JP2016038339A - 腐食センサ - Google Patents

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Shigenobu Kainuma
重信 貝沼
修二 石原
Shuji Ishihara
修二 石原
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Daisuke Uchida
大介 内田
浅野 浩一
Koichi Asano
浩一 浅野
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Abstract

【課題】大気の腐食環境性を長期間にわたって高精度に測定することができる腐食センサを提供することを目的とする。
【解決手段】複数の連通孔が形成された陽極部5と、陽極部5に対向して配置され且つ陽極部5に対して貴な材料からなる陰極部6と、陽極部5と陰極部6との間に配置され且つ絶縁体からなると共に外部からの水分Wを吸収する吸水シート7とを有し、陽極部5に陽極側端子が配置され且つ陰極部6に陰極側端子が配置される電極部1と、陽極部側端子と陰極側端子に接続され、吸水シート7に水分Wが吸収されて腐食回路Tが形成された時に流れる電流を測定する測定部3とを備え、複数の連通孔は、外部から吸水シート7まで連通して、外部の水分Wを収容すると共に吸水シート7に供給する。
【選択図】図1

Description

この発明は、腐食センサに係り、特に、大気中の腐食環境性を測定するための腐食センサに関する。
長期間にわたって自然環境に曝される構造物、例えば橋梁、標識、街灯、水門および樋門などは、大気に存在する水分、酸素および塩類などの腐食成分と接触して腐食が進行するため、定期的に腐食状況を点検し、所定の耐久性を維持させる必要がある。そこで、構造物の腐食状況を把握するために、構造物周辺の腐食環境性を測定する腐食センサが開発されている。
例えば、特許文献1には、絶縁部を介して二つの異種金属を配置し、大気中に存在する水分で両金属間が連結されたことに起因して流れる電流値を測定する、いわゆるガルバニック対を利用したACMセンサ(Atmospheric Corrosion Monitor)が提案されている。このACMセンサは、例えば、厚さ0.8mmの炭素鋼板を64mm×64mmに切り出して第1の導電部とし、この第1の導電部上に絶縁部を介して厚さ30μm〜40μmの複数の第2の導電部を塗布することにより形成されている。このように、ACMセンサは、第2の導電部をそれぞれ細長く形成することにより水分が付着する表面積を増加させており、これにより第1の導電部と第2の導電部との間に流れる電流が増加して、構造物周辺の腐食環境性を高精度に測定することができる。
特開2011−33470号公報
しかしながら、ACMセンサは、第2の導電部がそれぞれ細長く形成されているため、腐食などにより断線しやすくなっている。この第2の導線部は、電流を測定する測定部に端部のみで接続されているため、一箇所でも断線が生じた第2の導電部には電流が流れなくなる。このため、ACMセンサを長期間にわたって使用すると、第2の導電部の断線に応じて測定の精度が急激に低下するといった問題があった。特に、海岸付近などの腐食成分濃度が高い環境で使用すると1か月程度で第2の導電部の多くに断線が生じてしてしまい、長期間にわたって腐食環境性を高精度に測定することは困難であった。
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、大気の腐食環境性を長期間にわたって高精度に測定することができる腐食センサを提供することを目的とする。
この発明に係る腐食センサは、複数の連通孔が形成された陽極部と、陽極部に対向して配置され且つ陽極部に対して貴な材料からなる陰極部と、陽極部と陰極部との間に配置され且つ絶縁体からなると共に外部からの水分を吸収する吸水シートとを有し、陽極部に陽極側端子が配置され且つ陰極部に陰極側端子が配置される電極部と、陽極側端子と陰極側端子に接続され、吸水シートに水分が吸収されて腐食回路が形成された時に流れる電流を測定する測定部とを備え、複数の連通孔は、外部から吸水シートまで連通して、外部の水分を収容すると共に吸水シートに供給するものである。
ここで、陽極部は、複数の連通孔として複数の細孔を有する多孔質材から構成され、複数の細孔に沿って網目状に連続して拡がる構造を有することができる。
また、陽極部は、複数の連通孔として互いに平行に延びる複数の貫通孔を形成することもできる。また、陽極部は、6.5mm以下20μm以上の直径からなる複数の貫通孔が形成されることが好ましい。
また、吸水シートは、架橋型アクリレート繊維であるのが好ましい。
また、陽極部、吸水シート、および陰極部の位置を互いに固定する固定部をさらに有することができる。
また、複数の連通孔を塞がないように電極部の外側を覆う防水膜をさらに有することが好ましい。
この発明によれば、陽極部が外部から吸水シートまで連通する複数の連通孔を有するので、大気の腐食環境性を長期間にわたって高精度に測定することが可能となる。
この発明の実施の形態1に係る腐食センサの構成を示す断面図である。 電極部に配置された陽極部の構成を示す断面図である。 複数の細孔を介して陽極部内に水分が浸透する様子を示す断面図である。 陽極部内に形成される複数の伝導路を示す断面図である。 実施の形態2に係る腐食センサの構成を示す断面図である。 複数の貫通孔を介して陽極部内に水分が浸透する様子を示す断面図である。 実施の形態2の陽極部の腐食に対して形成される伝導路を示す断面図である。 陽極部の底面から内面に電子が供給される様子を示す断面図である。 実施の形態3に係る腐食センサの構成を示す断面図である。 実施の形態1に係る腐食センサを用いて、電極部に流れる腐食電流を測定した実施例を示すグラフである。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1に実施の形態1に係る腐食センサの構成を示す。この腐食センサは、大気中の腐食環境性を電気化学的に検出する電極部1と、電極部1を固定する固定部2と、電極部1で検出された腐食環境性を測定する測定部3と、固定部2を介して電極部1と測定部3とを電気的に接続する導線部4とを有する。
電極部1は、陽極部5と、陽極部5に対向して配置された陰極部6と、陽極部5と陰極部6との間に配置された吸水シート7とを有する。
陽極部5は、平板形状を有し、陰極部6に対して卑な導電性材料(イオン化傾向が大きい材料)からなる多孔質材から構成されている。例えば、陽極部5は、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、AlとZnの合金などの金属から構成することができる。また、多孔質材としては、これらの金属粉体を焼結して作製することが好ましく、特に、Al−Zn合金粉体を焼結した多孔質焼結材を用いることが好ましい。
図2に示されるように、多孔質材から構成された陽極部5には、複数の細孔12が形成されている。この複数の細孔12は、三次元方向に不規則に延びると共に互いに連結されており、陽極部5は、複数の細孔12に沿って網目状に連続して拡がる構造を有している。すなわち、陽極部5は、その一部が分断されることなく、厚さ方向および厚さ方向に直交する方向に連続した構造を有する。
陰極部6は、平板形状を有し、陽極部5に対して貴な導電性材料(イオン化傾向が小さい材料)から構成されている。例えば、陰極部6は、鉄および鋼などから構成することができる。
吸水シート7は、陽極部5と陰極部6との間を絶縁する絶縁体から構成され、外部からの水分を吸収することにより陽極部5と陰極部6との間を水分で連結するものである。吸水シート7としては、例えば、布、紙、編織物、および不織布など、繊維素材が平面状に構成されるものを用いることができる。
固定部2は、陽極部5と陰極部6の表面にそれぞれ当接して配置される一対の平ワッシャー8aおよび8bと、一対の平ワッシャー8aおよび8bの表面にそれぞれ当接して配置される一対のスプリングワッシャー9aおよび9bと、電極部1を貫通して延びる軸部を有するボルト10と、ボルト10の軸部に螺合するナット11とを有する。
ボルト10とナット11は、陽極部5の表面と陰極部6の表面を外側から締め付けることにより陽極部5、吸水シート7および陰極部6の位置を互いに固定するためのものである。ボルト10は、絶縁性材料から構成されており、例えば耐候性に優れるポリエーテルエーテルケトン樹脂から構成することができる。
一対の平ワッシャー8aおよび8bは、金属材料から構成され、ボルト10とナット11による締め付けに応じて陽極部5と陰極部6の表面を加圧するためのものである。
一対のスプリングワッシャー9aおよび9bは、金属材料から構成され、ボルト10とナット11による締め付けが緩むことを抑制するためのものである。
なお、平ワッシャー8aとスプリングワッシャー9aは本発明における陽極側端子を構成し、平ワッシャー8bとスプリングワッシャー9bは本発明における陰極側端子を構成している。
導線部4は、一対のスプリングワッシャー9aおよび9bに接続されており、一対のスプリングワッシャー9aおよび9bと一対の平ワッシャー8aおよび8bとを介して測定部3を陽極部5と陰極部6に電気的に接続している。なお、固定部2を介さずに導線部4を陽極部5と陰極部6に直接接続することもできる。
測定部3は、電流測定器から構成され、導線部4を介して陽極部5と陰極部6との間に流れる電流を測定する。測定部3としては、継時的に電流を測定できる電流測定器を用いることが好ましい。
次に、図1に示した腐食センサを用いて大気中の腐食環境性を測定する方法について説明する。
まず、橋梁などの構造物の周囲に載置または構造物に直接貼り付けるなどして腐食センサを設置する。雨などにより外部環境の湿度が高くなると、その水分Wが陽極部5の表面13に付着する。陽極部5の表面13に付着した水分Wは、図3に示すように、陽極部5に形成された複数の細孔12内に入り、そのまま複数の細孔12に収容されると共に複数の細孔12を陽極部5の裏面14まで浸透して吸水シート7に供給される。
これにより、複数の細孔12から供給された水分Wで吸水シート7が満たされ、陽極部5と陰極部6との間が水分Wで連結されて腐食回路Tが形成される。
この腐食回路Tの形成により、陰極部6に対して卑な導電性材料からなる陽極部5においてアノード反応(酸化反応)が生じ、陽極部5の金属原子が陽極部5内に電子を残して水分W中に溶解して拡散する。一方、貴な導電性材料から構成された陰極部6には、陽極部5に残された電子が導線部4を介して供給されてカソード反応(還元反応)が生じ、水HO、酸素O及び陽極部5から供給された電子が反応して水酸化物イオンOHを生じる。このように、アノード反応とカソード反応が陽極部5と陰極部6においてそれぞれ生じることで、導線部4を介して陽極部5から陰極部6へ順次電子eを供給する、すなわち、図1に示すように、陰極部6から陽極部5へ腐食電流Aが流れることになる。
この時、水分Wは、吸水シート7内だけではなく、陽極部5の複数の細孔12にも収容されている。このため、図3に示すように、上記のようなアノード反応は、陽極部5の裏面14だけでなく、複数の細孔12の内面15においても生じており、裏面14および内面15の双方で生じた電子eが陰極部6に供給される。このように、複数の細孔12を有する陽極部5を用いることにより、複数の細孔が形成されていない板状の陽極部を用いた場合と比較して、アノード反応が生じる表面積を増加させることができ、導線部4を介して陽極部5から陰極部6に供給される電子eの量を増加させると共に陰極部6から陽極部5に流れる腐食電流Aを増加させることができる。
また、陽極部5は、複数の細孔12に沿って網目状に連続して拡がる構造を有しており、その内部において電子eを伝導するための複数の伝導路が互いに連続するように形成されている。このため、例えば、図4に示すように、陽極部5の裏面14において生じた電子eは、伝導路16aおよび16bを含む陽極部5内の複数の伝導路16を伝導することができる。従って、例えば、1つの伝導路16aに接する内面15においてアノード反応に伴う腐食部Cが形成されて互いに隣接する細孔12の間が塞がれても、腐食部Cの周辺の領域を介して電子eを平ワッシャー8aおよびスプリングワッシャー9aからなる陽極側端子へ伝導することができる。
すなわち、陽極部5における腐食の進行に伴って電子eの伝導が遮断されることを抑制することができ、長期間にわたり、導線部4を通して大気の腐食環境性に応じた腐食電流Aを生じさせることができる。
このようにして導線部4を通して陰極部6から陽極部5に流れる腐食電流Aは、測定部3により測定される。腐食電流Aの値は、電極部1におけるアノード反応とカソード反応の量に応じて変化する、すなわち外部の水分、酸素および塩類などの腐食成分の濃度に応じて変化する。例えば、外部環境の湿度が高くなると、電極部1に付着する水分W量が増加し、測定部3で測定される腐食電流Aの値が大きくなり、一方、外部環境の湿度が低い場合は、電極部1に付着する水分W量が低下し、測定部3で測定される腐食電流Aの値も低下する。特に、晴天時など外部環境が乾燥しているために電極部1に水分Wが付着されないときは、腐食電流Aは0となる。このように、腐食成分の濃度に応じて変化する腐食電流Aの値に基づいて、腐食センサの周囲の腐食環境性を評価することができる。
ここで、外部の水分Wを吸収する吸水シート7には、繊維素材中に親水性官能基を有する繊維が含まれるものを用いることが好ましく、繊維間のみで水分Wを物理的に保持する繊維と比較して、水分Wの保持機能を高めることができる。これにより、外部環境の水分濃度が比較的低い場合、例えば、結露が発生するような環境においても、陽極部5および陰極部6に生じた少量の水分Wを吸水シート7が吸収して陽極部5と陰極部6との間を連結するため、幅広い水分濃度に応じた腐食電流Aを測定することができる。
親水性官能基としては、スルホ基(−SOH)、カルボキシ基(−COOH)、アミノ基(−NH)、アミド基(−CONH)、アルデヒド基(−CHO)、チオール基(−SH)、ヒドロキシ基(−OH)、などを有することが好ましく、これらの親水性官能基を繊維中または繊維表面に有することにより、繊維中または繊維間において水分を保持することができる。親水性官能基を有する繊維としては、例えば、レーヨン、綿、ビニロン、ナイロン、羊毛、アクリレートなどが挙げられるが、特に、特開2003−089971号公報に記載されるようにアクリレート系繊維を薬剤処理することにより得られる架橋型アクリレート繊維を用いることが好ましい。
また、電極部1は、陽極部5の複数の細孔12を介して内部に水分Wを浸透させるため、電極部1内の水分Wが外部に流出することを抑制することができる。従来、ACMセンサでは、電極部が外部に露出しているため、電極部の表面が水平になるように腐食センサを設置した場合には電極部に水分が多く付着するのに対し、電極部の表面が鉛直方向に沿うように腐食センサを設置した場合には水分が電極部上から流下して水分の付着量が低下し、その姿勢に応じて腐食電流の値が変化するといった問題があった。本発明では、電極部1内に水分Wを浸透させて電極部1からの水分Wの流出を抑制することで、電極部1の姿勢に関わらず水分Wの付着量を一定に維持して腐食電流Aを測定することができ、腐食センサの設置の自由度が向上する。
なお、腐食センサを構造物に取り付ける際に、腐食センサと構造物との間に断熱材を挟む等の方法により、構造物からの熱が腐食センサに伝わりにくい構成とすれば、構造物からの熱が電極部1に伝達されて腐食電流Aの値が変化することを抑制し、腐食成分の濃度に応じた腐食電流Aを正確に測定することができる。
本実施の形態によれば、複数の細孔12を形成して陽極部5においてアノード反応が生じる表面積を増加させることにより、陰極部6から陽極部5に流れる腐食電流Aを増加させることができ、外部の腐食環境性を高精度に測定することができる。また、陽極部5を網目状の構造として互いに連続する複数の伝導路16を形成することにより、陽極部5の腐食に伴って複数の伝導路16の全てが切断されることを抑制し、外部の腐食環境性を長期間にわたって高精度に測定することができる。さらに、吸水シート7として親水性官能基を有する繊維を用いて水分保持機能を高めることにより、外部の水分濃度が比較的低い場合でも腐食環境性を高精度に測定することができる。
実施の形態2
実施の形態1では、複数の細孔12を有する多孔質材から陽極部5を構成したが、陽極部は外部から吸水シートまで連通する複数の連通孔が形成されていればよく、多孔質材に限られるものではない。
例えば、図5に示すように、実施の形態1に係る腐食センサにおいて、陽極部5に換えて陽極部21を配置することができる。この陽極部21には、それぞれ陽極部21の表面に対して垂直な方向に貫通する複数の直管状の貫通孔22が形成されている。これにより、陽極部21は、複数の貫通孔22の間を連続して拡がる構造を有している。すなわち、陽極部21は、その一部が分断されることなく、厚さ方向および厚さ方向に直交する方向に連続した構造を有する。
まず、実施の形態1と同様に、腐食センサを構造物の周囲などに設置すると、図6に示すように、外部環境に存在する水分Wが、複数の貫通孔22内に流入して、複数の貫通孔22に収容されると共に複数の貫通孔22を陽極部21の裏面14まで浸透して給水シート7に供給される。そして、複数の貫通孔22から供給された水分Wで給水シート7が満たされることにより、陽極部21と陰極部6との間が連結されて腐食回路Tが形成される。
この時、水分Wは、給水シート7内だけでなく陽極部21内にも収容されているため、腐食回路Tの形成に伴うアノード反応を陽極部21の裏面14と内面15の双方で生じさせることができ、導線部4を通して陽極部21から陰極部6への電子eの供給能力を増加させることができる。
また、陽極部21にはアノード反応に伴い腐食が生じるが、陽極部21が複数の貫通孔22の間を厚さ方向および厚さ方向に直交する方向に連続して拡がる構造を有するため、電子eが伝導するための複数の伝導路が形成されている。このため、例えば、図7に示すように、陽極部21の裏面14において生じた電子eは、伝導路23および24を含む陽極部21内の複数の伝導路を伝導することができ、電子eの伝導が腐食により遮断されることを抑制することができる。例えば、隣り合う貫通孔22の間を横断するように生じた腐食部Cにより1つの伝導路23が塞がれても、腐食部Cの周辺の領域を介して電子eを平ワッシャー8aおよびスプリングワッシャー9aからなる陽極側端子へ伝導させることができる。
従って、長期間にわたり、導線部4を通して大気の腐食環境性に応じた腐食電流Aを陰極部6から陽極部21に流すことができる。
このようにして、導線部4を通して陰極部6から陽極部21に流れる腐食電流Aが、測定部3により測定される。腐食電流Aは、電極部1におけるアノード反応とカソード反応の量に応じて変化する、すなわち外部の水分、酸素および塩類などの腐食成分の濃度に応じて変化する。このため、測定部3により測定された腐食電流Aの値に基づいて周囲の腐食環境性を評価することができる。
ここで、陽極部21には直管状の貫通孔22が形成されているため、実施の形態1の陽極部5に形成された三次元方向に不規則な複数の細孔12に水分Wが収容される場合と比較して、貫通孔22から水分Wが排出されやすく、外部の水分濃度が低下した場合に電極部1内の水分W量をスムーズに低下させることができる。例えば、雨が止んで晴れた場合に、複数の貫通孔22に収容された水分Wはスムーズに気化されて電極部1内から排出される。このため、外部の水分濃度の変化に対応してスムーズに腐食電流Aを変化させることができ、その値に基づいて腐食環境性の変化を敏感に捉えることができる。
なお、複数の貫通孔22は、20μm以上6.5mm以下の直径を有するように形成することが好ましい。
ここで、複数の貫通孔22の直径を20μm以上とすることで、上記のように外部の水分濃度が低下した場合に、複数の貫通孔22に収容された水分Wをよりスムーズに低下させることができる。
また、複数の貫通孔22を6.5mmより大きな直径で形成すると、貫通孔22に収容された水分W中の酸素濃度は、貫通孔22に接する内面15と陽極部21の裏面14との間で酸素濃度に大きな差が生じるおそれがある。これにより、図8に示すように、陽極部21の裏面14で生じた電子eが内面15に伝導される、いわゆる酸素濃淡電池が陽極部21内に形成されて、陽極部21から陰極部6への電子eの伝導が妨げられてしまう。そこで、複数の貫通孔22の直径を6.5mm以下とすることにより、陽極部21から陰極部6への電子eの伝導が阻害されることを抑制し、陽極部21と陰極部6の間の腐食反応に応じた腐食電流Aを正確に測定することができる。
実施の形態3
実施の形態1および2において、複数の細孔または複数の貫通孔を塞がないように電極部1の外側を防水膜で覆うことが好ましい。
例えば、図9に示すように、陽極部5の表面13を除いて電極部1の外側を覆うと共に固定部2の外側を覆うように防水膜31を形成することができる。防水膜31としては、例えばシリコーン樹脂を用いることができる。
このように、電極部1および固定部2の外表面に水分Wが付着するのを抑制することにより、陰極部などの金属で構成された部材が、腐食環境性の測定と関係なく、外部の水分Wで腐食されることを抑制することができ、長期間にわたって腐食電流Aの測定を行うことができる。
(実施例1)
800×400×9mmの鋼板をブラスト処理した陰極部の上に、66×66×3mmのアクリレート繊維からなる給水シートと、66×66×5mmの多孔質材からなる陽極部とを順次重ねて電極部を作製し、この電極部をポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂製ボルトで固定すると共に陽極部の上部と陰極部の下部とを導線部で接続した。続いて、陽極部の表面を除く全表面をシリコーン樹脂からなる防水膜で覆うことにより腐食センサを作製した。
なお、陽極部は、AlとZnの金属粉をそれぞれ50質量%で混合した混合粉体を焼結することにより得られた気孔率30%の多孔質材を用いた。また、陰極部は、JIS G3106 SM400A材を用いた。
(実施例2)
陽極部として、80質量%のAl金属粉と20質量%のZn金属粉とを混合した混合粉体を焼結することにより得られた気孔率30%の多孔質材を用いた以外は、実施例1と同様の方法により腐食センサを作製した。
(実施例3)
陽極部として、80質量%のAlと20質量%のZnとの合金粉体を焼結することにより得られた気孔率30%の多孔質材を用いた以外は、実施例1と同様の方法により腐食センサを作製した。
(比較例1)
陰極部が銀から構成されると共に陽極部が鉄から構成されたACMセンサを用いた。
(比較例2)
陰極部が銀から構成されると共に陽極部が亜鉛から構成されたACMセンサを用いた。
上記の実施の例1〜3および比較例1〜2について、電極部を水平に対して5度傾けた状態で大気に暴露し、電極部に流れる腐食電流を10分間隔で2010年1月1日から2010年1月31日の1か月間測定した。その結果を図10に示す。
なお、図10には、横軸に日付と濡れ時間を示すと共に縦軸に腐食電流の値を示している。ここで、濡れ時間は、温度(t)≧0℃で相対湿度(RH)≧80%となった時間である。また、実施例1〜3の腐食電流の値を腐食電流密度(μA/cm)として示し、比較例1および2の腐食電流の値をセンサ出力(μA)として示した。
その結果、実施例1〜3は、比較例1および2とほぼ同じ挙動を示しており、降雨および結露などの水分濃度の変化に対して高精度に腐食電流Aを測定できることがわかった。特に、腐食電流Aの値が高くなる降雨時において、実施例1〜3で測定された腐食電流Aは同程度の値を示しており、水分濃度が高い時に生じる腐食電流Aを高精度に測定できることがわかった。
また、実施例2および3は、実施例1と比較して、腐食電流Aの値が低くなる晴天時において、腐食電流Aの値が大きく低下しており、水分濃度の低下を高精度に測定できることがわかった。このことから、陽極部を構成する金属について、亜鉛に対してアルミニウムの割合を増加させることが好ましいことがわかる。特に、実施例2において水分濃度の低下を高精度に測定できており、陽極部を構成する金属に合金粉体を用いることが好ましいことがわかる。
1 電極部、2 固定部、3 測定部、4 導線部、5,21 陽極部、6 陰極部、7 給水シート、8a,8b 平ワッシャー、9a,9b スプリングワッシャー、10 ボルト、11 ナット、12 複数の細孔、13 陽極部の表面、14 陽極部の裏面、15 陽極部の内面、16、16a,16b,23,24 電通路、22 複数の貫通孔、31 防水膜、W 水分、T 腐食回路、A 腐食電流、C 腐食。

Claims (7)

  1. 複数の連通孔が形成された陽極部と、前記陽極部に対向して配置され且つ前記陽極部に対して貴な材料からなる陰極部と、前記陽極部と前記陰極部との間に配置され且つ絶縁体からなると共に外部からの水分を吸収する吸水シートとを有し、前記陽極部に陽極側端子が配置され且つ前記陰極部に陰極側端子が配置される電極部と、
    前記陽極側端子と前記陰極側端子に接続され、前記吸水シートに水分が吸収されて腐食回路が形成された時に流れる電流を測定する測定部と
    を備え、
    前記複数の連通孔は、外部から前記吸水シートまで連通して、外部の水分を収容すると共に前記吸水シートに供給する腐食センサ。
  2. 前記陽極部は、前記複数の連通孔として複数の細孔を有する多孔質材から構成され、前記複数の細孔に沿って網目状に連続して拡がる構造を有する請求項1に記載の腐食センサ。
  3. 前記陽極部は、前記複数の連通孔として互いに平行に延びる複数の貫通孔が形成される請求項1に記載の腐食センサ。
  4. 前記陽極部は、6.5mm以下20μm以上の直径からなる前記複数の貫通孔が形成される請求項3に記載の腐食センサ。
  5. 前記吸水シートは、架橋型アクリレート繊維である請求項1〜4のいずれか一項に記載の腐食センサ。
  6. 前記陽極部、前記吸水シート、および前記陰極部の位置を互いに固定する固定部をさらに有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の腐食センサ。
  7. 前記複数の連通孔を塞がないように前記電極部の外側を覆う防水膜をさらに有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の腐食センサ。
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