本発明は、給湯温度について所定の条件下で吐水温度についてのフィードバック制御が行われる構成において、給湯温度を検出するための温度センサを設ける位置を工夫することにより、湯と水の混合部分から湯の供給経路に水が回り込んで流入することに起因する温度検出の誤差を防止しようとするものである。以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1に示すように、本実施形態の湯水混合装置は、洗面ボール3を有する洗面台2において備えられる。洗面台2において、洗面ボール3は、洗面カウンタ4上に設けられる。洗面台2においては、洗面ボール3に対して湯水を吐出するためのスパウトを構成する水栓本体5が備えられる。水栓本体5は、湯水の吐水口5aを有し、この吐水口5aからの湯水が洗面ボール3内に吐出されるように設けられる。
また、洗面台2においては、水栓本体5の吐水口5aから吐出される湯水についての操作を行うための操作部6が備えられる。本実施形態では、操作部6は、洗面ボール3の鍔部(外周縁部)に配置された状態で設けられる。操作部6の操作により、水栓本体5の吐水口5aから吐出される湯水についての温度および流量の調整、ならびに吐止水(湯水の流出・停止)の切換えが行われる。
具体的には、操作部6は、押し操作(図1矢印A1参照)および回転操作(同図矢印A2参照)が可能な取っ手状の部分として構成される。そして、操作部6の押し操作により、吐止水の切換えおよび湯水の流量の調整が行われ、操作部6の回転操作により、湯水の温度の調整が行われる。また、洗面台2においては、洗面カウンタ4の下側に、本実施形態の湯水混合装置を構成する機能部10が備えられる。機能部10は、洗面カウンタ4の下側において所定のケース内に収容された状態で設けられる。
このように、本実施形態の湯水混合装置は、洗面台2を構成する水栓本体5と、操作部6と、機能部10とを含む。そして、本実施形態の湯水混合装置によれば、操作部6による操作のもと、機能部10で得られた湯水が、所定の経路を介して水栓本体5に供給され、吐水口5aから吐出される。
図2に示すように、本実施形態の湯水混合装置1は、所定の経路を介して供給される湯および水を混合することで、調整された温度の湯水を得るためのものである。したがって、図2に示すように、湯水混合装置1は、機能部10において、所定の経路を介して供給される湯の供給管である給湯管11と、所定の経路を介して供給される水の供給管である給水管12とを有する。給湯管11に対しては、図示せぬ給湯器等により得られた湯が所定の経路を介して供給される(矢印H参照)。給水管12に対しては、上水等から導かれる水が所定の経路を介して供給される(矢印C参照)。つまり、湯水混合装置1においては、給湯管11により、湯の供給経路が構成され、給水管12により、水の供給経路が構成される。
機能部10においては、湯または水、あるいはこれらが混合することで得られる湯水の流れにおける上流側(図2において下側、以下単に「上流側」という。)から下流側(同図において上側、以下単に「下流側」という。)にかけて、湯水の温度の調整を行う部分である温調機能部13と、吐止水の切換えおよび湯水の流量の調整を行う部分である流調機能部14とが構成される。すなわち、給湯管11および給水管12から供給される湯および水は、温調機能部13にて混合されて調整された温度の湯水となった後、流調機能部14を介して水栓本体5に供給される。
温調機能部13は、混合弁装置30により構成される。したがって、給湯管11および給水管12は、それぞれ混合弁装置30に接続される。そして、給湯管11により供給される湯、および給水管12により供給される水は、混合弁装置30にて混合された後、流調機能部14に導かれる。混合弁装置30は、サーモバルブ31と、このサーモバルブ31の駆動源として機能するモータ32とを有する。サーモバルブ31は、変化する付勢力を作用させることでサーモバルブ31が有する弁部材を駆動させる感温部を有する機械式のサーモユニットとして構成される。
また、給湯管11および給水管12には、それぞれ、上流側から順に、止水栓15、フィルタ16、および逆止弁17が設けられる。止水栓15は、機能部10についての部品の交換やメンテナンス等の際に用いられる。フィルタ16は、給湯管11または給水管12内を流れる湯または水の内部に存在する不純物を取り除く。逆止弁17は、給湯管11または給水管12内を流れる湯または水について、下流側から上流側への流れを規制する。
流調機能部14は、混合弁装置30と水栓本体5との間における湯水の通路となる吐水管18を構成する。吐水管18は、互いに分岐する第一分岐管18aおよび第二分岐管18bを有する。すなわち、吐水管18は、その上流側の端部が混合弁装置30に接続される一方、下流側の端部が水栓本体5に接続されるとともに、中間部分において、下流側にて合流する第一分岐管18aおよび第二分岐管18bを有する。
第一分岐管18aおよび第二分岐管18bには、それぞれ、上流側から順に、電磁弁19および定流量弁20が設けられている。電磁弁19は、開閉弁として機能する。つまり、第一分岐管18aおよび第二分岐管18bにおいては、電磁弁19の開閉動作によって連通状態および非連通状態が切り換わる。定流量弁20は、第一分岐管18aおよび第二分岐管18bのそれぞれにおける湯水の流量を一定の量に制限する。
このような構成を備える流調機能部14においては、次のようにして吐止水の切換えおよび湯水の流量の調整が行われる。本実施形態では、流調機能部14による湯水の流量は、二段階に調整される。具体的には、第一分岐管18aおよび第二分岐管18bは、管径の大きさや定流量弁20により制限される流量等の違いによって、流通させる湯水の流量が異なるように構成される。本実施形態では、第一分岐管18aの方が第二分岐管18bよりも多い流量の湯水を流通させる。
そして、流調機能部14による湯水の流量の調整においては、第一分岐管18aおよび第二分岐管18bのいずれもが連通した(電磁弁19が開いた)状態と、第二分岐管18bは連通しておらず(電磁弁19が閉じており)第一分岐管18aのみが連通した状態との二つの状態が用いられる。つまり、流調機能部14によれば、混合弁装置30から水栓本体5に供給される湯水の流量が、第一分岐管18aによる流量および第二分岐管18bによる流量の合計の流量(多流量)と、第一分岐管18aによる流量のみの流量(小流量)との二段階に切り換えられる。
したがって、流調機能部14における吐止水の切換えは、多流量の状態については、第一分岐管18aおよび第二分岐管18bの両方の電磁弁19の開閉により行われる。また、小流量の状態においては、第二分岐管18b側の電磁弁19は閉じた状態となるため、吐止水の切換えは、第一分岐管18aの電磁弁19の開閉により行われる。
以上のような流調機能部14による吐止水の切換えおよび湯水の流量の調整が、操作部6の押し操作によって行われる。なお、流調機能部14の構成は、本実施形態に限定されるものではない。つまり、流調機能部14における湯水の経路の構成(例えば分岐する管路の数等)や段階的に調整される流量の段階の数等は、湯水混合装置1の用途等により適宜設定される。
また、機能部10においては、給湯管11によって供給される湯の温度を検出するための給湯用サーミスタ21と、混合弁装置30から水栓本体5に供給される湯水の温度を検出するための湯水用サーミスタ22とが備えられる。本実施形態では、給湯用サーミスタ21は、給湯管11における止水栓15の上流側の位置に設けられている。また、湯水用サーミスタ22は、吐水管18における任意の位置に設けられる。本実施形態では、湯水用サーミスタ22は、吐水管18における上流側の端部の位置に設けられている。
機能部10においては、湯水混合装置1における各部を制御するためのコントローラ50が備えられる。コントローラ50は、操作部6における操作や湯水用サーミスタ22等により検出される温度に基づいて、第一分岐管18aおよび第二分岐管18bのそれぞれに設けられる電磁弁19の動作(開閉動作)、ならびに混合弁装置30の動作を制御する。すなわち、コントローラ50に対しては、操作部6からの操作信号、給湯用サーミスタ21からの検出信号、および湯水用サーミスタ22からの検出信号が入力される。また、コントローラ50からは、各電磁弁19に対する制御信号、および混合弁装置30(のモータ32)に対する制御信号が出力される。
コントローラ50は、操作部6、給湯用サーミスタ21、および湯水用サーミスタ22からの入力信号を受けるための入力インターフェイス、ならびに各電磁弁19および混合弁装置30に対する制御信号を出力するための出力インターフェイスを有する。また、コントローラ50は、制御プログラムや操作部6によって設定された湯水の流量・温度等を記憶する部分や、制御プログラム等に従って所定の演算を行う部分等を含む。なお、コントローラ50は、図示せぬACアダプタを介して電力の供給を受ける。
また、本実施形態の機能部10においては、手動での操作が可能な開閉弁23を有するバイパス管24が設けられる。バイパス管24は、給水管12に供給される水を、混合弁装置30および電磁弁19を迂回して、水栓本体5に供給する。したがって、本実施形態では、バイパス管24は、給水管12における逆止弁17の下流側の部分から分岐し、下流側の端部が吐水管18(第一分岐管18a)における定流量弁20の下流側に接続される。バイパス管24は、開閉弁23の手動操作のもと、停電時等の非常時において水栓本体5に対する水の供給に用いられる。
続いて、図3を用いて、混合弁装置30の構成について説明する。混合弁装置30は、前記のとおりサーモバルブ31とモータ32とを有する。図3に示すように、サーモバルブ31は、略筒状のケーシング33の内部に、円筒状の部材である弁体34を有する。弁体34は、ケーシング33の内部空間を形成するケーシング33の内周面に沿う外形(外径寸法)を有し、ケーシング33の内部においてケーシング33の筒軸方向(長手方向、図3における左右方向)に往復摺動可能に設けられる。以下では、ケーシング33の内部における弁体34の往復摺動方向(矢印B参照)を「弁移動方向」という。
ケーシング33の内部には、給湯管11により供給される湯、および給水管12により供給される水が流入し、混合する。このため、図3に示すように、ケーシング33は、混合弁装置30における湯の流入口である湯供給口33aと、同じく水の流入口である水供給口33bとを有する。湯供給口33aおよび水供給口33bは、ケーシング33の内部空間を外部に連通させる。したがって、前記のとおり混合弁装置30に接続される給湯管11および給水管12については、給湯管11がケーシング33の湯供給口33aに接続され、給水管12がケーシング33の水供給口33bに接続される。
弁体34は、その外周面によって湯供給口33aおよび水供給口33bのケーシング33内部に対する開口部の少なくとも一部を塞ぐことにより、湯供給口33aおよび水供給口33bからケーシング33の内部に流入する湯および水の流量を制限する。すなわち、弁体34は、ケーシング33の内部において弁移動方向に所定の範囲で移動可能に設けられ、その弁移動方向における位置によって、湯供給口33aおよび水供給口33bを塞ぐ面積を変化させる。したがって、湯供給口33aおよび水供給口33bは、ケーシング33の内部空間に対して、弁体34の弁移動方向の動きによって開度(湯供給口33aと水供給口33bとの開放比率)が調整されるように設けられる。
サーモバルブ31において、弁体34の弁移動方向の動きによって湯供給口33aおよび水供給口33bの開度が変化することは、ケーシング33の内部において混合する(ケーシング33の内部に供給される)湯と水との割合が変化することに対応する。つまり、サーモバルブ31において弁体34の弁移動方向における位置が調整されることにより、湯供給口33aおよび水供給口33bから流入した湯および水が混合することで得られる湯水である混合水(以下単に「混合水」という。)の温度が調整される。
このような構成において、湯供給口33aから流入する湯(矢印C1参照)、および水供給口33bから流入する水(矢印C2参照)は、弁体34を介してケーシング33の内部において混合水となり、ケーシング33において所定の部分に設けられる流出口33cから流れ出る(矢印C3参照)。本実施形態では、流出口33cは、ケーシング33の長手方向の一側(図3において右側)端部に形成される壁部33dに設けられる。また、円筒状の部材である弁体34においては、筒軸方向の両側が開口しており、弁体34はその内周面34aによって形成される空間に湯を通過させる。
このように、本実施形態の湯水混合装置1においては、混合弁装置30に設けられる弁体34が、移動可能に設けられその位置によって湯供給口33aおよび水供給口33bの開度を調整するための弁部材として機能する。
弁体34は、ケーシング33内において弁移動方向の両側から付勢された状態で支持される。弁移動方向における一側(流出口33cが設けられる側)については、弁体34は感温バネ35により付勢され、弁移動方向における他側(流出口33cが設けられる側と反対側)については、弁体34は付勢部材としてのバイアスバネ36により付勢される。これらのバネは、ケーシング33内において弁体34に付勢力を作用させて弁体34を駆動させる方向が弁移動方向に沿う姿勢で設けられ、弁体34を押圧付勢する。つまり、感温バネ35およびバイアスバネ36によって弁体34に作用する付勢力(押圧力)は、互いに対向し、感温バネ35の付勢力とバイアスバネ36の付勢力とが釣り合う位置に、弁体34が移動する。以下では、弁移動方向(ケーシング33の長手方向)について、弁体34に対して感温バネ35が位置する側(図3において右側)を「流出側」とし、その反対側(バイアスバネ36が位置する側、図3において左側)を「反流出側」とする。
感温バネ35は、形状記憶合金(SMA;Shape Memory Alloy)により構成されるコイルバネであり、温度の変化によって弁体34に作用させる付勢力を変化させ、弁体34を駆動させる。つまり、感温バネ35は、サーモバルブ31において、湯水の温度によって変化する付勢力を作用させることでサーモバルブ31が有する弁部材を駆動させる感温部を構成する。本実施形態では、感温バネ35による弁体34に対する付勢力は、温度が高くなることによって増加し、温度が低くなることによって減少する。感温バネ35は、ケーシング33において流出口33cが設けられる壁部33dと弁体34との間に挟まれた状態で設けられる。
バイアスバネ36は、ケーシング33内に設けられるバネ押さえ37によって押さえられるとともに、バネ押さえ37と弁体34との間に挟まれた状態で設けられる。バネ押さえ37は、略円筒状の部材であり、弁移動方向に移動可能に設けられる。
バイアスバネ36は、ケーシング33内に設けられるスピンドル38によってその移動方向について位置決めされる。具体的には、バネ押さえ37の内周面には、雌ネジ部37aが形成されている。バネ押さえ37の雌ネジ部37aには、スピンドル38の雄ネジ部38aが螺合する。スピンドル38は、ケーシング33内において、弁移動方向について所定の位置にて回転可能に支持された状態で設けられる。
したがって、スピンドル38が正逆方向に回転することにより、バネ押さえ37が弁移動方向の両側に移動する。つまり、バイアスバネ36から弁体34に作用する付勢力については、スピンドル38の回転にともなって、バネ押さえ37が流出側に移動する(弁体34側に近付く)ことによって増加し、バネ押さえ37が反流出側に移動する(弁体34から遠ざかる)ことによって減少する。
スピンドル38は、混合弁装置30に備えられるモータ32を駆動源として回転する。つまり、スピンドル38は、モータ32の出力軸32aに連結され、モータ32の回転にともなって回転する。モータ32の出力軸32aとスピンドル38の連結部分は、ケーシング33の反流出側の壁部33eを貫通する。したがって、モータ32は、ケーシング33に対して反流出側に配置され、ケーシング33の反流出側から、スピンドル38に対して回転を伝達する。そして、モータ32の回転方向および回転量(回転角度)により、バネ押さえ37の位置、つまりバイアスバネ36からの弁体34に対する付勢力の大きさが調整される。
このような構成において、ケーシング33内の混合水の温度が上昇することにより、感温バネ35の付勢力がバイアスバネ36の付勢力を上回ることで、弁体34がバイアスバネ36の付勢力に抗して反流出側に移動して、感温バネ35の付勢力とバイアスバネ36の付勢力とが釣り合う位置にくる。弁体34の反流出側への移動は、湯供給口33aを閉じる(開口部分を狭める)とともに水供給口33bを開く(開口部分を広げる)方向への移動に対応する。かかる弁体34の移動により、ケーシング33内に供給される湯の量は減少して水の量が増加することから、混合水の温度が低下する。
一方、ケーシング33内の混合水の温度が低下することにより、感温バネ35の付勢力がバイアスバネ36の付勢力を下回ることで、弁体34が感温バネ35の付勢力に抗して流出側に移動して、感温バネ35の付勢力とバイアスバネ36の付勢力とが釣り合う位置にくる。弁体34の流出側への移動は、湯供給口33aを開くとともに水供給口33bを閉じる方向への移動に対応する。かかる弁体34の移動により、ケーシング33内に供給される湯の量は増加して水の量が減少することから、混合水の温度が上昇する。
また、混合水の温度は、モータ32の駆動による弁体34の動作によっても調整される。すなわち、前述したようにモータ32の回転によってスピンドル38およびバネ押さえ37を介して調整されるバイアスバネ36の弁体34に対する付勢力が感温バネ35の付勢力を上回ることで、弁体34が感温バネ35の付勢力に抗して流出側に移動する。一方、モータ32の回転によってスピンドル38およびバネ押さえ37を介してバイアスバネ36の弁体34に対する付勢力が感温バネ35の付勢力を下回ることで、弁体34がバイアスバネ36の付勢力に抗して反流出側に移動する。
このように、混合弁装置30においては、感温バネ35の温度変化にともなう付勢力の変化による弁体34の動作、およびモータ32の駆動による弁体34の動作により、湯供給口33aおよび水供給口33bの開度が変化し、混合水の温度が調整される。そして、温調機能部13を構成する混合弁装置30による混合水の温度の調整が、操作部6の回転操作によって行われる。
以上のように、本実施形態の湯水混合装置1においては、混合弁装置30に設けられる感温バネ35が、混合水の温度変化にともなって変化する付勢力を弁体34に作用させることで弁体34を駆動(弁移動方向に往復移動)させる感温部材として機能する。つまり、本実施形態の湯水混合装置1においては、混合弁装置30が、給湯管11および給水管12が連通され、弁体34および感温バネ35を有し、混合水を流出させる混合弁として機能する。
また、本実施形態の湯水混合装置1においては、操作部6(図2参照)が、混合水の温度についての目標値である設定温度(以下「設定温度」という。)を設定するための温度設定操作部として機能する。また、湯水用サーミスタ22が、混合弁装置30から流出した混合水の温度を検出するための第一の温度センサとして機能し、給湯用サーミスタ21が、混合弁装置30に供給される湯の温度を検出するための第二の温度センサとして機能する。
そして、本実施形態の湯水混合装置1においては、コントローラ50が、混合弁装置30に対して弁体34を移動させるための制御信号を出力することで、混合水として設定温度の湯水が得られるように混合弁装置30を制御するフィードバック制御を行う。ここで、コントローラ50から混合弁装置30に対して出力される、弁体34を移動させるための制御信号は、モータ32に対する制御信号である。
以上のような構成を備える湯水混合装置1においては、吐水温度(混合水の温度)についてのフィードバック制御は、コントローラ50によって、操作部6からの操作信号および湯水用サーミスタ22からの検出信号に基づいて、混合弁装置30(のモータ32)が制御されることにより行われる。以下では、コントローラ50から混合弁装置30(のモータ32)に対して出力される制御信号を「弁制御信号」という。つまり、弁制御信号は、回転することで弁体34を弁移動方向に移動させるスピンドル38を回転させるための信号である(図3参照)。したがって、弁制御信号は、スピンドル38の回転角度(以下「スピンドル角度」という。)および回転方向についての信号である。
フィードバック制御においては、湯水用サーミスタ22によって検出された吐水温度(以下「検出温度」という。)が、狙いの温度(操作部6によって設定された設定温度)と比較され、その差に基づいて、サーモバルブ31が制御される。つまり、サーモバルブ31においては、検出温度と設定温度との差の大きさに応じてモータ32が制御されることで、検出温度と設定温度とのギャップが埋まるように、スピンドル38およびバネ押さえ37を介して弁体34が移動させられる。これにより、吐水温度が、設定温度を目標として随時補正される。
具体的には、フィードバック制御において、コントローラ50は、操作部6からの操作信号および湯水用サーミスタ22からの検出信号に基づき、検出温度と設定温度とを比較演算し、この演算結果に基づいて、弁制御信号を生成する。コントローラ50は、比較演算の結果、検出温度が設定温度よりも低い場合には、吐水温度を上昇させる弁制御信号を生成する。一方、コントローラ50は、比較演算の結果、検出温度が設定温度よりも高い場合には、吐出温度を下降させる弁制御信号を生成する。
ここで、コントローラ50において生成される弁制御信号は、検出温度と設定温度との温度差の大きさに応じて算出される。コントローラ50による弁制御信号の算出は、例えば、コントローラ50においてあらかじめ設定され記憶される設定温度とスピンドル角度との関係に基づいて行われる。
そして、本実施形態の湯水混合装置1においては、給湯管11によって供給される湯の温度(以下「給湯温度」という。)について所定の条件下で、前述のようなフィードバック制御が行われる。具体的には、給湯温度について、その時間あたりの変化量が一定値以下であり、かつ、設定温度以上である場合に、フィードバック制御が行われる。したがって、コントローラ50は、給湯用サーミスタ21により検出される給湯温度の時間あたりの変化量が一定値以下であり、かつ、給湯温度が設定温度以上であると判断した場合に、フィードバック制御を開始する。
図4は、吐水が開始されてからの給湯温度の時間変化の一例を示す。図4に示すグラフにおいて、横軸は吐水開始からの時間であり、縦軸は給湯温度である。図4に示すように、給湯温度は、一般的に、給湯管11に湯を供給する給湯器等からの配管内や給湯器内の滞留水等の影響を受けるため、吐水が開始されてから安定する温度となるまで(時刻t10参照)、若干の時間を要する。
そこで、本実施形態の湯水混合装置1においては、フィードバック制御の開始タイミングが、給湯温度が安定し、かつ、給湯温度が設定温度(図4、温度L0参照)以上である時とされる。つまり、フィードバック制御の開始タイミングが、コントローラ50によって、給湯温度が安定し、かつ、給湯温度が設定温度以上であると判断された時とされる。ここで、給湯温度の安定の度合いについては、給湯温度の時間あたりの変化量(以下「給湯温度変化量」という。)が一定値以下であるかどうかが、指標として用いられる。
このように、給湯温度について所定の条件下においてフィードバック制御が行われることにより、フィードバック制御が、給湯温度が設定温度以上であって安定した状態で行われる。これにより、より短時間で安定した設定温度の混合水が得られる。
このような給湯温度について所定の条件下のもとに行われるフィードバック制御は、設定温度に応じて、再吐水時を含み、吐水が開始された際に行われる。つまり、コントローラ50は、止水状態から一定時間経過後に吐水を再び開始する際等、吐水を開始する際に、その際の設定温度に応じて、給湯温度が安定し、かつ、給湯温度が設定温度以上であると判断した時に、フィードバック制御を開始する。
給湯温度について所定の条件下のもとに開始されるフィードバック制御について、具体的に説明する。図5は、給湯用サーミスタ21により検出される給湯温度の時間変化の一例を示す。図5に示すように、吐水開始時点(時刻t0)では、給湯器内の滞留水等の影響により、給湯温度は、設定温度である温度L1よりも低く、所定の傾きで上昇する(時刻t0〜時刻t1)。給湯器内の滞留水等の影響が消え始めると、実際の給湯温度が検出され始め、やがて給湯温度が設定温度を超える(時刻t2〜時刻t3)。
コントローラ50は、吐水を開始した際に、給湯温度変化量を算出する。図6は、給湯温度変化量の時間変化の一例を示す。図6に示すグラフは、図5のグラフにより表わされる結果が微分されることにより得られるものである。図6に示すように、給湯温度が所定の傾きで上昇する時刻t0から時刻t1までは、給湯温度変化量は、所定の値αで略一定である。この給湯温度変化量の値αは、フィードバック制御が開始される条件に含まれる給湯温度変化量の基準となる、一定値である給湯温度変化量(以下「基準変化量」という。)M1よりも大きい。
その後、時刻t2までは、給湯温度の変化について、時刻t1までの傾きよりも小さな傾きで給湯温度が変化しているため、時刻t1から時刻t2までは、給湯温度変化量の値βは、基準変化量M1よりも小さい。図6に示すように、本実施形態では、基準変化量M1の値が、給湯温度変化量の値αと値βとの間において設定されているが、図5に示すように、時刻t1から時刻t2までは、給湯温度が、設定温度である温度L1よりも低い。このため、フィードバック制御は開始されない。
図5に示すように、時刻t2以降、給湯器内の滞留水等の影響が消え始めることで、給湯温度が設定温度をある程度超えるまで急上昇する(時刻t2〜時刻t4)。この時間範囲においては、給湯温度について、設定温度に達する直前から設定温度を超えるまでの間は、温度変化が急勾配であるため、給湯温度変化量の値は、基準変化量M1よりも大きい。
そして、時刻t3以降は、給湯温度が設定温度を上回っており(図5参照)、さらに給湯温度が急勾配で変化した後に給湯温度の変化の勾配が緩やかとなる時刻t4以降は、給湯温度変化量の値は、徐々に小さくなり、やがて基準変化量M1よりも小さくなるように推移する(図6参照)。
本例においては、図5および図6に示すように、時刻t4以降の時刻である時刻t5の時点が、給湯温度が安定し(給湯温度変化量が基準変化量M1を下回り)、かつ、給湯温度が設定温度である温度L1以上となる時点に該当する。したがって、本例においては、コントローラ50は、時刻t5の時点から、フィードバック制御を開始する。
このように、給湯温度および給湯温度変化量がパラメータとして用いられ、これらのパラメータについて所定の条件が満たされた場合、フィードバック制御が開始される。これにより、給湯温度が設定温度以上であるとともに安定した時点で、吐水温度についてのフィードバック制御が即座に開始されることから、より短時間で安定した設定温度の混合水が得られる。
例えば、冬場等、給湯管11内に比較的低温の水が残存する場合、吐水が開始されると、その低温の水が混合弁装置30を介して流出し、湯水用サーミスタ22による温度検出の対象となる。この場合、フィードバック制御が行われると、吐水温度を最大限に上昇させるように(湯供給口33a側を最大に開口させるように)混合弁装置30が制御される。しかし、給湯管11には、給湯器等から供給される比較的温度の高い湯が流入するため、低温の水が流出した直後に、その温度の高い湯が混合弁装置30に供給される。つまり、湯供給口33a側が最大に開口したような状態で、温度の高い湯が混合弁装置30に供給される事態が生じる。このため、水栓本体5の吐水口5aから、設定温度を大きく上回る温度の混合水が吐出される場合がある。そこで、本実施形態のように、給湯温度が設定温度以上であるとともに安定した時点でフィードバック制御が開始されることで、設定温度を大きく上回る温度の混合水が吐出されるといった現象が防止される。
ところで、本実施形態の湯水混合装置1においては、混合弁装置30において、給湯管11によって供給される湯および給水管12によって供給される水の合流部分として、給湯管11および給水管12が連通する部分が存在する。本実施形体では、図3に示すように、混合弁装置30において、給湯管11が接続される湯供給口33a、および給水管12が接続される水供給口33bが開口するケーシング33の内部空間が、湯と水の合流部分となる。
このように混合弁装置30において湯と水の合流部分が存在する構成においては、供給される湯および水の圧力条件のブレや弁体34の位置等によって、給水管12から湯と水の合流部分に供給された水が給湯管11側に回り込んで流入する場合がある。こうした現象は、混合弁装置30に供給される水の圧力・量が、同じく混合弁装置30に供給される湯の圧力・量に対して比較的大きい場合に生じやすい。また、本実施形態のように給湯管11において下流側から上流側への湯の流れを規制する逆止弁17が設けられる構成においては、給湯管11における逆止弁17の下流側の部分に、給水管12側から給湯管11側に回り込んで流入した水が滞留する場合もある。
このように、混合弁装置30において湯と水の合流部分に供給された水が給湯管11側に回り込んで流入することにより、給湯管11に設けられる給湯用サーミスタ21によって検出される給湯温度が、実際の給湯温度に対応しない場合が生じる。つまり、給湯温度は給湯管11に設けられる給湯用サーミスタ21の監視データに基づいて測定されるため、給湯管11に水が流入することで、測定される給湯温度が実際の給湯温度に対して誤差を有する。かかる給湯温度についての誤差は、前述したように給湯温度について所定の条件下で行われるフィードバック制御による吐水温度の調整を妨げる原因となる。
例えば、前記のとおり給水管12から湯と水の合流部分に供給された水が給湯管11側に回り込んで流入することで、給湯管11における逆止弁17の下流側の部分に、給水管12側から給湯管11側に回り込んで流入した水が滞留する場合、給湯管11に設けられる給湯用サーミスタ21によって検出される給湯温度が設定温度にまで上昇しにくいという現象が生じることがある。かかる現象が生じた場合、給湯用サーミスタ21によって検出される給湯温度が設定温度以上とならない限り、フィードバック制御が開始されない。
そこで、本実施形態の湯水混合装置1は、次のような構成を備える。すなわち、混合弁装置30において湯と水の合流部分に連通する給湯管11は、混合弁装置30に対する下流側から上流側への湯の流れを規制する逆止弁17を有する。そして、給湯用サーミスタ21が、給湯管11における逆止弁17の上流側に設けられている。
具体的には、給湯管11に上流側から順に、止水栓15、フィルタ16、および逆止弁17が設けられる構成において、給湯用サーミスタ21が、止水栓15の上流側に配置される。したがって、給湯管11における止水栓15の上流側の部分の湯についての給湯温度が、給湯用サーミスタ21によって検出される。
このように、フィードバック制御が開始される条件を規定する給湯温度を検出するための給湯用サーミスタ21が、給湯管11において逆止弁17の上流側に設けられることで、給湯温度について所定の条件下で吐水温度についてのフィードバック制御が行われる構成において、狙いの温度(設定温度)に対する吐水温度のずれを低減することができるとともに、給湯温度を正確に検出することができ、確実なフィードバック制御を行うことができる。
すなわち、給湯管11における逆止弁17より上流側の部分においては、逆止弁17によって流れが規制されるため、管内の湯が、給水管12側から給湯管11側に回り込む水の影響を受けない。したがって、給水管12側から給湯管11側に水が回り込んだとしても、給湯用サーミスタ21は、給湯器等から給湯管11に供給される湯の温度を検出する。このため、フィードバック制御の開始タイミングが、正確な給湯温度に基づいて到来する。そして、例えば給水管12からの水が給湯管11側に回り込んだ状態であっても、フィードバック制御が開始された後は、湯水用サーミスタ22によって給水管12からの水の温度が検出されることで、フィードバック制御により、湯供給口33aの開度を大きくする方向に弁体34が移動する。これにより、給湯管11から供給される湯が、混合弁装置30における湯と水の合流部分に流れ込むこととなり、結果として、より短時間で安定した設定温度の混合水が得られる。
なお、給湯用サーミスタ21は、給湯管11において、逆止弁17よりも上流側に設けられればよい。したがって、本実施形態においては、給湯用サーミスタ21は、給湯管11において、止水栓15とフィルタ16との間、またはフィルタ16と逆止弁17との間に設けられてもよい。
また、給湯管11および給水管12が連通される混合弁装置30の構成は、本実施形態に特に限定されるものではない。ただし、混合弁装置30が、本実施形態のように感温バネ35を内蔵するサーモバルブ31を備える構成であることから、次のような効果が得られる。
すなわち、フィードバック制御が行われていない状態において、給湯管11に対して突然に高温の湯が供給された場合であっても、感温バネ35の付勢力の変化による弁体34の移動により、混合水の温度が設定温度に近いところで制御される。これにより、混合水の温度についてのオーバーシュートの可能性が非常に小さくなる。
具体的には、例えば、前回の止水時よりも高い温度の湯が、給湯管11から湯供給口33aを介してケーシング33内に供給されると、感温バネ35が、混合水の温度を感知してその感知温度によって付勢力を変化させて弁体34に対する付勢力を増大させる。これにより、弁体34は反流出側(図3において左側)に移動し、前回の止水時よりも高い温度の湯が湯供給口33aからケーシング33内に流入することを規制する。つまり、感温バネ35が、温度変化によって弁体34に対する付勢力を変化させることで、弁体34を反流出側に変位させ、ケーシング33内に対する高温の湯の急激な流入を規制する。これにより、混合弁装置30が設定温度に近いところで制御され、オーバーシュートの可能性が低くなる。このように、混合弁装置30として、感温部材としての感温バネ35を有する構成が用いられることにより、フィードバック制御の開始時点までに、可及的に早く設定温度に近い安定した温度の混合水を得ることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述してきた各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。したがって、本発明は、例えば、上下方向および左右方向に回動可能に設けられる一本の操作レバー(シングルレバー)を温度設定操作部とし、その変位にともなう機械的な動きによって、湯水について、操作レバーの上下方向の回動による流量の調整、および操作レバーの左右方向の回動による温度の調整が行われる、いわゆるシングルレバーの水栓を備える構成であっても適用可能である。