しかるに、これらの特許文献1および2に記載されたフレキシブル包装袋は、軟質積層フィルムによって構成され、該フレキシブル包装袋内に液状被包装物を充填包装してなる液状物充填包装体は、それ自体、定形性がなく、自立性も有していないため、液状物充填包装体を搬送、保管、陳列等する場合および、液状被包装物を注出して使用する場合には、それを、紙製あるいは樹脂製の自立性のある容器等に固定もしくは固着下で収納する必要がある。
しかも、この液状物充填包装体を容器等に収納する場合、注出ノズルの有するセルフシール逆止機能を十分に発揮させると共に、不測の液だれを防ぐためには、注出ノズルを、目的の位置に精度よく収納し、さらに容器等の内側にしっかりと固定ないしは固着することが必要となる。
しかしながら、この収納作業は、多くの工程を必要とし、これを機械化させるためには、精度やコスト面に問題点があった。
そこで、発明者らは、非自立形の液状物充填包装体の容器等への収納、固定作業等を、需要者自身が行うことができるようにして、低コスト化を実現し、前記液状物充填包装体の実用化を実現させるべく検討を行った。
その結果、発明者らは、非自立形の液状物充填包装体を懸吊保持し、しかも注出ノズルの逆止機能を効果的に発揮させることができると共に、需要者が簡単に液状物充填包装体を取付け、取外しすることができ、さらには、リサイクル使用の可能な容器を、国際公開WO2009/078196号公報および国際出願番号PCT/JP2011/73513として開示した。
この発明は、これらの容器をさらに改善したものであり、液状物充填包装体の、外容器への装着を一層容易にするとともに、注出ノズルを一旦開封した後の液状物充填包装体の作為的な加振や意図しない倒伏等によってもなお、液状被包装物の不測の漏出を確実に阻止することができる他、液状被包装物の消費後の、新たな液状物充填包装体の適正なる収納装着をより容易とし、さらに、繰り返し使用も可能な液状物充填包装体の外容器を提供することを課題とするものである。
この発明の、液状物充填包装体の外容器は、セルフシール逆止機能を有する平坦な注出ノズルを、上端部分の側部もしくは頂部から突設してなる軟質包装袋内に、先に述べた飲食物等の他、化粧品、医薬品その他の液状被包装物を充填包装してなる、定形性のない液状物充填包装体を起立姿勢で収納して、液状物充填包装体に定形性を付与するものであって、該外容器の、液状物充填包装体を起立姿勢で収納する本体部分を、頂部、底部および頂部と底部との間の中間部とで構成し、二枚の板状部材からなる前記頂部の、該板状部材間から、前記本体部分内へ収納した液状物充填包装体の上端部の少なくとも一部を本体部分の外側へ折り返し、その姿勢で、前記二枚の板状部材とともに挟持するクランプ手段を設けるとともに、液状物充填包装体に突設された前記注出ノズルの突出部を設け、このノズル突出部の内表面の少なくとも一方に、注出ノズルの弾性挟持を可能とする弾性部材を配設し、前記頂部もしくは中間部に、該弾性部材の弾性変形をもたらして、前記注出ノズルの注出通路の密閉をもたらす緊締手段を設け、前記底部の平面外輪郭形状を、液状物充填包装体の底部に適合する、円形、楕円形、扁平楕円形もしくは多角形としてなり、前記緊締手段が、二枚の板状部材のそれぞれの外表面の少なくとも一方の側の板状部材に掛脱可能なスナップ付きのバンド部材にて構成し、液状物充填包装体に安定した起立姿勢の付与を可能としたものである
また好ましくは、本体部分の底部に、液状物充填包装体の自重を支持する底板を、たとえば本体部分の下縁より1〜5mm上方位置に、もしくは傾斜姿勢で配設する。
また好ましくは、前記クランプ手段を、本体部分頂部の二枚の板状部材の少なくとも一方にヒンジ連結されて、二枚の板状部材を、本体部分内に収納した液状充填包装体の折り返し上端部とともに挟み込む、挟持溝付きの揺動アームで構成する。
なお、このクランプ手段は、外容器とは別体になる外付けクリップで構成する他、一方の板状部材と他方の板状部材とを連結するスナップ付きバンド部材にて構成することも可能である。
そして、上記揺動アームは、とくに揺動先端側の外表面に、凹部、凸部もしくはローレット加工部等の如く凹凸部からなる、把持用の指掛りを設けることが好ましい。
また、前記緊締手段は、二枚の板状部材のそれぞれの外表面の少なくとも一方側の板状部材に掛脱可能なスナップ付きのバンド部材にて構成し、このバンド部材は、本体部分の頂部もしくは中間部に設けることが可能であるが、前記弾性部材をより大きく弾性変形させ得る位置に配設することが好ましい。
ところで、前記弾性部材は、ゴム、エラストマーまたは発泡材料にて構成することが好ましく、また、前記本体部分は、一枚の裁断シートを折り曲げ形成するとともに、筒状をなす少なくとも底部で、該裁断シートを重ね合わせ接合もしくは合掌接合させて構成することが好ましい。
そして、この重ね合わせ接合もしくは合掌接合は、相互の弾性掛合になるスナップ止め、ビス止め、リベット止め等による機械的固定ないしは固着、または接着剤接着、溶着等の固着によって行うことが好ましい。
さらに、底板付きの、もしくは底板なしの前記本体部分は、合成樹脂材料のブロー成形、射出成形、真空成形もしくは圧空真空成形により、所要の形態に成形して構成することが、事後的な前記接合工程を省く上で好ましい。
また、本体部分の、ノズル突出部下方の側部および、この下方側部の反対個所にそれぞれ、外容器保持用の切欠きを設けることが好ましい。なお、この場合、外容器の反対個所の切欠きは、該外容器の上縁まで連続するものとすることができる他、該外容器の上縁から2〜10mmの間隔をおいて終了するものとすることもできる。
この発明の、軟質包装袋よりも高剛性の材料からなる外容器では、外容器の本体部分内へ液状物充填包装体を起立姿勢で収納することで、その液状物充填包装体に定形性を付与して、液状物充填包装体の搬送、保管、陳列、展示等を簡単かつ容易にするとともに、大容量の液状物充填包装体に対しては、たとえば、把手を設けることもできる外容器の作用下で、液状物充填包装体を傾動させることで、そこへの液状被包装物を、注出ノズルに設けた注出口から所期した通りに注出することができる。
ここにおいて、セルフシール逆止機能を有する平坦な注出ノズルを具える軟質包装袋内に液状被包装物を充填包装してなる液状物充填包装体から、液状被包装物を所要量注出するに当たっては、はじめに、外容器のノズル突出部から突出する注出ノズルを先端部で開封して注出口を形成し、緊締手段の開放下で、たとえば抜気状態にて液状被包装物を充填包装してなる液状物充填包装体を、把手が付設されることもある外容器の把持下で傾動させる。
これにより、軟質包装袋内の液状被包装物は、軟質包装袋の潰れ変形に基づいて、該包装袋内に外気を取り込むことなく注出されることになる。すなわち、軟質の包装用積層フィルムからなる軟質包装袋は、液状被包装物の注出体積に対応する量だけ潰れ変形して、上記の注出を許容し、該軟質包装袋自体は、潰れ変形量に応じて、好ましくは底部側から順次に内表面どうしが密着されることになる。
この一方で、液状物充填包装体の傾動によって所要量の被包装物を注出した後は、液状物充填包装体を元の起立姿勢に復帰させて注出を停止し、これによって注出ノズルが水頭圧の作用から開放されて、製造時の形状に復帰することに加え、注出ノズル内の液状被包装物が軟質の包装袋本体内へ戻るに際して、被包装物に濡れた状態の表裏の積層フィルムの内表面が、その被包装物の毛細管現象による薄膜(液膜)の介在下での相互の密閉を、その停止と同時に、該注出ノズルを構成する表裏一対の積層フィルムの、注出通路の幅方向、いいかえれば上下方向の全体にわたってもたらして、この注出ノズルの先端部注出口が相互に吸着された状態となって密閉し、軟質包装袋内ひいては、液状物充填包装体内への外気の侵入を確実に阻止する。
したがって、セルフシール逆止機能を有する平坦なこの注出ノズルを具える液状物充填包装体においては、袋内被包装物が、注出前はもちろん、注出中および注出後においても外気との接触が阻止されるので、液状被包装物は、酸化、汚損等から十分に保護されることになる。
そして、このときの注出ノズルの表裏のフィルムどうしの密閉は、液状物充填包装体からの被包装物の注出に伴って、潰れ変形された軟質包装袋本体が、それに固有の弾性復元力等に基づいて、その内部を減圧傾向とする場合により確実となる。
また、注出ノズルに対する特別の操作等なしに、液状物充填包装体の起立復帰と併せて、それの先端注出口を自動的に密閉封止させることができ、注出ノズルにすぐれた逆止機能を発揮させることができる。
要するに、この注出ノズルは、重なり合う2枚の薄肉の軟質積層フィルムを、ノズル基端部となる部分を除く周縁部分で相互に融着し、中央部分に注出通路を区画形成してなるものであって、液状物充填包装体を傾動させて被包装物を注出した際に、該被包装物が通過することによって、前記注出通路内が液状被包装物に濡れた状態となった薄肉積層フィルムの内表面どうしが、該注出通路内表面に被包装物の薄膜が存在することによる相互の貼着作用によって、外気の侵入を阻止する逆止機能をもたらすフィルム状の逆止弁と言い得るものである。
また、この外容器では、二枚の板状部材からなる頂部の、該板状部材間から本体部分内へ、底板による支持下で、または底板による支持なしに収納した液状物充填包装体の、上端部の少なくとも一部を、本体部分の外側への折り返し姿勢で、上記頂部に設けたクランプ手段により、二枚の板状部材とともに挟持することで、液状物充填包装体の外容器への装着を極めて簡易・迅速なものとするとともに、液状物充填包装体内の液状被包装物の消尽後の、新たな液状物充填包装体の入れ換えをもまた、極めて容易なものとすることができる。
そしてまた、この外容器では、液状物充填包装体の注出ノズルを緊締手段によって弾性的に挟持して注出ノズルの注出通路を密閉することで、たとえば、注出ノズルを先端部で開封して注出口を形成した後の、液状物充填包装体の意図しない倒伏、作為的な加振等に対して液状被包装物の漏出を確実に阻止することができる。
さらに、前記本体部分の底部の平面外輪郭形状を、液状物充填包装体の底部に適合する、いいかえれば、当該底部に液状被包装物を封じ込める皺等を発生させることのない円形、楕円形、扁平楕円形もしくは多角形とすることで、外容器の作用の下で、液状物充填包装体に、所期した通りの安定した起立姿勢を底板の有無にかかわらず、確実に付与することができるとともに、外容器の傾動に伴う、液状被包装物の所要の注出を、その被包装物が消尽されるまで円滑に行うことができる。
さらに、この外容器では、本体部分が収納した液状物充填包装体の起立姿勢と略同形、すなわち底部から頂部に向かって先すぼまりの形状となっていることで、外容器を傾動や加振等しても収納した液状物充填包装体がずれたり、皺等が発生することがなく、注出ノズルの表裏の積層フィルムのフラット性(平坦な姿勢)を常に保つことができるため、セルフシール逆止機能を有効に発揮させることができる。
このような外容器においては、外容器の部品点数が低減して、コストの低減が図られるとともに、液状物充填包装体を、外容器本体部分内に適正に装着するに要する工程数を低減させることもできる。
また、外容器本体部分の底部に、液状物充填包装体の自重を支持する底板を設けた場合は、前記クランプ手段による、前記液状物充填包装体の上端部の挟持力が液状物充填包装体の自重より小さくてなお、該液状物充填包装体を所要の起立姿勢に維持して、セルフシール逆止機能を有する平坦な注出ノズルを、所期したとおりのノズル突出部位置に位置させることができる。
この場合、前記底板は、外容器の本体部分の下縁に対して1〜5mm上方に配設することが好ましい。これは、前記本体部分の容積をそれほど低減させることもなく、底板が液状物充填包装体の自重によって、下方へ凸となる向きに変形されたとしても、底板の凸変形部分が、本体部分の下縁より下方へ突出することを抑制することができ、これがため、液状物充填包装体を起立姿勢で収納した外容器を、常に安定した状態で起立させることができる。そしてこのことは、液状被包装物の自重を支持する複数枚の底板を配設した場合に一層効果的である。
また、底板を上記のように幾分の上げ底状態の下で、傾斜姿勢で配設した場合には、勾配の下端側に、底板の本体部分への連結部を設けて、底板に作用する液状物充填包装体の自重を底板の本体部分への連結強度の高い、該連結部の側へ大きく分散させることが可能となり、底板の中央部分の、下方への凸出変形量を小さく抑えて、外容器の起立姿勢を一層安定なものとすることができる。
ここで、たとえば前記緊締手段と兼用することもできる前記クランプ手段を、本体部分頂部の二枚の板状部材の少なくとも一方にヒンジ連結されて、二枚のその板状部材を、本体部分内に収納した液状物充填包装体の折り返し上端部とともに挟み込む、挟持溝付きの揺動アームによって構成したときは、該揺動アームを開放方向に揺動させることで、液状物充填包装体に対する拘束、場合によっては、注出ノズルを挟持する弾性部材に対する拘束をも、簡易にして確実に開放することができる。
したがって、その後は、二枚の板状部材の相対間隔を所要に応じて広げることで、液状被包装物を消尽した液状物充填包装体の取り出し、および新たな液状物充填包装体の外容器内への収納を、板状部材間隔の開放下で、迅速かつ適正に行うことができる。また、新たな液状物充填包装体は、前記揺動アームの閉止方向への揺動運動により、これもまた簡易にして確実に、外容器に挟持装着することができる。
ここにおける、液状物充填包装体のこのような交換作業に伴う、二枚の板状部材の離隔操作の容易さを考慮した場合は、前記揺動アームは、いずれか一方の板状部材だけにヒンジ連結することが好ましい。
なお、前記クランプ手段は、外容器とは別体構造になる外付けクリップもしくは、一方の板状部材と他の板状部材とを掛脱可能に連結する、スナップ付きのバンド部材等にて構成することが好ましく、このいずれによっても、液状物充填包装体の、外容器に対する挟持および開放をともに、簡易・迅速に、かつ確実に行うことができる。
そして、前記揺動アームは、とくに揺動先端側の外表面に、凹部、凸部もしくはローレット加工部等の如くの凹凸部からなる、アーム把持用の指掛りを設けた場合に、その指掛りを滑り止めとして、揺動アームを所要の位置へ容易に、かつ確実に揺動変位させることができる。
ところで、緊締手段を、二枚の板状部材のそれぞれの外表面の少なくとも一方側の板状部材に、掛脱可能なスナップ付きのバンド部材にて構成した場合には、該スナップの掛脱によって、ノズル突出部の内表面に配設した弾性部材を、クランプ手段の作用から独立して、所要に応じて弾性変形させ、注出ノズル、より直接的には注出ノズルの注出通路を、液状被包装物の漏出のおそれのない程度に容易に密閉させ、または弾性変形の解除下で開放することができる。
この場合にあって、前記バンド部材を、二枚の板状部材のそれぞれの外表面にスナップ掛合させた場合、右利き、左利きの別なく、所要のいずれかの外表面に対してスナップを掛脱することで、外容器頂部のノズル突出部への注出ノズルの適正なる配置および、上述した注出通路の密閉等を確実に実現することができる。
なお、このバンド部材は、軟質包装袋の、注出ノズルの突出位置との関連の下で、外容器の本体部分の、頂部もしくは中間部に配設することができるが、注出通路のより確実な密閉のためには、前記弾性部材をより大きく弾性変形させ得る位置に配設することが好ましい。
また、この緊締手段は、バンド部材に代えて、外容器とは別体構造になる外付けクリップとすること、二枚の板状部材を挟み込む、前記クランプ手段とは別個の揺動アームとすること、上下方向もしくは水平方向に並進運動するスライダー等にて構成することもでき、これらのいずれによっても、前記注出通路を所要に応じて密着および開放させることができる。なお、前記緊締手段は、外容器を液状物充填包装体の交換可能な、入れ換え容器として適用する場合には、本体部分頂部の二枚の板状部材の相互を大きく離隔変位させることのできる外付けクリップもしくは揺動アームとすることが好ましい。
ここで、前記弾性部材を、ゴム、エラストマー、ゴムもしくは合成樹脂部材の発泡材料にて構成したときは、該弾性部材に注出通路の密閉および開放をもたらすに必要な、適切な弾性力を容易に付与することができる。
そして、前記本体部分を、一枚の裁断シートを折り曲げ形成するとともに、筒状をなす少なくとも底部で、該裁断シートを重ね合わせ接合、もしくは合掌接合させて構成する場合は、特別の成形型等を準備することなく、該本体部分、ひいては外容器を安価に製造することができる。
しかも、外容器を商品として扱う場合、本体部分底部の所要の接合を、外容器のユーザーに任せることで、商品それ自体が嵩張ることがなく、運搬、保管等のコストを大きく低減させることができる。
ところで、上記の重ね合わせ接合もしくは合掌接合を、相互の弾性掛合になるスナップ止め、ビス止め、リベット止め、鳩目止め等の機械的な固定ないしは固着または、接着剤接着、溶着等の固着によって行う場合は、外容器本体部分の組立てを、メーカーが行うか、ユーザーが行うかの別なく、簡易・迅速にかつ、常に適正に行うことができる。
そして、前記本体部分は、合成樹脂材料のブロー成形、射出成形、真空成形もしくは圧空真空成形によって構成することが、該本体部分が底板を具えると否とにかかわらず、上述したような事後的な接合工程を省く上で好ましい。
なお、外容器本体部分の、二枚の板状部材からなるノズル突出部の下方側部分および、この下方側部分の、外容器の反対個所のそれぞれに、液状物充填包装体を収納した外容器の保持用の一対の切欠きを設けたときは、とくに把手を付設しない外容器の場合において、それらの一対の切欠きを介して、外容器を直接的に把持することができ、これによれば注出ノズルが開封されている場合であっても、液状物充填包装体に外力を及ぼすことなく、いいかえれば、該包装体内の液状被包装物の漏出のおそれなしに液状物充填包装体を所要の位置へ移動させることができる。
またこの場合、外容器の前記反対個所の切欠きによる切除部分は、外容器本体部分の上縁まで達するものとすることができる。この場合、外容器本体部分の、二枚の板状部材の相互の分離下で、液状物充填包装体の入れ換えに際する、相互の離隔変形を容易なものとすることができる。
この一方で、上記の切欠きを、外容器本体部分の上縁から2〜10mmの範囲の間隔をおいて終了させたときは、本体部分頂部の二枚の板状部材の相対位置のずれのおそれがなく、クランプ手段による液状物充填包装体の上端部の挟持を常に確実なものとし、併せて、二枚の板状部材の、上縁部の前記切り残り部分による、相互の離隔方向への固有の弾性復元力に基づき、外容器本体部分の中間部、底部等を押圧して、所要量の液状被包装物を速やかに注出した後の、外容器の元形状への復帰をより迅速なものとすることができる。
以下にこの発明の実施形態を図面に示すところに基づいて説明する。
図1に起立姿勢で示す、液状物充填包装体1は、セルフシール逆止機能を有し、該包装体1内への外気の侵入を阻止する平坦な注出ノズル2を、軟質の包装用積層フィルムを周辺部分で融着接合させてなる包装袋本体3の、上端部分の側部もしくは頂部、図では側部から突出させて設けてなる軟質包装袋4内に、飲食物、化粧品、医薬品その他の所要の液状被包装物を充填包装してなるものであり、定形性のない、したがって自立性も有しないものである。
ここで、図示の包装袋本体3は、内表面にシーラント層を有する二層もしくは三層以上の軟質の包装用積層フィルムの周辺部分を、図に斜線を施して示すように、ヒートシール、高周波ウエルダーシール、超音波シール等を施すことにより融着させて構成してなる。また、このような包装袋本体3の図では上端部分の側部に突設される、セルフシール逆止機能を有する平坦な注出ノズル2は、内外の両表面にシーラント層を有する三層以上の積層構造になり、好ましくは、前記包装用積層フィルムより軟質の積層フィルムのたとえば二枚を、基端辺を除く周辺部を、これも図に斜線を施して示すように、内表面のシーラント層で、上述したいずれかのシール工法にて融着させて、中央域に注出通路5を区画することにて形成してなる。
このような注出ノズル2の、包装袋本体3への接合は、注出ノズル2の外表面のシーラント層を、包装袋本体3の内表面のシーラント層に、上記のいずれかのシール方法によって融着させることにより行うことができ、注出ノズル2の注出通路5は、包装袋本体3の、液状被包装物の充填スペース6に連通することになる。
ところで、注出ノズル2の基端部外表面のシーラント層の、包装袋本体3の内表面のシーラント層へのこのような融着接合に際する、注出ノズル2の基端部の、内表面のシーラント層どうしの融着は、たとえば、注出ノズル2の外表面のシーラント層の融点に対し、注出ノズル内表面のシーラント層の融点を相対的に高くすることで、有効に防止することができる。
なおここで、注出ノズル2を設けてなるこのような軟質包装袋4への液状被包装物の充填包装は、該液状被包装物を、たとえば被包装物を連続的に供給して、当該被包装物を夾雑物として、軟質包装袋に横シールを施す液中シール充填等による抜気充填包装によって行うことができ、このようにして所要量の液状被包装物を充填包装することで、図示のような液状物充填包装体1が形成されることになる。
なお、図に示すところでは、液状物充填包装体1は起立姿勢とされているも、該包装体それ自体は、包装袋4を構成する積層フィルムの軟質性の故に定形性がなく、自立性を有することもない。
このような液状物充填包装体1からの液状被包装物の所要に応じた注出および、所要量の被包装物の注出後の注出の停止は、先に述べたところと同様にして行われることになり、そして、液状被包装物の注出中および注出終了後の該包装体1内への外気の進入は、これも前述したように、包装体1の潰れ変形および注出ノズル2のセルフシール逆止機能のそれぞれに基づいて確実に阻止されることになる。
そして、上述したような液状物充填包装体1を起立姿勢で収納して該包装体1に定形性を付与する、たとえば側部に把手を付設することを可とする、この発明に係る外容器10は、図2に例示するように、該包装体1を起立姿勢で収納する、軟質包装袋4よりはるかに高剛性の紙や合成樹脂材料等からなる本体部分11を有してなる。
この本体部分11は、好ましくは、液状物充填包装体1に充填包装した液状被包装物の残量の外部からの視認を可能とする、透明もしくは半透明とし、頂部11a、底部11bおよび、それらの両者間の中間部11cで構成してなる。この本体部分11は、図2に示す姿勢で二枚の板状部材からなる頂部11aから、中間部11cを経て底部11bに向けて、次第に囲繞横断面積を大きくする筒状形態をなす。
そして、二枚の板状部材からなる頂部11aには、本体部分11内へ起立姿勢で収納した液状物充填包装体1の上端部を、該上端部の少なくとも一部、図に示すところでは、軟質包装袋4の、注出ノズル2とは反対側の上端縁を本体部分11の外側へ折り返した姿勢として、該上端部を二枚の板状部材とともに挟持する、クランプ手段の一例として、揺動アーム12を設ける。
クランプ手段の一例としてのこの揺動アーム12は、二枚の板状部材の少なくとも一方、図では一方の板状部材だけにヒンジ連結されて、支点の周りで、図に矢印Aで示す方向および、矢印Aとは逆の方向へ揺動変位させることができ、この揺動アーム12は、図2に示す揺動姿勢で、厚み方向の所要位置に設けた所要の幅の挟持溝で、二枚の板状部材および前記包装体1の折返し部分を直接的に挟持し、結果として、包装体1の上端部の大部分が頂部板状部材を介して挟持されることになる。
なお、このような揺動アーム12の、とくに先端部分の外表面には、凹部、凹部もしくは凹凸部からなる、把持用の指掛りを設けることが好ましく、これによれば、指掛りを滑り止めとして、揺動アームを所要の方向へ容易に変位させることができる。
そして、クランプ手段の一例としてのこのような揺動アーム12は、外容器とは別体になる外付けクリップに置換することができる他、スナップ付きバンド部材に置換することもできる。
また、図2に示すように、本発明の外容器においては、本体部分11の頂部11aの二枚の板状部材に、液状物充填包装体1に突設された前記注出ノズル2の突出を許容する突出部13を設けるとともに、このノズル突出部13の内表面の少なくとも一方、好ましくは双方に、注出ノズル2の弾性挟持を可能とする弾性部材14を、貼着等によって配設し、本体部分11の頂部11aもしくは中間部11cに、該弾性部材14の弾性変形をもたらして、注出ノズル2の注出通路5の密閉をもたらす緊締手段を設けることが好ましい。
なお、クランプ手段とは別体構造になるこの緊締手段15は、二枚の板状部材のそれぞれの外表面の少なくとも一方側、好ましくは双方の板状部材に弾性的に掛脱可能なスナップ15a付きのバンド部材15bにて構成することが、緊締手段15をクランプ手段とは別個独立に、所要のタイミングで機能させる上で好ましい。
ところで、この緊締手段15は、本体部分の頂部11aもしくは中間部11cのいずれかに設けることができるが、注出ノズル2の配設位置との関連の下で、弾性部材14をより大きく弾性変形させ得る位置に配設することが好適である。
なお、この緊締手段15は、外容器とは別体構造になる外付けクリップ、二枚の板状部材を挟み込む、前記揺動アーム12とは別個の揺動アーム、上下方向もしくは水平方向に併進運動するスライダー等にて構成することもできる。
また、ノズル突出部13の内表面に貼着等によって配設される前記弾性部材14は、前記内表面の一方側に配設されると、双方に配設されるとの別なく、注出ノズル2を、それに折れ曲がり変形等をもたらすことなく、平坦な姿勢で挟持できるものであることが、注出ノズル2のセルフシール逆止機能を十分に発揮させて、吐出通路の自動的な密閉を確実なものとする上で好ましい。
そしてこの弾性部材14を、ゴム、エラストマー、ゴムもしくは合成樹脂部材の発泡材料にて構成した場合は、弾性部材14に、所要の弾性力を容易に付与することができる。
さらに、本体部分11の底部11bの平面外輪部形状は、液状物充填包装体1の底部に適合して該包装体1の底部に、液状被包装物を封じ込める皺等を発生させることのない、円形、楕円形、扁平楕円形もしくは多角形とし、これにより液状物充填包装体1の自重が底板にて支持されると否とにかかわらず、液状物充填包装体1に定形性を付与して該包装体1に安定した起立姿勢を付与することができる。また、この場合、外容器10を把持して、または外容器10に付設されることのある把手を把持して、外容器10を傾動させることに基づく、注出ノズル2からの液状被包装物の注出を、その被包装物が使い尽くされるまで十分円滑に行うことができる。
なおこのような外容器10においては、部品点数を低減して外容器コストを低減させることができ、また、液状物充填包装体1を、外容器の本体部分11内に適正に装着するに要する工数を、有利に低減させることができる。
そして、この場合の、液状被包装物の注出ノズルからの注出は、クランプ手段によるクランプ力を若干弱めて、弾性部材14の弾性変形を取り除くこと、または弾性変形量を低減させることによって行うことができる。
また、外容器10の本体部分11の底部11bには、液状物充填包装体1の自重を支持する一枚もしくは複数枚の底板を設けることが好ましく、図2に示す底板16によれば、クランプ手段による該包装体1の上端部の挟持力が、液状物充填包装体1の自重により小さくてなお、該包装体1の上端部のクランプ手段からの抜け落ちを十分に防止して、液状物充填包装体1を所要の起立姿勢に維持するとともに、セルフシール逆止機能を有する平坦な注出ノズル2を、ノズル突出部13の所期した通りの位置に適正に位置させることができる。
なお、このような底板16は、液状物充填包装体1の底部に皺等を発生させることなく、該包装体1を支持し得る表面積を有するものであることが好ましい。また該底板16は、本体部分11の下縁に対して、1〜5mm上方に配設することが好ましく、これによれば、液状物充填包装体1の自重によって、底板16の中央部分が下方へ凸となる向きに変形されても底板16の凸変形部の、テーブル面等への接触が有効に防止され、液状物充填包装体1を起立姿勢で収納してなる外容器10それ自体を、安定的に起立させる上で好ましい。そしてこのことは、複数枚の底板16を配設した場合により効果的である。
底板16を前記のように上げ底配置する場合にあって、該底板16を傾斜姿勢で配設し、そして傾斜勾配の下端側に、底板16の本体部分11への連接部を設けた場合には、底板16上に作用する液状物充填包装体1の自重の作用位置を、傾斜勾配の下端側である、底板16の高い連接強度を有する前記連接部側に偏らせることができるので、底板16の中央部分の下方への凸変形を有効に抑えて、その凸変形部分の、テーブル面等への接触のおそれをより効果的に防止することができる。
以上のような外容器10の本体部分11は、図3に例示するような一枚の裁断シート21を折り曲げ形成するとともに、筒状をなす少なくとも本体部分11の底部で、その裁断シート21を重ね合わせ接合、もしくは合掌接合させて構成することができる。この場合、本体部分1のための高価な成形型の準備が不要であり、剪断型、押切り型等の裁断型を用意することで足りるので、本体部分11を安価に製造することができる。
しかも、この場合、外容器それ自体を商品とするときは、組み立て前の本体部分11を、底板16を具える場合も含めて、一枚のシートとして扱うことができるので、必要な組み立てを外容器のユーザーに任せることによって運搬および保管等のコストを十分低く抑えることができる。
このような一枚の裁断シート21を用いて本体部分11を組み立てるに当たっては、はじめに、本体部分11の頂部の二枚の板状部材となって、ノズル突出部13を形成する個所の各内表面に貼着等させて設けたそれぞれの弾性部材14が、相互に対向する姿勢となるように、図3に示す裁断シート21を幅方向の中央位置で谷折り成形する。これにより、構成される本体部分11の底部11bは、裁断シート21が幅方向に連続して高い剛性を発揮することで、図4に例示するように、液状物充填包装体1の底部に適合する円形、楕円形、扁平楕円形、多角形等の所要の形態、図では楕円形態をとることになる。
なおこの場合、図3に示す裁断シート21のように、上げ底となる底板16のための底板部材22を有する場合は、該底板部材22を、楕円筒状となる前記底部の内側に所要の態様で連結することで、図4に示すように本体部分11の下縁より幾分上方位置に底板16が配設されることになる。
裁断シート21に、図3に示すような底板部材22を設けることは必須ではないものの、このような底板部材22を複数設けたときは、本体部分11の底部に複数の底板16を配設することができ、それらの底板16のそれぞれで液状物充填包装体1の自重を分散支持することができるので、各個の底板16の、下方側への突出変形量を有効に低減させることができる。
ところで、図3、4に示すところでは、裁断シート21の下端部分、いいかえれば組み立て形成される本体部分11の、筒状の底部11bで、裁断シート21の下端部分を重ね合わせ接合させることとしており、この接合を、図示はしないが、相互の弾性掛合になるスナップ止め、ビス止め、リベット止め、鳩目止め等の他、接着剤接着、溶着等によって行う。
なお、裁断シート21の下端部分の接合は、占有スペースの若干の増加は余儀なくされるものの、合掌接合によっても行うことができる。
なお、図3、4に示すところにおいて、本体部分11の頂部の、二枚の板状部材の一方となる部分に形成した貫通孔23は、前記揺動アーム12を一方の板状部材にヒンジ連結するためのピン挿通孔を示す。
ここで、図2に示すように、クランプ手段の一例としての揺動アーム12によって、二枚の板状部材と共に、液状物充填包装体1の上端部を挟持し、また緊締手段15として、バンド部材15bによって、それぞれの板状部材を連結した状態の下では、本体部分11による囲繞空間の横断面積は、本体部分11の底部11bに向けて、とくには中間部11cから底部11bの下端にかけて次第に増加することになる。
以上は、外容器10の本体部分11を、一枚の裁断シート21から構成する場合について説明したが、その本体部分は、底板を具えると否とにかかわらず、合成樹脂材料、たとえばポリプロピレン、ピリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ABS樹脂、ポリスチレン等のブロー成形、射出成形、真空成形、圧空真空成形等により構成することができる。
このような本体部分11は、裁断シート21から構成する場合、ブロー成形等によって一体成形する場合のいずれにおいても、1〜3mm程度の厚みを有するものとすることが、外容器10に所要の剛性および定形性、自立性を付与する上で好ましい。
そして、外容器10の上述したいずれの本体部分11にあっても、図2に示すように、二枚の板状部材からなるノズル突出部13の下方側部分、およびこの下方側部分の外容器10の反対個所のそれぞれに、液状物充填包装体1を収納した外容器10の保持用の一対の切欠き17、18を設けることが好ましい。これによれば、外容器10の側部等に保持用の把手を付設しない場合であっても、それらの切欠き17、18を介して、軟質包装袋4より高剛性の外容器10を把持することできるため、液状物充填包装体1の注出ノズル2が開封されて注出口が形成されている場合であって、緊締手段15の不作用下であっても、該包装体1に外力を及ぼすことなく、液状物充填包装体1を、液状被包装物の漏出のおそれなしに移動させることができる。
その上、これらの切欠き17、18によれば、それらから液状物充填包装体1を目視することで、本体部分11がたとえ不透明であっても、該包装体1内の液状被包装物の残量を視認することができる。
ここにおいて、外容器10の反対側個所での本体部分11の切欠き18による切除部分を、その本体部分11の上縁まで達するものとしたときは、本体部分11の頂部11aの、二枚の板状部材の相互の離隔変形を容易なものとすることができ、本体部分11内への液状物充填包装体1の入れ換えを簡単に行うことができる。これに対し、上記の切欠き18を外容器の本体部分11の上縁から2〜10mmの間隔をおいて終了させたときは、本体部分頂部11aの、二枚の板状部材の位置ずれのおそれを十分に取り除いて、クランプ手段による液状物充填包装体1の上端部の挟持を常に確実なものとすることができ、また、本体部分11の中間部11c、底部11b等を押圧して本体部分11を弾性変形させた場合の、元形状への復帰を速やかなものとすることができる。
かくして、以上に述べた外容器10によれば、本体部分頂部11aの二枚の板状部材を離隔変形させることで、液状物充填包装体1の本体部分11に対する出し入れを簡単に、しかも繰り返し行うことができ、また、クランプ手段を作用させることで、外容器本体部分11内へ収納した液状物充填包装体1を、外容器10に極めて容易に装着して、該包装体1を所要の起立姿勢に確実に維持することができる。
そしてさらには、液状物充填包装体1の注出ノズル2を開封して注出口を形成した後の該包装体1に対しては、注出ノズル2の注出通路5を緊締手段15の作用に基づいて、弾性部材14の押圧によって密閉することで、液状物充填包装体1を外容器10とともに振っても、また、その包装体1を倒伏させることがあっても、液状被包装物の意図しない漏出を確実に防止することができる。