JP5563389B2 - 作業靴 - Google Patents
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Description
一方において、建設現場では重量物を運んだり、つま先の接地を伴う姿勢で鉄筋結束作業を行ったり、傾斜した屋根の上で作業を行う等、作業者が履く靴には様々な方向から力が働くことになる。また、地下足袋は軽量に形成されているので靴自体の剛性は低く、足にしっかりと装着するために、長靴のように足首部が長めに形成されている。
また、屋根などの高所で作業する靴としては、つまずきや引っかかりを起こしやすいような一般的な紳士靴タイプの靴のように、踵部分が突出した靴は適さない。しかし、一方において梯子や鉄筋を使った上り下りでは、靴底面に当該梯子や鉄筋と係合して滑り止めのような機能を発揮する形状部分があると便利である。
また、歩行時のつまづきを発生させることなく、梯子等の登り降り時には当該梯子等と係合する部位を有した作業靴の提供することを課題とする。
先端中央を除く左右の側壁下端に内側に向かって突出した折り曲げ片を有しない外周壁および当該外周壁とともに足先全体を覆う一個の収容空間を形成する上部壁を有した先芯と、先端に先芯を収容したアッパー体を有し、
先端から足の拇指球付近までを除いた前記アッパー体の底面に、弾力性のある素材によって形成したミッドソールを前方から後方に向かって次第に肉厚を増すように設けるとともに、
前記アッパー体およびミッドソールの底面に、柔軟性の素材によって形成した靴底を設けたことを特徴とする作業靴。
前記アッパー体の底面に設けた靴底を、靴先の前面部分まで延長して設けたことを特徴とする。
前記ミッドソールの略土踏まずに相当する領域の底面に凹所を形成することにより、当該ミッドソールに接着した靴底の接地面にも凹所を形成したことを特徴とする。
また、本発明は靴先の前面部分まで靴底面を延長した構造となっている。これにより、つま先を接地させなければならない作業姿勢が続く場合であっても接地部分が滑らず、かつ爪先部が損傷して先芯が露出することもなく円滑な作業が行えるようになっている。
また、本発明は、土踏まず付近の靴底面になだらかな湾曲面となるように形成された凹部を設けているので、急激な引っかかりによってつまずきを生じさせることなく、梯子や鉄筋との係合作用を発揮させることができるという効果を有している。
補強シートは、複合繊維素材8の補強および剛性を向上させることを目的として、それぞれ所定の箇所に設けられている。
補強シート9aは、上物体7の下端縁に沿って設けた帯状のシートとして設けられている。当該補強シート9aは、中底6付近の両側面部分に設けたものであり、アッパー体2の中底6の両側面を補強することにより、作業靴1の剛性を高めて足の保持作用を向上させるものである。その他の補強シート9b、9c、9dは、複合繊維素材8よって形成した袋状部分の形状保持、引っ張りに対する伸び防止等を目的として設けている。
上物体7の爪先部は、複合繊維素材8を爪先を覆うように立体的に閉塞させた形状を成しており、内部に先芯5を介在させた状態で、その表面を爪先補強部材12(12a、12b)によって覆っている。
爪先補強部材12は、前記補強シート9と同一の合成皮革シートによって形成されたものであり、上面を覆う上面部材12aと側面を覆う側面部材12bとを縫合し靴先に内蔵した先芯5を覆うよう形状に形成したものである。
爪先補強部材12を上面部材12aと側面部材12bの二部材によって形成したのは、一枚の合成皮革シートを立体的な湾曲形状にするには、強い張力によってシートを変形させながら先芯5表面に密着させる必要があるからである。強い張力でシートを先芯5表面に密着させるには、シートを引っ張って底面に接合させるための専用のつり込み装置が必要である。また、先芯5表面に密着させたシートは傷ができるとその部位から裂けて先芯を露出させやすくなる。以上の理由から爪先補強部材12は、無負荷の状態でもある程度先芯5の表面形状と近似した形状に形成し、極端に強い張力を要することなく先芯5を覆うようになっている。
アッパー体2の爪先部は、複合繊維素材8と爪先補強部材12との二重構造になっており、複合繊維素材8と爪先補強部材12の間に設けられた隙間に先芯5が装着されるようになっている。爪先補強部材12を固定している後端縁12cは、先芯5の後端縁近くに配置されるようになっている。
先芯5は、上記構造により中底6と靴底3によって固定された爪先補強部材12に保持されることになり、つま先部から移動することなく固定されるようになっている。
また、前記先芯5を装着し、爪先補強部材12の下端を引っ張って固定した中底6の底面には、靴底3が貼り付けられる。この靴底3の貼り付けは、足の土踏まず若しくは拇指球付近を境界として、その前方部分においては中底6に対して直接貼り付けられている。また、境界の後方部分では中底6の底面にミッドソール4を貼り付け、当該ミッドソール4に対して靴底3が貼り付けられている。
一般的な先芯は、下端から内側に折り曲げた所定幅のフランジ状の縁部として形成したスカートを有している。スカートは、先芯の上方から荷重がかかった際に、靴底に対する受圧面積を増大させ先芯の沈み込みを軽減させる効果を有するものである。一方、スカートは上記のように内側に向かって張り出した部分であるから、靴底が接する歩行面からの振動や起伏などの感覚的な情報を足裏に伝えにくいという性質を有している。
本発明では、歩行面からの振動や起伏などの情報が足裏に伝わり易くするためにスカートの無い先芯5を装着し、当該先芯5に作用する荷重はミッドソールが介在しない中底6の裏面に直接貼り付けた靴底3によって受けるようになっている。
なお、作業靴1の使用時には、アッパー体2の内部に足裏の形状に合わせて立体的に形成した中敷き(インナーソール)を装着する。中敷きは、前記ミッドソール4の外周部位によって補強された踵部の内面によって保持されるので、中敷きによってホールドされている足もアッパー体2の内部に保持される。これにより、歩行面が前後あるいは左右方向に傾いた傾斜面であっても靴内で足が滑らず、かつ高さを低く形成したアッパー体2によって足首の屈曲運動を妨げないようになっている。
また、前述のように本発明に用いる先芯5は、下端縁の所定幅を内側に折り曲げたスカートを設けていない。ミッドソールを有した靴の場合、先芯に荷重が作用するとミッドソールの沈み込みによって足先の空間が狭くなり足先が圧迫される。スカートは、このミッドソールの沈み込みによる空間の圧迫を軽減する作用を有しているが、ミッドソールの無い靴では、先芯の沈み込みはさほど生じない。そのため、本発明ではスカートの無い先芯を使用している。また、先芯にスカートがあると、足裏に伝わる靴底の形状変化や各種の情報伝達が阻害されるので、不安定な足場で作業する着用者にとっては、歩行面からの情報を得にくい靴となり好まれない。この点、本発明に係る靴は先芯にスカートを設けていないので歩行面からの情報が得やすい靴となっている。
すなわち、スカートの無い先芯とは、実質的な意味において、靴底3と足の指先や爪先部周辺との間に、靴底3の変形等を感じ取る際に障害となるような硬質の遮蔽物が存在しない先芯であれば良いということである。したがって、靴底3からの感覚的な情報が遮断されない程度の僅かな突出物を設けていたとしても、本発明に使用するスカートの無い先芯と同一である。
前記先端中央付近のみに突出させた上記の突出片21は、足裏に伝わる靴底面からの情報を阻害することなく、先芯20先端の浮き上がりを防止し、先芯20を靴内で移動させることなく適切な位置に保持する作用を有するものとなっている。
2 アッパー体
3 靴底
4 ミッドソール
5 先芯
6 中底
7 上物体
8 複合繊維素材
9 補強シート
9a 補強シート
10 月形補強芯
12 爪先補強部材
12a 上面部材
12b 側面部材
12c 後端縁
13 基部
14 接地ブロック
15 凹所
16 凹所
Claims (3)
- 先端中央を除く左右の側壁下端に内側に向かって突出した折り曲げ片を有しない外周壁および当該外周壁とともに足先全体を覆う一個の収容空間を形成する上部壁を有した先芯と、先端に先芯を収容したアッパー体を有し、
先端から足の拇指球付近までを除いた前記アッパー体の底面に、弾力性のある素材によって形成したミッドソールを前方から後方に向かって次第に肉厚を増すように設けるとともに、
前記アッパー体およびミッドソールの底面に、柔軟性の素材によって形成した靴底を設けたことを特徴とする作業靴。 - 前記アッパー体の底面に設けた靴底を、靴先の前面部分まで延長して設けたことを特徴とする請求項1記載の作業靴。
- 前記ミッドソールの略土踏まずに相当する領域の底面に凹所を形成することにより、当該ミッドソールに接着した靴底の接地面にも凹所を形成したことを特徴とする請求項1または2記載の作業靴。
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