JP5576153B2 - 水系組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、水系組成物に関し、詳しくは、水溶性熱処理油剤、水溶性切削油剤、水溶性研削油剤、水溶性塑性加工油剤、金属洗浄液等の水系金属加工液として好適な水系組成物に関するものである。
水系組成物は、通常防錆性や耐腐敗性に劣り、寿命が短いという欠点がある。したがって、水系組成物においては通常、防錆剤が配合されている。
一般に、水溶性熱処理油剤などの水系金属加工液では、防錆剤として、カルボン酸のアミン塩が用いられており、例えば、特許文献1ではジカルボン酸のアミン塩が使用されている。
しかしながら、このような防錆剤を透明型(ソリューション型)の水溶性加工液に用いると水に希釈した際に、カルボン酸の分子量あるいは水の硬度によっては、カルボン酸と水中のカルシウムが反応して石けんを生成することがあり、その石けんが析出したり、沈殿したりする。この析出物や沈殿物は、いわゆる「スカム」と称されている。
そしてスカムが発生すると、水溶性加工液中に存在する防錆剤が減少し、さらにpHも低下する。その結果、防錆性が低下し、その水溶性加工液を用いて加工した加工品(ワーク)に錆が発生するに至る。そのため、錆の発生を抑える対策としてpHを高める防錆添加剤コンセントを定期的に投入することが必要になり、それがコストアップにつながるとともに、アルミニウムや銅などの非鉄金属に対する耐腐食性や耐腐敗性のさらなる悪化要因となっていた。
したがって、スカムの発生を抑制する性能(以下、「スカム特性」と称する。)が良好であり、かつ、防錆性及び耐腐敗性に優れる、長寿命の水系組成物が必要とされている。
そのような水系組成物であれば、良好な加工品が得られるとともに、防錆添加剤コンセントを定期的に投入する必要がなくなり、加工作業の簡素化、効率化およびコストの削減が達成できる。
特開平6−336607号公報
本発明は、スカム特性が良好であり、かつ、防錆性及び耐腐敗性に優れる、長寿命の水溶性金属加工油剤などとして好適な水系組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定構造のカルボン酸と特定構造のアルカノールアミンを用いた水系組成物が上記目的を有効に達成できることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
〔1〕(a)カルボン酸と(b)アルカノールアミンを配合してなる水系組成物であって、前記 (a)のカルボン酸が、直鎖脂肪族モノカルボン酸、分岐脂肪族モノカルボン酸、及びジカルボン酸を含み、前記(b)のアルカノールアミンが、一級アルカノールアミン及び三級アルカノールアミンを含むことを特徴とする水系組成物、
〔2〕(a)成分の直鎖脂肪族モノカルボン酸及び分岐脂肪族モノカルボン酸が、互いに独立に、炭素数8〜10の脂肪族カルボン酸であり、ジカルボン酸が炭素数9〜12の脂肪族ジカルボン酸である上記〔1〕に記載の水系組成物、
〔3〕(a)成分の直鎖脂肪族モノカルボン酸及び分岐脂肪族モノカルボン酸が、互いに独立に、炭素数8〜9の脂肪族カルボン酸であり、ジカルボン酸が炭素数12の脂肪族ジカルボン酸である上記〔1〕又は〔2〕に記載の水系組成物、
〔4〕(b)成分の一級アルカノールアミンが、モノイソプロパノールアミン、もしくは2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールであり、三級アルカノールアミンがトリエタノールアミンもしくはシクロヘキシルジエタノールアミンである上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の水系組成物、
〔5〕(a)成分と(b)成分の配合比(質量比)が1:1〜1:20である上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の水系組成物、
〔6〕(a)成分および(b)成分に、(c)エチレンオキシド成分を主体とする水溶性のポリオキシアルキレン誘導体、及び(d)水を配合してなる上記〔5〕に記載の水系組成物、
〔7〕水系組成物全量基準で、(a)成分0.01〜5質量%、(b)成分0.1〜35質量%、(c)成分10〜50質量%、及び(d)成分10〜89.89質量%を配合してなる上記〔6〕に記載の水系組成物、
〔8〕水溶性熱処理油剤である上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の水系組成物、
を提供するものである。
本発明によれば、スカム特性が良好であり、かつ、防錆性及び耐腐敗性に優れる、長寿命の水溶性金属加工油剤などとして好適な水系組成物を提供することができる。
本発明の実施例1の液組成物の熱処理油冷却曲線を示す図である。 本発明の比較例4の液組成物の熱処理油冷却曲線を示す図である。
本発明は、(a)カルボン酸と(b)アルカノールアミンを配合してなる水系組成物である。
なお、本発明における「水系組成物」は、水を含有する組成物を意味し、いわゆる水溶性金属加工油剤と称される外観が白濁、半透明及び透明のものを含む概念である。
また、水系組成物は、通常原液の組成物を製造して保存・運搬し、使用する際に、原液、もしくはその原液を水で希釈した希釈液を用いる。
以下、(a)成分のカルボン酸と(b)成分のアルカノールアミンについて説明する。〔(a)成分〕
前記 (a)のカルボン酸としては、(a−1)直鎖脂肪族モノカルボン酸、(a−2)分岐脂肪族モノカルボン酸、及び(a−3)ジカルボン酸を含むことを要する。つまり、少なくとも2種類のモノカルボン酸と、少なくとも1種類のジカルボン酸を配合する。
前記モノカルボン酸である、(a−1)直鎖脂肪族モノカルボン酸及び(a−2)分岐脂肪族モノカルボン酸は、互いに独立に、炭素数8〜10のカルボン酸が好ましい。直鎖脂肪族モノカルボン酸及び分岐脂肪族モノカルボン酸の炭素数が8以上であれば、水系組成物の防錆性の向上が認められ、同時に、スカム特性を向上することができる。一方、これらのモノカルボン酸の炭素数が10以下であれば、水系組成物に対する溶解性が良好であり、容易に透明型水系組成物を得ることができる。
したがって、これら直鎖脂肪族モノカルボン酸及び分岐脂肪族モノカルボン酸の炭素数は、いずれも8〜9であることがより好ましい。
前記、直鎖脂肪族モノカルボン酸の好ましい具体例としては、例えば、n−オクタン酸やn−ノナン酸が挙げられる。また分岐脂肪族モノカルボン酸の好ましい具体例としては、例えば、イソオクタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸などが挙げられる。
前記(a−3)のジカルボン酸としては、炭素数9〜12のジカルボン酸が好ましい。ジカルボン酸の炭素数が9以上であれば、水系組成物の防錆性が良好であり、一方、ジカルボン酸の炭素数12が以下であれば、それを上記脂肪族モノカルボン酸と組合せて用いることにより、溶解性が良好であり、容易に透明型水系組成物を得ることができる。
前記炭素数9〜12のジカルボン酸は、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸を用いることができるが、入手が容易である点で、脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。脂肪族ジカルボンは、飽和、不飽和を問わず、また直鎖、分岐のいずれであってもよい。
上記ジカルボン酸は、炭素数10〜12の脂肪族ジカルボン酸がより好ましく、中でも炭素数が12の脂肪族ジカルボン酸、特にドデカン二酸が好ましい。
上記(a)成分のカルボン酸の(a−1)直鎖脂肪族モノカルボン酸、(a−2)分岐脂肪族モノカルボン酸、及び(a−3)ジカルボン酸の配合比(質量比)については、(a−1):(a−2):(a−3)が1:0.1〜2:0.1〜4であることが好ましく、1:0.5〜1.5:0.5〜2.5であることがより好ましい。上記の配合比であれば、スカム特性、防錆性が良好である。
〔(b)成分〕
前記(b)成分のアルカノールアミンとして、(b−1)一級アルカノールアミン及び(b−2)三級アルカノールアミンを含むアルカノールアミンを用いる。一級アルカノールアミンは耐腐敗性を向上する効果が高く、三級アルカノールアミンは防錆性を向上し持続させる効果が高い。
(b−1)の一級アルカノールアミンとしては、例えば、モノイソ(iso)プロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、 モノエタノールアミン、モノ−n−プロパノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、N−(β−アミノエチル)イソプロパノールアミン などが挙げられる。また、(b−2)の三級アルカノールアミンとしては、例えば、トリエタノールアミン、シクロヘキシルジエタノールアミン、トリ(n−プロパノール)アミン、トリイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−t−ブチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルイソプロパノールアミンなどが挙げられる。これらの中でも一級アルカノールアミンとしては、モノイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールが好ましく、三級アルカノールアミンとしては、トリエタノールアミン、シクロヘキシルジエタノールアミンが好ましい。
本発明においては、(b−1)一級アルカノールアミン及び(b−2)三級アルカノールアミンを含むアルカノールアミンを用いるが、その配合比(質量)は、(b−1):(b−2)が1:0.1〜1:3であることが好ましい。このような配合比率であれば、防錆性、耐腐敗性が良好である。
また、前記(a)成分と(b)成分の配合比(質量比)は、(a):(b)が1:1〜1:20であることが好ましい。(a)成分は(b)成分と塩を生成することにより水溶性となるが、(a)成分1に対して(b)成分が1未満の場合、水溶性とならない場合や、スカム特性が悪くなる場合があり、透明タイプの水溶液として用いるには不都合である。一方、(a)成分1に対して(b)成分が20より大きい場合、pHが過度に高くなる可能性があり、人体に触れることを考慮するとこれも好ましくない。(a):(b)は1:2〜1:8であることがより好ましい。
〔(c)成分〕
本発明は、上記(a)成分と(b)成分とともに、更に(c)エチレンオキシド成分を主体とする水溶性のポリオキシアルキレン誘導体を配合することが好ましい。
(c)成分であるエチレンオキシド成分を主体とする水溶性のポリオキシアルキレン誘導体とは、水酸基を1又は2以上有する脂肪族ヒドロキシ化合物又は芳香族ヒドロキシ化合物にアルキレンオキシドを重合させた化合物であって、エチレンオキシドに由来する成分を主体とするポリオキシアルキレン基を有し、かつ水溶性を有するものをいう。その化学構造は、次の一般式(I)

(HO)a-b−X−(OY―Z)b ・・・(I)

〔式中、Xは水酸基を1又は2以上有する脂肪族ヒドロキシ化合物又は芳香族ヒドロキシ化合物に由来する残基を示し、Yはエチレンオキシドに由来する成分を主体とするポリオキシアルキレン基を示し、Zはポリオキシアルキレン基の末端に存在する水酸基又は水酸基から変換された官能基を示す。複数のY及びZは同一であっても異なっていてもよい。aは水酸基を1又は2以上有する脂肪族ヒドロキシ化合物又は芳香族ヒドロキシ化合物が有する水酸基の数を示し、bは残基Xに結合しているポリオキシアルキレン基の数を示す。〕
で表わすことができる。
上記の脂肪族ヒドロキシ化合物、芳香族ヒドロキシ化合物及びアルキレンオキシドの種類は特に限定されない。水酸基を1又は2以上有する脂肪族ヒドロキシ化合物としては、例えば、メタノール;エタノール;プロパノール;ブタノール;ヘキサノール;2−ブタノール;2−メチルプロパノール等の直鎖又は分岐ジアルカノール、グリセリン;ペンタンー1,3,5−トリオール;トリメチロールプロパン等の直鎖又は分岐トリアルカノール、エリスリトール;スクロース;ソルビトール;ペンタエリスリトール等の直鎖又は分岐ポリアルカノールなどが挙げられる。
水酸基を1又は2以上有する芳香族ヒドロキシ化合物としては、例えば、フェノール;4−メチルフェノール等の(置換)モノフェノール、ピロカテコール;レゾルシノール;フロログルシノール;2,4−ジヒドロキシトルエン等の(置換)ポリフェノールが挙げられる。
また上記の脂肪族ヒドロキシ化合物及び芳香族ヒドロキシ化合物には、これらの化合物の分子内エーテル化物、部分エーテル化物、部分エステル化物、同種化合物間の縮合物あるいは異種化合物間の縮合物も含まれる。異種化合物間の縮合物は脂肪族ヒドロキシ化合物と芳香族ヒドロキシ化合物との縮合物であってもよい。これらの中ではグリセリン;ヘキサンー1,2−ジオール;エチレングリコール;プロピレングリコールが好ましく、特にグリセリンが好ましい。また、アルキレンオキシドを重合させた場合において、グリセリンを用いた場合と同様の残基を生じる化合物も好ましく用いられる。
上記のアルキレンオキシドとしては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が挙げられる。(c)成分中のポリオキシアルキレン基は、エチレンオキシド成分のみからなるホモジニアス重合体である必要はないが、エチレンオキシド成分を主体としていることが必要である。ポリオキシアルキレン基がエチレンオキシド以外のアルキレンオキシドを含む共重合体基である場合には、全アルキレンオキシドの50質量%以上をエチレンオキシドが占めているのが好ましく、65質量%以上をエチレンオキシドが占めているのが更に好ましい。なお、共重合体基はランダム共重合体基又はブロック共重合体基のいずれであってもよい。
(c)成分であるポリオキシアルキレン誘導体は、水酸基を1又は2以上有する脂肪族ヒドロキシ化合物又は芳香族ヒドロキシ化合物に由来する残基に、遊離の水酸基が存在していても差し支えない。また、ポリオキシアルキレン基の末端に存在する水酸基は、エーテル基やエステル基等の他の官能基に変換されていても差し支えない。更に、同一の残基に結合しているポリオキシアルキレン基は、同一であっても異なっていても差し支えない。
ポリオキシアルキレン誘導体の分子量は特に制限されないが、通常、質量平均分子量(Mw)2,000〜500,000、好ましくは10,000〜200,000のものが用いられる。なお、ポリオキシアルキレン誘導体は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても差し支えない。
上記(c)成分は、水溶性熱処理油剤においては冷却性を付与し、水溶性切削油剤、水溶性研削油剤、水溶性塑性加工油剤においては加工性能を付与する効果がある。
〔(d)成分〕
本発明においては、(d)成分として水を配合する。水を配合することによって、原液安定性を高めることができる。
ここで配合する水としては、特に制限なく、水道水、工業用水をはじめあらゆる水を使用することができるが、スカム特性や耐腐敗性の低下を防止する上では、イオン交換水や蒸留水など硬度が低い水を用いることが好ましい。具体的には、例えば、Ca含有量が30質量ppm以下の水が好ましく、Ca含有量が10質量ppm以下の水がより好ましく、5質量ppm以下の水がさらに好ましく、2質量ppm以下の水が特に好ましい。
〔その他の成分〕
本発明は、上記(a)及び(b)、もしくは(a)、(b)及び(c)成分と(d)成分とを配合した水系組成物であるが、さらに使用目的において必要に応じてその他の各種添加剤を配合することができる。例えば、腐敗防止剤、カルシウム補足剤、消泡剤などの中から選ばれる一種又は二種以上を配合することができる。また、水系組成物を切削加工、研削加工、塑性加工などの使用する場合は、さらに油性剤や極圧剤を配合することができる。
前記腐敗防止剤としては、例えば、トリアジン系防腐剤、アルキルベンゾイミダゾール系防腐剤、ピリチオン系防腐剤などが挙げられる。
前記カルシウム補足剤としては、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)系キレート剤、HEDTA(ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸)系キレート剤、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)系キレート剤、グルコン酸系キレート剤 などが挙げられる。
前記消泡剤としては、シリコーン系、フッ素化シリコーン系、などの消泡剤などが挙げられる。
前記油性剤や極圧剤としては、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、油脂類、硫黄系極圧剤などが挙げられる。
本発明における水系組成物(原液)における各成分の配合割合は、水系組成物の原液全量を基準として、(a)成分0.01〜5質量%、(b)成分0.1〜35質量%、(c)成分10〜50質量%、及び(d)成分10〜89.89質量%であることが好ましい。
(a)成分と(b)成分の配合量が上記の範囲であれば、良好な防錆性やスカム特性を有する。また、(c)成分の配合割合が10質量%以上であれば、良好な冷却性や加工性が認められ、50質量%以下であれば、原液粘度が高くなり、原液安定性が良好である。また、(d)成分の水の配合量が10質量%以上であれば原液安定性が良好であり、89.89質量%以下であれば良好な防錆性や耐腐敗性を有する。
また、本発明の水系組成物は、前記のとおり、保存や運搬等の便宜を図るために調製されたいわゆる原液である。従って加工油剤等として使用する場合には、本発明の水系組成物(原液)を水で希釈して調製した水系組成物(希釈液)が用いられる。この場合の希釈割合は、通常、いずれも容量/容量(v/v)で、水系組成物原液のおよそ2〜100倍、好ましくは、およそ3〜50倍希釈液が用いられる。すなわち原液のおよそ1〜50%希釈液、好ましくは、およそ2〜30%希釈液が用いられる。
なお、水系組成物の希釈液の調製方法としては、水系組成物(原液)を希釈する方法のほかに、配合成分を水に溶解して直接的に水系組成物の希釈液を調製してもよい。本発明の水系組成物には、そのように直接調製された水系組成物も含まれる。
本発明の水系組成物は、水溶性熱処理油剤、水溶性切削油剤、水溶性研削油剤、水溶性塑性加工油剤、金属洗浄液等の水系金属加工液として有用であり、特に、水溶性熱処理油剤として優れた性能を有している。
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1〜4及び比較例1〜4、
第1表に示す成分を第1表に示す割合で配合して、水系組成物(原液)を調製した。次いで、それらの水系組成物に水(水道水、Ca含有量25質量ppm)を加えて20倍に希釈し、水系組成物5%(v/v)希釈液を得た。当該希釈液について、耐腐敗性、防錆性及びスカム特性の性能評価を行った。結果を第1表に示す。
なお、第1表の比較例4の水系組成物は、市販のカルボン酸のカリウム塩を含む水溶性熱処理油剤である。
また、実施例1及び比較例4の水系組成物の5%(v/v)、及び10%(v/v)希釈液について熱処理性能(冷却性能)を評価した。結果を第2表に、冷却曲線を図1、及び図2に示す。
なお、水系組成物希釈液の性能評価は、以下に示す方法によって行った。
1.耐腐敗性の評価
300mlの三角フラスコに、水系組成物の水道水で希釈した5%(v/v)希釈液を100mlを採取し、これに下記に示す腐敗菌を10ml加えて、30℃、150rpmで振とう培養を行ない、1週間ごとに生菌数を測定して、耐腐敗性を評価した。なお、1週間ごとの生菌数測定後に腐敗菌を10ml追加投入して培養を行なった。
前記腐敗菌は、市販のエマルション型切削液を工作機械に充填して、およそ1年間切削加工に使用して得られた腐敗劣化液に、日本製薬製ポテトデキストロース寒天培地「ダイゴ」を加え72時間エアレーションして活性化させて得られた、カビの生菌数が「重度」に該当するものである。
なお、生菌数の測定方法及び耐腐敗性の評価基準は、以下のようにして行った。
<生菌数の測定方法>
三愛石油株式会社製「サンアイバイオチェッカー」を用いて、1mL中の一般菌、カビ、酵母、及び嫌気性菌の数または生育度を測定し、同時にpHを測定した。
<評価基準>
pHが9未満、かつ腐敗度が一般細菌で106(106個/ml以上)またはカビが重度に達した時点を寿命と判断し、寿命に到達したときの腐敗度を下記の段階に分類した。
・一般細菌;未検出、103、104、105、106、及び107の6段階
各段階の生菌数は以下のように区分した
(段階) (一般細菌の生菌数)
未検出 103個/ml未満
103 103個/ml以上104個/ml未満
104 104個/ml以上105個/ml未満
105 105個/ml以上106個/ml未満
106 106個/ml以上107個/ml未満
107 107個/ml以上
・ カビ;
未検出、軽度、中度、重度の3段階
・ 酵母;
未検出、103、104、105、106の5段階
各段階の生菌数は以下のように区分した
(段階) (酵母の生菌数)
未検出 103個/ml未満
103 103個/ml以上104個/ml未満
104 104個/ml以上105個/ml未満
105 105個/ml以上106個/ml未満
106 106個/ml以上
・嫌気性菌;
未検出、軽度、中度、重度の3段階
2.防錆性の評価
直径70mmの5C濾紙(ADVANTEC社製)にFC200ねずみ鋳鉄乾式切粉2gを広げ、水系組成物の水道水で希釈した3%液(v/v)2mlを切粉にかけた後、室温で2時間放置した。発生した錆の状態を濾紙の表面を観察し、DIN 51360−02−Aに基づき、下記の5段階の評点で評価した。
なお、水道水のCa含有量は 25質量ppmである。
(評点)(評価の概要) (濾紙表面の状況)
0 ; 錆なし 錆は全く認められない
1 ; 錆痕跡 面積の1%未満の変色(直径1mmを超えない3点以下の錆)
2 ; 錆微小 面積の1%未満の変色(直径1mm以上の錆びあり)
3 ; 軽度の錆 面積の1%以上5%未満の変色
4 ; 重度の錆 面積の5%以上の変色
3.スカム特性の評価
100ml栓付メスシリンダーに、水道水(Ca含有量25質量ppm)、及びCa硬水(Ca含有量;200質量ppm)で希釈した水系組成物3%液(v/v)を100ml採取し、室温で24時間放置後、メスシリンダー底に沈殿したスカムの出方を目視観察した。評価は下記の通り実施した。
なお、Ca硬水は、硫酸カルシウム(関東化学社製)で所定のCa濃度に調整した。
(評価) (観察事項)
良好; スカムなし
不良; スカム有り
4.熱処理油冷却性能試験
JIS K2242 6.3「冷却性能試験方法(B法)」に準拠して、水系組成物の5%及び10%(v/v)希釈液の冷却性能試験を行い、特性秒数(800から400℃まで冷却される時間(秒数))、及び350から150℃まで冷却される時間(秒数)を測定した。
冷却試験を行い、特性秒数(800から400℃まで冷却される時間(秒数))、及び350から150℃まで冷却される時間(秒数)を測定した。
特性秒数は、蒸気膜破断秒数であり、小さい値ほど冷却性能が良好である。一方、350から150℃まで冷却される時間(秒数)は、マルテンサイト変態領域における冷却速度であり、この値が大きい程ゆっくり冷却されて焼割れを防止できる。
Figure 0005576153
「注」
注1:ポリオキシアルキレン誘導体、Mw=20,000、脂肪族ヒドロキシ化合物に由来する残基がグリセリン骨格、ポリオキシアルキレン基がエチレンオキシド75wt%とプロピレンオキシド25wt%とからなる共重合体(アデカ社製、商品名「カーポールGH−10」)
注2:防腐剤(トリアジン系及びピリチオン系)と水
Figure 0005576153
第1表から分かるように、本発明の水系組成物は、いずれも耐腐敗性、防錆性及びスカム特性が良好である。これに対し、直鎖脂肪族モノカルボン酸、分岐脂肪族モノカルボン酸のいずれかを配合しない水系組成物(比較例1,2)、一級及び三級アルカノールアミンを配合しない水系組成物(比較例3,4)は、スカム特性、耐腐敗性、防錆性のいずれかが不十分であり本発明の目的を達成することができない。
また、第2表及び図1、図2から、実施例1の水系組成物は、市場で冷却性能が優れているとされる比較例4の市販水溶性熱処理油剤と比較して、熱処理油剤としての性能は同等もしくはより良いことが分かる(冷却性能を示す特性秒数は、実施例1が比較例4よりやや少なく、350−150℃の冷却速度は、実施例1は比較例4と同等もしくはややゆっくりしていて、焼割れを防止する)。
本発明によれば、スカム特性が良好であり、かつ、防錆性及び耐腐敗性に優れる長寿命の水系金属加工液等に好適な水系組成物を提供することができる。したがって、本発明の水系組成物は、水溶性熱処理油剤をはじめ、水溶性切削油剤、水溶性研削油剤、水溶性塑性加工油剤、金属洗浄液等として有用に利用することができる。
1:実施例1の水系組成物の5%(v/v)希釈液の熱処理油冷却線
2:実施例1の水系組成物の10%(v/v)希釈液の熱処理油冷却線
11:比較例4の水系組成物の5%(v/v)希釈液の熱処理油冷却線
12:比較例4の水系組成物の10%(v/v)希釈液の熱処理油冷却線

Claims (6)

  1. (a)カルボン酸と(b)アルカノールアミンを配合してなる水系組成物であって、前記(a)のカルボン酸が、直鎖脂肪族モノカルボン酸、分岐脂肪族モノカルボン酸、及びジカルボン酸を含み、前記(b)のアルカノールアミンが、一級アルカノールアミン及び三級アルカノールアミンを含み、
    (a)成分と(b)成分の配合比(質量比)が1:1〜1:20であり、
    (a)成分および(b)成分に、(c)エチレンオキシド成分を主体とする水溶性のポリオキシアルキレン誘導体、及び(d)水を配合してなり、
    (c)成分が下記一般式(I)で表され
    直鎖脂肪族モノカルボン酸(a−1)、分岐脂肪族モノカルボン酸(a−2)、及びジカルボン酸(a−3)の配合比〔(a−1):(a−2):(a−3)〕が質量基準で1:0.5〜1.5:0.5〜2.5であることを特徴とする水系組成物。
    (HO)a-b−X−(OY―Z)b ・・・(I)
    〔式中、Xはグリセリンに由来する残基を示し、Yはエチレンオキシドに由来する成分を主体とするポリオキシアルキレン基を示し、Zはポリオキシアルキレン基の末端に存在する水酸基又は水酸基から変換された官能基を示す。複数のY及びZは同一であっても異なっていてもよい。aはグリセリンが有する水酸基の数を示し、bは残基Xに結合しているポリオキシアルキレン基の数を示す。〕
  2. (a)成分の直鎖脂肪族モノカルボン酸及び分岐脂肪族モノカルボン酸が、互いに独立に、炭素数8〜10の脂肪族カルボン酸であり、ジカルボン酸が炭素数9〜12の脂肪族ジカルボン酸である請求項1に記載の水系組成物。
  3. (a)成分の直鎖脂肪族モノカルボン酸及び分岐脂肪族モノカルボン酸が、互いに独立に、炭素数8〜9の脂肪族カルボン酸であり、ジカルボン酸が炭素数12の脂肪族ジカルボン酸である請求項1又は2に記載の水系組成物。
  4. (b)成分の一級アルカノールアミンが、モノイソプロパノールアミン、もしくは2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールであり、三級アルカノールアミンがトリエタノールアミンもしくはシクロヘキシルジエタノールアミンである請求項1〜3のいずれかに記載の水系組成物、
  5. 水系組成物全量基準で、(a)成分0.01〜5質量%、(b)成分0.1〜35質量%、(c)成分10〜50質量%、及び(d)成分10〜89.89質量%を配合してなる請求項1〜4のいずれかに記載の水系組成物。
  6. 水溶性熱処理油剤である請求項1〜5のいずれかに記載の水系組成物。
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