JP5561709B2 - Au基金属ガラス合金 - Google Patents

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Description

本発明は、大きなガラス形成能を有し、加工性、耐腐食性及び機械的特性に優れたAu基金属ガラス合金に関する。
溶融状態の合金を急冷することにより、薄帯状、フィラメント状、粉粒体状など種々の形状を有する非晶質固体が得られることがよく知られている。この非晶質固体から、単ロール法、双ロール法、回転液中紡糸法、アトマイズ法などの種々の方法で薄帯を作製することができるので、これまでにもFe系、Ti系、Co系、Zr系、Cu系、Pd系又はNi系について多くの非晶質合金が開発され、優れた機械的性質、高い耐腐食性等の非晶質合金特有の性質が明らかにされてきた。
非晶質合金は、ガラス遷移を示し、過冷却液体領域を有するため「金属ガラス合金」と呼ばれている。金属ガラス合金は、原子配列がランダムな構造をもつ金属であり、その原子配列の特異性から生じる種々の優れた機械的特性、例えば、ヤング率、高強度、耐食性などの点で優れた特色を有することが知られている。
また、金属ガラス合金は、加熱により生じるガラス遷移により、材料の粘性が急激に減少するため、材料加工が容易であるという特長を有する。
金属ガラス合金は、粘性低下に伴い塑性流動が生じやすくなるので、ガラス遷移温度以上に加熱し、材料の粘性を下げることにより加工を容易にすることが可能になる。しかし、ガラス遷移温度を越えて加熱を続けると、金属ガラス合金の結晶化のために脆化する問題点も有する。したがって、結晶化しない範囲でガラス遷移温度以上の温度で材料の塑性加工を行なう必要がある。したがって、その金属ガラス合金のガラス遷移温度(以下、「Tg」ということもある。)から結晶化開始温度(以下、「Tx」ということもある。)までの間の温度幅(「過冷却液体領域の温度幅」ΔTx=Tx−Tg。以下、「ΔTx」いうこともある。)が広いことが加工を実施するにあたり重要となる。
すなわち、金属ガラス合金は、低いTg、広いΔTx、高いガラス形成能、安定性、耐酸化性、優れた機械的特性、耐腐食性及びΔTx範囲内での加工に適した粘性率を備えていることが求められている。
本発明と関連するAu基ガラス合金では、Au−Siからなる2元系金属ガラス合金(非特許文献1)やAu−Cu−Pd−Ag−Siからなる金属ガラス合金(非特許文献2)が知られている。
W. Klement, R. H. Willens, P. Duwez, Nature.187 (1960) 869 J. Schroers, B. Lohwongwatana, W. L. Johnson, A. Peker, Appl. Phys. Lett. 87 (2005) 061912. B. Zhang, D. Q. Zhao, M. X. Pan, W. H. Wang, A. L. Greer, Phys. Rev. Lett. 94 (2005) 205502. J. F. Li, D. Q. Zhao, M. L. Zhang, W. H. Wang, Appl. Phys. Lett. 93 (2008) 171907.
Au−Siからなる2元系金属ガラス合金は、ガラス形成能が低く、室温での安定性に欠けている。Au−Cu−Pd−Ag−Siからなる金属ガラス合金は、ΔTxにおける安定性に優れ高いガラス形成能を有するが、Tgが約130℃である。
本発明は、100℃より低いTg、広いΔTx、高いガラス形成能、安定性、耐酸化性、優れた機械的特性、耐腐食性及びΔTx範囲内での加工に適した粘性率を有するAu基金属ガラス合金を提供することを目的とする。
本発明者らは、低いTgと高いガラス形成能を有し、優れた加工性、機械的性質、耐食性を兼ね備えたAu基金属ガラス合金について鋭意研究を行った結果、Au含量が50原子%を超えるとTgが低くなることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明のAu基金属ガラス合金は、AuCuAgPdSi(式中a,b,c,d,eは原子%であり、50<a<75、0<b<27.5、0≦c又はd≦10、17≦e≦20;ただし、c及びdは同時に0ではない。)で示される組成からなる。本発明のAu基金属ガラス合金のTgは377K未満であり、ΔTxは34K以上である。
本発明のAu基金属ガラス合金はTgが377K未満であり、34K以上のΔTxを有するので、低い温度での塑性加工が可能である。また、高いガラス形成能を有しているので、金型鋳造法でバルクとすることが可能である。また、展性を示す点で他の金属ガラス合金になかった特性を有する。
Au50Cu33Si17と実施例1で作製したAu75.5−xCuAg7.5Si17のDSC曲線を示す図である。 実施例1で作製したAu75.5−xCuAg7.5Si17のXRDパターンを示す図である。 実施例1で作製したAu75.5−xCuAg7.5Si17の圧縮応力−ひずみ曲線を示す図である。 室温における直径2mmのAu70Cu5.5Ag7.5Si17(実施例1で作製)の圧縮応力テストの破壊形状を示す像である。 室温における直径2mmのAu70Cu5.5Ag7.5Si17(実施例1で作製)の圧縮応力テストの破壊断面形状を示す像である。 Au60Cu15.5Ag7.5Si17(実施例1で作製)を97℃の湯中でU字形に曲げた像である。 Au60Cu15.5Ag7.5Si17(実施例1で作製)をプライヤーでクッキー形状にプレスした像である。 インプリントしたAu60Cu15.5Ag7.5Si17(実施例1で作製)の顕微鏡(SEM)像である。 1NのHClとHSO溶液中のAu60Cu15.5Ag7.5Si17(実施例1で作製)の分極曲線を示す。
以下、本発明を幾つかの実施形態について説明する。
(実施形態1)
本実施形態のAu基金属ガラス合金は、Au−Cu−Ag−Pd−Siの5元系の組成を有する金属ガラス合金である。
このAu基金属ガラス合金は、AuCuAgPdSi(式中a,b,c,d,eは原子%であり、50<a<75、0<b<27.5、0≦c又はd≦10、17≦e≦20;ただし、c及びdは同時に0ではない)で示される組成からなる。ここで、a,b,c,d,eは、a+b+c+d+e=100を満たし、それぞれ上述した範囲内で適宜選択することができる。好ましくは、60≦a≦70、0<b≦15.5、2.5≦c又はd≦5、e=17である。さらに好ましくは、60≦a≦70、5≦b≦15.5、2.5≦c又はd≦5、e=17である。
本実施形態のAu基ガラス金属は、Auの含有量が50原子%を超え75原子%未満の範囲内でガラス形成能が高く、直径が3mm以上の棒状に作製することができる。また、Cu含量を少なくし、その減少割合に見合った割合をAuにプラスすることで、Tgが377K未満にまで低下する。したがって、100℃程度の低い温度での可塑加工が可能となる。
本実施形態のAu基金属ガラス合金は、純度の高いAu、Cu、Ag、Pd及びSiをアーク溶融により製造することができる。
本発明にあっては、溶融状態から公知の単ロール法、双ロール法、回転液中紡糸法、アトマイズ法などの種々の方法で本実施形態のAu基金属ガラス合金を冷却固化させ、薄帯状、フィラメント状、粉粒体状の非晶質固体からなる板状とすることができる。
本実施形態のAu基金属ガラス合金は、組成金属を溶融し金型に充填鋳造することにより任意の形状の金属ガラス合金として製造して得ることができる。例えば、代表的な金型鋳造法においては、合金を石英管中でアルゴン雰囲気中に溶融した後、溶融金属を例えば0.01〜0.3kg・f/cmの噴出圧で銅製などの金型内に充填凝固させることで、鋳造体としての金属ガラス合金を得ることができる。さらに、ダイカストキャスティング法及びスクイズキャスティング法などの製造方法を適用することもできる。
(実施形態2)
この実施形態の金属ガラス合金は、Au−Cu−Ag−Siの4元系の金属ガラス合金である点で実施形態1のものと異なる。本実施形態2のAu基金属ガラス合金は、Au 75.5−x CuAg7.5Si17(xは原子%で、2.5<x<27.5)で示される組成からなる。好ましくは、Auの含有量が60原子%以上70原子%以下の範囲である。この範囲では、Tgが100℃以下であり、かつガラス形成能が高く、直径が4mm以上の棒状の金属ガラス合金を作製することができる。したがって、100℃程度の低い温度での可塑加工が可能となる。実施形態1同様、純度の高いAu、Cu、Ag、Pd及びSiをアーク溶融により製造することができる。
本実施形態2のAu基金属ガラス合金のガラス遷移温度(Tg)は339K〜377K、結晶化開始温度(Tx)は375K〜419K、液相線温度(Tl)は652K〜680Kである。Auの含有割合が増えるに従いTgとTxは低くなる傾向があり、逆にTlは高くなる傾向にあるため、Auの含有量は、50原子%以上70原子%以下の範囲が好ましい。特に、Tgが377KのAu基金属ガラス合金はこれまでに知られている他の金属ガラス合金の中でも低い部類に属するものである。
過冷却液体領域の温度幅(ΔTx)は36K〜50K、換算ガラス化温度(以下、「Trg」ということもある。Trg=Tg/Tl)は0.499〜0.578、ガラス形成能と非晶質の安定性との総合的指数であるγ値(=Tx/(Tg+Tl))は、0.368〜0.407である。
ここで、ΔTxとは結晶化に対する抵抗力、すなわちガラス形成能と非晶質の安定性の関係を示すもので、本明細書では、0.33K/sの加熱速度で示差走査熱量分析(DSC:Differential Scanning Calorimetry)を行なうことで得られるガラス遷移温度Tgと結晶化温度Txの差で定義される値である。
Trgとはガラス形成能を示すもので、ガラス遷移温度Tgと液相線温度Tlの比で定義されるものである。本明細書では、液相線温度Tlは2MPaの圧縮応力の下、0.33K/sの加熱速度で示差熱量分析(DTA: Differential Thermal Analysis)を行なうことにより得られる値である。
前述したように、Au含有量の増加によってTlが上昇し、Trg値とγ値が低下するため、本実施形態のAu基ガラス金属合金は、ガラス形成能が低下する傾向にある。しかし、本実施形態のAu基金属ガラス合金は、Auの含有量が50原子%を超え75原子%未満の範囲内では十分なガラス形成能を有しており、直径が3mm以上の棒状の金属ガラス合金を作製することができる。
本実施形態のAu基金属ガラス合金の機械的特性は、圧縮破壊強度(σc.f)は643MPa〜935MPa、ヤング率(E)は46.6GPa〜65.4GPa、ビッカース硬度(Hv)は264〜353である。なお、本実施形態のAu基金属ガラス合金の機械的特性は、低いTgを示すCe基金属ガラス合金(非特許文献3)やCa基金属ガラス合金(非特許文献4)に関する機械的特性に比べ優れた値を示している。また、本実施形態のAu基金属ガラス合金は、破壊断面に血管パターン構造を有しており、展性を示す点で他の金属ガラス合金になかった特徴がある。過冷却状態で10〜10Pa・Sの粘性率を有し、100℃以下の温度での可塑成形が可能である。
溶融状態から公知の単ロール法、双ロール法、回転液中紡糸法、アトマイズ法などの種々の方法で本実施形態のAu基金属ガラス合金を冷却固化させ、薄帯状、フィラメント状、粉粒体状の非晶質固体からなる板状とすることができる。
本実施形態のAu基金属ガラス合金は、組成金属を溶融し金型に充填鋳造することにより任意の形状の金属ガラス合金として製造して得ることができる。例えば、代表的な金型鋳造法においては、合金を石英管中でアルゴン雰囲気中に溶融した後、溶融金属を例えば0.01〜0.3kg・f/cmの噴出圧で銅製などの金型内に充填凝固させることで、鋳造体としての金属ガラス合金を得ることができる。さらに、ダイカストキャスティング法及びスクイズキャスティング法などの製造方法を適用することもできる。
(実施形態3)
この実施形態3は、Au−Cu−Pd−Siの4元系の金属ガラス合金である点で実施形態1の金属ガラス合金と異なる。この実施形態3のAu基金属ガラス合金は、Au77.5−yCuPd7.5Si17(yは原子%で、2.5<y<27.5)で示される組成からなる。好ましくは、Auの含有量が60原子%以上70原子%以下の範囲である。この範囲では、Tgが100℃以下であり、かつガラス形成能が高く、直径が4mm以上の棒状の金属ガラス合金を作製することができる。したがって、100℃程度の低い温度での可塑加工が可能となる。実施形態3にあっても、実施形態1同様、純度の高いAu、Cu、Ag、Pd及びSiをアーク溶融により製造することができる。
以下、実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明する。
Au75.5−xCuAg7.5Si17(x=25.5,15.5,10.5,5.5)の組成を持つ多成分合金インゴットを、高純度アルゴン雰囲気中で純度各99.5%のAu、Cu、Ag及びSiの混合物を用いてアーク溶融により製造した。直径1〜7mmの円柱用銅製鋳型を用い、アルゴン雰囲気下で、溶融紡糸によって試料を作った。
Cu−Kα源を用いるX線回折(XRD)(RINT−Ultima;理学製)で試料の構造を検査した。
金属合金の熱安定性は、示差操作熱量分析(DSC:Differential Scanning Calorimetry)により行い、機器はDSC6000(セイコーインスツル製)を用いて0.33K/sの加熱速度で行った。
温度依存性有効粘性は、示差熱量分析(DTA:Differential Thermal Analysis)により行い、熱機械分析計(TMA Q−400,TA社、USA)を用いて、2MPaの圧縮応力の下、0.33K/sの加熱速度で行った。
圧縮荷重下での機械的特性はInstron5581試験機(Instronコーポレーション、USA)を用いて測定した。圧縮テストにおいては2mmと4mmの試料を用い、歪み速度を5×10−4/sの条件で行った。破断面をJSM−6610(JEOL製)を用い走査型電子顕微鏡(SEM)で調べた。
耐腐食性は、1NのHClとHSO溶液中の電気化学的測定値で評価した。
図1にAu50Cu33Si17とAu75.5−xCuAg7.5Si17(x=25.5,15.5,10.5,5.5)のDSC曲線を示す。横軸は温度、縦軸は発熱を示す。
Au50Cu33Si17のCuの割合をAgに置き換えることにより、Tgが低くなっていることがわかる。
Au50Cu33Si17とAu75.5−xCuAg7.5Si17及び比較のための他の金属ガラス合金のTg,Tx,ΔTx,Tl,Trg,γ値,ガラス形成能(dc),機械的特性値(Hv,σc.f,E)を表1に示す。
Au50Cu33Si17のTgは107℃、ΔTxは23℃、ガラス形成能はdc<1mmであったが、Au50Cu33Si17のCuの割合をAgに置き換えることにより、過冷却液体及びガラス形成能が著しく向上し、Tgは377K未満に低下している。
Au55Cu20.5Ag7.5Si17のTg,ΔTx,dcは、それぞれ、375K,364K,4mmである。
Au60Cu15.5Ag7.5Si17のTg,ΔTx,dcは、それぞれ、359K,44K,5mmである。
Au65Cu10.5Ag7.5Si17のTg,ΔTx,dcは、それぞれ、342K,50K,4mmである。
Au70Cu5.5Ag7.5Si17のTg,ΔTx,dcは、それぞれ、339K,36K,3mmである。
Auの含有割合が増えるに従いTgとTxは低くなる傾向があり、逆にTlは高くなる傾向にあるため、Auの含有量は、50原子%以上70原子%以下の範囲が好ましい。この範囲では、Tgは377K未満である。より好ましくは、Auの含有量は60原子%以上70原子%以下の範囲である。この範囲ではTgが100℃より低くなっている。
一番広いΔTxである50Kは、Au含有量65原子%であった。
Au含有量の増加によってTlが上昇するため、Trg値とγ値が低下することから、本発明のAu基ガラス金属合金は、ガラス形成能が低下する傾向にある。しかし、本発明のAu基金属ガラス合金は、Auの含有量が50原子%以上70原子%以下の範囲内では十分なガラス形成能を有しており、直径が3mm以上の棒状の金属ガラス合金を作製することができる。
なお、Ca65Li9.96Mg8.54Zn16.5やCe70Cu20Al10は、Tgが低いものの、耐腐食性が本発明のAu基ガラス金属合金より悪い。
図2にAu75.5−xCuAg7.5Si17(x=25.5,15.5,10.5,5.5)のX線回析(XRD)を示す。縦軸はX線回折強度(任意目盛)を示し、横軸は角度(°)、即ち、X線の原子面への入射角θの2倍に相当する角度を示している。
Au75.5−xCuAg7.5Si17(x=25.5,15.5,10.5,5.5)は、検出されるほどの鋭いブラッグピークを持たない一連の広い回折最大点のみから成ることが分かる。このことは、試料が非晶質であることを示すものである。
機械的特性テストにより、金属ガラス合金Au75.5−xCuAg7.5Si17が643MPa〜935MPaの圧縮破壊強度(σc.f)、46.6GPa〜65.4GPaのヤング率(E)、264〜353のビッカース硬度(Hv)を有していることが示された。
図3に、Au75.5−xCuAg7.5Si17の圧縮応力−歪み曲線を示す。横軸は歪み、縦軸は圧縮応力を示す。歪み速度は5×10−4/秒で測定した。
表1にも示したように、Au50Cu 25.5 Ag7.5Si17、Au60Cu15.5Ag7.5Si17、Au65Cu10.5Ag7.5Si17、Au70Cu5.5Ag7.5Si17のσc.fは、それぞれ、935MPa,832MPa,726MPa、643MPaであった。
また、ヤング率、ビッカース硬度は、表1に示す。
室温における直径2mmのAu70Cu5.5Ag7.5Si17の圧縮応力テストによる破壊状況を図4a及び図4bに示す。図4aに示すように、最大せん断応力面に沿って破壊が生じ、破壊は加荷重方向に向けて約45度の傾きをもっていた。また、図4bに示すように、破壊断面はベインパターン模様が発達していた。
Au75.5−xCuAg7.5Si17(x=25.5,15.5,10.5,5.5)は、過冷却状態で10〜10Pa・Sの粘性率を有し、100℃以下の温度で可塑成形が可能であり、低い温度での可塑性を有することが分かる。図5aは、Au60Cu15.5Ag7.5Si17を97℃の湯中においてピンセットでU字形に曲げた像である。また、図5bはプライヤーでクッキー形状にプレスしたものである。Au60Cu15.5Ag7.5Si17の表面にはプライヤー面のパターンが形成されている。なお、直径がナノサイズであっても、インプリントが表面に複写されることを確認している。
図6は、Au60Cu15.5Ag7.5Si17を多孔質アルミナ上で100MPaの圧力で92℃、180秒の等温保持(Isothermal processing)により得られた、直径約200nmナノロッドの顕微鏡(SEM)像である。
以上の結果により、成型処理、インプリンティング処理、エンボス処理や他の熱成形処理が可能であることを示している。
さらに、Au75.5−xCuAg7.5Si17(x=25.5,15.5,10.5,5.5)は、高い耐腐食性を備えている。耐腐食性は、1NのHClとHSO溶液中の電気化学的測定値で評価した。図7にAu60Cu15.5Ag7.5Si17の分極曲線を示す。比較例としてステンレスSUS316L(図中、点線で示す)を用いた。縦軸は電流密度、横軸は電位を表わす。
1NのHCl溶液中で、金属ガラス合金は、10−3Am−2オーダを自発的不動態として、電位の増加とともに第二の不動態に近づいていた。金属ガラス合金は、1NのHSO溶液中では塩酸中に比べて不動態を示す電位幅が広く、低い電流密度にあり、両方の溶液及びすべての電位において、SUS316Lステンレスよりも遥かに低い陽極電流密度を示している。このことは、Au60Cu15.5Ag7.5Si17の耐腐食性がSUS316Lステンレスより優れていることを示している。
実施例1と同様にして、AuCuAgPdSi(式中a,b,c,d,eは原子%であり、50<a<75、0<b<27.5、0≦c又はd≦10、17≦e≦20;ただし、c及びdは同時に0ではない。)とAu77.5−yCuPd7.5Si17(yは原子%で、2.5<y<27.5)組成を持つ多成分合金インゴットを作製し、温度特性を調べた。結果及び比較のための他の金属ガラス合金のTg,Tx,ΔTx,Tl,Trg,γ値,ガラス形成能(dc)を表2に示す。
Au60Cu18Si17PdのTg,ΔTx,dcは、それぞれ、98℃,44℃,4mmである。
Au70CuSi17PdのTg,ΔTx,dcは、それぞれ、81℃,34℃,4mmである。
金属ガラス合金がAu77.5−yCuPd7.5Si17(yは原子%で、2.5<y<27.5)で示される組成を有し、特に、Auの含有量が60原子%以上70原子%以下の範囲においては、Tgが100℃以下であり、ガラス形成能も高いことが分かる。
Au60Cu10.5Si17Ag7.5PdのTg,ΔTx,dcは、それぞれ、102℃,42℃,5mmである。
Au60Cu15.5Si17AgPd2.5のTg,ΔTx,dcは、それぞれ、91℃,55℃,5mmである。
Au60Cu15.5Si17Ag2.5PdのTg,ΔTx,dcは、それぞれ、98℃,46℃,5mmである。
Au70CuSi17PdのTg,ΔTx,dcは、それぞれ、81℃,34℃,4mmである。
Au70Cu5.5Si17Ag2.5PdのTg,ΔTx,dcは、それぞれ、82℃,34℃,3mmである。
Au70Cu5.5Si17AgPd2.5のTg,ΔTx,dcは、それぞれ、74℃,48℃,3mmである。
金属ガラス合金がAuCuAgPdSi(式中a,b,c,d,eは原子%であり、50<a<75、0<b<27.5、0≦c又はd≦10、17≦e≦20;ただし、c及びdは同時に0ではない)で示される組成を有し、特に60≦a≦70、5≦b≦15.5、2.5≦c又はd≦5、e=17の範囲では、Tgが102℃以下であり、ガラス形成能も高いことが分かる。
以上述べたように、AuCuAgPdSi(式中a,b,c,d,eは原子%であり、50<a<75、0<b<27.5、0≦c又はd≦10、17≦e≦20;ただし、c及びdは同時に0ではない。)で示される組成を有する金属ガラス合金は、低いガラス遷移温度、高いガラス形成能、広い過冷却液体領域、優れた機械的特性と耐腐食性、耐酸化性及び約100℃以下の温度で塑性加工性を有する。これらの優れた特性のコンビネーションにより、科学やマイクロ/ナノマシン、バイオエンジニアリング、高密度データ記録媒体、及び装飾等の領域に応用可能である。

Claims (6)

  1. AuCuAgPdSi(式中a,b,c,d,eは原子%であり、50<a<75、0<b<27.5、0<c≦10、0<d≦10、17≦e≦20)で示される組成からなる、Au基金属ガラス合金。
  2. AuCuAgPdSi(式中a,b,c,d,eは原子%であり、60≦a≦700<b≦15.5、2.5≦c≦5、2.5≦d≦5、e=17)で示される組成からなる、Au基金属ガラス合金。
  3. 前記Au基金属ガラス合金のガラス遷移温度が377K未満である、請求項1又は2に記載のAu基金属ガラス合金。
  4. 前記Au基金属ガラス合金の過冷却液体領域の温度幅(ΔTx=Tx−Tg;ここで、Txは、結晶化開始温度、Tgはガラス遷移温度を示す。)が34K以上である、請求項に記載のAu基金属ガラス合金。
  5. Au 75.5−x CuAg7.5Si17(xは原子%で、2.5<x<27.5)で示される組成からなる、Au基金属ガラス合金。
  6. 前記Au基金属ガラス合金のヤング率が643MPa以上である、請求項5に記載のAu基金属ガラス合金。
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