JP5558421B2 - 液体処理装置及び液体処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液体処理装置及び液体処理方法に係り、特に、懸濁物の除去に好適な液体処理装置及び液体処理方法に関する。
膜分離活性汚泥法(MBR)と逆浸透(RO)膜ろ過を組合せた下排水膜処理設備では、RO膜を透過しないMBR処理水、即ち、RO膜処理の濃縮水は、有機物などの被分離被分解物質が濃縮された濃縮水として排水される。RO膜処理の濃縮水は有機物濃度やリン,窒素濃度が高いため、例えば非特許文献1に示されるように、環境を保全するため排水処理施設を経由して排水される。この濃縮水処理では、有機物の分解除去が必要とされるが、その分解除去法として、例えば非特許文献2に示すオゾン酸化と活性炭吸着を組み合わせる処理法が知られている。
一方、MBRでは下排水の最初沈殿池流出水を処理する際に、活性汚泥の生物膜において余剰汚泥が発生する。余剰汚泥は、その増加にともなって一部を引き抜いて埋め立てや焼却処分するが、汚泥処理コストが過大となる課題がある。余剰汚泥は、低分子化(可溶化)しMBR反応槽に戻して生物処理に用いることによって減容できることが知られている。可溶化の方法としては、例えば非特許文献3に示すようにオゾン酸化法がある。
そこで、RO膜で分離される濃縮水の圧力を利用してオゾンを溶解し、ノズルで減圧発泡させて直径が約50μm前後オゾンマイクロバブルを生成し、このオゾンマイクロバブルを含む濃縮水を反応槽に導入して酸化分解処理を行う膜処理設備が特許文献1に開示されている。この膜処理設備では、MBR反応槽から引き抜いた余剰汚泥を反応槽に投入し、その有機物成分の一部を可溶化するとともに、可溶化しなかった汚泥の固形成分(濁質成分)を浮上分離させて除去する技術が用いられている。反応槽内の水位を上げることによって、オゾンマイクロバブルを含む濃縮水が可溶化しなかった固形成分を巻き込んで、水面近傍のホッパーからに排水される。また、可溶化された余剰汚泥は再びMBR反応槽に戻されて生物処理される。
また、特許文献2に示されるように、処理水槽の水面近傍にスカム回収器(ホッパー)を設け、被処理水の水処理運転中にスカムが水面に蓄積した場合、弁操作で水位を上昇させて、懸濁物を一部の被処理水とともにスカム回収器に取り入れて排出する方式がある。この特許文献2では被処理水を供給する流路を処理水槽の上部に設置し、被処理水を壁面に沿わせて供給することにより、壁面に付着したスカムを洗浄する例が示されている(図4)。
また、特許文献3に示されるように、懸濁物質を浮上分離する装置として、掻き寄せ機構(スキマー)で浮上分離槽の水面上に浮上した懸濁物質を掻き寄せて排出口から排出するものがある。
特開2011−72939号公報 特開2009−34558号公報 特開平9−234458号公報
「膜を利用した新しい水処理」,株式会社エヌ・ティー・エス,303−316頁,2000年 吉澤政宏, 他,「琵琶湖流域下水道における超高度処理実証調査について(第4報)」,第45回下水道研究発表会講演集,743−745頁,2008年 安井英斉, 他,「余剰汚泥を生成しない活性汚泥法の運転例, 環境技術」,VOL.28,No.8,527−531頁,1999年
非特許文献1では、放流先の水質基準に対応して濃縮水中の有機物を分解除去する設備が必要である。その方法の一つとして、非特許文献2に開示されたオゾンと活性炭による処理では、オゾン発生のための電力と活性炭の消耗にともなう維持管理のコストが増加する。また、濃縮水の処理水を再生水として利用する場合、濃縮水に対する有効利用可能な処理水の比である回収率を高める必要がある。
下排水処理では余剰汚泥を濃縮,脱水,乾燥処理する必要があるが、余剰汚泥の含水率が高いと処理コストが増加する。非特許文献3に記したオゾンによる可溶化処理は余剰汚泥を減容できる効果があるが、余剰汚泥の含水率低減については考慮されていない。
特許文献1は、濃縮水処理や余剰汚泥処理を目的として、濃縮水にオゾンガスを混合しマイクロバブルを生成して、反応槽でオゾン酸化と懸濁物の浮上分離を行う処理方式である。反応槽水位のコントロールでホッパーに懸濁物を流入させている。しかし、本発明者らの検討によると、汚泥由来懸濁物のホッパーへの回収の駆動力が図3(a)に示すようにホッパー近傍の流れのせん断力のみであるため弱く、壁面近傍によどみ域(図中の領域A)が生じて、懸濁物全量の回収に多量の処理水と長時間を要することが分かった。このため、ホッパーで回収した懸濁物の含水率が高く、且つ処理水の回収率が低下する可能性がある。
特許文献2(図4)は、処理水槽壁面の洗浄目的で被処理水を壁面に流下させるものである。この特許文献2においては、懸濁物を浮上分離させるため構成が明示されていないが、被処理水中にオゾンマイクロバブルを生成し被処理水として供給することは想定されないものである。即ち、壁面への衝突,飛散でオゾンが気相中に移行してオゾン利用効率が低下するからである。また、マイクロバブルの上昇過程で懸濁物を接触付着させるためには、オゾンマイクロバブルを生成した被処理水を処理水槽の水面下、好ましくは処理水槽下部に流入させる必要があり、壁面に衝突させると懸濁物の浮上分離効果が得られないからである。なお、壁面の洗浄に外部の水源あるいは処理水槽から流出する処理水を用いる方法が考えられるが、このためには水源と散水の水頭を得るための動的なポンプ等の機器やループが必要である。
特許文献3では、掻き寄せ機構(スキマー)とその駆動機構を構成する機械装置の設置やその維持管理が課題となる。
本発明は、液体ポンプ等の大きな動力を要する機器や掻き寄せ機構等の動的な機械装置を設けることなく懸濁物を効率的に回収することが可能な液体処理装置および液体処理方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、被処理水に気泡を接触させて被処理水から懸濁物を浮上分離する接触槽と、接触槽内に上方に開口した開口部が配置され浮上分離した懸濁物を捕集する回収器を有し、懸濁物を浮上分離させるため気泡を含む被処理水を接触槽の水位より下方から接触槽に圧送し、また、接触槽の水位を上昇させて懸濁物を回収器に捕集するようにした液体処理装置及び液体処理方法において、懸濁物を浮上分離して処理水を接触槽から配水流路に取り出す際には、接触槽内を大気開放して浮上分離を行い、懸濁物を回収器で捕集する際には、接触槽の水面よりも高い位置に設けたタンクと連通する流路と被処理水を供給する流路以外は接触槽内と外部との連通を遮断し、接触槽内に被処理水を供給することにより、接触槽内を加圧して処理水がタンクに移送されるようにするとともに、その後、接触槽を大気開放してタンクに貯水された処理水を散水若しくは噴射して懸濁物が回収器の開口部に向かう流れを作るようにしたものである。
また、懸濁物を回収器で捕集する際に、接触槽の水面よりも高い位置に設けたタンクへの処理水の移送を、上記構成に替えて、一旦、配水流路よりも低い位置に設けたタンク(低位置タンク)に貯水した後に、この低位置タンク内の気相部を加圧して低位置タンクから行うようにしても良い。
本発明によれば、浮上分離した懸濁物を回収器に捕集する際に、処理水を散水若しくは噴射することにより懸濁物が回収器に向かう流れを作るようにしているので、掻き寄せ機構等の動的な機械装置を設けることなく懸濁物を効率的に回収することができる。そして、散水若しくは噴射に用いる処理水が接触槽の水位よりも高い位置に設けたタンクから供給されるようにし、そして、このタンクへの処理水の移送が、接触槽内を加圧できる状態にして、被処理水を接触槽の下方に圧送する際の圧力を利用して行われるので、液体ポンプ等の大きな動力を要する機器を設ける必要がない。この結果、懸濁物を効率的に低コストで回収することが可能となる。
また、高位置タンクへの処理水の移送を、一旦、低位置タンクに貯水してこの低位置タンクから行うようにした場合においても、移送のための動力(気相部を加圧する動力)として、被処理水を接触槽の下方に圧送する際の圧力を利用することができ、また、圧縮機を用いる場合でも液体ポンプを用いて揚水する場合と比べて設備コスト及び運転コストが小さくて済むので、懸濁物を効率的に低コストで回収することが可能となる。
また、送風機によって懸濁物が回収器の開口部に向かう流れを作るようした場合においいても、液体ポンプを用いて揚水する場合と比べて設備コスト及び運転コストが小さくて済むので、懸濁物を効率的に低コストで回収することが可能となる。
第1の実施形態に係る液体処理装置を設けた膜処理装置の構成を示す図である。 第1の実施形態に係るオゾンマイクロバブルを注入する接触槽の構造を示す横断面図であり、図2(b)のB-B’断面図である。 第1の実施形態に係るオゾンマイクロバブルを注入する接触槽の構造を示す縦断面図であり、図2(a)のA-A’断面図である。 比較例における懸濁物の排出に対する接触槽内の液相の流れを示す縦断面図である。 第1の実施形態に係る懸濁物の排出に対する接触槽内の構造と液相の流れを示す縦断面図である。 第1の実施形態に係る接触槽に懸濁物の量を計測する手段を設けた構造を示す縦断面図である。 第1の実施形態に係る接触槽内の回収器の設置高さを低くした構造を示す縦断面図である。 第2の実施形態に係る接触槽内の構造と液相の流れを示す縦断面図である。 第3の実施形態に係る接触槽内の構造と液相の流れを示す縦断面図である。 参考例に係る接触槽内の構造と液相の流れを示す縦断面図である。 の実施形態に係る液体処理装置を設けた膜処理装置の構成を示す図である。
≪第1の実施形態≫
以下、本発明の第1の実施形態について、適宜図を参照して詳細に説明する。
第1の実施形態は、例えば下水や産業排水をオゾンガスで再生処理する下排水処理装置に本発明を適用したものであり、膜分離活性汚泥法(MBR)を典型とする生物反応槽で下水や産業排水を処理し、さらに逆浸透(RO)膜で高水質の再生水を生成する膜処理設備に関するものである。
本実施形態では、被処理水はRO膜処理で除去された被分離物質を含む濃縮水(RO濃縮水)である。また、被処理水に生成する気泡はオゾンマイクロバルブである。即ち、気泡を生成する原料ガス(元ガス)としてオゾンが用いられる。また、RO濃縮水の残留圧力を利用してオゾンマイクロバブルが生成される。オゾンマイクロバルブによって濃縮水中の被分離物質とMBRから接触槽に供給された余剰汚泥が酸化分解処理され、酸化分解処理後に残る懸濁物が浮上分離される。RO濃縮水はRO膜処理による残留圧力を利用して接触槽に圧送されるようになっている。
本実施形態の基本構成は、生物反応槽と、生物反応槽の処理水を加圧してRO膜処理装置に送水するポンプと、RO膜処理装置でろ過された処理水が配水されるRO膜処理水流路と、RO膜処理で除去された被分離物質を含む濃縮水が排水される濃縮水流路と、濃縮水流路にオゾンガスを混合するガス混合器と、オゾンガスが混合した濃縮水を導入して濃縮水にオゾンを溶解する溶解水槽、溶解水槽から出た濃縮水を減圧発泡させてオゾンマイクロバブルを生成するノズルと、気密状態を形成可能な構造を有し運転水位より下方においてノズルと連通しオゾンマイクロバブルを含む濃縮水が供給される接触槽と、接触槽内に供給された濃縮水に同伴するマイクロバブルによって浮上分離した懸濁物を捕集する回収器と、回収器から懸濁物を排出する排出流路と、排出流路に設けられた開閉弁Aと、接触槽から処理水を配水する配水流路と、配水流路に設けられた開閉弁Bと、接触槽の液面より高所に設けられた洗浄液タンクと、接触槽内の回収器開口部より上方に設置された散水口を有する液体ヘッダー(散水器)と、開閉弁Cを介して液体ヘッダーと洗浄水タンクを連通する洗浄液流路と、配水流路の開閉弁Bより上流部と洗浄水タンクを連通する揚水流路と、排ガス処理装置と、開閉弁Dを介して接触槽内の気相部と排ガス処理装置を連通する排ガス処理流路と、開閉弁A〜Dの開閉を制御する制御装置を設けたものである。
そして、本実施形態の処理方法は、通常運転モードと懸濁物除去モードの2種の運転モードを有し、通常運転モードでは開閉弁Aと開閉弁Cを閉じ、開閉弁Bと開閉弁Dを開いて、接触槽内に供給した濃縮水にマイクロバブル生成装置で生成したオゾンマイクロバブルを反応させるとともに、懸濁物を吸着させて接触槽水面に浮上分離し、懸濁物の除去モードでは、第1工程で開閉弁Bと開閉弁Dを閉じて揚水流路を除く接触槽に連通する流路を閉じ、接触槽に圧送される濃縮水の圧力を利用して洗浄液タンクに処理水の一部を揚水して貯水し、第2工程で開閉弁Aと開閉弁Dを開き、濃縮水の接触槽への流入によって水位を上昇させ、浮上分離した懸濁物を回収器開口部から接触槽外に排出するとともに、開閉弁Cを開いて洗浄水タンクから洗浄水を液体ヘッダーに供給し、液体ヘッダーからの接触槽壁面に散水して、浮上分離した懸濁物に接触槽壁面から回収器開口部に向かう流れを誘起し、回収器で懸濁物を回収して排出流路から排出し、浮上分離した懸濁物の排出後に開閉弁Bを開き、開閉弁Aと開閉弁Cを閉じて通常運転モードに復帰するようにしたものである。
以下、図面を参照しながら本実施形態の膜処理設備の構成を詳細に説明する。
膜処理設備100は、MBRで下水や産業排水を処理し、さらにRO膜で高水質の再生水を生成する構成である。原水となる下水あるいは産業排水は、最初沈殿池25に流入し、上澄み液がMBRの生物膜反応槽34に流入する。生物膜反応槽34に設けられた精密ろ過膜33で分離されたMBR処理水は、高圧ポンプ2で加圧されてRO膜処理装置1に加圧供給される。RO膜を透過した処理水が再生水流路18から再生水の利用用途に配水され、RO膜を透過せず有機物などの被分離被分解物質が濃縮された濃縮水がRO膜処理装置1から濃縮水流路11を通って排水される。濃縮水流路11には、順にオゾン混合器3,エアベント8を有する溶解水槽4及びノズル6が接続され、ノズル6の下流は接触槽5に連通する。
濃縮水流路11を流れる濃縮水は、オゾン混合器3においてオゾン発生装置7で発生したオゾンガスが混合される。オゾン混合器3は、好ましくはエゼクタ等の濃縮水の動圧を利用した気液接触方式を用いる。濃縮水に混合されたオゾンガスは、エアベント8を有する溶解水槽4内で濃縮水にオゾンガスが溶解する。このオゾンガスが溶解した濃縮水は、ノズル6での圧力損失に相当する圧力に加圧されており、溶解効率が高い。
接触槽5は、仕切板36a,36bで上下迂流構造に仕切られるとともに、気密構造をとり、後述の各流路に設けられた開閉弁の開閉を制御することにより接触槽内の気相を加圧できる状態にする。ノズル6で発生したマイクロバブル29を含む濃縮水が、接触槽5に注入される。また、生物膜反応槽34から引き抜かれた余剰汚泥が、余剰汚泥供給ポンプ30と開閉弁35(開閉弁G)を備えた余剰汚泥流路31からノズル6の接続口より上方の接触槽5水中に供給される。同様に、エアベント8で分離された未溶解のオゾンガスも、ノズル6の接続口より上方の接触槽5水中に供給される。余剰汚泥は、濃縮水中のオゾンのマイクロバブル29によって酸化処理されて生物処理が容易な可溶化状態になり、残った固形成分は懸濁物32として、マイクロバブル29の浮上分離効果によって接触槽の水面近傍に浮上する。懸濁物32が浮上分離した後の処理水は、生物膜反応槽34の返流水や放流水として配水流路9から配水される。
このような膜処理設備100において、接触槽5水面上方空間に浮上分離した懸濁物を回収するため、上方に開口した開口部を有する回収器23を設ける。開閉弁14(開閉弁A)を有し回収器23の開口部から懸濁物を排出する排出流路13によって回収器23と接触槽5の外部を連通する。また、懸濁物の回収を効率的に行うため液体ヘッダー24が設けられている。液体ヘッダー24は、接触槽5の液面より高所に設けられた開放構造の洗浄液タンク15の下部と、開閉弁16(開閉弁C)を有する洗浄水流路17で連通される。また。配水流路9に開閉弁10(開閉弁B)が設けられ、配水流路9の開閉弁10の上流側と洗浄水タンク15の上部が揚水流路19で連通される。接触槽5の上部空間に放出された未溶解のオゾンガスは、排オゾンとして開閉弁21(開閉弁D)を有する排ガス回収流路22を通り、オゾン分解触媒や活性炭処理を行う排ガス処理装置20によって分解され大気中に放出される。この排ガス処理装置20は気泡を生成する原料ガスとしてオゾンが用いられる場合は必要となるが、原料ガスが浮上分離を行うことを主目的とする液体処理装置において用いられる空気等の場合には必要がない。
次に、図1から図3(b)を用いて、懸濁物の浮上分離と懸濁物の回収作用を説明する。膜処理設備100の懸濁物除去運転を、余剰汚泥を含む濃縮水中の懸濁物を浮上分離する通常運転モードと、浮上分離した懸濁物を接触槽5から除去する懸濁物除去モード分ける。
通常運転モードでは、開閉弁14と開閉弁16を閉じ、開閉弁10と開閉弁21を開く。即ち、懸濁物の浮上分離は接触槽5を大気開放状態にして行われる。また、開閉弁35が開いており、生物膜反応槽34の余剰汚泥が、余剰汚泥供給ポンプ30で接触槽5内の濃縮水に混合される。接触槽5内の濃縮水と余剰汚泥は、オゾンガスのマイクロバブル29によって酸化処理され、濃縮水と余剰汚泥の有機物が分解される。特に、COD成分の有機物が分解され生物処理に適した有機物成分に変性する可溶化処理水は、返流水として生物膜反応槽34に戻すことによって、難分解性のCOD成分の生物処理が可能になる。また、余剰汚泥に由来する懸濁物32は、マイクロバブル29の接触付着効果によって図1に示すように接触槽5の水面付近に浮上分離する。
懸濁物除去モードでは、第1工程として開閉弁14と開閉弁16に加えて、開閉弁10と開閉弁21を閉じて濃縮水流路11と揚水流路19を除く接触槽5に連通する流路を全て閉止する。開閉弁35については、余剰汚泥が接触槽5に供給される際に圧力が掛かるため開閉状態は問わないが、余剰汚泥供給ポンプ30を停止して開閉弁35を閉じても良い(即ち、「濃縮水流路11と揚水流路19を除く接触槽5に連通する流路を全て閉止」とは接触槽と圧力(より正確には揚水流路19内の水頭圧力よりも高い圧力)が掛かる状態で連通しているものは除外して「閉止」ということである。)。以上の弁の開閉操作によって、接触槽5内の気相を加圧できる状態にする。この状態において、ノズル6から注入される濃縮水の動圧によって接触槽5内の気相の圧力が高くなり、処理水が配水流路9から揚水流路19を通り、洗浄水として洗浄水タンク15に貯水される。接触槽5内の圧力は、揚水流路19内の水頭圧力が掛かるため大気圧より高くなる。尚、図示しないが、本実施の形態では、ポンプの運転や各開閉弁の開閉を制御する制御器が設けられている。洗浄水タンク15の水位を図示しないセンサで計測し、満水になった時点で各開閉弁を後述のように開閉制御し、運転を懸濁物除去モードの第2工程に切り替える。但し、ポンプの運転や開閉弁の開閉を手動で行うことも可能である。
第2工程では、第1工程の各弁の開閉状態から、開閉弁14と開閉弁21、及び開閉弁16を開く。これによって、接触槽5内の圧力は大気圧まで低下するとともに、ノズル6から注入される濃縮水によって接触槽5内の水位が上昇して回収器23の外周を超え、回収器23からの懸濁物32を含む濃縮水の接触槽5外への除去が始まる。一方、洗浄水タンク15内の洗浄水が、図2(a)及び図2(b)に示すように液体ヘッダー24に開いた散水口43から、接触槽5の壁面に衝突し流下する。壁面を流下した洗浄水の一部は、接触槽5壁面から懸濁物32の外周部に流れる。
ホッパー(回収器)と水位上昇による従来の懸濁物除去では、図3(a)に示すように懸濁物32が回収器23に捕集される流体力学的駆動力が、懸濁物32下面に作用する濃縮水の流れにともなうせん断力のみであったため、懸濁物がホッパーに回収される前に多量の濃縮水がホッパーに流れ込むことになり、そして、懸濁物32の除去に長時間を要していた。このため懸濁物全量の回収に多量の処理水と長時間を要し、ホッパーで回収した懸濁物の含水率が高く、且つ処理水の回収率も低下することになる。
本実施形態では図3(b)に示すように,接触槽5の壁面から懸濁物32に向かう洗浄水の流れが生じるため、洗浄水による壁面から回収器23への押し出しで、懸濁物32の回収が促進され、懸濁物32の除去時間が大幅に短縮される。
その結果、懸濁物32を回収器23から接触槽5外に除去する時間が短縮され、回収器23から懸濁物32に同伴して排出される水量が減少する。これによって、回収された懸濁物32の含水率が減少し、回収した懸濁物32が形成する余剰汚泥の濃縮,脱水,乾燥に要する動力や電力を低減できる。また、懸濁物32に同伴して排出される水量の減少は、接触槽から配水される処理水の水量増加に繋がり、処理水を再生利用する場合の処理水回収率を増加できる。
回収器23から接触槽5外への懸濁物32の除去の後、通常運転モードに復帰するため、開閉弁14と開閉弁16を閉じ、開閉弁10を開く。懸濁物除去モード第1工程で開閉弁35を閉じ余剰汚泥供給ポンプ30を停止した場合は、通常運転モードへの復帰時に開閉弁35を開き、余剰汚泥供給ポンプ30を起動する。
上記の通常運転モードの継続時間、懸濁物除去モードの起動間隔は、懸濁物32の蓄積状態を予め測定してタイマーを用いて設定しても良く、リアルタイムで懸濁物32の厚さを計測して起動判定の閾値を設定しても良い。また、処理水中の懸濁物32の濃度を計測して起動判定の閾値を設定しても良い。懸濁物除去モードの第2工程の起動停止は、懸濁物32の除去状態を予め観察してタイマーを用いて継続時間を設定しても良く、リアルタイムで水面上の懸濁物32の量を計測して起動停止判定の閾値を設定しても良い。
図4は、懸濁物32の量を計測する手段として、光源45と光検出装置46を用いた例である。接触槽5内の気相空間に面する壁面(天井面)から水面に向けて照射する光源45を設け、接触槽5内の気相空間に面する壁面(天井面)から水面に向けて光検出装置46を設け、光源45の照射に対する反射方向と光検出装置46の入射方向を一致させ、懸濁物32表面の反射率を計測する。この方法では、接触槽5内で懸濁物32が存在しない場合の水面の反射率を予め計測しておくことによって、懸濁物32の除去を判定可能である。光検出装置46を用いて接触槽水面の懸濁物の存在を検出することによって懸濁物除去モードを起動させ、懸濁物除去モード運転時に、光検出装置46を用いて懸濁物の消失を確認することによって懸濁物除去モードから通常運転モードに移行させるようにする。また、他の懸濁物の計測方法として光検出装置46を光源45に正対させて透過率を計測しても良く、画像を撮影して水面の明度,カラーを基に判別しても良い。
図5は、図1の液体処理装置の接触槽5とその水面上に設けた回収器23の配置に対して、通常運転モード時に回収器23の外周が水没する高さに回収器23を設置した例である。この例では、懸濁物32の除去時に接触槽5内の水位を低くできるため、接触槽5の上部空間高さを低くできる効果がある。
本実施形態によれば、RO濃縮水の残留圧力を利用して生成したオゾンマイクロバブルによって、濃縮水の酸化処理,及び余剰汚泥の可溶化処理と懸濁物の浮上分離を行う液体処理装置において、処理水を散水することにより懸濁物が回収器に向かう流れを作るようにしているので、スカムスキマー等の動的な機械装置を設けることなく懸濁物を効率的に回収することができる。また、散水に用いる処理水が接触槽の水位よりも高い位置に設けた洗浄水タンクから供給されるようにし、そして、この洗浄水タンクへの処理水の移送が、接触槽内を加圧できる状態にして、濃縮水を接触槽に圧送する際の圧力を利用して行われるので、液体ポンプ等の大きな動力を要する機器を新たに設ける必要がない。この結果、液体ポンプやスカムスキマーのような付加的な装置やループを用いることなく、懸濁物の分離除去処理を促進し、分離除去した懸濁物の含水率を低減できるので、余剰汚泥の濃縮,脱水,乾燥に要する処理コストを低減できる。また、処理水の回収率を増加できるので、処理水を再生利用する場合に、再生水の処理コスト単価を低減できる。以上の効果によって、膜処理設備の経済性を向上できる。
≪第2の実施形態≫
図6を参照して、第2の実施形態について説明する。図6には膜処理設備100における接触槽5の他の形態を示している。なお、図1と同じ構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
本実施形態では、接触槽5の回収器23開口部外周高さより下方の接触槽5内壁面に、壁面から向かって水平より負の角度を有する整流板44(44a,44b)を設けている。整流板44は、接触槽5内壁面の全周に設けても良いし、図2(a)に示す散水口43の位置に対応する箇所毎に設けても良い。
液体ヘッダー24の散水口43から接触槽5の壁面に衝突し流下した洗浄水は、整流板44に衝突することによって壁面に沿った流下成分の流れ方向が、接触槽5壁面から懸濁物32の外周部に向く。これによって、第1の実施形態と比較して壁面に衝突し流下した洗浄水の大部分が、懸濁物32の壁面から回収器23への押し出しに利用されるため,懸濁物32の回収がさらに促進され、懸濁物32の除去時間が大幅に短縮される。
本実施形態によれば、基本的には、第1の実施形態と同様な効果が得られる。また、本実施形態では、第1の実施形態よりも懸濁物の分離除去性能を高め、分離除去した懸濁物の含水率をさらに低減できるので、余剰汚泥の濃縮,脱水,乾燥に要する処理コストをさらに低減できる。また、処理水の回収率を増加できるので、処理水を再生利用する場合に、再生水の処理コスト単価をさらに低減できる。以上の効果によって、膜処理設備の経済性を向上できる。
≪第3の実施形態≫
図7を参照して、第3の実施形態について説明する。図7には膜処理設備100における接触槽5の他の形態を示している。なお、図1と同じ構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
本実施形態では、第1,第2の実施形態で用いた液体ヘッダー24に代えて、接触槽内の回収器開口部高さ近傍の壁面に噴射ノズルを設置したものである。即ち、第1,第2の実施形態では壁面に散水することにより壁面の洗浄を兼ねていたが、本実施形態では壁面の洗浄は特に行わないで、別手段で懸濁物が回収器に向かう流れを作るようにしたものである。具体的には、接触槽5の壁面及び仕切板36bに開閉弁48(48a,48b)(開閉弁H)を有する洗浄水流路49(49a,49b)を接続する。洗浄水流路49は、回収器23の外周高さ近傍に設け、その噴射ノズル47(47a,47b)を回収器23に向ける。噴射ノズル47は、好ましくは先端を絞り、洗浄水を懸濁物32に水平面に噴射可能な形状とする(例えば、扁平で扇状に拡大するような形状。)。尚、洗浄水流路49は図1における洗浄水タンク15とつながっている。また、噴射ノズル47は、図2(a)に示す散水口43と同様な配置となっている。
懸濁物除去モードの第2工程において、第1工程の各弁の開閉状態から、開閉弁14と開閉弁21及び開閉弁48を開く。接触槽5内の圧力は大気圧まで低下するとともに、ノズル6から注入される濃縮水によって接触槽5内の水位が上昇して回収器23の外周を超え、回収器23からの懸濁物32を含む濃縮水の接触槽5外への除去が始まる。これと同時に洗浄水流路49から回収器23に向かって洗浄水が噴射され、洗浄水の動圧によって回収器3に向かう流れが形成され、また、懸濁物32が回収器23の開口部に押し出される。
本実施形態によれば、基本的には、第1の実施形態と同様な効果が得られる。また、本実施形態では、第1の実施形態において接触槽内に液体ヘッダーを設けることなく、配管の接続のみで懸濁物の分離除去処理を促進できる。これによって、膜処理設備の運転コストとともに設備コストを削減し経済性を向上できる。
参考例
懸濁物を回収器で捕集する際に、タンクに貯水された処理水を散水若しくは噴射することに替えて、送風機によって懸濁物が回収器の開口部に向かう流れを作るようしても良い。図1と図8を参照して、この参考例について説明する。図8には膜処理設備100における接触槽5の他の形態を示している。なお、図8においては、図1と同じ構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
参考例は、第1から第3の実施形態で用いた液体ヘッダーや洗浄水流路による洗浄水の散水や噴射に代えて、接触槽内の回収器開口部高さ近傍の壁面に設置されたガスノズルと、接触槽外に設けた送風機と、ガスノズルと送風機を連通するガス流路を設けたものである。洗浄水タンク16等は設けられていないが、接触槽5の内壁面を洗浄することを主目的として設けても良い。
図8に示すように、回収器23開口部外周高さより上方の接触槽5壁面及び仕切板36bに、送風機50(50a,50b)を接続したガスノズル51(51a,51b)が設けられ、ガスノズル51の噴射口は回収器23に向けられている。噴射口は好ましくは先端を絞り、空気を懸濁物32の外周部から回収器23に水平より負の角度で噴射可能な形状とする。また、ガスノズル51は、図2(a)に示す散水口43と同様な配置となっている。配置数は散水口43よりも少なくても多くても良い。
通常運転モードは第1の実施形態と基本的に同様である。懸濁物除去モードは、第1の実施形態における第2工程に対応する工程のみであり第1工程に対応するものはない。即ち、懸濁物除去時に開閉弁14を開き、開閉弁10を閉じる。これによって、接触槽5内の圧力は大気圧まで低下するとともに、ノズル6から注入される濃縮水によって接触槽5内の水位が上昇して回収器23の外周を超え、回収器23からの懸濁物32を含む濃縮水の接触槽5外への除去が始まる。一方、送風機50を起動し、接触槽5壁面及び仕切板36b近傍から懸濁物32の上面に空気を噴射する。懸濁物32下面に作用する濃縮水の流れにともなうせん断力に加えて、噴射された空気によって懸濁物32表面に生じるせん断力で懸濁物32の上下面から回収器23の開口部方向への流れが生じ、懸濁物32が回収器23の外周を乗り越え、排出流路13から接触槽5の外部に除去される。尚、本参考例でも第1の実施形態と同様に、制御器を設けてポンプと送風機の運転や各開閉弁の開閉を制御するようにしても良いし、手動でポンプと送風機の運転や開閉弁の開閉を行うようにしても良い。
参考例によれば、基本的には、第1の実施形態と同様な効果が得られる。また、本参考例では、懸濁物32の回収促進と除去時間の短縮に空気を用いるため、第1から第3の実施形態で処理水を洗浄タンク15に揚水する懸濁物除去モード第1工程と洗浄タンク15が不要である。また、送風機50の設備コストとその運転コストが掛かるものの、水と比較して空気の密度が小さいため、洗浄水の揚水に対して送風機の設備コスト及び運転コストは小さい。即ち、低コストで懸濁物を効率的に除去できる。
なお、本参考例は次のように纏めることができる。
被処理水に気泡を接触させて被処理水から懸濁物を浮上分離する接触槽と、前記接触槽内に上方に開口した開口部が配置され浮上分離した懸濁物を捕集する回収器とを有し、前記気泡を含む被処理水を前記接触槽の水位より下方から前記接触槽に圧送し、前記懸濁物を回収する際に前記接触槽の水位を上昇させて前記懸濁物を前記回収器に捕集するようにした液体処理装置において、
前記懸濁物が前記回収器の開口部に向かう気流を与えるガスを前記接触槽内に噴射するガスノズルと、前記ガスノズルにガスを供給する送風機とを有する液体処理装置。
≪第の実施形態≫
図9を参照して、第の実施形態について説明する。図1と同じ構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。本実施形態の膜処理設備101は、基本的には第1の実施形態と同様であり、配水流路9より下方に気密構造の処理水タンク37を設け、処理水タンク37を経由して接触槽5の液面より高所に設けられた開放構造の洗浄水タンク15へ処理水を移送するようにしたことに特徴がある。
処理水タンク37は抽水流路38によって配水流路9に連通している。抽水流路38は、配水流路9上の開閉弁10より下流で配水流路9から分岐しており、開閉弁39(開閉弁F)を有する。処理水タンク37の下部と洗浄水タンク15を第2の揚水流路40で連通する。排ガス回収流路22の開閉弁21より上流側を、開閉弁42(開閉弁E)を有する加圧流路41で処理水タンク37と連通する。加圧流路41によって接触槽5内の気相部と処理水タンク37の気相部を連通する。また、処理水タンク37に開閉弁53(開閉弁J)を介して圧縮機52からの圧縮空気を供給する圧縮流路54を接続する。
図9を用いて、懸濁物の回収作用を説明する。膜処理設備101の懸濁物除去運転は、第1の実施形態と同様に、余剰汚泥を含む濃縮水中の懸濁物を浮上分離する通常運転モードと、浮上分離した懸濁物を接触槽5から除去する懸濁物除去モードとからなる。懸濁物除去モードも同様に洗浄水タンク15に洗浄水を揚水する第1工程と懸濁物32を回収器23で回収,除去する第2工程に分かれる。
通常運転モードは第1の実施形態と基本的に同様である。本実施形態では、さらに、開閉弁39を開いている。従って、配水流路9を流れた処理水の一部は、抽水流路38を通って処理水タンク37に流下し、貯水される。図示しないが、好ましくは水位を計測しポンプ、弁の運転,開閉を制御する制御器によって処理水タンク37の水位を計測し、満水且つ懸濁物32の除去時期になった時点で開閉弁39を閉じ、運転を懸濁物除去モードの第1工程に切り替える。
懸濁物除去モードの第1工程では、第1の実施形態と同様に、開閉弁14と開閉弁16に加えて、開閉弁10と開閉弁21を閉じ、さらに、開閉弁42を開く。開閉弁35については、第1の実施形態と同様に、余剰汚泥が接触槽5に供給される際に圧力が掛かるため開閉状態は問わない。余剰汚泥供給ポンプ30を停止して開閉弁35を閉じても良い。以上の弁の開閉操作によって、ノズル6からマイクロバブル29とともに注入される濃縮水によって接触槽5内の水位が上昇し、接触槽5の上部空間が加圧される。加圧された上部空間のガスが加圧流路41を通り、処理水タンク37に流入し、処理水タンク37内が加圧される。これによって,処理水タンク37内の処理水が第2の揚水流路40を通って、開放構造の洗浄水タンク15に流入し貯水される。処理水タンク37の水位を計測し、処理水タンク37が空になった時点で、運転を懸濁物除去モードの第2工程に切り替える。洗浄水タンク15をより高所に設置して洗浄水の散水圧力を増加する場合は、開閉弁42を閉じ、開閉弁53を開き、圧縮機52を運転して処理水タンク37内を昇圧しても良い。
第2工程では、第1の実施形態と同様に、第1工程の各弁の開閉状態から、開閉弁14と開閉弁21及び開閉弁16を開く。また、洗浄水タンク15を高所に設置した場合には、開閉弁53を閉じ、圧縮機52の運転を停止する。これによって、接触槽5内の圧力は大気圧まで低下するとともに、ノズル6から注入される濃縮水によって接触槽5内の水位が回収器23の外周を超え、回収器23からの懸濁物32を含む濃縮水の接触槽5外への除去が始まる。一方、洗浄水タンク15内の洗浄水が、第1の実施形態と同様に、図2に示すように液体ヘッダー24に開いた散水口43から、接触槽5の壁面に衝突し流下する。壁面を流下した洗浄水の一部は、接触槽5壁面から懸濁物32の外周部に流れる。尚、液体ヘッダーに替えて、図7に示す第3の実施形態の噴射ノズル47を用いても良い。
本実施形態でも図3(b)に示したように、接触槽5の壁面から懸濁物32、そして回収器23に向かう洗浄水の流れが生じるため、洗浄水による壁面から回収器23への押し出しで、懸濁物32の回収が促進され、懸濁物32の除去時間が大幅に短縮される。また、洗浄水タンク15をより高所に設置して洗浄水の散水圧力を増加する場合、接触槽5の耐圧を高めるため構造を強化する必要があるが、本実施形態では処理水タンク37のみを強化すれば良い。また、圧縮機52の設備コストとその運転コストが掛かるものの、揚水ポンプを用いて洗浄水の揚水する場合に比べて、本実施形態での運転コストは低い。即ち、低コストで懸濁物を効率的に除去できる。
その結果、懸濁物32を回収器23から接触槽5外に除去する時間が短縮され、回収器23から懸濁物32に同伴して排出される水量が減少する。これによって、回収された懸濁物32の含水率が減少し、回収した懸濁物32が形成する余剰汚泥の濃縮,脱水,乾燥に要する動力や電力を低減できる。また、懸濁物32に同伴して排出される水量の減少は、接触槽から配水される処理水の水量増加に繋がり、処理水を再生利用する場合の処理水回収率を増加できる。
回収器23から接触槽5外への懸濁物32の除去の後、通常運転モードに復帰するため、開閉弁14と開閉弁16及び開閉弁42を閉じ、開閉弁10を開く。懸濁物除去モード第1工程で開閉弁35を閉じ余剰汚泥供給ポンプ30を停止した場合は、通常運転モードへの復帰時に開閉弁35を開き、余剰汚泥供給ポンプ30を起動する。また、開閉弁39を開き、処理水タンク37への貯水を開始する。
本実施形態によれば、第1の実施形態における効果に加えて、接触槽の構造を強化することなく散水圧力を高められるので、懸濁物の分離除去をさらに促進できる効果がある。
尚、本実施形態では、処理水タンクに一旦貯水し、高所に設置した洗浄水タンクに移送しているが、処理水タンクの位置を接触槽の水面近傍の位置に設ければ、処理水を液体ヘッダーに供給するポンプ動力も小さくて済むことから、洗浄水タンクを省略し、処理水タンクからポンプを用いて液体ヘッダーに処理水を直接供給することも考えられる。
これを参考例として纏めると次のように纏めることができる。
気密構造を有する接触槽と、前記接触槽の水位より下方に被処理水を圧送する供給手段と、前記供給手段で圧送する被処理水中に原料ガスのマイクロバブルを生成するマイクロバブル生成装置と、前記接触槽内に上方に開口した開口部が配置され前記接触槽に供給された被処理水に同伴するマイクロバブルによって浮上分離した懸濁物を捕集する回収器と、前記回収器から懸濁物を排出する排出流路と、前記排出流路に設けられた開閉弁Aと、前記接触槽から処理水を配水する配水流路と、前記配水流路に設けられた開閉弁Bと、前記配水流路より下方に設けた処理水タンクと、前記開閉弁Bより下流の前記配水流路と前
記処理水タンクを連通する抽水流路と、前記抽水流路に設けられた開閉弁Fと、前記回収器の開口部より上方に設置された散水口を有し前記散水口からの散水によって前記懸濁物が前記回収器に向かう流れが誘起されるようにした液体ヘッダーと、前記液体ヘッダーと前記処理水タンクを連通する洗浄水流路と、前記洗浄水流路に設けられたポンプとを有する液体処理装置。
上述の各実施形態では、本発明をMBRとRO膜ろ過を組合せ、オゾンマイクロバルブでRO濃縮水を処理する下排水膜処理設備に適用した液体処理装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、高圧下で空気を溶解させた加圧水を被処理水とともに接触槽の下部に供給し、加圧水から生じた気泡に被処理水中に含まれる懸濁物質を付着させて浮上分離する液体処理装置にも適用できる。
1 RO膜処理装置
2 高圧ポンプ(ポンプ)
3 オゾン混合器(ガス混合器)
4 溶解水槽
5 接触槽
6 ノズル
7 オゾン発生装置
8 エアベント
9 配水流路
10 開閉弁(開閉弁B)
11 濃縮水流路
12 気相流路
13 排出流路
14 開閉弁(開閉弁A)
15 洗浄水タンク
16 開閉弁(開閉弁C)
17 洗浄水流路
18 再生水流路
19 揚水流路
20 排ガス処理装置
21 開閉弁(開閉弁D)
22 排ガス処理流路
23 回収器
24 液体ヘッダー
25 最初沈殿池
29 マイクロバブル
30 余剰汚泥供給ポンプ
31 余剰汚泥流路
32 懸濁物
33 精密ろ過膜
34 生物膜反応槽
35 開閉弁(開閉弁G)
36 仕切板
37 処理水タンク
38 抽水流路
39 開閉弁(開閉弁F)
40 第2の揚水流路
41 加圧流路
42 開閉弁(開閉弁E)
43 散水口
44 整流板
45 光源
46 光検出装置
47 噴射ノズル
48 開閉弁(開閉弁H)
49 洗浄水流路
50 送風機
51 ガスノズル
52 圧縮機
53 開閉弁(開閉弁J)
54 圧縮流路
100 膜処理設備
101 膜処理設備

Claims (15)

  1. 被処理水に気泡を接触させて被処理水から懸濁物を浮上分離する接触槽と、前記接触槽内に上方に開口した開口部が配置され浮上分離した懸濁物を捕集する回収器とを有し、前記気泡を含む被処理水を前記接触槽の水位より下方から前記接触槽に圧送し、前記懸濁物を回収する際に前記接触槽の水位を上昇させて前記懸濁物を前記回収器に捕集するようにした液体処理装置において、
    前記接触槽は気密構造であり、前記接触槽の水面よりも高い位置に設けたタンクと、前記懸濁物を浮上分離した処理水を前記接触槽から取り出す配水流路から分岐し前記タンクに処理水を移送する揚水流路と、前記タンクからの処理水を前記接触槽内に散水若しくは噴射して前記懸濁物が前記回収器の開口部に向かう流れを作るようにした散水器または噴射ノズルとを有し、
    前記被処理水を前記接触槽に供給する流路と前記揚水流路以外は前記接触槽内と外部との連通を遮断して、前記接触槽内に前記被処理水を供給することにより、前記接触槽内を加圧して前記処理水が前記揚水流路を介して前記タンクに移送されるようにしたことを特徴とする液体処理装置。
  2. 請求項1において、前記配水流路より下方に設けた処理水タンクと、前記配水流路から分岐して前記処理水の一部を前記処理水タンクに抽水する抽水流路と、前記接触槽の気相部と前記処理水タンクとを連通する加圧流路とを有し、前記揚水流路に替えて、前記接触槽の水面よりも高い位置に設けたタンクに前記処理水タンクから前記処理水を移送する揚水流路を備え、
    前記被処理水を前記接触槽に供給する流路と前記加圧流路以外は前記接触槽内と外部との連通を遮断して、更に、前記加圧流路と前記揚水流路以外は前記処理水タンク内と外部との連通を遮断して、前記接触槽内に前記被処理水を供給することにより、前記接触槽内を加圧してさらに前記処理水タンク内を加圧し、前記処理水が前記処理水タンクから前記揚水流路を介して前記接触槽の水面よりも高い位置に設けたタンクに移送されるようにしたことを特徴とする液体処理装置。
  3. 気密構造を有する接触槽と、前記接触槽の水位より下方に被処理水を圧送する供給手段と、前記供給手段で圧送する被処理水中に原料ガスのマイクロバブルを生成するマイクロバブル生成装置と、前記接触槽内に上方に開口した開口部が配置され前記接触槽に供給された被処理水に同伴するマイクロバブルによって浮上分離した懸濁物を捕集する回収器と、前記回収器から懸濁物を排出する排出流路と、前記排出流路に設けられた開閉弁Aと、前記接触槽から処理水を配水する配水流路と、前記配水流路に設けられた開閉弁Bと、前記接触槽の水面より高所に設けられた洗浄水タンクと、前記回収器の開口部より上方に設置された散水口を有し前記散水口からの散水によって前記懸濁物が前記回収器に向かう流れが誘起されるようにした液体ヘッダーと、前記液体ヘッダーと前記洗浄水タンクを連通する洗浄水流路と、前記洗浄水流路に設けられた開閉弁Cと、前記開閉弁Bより上流部の前記配水流路と前記洗浄水タンクを連通する揚水流路と、前記接触槽内の気相部と外部とを連通するガス流路と、前記ガス流路に設けられた開閉弁Dとを有することを特徴とする液体処理装置。
  4. 気密構造を有する接触槽と、前記接触槽の水位より下方に被処理水を圧送する供給手段と、前記供給手段で圧送する被処理水中に原料ガスのマイクロバブルを生成するマイクロバブル生成装置と、前記接触槽内に上方に開口した開口部が配置され前記接触槽に供給された被処理水に同伴するマイクロバブルによって浮上分離した懸濁物を捕集する回収器と、前記回収器から懸濁物を排出する排出流路と、前記排出流路に設けられた開閉弁Aと、前記接触槽から処理水を配水する配水流路と、前記配水流路に設けられた開閉弁Bと、前記接触槽の水面より高所に設けられた洗浄水タンクと、前記配水流路より下方に設けた処理水タンクと、前記開閉弁Bより下流の前記配水流路と前記処理水タンクを連通する抽水流路と、前記抽水流路に設けられた開閉弁Fと、前記処理水タンクと前記洗浄水タンクを連通する揚水流路と、前記接触槽内の気相部と前記処理水タンクの気相部を連通する加圧流路と、前記加圧流路に設けられた開閉弁Eと、前記回収器の開口部より上方に設置された散水口を有し前記散水口からの散水によって前記懸濁物が前記回収器に向かう流れが誘起されるようにした液体ヘッダーと、前記液体ヘッダーと前記洗浄水タンクを連通する洗浄水流路と、前記洗浄水流路に設けられた開閉弁Cと、前記接触槽内の気相部と外部とを連通するガス流路と、前記ガス流路に設けられた開閉弁Dとを有することを特徴とする液体処理装置。
  5. 請求項またはに記載の液体処理装置において、前記ガス流路に排ガス処理装置を設け、前記開閉弁Dを介して前記接触槽内と前記排ガス処理装置を連通したことを特徴とする液体処理装置。
  6. 請求項またはに記載の液体処理装置において、前記各開閉弁の開閉を制御する制御装置を有することを特徴とする液体処理装置。
  7. 請求項またはに記載の液体処理装置において、前記回収器の開口部高さより下方の前記接触槽の壁面に、水平より負の角度を有する整流板を設けたことを特徴とする液体処理装置。
  8. 請求項またはに記載の液体処理装置において、前記液体ヘッダーに替えて、前記処理水を前記接触槽内に噴射して前記懸濁物が前記回収器の開口部に向かう流れを作るようにした噴射ノズルを備え、前記噴射ノズルは、前記接触槽内の前記回収器の開口部高さ近傍の壁面に設置され、前記開閉弁Cを介して前記洗浄水流路に連通することを特徴とする液体処理装置。
  9. 請求項またはに記載の液体処理装置において、前記接触槽内の水面に光を照射する光源及び前記水面からの反射光を検出する光検出装置を、前記接触槽の気相空間に面する壁面に設け、前記反射光によって前記接触槽水面の懸濁物の存在を検出するようにしたことを特徴とする液体処理装置。
  10. 請求項またはに記載の液体処理装置において、前記接触槽内の水中に設けた光源と、前記接触槽の気相空間に面する壁面に設けられ前記光源からの透過光を検出する光検出装置を有し、前記透過光によって前記接触槽水面の懸濁物の存在を検出するようにしたことを特徴とする液体処理装置。
  11. 請求項またはに記載の液体処理装置において、前記接触槽の水面を撮影する撮影装置を設け、前記撮影装置で撮影された撮影画像によって前記接触槽水面の懸濁物の存在を検出するようにしたことを特徴とする液体処理装置。
  12. 請求項に記載の液体処理装置を用いた液体処理方法であって、
    通常運転モードと懸濁物除去モードを有し、
    前記通常運転モードでは、前記開閉弁Aと前記開閉弁Cを閉じ、前記開閉弁Bと前記開閉弁Dを開いて、前記接触槽内の被処理水に前記マイクロバブルを反応させるとともに懸濁物を吸着して被処理水水面に浮上分離し、
    前記懸濁物除去モードは、第1工程と第2工程を有し、第1工程では、前記開閉弁Bと前記開閉弁Dを閉じて前記揚水流路以外の前記接触槽に連通する流路を閉じ、前記被処理水の圧力で前記洗浄水タンクに前記処理水の一部を揚水して貯水し、第2工程では、前記開閉弁Aと前記開閉弁Dを開いて前記被処理水の前記接触槽への流入によって前記接触槽内の水位を上昇させて浮上分離した懸濁物を前記回収器の開口部から前記接触槽外に排出するとともに、前記開閉弁Cを開いて前記液体ヘッダーからの散水し、
    浮上分離した懸濁物の排出後に前記開閉弁Bを開き、前記開閉弁Aと前記開閉弁Cを閉じて前記通常運転モードに復帰することを特徴とする液体処理方法。
  13. 請求項に記載の液体処理装置を用いた液体処理方法であって、
    通常運転モードと懸濁物除去モードを有し、
    前記通常運転モードでは、前記開閉弁Aと前記開閉弁Cを閉状態、及び、前記開閉弁Bと前記開閉弁Dと前記開閉弁Fを開状態とし、前記接触槽内の被処理水に前記マイクロバブルに反応させ懸濁物を吸着して被処理水水面に浮上分離するとともに、前記配水流路を流れる処理水の一部を、前記抽水流路を通して前記処理水タンクに貯水し、貯水完了後に前記開閉弁Fを閉じ、
    前記懸濁物除去モードでは、第1工程で前記開閉弁Bと開閉弁Dを閉じて前記加圧流路を除く前記接触槽に連通する流路を閉じ、前記被処理水の圧力で前記接触槽上部空間の気相を加圧して前記加圧流路を介して前記処理水タンクに送気することにより前記洗浄水タンクに前記処理水タンクの水を揚水して貯水し、第2工程で前記開閉弁Aと前記開閉弁Dを開いて前記被処理水の前記接触槽への流入によって前記接触槽の水位を上場させて浮上分離した懸濁物を前記回収器の開口部から前記接触槽外に排出するとともに、前記開閉弁Cを開いて前記液体ヘッダーからの散水し、
    浮上分離した懸濁物の排出後に前記開閉弁Bと前記開閉弁Fを開き、前記開閉弁Aと前記開閉弁Cを閉じて前記通常運転モードに復帰することを特徴とする液体処理方法。
  14. 請求項に記載の液体処理装置において、
    前記液体処理装置は、生物反応槽と、前記生物反応槽の処理水を処理する逆浸透膜処理装置とを有する下排水処理設備であり、
    前記被処理水は前記逆浸透膜処理装置で除去された被分離物質を含む濃縮水であり、前記逆浸透膜処理装置と前記接触槽を連通する濃縮水流路を有し、
    前記供給手段の駆動源として、前記生物反応槽の処理水を加圧して前記逆浸透膜処理装置に送水するポンプを用い、
    前記マイクロバブル生成装置は、前記濃縮水流路に設けられ、前記原料ガスであるオゾンガスを混合するガス混合器と、前記オゾンガスが混合した濃縮水を導入して濃縮水にオゾンを溶解する溶解水槽と、前記溶解水槽から出た濃縮水を減圧発泡させてオゾンマイクロバブルを生成するノズルとから構成され、前記ノズルは前記接触槽の運転水位より下方を接続されていることを特徴とする液体処理装置。
  15. 請求項14に記載の液体処理装置において、
    前記生物反応槽から引き抜いた余剰汚泥を前記接触槽の運転水位より下方に供給する余剰汚泥注入流路を設けたことを特徴とする液体処理装置。
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