JP5567083B2 - 光ファイバの線引炉 - Google Patents

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Description

本発明は、光ファイバ母材から光ファイバを線引きする光ファイバの線引炉に関するものである。
光ファイバは、石英ガラス等の材料からなる光ファイバ母材の下端部を加熱して軟化させ、この軟化した部分に張力をかけて細径化する、いわゆる線引により得られる。一般に、この線引を行うための線引装置は、光ファイバ母材を加熱する縦型の線引炉と、線引された後のガラス体の光ファイバを冷却する冷却装置と、ガラス体の光ファイバの周囲に樹脂の被覆を施す被覆装置と、被覆された光ファイバを巻き取る巻き取り装置とを備えている。なお、線引炉はなるべく高い位置に配置する。これによって、光ファイバを冷却するための走行距離を大きくすることができるため、光ファイバの線引速度を速くすることができ、生産性が向上する。
ところで、従来の線引装置を用いて線引された光ファイバにおいて、光ファイバの断面形状が楕円になるなど、等方的な円にならない場合があった。光ファイバの断面形状の等方円からのずれは非円率と呼ばれる。光ファイバの非円率は、光ファイバの断面の直径の最大値と最小値との差を、最大値と最小値との平均値で除算した値として定義される。また、光ファイバの非円率が0でない状態を光ファイバが非円であるという。
光ファイバが非円になる原因は、線引炉の中心軸と光ファイバ母材の中心軸とを完全に一致させることが困難であるため、加熱された光ファイバ母材の温度分布が周方向で不均一となり、これに伴って軟化の度合に周方向で偏りが生じるためである。また、線引炉の発熱部としてのヒータの発熱量が周方向で不均一な場合にも、光ファイバが非円となる。光ファイバの非円率が大きい場合、いわゆる偏波モード分散(PMD)が大きくなったり、他の光ファイバとの接続時に、コア同士のずれが生じて接続損失が大きくなってしまうという問題がある。
このような光ファイバの非円化を防止するため、炉心管を囲むヒータの周方向に沿った温度分布を均一化させる均一化手段を設けた線引炉が開示されている(特許文献1参照)。一方、光ファイバ母材の直径をD(mm)、線引方向におけるヒータの発熱長さをL(mm)としたときに、ヒータの長さを長くして、DとLとの関係が、L(mm)≧5D(mm)−50(mm)となるように設定する光ファイバの線引方法が開示されている(特許文献2参照)。
特開平9−71433号公報 特開2004−224587号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている方法によっても、ヒータの周方向の温度分布を完全に均一にすることは難しい上に、電極構造も複雑になるという問題点があった。また、電極構造が複雑になると、これによってかえってヒータ構造に周方向でむらができ、発熱量が不均一となるおそれもある。また、特許文献2に開示されているような方法では、ヒータが長くなるのに伴って炉体の長さも長くなるため、線引炉への光ファイバ母材の投入が困難になったり、冷却のための距離が短くなったりするなどして線引炉の高さを有効に活用することができなくなるという問題点があった。また、これらの問題については、光ファイバ母材の直径がたとえば100mm以上に大型である場合に特に顕著になる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な装置構成で非円率の小さい光ファイバを線引できる光ファイバの線引炉を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光ファイバの線引方法は、炉心管内に収容した光ファイバ母材を、該炉心管を囲繞するように配置した主発熱部によって加熱し、該光ファイバ母材から光ファイバを線引きする光ファイバの線引方法であって、前記光ファイバ母材の下端に形成されるメニスカス部の開始位置が前記主発熱部の上端よりも高い位置になるように該光ファイバ母材を加熱することを特徴とする。
また、本発明に係る光ファイバの線引方法は、上記発明において、前記光ファイバ母材のメニスカス部における外径の長手方向に対する変化率の絶対値の最大値が0.8以下になるように該光ファイバ母材を加熱することを特徴とする。
また、本発明に係る光ファイバの線引方法は、上記発明において、前記光ファイバ母材のメニスカス部の開始位置から変曲点までの距離をN(mm)とし、前記光ファイバ母材の直径をD(mm)とすると、N≧1.5Dの関係が成り立つように該光ファイバ母材を加熱することを特徴とする。
また、本発明に係る光ファイバの線引方法は、上記発明において、前記光ファイバ母材の直径は100mm以上であることを特徴とする。
また、本発明に係る光ファイバの線引炉は、光ファイバ母材を収容する炉心管と、前記炉心管を囲繞するように同心円状に配置し、該炉心管内を加熱する主発熱部と、前記炉心管および前記主発熱部を収容する炉体と、を備え、前記炉心管の長手方向において最高温度となる最高温度位置と、該最高温度位置の該炉心管上方側に位置し、該最高温度より400℃だけ低い温度となる基準位置との距離をL(mm)とし、前記炉心管の内径をE(mm)とすると、2E≧L≧1.5Eの関係が成り立つことを特徴とする。
また、本発明に係る光ファイバの線引炉は、上記の発明において、前記主発熱部の上方に配置された補助発熱部を備えたことを特徴とする。
また、本発明に係る光ファイバの線引炉は、上記の発明において、前記炉体内において前記主発熱部の外周に配置された第1断熱材と、前記炉体内の前記主発熱部の上方において前記炉心管の外周に配置された、前記第1断熱材よりも熱伝導率が高い第2断熱材と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明に係る光ファイバの線引炉は、上記の発明において、前記炉心管は、前記主発熱部の上方において該主発熱部の近傍よりも管厚が厚い厚管部を有することを特徴とする。
本発明によれば、光ファイバの非円化に最も影響を与えるメニスカス部の開始位置での周方向の温度分布の不均一性が緩和されるので、簡易な装置構成で非円率の小さい光ファイバを線引できるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る光ファイバの線引炉の模式な縦断面図である。 図2は、図1に示す炉心管内に形成される温度分布を示す図である。 図3は、図1に示す線引炉を用いて光ファイバ母材を線引する方法の説明図である。 図4は、実施例1と比較例1における炉心管内の温度分布を示す図である。 図5は、実施例と比較例1とにおける光ファイバ母材のメニスカス部の形状を示す図である。 図6は、変形例1に係る光ファイバの線引炉の模式な縦断面図である。 図7は、変形例2に係る光ファイバの線引炉の模式な縦断面図である。 図8は、変形例3に係る光ファイバの線引炉の模式な縦断面図である。 図9は、実施例3〜5における距離L、距離N、メニスカス変化率の絶対値の最大値(dD/dz)max、線引きした光ファイバの非円率を示す図である。
以下に、図面を参照して本発明に係る光ファイバの線引方法および線引炉の実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る光ファイバの線引炉の模式な縦断面図である。図1に示すように、この線引炉10は、炉体11と、炉心管12と、主発熱部としてのヒータ13と、断熱材14と、上蓋15と、徐冷部16とを備える。
炉体11は、円筒形状を有し、耐熱性の材料からなり、炉心管12、ヒータ13、断熱材14とを収容している。炉心管12は、円筒形状を有し、たとえばカーボンからなる。また、ヒータ13は、たとえばカーボンヒータであり、円筒形状を有し、炉心管12を囲繞するように配置している。また、断熱材14は、炉心管12およびヒータ13の外周に配置されている。また、上蓋15は炉体11上部に配置されている。また、徐冷部16は、炉体11下部に配置されており、炉心管12の下部を収容している。上蓋15、徐冷部16は、それぞれ光ファイバ母材を挿入する母材挿入孔15a、線引きした光ファイバを取り出す光ファイバ取り出し孔16aを有している。また、本実施の形態1においては、炉心管12の内径Eは150mmであり、ヒータ13の長手方向の長さであるヒータ長lは250mmである。
図2は、図1に示す炉心管12内に形成される温度分布を示す図である。図2において、横軸は炉心管12の上側端部を基準とした炉心管12内の長手方向の位置を示し、縦軸はその位置での炉心管12内中心軸付近の温度を示している。図2に示すように、本実施の形態1においては、炉心管12の長手方向において、ヒータ13の長手方向の中心位置において最高温度である約2000℃となっている。また、最高温度となる最高温度位置P1から、炉心管12の上方側に位置し、最高温度より400℃低い温度となる基準位置P2までの距離をLとすると、Lは250mmである。したがって、本実施の形態1においては、2E≧Lの関係が成り立っている。なお、このような関係が成り立つようにするために、炉心管12の長さや内径の選択、ヒータ13のヒータ長や配置する高さの調整、断熱材の材質の選択等を行っている。
つぎに、図1に示す線引炉10を用いて光ファイバ母材を線引する方法について説明する。図3は、図1に示す線引炉10を用いて光ファイバ母材1を線引する方法の説明図である。図3に示すように、はじめに、上蓋15の母材挿入孔15aから光ファイバ母材1を挿入する。ヒータ13は挿入した光ファイバ母材1を加熱して軟化させる。軟化した部分は徐々にその半径が縮径してメニスカス部1aが形成され、所定の外径まで細径化されて光ファイバ2となる。ここで、メニスカス部1aとは、光ファイバ母材1の外径の縮径が開始する開始位置1bから、外径が1mmに縮径した部分までを意味する。このメニスカス部1aは、長手方向に対する外径の変化が凸形状から凹形状になる変曲点1cを有している。
図3に示すように、本実施の形態1においては、メニスカス部1aの開始位置1bがヒータ13の上端13aよりも高い位置になるように光ファイバ母材1を加熱している。これによって、光ファイバ2の非円に最も影響を与えるメニスカス部1aの開始位置1bでの周方向の温度分布の不均一性が緩和される。
すなわち、ヒータ13の上端13aより下の位置においては、メニスカス部1aの周方向の温度分布がヒータ13の発熱量の周方向での不均一性の影響を受けやすくなっている。これに対して、ヒータ13の上端13aより上の位置では、ヒータ13の発熱量の不均一性は緩和される。一方で、光ファイバ母材1はメニスカス部1aの開始位置1bにおいてその軟化が始まるため、開始位置1bにおいてメニスカス部1aの非円が発生すると、後のメニスカス部1aの形状および光ファイバ2の形状に影響を与えやすい。
したがって、本実施の形態1によれば、上記理由によってメニスカス部1aの開始位置1bでの周方向の温度分布の不均一性が緩和されるため、非円率の小さい光ファイバを線引できる。特に、光ファイバ母材の直径が100mm以上である場合は、周方向の温度分布の不均一性が特に影響しやすいため、その効果が顕著になる。なお、本明細書では、光ファイバ母材の直径とは、光ファイバ母材の外径がほぼ一定となっている部分の外径を意味する。また、本実施形態1では、上記のようなメニスカス部1aの開始位置1bを実現するため、炉心管12の温度分布を規定する距離Lと炉心管12の内径Eとの関係を2E≧Lとしている。したがって、線引炉10は特別な装置を必要とせず簡易な構成となっている。なお、距離Lと内径Eとの関係については、以下の実施例に示すように、2E≧L≧1.5Eであれば上記メニスカス部1aの開始位置1bをヒータ13の上端13aよりも高い位置にすることができる。
(実施例1)
本発明の実施例1として、実施の形態1と同様の構造を有し炉心管の内径Eが150mmでありヒータ長lが250mmである線引炉を用いて、石英系ガラスからなる光ファイバ母材を線引張力100gf、線速1500m/minで線引した。なお、光ファイバ母材として、直径Dが125mmであり、光ファイバ母材の長手方向に50mmごとに測定した非円率の平均値が0.08%であるものを用いた。線引きした光ファイバの非円率を50kmごとに測定したところ、その平均値は0.10%であった。
(実施例2)
実施例2として、実施の形態1と同様の構造を有するが、炉心管の内径Eが180mmであり、ヒータ長lが350mmであり、炉体の長さが実施例1の場合よりも100mm長い線引炉を用いて、石英系ガラスからなる直径Dが150mmであり光ファイバ母材の長手方向に50mmごとに測定した非円率の平均値が0.07%の光ファイバ母材を線引張力100gf、線速1500m/minで線引した。線引きした光ファイバの非円率を50kmごとに測定したところ、その平均値は、0.10%であった。
(比較例1)
比較例1として、実施例1で用いた線引炉の炉心管を内径Eが180mmのものに交換し、実施例2と同様の光ファイバ母材を線引張力100gf、線速1500m/minで線引した。線引きした光ファイバの非円率を50kmごとに測定したところ、その平均値は0.21%であった。
なお、図4は、実施例1と比較例1における炉心管内の温度分布を示す図である。図4において、横軸は炉心管の上側端部を基準とした炉心管内の長手方向の位置を示し、縦軸はその位置での炉心管中心軸付近の温度を示している。また、曲線C1が実施例1の場合を示し、曲線C2が比較例1の場合を示している。図4に示すように、内径Eが150mmである実施例1の場合は距離Lが250mmであり、2E≧L≧1.5Eの条件を満たすものであった。これに対して、内径Eが180mmである比較例1の場合は距離Lが265mmであり、2E≧L≧1.5Eの条件を満たさなかった。
(比較例2)
本発明の比較例2として、石英系ガラスからなる光ファイバ母材を線引張力100gf、線速1500m/minで線引した。なお、比較例2と同様に光ファイバ母材として直径Dが150mmであり、光ファイバ母材の長手方向に50mmごとに測定した非円率の平均値が0.08%であるものを用いた。また、炉心管については、実施の形態1と同様の構造を有し炉心管の内径Eが180mmでありヒータ長lが250mmであるが、ヒータの上端から炉心管の上端までの距離を短くしたので、距離Lが230mmと短く、メニスカス開始位置がヒータの上端とほぼ同じ位置にあった。線引きした光ファイバの非円率を50kmごとに測定したところ、その平均値は、0.25%であった。
ここで、実施例1と比較例1とにおける光ファイバ母材のメニスカス部の形状を比較した。図5は、実施例と比較例1とにおける光ファイバ母材のメニスカス部の形状を示す図である。なお、図5においては、横軸は炉心管の上側端部を基準とした炉心管内の長手方向の位置zを示し、左縦軸はその位置での光ファイバ母材の外径を示し、右縦軸は外径の変化率dD/dzをメニスカス変化率として示す。また、曲線C3、C4がそれぞれ実施例1、比較例1の外径Dを示し、曲線C5、C6が実施例1、比較例1のメニスカス変化率dD/dzを示す。図5から、メニスカス部の開始位置から変曲点までの距離Nを見積もると、直径Dが125mmである実施例1では200mmであり、N≧1.5Dの関係が成り立っていた。これに対して、直径Dが150mmである比較例1では距離Nは220mmであり、N≧1.5Dの関係が成り立っていなかった。また、メニスカス部の長さは、実施例1では490mm、比較例1では580mmであった。また、メニスカス変化率dD/dzの絶対値はメニスカス部の変曲点で最大となるが、その値は実施例1では0.70、比較例1では0.82であった。
以上の結果から、実施例1のように、メニスカス変化率dD/dzの絶対値の最大値が0.8以下である場合、また、光ファイバ母材の直径D(mm)と、光ファイバ母材のメニスカス部の開始位置から変曲点までの距離N(mm)との関係が、N≧1.5Dである場合に、非円率の小さい光ファイバが得られるとともに、メニスカス部の長さを短くでき、装置の小型化を実現できることが確認された。
なお、本発明に係る線引炉は、上記実施の形態1に限られず、さまざまな変形例が可能である。以下、実施の形態1の変形例について説明する。
(変形例1)
図6は、本発明の実施の形態1の変形例1に係る光ファイバの線引炉の模式な縦断面図である。図6に示すように、この線引炉20は、線引炉10と同様の炉体11と、炉心管12と、ヒータ13と、断熱材14と、母材挿入孔15aを有する上蓋15と、光ファイバ引き出し孔16aを有する徐冷部16とを備える。さらに、この線引炉20は、ヒータ13の上方に炉心管12を囲繞するように配置した補助ヒータ23を備えている。この補助ヒータ23は、ヒータ13と比較してその出力が小さく、たとえば炉心管12内を最高温度1600℃程度にするものであるため、きわめて簡易な構造をしており、発熱量の周方向での均一性が高いものとなっている。また、ヒータ13とは断熱材14で離隔されており、独立した制御が可能となっている。そして、この線引炉20は、補助ヒータ23を備えているために、炉心管12の温度分布を規定する距離Lと炉心管12の内径Eとの関係を容易に2E≧L≧1.5Eにすることができる。したがって、この線引炉20を用いて破線で示す光ファイバ母材1の線引を行なった場合、非円率が小さい光ファイバ2を線引きできる。
(変形例2)
図7は、本発明の実施の形態1の変形例2に係る光ファイバの線引炉の模式な縦断面図である。図7に示すように、この線引炉40は、線引炉10の炉体11よりも短い炉体31aと、炉心管32と、線引炉10と同様のヒータ13と、断熱材14と、母材挿入孔15aを有する上蓋15と、光ファイバ引き出し孔16aを有する徐冷部16とを備える。さらに、この線引炉40は、炉体31a外部の上蓋15上に、ヒータ13と同心円状に配置した炉体31bとこれに収容された補助ヒータ33を備えている。この補助ヒータ33は、カンタルヒータ等の大気雰囲気中で使用できるとともにヒータ13と比較してその出力が小さく、たとえば炉心管32内を最高温度1600℃程度にするものであるため、きわめて簡易な構造をしており、発熱量の周方向での均一性が高いものとなっている。したがって、この線引炉30は、変形例1と同様に、炉心管32の温度分布を規定する距離Lと炉心管32の内径Eとの関係を容易に2E≧L≧1.5Eにすることができ、光ファイバ母材1から非円率が小さい光ファイバ2を線引きできる。
(変形例3)
図8は、本発明の実施の形態1の変形例3に係る光ファイバの線引炉の模式な縦断面図である。図8に示すように、この線引炉40は、線引炉10と同様の炉体11と、ヒータ13と、断熱材14と、母材挿入孔15aを有する上蓋15と、光ファイバ引き出し孔16aを有する徐冷部16とを備える。また、炉心管42は、炉心管12と略同様であるが、ヒータ13の上方にその管厚がヒータ13の近傍の部分よりも厚い厚管部42aを有している。さらに、この線引炉40は、ヒータ13の上方に断熱材14よりも熱伝導率の高い断熱材44を備えている。したがって、この線引炉40は、厚管部42aと断熱材44との両方の効果により、変形例1、2と同様に、炉心管42の温度分布を規定する距離Lと炉心管42の内径Eとの関係を容易に2E≧L≧1.5Eにすることができ、光ファイバ母材1から非円率が小さい光ファイバ2を線引きできる。
(実施例3〜5)
実施例3〜5として、上記変形例1〜3と同様の構造を有し、炉心管の内径Eが180mmである線引炉を用いて、石英系ガラスからなる直径Dが150mmであり光ファイバ母材の長手方向に50mmごとに測定した非円率の平均値が0.07%の光ファイバ母材を線引張力100gf、線速1500m/minで線引した。図9は、実施例3〜5における距離L、距離N、メニスカス変化率の絶対値の最大値(dD/dz)max、線引きした光ファイバの非円率を50kmごとに測定した平均値を示す図である。図9に示すように、実施例3〜5のいずれも、(dD/dz)maxが0.8以下であり、N≧1.5Dであり、非円率が小さかった。
1 光ファイバ母材
1a メニスカス部
1b 開始位置
1c 変曲点
2 光ファイバ
10〜40 線引炉
11、31a、31b 炉体
12、32、42 炉心管
13 ヒータ
13a 上端
14、44 断熱材
15 上蓋
15a 母材挿入孔
16 徐冷部
16a 光ファイバ取り出し孔
23、33 補助ヒータ
42a 厚管部
C1〜C5 曲線
P1、P2 位置

Claims (3)

  1. 光ファイバ母材を収容する炉心管と、
    前記炉心管を囲繞するように同心円状に配置し、該炉心管内を加熱する主発熱部と、
    前記炉心管および前記主発熱部を収容する炉体と、
    前記炉体内において前記主発熱部の外周に配置された第1断熱材と、
    前記炉体内の前記主発熱部の上方において前記炉心管の外周に配置された、前記第1断熱材よりも熱伝導率が高い第2断熱材と、
    を備え、前記炉心管の長手方向において最高温度となる最高温度位置と、該最高温度位置の該炉心管上方側に位置し、該最高温度より400℃だけ低い温度となる基準位置との距離をL(mm)とし、前記炉心管の内径をE(mm)とすると、2E≧L≧1.5Eの関係が成り立つことを特徴とする光ファイバの線引炉。
  2. 前記主発熱部の上方に配置された補助発熱部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバの線引炉。
  3. 前記炉心管は、前記主発熱部の上方において該主発熱部の近傍よりも管厚が厚い厚管部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバの線引炉。
JP2012196181A 2012-09-06 2012-09-06 光ファイバの線引炉 Active JP5567083B2 (ja)

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