JP5561793B2 - ブラシレスモータの駆動制御装置 - Google Patents
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Description
図1は、車両駆動系における潤滑冷却システムの一例を示す。
自動変速機14には、トルクコンバータ12からのエンジン10の出力を入力として、減速した出力を出力軸16に伝達するために、複数の減速比を有する歯車の組み合わせを備えた歯車機構(例えば、遊星歯車機構)20が内蔵される。また、自動変速機14には、歯車機構20の歯車の組み合わせを変更するために、クラッチ22が設けられている。
しかし、その吐出流量を潤滑冷却システムが要求する最大流量未満に低減した場合、例えば、車両の全開走行時における変速などでクラッチ22が大トルクを受け過熱する状況では、機械式ポンプ24のみでクラッチ22を冷却するには冷却能力が不足し、クラッチ22が焼損するおそれがある。
このため、機械式オイルポンプ24による自動変速機14へのオイル供給流量が不足する状況では、電動オイルポンプ26を駆動させて不足流量を補う。
なお、本実施形態では、ブラシレスモータ28が、自動変速機14に付随する潤滑冷却システムの電動オイルポンプ26を駆動するが、この他、ハイブリッド車両などにおいて、発進クラッチに対してオイル供給を行う電動オイルポンプや、エンジン10の冷却水の循環に用いる電動ウォータポンプを駆動するブラシレスモータ28などであってもよく、ブラシレスモータ28が駆動する対象機器を本実施形態のオイルポンプに限定するものではない。
MDCU30は、目標回転速度演算部100と、モータ回転速度演算部102と、モータ操作量演算部104と、駆動回路106と、異常診断部108と、モータ情報送信部110と、を含んで構成される。
モータ回転速度演算部102は、ブラシレスモータ28の回転速度を検出対象とした図示省略の公知の検出手段(例えば、回転速度センサや誘起電圧のサンプリングなど)により検出された検出値に基づいて、ブラシレスモータ28の実際の回転速度を算出する。そして、算出された実際の回転速度を、モータ操作量演算部104、異常診断部108及びモータ情報送信部110へ送出する。
ATCU32は、マイクロコンピュータを備え、モータ情報受信部200と、信号解析部202と、車両走行制限部204と、ポンプ作動司令部206と、回転速度演算部208と、ポンプ流量演算部210と、ポンプ冷却量演算部212と、自動変速機発熱量演算部214と、要求回転速度演算部216と、要求回転速度送信部218と、を含んで構成される。
信号解析部202は、モータ情報受信部200から送出されたモータ情報信号よりステータス情報及び異常情報を取得する。そして、ステータス情報の内容に応じて、車両走行制限部204及びポンプ作動司令部206に後述する処理を行わせたり、回転速度演算部208に対してモータ情報信号の送出を行う。また、取得した異常情報を、ATCU32に内蔵されたフラッシュメモリなどの書き込み可能な不揮発性メモリに記憶させる。
ポンプ作動司令部206は、信号解析部202で取得したステータス情報に応じて、要求回転速度演算部216に対して、演算処理の内容を強制的に変更するように指令する。
ポンプ流量演算部210は、回転速度演算部208で算出されたブラシレスモータ28の回転速度に基づいて、電動オイルポンプ26により自動変速機14へ供給されるオイルの供給量を算出する。
自動変速機発熱量演算部214は、油温センサ34で検出された油温に基づいて、自動変速機14内で発生した発熱量を算出する。なお、この熱量は、自動変速機14の変速時のクラッチ22におけるクラッチトルク及び回転速度差に基づいて算出してもよい。
要求回転速度送信部218は、要求回転速度演算部216で算出された要求回転速度を制御指令信号としてMDCU30へ送信する。
ステップ303では、異常診断部108において、ブラシレスモータ28及びMDCU30に異常が発生したか否かの診断を公知の方法により実施する。
ステップ401では、前記ステップ303で実施された診断の結果に基づき、ブラシレスモータ28及びMDCU30に異常があるか否かを判定する。異常がないと判定された場合にはステップ403に進み(Yes)、異常があると判定された場合にはステップ402へと進む(No)。
ステップ404では、ブラシレスモータ28及びMDCU30の状態が回転可能異常である旨のステータス情報として、MDCU30からATCU32へ送信するモータ情報信号のデューティ比をD2(例えば、80%)と設定し、ステップ406に進む。
ステップ405では、ブラシレスモータ28及びMDCU30の状態が回転不能状態である旨のステータス情報として、MDCU30からATCU32へ送信するモータ情報信号のデューティ比をD3(例えば、30%)と設定し、ステップ407に進む。
しかし、高周波数帯においては、スイッチング素子の応答性の限界によりATCU32における周波数の認識精度が低下するとともに、MDCU30とATCU32との間の通信線における高周波ノイズの発生を抑制する対策回路が必要となる。
ステップ501では、モータ情報受信部200において、MDCU30から送信されたモータ情報信号を受信する。
ステップ503では、信号解析部202において、前記ステップ502で取得したステータス情報より、ブラシレスモータ28及びMDCU30に異常があるか否かを判定する。異常がない場合にはステップ505に進み(Yes)、異常がある場合にはステップ504に進む(No)。
ステップ505では、正常時処理を行い、ステップ506では、回転可能異常時の処理を行い、ステップ507では、回転不能異常時の処理を行う。
ステップ601では、回転速度演算部208において、信号解析部202から送出されたモータ情報信号より周波数を読み込む。そして、この周波数に基づき、ATCU32のROMなどにも記憶された図7(A)の回転速度−周波数マップを参照してブラシレスモータ28の回転速度を算出する。
ステップ604では、自動変速機発熱量演算部214において、自動変速機14内で発生した発熱量を算出する。
ステップ606では、要求回転速度送信部218において、前記ステップ605で算出された回転速度を制御指令信号としてMDCU30へ送信する。
ステップ701では、信号解析部202において、回転可能異常状態を示す第1の異常フラグをオンにする。また、この第1の異常フラグのオンに伴い、車両走行制限部204に対して、自動変速機14における変速負担を低減するように車両の走行を制限する指令を送出する。このとき、車両運転者に対して計器盤に設けられた警告表示灯などにより警告を発するなどの処理を行ってもよい。
ステップ702〜ステップ707では、図10の正常時処理におけるステップ601〜ステップ606と同様の処理を行う。
ステップ801では、信号解析部202において、回転不能異常状態を示す第2の異常フラグをオンにする。この第2の異常フラグのオンに伴い、車両走行制限部204に対して、回転可能異常時処理における車両の走行制限よりも厳しい走行制限を行うよう指令を送出する。このとき、正常時処理におけるステップ701と同様の警告処理を行ってもよい。
ステップ803では、要求回転速度演算部216において、要求回転速度を強制的に0とする。
ステップ804では、要求回転速度を0とする制御指令をMDCU30に送信する。
ステップ903では、ブラシレスモータ28及びMDCU30の状態が正常である旨のステータス情報として、MDCU30からATCU32へ送信するモータ情報信号の周波数をF1(例えば、100Hz)と設定する。
ステップ905では、ブラシレスモータ28及びMDCU30の状態が回転不能状態である旨のステータス情報として、MDCU30からATCU32へ送信するモータ情報信号の周波数をF3(例えば、50Hz)と設定する。
ステップ1001では、前記ステップ303で実施された異常診断の結果に基づき、ブラシレスモータ28及びMDCU30に異常があるか否かを判定する。異常がないと判定された場合にはステップ1002に進み(Yes)、異常があると判定された場合にはステップ1003へと進む(No)。
ブラシレスモータ28及びMDCU30に異常がない正常時(デューティ比=D1)には、図15(A)に示されるように、周波数認識可能範囲においてブラシレスモータ28の回転速度に比例する周波数が設定された回転速度−周波数マップを参照して、モータ情報信号の周波数を算出する。このようにモータ情報信号の周波数を算出することにより、周波数認識範囲をほぼ全て回転速度情報の送信のために使用できるので、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
回転速度の送信に割り当てられるモータ情報信号の周波数帯は、図15(A)と比較して狭くなっている。このため、ATCU32での周波数認識精度は、図15(A)を参照して算出される周波数のモータ情報信号をMDCU30から送信した場合と比べて低下し、自動変速機14を潤滑・冷却するための要求回転速度の演算精度が低下する。
しかし、異常時であっても、ブラシレスモータ28を停止させずに電動オイルポンプ26を駆動させるので、自動変速機14の潤滑・冷却が可能となる点で有意義である。
なお、第3実施形態において周波数−回転速度変換を行う場合にも、第1実施形態のように、周波数認識可能範囲において、低速域の回転速度に割り当てる周波数帯を広げる一方、中高速域の回転速度に割り当てる周波数帯を狭くしてもよい。
第4実施形態に係るモータ情報信号送信処理は、ステータス情報を周波数で設定し、回転速度情報又は異常情報をデューティ比で設定したモータ情報信号をMDCU30からATCU28へ送信している点で、第3実施形態と異なる。このようにしても、ブラシレスモータ28及びMDCU30が正常である場合には、デューティ比認識可能範囲をほぼ全て回転速度情報の送信のために使用できるので、第1実施形態と同様の機能を発揮して、同様の効果を奏することが可能である。また、ステータス情報の種類を減少させても、回転可能異常状態時にはブラシレスモータ28を停止させずに電動オイルポンプ26を駆動させるので、第3実施形態と同様の効果を奏することが可能である。
ステップ1102では、ブラシレスモータ28及びMDCU30の状態が正常である旨のステータス情報として、モータ情報信号の周波数をF1(例えば、200Hz)と設定し、ステップ1103では、ブラシレスモータ28及びMDCU30の状態が異常である旨のステータス情報として、モータ情報信号の周波数をF2(例えば、50Hz)と設定する。
なお、第1実施形態〜第4実施形態において、インバータとして機能するMDCU30による駆動制御対象をブラシレスモータ28としたが、これに限られず、MDCU30をPWM信号による速度制御回路を備えた駆動制御装置として、ブラシを備えた直流モータを駆動制御対象としてもよい。
(イ)請求項1又は請求項3に記載のブラシレスモータの駆動制御装置において、
前記情報送信手段は、ブラシレスモータが回転可能である場合、外部の上位制御装置がパルス幅変調信号の周波数又はデューティ比を認識できる認識可能範囲にわたって、パルス幅変調信号の周波数又はデューティ比を回転速度情報に応じて設定するブラシレスモータの駆動制御装置。
上記構成によると、ブラシレスモータが回転可能である場合には、認識可能範囲にわたって回転速度情報を送信することができるので、外部の上位制御装置において、回転速度情報の認識精度を最大限向上させことが可能となる。
前記情報送信手段は、前記パルス幅変調信号の周波数及びデューティ比のうち、一方の値を、回転速度に比例して変化するように設定するブラシレスモータの駆動制御装置。
上記構成によると、回転速度と周波数又はデューティ比との間に比例関係があるので、回転速度に所定の係数を乗ずることにより、直ちに周波数又はデューティ比を算出することができる。
前記情報送信手段は、前記回転速度が所定値以下の場合には、前記パルス幅変調信号の周波数及びデューティ比のうち一方の値を、前記回転速度に第1係数を乗じて設定し、前記回転速度が前記所定値より大きい場合には、前記一方の値を、前記回転速度に前記第1係数よりも大きい第2係数を乗じた値と、前記所定値に前記第1係数を乗じた値と、を加えて設定するブラシレスモータの駆動制御装置。
上記構成によると、外部の上位制御装置において、ブラシレスモータの低回転側の回転速度域における回転速度の認識精度を向上させることができる。
Claims (3)
- ブラシレスモータを外部の上位制御装置からの制御指令に基づいて駆動制御するブラシレスモータの駆動制御装置であって、
前記ブラシレスモータの回転速度情報、又は前記ブラシレスモータ及び前記ブラシレスモータの駆動制御装置に発生した異常の内容を表す異常情報をパルス幅変調信号により前記外部の上位制御装置に送信する情報送信手段を含んで構成され、
前記情報送信手段は、前記回転速度情報又は前記異常情報を前記外部の上位制御装置に送信するときに、前記パルス幅変調信号の周波数及びデューティ比のうち、一方の値を、前記回転速度情報又は前記異常情報に応じて設定し、他方の値を、前記異常が発生したときと発生していないときとで異なる値に設定し、
前記一方の値を前記回転速度情報に応じて設定した場合、前記一方の値は、前記回転速度情報の回転速度が所定値未満のとき、前記回転速度と第1係数との乗算値に基づく値であり、前記回転速度が前記所定値以上のとき、前記回転速度と前記所定値との差分に前記第1係数よりも小さい第2係数を乗じた値と、前記所定値に前記第1係数を乗じた値と、を加えた加算値に基づく値であることを特徴とするブラシレスモータの制御装置。 - 前記情報送信手段は、前記異常が発生した場合、前記ブラシレスモータが回転可能であるときには、前記一方の値を前記回転速度情報に応じて設定し、前記ブラシレスモータが回転不能であるときには、前記回転速度情報に応じて設定した前記一方の値とは別の値となるように、前記一方の値を前記異常情報に応じて設定することを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータの駆動制御装置。
- 前記情報送信手段は、前記異常が発生した場合、前記ブラシレスモータが回転可能であるときには、前記他方の値をさらに異なる値に設定して、前記一方の値を回転速度情報に応じて設定することを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータの駆動制御装置。
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