以下、本発明の導電接続シート、端子間の接続方法、接続端子の形成方法、半導体装置および電子機器を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
まず、本発明の導電接続シートを説明するのに先立って、本発明の導電接続シートを用いて製造された半導体装置について説明する。
<半導体装置>
図1は、本発明の導電接続シートを用いて製造された半導体装置の一例を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図1に示す半導体装置10は、半導体チップ(半導体素子)20と、半導体チップ20を支持するインターポーザー(基板)30と、所定パターンに形成された配線パターン40と、複数の導電性を有するバンプ(端子)70とを有している。
インターポーザー30は、絶縁基板であり、例えばポリイミド・エポキシ・シアネート・ビスマレイミドトリアジン(BTレジン)等の各種樹脂材料で構成されている。このインターポーザー30の平面視形状は、通常、正方形、長方形等の四角形とされる。
インターポーザー30の上面(一方の面)には、例えば、銅等の導電性金属材料で構成される端子41を備える配線パターン40が、所定形状で設けられている。
また、インターポーザー30には、その厚さ方向に貫通して、図示しない複数のビア(スルーホール:貫通孔)が形成されている。
各バンプ70は、それぞれ、各ビアを介して、一端(上端)が配線パターン40の一部に電気的に接続され、他端(下端)は、インターポーザー30の下面(他方の面)から突出している。
バンプ70のインターポーザー30から突出する部分は、ほぼ球形状(Ball状)をなしている。
このバンプ70は、例えば、半田、銀ろう、銅ろう、燐銅ろうのようなろう材を主材料として構成されている。
また、インターポーザー30上には、配線パターン40が形成されている。この配線パターン40に、接続部81を介して、半導体チップ20が有する端子21が電気的に接続されている。
また、半導体チップ20と、インターポーザー30または配線パターン40との間の間隙には、各種樹脂材料で構成される封止材が充填され、この封止材の硬化物により、封止層80が形成されている。この封止層80は、半導体チップ20と、インターポーザー30または配線パターン40との接合強度を向上させる機能や、前記間隙への異物や水分等の浸入を防止する機能を有している。
かかる構成の半導体装置10において、接続部81と封止層80との形成に、本発明の導電接続シートが適用される。
以下、本発明の導電接続シートについて説明する。
<導電接続シート>
図2は、本発明の導電接続シートの実施形態を示す縦断面図、図3は、本発明の導電接続シートが備える金属層の他の構成例を示す平面図である。なお、以下の説明では、図2中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
本発明の導電接続シートは、樹脂成分を含有する樹脂組成物層と、該樹脂組成物層に接合され、低融点の金属材料で構成される金属層とを備える積層体により構成されるものであり、前記樹脂組成物層の前記金属層に接合される接合面の表面自由エネルギーをA[mJ/m 2 ]とし、前記金属層の前記樹脂組成物層に接合される接合面の表面自由エネルギーをB[mJ/m 2 ]としたとき、A/Bが0.5〜1.5なる関係を満足することを特徴とする。
このような導電接続シートを用いて、端子同士間を電気的に接続する接続部の形成に適用すると、加熱溶融した金属材料を選択的に端子同士の間に凝集させて接続部を形成し、その周囲に樹脂成分により構成される封止層を形成する際に、封止層中にボイドが発生するのを的確に抑制または防止することができる。その結果、封止層により隣接する端子間の絶縁性が確保されるので、隣接する端子同士の間でリーク電流が生じるのを確実に防止することができる。
さらに、導電接続シートを用いて、電極上に対応して設けられた接続端子の形成に適用すると、加熱溶融した金属材料を選択的に電極上に凝集させて接続端子を形成し、その周囲に樹脂成分により構成される補強層を形成する際に、補強層中にボイドが発生するのを的確に抑制または防止することができる。その結果、補強層により隣接する接続端子間の絶縁性が確保されるので、隣接する接続端子同士の間でリーク電流が生じるのを確実に防止することができる。
また、導電接続シートに樹脂組成物層を保護するためのカバーシートが設けられている場合には、カバーシートを剥がす際に、樹脂組成物層と金属層との界面において剥離が生じてしまうのをより確実に防止することができる。
本実施形態では、このような導電接続シート1は、図2に示すように、第1の樹脂組成物層11と、金属層12と、第2の樹脂組成物層13とがこの順に互いに接合するように積層された三層構造をなす積層体で構成されるものである。
かかる構成の導電接続シート1において、第1の樹脂組成物層11および第2の樹脂組成物層13が、樹脂成分を含有する樹脂組成物で構成され、金属層12が、低融点の金属材料で構成される金属箔で構成される層である。
以下、導電接続シート1を構成する各層について順次説明するが、第1の樹脂組成物層11および第2の樹脂組成物層13については、ともに、樹脂成分を含有する樹脂組成物で構成されるため、第1の樹脂組成物層11を代表に説明する。なお、以下では、第1の樹脂組成物層11および第2の樹脂組成物層13を、単に「樹脂組成物層11」および「樹脂組成物層13」と言うこともある。
<<樹脂組成物層11>>
樹脂組成物層11は、本実施形態では、樹脂成分を含有する樹脂組成物で構成される。
なお、本発明では、樹脂組成物としては、室温で液状、固形状のいずれの形態も使用することができる。なお、本明細書中において、「室温で液状」とは室温(25℃)で一定の形態を持たない状態を意味し、ペースト状もこれに含まれる。
樹脂組成物は、樹脂成分を含有するものであれば、特に限定されず、硬化性樹脂組成物または熱可塑性樹脂組成物を用いることができる。
硬化性樹脂組成物としては、加熱により硬化する硬化性樹脂組成物、および、化学線を照射することにより硬化する硬化性樹脂組成物等が挙げられ、これらの中でも、加熱により硬化する硬化性樹脂組成物が好ましく用いられる。加熱により硬化する硬化性樹脂組成物は、硬化後の線膨張率や弾性率等の機械特性に優れる。
また、熱可塑性樹脂組成物としては、所定の温度に加熱することにより、成形が可能な程度に柔軟性を有するものであれば、特に限定されるものではない。
(a)硬化性樹脂組成物
硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂成分を含有し、加熱することにより溶融し硬化するものである。
また、硬化性樹脂組成物には、硬化性樹脂成分の他に、必要に応じて、フラックス機能を有する化合物、フィルム形成性樹脂、硬化剤、硬化促進剤、シランカップリング剤等が含まれていてもよい。
以下、硬化性樹脂組成物に含まれる各種材料について詳述する。
(i)硬化性樹脂成分
硬化性樹脂成分は、加熱することにより溶融し硬化するものであれば特に限定されないが、通常、半導体装置製造用の接着剤成分として使用できるものが用いられる。
このような硬化性樹脂成分としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂(不飽和ポリエステル樹脂)、ジアリルフタレート樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂(ポリイミド前駆体樹脂)、ビスマレイミド−トリアジン樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、マレイミド樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。特に、これらの中でも、硬化性と保存性、硬化物の耐熱性、耐湿性、耐薬品性に優れるという観点からエポキシ樹脂が好ましい。なお、これらの硬化性樹脂成分は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記エポキシ樹脂としては、特に限定されず、室温で液状および室温で固形状のいずれのエポキシ樹脂をも使用することができる。また、室温で液状のエポキシ樹脂と室温で固形状のエポキシ樹脂とを併用することも可能である。硬化性樹脂組成物が液状の場合には、室温で液状のエポキシ樹脂を用いることが好ましく、硬化性樹脂組成物が固形状の場合には、液状および固形状のいずれのエポキシ樹脂も使用することが可能であり、さらに、フィルム形成性樹脂成分を硬化性樹脂組成物が含有する構成とするのが好ましい。
室温(25℃)で液状のエポキシ樹脂としては、特に限定されないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種を組み合わせて用いることができる。
室温で液状のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、150〜300g/eqであることが好ましく、160〜250g/eqであることがより好ましく、170〜220g/eqであることが特に好ましい。前記エポキシ当量が上記下限未満になると、用いるエポキシ樹脂の種類によっては、硬化物の収縮率が大きくなる傾向があり、半導体装置10やこの半導体装置10を備える電子機器に反りが生じるおそれがある。また、前記上限を超えると、硬化性樹脂組成物にフィルム形成性樹脂成分を併用する構成とした場合に、フィルム形成性樹脂成分、特にポリイミド樹脂との反応性が低下する傾向をしめすことがある。
さらに、室温(25℃)で固形状のエポキシ樹脂としては、特に限定されないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、3官能エポキシ樹脂、4官能エポキシ樹脂等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、固形3官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。
なお、室温で固形状のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、150〜3000g/eqが好ましく、160〜2500g/eqがより好ましく、170〜2000g/eqが特に好ましい。
室温で固形状のエポキシ樹脂の軟化点は、40〜120℃程度であることが好ましく、50〜110℃程度であることがより好ましく、60〜100℃程度であることが特に好ましい。前記軟化点が前記範囲内にあると、硬化性樹脂組成物のタック性を抑えることができ、容易に取り扱うことが可能となる。
また、硬化性樹脂組成物において、上述した硬化性樹脂成分の配合量は、使用する硬化性樹脂組成物の形態に応じて適宜設定することができる。
例えば、液状の硬化性樹脂組成物の場合には、硬化性樹脂成分の配合量は、硬化性樹脂組成物中において、10重量%以上であることが好ましく、15重量%以上であることがより好ましく、20重量%以上であることがさらに好ましく、25重量%以上であることがさらにより好ましく、30重量%以上であることがなお好ましく、35重量%以上であることが特に好ましい。また、100重量%未満であることが好ましく、95重量%以下であることがより好ましく、90重量%以下がさらに好ましく、75重量%以下であることがさらにより好ましく、65重量%以下であることがなお好ましく、55重量%以下であることが特に好ましい。
また、固形状の硬化性樹脂組成物の場合には、硬化性樹脂成分の配合量は、硬化性樹脂組成物中において、5重量%以上であることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましく、15重量%以上であることがさらに好ましく、20重量%以上であることが特に好ましい。また、90重量%以下であることが好ましく、85重量%以下であることがより好ましく、80重量%以下であることがさらに好ましく、75重量%以下であることがさらにより好ましく、65重量%以下であることがなお好ましく、55重量%以下であることが特に好ましい。
硬化性樹脂組成物における硬化性樹脂成分の配合量が前記範囲内にあると、端子21、41間の電気的接続強度および機械的接着強度を十分に確保することが可能となる。
(ii)フィルム形成性樹脂成分
上述したように、硬化性樹脂組成物として、固形状のものを使用する場合、硬化性樹脂組成物には、前記硬化性樹脂成分の他に、さらにフィルム形成性樹脂成分を含有する構成とするのが好ましい。
このようなフィルム形成性樹脂成分としては、有機溶媒に可溶であり、単独で成膜性を有するものであれば特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のいずれのものも使用することができ、また、これらを組み合わせて用いることもできる。
具体的には、フィルム形成性樹脂成分としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シロキサン変性ポリイミド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、ポリアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、ナイロン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これら中でも、(メタ)アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂およびポリイミド樹脂が好ましい。
なお、本明細書中において、「(メタ)アクリル系樹脂」とは、(メタ)アクリル酸およびその誘導体の重合体、または(メタ)アクリル酸およびその誘導体と他の単量体との共重合体を意味する。ここで、「(メタ)アクリル酸」等と表記するときは、「アクリル酸またはメタクリル酸」等を意味する。
(メタ)アクリル系樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸−2−エチルヘキシル等のポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル等のポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリアクリルアミド、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル−α−メチルスチレン共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−アクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エチル−アクリロニトリル−N,N−ジメチルアクリルアミド共重合体等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エチル−アクリロニトリル−N,N−ジメチルアクリルアミドが好ましい。
また、フェノキシ樹脂の骨格は、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールFタイプおよびビフェニルタイプ等が挙げられる。
また、ポリイミド樹脂としては、繰り返し単位中にイミド結合を持つ樹脂であれば特に限定されず、例えば、ジアミンと酸二無水物を反応させ、得られたポリアミド酸を加熱、脱水閉環することにより得られるものが挙げられる。
ジアミンとしては、特に限定されず、例えば、3,3’−ジメチル−4,4’ジアミノジフェニル、4,6−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等のシロキサンジアミンが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、酸二無水物としては、例えば、3,3,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、ピロメリット酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリイミド樹脂としては、溶剤に可溶なものでも、不溶なものでもよいが、他の成分(硬化性樹脂成分)と混合する際のワニス化が容易であり、取扱性に優れている点で溶剤可溶性のものが好ましい。特に、様々な有機溶媒に溶解できる点でシロキサン変性ポリイミド樹脂を用いることが好ましい。
フィルム形成性樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、8,000〜1,000,000程度であるのが好ましく、8,500〜950,000程度であるのがより好ましく、9,000〜900,000程度であるのがさらに好ましい。フィルム形成性樹脂の重量平均分子量が上記の範囲であると、成膜性を向上させることが可能で、かつ、硬化前の樹脂組成物層11の流動性を抑制することができる。
なお、フィルム形成性樹脂の重量平均分子量は、例えば、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定することができる。
また、フィルム形成性樹脂成分としては、このものの市販品を使用することができ、さらに、本発明の効果を損ねない範囲で、可塑剤、安定剤、無機フィラー、帯電防止剤や顔料等の各種添加剤を配合したものを使用することもできる。
また、硬化性樹脂組成物において、上述したフィルム形成性樹脂成分の配合量は、使用する硬化性樹脂組成物の形態に応じて適宜設定することができる。
例えば、固形状の硬化性樹脂組成物の場合には、フィルム形成性樹脂成分の配合量は、硬化性樹脂組成物中において、5重量%以上であることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましく、15重量%以上であることがさらに好ましい。また、50重量%以下であることが好ましく、45重量%以下であることがより好ましく、40重量%以下であることがさらに好ましい。フィルム形成性樹脂成分の配合量が前記範囲内にあると溶融前の硬化性樹脂組成物の流動性を抑制することができ、樹脂組成物層(導電接続材料)11を容易に取り扱うことが可能となる。
(iii)フラックス機能を有する化合物
上述したように、硬化性樹脂組成物として、前記硬化性樹脂成分の他に、さらにフラックス機能を含有する構成とするのが好ましい。フラックス機能を有する化合物は、端子21、41および金属層12に形成された表面酸化膜を還元する作用を有するものである。そのため、硬化性樹脂組成物中に、かかる化合物が含まれていると、後述する、接続部および封止層の形成方法で詳述するように、たとえ、端子21、41および金属層12の表面に酸化膜が形成されていたとしても、この化合物の作用により酸化膜を確実に除去することができる。その結果、溶融状態の金属層12がより高い選択性をもって、端子21、41同士の間に凝集することとなる。
このようなフラックス機能を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、フェノール性水酸基および/またはカルボキシル基を有する化合物が好ましく用いられる。
フェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、2,6−キシレノール、p−クレゾール、m−クレゾール、o−エチルフェノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、m−エチルフェノール、2,3−キシレノール、メジトール、3,5−キシレノール、p−tert−ブチルフェノール、カテコール、p−tert−アミルフェノール、レゾルシノール、p−オクチルフェノール、p−フェニルフェノール、ビスフェノールF、ビスフェノールAF、ビフェノール、ジアリルビスフェノールF、ジアリルビスフェノールA、トリスフェノール、テトラキスフェノール等のフェノール性水酸基を含有するモノマー類、フェノールノボラック樹脂、o−クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールFノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のフェノール製水酸基を含有する樹脂等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、カルボキシル基を有する化合物としては、例えば、脂肪族酸無水物、脂環式酸無水物、芳香族酸無水物、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等が挙げられる。前記脂肪族酸無水物としては、無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物等が挙げられる。前記脂環式酸無水物としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物等が挙げられる。前記芳香族酸無水物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
脂肪族カルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ピメリン酸等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、下記式(1):
HOOC−(CH2)n−COOH (1)
(式(1)中、nは1〜20の整数である。)
で表される脂肪族カルボン酸が好ましく用いられ、これらのうち、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸がより好ましく用いられる。
芳香族カルボン酸の構造は、特に限定されないが、下記式(2)または下記式(3)で表される化合物が好ましい。
[式中、R
1〜R
5は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、R
1〜R
5の少なくとも一つは水酸基である。]
[式中、R
6〜R
20は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、R
6〜R
20の少なくとも一つは水酸基またはカルボキシル基である。]
このような芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、プレートニ酸、ピロメリット酸、メリット酸、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、トルイル酸、ケイ皮酸、サリチル酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、浸食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸)、4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−2−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸等のナフトエ酸誘導体、フェノールフタリン、ジフェノール酸等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このようなフラックス機能を有する化合物は、金属層12と端子21、41とが電気的に接続し得るように、金属層12および端子21、41の表面酸化膜を還元する作用を示すとともに、硬化性樹脂成分を硬化する硬化剤としての機能、すなわち、硬化性樹脂成分と反応可能な官能基を有するものであるのが好ましい。
このような官能基は、硬化性樹脂成分の種類に応じて適宜選択され、例えば、硬化性樹脂成分がエポキシ樹脂の場合、カルボキシル基、水酸基、アミノ基のようなエポキシ基と反応可能な官能基が挙げられる。このようなフラックス機能を有する化合物は、硬化性樹脂組成物の溶融時には金属層12および端子21、41に形成された表面酸化膜を還元してこれらの表面の濡れ性を高め、接続部81を容易に形成し、端子21、41間を電気的に接続することが可能となる。さらに、接続部81により端子21、41間に電気的な接続が完了した後においては、この化合物は、硬化剤として作用し、硬化性樹脂成分に付加して樹脂の弾性率またはTgを高める機能を発揮する。したがって、このようなフラックス機能を有する化合物をフラックスとして用いるとフラックス洗浄が不要であり、また、フラックスの残存に起因するイオンマイグレーションの発生等を的確に抑制または防止することが可能となる。
このような作用を備えるフラックス機能を有する化合物としては、少なくとも1つのカルボキシル基を有する化合物が挙げられる。例えば、硬化性樹脂成分がエポキシ樹脂の場合、脂肪族ジカルボン酸およびカルボキシル基とフェノール性水酸基とを有する化合物等が挙げられる。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、特に限定されないが、脂肪族炭化水素基にカルボキシル基が2個結合した化合物が挙げられる。前記脂肪族炭化水素基は、飽和または不飽和の非環式であってもよいし、飽和または不飽和の環式であってもよい。また、脂肪族炭化水素基が非環式の場合には直鎖状でも分岐状でもよい。
このような脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、前記式(1)においてnが1〜20の整数である化合物が挙げられる。前記式(1)中のnが前記範囲内にあると、フラックス活性、接着時のアウトガスおよび硬化性樹脂組成物の硬化後の弾性率およびガラス転移温度のバランスが良好となる。特に、硬化性樹脂組成物の硬化後の弾性率の増加を抑制し、インターポーザー30等の被接着物との接着性を向上させることができるという観点から、nは3以上であることが好ましく、弾性率の低下を抑制し、接続信頼性をさらに向上させることができるという観点から、nは10以下であることが好ましい。
また、前記式(1)で示される脂肪族ジカルボン酸としては、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸等が挙げられる。中でも、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデンカン二酸が好ましく、セバシン酸がより好ましい。
さらに、カルボキシル基とフェノール性水酸基とを有する化合物としては、サリチル酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、浸食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸)等の安息香酸誘導体、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸等のナフトエ酸誘導体、フェノールフタリン、ジフェノール酸等が挙げられる。中でも、フェノールフタリン、ゲンチジン酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸が好ましく、フェノールフタリン、ゲンチジン酸がより好ましい。
上述のようなフラックス機能を有する化合物は、1種単独で用いても2種以上を併用して用いるようにしてもよい。
なお、いずれの化合物も吸湿しやすく、ボイド発生の原因となるため、本発明においては、使用前に予め乾燥させることが好ましい。
フラックス機能を有する化合物の含有量は、使用する樹脂組成物の形態に応じて適宜設定することができる。
例えば、樹脂組成物が液状の場合、フラックス機能を有する化合物の含有量は、硬化性樹脂組成物の全重量に対して、1重量%以上が好ましく、2重量%以上がより好ましく、3重量%以上が特に好ましい。また、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましく、25重量%以下が特に好ましい。
また、固形状の樹脂組成物の場合には、フラックス機能を有する化合物の含有量は、硬化性樹脂組成物の全重量に対して、1重量%以上が好ましく、2重量%以上がより好ましく、3重量%以上が特に好ましい。また、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましく、25重量%以下が特に好ましい。
フラックス機能を有する化合物の含有量が上記範囲内であると、金属層12および端子21、41の表面酸化膜を電気的に接合できるように確実に除去することができる。さらに、樹脂組成物が硬化性樹脂組成物の場合、硬化時に、硬化性樹脂成分に効率よく付加して硬化性樹脂組成物の弾性率またはTgを高めることができる。また、未反応のフラックス機能を有する化合物に起因するイオンマイグレーションの発生を抑制することができる。
(iv)硬化剤
硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、フェノール類、アミン類、チオール類等が挙げられる。このような硬化剤は、硬化性樹脂成分の種類等に応じて適宜選択することができる。例えば、硬化性樹脂成分としてエポキシ樹脂を使用する場合には、エポキシ樹脂との良好な反応性、硬化時の低寸法変化および硬化後の適切な物性(例えば、耐熱性、耐湿性等)が得られる点で硬化剤としてフェノール類を用いることが好ましく、硬化性樹脂成分の硬化後の物性が優れている点で2官能以上のフェノール類がより好ましく用いられる。なお、このような硬化剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
フェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、ジアリルビスフェノールA、ビフェノール、ビスフェノールF、ジアリルビスフェノールF、トリスフェノール、テトラキスフェノール、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、溶融粘度、エポキシ樹脂との反応性が良好であり、硬化後の物性が優れている点でフェノールノボラック樹脂およびクレゾールノボラック樹脂が好ましい。
また、硬化性樹脂組成物において、上述した硬化剤の配合量は、使用する硬化性樹脂成分や硬化剤の種類、およびフラックス機能を有する化合物が硬化剤として機能する官能基を有する場合、その官能基の種類や使用量によって適宜設定される。
例えば、硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いた場合、硬化剤の含有量は硬化性樹脂組成物の全重量に対して、0.1〜50重量%程度であるのが好ましく、0.2〜40重量%程度であるのがより好ましく、0.5〜30重量%程度であるのがさらに好ましい。硬化剤の含有量が前記範囲内にあると端子21、41間に形成された接続部81の電気的接続強度および機械的接着強度を十分に確保することができる。
(v)硬化促進剤
また、上述したように、硬化性樹脂組成物には、さらに、硬化促進剤を添加することができる。これにより、硬化性樹脂組成物を、確実かつ容易に硬化させることができる。
硬化促進剤としては、特に限定されないが、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4−メチルイミダゾリル(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル(1’)]−エチル−s−トリアジンのイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール化合物が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、硬化性樹脂組成物において、上述した硬化促進剤の配合量は、使用する硬化促進剤の種類に応じて適宜設定することができる。
例えば、イミダゾール化合物を使用する場合には、イミダゾール化合物の配合量は、硬化性樹脂組成物中において0.001重量%以上であることが好ましく、0.003重量%以上であることがより好ましく、0.005重量%以上であることがさらに好ましい。また、1.0重量%以下であることが好ましく、0.7重量%以下であることがより好ましく、0.5重量%以下であることがさらに好ましい。イミダゾール化合物の配合量が前記下限未満になると、用いる硬化促進剤の種類によっては、硬化促進剤としての作用が十分に発揮されず、硬化性樹脂組成物を十分に硬化できない傾向を示すことがある。また、イミダゾール化合物の配合量が前記上限を超えると、硬化性樹脂組成物の硬化が完了する前に溶融状態の金属層12が端子21、41の表面に十分に移動できず、絶縁性領域に形成される封止層80中に金属層12の一部が残存し、封止層80における絶縁性が十分に確保できなくなるおそれがある。
(vi)シランカップリング剤
また、上述したように、硬化性樹脂組成物には、さらに、シランカップリング剤を添加することができる。
シランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、エポキシシランカップリング剤、芳香族含有アミノシランカップリング剤等が挙げられる。このようなシランカップリング剤を添加することにより、インターポーザー30等の接合部材(被着体)と硬化性樹脂組成物との密着性を高めることができる。
なお、このようなシランカップリング剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いることもできる。
また、硬化性樹脂組成物において、上述したシランカップリング剤の配合量は、前記接合部材や硬化性樹脂成分等の種類に応じて適宜設定される。例えば、硬化性樹脂組成物中において0.01重量%以上であることが好ましく、0.05重量%以上であることがより好ましく、0.1重量%以上であることがさらに好ましい。また、2重量%以下であることが好ましく、1.5重量%以下であることがより好ましく、1重量%以下であることがさらに好ましい。
なお、硬化性樹脂組成物には、上述した各成分の他に、さらに、可塑剤、安定剤、粘着付与剤、滑剤、酸化防止剤、充填剤、帯電防止剤および顔料等が配合されていてもよい。
また、上述したような硬化性樹脂組成物は、上記各成分を混合・分散させることによって調製することができる。各成分の混合方法や分散方法は特に限定されず、従来公知の方法で混合、分散させることができる。
また、前記各成分を溶媒中でまたは無溶媒下で混合して液状の硬化性樹脂組成物を調製してもよい。このとき用いられる溶媒としては、各成分に対して不活性なものであれば特に限定はないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジイソブチルケトン(DIBK)、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール(DAA)等のケトン類、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブ類、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ニ塩基酸エステル(DBE)、3−エトキシプロピオン酸エチル(EEP)、ジメチルカーボネート(DMC)等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、溶媒の使用量は、溶媒に混合した成分の固形分濃度が10〜60重量%となる量であることが好ましい。
(b)熱可塑性樹脂組成物
熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂成分を含有し、所定温度により軟化するものである。
また、熱可塑性樹脂組成物には、熱可塑性樹脂成分の他に、必要に応じて、フラックス機能を有する化合物、フィルム形成性樹脂、シランカップリング剤等が含まれていてもよい。
(i)熱可塑性樹脂成分
熱可塑性樹脂成分としては、特に限定されないが、例えば、酢酸ビニル系、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、塩化ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シロキサン変性ポリイミド樹脂、ポリブタジエン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、イソブチレン樹脂、ビニルエーテル樹脂、液晶ポリマー樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、ポリアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ブチルゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル等が挙げられる。これら熱可塑性樹脂成分は、単一の重合体でもよく、これら熱可塑樹脂成分の少なくとも2種以上の共重合体でもよい。
熱可塑性樹脂成分の軟化点は、特に限定されないが、導電接続シート1を構成する金属層12の融点より10℃以上低いことが好ましく、20℃以上低いことがより好ましく、30℃以上低いことがさらに好ましい。
また、熱可塑性樹脂成分の分解温度は、特に限定されないが、金属層12の融点よりも10℃以上高いことが好ましく、20℃以上高いことがより好ましく、30℃以上高いことがさらに好ましい。
また、熱可塑性樹脂組成物において、上述した熱可塑性樹脂成分の配合量は、使用する熱可塑性樹脂組成物の形態に応じて適宜設定される。
例えば、液状の熱可塑性樹脂組成物の場合には、熱可塑性樹脂成分の配合量は、熱可塑性樹脂組成物中において、10重量%以上であることが好ましく、15重量%以上であることがより好ましく、20重量%以上であることがさらに好ましく、25重量%以上であることがさらにより好ましく、30重量%以上であることがなお好ましく、35重量%以上であることが特に好ましい。また、100重量%以下であることが好ましく、95重量%以下であることがより好ましく、90重量%以下がさらに好ましく、75重量%以下であることがさらにより好ましく、65重量%以下であることがなお好ましく、55重量%以下であることが特に好ましい。
また、固形状の熱可塑性樹脂組成物の場合には、熱可塑性樹脂成分の配合量は、熱可塑性樹脂組成物中において、5重量%以上であることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましく、15重量%以上であることがさらに好ましく、20重量%以上であることが特に好ましい。また、90重量%以下であることが好ましく、85重量%以下であることがより好ましく、80重量%以下であることがさらに好ましく、75重量%以下であることがさらにより好ましく、65重量%以下であることがなお好ましく、55重量%以下であることが特に好ましい。
熱可塑性樹脂組成物における熱可塑性樹脂成分の配合量が前記範囲内にあると、端子21、41間の電気的接続強度および機械的接着強度を十分に確保することが可能となる。
(ii)その他の添加剤
また、熱可塑性樹脂成分の他、フラックス機能を有する化合物、フィルム形成性樹脂、シランカップリング剤や、可塑剤、安定剤、粘着付与剤、滑剤、酸化防止剤、充填剤、帯電防止剤および顔料等が配合されていてもよいが、これらのものは、前述した「(a)硬化性樹脂組成物」において説明したものと同じものを用いることができる。さらに、好ましい化合物およびその配合量等についても同様である。
なお、本発明においては、上述したもののうち、樹脂組成物としては、硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。中でも、樹脂組成物の全重量に対して、エポキシ樹脂10〜90重量%、硬化剤0.1〜50重量%、フィルム形成性樹脂5〜50重量%及びフラックス機能を有する化合物1〜50重量%を含むものがより好ましい。また、樹脂組成物の全重量に対して、エポキシ樹脂20〜80重量%、硬化剤0.2〜40重量%、フィルム形成性樹脂10〜45重量%及びフラックス機能を有する化合物2〜40重量%を含むものがさらに好ましい。また、樹脂組成物の全重量に対して、エポキシ樹脂35〜55重量%、硬化剤0.5〜30重量%、フィルム形成性樹脂15〜40重量%及びフラックス機能を有する化合物3〜25重量%を含むものが特に好ましい。これにより、端子21、41間の電気的接続強度および機械的接着強度を十分に確保することが可能となる。
また、導電接続シート1における樹脂組成物層11の厚みは、特に限定されないが、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることがさらに好ましい。また、樹脂組成物層11の厚みは、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。樹脂組成物層11の厚みが前記範囲内にあると、隣接する端子21、41間の間隙に樹脂組成物を十分に充填して封止層80を形成することができ、樹脂組成物の硬化後または固化後の機械的接着強度および対向する端子21、41間の電気的接続を十分に確保することができ、接続部81の形成も可能にすることができる。
なお、本実施形態では、導電接続シート1が第1の樹脂組成物層11と第2の樹脂組成物層13との2層を備える構成であるが、第2の樹脂組成物層13は、上述した第1の樹脂組成物層11と同様の構成のものであればよく、第1の樹脂組成物層11と同一の組成のものであっても良く、異なる組成のものであっても良い。
また、導電接続シート1は、少なくとも1層の樹脂組成物層を備えていれば良く、第1の樹脂組成物層11および第2の樹脂組成物層13のいずれか一方が省略されていても良いし、さらに、第1の樹脂組成物層11および第2の樹脂組成物層13とは異なる第3や第4の樹脂組成物層を備える構成のものであっても良い。
<<金属層12>>
金属層(金属箔層)12は、低融点の金属材料で構成される金属箔で構成される層である。
かかる金属層12は、融点以上に加熱されると溶融し、さらに、樹脂組成物層11がフラックス機能を有する化合物を含む場合、樹脂組成物層11に含まれるフラックス機能を有する化合物の作用により、金属層12の表面に形成された酸化膜が還元されるため、溶融状態の金属層12の濡れ性が向上する。そのため、端子21、41との間に選択的に金属層12が凝集し、最終的には、このものの固化物により、接続部81が形成される。
ここで、本発明では、低融点の金属材料は、その融点が、330℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下、さらに好ましくは260℃以下のものが適宜選択される。これにより、半導体装置10における端子21、41間の接続においては、半導体装置10の各種部材が熱履歴により損傷してしまうのを的確に抑制または防止することができる。
さらに、接続部81形成後、すなわち端子21、41間の接続後における半導体装置10の耐熱性を確保するという観点からは、低融点の金属材料は、その融点が100℃以上、好ましくは110℃以上、より好ましくは120℃以上であるものが適宜選択される。
なお、低融点の金属材料すなわち金属層12の融点は、示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。
このような低融点の金属材料は、上述した融点を有し、さらに、フラックス機能を有する化合物の還元作用により、金属層12の表面に形成された酸化膜が除去可能なものであれば、特に限定されず、例えば、錫(Sn)、鉛(Pb)、銀(Ag)、ビスマス(Bi)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、アンチモン(Sb)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、金(Au)、ゲルマニウム(Ge)および銅(Cu)からなる群から選択される少なくとも2種以上の金属の合金、または錫の単体等が挙げられる。
このような合金のうち、低融点の金属材料としては、その溶融温度および機械的物性等を考慮すると、Sn−Pbの合金、鉛フリー半田であるSn−Biの合金、Sn−Ag−Cuの合金、Sn−Inの合金、Sn−Agの合金等のSnを含む合金で構成されるのが好ましい。
なお、低融点の金属材料としてSn−Pbの合金を用いた場合、錫の含有率は、30重量%以上100重量%未満であることが好ましく、35重量%以上100重量%未満であることがより好ましく、40重量%以上100重量%未満であることがさらに好ましい。また、鉛フリー半田を用いた場合、錫の含有率は、15重量%以上100重量%未満であることが好ましく、20重量%以上100重量%未満であることがより好ましく、25重量%以上100重量%未満であることがさらに好ましい。
具体的には、例えば、Sn−Pbの合金としては、Sn−37Pb(融点183℃)、鉛フリー半田としては、Sn−3.0Ag−0.5Cu(融点217℃)、Sn−3.5Ag(融点221℃)、Sn−58Bi(融点139℃)、Sn−9.0Zn(融点199℃)、Sn−3.5Ag−0.5Bi−3.0In(融点193℃)、Au−20Sn(融点280℃)等が挙げられる。
また、金属層12の厚さは、特に限定されないが、対向する端子21、41間のギャップ、および隣接する端子間21、41の離隔距離等に応じて適宜設定される。
例えば、本実施形態のように、半導体装置10における端子21、41間の接続においては、金属層12の厚みは、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることがさらに好ましく、また、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。金属層12の厚みが前記下限未満になると金属層12を構成する金属材料の不足により未接続の端子21、41が生じるおそれがあり、また、前記上限を超えると金属材料の余剰により隣接する端子21、41間で接続部81によるブリッジを起こし、ショートが生じるおそれがある。
なお、金属層12の作製方法は、特に限定されないが、インゴット等の塊から圧延により作製する方法、樹脂組成物層11へ直接蒸着、スパッタ、めっき等により形成する方法等が挙げられる。
また、導電接続シート1において、上述した低融点の金属材料の配合量、すなわち、金属層12の占有量は、導電接続シート1において、5重量%以上であることが好ましく、20重量%以上であることがより好ましく、30重量%以上であることがさらに好ましい。また、100重量%未満であることが好ましく、80重量%以下であることがより好ましく、70重量%以下であることがさらに好ましい。
導電接続シート1における金属材料の配合量すなわち金属層12の占有量が前記下限未満になると金属層12を構成する金属材料の不足により未接続の端子21、41が生じるおそれがあり、また、前記上限を超えると金属材料の余剰により隣接する端子21、41間で接続部81によるブリッジを起こし、ショートが生じるおそれがある。
あるいは、金属層12の占有量を導電接続シート1に対する体積比率で定義してもよい。例えば、金属層12の占有量(配合量)は、導電接続シート1に対して1体積%以上であることが好ましく、5体積%以上であることがより好ましく、10体積%以上であることがさらに好ましい。また、90体積%以下であることが好ましく、80体積%以下であることがより好ましく、70体積%以下であることがさらに好ましい。金属層12の占有量が前記下限未満になると金属層12を構成する金属材料の不足により未接続の端子21、41が生じるおそれがあり、また、前記上限を超えると金属材料の余剰により隣接する端子21、41間で接続部81によるブリッジを起こし、ショートが生じるおそれがある。
なお、本実施形態では、図2に示すように、金属層12は、樹脂組成物層11の全面に形成されている場合について説明したが、かかる場合に限定されず、金属層12は、平面視で樹脂組成物層11の少なくとも一部に形成されていればよく、その形状は特に限定されない。
すなわち、金属層が、平面視で樹脂組成物層11の一部に形成されている場合、一定の形状が繰り返しパターン状に形成されていてもよいし、形状が不規則であってもよいし、規則的な形状と不規則な形状とが混在していてもよい。
具体的には、図3に示すように、樹脂組成物層11の上に、各種形状にパターニングされた金属層12が形成されている。例えば、金属層12の形状としては、点線の抜き模様状(a)、縞模様状(b)、水玉模様状(c)、矩形模様状(d)、チェッカー模様状(e)、額縁状(f)、格子模様状(g)または多重の額縁状(h)等が挙げられる。なお、これらの形状は一例であり、目的や用途に応じてこれらの形状を組み合わせたり、変形させて用いることができる。
また、繰り返しパターン状の金属層の作製方法は、特に限定されないが、平面状に形成した金属箔を所定のパターンに打抜く方法、エッチング等により所定のパターンを形成する方法、また、遮蔽板やマスク等を使用することにより蒸着、スパッタ、めっき等で形成する方法等が挙げられる。
以上のような構成の導電接続シート1を用いて、後述する、接続部および封止層の形成方法ならびに接続端子および補強層の形成方法において、導電接続シート1を加熱してこれらを形成する際に、封止層80および補強層86中にボイドが残存し、これに起因して、隣接する端子21、41や接続端子85間での絶縁性が十分に確保できず、リーク電流が生じるという問題があった。
本発明者は、かかる問題点に鑑み鋭意検討を重ねた結果、封止層80および補強層86中にボイドが残存してしまうのは、導電接続シート1の加熱時に、樹脂組成物層11と金属層12とが互いに接合する界面(接合面)で発生するボイドに起因し、このボイドは、樹脂組成物層11と金属層12との間で十分な密着性が得られていない場合に生じることが判ってきた。
そして、本発明者は、さらに検討を重ねた結果、樹脂組成物層11と金属層12とが互いに接合する接合面で十分な密着性が得られるように、樹脂組成物層11の金属層12に接合される接合面の表面自由エネルギーをA[mJ/m 2 ]とし、金属層12の樹脂組成物層11に接合される接合面の表面自由エネルギーをB[mJ/m 2 ]としたとき、A/Bが0.5〜1.5なる関係を満足し得るように、樹脂組成物層11および金属層12に含まれる構成材料をそれぞれ適宜選択することにより、前記問題点を解消し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
ここで、樹脂組成物層11の接合面における表面自由エネルギーA[mJ/m 2 ]は、例えば、樹脂組成物層11の表面に、水およびジヨードメタンの液滴をそれぞれ滴下して、各液滴の接触角を測定し、測定された接触角に基づいて、Owens−Wendtの式を用いて求めることができる。
より具体的には、まず、銅板上等に形成された樹脂組成物層(例えば、厚さ30μm)11を用意し、この樹脂組成物層11上に、水およびジヨードメタンの液滴(1.5μL)をそれぞれ供給する。
次に、樹脂組成物層11上への滴下20秒後に、水およびジヨードメタンの液滴10個の接触角を、それぞれ、例えば、固液界面解析装置(協和界面科学社製、「DropMaster500」)を用いて測定し、その平均値を求める。
そして、下記式1および下記式2を用いて、樹脂組成物層11の接合面における表面自由エネルギーA(γs)を求めることができる。
(1+COSθ)γl・/2=
(γs d・γl d)1/2+2(γs p・γl p)1/2 ・・・ 式1
γs = γs d+γs p ・・・ 式2
[各式中、θは接触角、γsは樹脂組成物層の接合面における表面自由エネルギー、γlは液滴の表面自由エネルギー、dは分散力成分、pは極性力成分を表わす。]
また、金属層12の接合面における表面自由エネルギーB[mJ/m 2 ]は、樹脂組成物層11の接合面における表面自由エネルギーAを求めたのと同様にして、金属層12の表面に、水およびジヨードメタンの液滴をそれぞれ滴下して、各液滴の接触角を測定し、測定された接触角に基づいて、Owens−Wendtの式を用いて求めることができる。
本発明では、以上のようにして導き出される樹脂組成物層11の接合面における表面自由エネルギーA[mJ/m 2 ]および金属層12の接合面における表面自由エネルギーB[mJ/m 2 ]から求められる、これらの比であるA/Bが0.5〜1.5なる関係を満足するときに、接続部および封止層の形成方法ならびに接続端子および補強層の形成方法において、導電接続シートを加熱してこれらを形成する際に、封止層80および補強層86中にボイドが残存するのを的確に抑制または防止して、隣接する端子21、41や接続端子85間での絶縁性を十分に確保することができるようになる。また、導電接続シート1に樹脂組成物層11を保護するカバーシートが設けられている場合には、カバーシートを剥がす際に、樹脂組成物層11と金属層12との界面において剥離が生じてしまうのを確実に防止することができる。
また、樹脂組成物層11の表面自由エネルギーA[mJ/m 2 ]および金属層12の表面自由エネルギーB[mJ/m 2 ]の比であるA/Bは0.5〜1.5であればよいが、0.6〜1.4程度であるのが好ましく、0.7〜1.3程度であるのがより好ましい。これにより、導電接続シート1を加熱して、接続部および封止層の形成方法ならびに接続端子および補強層を形成する際に、封止層80および補強層86中にボイドが残存するのをより的確に抑制または防止することができる。さらに、導電接続シート1に樹脂組成物層11を保護するカバーシートが設けられている場合には、カバーシートを剥がす際に、樹脂組成物層11と金属層12との界面において剥離が生じてしまうのをより確実に防止することができる。
前記A/Bの値を前記範囲内に設定するには、例えば、樹脂成分、フラックス活性剤を有する化合物およびフィルム形成性樹脂等の極性成分を適宜調整することにより容易に実施可能である。
具体的には、例えば、樹脂組成物層11に含まれるフラックス機能を有する化合物として、前述したもののうち、前記式(1)で表される脂肪族カルボン酸や、前記式(2)または前記式(3)で表される芳香族カルボン酸を選択し、金属層12として、主としてSn−37Pb合金(融点183℃)またはSn−3.0Ag−0.5Cu合金(融点217℃)で構成されるものを選択するのが好ましい。樹脂組成物層11に含まれるフラックス機能を有する化合物と、金属層12に含まれる金属材料との組み合わせを、上記のような組み合わせとすれば、A/Bの値を確実に、0.5〜1.5の範囲内に設定することができる。
以上のような導電接続シート1の形態は、樹脂組成物層11を構成する樹脂組成物の形態等に応じて適宜設定される。
例えば、硬化性樹脂組成物が液状をなす場合、金属層12を用意し、その両面に硬化性樹脂組成物を塗布し、このものを所定温度で半硬化(Bステージ化)することで樹脂組成物層11としたものを導電接続シート1として供することができる。また、ポリエステルシート等の剥離基材上に硬化性樹脂組成物を塗布し、このものを所定温度で半硬化(Bステージ化)等の目的で成膜させた後に、剥離基板から引き剥がし、金属層12に張り合わせてフィルム上にしたものを導電接続シート1として供することができる。
また、樹脂組成物が固形状をなす場合は、有機溶剤に溶解した樹脂組成物のワニスをポリエステルシート等の剥離基材上に塗布し、所定の温度で乾燥させて樹脂組成物層11を形成し、その後に金属層12を張り合わせたものを導電接続シート1として供することができる。また、上記と同様にして得られた樹脂組成物層11上に、蒸着等の手法を用いて金属層12を形成してフィルム状にしたものを導電接続シート1として供することもできる。
なお、金属層12は、樹脂組成物層11との密着性を高めることを目的に、エンボス加工が施されたものであってもよい。
また、導電接続シート1の厚みは、特に限定されないが、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることがさらに好ましく、また、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。導電接続シート1の厚みが前記範囲内にあると隣接する端子21、41間の間隙に樹脂組成物で構成される封止層80を十分に充填することができる。また、樹脂成分の硬化後または固化後の機械的接着強度および対向する端子間の電気的接続を十分に確保することができる。また、目的や用途に応じた接続端子の製造も可能にすることができる。
なお、本実施形態では、金属層12および端子21、41に酸化膜が形成されている場合に、この酸化膜を除去することを目的に、第1の樹脂組成物層11および第2の樹脂組成物層13を構成する樹脂組成物には、フラックス機能を有する化合物が含まれているのが好ましいと説明したが、樹脂組成物には、フラックス機能を有する化合物に代えて、酸化防止剤が含まれていてもよい。
<導電接続シートの製造方法>
次に、上述したような構成の導電接続シート1は、例えば、以下のような製造方法により、製造することができる。
(i)25℃で樹脂成分物が液状をなす場合
第1の樹脂組成物層11および第2の樹脂組成物層13を構成する樹脂組成物が、25℃で液状をなす場合、まず、金属層12を用意する。
この金属層12は、例えば、インゴット等の塊から圧延により製造することができる。
次に、金属層12を、液状をなす樹脂組成物中に含浸することにより、金属層12の両面に液状の樹脂組成物を付着させた後、樹脂組成物を所定温度で半硬化させることにより、金属層12の両面に樹脂組成物層11、13が形成された導電接続シート1を製造することができる。
なお、形成すべき樹脂組成物層11、13に厚さの制御が必要な場合には、液状の樹脂組成物中に浸漬させた金属層12を一定の間隙を有するバーコーターを通過させたり、液状の樹脂組成物をスプレーコーター等により、金属層12に吹き付けることにより、目的とする厚さの樹脂組成物層11、13を容易に製造することができる。
(ii)25℃で樹脂成分物がフィルム状をなす場合
第1の樹脂組成物層11および第2の樹脂組成物層13を構成する樹脂組成物が、25℃でフィルム状をなす場合、まず、ポリエステルシート等の剥離基材を用意する。
次に、樹脂組成物を有機溶剤に溶解して得られたワニスを、剥離基材上に、塗布した後、所定の温度で乾燥させることにより、フィルム状の樹脂組成物を形成する。
次に、前記工程により得られるフィルム状の樹脂組成物を2枚用意し、予め製造しておいた金属層12を、これらフィルム状の樹脂組成物の間に挾持した状態で、熱ロールでラミネートすることにより、金属層12の両面に樹脂組成物層11、13が形成された導電接続シート1を製造することができる。
なお、巻重状の金属層12を使用する場合には、金属層12をベース基材として用いて、金属層12の両面側に上述したフィルム状の樹脂組成物を熱ロールを用いてラミネートすることで、巻重状の導電接続シート1を得ることができる。
さらに、巻重状の金属層12を使用する場合、金属層12の両面に、上述したようにして得られたワニスを直接塗布し、その後、溶剤を揮散させて乾燥ことにより、巻重状の導電接続シート1を得ることができる。
なお、パターン状の金属層を備える導電接続シートを製造する場合には、まず、例えば、剥離基材上にシート状をなす金属層を配置し、金属層側から金型を用いて金属層をハーフカットすることで、余分な金属層を除去することでパターン状をなす金属層を形成する。
次に、上述した方法により得られたフィルム状の樹脂組成物を、金属層の剥離基材と反対側の面上に配置し、この状態で熱ロールを用いてラミネートとした後、剥離基材を金属層から剥離する。
さらに、上述した方法により得られたフィルム状の樹脂組成物を、金属層の剥離基材を剥離した面上に配置し、この状態で熱ロールを用いてラミネートすることにより、金属層の両面に樹脂組成物層が形成された導電接続シートを製造することができる。
なお、導電接続シートの製造方法は、上述した方法に限定されるものではなく、導電接続シートの製造方法は、目的や用途に応じて適宜選択することができる。
以上のような導電接続シート1が、半導体装置10が備える接続部81および封止層80の形成に用いられる。
導電接続シート1を用いた接続部81と封止層80との形成に、本発明の端子間の接続方法または本発明の接続端子の形成方法が適用される。
<本発明の端子間の接続方法>
以下では、まず、本発明の端子間の接続方法を適用して、接続部81と封止層80とを形成する場合について詳述する。
図4は、本発明の端子間の接続方法を用いて、半導体装置が備える接続部および封止層を製造する方法を説明するための縦断面図である。なお、以下の説明では、図4中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下に説明する接続部81および封止層80の形成方法では、導電接続シート1を対向する端子21、41間に配置する配置工程と、導電接続シート1を加熱する加熱工程と、前記樹脂組成物を硬化または固化させる硬化/固化工程とを有している。
なお、接続部81および封止層80を形成するに際し、導電接続シート1が備える樹脂組成物層11、13が硬化性樹脂組成物で構成される場合と、熱可塑性樹脂組成物で構成される場合とでは、その形成方法が若干異なる。そのため、以下では、樹脂組成物層11、13が硬化性樹脂組成物で構成される場合を第1実施形態とし、熱可塑性樹脂組成物で構成される場合を第2実施形態として実施形態ごとに説明する。
<<第1実施形態>>
導電接続シート1が備える樹脂組成物層11、13が硬化性樹脂組成物で構成される第1実施形態では、半導体チップ20と、配線パターン40が設けられたインターポーザー30との間に導電接続シート1を配置する配置工程と、金属層12の融点以上で、かつ、樹脂組成物層11、13を構成する硬化性樹脂組成物の硬化が完了しない温度で導電接続シート1を加熱する加熱工程と、硬化性樹脂組成物の硬化を完了させる硬化工程とを有している。
以下、各工程について詳述する。
[1]配置工程
まず、半導体チップ20と、配線パターン40が設けられたインターポーザー30とを用意する。
次いで、導電接続シート1を、ロールラミネータまたはプレス等の装置を用いて、インターポーザー30の配線パターン40側の面に熱圧着させる。
そして、この状態で、半導体チップ20と、インターポーザー30上の配線パターン40とを、図4(a)に示すように、これらが備える端子21と端子41とがそれぞれ対向するように位置あわせする。
これにより、端子21と端子41とがそれぞれ対向した状態で、半導体チップ20と、配線パターン40が設けられたインターポーザー30との間に、導電接続シート1が配置されることとなる。
なお、導電接続シート1は、図4(a)に示すように、インターポーザー30側に熱圧着される場合に限らず、半導体チップ20側に熱圧着されていてもよいし、これらの双方に熱圧着されていてもよい。
[2]加熱工程
次に、前記配置工程[1]において、半導体チップ20と、配線パターン40が設けられたインターポーザー30との間に配置された導電接続シート1を、図4(b)に示すように、金属層12の融点以上で加熱する。
加熱温度は、金属層12の融点以上であればよく、例えば、加熱時間を短くするなど、加熱時間を調整することによって、金属材料が硬化性樹脂組成物中を移動できる範囲すなわち「硬化性樹脂組成物の硬化が完了しない」範囲であれば、その上限は特に制限されない。
具体的には、加熱温度は、金属層12の融点より5℃以上高い温度であるのが好ましく、10℃以上高い温度であるのがより好ましく、20℃以上高い温度であるのがさらに好ましく、30℃以上高い温度であるのが特に好ましい。
具体的には、加熱温度は、使用する金属層12および硬化性樹脂組成物の組成等によって適宜設定されるが、100℃以上であることが好ましく、130℃以上であることがより好ましく、140℃以上であることがさらに好ましく、150℃以上であることが最も好ましい。なお、接続すべき半導体チップ20およびインターポーザー30等の熱劣化を防止するという観点から、加熱温度は、260℃以下であることが好ましく、250℃以下であることがより好ましく、240℃以下であることがさらに好ましい。
このような温度で導電接続シート1を加熱すると、金属層12が溶融し、溶融した金属層12すなわち低融点の金属材料が、樹脂組成物層11、13中を移動できるようになる。
この際、硬化性樹脂組成物にフラックス機能を有する化合物が含まれる場合、フラックス機能を有する化合物の還元作用により、たとえ金属層12の表面に酸化膜が形成されていたとしても、この酸化膜は、還元されることにより除去されることとなる。そのため、溶融状態の金属材料は、濡れ性が高められた状態であり、金属結合が促されていることから、対向して配置された端子21、41間に凝集し易い状態となる。
さらに、たとえ端子21、41の表面に酸化膜が形成されていたとしても、この酸化膜も、フラックス機能を有する化合物の還元作用により、除去され、その濡れ性が高められることとなる。その結果、金属材料との金属結合が促され、かかる観点からも、対向して配置された端子21、41間に溶融状態の金属材料が凝集し易い状態となる。
なお、本発明では、金属層12が層状(箔状)をなしているため、溶融状態の金属層12が複数個に分断されて端子21、41の表面に凝集する際に、その一部が端子41に凝集することなく樹脂組成物層11、13中に残存してしまうのを的確に抑制または防止することができる。そのため、封止層80に金属層12の一部が残存することに起因するリーク電流の発生を確実に防止することができる。
以上のことから、溶融状態の金属材料は、硬化性樹脂成分中を移動して端子21、41間の間に選択的に凝集する。その結果、図4(c)に示すように、端子21、41の間には金属材料で構成される接続部81が形成され、端子21と端子41とが接続部81を介して電気的に接続される。このとき、接続部81の周囲を取り囲んで硬化性樹脂組成物が充填されて封止層80が形成される。その結果、隣接する端子21、41間の絶縁性が確保されることから、隣接する端子21、41間のショートが防止されることとなる。
以上のような導電接続シート1を用いた接続部81および封止層80の形成方法では、加熱溶融した金属材料を選択的に端子21、41間で凝集させて接続部81を形成し、その周囲に硬化性樹脂組成物で構成された封止層80を形成することができる。その結果、隣接する端子21、41間の絶縁性を確保してリーク電流の発生を確実に防ぐことができるので、端子21、41間の接続部81を介した接続の接続信頼性を高めることができる。
また、微細な配線回路においても多数の端子21、41間の電気的接続を一括で実施することが可能となる。さらに、次工程[3]において、硬化性樹脂組成物を硬化させることにより接続部81および封止層80の機械的強度を高めることができる。
なお、本工程[2]では、対向する端子21、41間の距離を近づけるように、半導体チップ20とインターポーザー30とを加圧した状態で加熱してもよい。例えば、図4(b)中の半導体チップ20とインターポーザー30とが接近する方向に公知の熱圧着装置等の手段を用いて加熱および加圧することにより、対向する端子21、41間の距離を一定に制御することができるため、対向する端子21、41間の接続部81による電気的な接続信頼性を高めることが可能となる。
さらに、加圧または加熱する際に超音波や電場等を加えたり、レーザーや電磁誘導等の特殊加熱を適用してもよい。
[3]硬化工程
次に、前記加熱工程[2]において、接続部81と封止層80とを形成した後、硬化性樹脂組成物を硬化させることにより、封止層80を固定する。
これにより、端子21、41間の接続部81による電気的信頼性、および、封止層80による機械的信頼性の双方を十分に確保することができる。
特に本実施形態では、高溶融粘度時に高絶縁抵抗値を有する硬化性樹脂組成物を使用しているため、封止層(絶縁性領域)80の絶縁性をより確実に確保することができる。
硬化性樹脂組成物の硬化は、硬化性樹脂組成物を加熱することによって実施することができる。硬化性樹脂組成物の硬化温度は、硬化性樹脂組成物の組成に応じて適宜設定することができる。具体的には、前記加熱工程[2]での加熱温度より少なくとも5℃低い温度であることが好ましく、少なくとも10℃低い温度であることがより好ましい。より具体的には、100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、130℃以上であることがさらに好ましく、150℃以上であることが最も好ましい。また、300℃以下であることが好ましく、260℃以下であることがより好ましく、250℃以下であることがさらに好ましく、240℃以下であることが最も好ましい。硬化温度が前記範囲内にあると、導電接続シート1が熱分解してしまうのを確実に防止しつつ、硬化性樹脂組成物を十分に硬化させることができる。
以上のような工程を経て、半導体チップ20と、配線パターン40が設けられたインターポーザー30との間に、接続部81および封止層80が形成される。
<<第2実施形態>>
導電接続シート1が備える樹脂組成物層11、13が熱可塑性樹脂組成物で構成される第2実施形態では、半導体チップ20と、配線パターン40が設けられたインターポーザー30との間に導電接続シート1を配置する配置工程と、金属層12の融点以上で、かつ、樹脂組成物層11、13を構成する熱可塑性樹脂組成物が軟化する温度で導電接続シート1を加熱する加熱工程と、熱可塑性樹脂組成物を固化させる固化工程とを有している。
以下、各工程について詳述する。
[1]配置工程
樹脂組成物層11、13が熱可塑性樹脂組成物で構成される本実施形態においても、樹脂組成物層11、13が熱硬化性樹脂組成物で構成される前記第1実施形態と同様にして、端子21と端子41とがそれぞれ対向した状態で、半導体チップ20と、配線パターン40が設けられたインターポーザー30との間に、導電接続シート1を配置する。
[2]加熱工程
次に、前記配置工程[1]において、半導体チップ20と、配線パターン40が設けられたインターポーザー30との間に配置された導電接続シート1を、図4(b)に示すように、金属層12の融点以上の温度で加熱する。
加熱温度は、金属層12の融点より5℃以上高い温度であるのが好ましく、10℃以上高い温度であるのがより好ましく、20℃以上高い温度であるのがさらに好ましく、30℃以上高い温度であるのが特に好ましい。
具体的には、加熱温度は、使用する金属層12および熱可塑性樹脂組成物の組成等によって適宜設定されるが、例えば、前述した第1実施形態の加熱工程[2]で説明したのと同様の温度範囲に設定される。
このような温度で導電接続シート1を加熱すると、金属層12が溶融し、溶融した金属層12すなわち低融点の金属材料が、樹脂組成物層11、13中を移動できるようになる。
この際、熱可塑性樹脂組成物にフラックス機能を有する化合物が含まれる場合、フラックス機能を有する化合物の還元作用により、たとえ金属層12の表面に酸化膜が形成されていたとしても、この酸化膜は、還元されて確実に除去されることになる。そのため、溶融状態の金属材料は、濡れ性が高められた状態であり、金属結合が促されていることから、対向して配置された端子21、41間に凝集し易い状態となっている。
さらに、たとえ端子21、41の表面に酸化膜が形成されていたとしても、この酸化膜も、フラックス機能を有する化合物の還元作用により、除去されているため、その濡れ性が確実に高められている。その結果、金属材料との金属結合が促され、かかる観点からも、対向して配置された端子21、41間に溶融状態の金属材料が凝集し易い状態となっている。
なお、本発明では、金属層12が層状(箔状)をなしているため、溶融状態の金属層12が複数個に分断されて端子41の表面に凝集する際に、その一部が端子41に凝集することなく樹脂組成物層11、13中に残存してしまうのを的確に抑制または防止することができる。そのため、封止層80に金属層12の一部が残存することに起因するリーク電流の発生を確実に防止することができる。
以上のことから、溶融状態の金属材料は、熱可塑性樹脂成分中を移動して端子21、41間の間に選択的に凝集する。その結果、図4(c)に示すように、端子21、41の間には金属材料で構成される接続部81が形成され、端子21と端子41とが接続部81を介して電気的に接続される。このとき、接続部81の周囲を取り囲んで熱可塑性樹脂組成物が充填されて封止層80が形成される。その結果、隣接する端子21、41間の絶縁性が確保されることから、隣接する端子21、41間のショートが確実に防止されることとなる。
以上のような接続部81および封止層80の形成方法では、加熱溶融した金属材料を選択的に端子21、41間で凝集させて接続部81を形成し、その周囲に熱可塑性樹脂組成物で構成された封止層80を形成することができる。その結果、隣接する端子21、41間の絶縁性を確保してリーク電流の発生を確実に防ぐことができるので、端子21、41間の接続部81を介した接続の接続信頼性を高めることができる。
また、微細な配線回路においても多数の端子21、41間の電気的接続を一括で実施することが可能となる。さらに、次工程[3]において、熱可塑性樹脂組成物を固化させることにより接続部81および封止層80の機械的強度を高めることができる。
[3]固化工程
次に、前記加熱工程[2]において、接続部81と封止層80とを形成した後、熱可塑性樹脂組成物を固化させることにより、封止層80を固定する。
これにより、端子21、41間の接続部81による電気的信頼性、および、封止層80による機械的信頼性の双方を十分に確保することができる。
熱可塑性樹脂組成物の固化は、前記加熱工程[2]で加熱した熱可塑性樹脂組成物を冷却することによって実施することができる。
熱可塑性樹脂組成物の冷却による熱可塑性樹脂組成物の固化すなわち封止層80の固定は、熱可塑性樹脂組成物の組成に応じて適宜選択される。具体的には、自然冷却による方法でもよく、また、冷気を吹きつける等の方法から適宜選択される。
熱可塑性樹脂組成物の固化温度は、特に限定されないが、金属層12の融点より低いことが好ましい。具体的には、熱可塑性樹脂組成物の固化温度は、金属層12の融点より10℃以上低いことが好ましく、20℃以上低いことがより好ましい。また、熱可塑性樹脂組成物の固化温度は、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることがさらに好ましい。熱可塑性樹脂組成物の固化温度が前記範囲内にあると、接続部81を確実に形成することができるとともに、封止層80を優れた耐熱性を発揮するものとすることができる。その結果、隣接する端子21、41間の絶縁性が的確に確保され、隣接する端子21、41間のショートをより確実に防止することができる。
以上のような工程を経て、半導体チップ20と、配線パターン40が設けられたインターポーザー30との間に、接続部81および封止層80が形成される。
なお、第1実施形態および第2実施形態では、半導体チップ20と配線パターン40とがそれぞれ備える端子21と端子41との間に、接続部81を形成して電気的に接続する場合について説明したが、かかる場合に限定されず、各種電子機器が有する電子部品が備える端子同士を電気的に接続する場合に適用することができ、電子部品としては、例えば、半導体ウエハ、リジッド基板およびフレキシブル基板等が挙げられる。
<本発明の接続端子の形成方法>
次に、本発明の接続端子の形成方法を用いて、接続部81と封止層80とを形成する場合について説明する。
この場合、まず、本発明の接続端子の形成方法を適用して、半導体チップ20の端子21側の面に接続端子85と補強層86とを形成し、次いで、これら接続端子85と補強層86が設けられた半導体チップ20を、インターポーザー30の配線パターン40側の面に、接続(実装)することにより、接続部81と封止層80とが形成される。
以下では、本発明の接続端子の形成方法を適用して、半導体チップ20の端子21側の面に接続端子85と補強層86とを形成する方法について詳述する。
図5は、本発明の接続端子の形成方法を用いて、半導体チップが備える端子に対応して接続端子を形成する方法を説明するための縦断面図である。なお、以下の説明では、図5中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下に説明する接続端子85および補強層86の形成方法では、半導体チップ20の端子21側の面に、導電接続シート1を配置する配置工程と、導電接続シート1を加熱する加熱工程とを有している。
なお、接続端子85と補強層86とを形成するに際し、導電接続シート1が備える樹脂組成物層11、13が硬化性樹脂組成物で構成される場合と、熱可塑性樹脂組成物で構成される場合とでは、その形成方法が若干異なる。そのため、以下では、樹脂組成物層11、13が硬化性樹脂組成物で構成される場合を第3実施形態とし、熱可塑性樹脂組成物で構成される場合を第4実施形態として実施形態ごとに説明する。
<<第3実施形態>>
導電接続シート1が備える樹脂組成物層11、13が硬化性樹脂組成物で構成される第3実施形態では、半導体チップ20の端子21側の面に、導電接続シート1を配置する配置工程と、金属層12の融点以上で、かつ、樹脂組成物層11、13を構成する硬化性樹脂組成物の硬化が完了しない温度で導電接続シート1を加熱する加熱工程とを有している。
以下、各工程について詳述する。
[1]配置工程
まず、図5(a)に示すように、下面側に端子21を備える半導体チップ20を用意する。
次いで、導電接続シート1を、ロールラミネータまたはプレス等の装置を用いて、半導体チップ20の端子21側の面に熱圧着(配置)させる。
これにより、半導体チップ20の端子21側の面において露出する端子21に、導電接続シート1が接触することとなる。
[2]加熱工程
次に、前記配置工程[1]において、半導体チップ20の端子21側の面に配置された導電接続シート1(金属層12)を、図5(b)に示すように、金属層12の融点以上で加熱する。
導電接続シート1を加熱する温度は、前記第1実施形態の加熱工程[2]で導電接続シート1を加熱した温度と同様の温度に設定される。
このような温度で導電接続シート1を加熱すると、金属層12が溶融し、溶融した金属層12すなわち低融点の金属材料が、樹脂組成物層11、13中を移動できるようになる。
この際、硬化性樹脂組成物にフラックス機能を有する化合物が含まれる場合、フラックス機能を有する化合物の還元作用により、たとえ金属層12の表面に酸化膜が形成されていたとしても、この酸化膜は、還元されることにより除去されることとなる。そのため、溶融状態の金属材料は、濡れ性が高められた状態であり、金属結合が促されていることから、溶融した金属層12が端子21の表面に凝集し易い状態となる。
さらに、たとえ端子21の表面に酸化膜が形成されていたとしても、この酸化膜も、フラックス機能を有する化合物の還元作用により、除去され、その濡れ性が高められることとなる。その結果、金属材料との金属結合が促され、かかる観点からも、溶融した金属層12が端子21の表面に凝集し易い状態となる。
なお、本発明では、金属層12が層状(箔状)をなしているため、溶融状態の金属層12が複数個に分断されて端子21の表面に凝集する際に、その一部が端子21に凝集することなく樹脂組成物層11、13中に残存してしまうのを的確に抑制または防止することができる。そのため、補強層86に金属層12の一部が残存することに起因するリーク電流の発生を確実に防止することができる。
以上のことから、溶融状態の金属材料は、樹脂組成物層11、13中すなわち硬化性樹脂成分中を移動して端子21の表面に選択的に凝集する。この状態で、導電接続シート1を冷却すると、図5(c)に示すように、端子21の表面には固化した金属材料で構成される接続端子85が形成される。このとき、接続端子85の周囲を取り囲んで硬化性樹脂組成物が充填されて補強層86が形成される。その結果、隣接する接続端子85間の絶縁性が確保されることから、隣接する接続端子85間のショートが確実に防止されることとなる。
以上のような接続端子85および補強層86の形成方法では、加熱溶融した金属材料を選択的に端子21に凝集させて接続端子85を形成し、その周囲に硬化性樹脂組成物で構成された補強層86を形成することができる。その結果、隣接する接続端子85間の絶縁性を確保することができる。
また、微細なピッチで複数の端子21を有する半導体チップ20においても端子21に対応して複数の接続端子85を一括して形成することが可能となる。
なお、本工程[2]では、導電接続シート1と端子21との距離を近づけるように、導電接続シート1と半導体チップ20とを加圧した状態で加熱してもよい。例えば、図5(b)中の導電接続シート1と半導体チップ20とが接近する方向に公知の熱圧着装置等の手段を用いて加熱および加圧することにより、導電接続シート1と端子21との距離を一定に制御することができるため、端子21の表面における溶融状態の金属材料の凝集能をより高めることが可能となる。
さらに、加圧または加熱する際に超音波や電場等を加えたり、レーザーや電磁誘導等の特殊加熱を適用してもよい。
以上のような工程[1]および工程[2]を経て、接続端子85および補強層86が形成される。すなわち、接続端子85および補強層86を形成するための、配置工程[1]および加熱工程[2]に、本発明の接続端子および補強層の形成方法が適用される。
なお、本実施形態のように、樹脂組成物層11、13に含まれる樹脂成分として、硬化性樹脂成分を用いる場合、前記加熱工程[2]では、硬化性樹脂組成物を完全には硬化させない状態としておくのが好ましい。これにより、接続端子85と補強層86とが設けられた半導体チップ20を、インターポーザー30の配線パターン40側の面に実装する際に、補強層86を加熱することで、再度、溶融状態とすることができるようになる。
このような接続端子85と補強層86とが設けられた半導体チップ20を、インターポーザー30の配線パターン40側の面に配置した状態で、接続端子85と補強層86とを加熱することにより、接続端子85が再び溶融状態となるため、その後、冷却することで、半導体チップ20と配線パターン40との間に、接続部81と封止層80とを形成することができる。
そして、本実施形態では、樹脂組成物層11、13に含まれる樹脂成分として、硬化性樹脂成分が含まれ、このものが未硬化の状態のものも存在するため、硬化性樹脂組成物を硬化させることにより、封止層80を固定する。これにより、接続部81および封止層80の機械的強度を高めることができる。
<<第4実施形態>>
導電接続シート1が備える樹脂組成物層11、13が熱可塑性樹脂組成物で構成される第4実施形態では、半導体チップ20の端子21側の面に、導電接続シート1を配置する配置工程と、金属層12の融点以上で、かつ、樹脂組成物層11、13を構成する熱可塑性樹脂組成物が軟化する温度で導電接続シート1を加熱する加熱工程とを有している。
以下、各工程について詳述する。
[1]配置工程
樹脂組成物層11、13が熱可塑性樹脂組成物で構成される本実施形態においても、樹脂組成物層11、13が熱硬化性樹脂組成物で構成される前記第3実施形態と同様にして、半導体チップ20の端子21側に導電接続シート1を熱圧着(配置)させて、半導体チップ20の端子21側の面において露出する端子21に、導電接続シート1を接触させる。
[2]加熱工程
次に、前記配置工程[1]において、半導体チップ20の端子21側の面に配置された導電接続シート1(金属層12)を、図5(b)に示すように、金属層12の融点以上で加熱する。
導電接続シート1を加熱する温度は、前記第1実施形態の加熱工程[2]で導電接続シート1を加熱した温度と同様の温度に設定される。
このような温度で導電接続シート1を加熱すると、金属層12が溶融し、溶融した金属層12すなわち低融点の金属材料が、樹脂組成物層11、13中を移動できるようになる。
この際、熱可塑性樹脂組成物に含まれるフラックス機能を有する化合物が含まれる場合、フラックス機能を有する化合物の還元作用により、たとえ金属層12の表面に酸化膜が形成されていたとしても、この酸化膜は、還元されることにより除去されることとなる。そのため、溶融状態の金属材料は、濡れ性が高められた状態であり、金属結合が促されていることから、溶融した金属層12が端子21の表面に凝集し易い状態となる。
さらに、たとえ端子21の表面に酸化膜が形成されていたとしても、この酸化膜も、フラックス機能を有する化合物の還元作用により、除去され、その濡れ性が高められることとなる。その結果、金属材料との金属結合が促され、かかる観点からも、溶融した金属層12が端子21の表面に凝集し易い状態となる。
なお、本発明では、金属層12が層状(箔状)をなしているため、溶融状態の金属層12が複数個に分断されて端子21の表面に凝集する際に、その一部が端子21に凝集することなく樹脂組成物層11、13中に残存してしまうのを的確に抑制または防止することができる。そのため、補強層86に金属層12の一部が残存することに起因するリーク電流の発生を確実に防止することができる。
以上のことから、溶融状態の金属材料は、樹脂組成物層11、13中すなわち熱可塑性樹脂成分中を移動して端子21の表面に選択的に凝集する。その結果、図5(c)に示すように、端子21の表面には金属材料で構成される接続端子85が形成される。この際、熱可塑性樹脂組成物が冷却されることにより、接続端子85の周囲を取り囲んで固化することで、補強層86が形成される。その結果、隣接する接続端子85間の絶縁性が確保されることから、隣接する接続端子85間のショートが確実に防止されることとなる。
以上のような接続端子85および補強層86の形成方法では、加熱溶融した金属材料を選択的に端子21に凝集させて接続端子85を形成し、その周囲に熱可塑性樹脂組成物で構成された補強層86を形成することができる。その結果、隣接する接続端子85間の絶縁性を確保することができる。
また、微細なピッチで複数の端子21を有する半導体チップ20においても端子21に対応して複数の接続端子85を一括して形成することが可能となる。
なお、本工程[2]では、導電接続シート1と端子21との距離を近づけるように、導電接続シート1と半導体チップ20とを加圧した状態で加熱してもよい。例えば、図5(b)中の導電接続シート1と半導体チップ20とが接近する方向に公知の熱圧着装置等の手段を用いて加熱および加圧することにより、導電接続シート1と端子21との距離を一定に制御することができるため、端子21の表面における溶融状態の金属材料の凝集能をより高めることが可能となる。
さらに、加圧または加熱する際に超音波や電場等を加えたり、レーザーや電磁誘導等の特殊加熱を適用してもよい。
以上のような工程[1]および工程[2]を経て、接続端子85および補強層86が形成される。すなわち、接続端子85および補強層86を形成するための、配置工程[1]および加熱工程[2]に、本発明の接続端子および補強層の形成方法が適用される。
以上のように、導電接続シート1を用いて半導体チップ20の端子21側の面に接続端子85を形成する場合、接続端子85を形成しようとする部分に、導電接続シート1を配置して加熱することにより、溶融状態の金属層12が端子21上に選択的に凝集し、その結果、接続端子85が形成されることとなる。
このような接続端子85と補強層86とが設けられた半導体チップ20を、インターポーザー30の配線パターン40側の面に配置した状態で、接続端子85と補強層86とを加熱することにより、接続端子85が再び溶融状態となるため、その後、冷却することで、半導体チップ20と配線パターン40との間に、接続部81と封止層80とを形成することができる。
そして、本実施形態では、樹脂組成物層11、13に含まれる樹脂成分として、熱可塑性樹脂成分が含まれるため、前記のように冷却することで熱可塑性樹脂組成物を固化させることができ、これにより、封止層80が固定されるため、接続部81および封止層80の機械的強度を高めることができる。
以上のような工程を経て、半導体チップ20の端子21が設けられている面上に、接続端子85が形成され、この接続端子85を取り囲むように補強層86が形成される。
なお、第3実施形態および第4実施形態では、半導体チップ20が備える端子21に対応するように接続端子85を形成する場合に、本発明の接続端子の形成方法を適用する場合ついて説明したが、この場合に限定されず、各種電子機器に用いられる電子部品が備える端子(電極)上に、接続端子(バンプ)を形成する場合に適用することができ、各種電子部品としては、例えば、半導体ウエハおよびフレキシブル基板等が挙げられる。
以上、本発明の導電接続シート、端子間の接続方法、接続端子の形成方法、半導体装置および電子機器について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の導電接続シートの各部の構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することもできる。
また、本発明の端子間の接続方法および接続端子の形成方法には、必要に応じて任意の工程が追加されてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.評価方法
各実施例および各比較例の導電接続シートを用いて、対向する端子同士を接続するために作製した端子接続体において、端子間の接続抵抗、導通路(接続部)形成性および導通路以外の領域に位置する封止層に残存する金属層の有無を以下の方法により測定または評価した。
(1)接続抵抗
得られた端子接続体中の対向する端子間の抵抗を4端子法(抵抗計:岩崎通信機(株)製、「デジタルマルチメータVOA7510」、測定プローブ:日置電機(株)製「ピン型リード9771」)により12点測定し、その平均値が30mΩ未満の場合を「A」、30mΩ以上の場合を「B」と判定した。
(2)導通路形成性
得られた端子接続体中の対向する端子10組について、その端子間の断面を走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製、「JSM−7401F」)で観察し、10組全てにおいて半田により円柱状の導通路(接続部)が形成されている場合を「A」、1組でも導通路が形成されていない端子が存在する場合を「B」、隣接している端子とショート接触している場合を「C」と判定した。
(3)残存金属層の有無
得られた端子接続体の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子社製、型番「JSM−7401F」)で観察し、全ての金属層(金属材料)が対向する端子間の導通路形成に寄与している場合を「A」、導通路形成に寄与せずに対向する端子間(接続部)以外の樹脂(封止層)中に金属層の一部が残存している場合を「B」と判定した。
(4)ボイドの有無
得られた端子接続体を超音波探傷装置(SAT)(日立建機ファインテック(株)製、「mi−scope10」で観察し、ボイドの面積が接着面積に対して、10%未満の場合を「A」、10%以上の場合を「B」と判定した。
2.樹脂組成物層の表面自由エネルギーAの測定
各実施例および各比較例の導電接続シートが備える樹脂組成物層の表面自由エネルギーA[mJ/m 2 ]を、樹脂組成物層に対する、水およびジヨードメタンの液滴の接触角を測定し、これら測定された接触角に基づいて、Owens−Wendtの式を用いて求めた。
より詳しくは、各実施例および各比較例の導電接続シートの樹脂組成物層の表面自由エネルギーA[mJ/m 2 ]を、以下のようにして求めた。
まず、銅板を用意し、この銅板上に、後述する各実施例および各比較例の導電接続シートが備える樹脂組成物層を形成するために調製した樹脂組成物を用いて、厚さ30μmの樹脂組成物層を形成して表面自由エネルギーA測定用シートを得た。
次に、表面自由エネルギーA測定用シートの樹脂組成物層上に、水およびジヨードメタンの液滴(1.5μL)をそれぞれ供給した。
次に、樹脂組成物層上への滴下20秒後に、水およびジヨードメタンの液滴10個の接触角を、それぞれ、固液界面解析装置(協和界面科学社製、「DropMaster500」)を用いて測定し、その平均値を求め、上記式1および上記式2を用いて、樹脂組成物層の表面自由エネルギーA(γs)[mJ/m 2 ]を求めた。
3.金属層の表面自由エネルギーBの測定
後述する各実施例および各比較例の導電接続シートが備える金属層の表面自由エネルギーB[mJ/m 2 ]を、金属層に対する、水およびジヨードメタンの液滴の接触角を測定し、これら測定された接触角に基づいて、Owens−Wendtの式を用いて求めた。
より詳しくは、各実施例および各比較例の導電接続シートの金属層の表面自由エネルギーA[mJ/m 2 ]を、以下のようにして求めた。
まず、各実施例および各比較例の導電接続シートが備える金属層を構成する構成材料と同一組成の厚さ10μmの金属箔を用意し、このものを表面自由エネルギーB測定用シートとした。
次に、表面自由エネルギーB測定用シート(金属箔)上に、水およびジヨードメタンの液滴(1.5μL)をそれぞれ供給した。
次に、表面自由エネルギーB測定用シート上への滴下20秒後に、水およびジヨードメタンの液滴10個の接触角を、それぞれ、固液界面解析装置(協和界面科学社製、「DropMaster500」)を用いて測定し、その平均値を求め、上記式1および上記式2を用いて、金属層の表面自由エネルギーB(γs)[mJ/m 2 ]を求めた。
そして、前記2.で求めた各実施例および各比較例の導電接続シートが備える樹脂組成物層の表面自由エネルギーA[mJ/m 2 ]を用いて、各実施例および各比較例のA/Bを算出した。
4.導電接続シートの作製
[実施例1〜8、比較例1〜3]
まず、エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業社製、「EPICLON−840S」、エポキシ当量185g/eq、エポキシ樹脂1)およびクレジルグリシジルエーテル(坂本薬品工業社製「m,p−CGE」、エポキシ当量185g/eq、エポキシ樹脂2)を、硬化剤として、フェノールノボラック樹脂(住友ベークライト社製、「PR−53647」)を、フィルム形成性樹脂として、変性ビフェノール型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、「YX−6954」、フィルム形成性樹脂1)およびアクリル酸エステル共重合体(ナガセケムテックス社製、「SG−P3」、フィルム形成性樹脂2)を、フラックス機能を有する化合物として、セバシン酸(東京化成工業社製、フラックス機能を有する化合物1)およびフェノールフタリン(東京化成工業社製、フラックス機能を有する化合物2)を、シランカップリング剤として、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、「KBM−303」)を、硬化促進剤として、2−フェニル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、「キュアゾール2P4MZ」)をそれぞれ用意した。
そして、各実施例および各比較例の導電接続シートが備える樹脂組成物層を形成するための樹脂組成物を、実施例および比較例ごとに、表1、2に示すような配合比でメチルエチルケトン(MEK)に溶解することにより、樹脂固形分40%の樹脂組成物のワニスを調製した。そして、得られたワニスを、コンマコーターを用いて、ポリエステルシートに塗布し、90℃×5分間の条件で乾燥させてフィルム状の厚さ30μmの樹脂組成物を得た。
次に、金属層として、半田箔A(Sn/Pb=63/37(重量比)、融点:183℃、密度:8.4g/cm3、厚さ10μm)および半田箔B(Sn/Ag/Cu=96.5/3.0/0.5(重量比)、融点:217℃、密度=7.4g/cm3、厚さ10μm)を用意した。
そして、実施例および比較例ごとに、表1、2に示すように、半田箔Aまたは半田箔Bの金属層を選択し、各実施例および各比較例用に調製したフィルム状の樹脂組成物を60℃、0.3MPa、0.3m/minの条件で、金属層の両面にラミネートすることにより、金属層の両面に厚さ30μmの樹脂組成物層を備える導電接続シートを作製した。
5.導電接続シートを用いた端子間の接続
次に、各実施例および各比較例の導電接続シートを用いて、対向する端子間の接続を行った。
より詳しくは、まず、基板として、FR−4基材(厚み0.1mm)と回路層(銅回路、厚み12μm)とで構成され、銅回路上にNi/Auメッキ(厚み3μm)を施して形成された接続端子(端子径100μm、隣接する端子の中心間距離300μm)を有するものを2つ用意した。
次に、実施例および比較例ごとに、かかる構成の基板間に、各実施例および各比較例の導電接続シートを配置し、この状態で、熱圧着装置(筑波メカニクス社製、「TMV1−200ASB」)を用いて、表1、2に示すような条件で熱圧着(基板間ギャップ50μm)を施して、対向する端子同士の間に接続部を形成することにより、端子間を電気的に接続した。その後、180℃で1時間加熱することにより樹脂組成物を硬化させて端子接続体を得た。
次に、得られた端子接続体について、前述した評価方法を用いて、対向する端子間の接続抵抗、端子間の導通路形成性および絶縁性領域中の残存半田の有無、ボイドの有無を前記方法に従って評価した。その結果を表1、2に示す。
表1、2に示したように、各実施例では、樹脂組成物層の表面自由エネルギーAが41〜50mJ/m 2 の範囲内となっており、金属層の表面自由エネルギーBが37〜39mJ/m 2 の範囲内となっていることに起因して、これらの比であるA/Bを0.5〜1.5の範囲内に設定することができた。
そして、A/Bの大きさがかかる範囲に設定されていることにより、各実施例では、封止層におけるボイドの発生を的確に防止することができ、各評価とも優れた結果が得られることが判った。
これに対して、各比較例では、樹脂組成物層の表面自由エネルギーAが高いため、A/Bが1.5を超える大きさとなっていた。そのため、封止層においてボイドが発生し、その結果、各評価とも各実施例と比較して明らかに劣る結果となった。