JP5573764B2 - スクロール型圧縮機、スラスト軸受、及び、研磨方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スクロール型圧縮機のスラスト軸受、特に荷重の大きいCO2冷媒用スクロール型圧縮機などに適用されるスラスト軸受及び研磨方法に関する。
従来、特許文献1に見られるように多数の浮島状の受圧部を可動スクロールのスクロール背面に設け、低摩擦で高信頼性なスラスト軸受を低コストで成立させる発明が提案されている。また、特許文献2では浮島状の受圧部の外周縁にテーパ形状を設け良好な油膜形成作用を行うことが提案されている。これらの従来技術の受圧部には、テーパ部(ダレ部)が設けられてはいるものの、詳細な形状、表面粗さ、加工方法等に付いては言及されておらず、状況によっては良好な油膜圧力を発生しないことがわかってきた。
特開2008−215090号公報 特開2008−51045号公報
本発明は、上記問題に鑑み、スラスト軸受の特定形状を提案し、確実に油膜形状可能なスラスト軸受及び研磨方法を提供するものである。
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、密閉容器(13)内において、可動スクロール(32)が、固定スクロール(38)に対して公転して、両スクロール間に形成された作動室(45)内で作動流体を圧縮するスクロール型圧縮機(11)であって、前記可動スクロール(32)を支持するスラスト軸受(53)は、前記作動室(45)とは反対側のスクロール側プレート(53a)と、前記密閉容器(13)に固定されたハウジング側プレート(53b)とを具備し、前記スクロール側プレート(53a)、又は、前記ハウジング側プレート(53b)のいずれか一方の摺動面には、複数個の浮島形状の受圧面(83)が形成され、他方の摺動面は平坦に形成され、前記浮島形状の受圧面(83)は、平坦部(83−1)と、該平坦部(83−1)の周囲に形成されたクラウニング部(83−2)から構成され、前記受圧面(83)の周縁には、浮島形状を形成する傾斜部(83−3)が構成され、平坦部(83−1)とクラウニング部(83−2)の面粗さが同等であって、かつ、前記他方の摺動面との間で流体潤滑となる面粗さに形成されており、前記クラウニング部(83−2)と前記平坦部(83−1)との高低差であるクラウニング高さ(c)、すなわち、前記平坦部(83−1)から前記傾斜部(83−3)と前記クラウニング部(83−2)との変曲点までの高さ、及び、前記一方の摺動面と前記他方の摺動面との油膜厚さ(h0)に対して、前記クラウニング高さ(c)を前記油膜厚さ(h0)で割った値(c/h0)が、0.1から10であることを特徴とするスクロール型圧縮機(11)である。
これにより、浮島形状の受圧部が相対的に移動する際、クラウニング部でのくさび効果により油膜圧力が発生し、その圧力により、スラスト荷重に釣合い、油膜による流体油滑とすることができるとともに、大きい油膜圧力を発生させ、焼付耐力向上に効果がある。特に、荷重が高く潤滑の厳しい環境条件でのスラスト軸受において、より効果を発揮する。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記クラウニング高さ(c)を前記油膜厚さ(h0)で割った値(c/h0)が、0.8から10であることを特徴とする。
請求項3の発明は、いずれか一方の摺動面には、複数個の浮島形状の受圧面(83)が形成され、他方の摺動面は平坦に形成されたスラスト軸受(53)であって、前記浮島形状の受圧面(83)は、平坦部(83−1)と、該平坦部(83−1)の周囲にクラウニング部(83−2)から構成され、前記受圧面(83)の周縁には、浮島形状を形成する傾斜部(83−3)が構成され、平坦部(83−1)とクラウニング部(83−2)の面粗さが同等であって、かつ、前記他方の摺動面との間で流体潤滑となる面粗さに形成されており、前記クラウニング部(83−2)と前記平坦部(83−1)との高低差であるクラウニング高さ(c)、すなわち、前記平坦部(83−1)から前記傾斜部(83−3)と前記クラウニング部(83−2)との変曲点までの高さ、及び、前記一方の摺動面と前記他方の摺動面との油膜厚さ(h0)に対して、前記クラウニング高さ(c)を前記油膜厚さ(h0)で割った値(c/h0)が、0.1から10であることを特徴とするスラスト軸受(53)である。
これにより、請求項1の発明と同じ効果が得られる。
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記クラウニング高さ(c)を前記油膜厚さ(h0)で割った値(c/h0)が、0.8から10であることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項3又は4の発明のスラスト軸受(53)の前記浮島形状の受圧面(83)を、弾性体で裏側から支持されたラッピングフィルムで研磨したことを特徴とする研磨方法である。
これにより、なじみ運転で形成される極僅かなダレ部とは異なり、弾性体で裏側から支持されたラッピングフィルムによって、比較的大きな幅のクラウニング部を形成することができる。また、多数の浮島形状の受圧面のクラウニング部と平坦部とを、同時に同等の面粗さに研摩することができる。
請求項6の発明は、請求項3又は4に記載の発明のスラスト軸受(53)の前記浮島形状の受圧面(83)が可動スクロール部材と一体形成され、受圧周縁には一体成型時に形成される傾斜部を有し、更に、弾性体で裏側から支持されたラッピングフィルムで研磨したことを特徴とする。
これにより、一体成型時に傾斜部を形成することにより、ラッピング前の旋削、研磨等によるバリの発生をおさえつつ容易にラッピングによるダレ形成をおこなうことができる。低コストで高信頼性のスクロール圧縮機を構成することができる。なお、この方法を請求項1又は2の発明に適用してもよい。
なお、上記に付した符号は、後述する実施形態に記載の具体的実施態様との対応関係を示す一例である。
本実施形態におけるスクロール型圧縮機を示す縦断面図である。 スクロール側プレート53aの、ハウジング側プレート53bと摺動接触する端面が見えるように切った図1のC−C断面図である。 本発明の参照技術による受圧部の加工状態の模式的断面図である。 (a)は、本発明の参照技術による受圧部83の平面図であり、(b)は、正面断面図であり、(c)は、本発明の参照技術の油膜形成状態Cを示す図である。 (a)は、本発明が適用された可動スクロールの一例を示す図であり、(b)は、(a)の浮島形状の受圧面83を示す部分図であり、(c)は、(b)のA部の拡大図である。 本発明の一実施形態の、受圧面83の突起形状と油膜圧力を立体的に表現した図である。 本発明の一実施形態の平坦部とクラウニング部の形状の一例であり、(b)は、(a)の場合に、摺動方向に沿って発生する油膜圧力を示したグラフである。 クラウニング高さcを油膜厚さh0で割った値c/h0と、規格化した摩擦係数との関係を示すシミュレーション結果である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。各実施態様について、同一構成の部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。
本発明の一実施形態の軸受を説明する前に、まず本実施形態が適用されるスクロール型圧縮機を一例として説明する。図1は、本実施形態におけるスクロール型圧縮機11を示す断面図である。以下二酸化炭素冷媒を使用し、吐出される二酸化炭素の圧力が臨界圧力を超える冷凍回路中で用いられる給湯機用の圧縮機を例にして説明するが、本発明はこの一例に限定されるものではない。
本実施形態におけるスクロール型圧縮機11は、密閉容器13内に電動機部27と圧縮機構部10とを収容した密閉型電動圧縮機である。密閉容器13は、円筒形をなす円筒ケース13aと、この円筒ケース13aの両端に組みつけられた電動機側端部ケース13b、圧縮機構側端部ケース13cとを備えている。電動機部27は、円筒ケース13aの内周面に固定された固定子25と、電動機部27によって回転駆動されるシャフト21に固定される回転子23とを備えている。
圧縮機構部10は、円筒ケース13a内において上記固定子25に隣接する位置に固定されたミドルハウジング15と、ミドルハウジング15に設けられた主軸受17によって支持されたクランク機構28により公転する可動スクロール32と、円筒ケース13aに固定され、可動スクロール32と対向配置されて作動室45を形成する固定スクロール38とを備えている。シャフト21は、円筒ケース13a内において、固定子25と電動機側端部ケース13bとの間に設けられた円盤状の支持部材14に固定された副軸受19と、主軸受17とによって支持されている。本実施形態は横型であるが、これに限定されるものではなく、縦型であっても適用可能である。
可動スクロール32は、略円盤状の可動側板33と、可動側板33の端面から固定スクロール38側に向かってインボリュート曲線状に立設した可動側渦巻41と、可動側渦巻41と反対側の端面からミドルハウジング15側に向かって円筒状に立設したボス部35を備える。固定スクロール38は、円筒ケース13aに固定された固定側板39と、固定側板39の可動スクロール32側の端面に設けられた渦巻状の溝によって形成された固定側渦巻43を備える。
ミドルハウジング15は、電動機部27側から固定スクロール38側に向かって、順次径が大きくなる3段円筒状をなしており、電動機部27に近い最も小径の円筒15aは主軸受17を構成し、真ん中の円筒15bはクランク機構28を収容するクランク室29を構成し、固定スクロール38に近い最も大径の円筒15cは内部に可動スクロール32を収容するスクロール収納部31を形成すると共に、円筒ケース13aの内周面に溶接などの固定手段によって固定されている。
クランク機構28は、シャフト21の圧縮機構部10側の端部に一体に設けられた偏心軸37と可動スクロール32のボス部35によって構成されている。偏心部37は、上記主軸受17及び副軸受19の軸中心から所定量eだけ偏心するように設けられている。この偏心量eが、可動スクロール32の公転半径となる。
スクロール収納部31には、図示しないオルダムカップリングが配置されており、可動スクロール32の自転を防止している。これにより、可動スクロール32は公転のみが許容されている。可動側渦巻41と固定側渦巻43の噛み合いによって形成される作動室45は、可動スクロール32が固定スクロール38に対して旋回することで体積を縮小する。圧縮機構部10は、吸入室46に供給された冷媒を、固定側渦巻43の最外周側から吸入して圧縮する。
円板部15dの可動スクロール側の端面(円板部スクロール側端面15e)と、可動スクロール32のボス部35が設けられた側の端面(可動スクロール背面32a)との間には、スラスト軸受53が配置されている。このスラスト軸受53については後に詳述する。
上記吸入室46は、固定側板39の側面に設けられており、円筒ケース13aを貫通し、密閉容器13外部の冷媒回路から冷媒を吸入する吸入管47が接続されている。固定側渦巻43の中心部には、固定側板39を軸方向に貫通する吐出口49が設けられている。可動スクロール32と固定スクロール38とによって圧縮された冷媒はこの吐出口49から吐出室50に吐出される。
吐出室50は、固定側板39の反可動スクロール32側の端面(固定スクロール背面38a)と、該固定スクロール背面38aに固定されたセパレータブロック55の固定側板39側の端面に設けられた凹部によって構成されている。尚、吐出室50内には吐出された冷媒が逆流することを防止する吐出弁61が配置されている。吐出室50に吐出された高温高圧の冷媒は、吐出室50から上方に延びる冷媒流路57を経てオイルセパレータ63に導かれる。
オイルセパレータ63は、内筒63aと外筒63bとを有する遠心分離式のオイルセパレータであり、2重円筒状をなしている。冷媒流路57は、吐出室50から固定スクロール背面38aに沿って上方に延びた後、遠心分離式のオイルセパレータ63の内筒63aと外筒63bの間の空間に概略接線方向に接続している。内筒63aと外筒63bの間の空間を旋回し、冷媒に含まれていたオイルが遠心分離された後、内筒63a内を通り、吐出管59を経て密閉容器13外部の冷媒回路へと送られる。
オイルセパレータ63によって分離されたオイルは、外筒63bの内壁面に沿って、重力によって下方に移動し、外筒63bを構成する円筒状の穴の下端に設けられた小径孔64を介して高圧貯油室65に貯えられる。高圧貯油室65は、セパレータブロック55内に設けられ、吐出室50と外筒63bを構成する円筒状の穴の下方に位置している。高圧貯油室65に貯えられたオイルは、固定側渦巻43よりも下方において、固定側板39を貫通するオイル戻し通路67を通って可動側板33内部に設けられたオイル通路69に導かれる。尚、オイル戻し通路67の出口には、小径の絞り部67aが設けられている。オイル通路69の入口は、可動側板33の可動側渦巻41が設けられた面に開口している。このオイル通路69の入口は、可動スクロール32の公転運動によってオイル戻し通路67の出口と間欠的に連通するようになっている。また、オイル通路69の出口は、シャフト21の端部とボス部35の底面との間の空間に連通するようにボス部35の内壁に開口している。
シャフト21の端部とボス部35の底面との間の空間に導かれたオイルは、シャフト21内部を軸方向に貫通するオイル通路71に流入する。オイル通路71を通過したオイルは、密閉容器13内において、電動機側端部ケース13bと支持部材14との間に導かれる。支持部材14、ミドルハウジング15、固定側板39には、円筒ケース13aとの間に図示しない隙間があり、電動機側端部ケース13bと支持部材14との間に導かれたオイルは、密閉容器13内の全領域において下方に貯留される。密閉容器13内の全領域の下方は低圧貯油室66を構成している。低圧貯油室66に貯留されたオイルは、ミドルハウジング15の円板部15dの下方に設けられたオイル戻し孔73を通ってスクロール収納部31に至る。オイル通路71には、主軸受17及び副軸受19に対応する部位に径方向孔71a、71bがオイル通路71から分岐するように設けられている。円筒15bには、シャフト21よりも上部のスラスト軸受53へオイルを導くため、シャフト21よりも上部において、径方向孔71aとスラスト軸受53とを連通させるオイル溝72が形成されている。
次に、本発明のスラスト軸受53について説明する。本実施形態におけるスラスト軸受53は、可動スクロール背面32aに連続するスクロール側プレート53aと、円板部スクロール側端面15eに固定されたハウジング側プレート53bとから構成されている。可動スクロール背面32aとスクロール側プレート53aは、別体でも一体形成されていても良い。スクロール側プレート53aは、中心部の穴をボス部35が貫通している。スクロール側プレート53aの、ハウジング側プレート53bと摺動接触する端面には、図2に示すような略円形の凸部(浮島形状の受圧部83)が形成されて凹凸部となっている。
図2は、スクロール側プレート53aの、ハウジング側プレート53bと摺動接触する端面が見えるように切った図1のC−C断面図である。
凹凸部の凹部は、複数の溝85によって構成されている。この複数の溝85には上記オイル供給手段によってオイルが供給されるとともに、網目状に交差しており、その交差点85aは他の部位よりも溝幅が広くなっている。複数の溝85のうち、最外周に位置する溝(以下、最外周溝)85bはスクロール側プレート53aの縁に沿ってスクロール側プレート53aの縁を一周しており、蛇行している。この最外周溝85bとスクロール側プレート53aの縁との間は、全周において常にハウジング側プレート53bと摺動接触することによって摺動面からの潤滑油の流出量を少なくする外周シール部81を形成している。シール部81は最外周溝85bの蛇行によりスクロール側プレート53aの径方向内側に張り出すように湾曲した湾曲部81cを備える。この湾曲部81cは、可動スクロール32の旋回運動によって湾曲部81cの面する全方向からオイルを引き込み、油膜を形成する役割を果たしている。
上記複数の溝85の相互間において、溝85に囲まれて形成された凸部は、浮島形状の受圧部83となっており、この受圧部83は略円形に形成されるとともに、上記最外周の溝85の蛇行に合わせて千鳥配置されている。シール部81の上面と受圧部83は、摺動面として平滑になされており略同一平面内に位置している。以上の説明した図2の浮島形状の受圧部83の配置は、一例であってこれに限定されるものではない。
また、本実施形態では、スラスト軸受53は、可動スクロール32に固定されたスクロール側プレート53aに凹凸を設けているため、凹凸部を形成する複数の溝85が可動スクロールの旋回に伴って、シャフト21に対して相対移動するように構成されている。ハウジング側プレート53bは、スクロール側プレート53aとの摺動面が鏡面仕上げされたプレーンな平面(平坦)となっており、スクロール側プレート53aと同じくドーナツ形状をなしている。なお、ハウジング側プレート53bに、浮島形状の受圧部83等を設けて上記のような構成とし、スクロール側プレート53aが鏡面仕上げされたプレーンな平面としても良い。
このような浮島形状の受圧部83を有する可動スクロール32は、以下に述べるような本発明の基礎となった参照技術においては、次のようにして製造されていた。
可動スクロール32は、鉄などを通常の砂型鋳造で製造すると、寸法精度が低く表面の粗さが大きくなって、精密に密集した受圧部の形成が不可能となるため、砂と特殊な樹脂を混ぜて形成した型による高精度鋳造で成形する。その他、アルミダイキャストやロストワックスなどでも製造できる。これまでは、受圧部を研削や研磨して、なじみ運転でダレ部を形成したり、浮島状の受圧部83の外周縁のテーパ形状は、放電加工や電界加工で形成した後、研削や研磨して平坦部を形成していた。図3は、本発明の参照技術による受圧部の加工状態の模式的断面図である。図4(a)は、本発明の参照技術による受圧部83の平面図であり、(b)は、正面断面図であり、(c)は、本発明の参照技術の油膜形成状態Cを示す図である。
図3、4に示すように、浮島状の受圧部83の外周縁のテーパ形状を、放電加工や電界加工で形成し、平坦部を研削や研磨して形成した場合には、テーパ部の面粗さが悪い状態で残ってしまう。この場合、テーパ部で、くさび効果により本来発生するはずの油膜圧力が、発生しない。これは、テーパ部の面粗さが悪いと、摺動方向に対して直角成分の粗さの溝が形成されて、オイルが粗さの溝を伝って流れてしまい、油膜圧力が上がらないことによる。さらにテーパ部で油膜圧力が発生しにくいため、平坦部でも油膜が発生しにくくなる。このように、油膜圧力は、図4(c)のB(後述の本発明の一実施形態の場合)のようには発生できず、Cのように低下し、油膜によるスラスト荷重の支持が出来なくなると考えられる。平坦部は対向面と一部接触する、いわゆる「境界潤滑」に移行しやすくなってしまうのである。境界潤滑では、焼付けなどの不都合を起こしやすい。特に貧潤滑やオイル涸渇時は顕著となる。
図5(a)は、本発明が適用された可動スクロールの一例を示す図であり、(b)は、(a)の浮島形状の受圧面83を示す部分図であり、(c)は、(b)のA部の拡大図である。図6は、本発明の一実施形態の、受圧面83の突起形状と油膜圧力を立体的に表現した図である。図7(a)は、本発明の一実施形態の平坦部とクラウニング部の形状の一例であり、(b)は、(a)の場合に、摺動方向に沿って発生する油膜圧力を示したグラフである。図8は、クラウニング高さcを油膜厚さh0で割った値c/h0と、規格化した摩擦係数との関係を示すシミュレーション結果である。
図3、4に対して、図5(c)に示すように、本発明の一実施形態では、スクロール側プレート53aの浮島形状の受圧面83は、平坦部83−1と、平坦部83−1の周囲に形成されたクラウニング部83−2から構成され、平坦部83−1とクラウニング部83−2の面粗さが同等で、他方の摺動面(ハウジング側プレート53b)に対して流体潤滑となる面粗さに形成している。両者の面粗さはほぼ同等で、かつ、流体潤滑となる面粗さに形成した点が重要である。
ここで、クラウニング(crowning)部83−2とは、弾性体で裏側から支持されたラッピングフィルム(ラッピングテープ)で研磨したために、円弧のかかった傾斜面となったものを指している。多数の浮島形状の受圧面83に、クラウニング部を形成するためには、弾性体で裏側から支持されたラッピングフィルムで研磨することが、極めて有効である。これまでの加工では、このような面粗さの良好な仕上げ面を、平坦部83−1とクラウニング部83−2に同時に形成することができなかったが、弾性体で裏側から支持されたラッピングフィルムで研磨することで可能となった。なじみ運転で形成されるダレ部は極僅かなものである。これに対して、弾性体で裏側から支持されたラッピングフィルムによれば、多数の浮島形状の受圧面83に、一度に比較的大きな幅のクラウニング部を形成することができるのである。
83−3は、浮島形状を形成する傾斜部である。通常、傾斜角度θ=20〜70度である。一方、クラウニング部83−2の傾斜角度は、せいぜい数度の範囲で、好ましくは1度以下となっている。図5(c)に見られるように、クラウニング部83−2と平坦部83−1との高低差であるクラウニング高さcは、傾斜部83−3とクラウニング部83−2との変曲点までの高さを指している。
本発明の一実施形態では、浮島形状の受圧部83が相対的に移動する際、クラウニング部83−2でのくさび効果により油膜圧力が発生し、その圧力により、スラスト荷重Wに釣合い、油膜による流体油滑とすることができる。油膜圧力のピークはクラウニング部83−2と平坦部83−1の境界点となる。クラウニング部は、油膜圧力の形成、すなわちスラスト荷重の受圧上極めて重要な機能を果たしている。
一般的に流体油滑となる粗さは、ラムダΛ=3以上であると言われている。ここでΛ=最小油膜厚さh/合成粗さσである。合成粗さσとは、トライボロジで周知のもので、上下の潤滑面の粗さをそれぞれσ1、σ1としたとき、次のように表すことができる。
σ=(σ12+σ220.5
したがって、流体油滑となる粗さとは、h/(σ12+σ220.5>3が、目安となる(hは、最小油膜厚さ)。σ1、σ2の計算には、二乗平均平方根粗さのRq(JIS規格)が使用されるが、算術平均粗さRa(JIS規格)で代用しても良い。
つぎに、なじみ運転でできるダレとの違いについて、図8を参照して説明する。
なじみ運転で微小なクラウニングが発生することは知られている。図8は、シミュレーションにより、油膜厚さとクラウニングの比c/h0と摩擦係数(規格化摩擦係数)との関係を計算したものである。この結果は、実験によるデータとも整合することが確認されている。c/h0を大きくしてゆくと、摩接係数が小さくなる領域がありc/h0が1前後で最小となった。通常のなじみ運転で出来るクラウニング部を調べた結果、c/h0は0.1以下であった。c/h0が0.1以下の領域では、摩擦係数が高く、発生する油膜圧力が小さいことを示している。これに対して、c/h0が0.1から10の領域では、摩擦係数が低く、大きい油膜圧力を発生させ、油膜形成と焼付耐力向上に効果がある。
好ましくは、c/h0が0.8から10の領域で上記効果が著しい。
ここで、摩擦係数と発生する油膜圧力との関係について、ごく概念的に簡単に説明しておく。ニュートン流体では、軸受面が受けるせん断力F≒ηu/h(η:粘性係数、u:速度、h:油膜厚さ)であり、摩擦係数μ=F/W(W:荷重)である。粘性係数、速度、油膜厚さが変わらなければ、Fは定数と見做せるので、摩擦係数μと荷重Wは反比例の関係となっている。すなわち、摩擦係数μが小さいことは、油膜により大きな荷重Wを支えることができていることを示している。図8の下部に記載したG(軸受特性数)については、摩擦係数を、粘性係数、速度、荷重、浮島サイズの影響を除去して規格化するために用いたものである。浮島サイズとは、浮島径、浮島直径などのことである。
本発明の別の実施形態として、次のような実施形態がある。
平坦部とクラウニング部の面粗さは同等であるとしたが、ここで言う同等とは、厳密に全く同じ面粗さであることを意味しているのではなく、概ね同じ程度の粗さを指している。したがって、良好な面粗さであれば、両者に若干の差があっても本発明の効果が得られる。また、クラウニング部83−2の外周部の更に外側には傾斜部83−3が設けられている。これにより、荒加工時のバリの発生が抑制される。浮島状受圧部83は可動スクロール部材、又は、ハウジング側プレート53bを固定するハウジング部材と一体形成すると良い。この場合には、部品点数削減されコスト削減に有利である。
さらに、一方の摺動面には、複数個の浮島形状の受圧面が形成され、他方の摺動面は平坦部に形成された場合に、他方の平坦部に形成された摺動面の硬度が浮島形状の受圧面より高くすると良い。この場合には、より受圧部がなじみ易く油膜を早期に発生することが出来る。また、他方の平坦部に形成された摺動面の粗さを、浮島形状の受圧面より良好にすると良い。この場合には、より受圧部がなじみ易く油膜を早期に発生することが出来る。本発明は、より面圧の高い摺動に対し有利となるので、CO2冷媒用の圧縮機に適用することが好ましい。
クラウニング部83−2と平坦部83−1が同時加工された場合には、同時加工により屈曲部なく、同等の面粗さが形成される。また、浮島形状の受圧部はダイカスト又は高精度鋳造により形成すると良い。
13 密閉容器
32 可動スクロール
38 固定スクロール
53 スラスト軸受
53a スクロール側プレート
53b ハウジング側プレート
83 浮島形状の受圧面
83−1 平坦部
83−2 クラウニング部

Claims (6)

  1. 密閉容器(13)内において、可動スクロール(32)が、固定スクロール(38)に対して公転して、両スクロール間に形成された作動室(45)内で作動流体を圧縮するスクロール型圧縮機(11)であって、
    前記可動スクロール(32)を支持するスラスト軸受(53)は、前記作動室(45)とは反対側のスクロール側プレート(53a)と、前記密閉容器(13)に固定されたハウジング側プレート(53b)とを具備し、
    前記スクロール側プレート(53a)、又は、前記ハウジング側プレート(53b)のいずれか一方の摺動面には、複数個の浮島形状の受圧面(83)が形成され、他方の摺動面は平坦に形成され、
    前記浮島形状の受圧面(83)は、平坦部(83−1)と、該平坦部(83−1)の周囲に形成されたクラウニング部(83−2)から構成され、前記受圧面(83)の周縁には、浮島形状を形成する傾斜部(83−3)が構成され、平坦部(83−1)とクラウニング部(83−2)の面粗さが同等であって、かつ、前記他方の摺動面との間で流体潤滑となる面粗さに形成されており、
    前記クラウニング部(83−2)と前記平坦部(83−1)との高低差であるクラウニング高さ(c)、すなわち、前記平坦部(83−1)から前記傾斜部(83−3)と前記クラウニング部(83−2)との変曲点までの高さ、及び、前記一方の摺動面と前記他方の摺動面との油膜厚さ(h0)に対して、前記クラウニング高さ(c)を前記油膜厚さ(h0)で割った値(c/h0)が、0.1から10であることを特徴とするスクロール型圧縮機(11)。
  2. 前記クラウニング高さ(c)を前記油膜厚さ(h0)で割った値(c/h0)が、0.8から10であることを特徴とする請求項1に記載のスクロール型圧縮機(11)。
  3. いずれか一方の摺動面には、複数個の浮島形状の受圧面(83)が形成され、他方の摺動面は平坦に形成されたスラスト軸受(53)であって、
    前記浮島形状の受圧面(83)は、平坦部(83−1)と、該平坦部(83−1)の周囲にクラウニング部(83−2)から構成され、前記受圧面(83)の周縁には、浮島形状を形成する傾斜部(83−3)が構成され、平坦部(83−1)とクラウニング部(83−2)の面粗さが同等であって、かつ、前記他方の摺動面との間で流体潤滑となる面粗さに形成されており、
    前記クラウニング部(83−2)と前記平坦部(83−1)との高低差であるクラウニング高さ(c)、すなわち、前記平坦部(83−1)から前記傾斜部(83−3)と前記クラウニング部(83−2)との変曲点までの高さ、及び、前記一方の摺動面と前記他方の摺動面との油膜厚さ(h0)に対して、前記クラウニング高さ(c)を前記油膜厚さ(h0)で割った値(c/h0)が、0.1から10であることを特徴とするスラスト軸受(53)。
  4. 前記クラウニング高さ(c)を前記油膜厚さ(h0)で割った値(c/h0)が、0.8から10であることを特徴とする請求項3に記載のスラスト軸受(53)。
  5. 請求項3又は4に記載のスラスト軸受(53)の前記浮島形状の受圧面(83)を、弾性体で裏側から支持されたラッピングフィルムで研磨したことを特徴とする研磨方法。
  6. 請求項3又は4に記載のスラスト軸受(53)の前記浮島形状の受圧面(83)が可動スクロール部材と一体形成され、受圧周縁には一体成型時に形成される傾斜部を有し、更に、弾性体で裏側から支持されたラッピングフィルムで研磨したことを特徴とする研磨方法。
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