JP5574367B2 - 混合ガスの製造方法 - Google Patents
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Description
前記直接石炭液化プロセスによれば、高圧水素下で石炭を液体燃料に直接転換できる。しかし、このプロセスの欠点は、反応剤として多量の水素を必要とすることである。
[1]
石炭の触媒ガス化反応による混合ガスの製造方法において、ガス化温度を650〜800℃(但し、650℃は除く)に設定し、触媒の存在下、二酸化炭素及び/又は水蒸気を供給すると共に、二酸化炭素に対する水蒸気の体積比(H2O/CO2比)を制御することにより、得られる混合ガス中の一酸化炭素に対する水素のモル比(H2/CO比)を制御し、更に、該モル比(H 2 /CO比)が該設定温度と該体積比(H 2 O/CO 2 比)により変化する特性を利用して該モル比(H 2 /CO比)を制御することを特徴とする混合ガスの製造方法。
[2]
前記モル比(H 2 /CO比)が該設定温度と該体積比(H 2 O/CO 2 比)により変化する特性が、温度一定で体積比(H 2 O/CO 2 比)を大きくするとモル比(H 2 /CO比)が大きくなり、体積比(H 2 O/CO 2 比)一定で温度を高くするとモル比(H 2 /CO比)が小さくなる特性であることを特徴とする請求項1に記載の混合ガスの製造方法。
[3]
大気圧下で触媒ガス化反応を行わせることを特徴とする前記1に記載の混合ガスの製造方法。
[4]
ガス化温度を700〜800℃の範囲内に設定し、二酸化炭素に対する水蒸気の体積比(H2O/CO2比)を、0.2〜0.8の範囲内でガス化温度に対応させて設定することにより、ジメチルエーテル合成用の混合ガスを製造する前記1〜3のいずれかに記載の混合ガスの製造方法。
[5]
ガス化温度を700〜800℃の範囲内に設定し、二酸化炭素に対する水蒸気の体積比(H2O/CO2比)を、0.6〜1.4の範囲内でガス化温度に対応させて設定することにより、メタノール合成用の混合ガスを製造する前記1〜3のいずれかに記載の混合ガスの製造方法。
[6]
ガス化温度を700〜800℃の範囲内に設定し、二酸化炭素に対する水蒸気の体積比(H2O/CO2比)を、1.0〜2.0の範囲内でガス化温度に対応させて設定することにより、メタン合成用の混合ガスを製造する前記1〜3のいずれかに記載の混合ガスの製造方法。
[7]
触媒の種類、量により反応速度を調整することを特徴とする前記1〜6のいずれかに記載の混合ガスの製造方法。
[8]
触媒が炭酸カリウムであり、その石炭に対する添加量が6〜50重量%であることを特徴とする前記1〜7に記載の混合ガスの製造方法。
[9]
亜瀝青炭又は褐炭由来の無灰炭を用いることを特徴とする前記1〜8のいずれかに記載の混合ガスの製造方法。
[10]
亜瀝青炭がパシール炭であることを特徴とする前記9に記載のメタン製造用混合ガスの製造方法。
[11]
褐炭がムリア炭であることを特徴とする前記9に記載のメタン製造用混合ガスの製造方法。
[12]
石炭と触媒とを混合し、それらを炉内へ供給して水蒸気及び二酸化炭素と接触させ、発生した気体と残存する石炭残留物とから気体を分離することを特徴とする前記1〜11のいずれかに記載のメタン製造用する混合ガスの製造方法。
[13]
ガス化炉にフィッシャートロプッシュ合成装置が直結された装置を用いて、請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法により得られる混合ガスを用いてジメチルエーテル、メタノール又はメタンを製造することを特徴とする混合ガスの製造方法。
本発明においては、無灰石炭を用いることにより、触媒損失を小さく抑えることができるので、長時間の連続運転が可能である。
更に、これらの効果が組み合わされることにより、FT合成反応によるジメチルエーテル、メタノール、メタンの製造を一の装置で連続して製造できる。
本発明の触媒ガス化反応による混合ガスの製造方法においては、ガス化温度を600〜800℃とし、触媒の存在下、二酸化炭素及び/又は水蒸気からなるガス化剤を供給して石炭のガス化反応が行われる。更に、本発明においては後述するように、二酸化炭素に対する水蒸気の体積比(H2O/CO2比)を制御することにより、一酸化炭素に対する水素のモル比(H2/CO比)の制御が行われる。
なお、水蒸気を供給しないと、熱分解だけが進行し、その結果多量のチャー(石炭残留分)、タール、ガスが生成し、メタン製造用の混合ガスを得ることはできない。
但し、本発明においては、ガス化温度として650〜800℃(但し、650℃は除く)が選択される。
また、 図3(a)に、パシール亜瀝青炭(炭素:72%)の無灰炭を用いて、触媒(40重量%の炭酸カリウム)の存在下、温度600℃、H2O/CO2比を100/0,50/50に変化させた場合におけるガス化反応を測定した結果を示す。なお、図3(b)に、前記の各々の場合における、得られた混合ガスの組成を示す。
また、 図4(a)に、パシール亜瀝青炭(炭素:72%)の無灰炭を用いて、温度800℃、触媒(40重量%の炭酸カリウム)の存在下、H2O/CO2比を100/0,50/50に変化させた場合におけるガス化反応を測定した結果を示す。なお、図4(b)に、前記の各々の場合における、得られた混合ガスの組成を示す。
図1(a)、図3(a)、図4(a)から、無灰炭に水素及び/又は二酸化炭素を供給することにより、600〜800℃、好ましくは650〜800℃、より好ましくは650〜750℃の温度範囲で一酸化炭素と水素の混合ガスを工業化可能な速度で得ることができることが判る。
参考として図5(a)、触媒の存在下、H2O/CO2比が100/0、50/50の場合について、ガス化温度が600℃、700℃の条件化における反応速度を示し、図1(b)に、前記の各々の場合における、得られた混合ガスの組成を示す。
また、昇温速度は特に制限はなく、例えば20〜1000℃/分であり、反応時間は、例えば1〜120分が好ましく、30〜60分が更に好ましい。
なお、本発明における大気圧とは、意図的に加圧しなくても、石炭から発生するガスが装置内部で急激に膨張することにより、加圧されることを含む意味である。
まず、原炭に2〜3倍量の溶剤を混合し石炭スラリーを調製する。溶剤としては2環芳香族が好適に用いられ、具体的には、1−メチルナフタレン、粗メチルナフタレン油等が用いられる。この石炭スラリーは150℃程度で脱水された後、昇温昇圧されて溶剤抽出工程へ送液される。該石炭スラリーは溶媒抽出工程で360〜400℃程度に加熱され、これにより一部の石炭が溶剤に溶解する。次いで固液分離工程へ送られ、固形分をほとんど含まないオーバーフローと固形分が濃縮されたアンダーフローとに分けられる。オーバーフロー液からさらに溶剤を回収することにより無灰石炭(ハイパーコール)を得ることができる。回収された溶剤は、循環使用される。
ここで、亜瀝青炭とは、一般に、可燃分:55〜80%、水分:15〜45%からなる組成を有する低品位炭を意味する。このような亜瀝青炭としては、たとえば、パシール炭、ワイオミング炭、グニュンバヤン炭、MTBU炭、キタディン炭、ビニュンガン炭、ワイオダック炭、ロンコウ炭、K−プリマ炭、タニトハルム炭、マリナウ炭、太平洋炭が例示される。
溶剤としては2環芳香族が好適に用いられ、具体的には、1−メチルナフタレン、ライトサイクルオイル、粗メチルナフタレン油等が用いられる。まず石炭を抽出セルに詰め、溶剤を送液ポンプで一定流量で流しながら、予熱部で360〜400℃に加熱し、これを抽出セルに1時間流すことにより、一部の石炭が溶剤に溶解する。次いで抽出セルの入口と出口には、平均孔径0.5μmの焼結フィルターを取り付け、出口のフィルターで固液分離を行なうことにより、抽出物が抽出液として回収される。その後抽出液から溶剤を回収することで、無灰炭が得られる。
パシール亜瀝青炭(炭素:72%)の溶剤抽出によりその無灰炭(HPC)を製造した。
得られた無灰炭を試料とし、大気圧下、40重量%の炭酸カリウム(触媒)を添加し、水蒸気/二酸化炭素を供給して、H2O/CO2比=100/0,70/30,60/40,50/50,30/70,0/100の条件下、TGAを用いたガス化試験を700℃で行った。結果を、図1に示す。
なお、同じ触媒を用いて2〜4回目の反応を行っても、1回目と同様の速度で反応が起きた。
無灰炭の代わりにパシール亜瀝青炭(炭素:72%)の原炭を用いた他は、実施例1〜6と同様に、H2O/CO2比=100/0,70/30,60/40,50/50,30/70,0/100の条件下、TGAを用いたガス化試験を700℃で行った。結果を、図2に示す。
なお、同じ触媒を用いて2回目の反応を行うと、反応速度は減少してしまった。
実施例1、4で用いた無灰炭を用いて、H2O/CO2比を100/0,50/50とし、反応温度を600℃に設定した他は、実施例1、4と同様に、TGAを用いたガス化試験を600℃で行った。結果を図3、図7(a)に示す。
実施例1、4で用いた無灰炭を用いて、H2O/CO2比を100/0,50/50とし、反応温度を800℃に設定した他は、実施例1、4と同様に、TGAを用いたガス化試験を800℃で行った。結果を図4、図7(b)に示す。
前記無灰炭を用いて、触媒を添加しない他は、実施例1(H2O/CO2比=100/0)、実施例4(H2O/CO2比=50/50)、実施例6(H2O/CO2比=0/100)と同様に、TGAを用いたガス化試験を700℃で行った。結果を、図5に示す。
前記パシール亜瀝青炭(炭素:72%)の原炭を用いて、触媒を添加しない他は、実施例7(H2O/CO2比=100/0)、実施例10(H2O/CO2比=50/50)、実施例12(H2O/CO2比=0/100)と同様に、TGAを用いたガス化試験を700℃で行った。結果を、図8に示す。
2 フィーダー
3 ガス化炉
4 水蒸気・二酸化炭素混合器
5 熱交換器
6 生成ガスクリーニング装置
7 触媒回収器
8 コンプレッサー
9 FT合成装置
Claims (13)
- 石炭の触媒ガス化反応による混合ガスの製造方法において、ガス化温度を650〜800℃(但し、650℃は除く)に設定し、触媒の存在下、二酸化炭素及び/又は水蒸気を供給すると共に、二酸化炭素に対する水蒸気の体積比(H2O/CO2比)を制御することにより、得られる混合ガス中の一酸化炭素に対する水素のモル比(H2/CO比)を制御し、更に、該モル比(H 2 /CO比)が該設定温度と該体積比(H 2 O/CO 2 比)により変化する特性を利用して該モル比(H 2 /CO比)を制御することを特徴とする混合ガスの製造方法。
- 前記モル比(H 2 /CO比)が該設定温度と該体積比(H 2 O/CO 2 比)により変化する特性が、温度一定で体積比(H 2 O/CO 2 比)を大きくするとモル比(H 2 /CO比)が大きくなり、体積比(H 2 O/CO 2 比)一定で温度を高くするとモル比(H 2 /CO比)が小さくなる特性であることを特徴とする請求項1に記載の混合ガスの製造方法。
- 大気圧下で触媒ガス化反応を行わせることを特徴とする請求項1又は2に記載の混合ガスの製造方法。
- ガス化温度を700〜800℃の範囲内に設定し、二酸化炭素に対する水蒸気の体積比(H2O/CO2比)を、0.2〜0.8の範囲内でガス化温度に対応させて設定することにより、ジメチルエーテル合成用の混合ガスを製造する請求項1〜3のいずれかに記載の混合ガスの製造方法。
- ガス化温度を700〜800℃の範囲内に設定し、二酸化炭素に対する水蒸気の体積比(H2O/CO2比)を、0.6〜1.4の範囲内でガス化温度に対応させて設定することにより、メタノール合成用の混合ガスを製造する請求項1〜3のいずれかに記載の混合ガスの製造方法。
- ガス化温度を700〜800℃の範囲内に設定し、二酸化炭素に対する水蒸気の体積比(H2O/CO2比)を、1.0〜2.0の範囲内でガス化温度に対応させて設定することにより、メタン合成用の混合ガスを製造する請求項1〜3のいずれかに記載の混合ガスの製造方法。
- 触媒の種類、量により反応速度を調整することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の混合ガスの製造方法。
- 触媒が炭酸カリウムであり、その石炭に対する添加量が6〜50重量%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の混合ガスの製造方法。
- 亜瀝青炭又は褐炭由来の無灰炭を用いることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の混合ガスの製造方法。
- 亜瀝青炭がパシール炭であることを特徴とする請求項9に記載のメタン製造用混合ガスの製造方法。
- 褐炭がムリア炭であることを特徴とする請求項9に記載のメタン製造用混合ガスの製造方法。
- 石炭と触媒とを混合し、それらを炉内へ供給して水蒸気及び二酸化炭素と接触させ、発生した気体と残存する石炭残留物とから気体を分離することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の混合ガスの製造方法。
- ガス化炉にフィッシャートロプッシュ合成装置が直結された装置を用いて、請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法により得られる混合ガスを用いてジメチルエーテル、メタノール又はメタンを製造することを特徴とする混合ガスの製造方法。
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