクリート構造物の電気防食構造。
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