JP5561831B2 - 変圧器内部故障検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、変圧器故障に伴って発生する初期段階の現象を検出し、電気設備の予防保全の観点から観測して、電気事故の発生を事前に防止するためのデータを得ることを目的とする。
大規模な受電設備では、従来より、電源側と負荷側との接続点に設置する変圧器に対し、変圧器の内部故障検出装置を配置して、前記変圧器に故障が発生した時にも、変圧器を保護することを可能にしている。前記変圧器の故障検知装置としては、大容量変圧器の保護装置として設置されているものであって、一般的な装置としては、比率作動継電器を用いている。
前記変圧器の内部故障検出装置は、短絡や地絡などを検知することを目的に、多く使用されているのであり、後で詳細に説明するが、変圧器に短絡等の重故障が発生した時に、変圧器を電路から遮断して、変圧器を保護することを第1の目的としている。
前記電路を遮断するために用いられている故障検出装置としては、例えば、特開平10−32922号公報等が、公知の技術手段として知られており、一般的な安全装置として比率作動継電器を用いることが行われている。
特開平10−32922号公報
前記公知技術として使用されている変圧器の故障検知装置では、比率作動継電器の原理として後で詳細に説明するように、キルヒホッフの第一法則を利用している継電器である。
ところが、前記比率作動継電器を用いた変圧器の内部故障検出装置では、変圧器の重故障時に、変圧器を電路から遮断することを主たる目的としているものであって、変圧器内部故障の前兆現象を検知することはできないものである。
前記従来の変圧器の保護装置では、比率作動継電器によって、変圧器が地絡、短絡事故となった場合に、自動的に電源側遮断機を遮断する方式のために、突発的な停電を避けることができないという欠点がある。また、前記比率作動継電器は、変圧器の全端子に変流器(以下「CT」という)を設置する必要があり、小規模の電気設備では、採用が困難であるなどの多くの問題がある。
本発明は、前記従来の比率作動継電器の欠点を解消して、変圧器内部の故障発生の初期段階での前兆を検知するもので、停電のような重大事故が発生する前に、変圧器の故障の発生の前兆の情報を得る機構を用いている。そして、高調波電流比較による変圧器内部故障検出装置として構成し、高調波電流比較による検知手段を用いることで、変圧器内部故障の初期段階での対応を可能とし、停電などの重大事故の発生を未然に防止可能とする情報として、容易に得ることを目的としている。なお、本実施例においては、周波数を50Hzで説明しているが、周波数が60Hzの地域では、60Hzと読み代えるものである。
本発明は、高調波電流比較による変圧器内部故障検出装置に関する。
請求項1の発明は、変圧器の一次側に配置した変流器の二次電流の高調波含有率を演算する、変圧器一次電流処理部と、前記変圧器の二次側に配置した変流器の二次電流の高調波含有率を演算する、変圧器二次電流処理部と、前記変圧器一次電流処理部の演算値と変圧器二次電流処理部の演算値を比較して、変圧器二次電流処理部の演算値に対する変圧器一次電流処理部の演算値の割合が一定以上となった場合に前記変圧器の故障と判断するデータを出力する、高調波含有率比較回路とを備えたことを特徴とする。
請求項2の発明では、前記変圧器の一次側と二次側に配置する変流器から、それぞれ得られる電流は、電流/電圧変換回路を通して、前記変流器で検出した電流を装置内で処理しやすいように電圧に変換し、次いで、
50Hz検出と高調波検出のためのバンドパスフィルタに向けて別々に伝達し、前記50Hz検出のバンドパスフィルタは、商用周波数成分の信号を検出し、
前記高調波検出のためのバンドパスフィルタは、商用周波数の高調波成分の信号を検出し、
前記商用周波数成分の信号と前記商用周波数の高調波成分の信号は、それぞれ高調波含有率演算回路に向けて伝達し、
前記高調波含有率演算回路は、変圧器一次側の電流の高調波含有率と、変圧器二次側の電流の高調波含有率をそれぞれ演算し、高調波含有率比較回路に伝達し、
前記高調波含有率比較回路では、変圧器一次電流の高調波含有率と、変圧器二次電流の高調波含有率を比較することにより、変圧器故障の初期段階での検出データとして出力可能にすることを特徴とする。
請求項3の発明は、前記高調波含有率比較回路では、変圧器一次電流の高調波含有率と、変圧器二次電流の高調波含有率を比較したデータが、あらかじめ設定した値を超過し、更に超過した時間が設定した時間を超過した場合に、警報を出力するように構成し、
前記変圧器の巻線に微少な放電や地絡が発生した場合でも、変圧器故障の初期の前兆現象として検出可能に構成したことを特徴とする。
請求項4の発明は、前記高調波検出のためのバンドパスフィルタが検出する高調波次数は、電気設備の内容、負荷の状況などにより自由に変更可能とし、また、高調波含有率は、高調波含有率=指定された高調波の実効値/基本波の実値で表して、特定の高調波次数の実効値と基本波の実効値の比を求めることを可能に構成したことを特徴とする。
前述したように構成したことにより、本発明においては、変圧器故障の初期段階で検出が可能である。すなわち、変圧器の巻線に微少な放電や地絡が発生した場合でも検出できるため、変圧器故障の初期の前兆現象が検出できる。
また、変圧器故障の初期の前兆現象を検出し、各種対策をとることができるため、突発的な停電を避けるなど、予防保全を図ることが可能である。
さらに、本装置は、キルヒホッフの第一法則を用いないため、変圧器の全端子にCTを設ける必要がなく、一次側1端子、二次側1端子に各1個のCTを設けるだけで、装置を動作可能と出来るために、回路に配置するCTの数が少なくても検出可能であり、低コスト化が図れる。
変圧器に故障のない場合の変圧器の一次側電流と二次側電流の高調波含有率はほぼ同一となり、負荷の高調波電流が増減した場合も、両者の高調波含有率も同じように変化するので、負荷の高調波電流の影響を受けないため誤報が少ない。
また、本装置は、高調波含有率又はひずみ率を比較する方式であり、負荷電流を直接比較する方式ではないため、変圧器の変圧比が大きく、変圧器の一次側電流と二次側電流値との差が大きい場合でも容易にできるとともに、CTの選定に際して、変圧器の変圧比、電気方式に対して自由度が高い。
前記比率作動継電器は、その原理から、一般的な高圧受電設備のように、変圧器一次側が非接地で二次側が接地されている電気設備への適用は困難であるが、本装置は、キルヒホッフの第一法則を用いないため、変圧器の一次側が非接地で、二次側が接地されている場合、または、双方が非接地の場合も容易に適用でき、変圧器の電気方式にとらわれることなく使用可能である。
本発明を適用するブロック図である。 従来の比率作動継電器を用いた検知装置の回路の説明図である。 図2の例において、保護範囲外で地絡が発生した例の説明図である。 図2の例において、保護範囲内で地絡が発生した例の説明図である。 変圧器が正常な状態の従来例の説明図である。 保護範囲外で地絡が発生した例の説明図である。
図示される例にしたがって、本発明の装置の構成を説明する。
図1に示す例は、本発明の装置の具体的な実施例の1つとして示しているものであり、電源側2Aと負荷側2Bとを、変圧器3を挟んだ状態で電路を接続する部分で、前記変圧器3を配置している電路の両側に変流器(以下「CT」と呼ぶ)5、6を設けている。そして、両側のCT5、6からそれぞれ入力される信号を処理し、前記2つの信号を比較して、絶縁の劣化などの情報を検出する故障検出装置10を配置して、変圧器3の内部故障検出装置1として設けている。
前記図1に説明する故障検出装置10において、前記2つのCT5、6から入力される情報は、それぞれのCTに接続された変圧器一次電流処理部11A、変圧器二次電流処理部11Bで処理して、高調波含有率比較回路19に入力する。そして、前記処理回路19で得られる比較情報から、変圧器内部故障が発生する前の情報を得て、その情報を用いて変圧器3の初期段階の故障に至る前のデータを知ることを可能にする。
前記故障検出装置10に設ける変圧器一次電流処理部11Aでは、CTからの信号を入力する電流/電圧変換回路12から、2つの並列に配置するバンドパスフィルタ13、15に伝達する。前記2つのバンドパスフィルタ13、15は、商用周波数50Hzと高調波との2種類の周波数を、それぞれ処理するために配置する回路であるが、前述したように60Hzの地域では、前記バンドパスフィルタ13は、60Hzに対応する処理回路として設ける。
また、バンドパスフィルタ15で処理する高調波の次数は、電気設備の内容、負荷の状況などにより、自由に切り替えて設定することができる。そして、前記2つの並列に配置したバンドパスフィルタ13、15では、電圧/電流変換回路12から伝達される情報を、処理しやすい電圧で受け取って処理し、前記CTで検出した電流波形の中から基本波成分と、高調波成分との2種の波の情報を検出する。
前記2つのバンドパスフィルタ13、15で得られた電流波形のデータは、演算回路17に伝達されて、前記2つのバンドパスフィルタの出力信号から、高調波含有率を得て、高調波含有率比較回路19に向けて出力する。
前記変圧器の変圧器一次電流処理部11Aと同様に、変圧器3の二次側に配置するCT6においても、前記一次側と同様な変圧器二次電流処理部11Bを配置しており、電流/電圧変換回路12aから並列する2つのバンドパスフィルタ13A、15Aに向けて信号を送る。そして、高調波含有率演算回路17Aから高調波含有率比較回路19にむけて、各バンドパスフィルタから出力された信号を伝達し、所定の処理の動作を施して、必要とする情報を得ることができる。
前述したように、故障検出装置10を用いた本実施例において、電路の分岐部に設けた変圧器の一次側と二次側との双方から電流の情報を得て、その情報を比較することで、変圧器内部故障の初期段階の故障を検出する情報処理方法は、電気設備の予防保全の観点から、未然に電気事故を防ぐことを目的として、提案しているものである。
即ち、従来より用いられていた変圧器の内部故障検出装置としては、比率作動継電器があり、変圧器の中での短絡、地絡などの検出を目的に、多くの大容量変圧器の保護装置として採用されているものであった。ところが、前記従来の装置では、変圧器の重故障時に変圧器を電路から遮断することが主目的であり、変圧器内部故障の前兆現象をとらえることはできない、という欠点が残っていた。
前記課題を内包する現行の比率作動継電器は、変圧器内部の短絡、地絡などの重故障の検出しかできないものであり、変圧器故障の初期段階の現象を検出する装置として用いて、保安レベルの向上や突然の低電を避けることができる機能を有する、検知装置を必要としていると、考えるのである。
そこで、まず、従来の変圧器の内部故障検出装置として多用されている比率作動継電器について、最初に説明する。
従来より変圧器の内部故障検出装置として、用いられている比率作動継電器は、短絡、地絡などの検出を目的に、多くの大容量変圧器の保護装置として採用されているものであるが、変圧器の重故障時に変圧器を電路から遮断することが主目的であり、変圧器内部故障の前兆現象をとらえることは出来ない。
比率作動継電器の原理と問題点を以下に説明すると、比率作動継電器の基本原理としては、キルヒホッフの第一法則(回路で導線が枝分かれしている点では、流れ込む電流と流れ出る電流の総和は等しいか、または、一本の導線では流れ込む電流と流れ出る電流は等しい。)を利用している継電器である。また、前記継電器では、電流の流入する点と、流出する点の電流の基本波周波数成分を比較し動作するのである。
次に、比率作動継電器の構成に関して説明すると、図2は比率作動継電器を用いた送電線保護の例を示したものであり、前記装置において、比率作動継電器20は継電器の動作を抑制する抑制コイル22、22aと、継電器を動作させる動作コイル21から構成される。
そして、電路2に配置するCT5a、6aで得られた電路の情報を継電器20に入力し、動作コイル21に流れる電流と、抑制コイル22、22aに流れる電流が一定の比率を超えた時に、継電器が動作して変圧器が故障したことの情報を出力する。
また、CTの構成と保護区間に関しては、A点及びB点は同じ変流比のものを用いており、保護区間はCTのA設置点からB設置点までの間となる。
なお、前記保護区間内で発生した故障(事故)は継電器が動作するが、保護区間外7で図3のように発生した事故については、継電器が動作しない。
さらに、抑制コイルと動作コイルに流れる電流に関して、保護区間外の故障で動作コイルに電流が流れない場合には、例えば、図3のA点のCTの二次電流をI1とし、B点のCTの二次電流をI2とすると、保護区間外で地絡事故電流Ifが流れた場合は、A点とB点のCT一次側に流れる電流が同じで、I1とI2が同じ大きさになるため、抑制コイルには電流が流れて、継電器の動作は抑制される。
前記動作コイルに流れる電流の大きさは、I1マイナスI2で「ゼロ」となり、動作コイルには電流が流れないため、継電器は動作しない。
保護区間内の故障で動作コイルに電流が流れる場合には、図4のように、保護区間内で地絡事故が発生し、故障電流Ifが流れた場合は、A点には故障電流Ifが流れ、B点の電流が「ゼロ」となるのである。したがって、A点の二次電流I1は、IfのCTの変流比に応じた電流が流れ、動作コイルには前記事故電流Ifに応じた電流が流れて、継電器は動作する。
変圧器保護の比率作動継電器に関しては、変圧器を保護する場合は図5に示すように構成され、変圧器の変圧比をa(一次電圧/二次電圧)とすると、CTの変流比(一次電流/二次電流)は、変圧器二次側のB点に電流が流れた場合に、A点及びB点のCT二次側の電流が同じになるように、選定される。
例えば、変圧比が10でA点のCT変流比が10/5アンペア(変流比ka=2)の場合、B点の変流比を100/5アンペア(変流比kb=20)に設定すると、B点に負荷電流が流れた場合には、A点及びB点のCT二次電流が等しくなる。(a×ka=kbで選定する。)
また、B点に負荷電流100アンペアが流れたと仮定すると、A点には10アンペアが流れ、A点及びB点のCT二次電流が5アンペアと等しくなる。
変圧器の保護区間は、送電線保護と同様に、CTのA設置点からB設置点までの間となる。
また、保護区間外の故障で動作コイル21に電流が流れない場合は、図6に示す例で、A点のCTの二次電流をI1とし、B点のCT二次電流をI2とすると、保護区間外7で地絡事故電流Ifが流れた場合は、A点とB点のCT一次側に流れる電流が同じで、I1とI2が同じ大きさになるため、抑制コイル22、22aには電流が流れ、継電器の動作は抑制される。
前記動作コイル21に流れる電流の大きさは、I1マイナスI2で「ゼロ」となり、動作コイルには電流が流れないため、継電器は動作しない。
変圧器が故障し変圧比が変化した場合に、例えば、変圧比がa=10でA点のCT変圧比が10/5アンペア、B点の変流比を100/5アンペアとし、A点に10アンペア、B点に負荷電流が100アンペア流れているとき、変圧器の巻線に層間短絡が発生し、変圧比がa=5となり、B点の電流が100アンペアと仮定したA点の電流が20アンペアとなる。
これにより、このときの、CT二次電流はA点が10アンペア、B点が5アンペアとなり、それぞれのCT二次電流に5アンペアの差が出るため、この電流が比率作動継電器の動作コイルに流れ、継電器は動作する。
内部が短絡した場合のうち、変圧器内部で短絡した場合には、A点には大きな短絡電流が流れ、短絡により変圧器の出力電圧は低下するため、B点の電流は大きく減少する。
これにより、B点のCT二次電流が比率作動継電器の動作コイルに流れ、継電器は動作する。
前記例とは別に、変圧器内部で地絡した場合は、地絡電流がA点を通過して大地に流れ、B点には地絡電流がA点を通過し大地に流れ、B点には地絡電流が流れないため、A点に流れた地絡電流がCT二次電流となり、比率継電器の動作コイルに流れるため継電器は動作する。
比率作動継電器は、その原理から、変圧器の全端子にCTを設置する必要があり、三相3線式の変圧器は一次及び二次の各相に設置するため、CTの設置数は計6個必要となる。
比率作動継電器の問題点に関して説明するに、まず、比率作動継電器は変圧器の地絡、短絡などの重故障を検出できるが、変圧器内部故障の前兆現象を捉えることはできない。
また、比率作動継電器は、変圧器が地絡、短絡事故となった場合に自動的に電源側の遮断器を遮断する方式のため、突発的な停電を避けることが出来ない。
前記比率作動継電器は、変圧器の全端子にCTを設置する必要があり、小規模の電気設備では設置が困難である。
その他に、比率作動継電器はその原理から、一般的な高圧受電設備で採用されている、変圧器一次側が非接地で二次側が接地されている電気設備への適用は困難である。(双方が非接地の場合は適用が容易である。)
比率作動継電器の問題点を解決するための着目点と手段では、変圧器故障の前兆現象を捉えるための着目点としては、変圧器の内部で巻線に相間短絡等の故障が発生した時、多くの高調波電流を含んだ故障電流が変圧器一次側に流れるが、変圧器二次側には故障に起因する高調波電流は流れない。
また、負荷設備で発生した高調波電流では、第10次以上の高次高調波成分が少なく、変圧器巻線の相間短絡等の絶縁劣化に起因する初期故障には、高次高調波電流が多くなる。
本願においては、前述したような従来の検知装置の問題を解決するために、前記図1に説明した検知装置を提案しているもので、前記説明のように、検知回路を組合わせて構成したことで、次のような動作原理にしたがって動作する。
まず、本装置の動作原理を説明するに、電路に流れる電流には、負荷設備等で発生する高調波電流も含まれており、故障電流が流れた場合に、高調波電流の大きさを比較しただけでは誤判断となる恐れがあるため、以下の動作原理とした。
・ 変圧器の一次側の電流と二次側の電流を別々に測定し、それぞれ高調波解析を行う。
・ 検出した一次電流、二次電流を、基本波周波数電流に対する高次高調波電流の割合(高調波含有率)を演算し、一次側演算値が二次側演算値に対し一定値以上となった場合に故障と判断する。
前述したような検知の動作をさせるために、回路の具体的な構成部材の条件と動作とを、図1のブロック図にしたがって、さらに説明すると、
まず、CT:CTの変流比の選定は、比率作動継電器と異なり、自由に選定できる。
また、電流/電圧変換回路では、前記CTで検出した電流を装置内で処理しやすいように電圧に変換する。
バンドパスフィルタ(50Hz検出)13は、CTで検出した電流波形には、電源周波数(50Hzまたは60Hz)と高調波成分が含まれるが、その中から電源周波数成分(基本波成分)の大きさを検出する。
別のバンドパスフィルタ(高調波検出)15は、CTで検出した電流波形の中から、高調波成分の大きさを検出する。また、検出する高調波次数は、電気設備の内容、負荷の状況などにより自由に変更することができる。
前記高調波含有率は、「高調波含有率=指定された高調波の実効値/基本波の実値」で表され、特定の高調波次数の実効値と基本波の実効値の比を求める場合は、ブロック図のようなバンドパスフィルタを用いる。また、ひずみ率を、「ひずみ率=高調波の実効値/基本波の実効値」として求める場合は、ある次数以上の周波数成分を通過するハイパスフィルタを用いることもできる。
この例の場合も、カットオフ周波数は電気設備の内容、負荷の状況などにより自由に変化させることが出来る。
図示する例において、演算回路17は、各フィルタの出力信号から前記の高調波含有率または、ひずみ率を演算し、比較回路に送出する。
前記2つの処理回路11Aと11Bで得られたデータを、入力して処理する高調波含有率比較回路19では、変圧器一次電流の高調波含有率と、変圧器二次電流の高調波含有率の比較回路で、予め設定した値を超過し、さらに、設定した時間を超過した場合等に、警報を出力することができる。
また、ひずみ率のデータを用いて、処理回路での比較をする場合は、この回路はひずみ率比較回路として構成することもできる。
前述した構成を有することで、本装置は、次のような特徴を発揮できる。
まず、本装置の特徴を、以下に列挙すると、
・ 変圧器故障の初期段階で検出が可能である。すなわち、変圧器の巻線に微少な放電や地絡が発生した場合でも検出できるため、変圧器故障の初期の前兆現象が検出できる。
・ 予防保全を図ることが可能である。つまり、変圧器故障の初期の前兆現象を検出し、各種対策をとることができるため、突発的な停電を避けるなど、予防保全を図ることが可能である。
・ 配置するCTの数が少なくても検出可能である。つまり、本装置は、キルヒホッフの第一法則を用いないため、変圧器の全端子にCTを設ける必要がなく、一次側1端子、二次側1端子に各1個のCTを設けるだけで使用出来るため、低コスト化が図れる。
・ 負荷の高調波電流の影響を受けないため誤報が少ない。すなわち、負荷の高調波の含有率は、変圧器の一次側電流と二次側電流に対して、ほぼ同一となり、負荷の高調波電流が増減した場合も、両者の高調波含有率も同じように変化するため、負荷の高調波電流の影響を受け難い。
・ 変圧器の変圧比、電気方式に対して自由度が高い。つまり、本装置は、高調波含有率または、ひずみ率を比較する方式であり、負荷電流を直接比較する方式ではないため、変圧器の変圧比が大きくて、変圧器の一次側電流と二次側電流値との差が大きい場合でも容易にできるとともに、CTの選定に際しての自由度が高い。
・ 変圧器の電気方式に囚われることなく使用可能である。例えば、前記従来例の比率作動継電器は、その原理から、一般的な高圧受電設備で採用されている、変圧器一次側が非接地で二次側が接地されている電気設備への適用は困難である。これに対して、本装置は、キルヒホッフの第一法則を用いないため、変圧器の一次側が非接地で、二次側が接地されている場合、または、双方が非接地の場合も容易に適用できる。
1 故障検出装置、 2 電路、 3 変圧器、 5、6 CT、
10 故障検出装置、 11 変圧器電流処理部、 12 電流/電圧変換回路、
13、15 バンドパスフィルタ、 17 高調波含有率演算回路、
19 高調波含有率比較回路、
20 比率作動継電器、 21 動作コイル、 22 抑制コイル。

Claims (4)

  1. 変圧器の一次側に配置した変流器の二次電流の高調波含有率を演算する、変圧器一次電流処理部と
    前記変圧器の二次側に配置した変流器の二次電流の高調波含有率を演算する、変圧器二次電流処理部と
    前記変圧器一次電流処理部の演算値と変圧器二次電流処理部の演算値を比較して、変圧器二次電流処理部の演算値に対する変圧器一次電流処理部の演算値の割合が一定以上となった場合に前記変圧器の故障と判断するデータを出力する、高調波含有率比較回路とを備えたことを特徴とする変圧器内部故障検出装置。
  2. 前記変圧器の一次側と二次側に配置する変流器から、それぞれ得られる電流は、
    電流/電圧変換回路を通して、前記変流器で検出した電流を装置内で処理しやすいように電圧に変換し、次いで、
    50Hz検出と高調波検出のためのバンドパスフィルタに向けて別々に伝達し、前記50Hz検出のバンドパスフィルタは、商用周波数成分の信号を検出し、
    前記高調波検出のためのバンドパスフィルタは、商用周波数の高調波成分の信号を検出し、
    前記商用周波数成分の信号と前記商用周波数の高調波成分の信号は、それぞれ高調波含有率演算回路に向けて伝達し、
    前記高調波含有率演算回路は、変圧器一次側の電流の高調波含有率と、変圧器二次側の電流の高調波含有率をそれぞれ演算し、高調波含有率比較回路に伝達し、
    前記高調波含有率比較回路では、変圧器一次電流の高調波含有率と、変圧器二次電流の高調波含有率を比較することにより、変圧器故障の初期段階での検出データとして出力可能とすることを特徴とする請求項1に記載の変圧器内部故障検出装置。
  3. 前記高調波含有率比較回路では、変圧器一次電流の高調波含有率と、変圧器二次電流の高調波含有率を比較したデータが、あらかじめ設定した値を超過し、更に超過した時間が設定した時間を超過した場合に、警報を出力するように構成し、
    前記変圧器の巻線に微少な放電や地絡が発生した場合でも、変圧器故障の初期の前兆現象として検出可能に構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の変圧器内部故障検出装置。
  4. 前記高調波検出のためのバンドパスフィルタが検出する高調波次数は、電気設備の内容、負荷の状況などにより自由に変更可能とし、
    また、高調波含有率は、高調波含有率=指定された高調波の実効値/基本波の実値で表して、特定の高調波次数の実効値と基本波の実効値の比を求めることを可能に構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の変圧器内部故障検出装置。
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