JP5557288B2 - 細胞のリプログラミングに用いられる複数遺伝子の発現制御システム - Google Patents

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Description

関連出願の参照
本特許出願は、先に出願された日本国における特許出願である特願2008−234823号(出願日:2008年9月12日)に基づく優先権の主張を伴うものである。この先の特許出願における全開示内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
発明の背景
発明の分野
本発明は、細胞再生医療分野における複数の転写因子の発現制御による治療用細胞・組織の分化誘導および製造に関する。より具体的には、本発明は、複数の転写因子の制御された発現を可能とする発現カセット、ならびに該発現カセットを用いた体細胞リプログラミングおよび分化多能性幹細胞(iPS細胞など)の誘導に関する。
背景技術
iPS細胞(induced pluripotent stem cell)とは、生体の組織・臓器を構成する分化した体細胞を、Oct4、Sox2、cMyc、Klf4などの転写因子により人工的に初期化して得られる、三胚葉分化能および個体発生能をもつ胚性幹細胞(ES細胞)様の分化多能性幹細胞である。
iPS細胞の定義には、まず、終末分化した体細胞と比べて、ES細胞で特異的に発現する遺伝子が発現していることが含まれる。このような遺伝子としては、例えば、マウスにおいてはOct4、Nanog、fbx−15などの転写因子や、細胞表面抗原SSEA−1などが挙げられる。さらに、iPS細胞は、インビトロ分化誘導系において三胚葉系細胞への分化能を有する必要があり、また、免疫不全マウスに皮下注射した場合に三胚葉由来組織を含む奇形種を形成する必要がある。さらに、iPS細胞は、個体発生能を有する必要がある。例えば、マウスiPS細胞は、マウスの胚盤胞へ注入すると、キメラマウスの発生に寄与することが知られている。
iPS細胞を誘導する方法としては、Oct4、Sox2、cMycおよびKlf4の4種の転写因子をレトロウイルス(RV)ベクターにより線維芽細胞などの体細胞へ導入することにより、細胞をリプログラミングする方法が知られている(Takahashi et al., Cell, 2006, 126: 663-676)。iPS誘導は、現在までに上記4種の転写因子のうちの2種または3種でも可能であることが示されているが、いずれも複数の遺伝子を必要とする。従来の方法では、遺伝子1種につき1種のRVまたはレンチウイルス(LV)ベクターが用いられ、従って、合計2〜4種のウイルスベクターが導入される(例えば、Kim et al., Nature, 2008, 454: 646-650)。RVベクターやLVベクターは目的の遺伝子を宿主染色体中へランダム挿入するため、そのコピー数を制御できず、従って、従来の方法では遺伝子導入された細胞における各因子の発現量比を制御できない。このため、従来の方法では、iPS誘導効率が非常に低く、得られる細胞のリプログラム状態が不均一であるという問題がある。
複数遺伝子の発現制御の方法には、各遺伝子を独立したプロモーターの制御下に配置し、遺伝子と同じ数の発現ユニットを並べる方法の他に、各遺伝子を介在配列を介して連結し、単一プロモーターを用いるポリシストロニックな一つの発現カセットに統合する方法がある。
単一プロモーターによるポリシストロニックな発現では、IRES(Internal ribosome entry site)配列を介して複数の遺伝子を連結する方法が知られている。しかし、このIRES配列を用いた場合には、その前後に配置された遺伝子の間でその発現量が異なる(de Felipe, Current Gene Therapy, 2002, 2: 355-370)。近年、GFPなどの遺伝子をIRES−GFPなどの形で3ユニット連結した発現カセットが報告されているが、各ユニット間の発現量比は明らかとされていない(Bouabe et al., Nucleic Acids Research, 2008, 36: e28, doi: 10.1093/nar/gkm1119;Sasaki et al., Journal of Biotechnology, 2008, in press, doi: 10.1016/j-jbiotec.2008.06.007)。また、単一の二方向性プロモーターの利用により複数遺伝子の発現が可能となるが(de Felipe, Current Gene Therapy, 2002, 2: 355-370;Hartenbach et al., Journal of Biotechnology, 2005, 120: 83-98)、この方法によっても複数遺伝子の発現量比の制御には至っていない。
上記介在配列の一つに2Aペプチド配列がある。2Aペプチドは、ウイルス由来の20アミノ酸残基前後のペプチド配列であり、細胞に内在するプロテアーゼ(2Aペプチダーゼ)により認識され、C末端から1残基の位置で切断される(de Felipe, Current Gene Therapy, 2002, 2: 355-370;Szymczak et al., Expert Opin. Biol. Ther., 2005, 5: 627-638)。2Aペプチドにより一つのユニットに連結された複数遺伝子は、一つのユニットとして転写翻訳された後、2Aぺプチダーゼで切断される。
2Aペプチドは、これまでに、蛍光マーカー(Hasegawa et al., Stem Cells, 2007,25: 1707-1712)、およびT細胞表面抗原(Szymczak et al., Expert Opin. Biol. Ther., 2005, 5: 627-638)の発現に利用されている。さらに、2Aペプチドとfurinプロテアーゼ消化配列との組合せによって抗体を製造する方法も報告されている(Fang et al., Nature Biotechnology, 2006, 23: 584-590)。これらの文献では、一つの転写ユニットに最大3つの遺伝子をシストロニックに搭載しているが、4つ以上の遺伝子を連結した例は報告されていない。転写因子を発現させた例としては、ホメオボックス遺伝子であるHoxB4を、蛍光マーカーであるeGFPおよび細胞質内酵素であるMGMTとともに、2Aペプチド配列およびIRES配列を介して連結した発現カセットが報告されている(Chnnasamy et al., Virology Journal, 2006, 3: 14, doi: 10.1186/1743-422X-3-14)。しかし、この報告では、HoxB4の発現は確認されているものの、その転写因子活性や他の2つの遺伝子との発現量比は明らかとされていない。さらに、複数の転写因子のみを上記2Aペプチドを介して連結した発現システムはこれまでに報告されていない。
本発明者らは、細胞中で切断されるペプチドをコードする介在DNA配列を介して複数の核初期化転写因子の遺伝子を連結し、得られたDNA構築物を細胞に導入することにより、効率よく細胞をリプログラミングできることを見出した。本発明はこの知見に基づくものである。
従って、本発明の目的は、細胞のリプログラミングに好適に用いられる核初期化転写因子の発現カセットを提供することにある。
そして、本発明による発現カセットは、複数の核初期化転写因子のそれぞれをコードする複数のDNAを、細胞中の内在酵素によって切断されるペプチドをコードする介在DNA配列を介してポリシストロニックに連結してなる、発現カセットである。
本発明によれば、単一の発現カセットまたは発現ベクターを細胞に導入することにより、体細胞や生殖細胞を効率よくリプログラミングすることが可能となる。また、本発明によれば、リプログラミングされた細胞を均質な細胞集団として取得することが可能となる。
図1は、4因子連結カセットの概略図である。 図2は、Fu−T2AおよびFu−E2Aの塩基配列を示す。それぞれの配列において、枠で囲まれているのがFurinの配列であり、その他がT2AまたはE2Aの配列である。 図3は、2種のSKMO連結コンストラクトの概略図である。 図4A〜Cは、SKtMO連結カセットの全塩基配列を示す。 図4A〜Cは、SKtMO連結カセットの全塩基配列を示す。 図4A〜Cは、SKtMO連結カセットの全塩基配列を示す。 図5は、SKtMO群のOct4−GFP陽性細胞およびコロニー形成を示す顕微鏡写真である。矢印は、ES細胞様のコロニーを示す。RVベクター感染後の培養日数は各写真の上に示されている。 図6は、RVベクター感染後13日目のSKtMO群およびNo tag群の培養ウェル中の細胞を示す顕微鏡写真である。 連結4因子SKtMO群(下段)は、No tag群(各遺伝子のORFを有するpMXsベクター4種を導入した群:上段)と比べて、Oct4−GFP陰性細胞の出現が顕著に少ない。写真は、明視野(左)とGFP蛍光視野(右)を示す。 図7は、SKtMO群およびNo tag群の細胞のFACS解析の結果を示す。図7(a)は、連結4因子SKtMOによりmBMMNCをリプログラムして得られたOct4−GFP陽性細胞が解析細胞中の10.5%であり、従来法であるNo tag群の場合(2.6%)と比べて約4倍に増加・濃縮しており、効率よく分画・分取できたことを示す。図7(b)は、リプログラム細胞(Oct4−GFP陽性細胞)が、Oct4−GFP陰性細胞とは大きさ・形態(FSC,SSC)に関してより均質な細胞群として分離されたことを示す。解析した全生細胞(P5+P6)のプロットを左に、解析生細胞中のOct4−GFP陰性細胞(P6画分)のみのプロットを中央に、Oct4−GFP陽性細胞(P5画分)のみのプロットを右に表示した。上段はSKtMO群を、下段はNo tag群の結果を示す。 図8は、RVベクター感染後4日目におけるSKtMO+Oct4群およびNo tag群の培養ウェル中の細胞を示す顕微鏡写真である。連結4因子SKtMOとOct4との組み合わせを用いることにより、SKtMOのみの場合と比べて9日早く細胞リプログラミングが達成されたことが示されている。 図9は、CHO細胞における連結4因子の発現プロセシングを確認するための電気泳動写真である。Fu−2A連結型では5’側から1〜3番目の遺伝子にFu−2A配列が付加すること、IRES連結型では5’側から1番目と3番目の遺伝子にFu−2A配列が付加することが確認された。電気泳動は、8/16%グラジェントゲルを使用し、全タンパク量10μg/レーンで行った。実線の矢印はFu−2A配列付加なしの予測バンドサイズを、点線矢印はFu−2A付加ありの予測バンドサイズを示す。
発明の具体的説明
本明細書において「リプログラミング」または「リプログラム」とは、細胞分化とは逆のプロセス、すなわち、分化した細胞がかつて保持していた未分化状態を再度獲得することをいう。特に、細胞のリプログラミングによって、その細胞が三胚葉形成能および個体発生能を有する分化多能性を獲得した場合には、このプロセスを「核初期化」または「初期化」といい、得られた細胞を「iPS細胞」(induced pluripotent stem cell)という。この「核初期化」または「初期化」は、典型的には、体細胞の核が受精卵の状態に戻ることをいう。
本発明による発現カセットは、複数の核初期化転写因子のそれぞれをコードする複数のDNAを、介在配列を介してポリシストロニックに連結してなるものである。ここで用いられる介在配列は、該発現カセットが細胞中に導入され、発現したときに、その細胞の内在酵素によって切断されるペプチド断片をコードするDNA配列である。
介在DNA配列は、発現カセットを導入しようとする細胞の内在酵素によって認識され、切断されるペプチド断片をコードするDNA配列である。このようなDNA配列は、当業者により適宜選択されるものであるため、特に制限されないが、好ましくは2AペプチドをコードするDNA配列を含むものとされる。
2Aペプチドは、ウイルス由来の20アミノ酸残基前後のペプチド配列であり、細胞に内在するプロテアーゼ(2Aペプチダーゼ)により認識され、C末端から1残基の位置で切断される。2Aペプチドにより一つのユニットに連結された複数の遺伝子は、一つのユニットとして転写・翻訳された後、2Aぺプチダーゼで切断される。2Aペプチドの好ましい例としては、T2AペプチドおよびE2Aペプチドを挙げることができ、これらをコードするDNA配列は配列番号1(T2A)および配列番号2(E2A)に示されている。
介在DNA配列は、さらに他の配列を含んでいてもよい。このような他の配列は、連結されたコード配列の発現を妨げない限りにおいていかなる配列であってもよく、当業者であれば適宜選択することができる。他の配列の好ましい例としてはFurin配列を挙げることができ、そのDNA配列は配列番号3に示されている。このFurin配列は、例えば、上述のT2AペプチドまたはE2AペプチドをコードするDNA配列の3’側に連結させることができ、そのように連結された配列を配列番号4(Furin−T2A)および配列番号5(Furin−E2A)に示す。
細胞リプログラミングに用いられる核初期化転写因子としては、Octファミリー遺伝子(例えばOct3/4遺伝子)、Klfファミリー遺伝子(例えばKlf4遺伝子)、Soxファミリー遺伝子(例えばSox2遺伝子)およびMycファミリー遺伝子(例えばc−Myc遺伝子)の各遺伝子産物が知られている(WO2007/069666)。従って、本発明の好ましい実施態様によれば、前記複数の核初期化転写因子は、Soxファミリータンパク質、Klfファミリータンパク質、Mycファミリータンパク質、およびOctファミリータンパク質からなる群から選択される2以上の転写因子とされ、より好ましくはこれら全ての転写因子、すなわち、Soxファミリータンパク質、Klfファミリータンパク質、Mycファミリータンパク質、およびOctファミリータンパク質とされる。これらファミリーに属する好ましい転写因子の具体例としては、SoxファミリーについてはSox2が挙げられ、KlfファミリーについてはKlf4が挙げられ、MycファミリーについてはcMycが挙げられ、OctファミリーについてはOct4が挙げられる。よって、本発明の特に好ましい実施態様によれば、前記複数の核初期化転写因子は、Sox2、Klf4、cMyc、およびOct4とされる。
前記複数の核初期化転写因子のそれぞれをコードする複数のDNAを連結するときの順番は、発現カセット中に含まれる全てのコード配列が良好に発現され、それぞれの発現産物が良好に機能する限り、特に制限されない。一般に、タンパク質のN末端またはC末端に付加配列が存在すると、そのタンパク質の活性が低減されることがある。本発明においては、介在DNA配列によりコードされるペプチド断片が転写因子のN末端またはC末端に付加することによりその転写因子の活性が低減される場合には、そのような転写因子と介在DNA配列の配置を避けるように設計することが好ましい。例えば、Oct4タンパク質のC末端に上記のFurin−T2Aが付加すると、Oct4の転写因子としての活性が低減することが分かっている。よって、介在DNA配列がFurin−T2A配列を含む場合には、Oct4のC末端にFurin−T2Aが付加しないよう、Oct4をコードするDNAを発現カセット中の最も3’側に配置することが好ましい。本発明の好ましい実施態様によれば、本発明による発現カセットは、Sox2をコードするDNA、Klf4をコードするDNA、cMycをコードするDNA、およびOct4をコードするDNAを、5’末端から3’末端に向けてこの順番で含んでなるものとされる。
本発明の特に好ましい実施態様によれば、本発明による発現カセットは、5’−[Sox2をコードするDNA]−[Furin−T2A]−[Klf4をコードするDNA]−[Furin−T2A]−[cMycをコードするDNA]−[Furin−E2A]−[Oct4をコードするDNA]−3’の構造を有するものとされ、その具体的なヌクレオチド配列は配列番号6および図4に示されている。
本発明による発現カセットは、複数の核初期化転写因子のコード配列をポリシストロニックに連結した単一のユニットからこれら転写因子を発現させるため、その発現量比を制御することが可能となる。特に、介在DNA配列として2Aペプチドのコード配列を用いる場合には、複数の転写因子の発現量比は全て等比に制御することが可能となる。また、細胞のリプログラミングに必要な複数の核初期化転写因子を単一の発現ベクターで細胞に導入できる点も有利である。
本発明による発現カセットは、典型的には、発現ベクターによって細胞中に導入される。従って、本発明の他の態様によれば、本発明による発現カセットを作動可能な形で含んでなる発現ベクターが提供される。
本明細書において「作動可能な形で含んでなる」とは、本発明による発現ベクターがリプログラミングの対象となる細胞に導入されたときに、本発明による発現カセットがプロモーターなどの適切な発現エレメントの制御下に置かれ、発現することを意味する。このような発現エレメントは、発現ベクター中に存在していてもよいし、対象とする細胞中に存在していてもよい。
本発明による発現カセットを挿入するベクターは、外来遺伝子を挿入可能なベクターであればよく、例えば、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、センダイウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、HSVベクター、プラスミドベクター、PACベクター、BACベクター等が挙げられる。本発明の好ましい実施態様によれば、本発明による発現ベクターはウイルスベクターとされ、さらに好ましくはレトロウイルスベクターとされる。
本発明による発現ベクターは、細胞内においてその貯蔵および複製を行うことができる。従って、本発明の他の態様によれば、本発明による発現ベクターを含んでなる細胞が提供される。この細胞は、本発明による発現ベクターの導入によってリプログラミングされた細胞をも含むものとする。
本発明による発現カセットおよび発現ベクターは、細胞のリプログラミングに用いることができる。従って、本発明の他の態様によれば、細胞をリプログラミングする方法が提供され、該方法は、前記細胞に、本発明による発現カセットまたは本発明による発現ベクターを導入する工程を含んでなる。この方法によりリプログラミングされた細胞が製造されるため、該方法はリプログラミングされた細胞の製造方法でもある。
本発明による細胞のリプログラミングは、当技術分野において公知の方法、例えば、WO2007/069666に記載の方法に準じて行うことができる。すなわち、本発明による方法では、WO2007/069666に記載の方法において、核初期化因子を細胞に導入するための複数のベクターに代えて、本発明による発現カセットまたは発現ベクターを用いればよい。
本発明においてリプログラミングの対象とする細胞は、胎仔線維芽細胞、成体線維芽細胞、胃上皮細胞、肝上皮細胞、神経細胞、すい臓細胞、血球細胞、骨髄細胞などの体細胞または生殖細胞である。本発明の好ましい実施態様によれば、リプログラミングの対象とする細胞は骨髄細胞とされる。本発明において「骨髄細胞」とは、血球細胞や間質細胞など、骨髄中に含まれる細胞を意味する。本発明において「血球細胞」とは、生体内の血流中に存在しうる血液細胞と同等の細胞群を意味し、必ずしも末梢血液細胞に限られるものではなく、例えば骨髄中や臍帯血中に存在するものであってもよい。本発明のさらに好ましい実施態様によれば、前記骨髄細胞は骨髄由来単核球細胞とされる。また、本発明においてリプログラミングの対象とする細胞は、いかなる動物に由来するものであってもよいが、好ましくは哺乳動物由来の細胞、より好ましくはマウスまたはヒトに由来する細胞とされる。本発明において用いられる核初期化転写因子のコード配列を、対象とする細胞に由来する配列とすること、さらには、発現ベクターや細胞培養培地をその細胞に適合するように選択することは、当業者の知識の範囲内である。
本発明による発現カセットまたは発現ベクターの細胞導入法は特に制限されるものではなく、動物細胞への遺伝子導入に用いられる一般的な方法、例えば、ウイルスベクターを用いる場合にはそれを細胞に感染させる方法、リン酸カルシウム共沈法、DEAE−デキストラン法、エレクトロポレーション法、リポソーム法、リポフェクション法、マイクロインジェクション法、HVJリポソーム法等を用いることができる。
本発明による方法では、Soxファミリータンパク質、Klfファミリータンパク質、Mycファミリータンパク質、およびOctファミリータンパク質のそれぞれをコードするDNAのうち、2種類を連結した発現カセットと他の2種類を連結した発現カセットを組み合わせて用いてもよく、あるいは、1種類を連結した発現カセットと他の3種類を連結した発現カセットを組み合わせて用いてもよいが、好ましくはこれら全4種のDNAを連結した発現カセットが用いられる。
本発明による方法では、本発明による発現カセットまたは発現ベクターに加えて、1種の核初期化転写因子をコードするDNAを含む発現カセットまたは発現ベクターを同時に細胞中に導入することにより、細胞リプログラミングの効率を向上させることができる。従って、本発明の他の態様によれば、細胞をリプログラミングする方法であって、該細胞に、(a)請求項1〜6に記載の発現カセットまたは請求項7もしくは8に記載の発現ベクター;ならびに(b)1種の核初期化転写因子をコードするDNAを含む第二の発現カセットまたは該発現カセットを作動可能な形で含む第二の発現ベクターを導入する工程を含んでなる方法が提供される。
特に、本発明による方法では、Soxファミリータンパク質、Klfファミリータンパク質、Mycファミリータンパク質、およびOctファミリータンパク質のそれぞれをコードするDNAの全てを連結した本発明による発現カセットと、Octファミリータンパク質をコードするDNAのみを含む発現カセットとの組み合わせを用いることにより、細胞リプログラミングの効率を顕著に向上させることができる。従って、本発明の一つの好ましい実施態様によれば、第二の発現カセットまたは第二の発現ベクターに含まれる前記DNAは、Octファミリータンパク質、より好ましくはOct4をコードするものとされる。
さらに、上述の本発明による発現カセットとOctファミリータンパク質(好ましくはOct4)をコードするDNAを含む発現カセットとの組み合わせ物、本発明による発現ベクターとOctファミリータンパク質(好ましくはOct4)をコードするDNAを含む発現ベクターとの組み合わせ物、ならびにこれらの組み合わせ物を含む細胞リプログラミング用組成物は、本発明の別の態様を構成する。
本発明による方法により、細胞のリプログラミングが効率よく行われ、よって、体細胞または生殖細胞からiPS細胞を製造することも可能である。従って、本発明の好ましい実施態様によれば、本発明による方法においてiPS細胞が得られる。さらに、本発明の他の態様によれば、体細胞または生殖細胞からiPS細胞を製造する方法が提供され、該方法は、前記体細胞または生殖細胞に、本発明による発現カセットまたは本発明による発現ベクターを導入する工程を含んでなる。前記体細胞または生殖細胞は、好ましくは上述の骨髄細胞とされ、より好ましくは骨髄由来単核球細胞とされる。
以上のようにしてリプログラミングした細胞の用途としては、まず、治療用細胞としての利用が可能である。このような治療用細胞としては、組織幹細胞やその前駆細胞の分化状態にリプログラミングした細胞が挙げられる。すなわち、リプログラミングされた細胞は疾患の治療に用いることができ、具体的には、組織幹細胞やその前駆細胞の分化状態にリプログラミングされた細胞を用いて各種疾患の治療を行うことができる。
例えば、血球系細胞をリプログラミングして造血幹細胞を得た場合には、造血幹細胞移植への利用が可能となる。具体的には、得られた造血幹細胞を点滴またはカテーテルなどを用いて移植することにより、白血病やリンパ腫、あるいは自己免疫疾患、あるいはリソソーム病やペルオキシソーム病を含む先天性代謝異常症(例えばムコ多糖症、Gaucher病、Fabry病、Pompe病、副腎白質ジストロフィー、I-cell病、異染性ロイコジストロフィー、GM1ガングリオドーシスなど)などへ適用できる。また、骨髄球系またはリンパ球系前駆細胞を得た場合には、それらの細胞そのもの、または更に赤血球または好中球または好塩基球または好酸球または血小板または樹状細胞または制御性T細胞へ分化誘導した後に、直接注射するか点滴で移植することにより、造血幹細胞移植後や抗ガン化学療法後の免疫回復、抗ガン細胞治療、自己免疫疾患細胞治療、リューマチ治療、多発性硬化症治療、再生不良性貧血などの貧血治療、血小板減少症治療、外傷治療などへ利用できる。また、間葉系幹細胞を得た場合には、点滴かカテーテルなどを用いて移植することにより、移植片対宿主病(GvHD)の治療、あるいは関節障害の治療などへ利用できる。
同様に、神経系では、例えば体細胞からのリプログラミングによりドーパミン産生細胞を得た場合には、これをカテーテルなどを用いて移植することによりパーキンソン病治療へ利用できる。また、例えばオリゴデンドロサイト前駆細胞を得た場合には、これを患部へ直接注入あるいはカテーテルなどを用いて移植することにより脊髄損傷治療などへ利用できる。また、例えばニューロン前駆細胞やアストロサイト前駆細胞を得た場合には、これを患部へ直接注入あるいはカテーテルなどを用いて移植することにより運動神経障害の治療などへ利用できる。また、例えばNestinやMusashiなどの分化マーカー発現で識別できる神経幹細胞や神経前駆細胞を得た場合には、これを患部へ直接注入あるいはカテーテルなどを用いて移植することにより脳梗塞や脳出血治療などへ利用できる。
同様に、動静脈などの血管・リンパ管系、心筋・平滑筋・骨格筋・オーバル細胞などの筋組織系、膵臓、肝臓、胃、腸などの消化器系、表皮・真皮・毛髪などの皮膚系、角膜などの視覚系、内耳などの聴覚系などにおける治療用細胞を得ることもできる。
例えば、腸系では、クリプト細胞などの腸前駆細胞を得た場合には、これをカテーテルなどを用いて移植することにより、潰瘍性大腸炎、クローン病、短腸症などの治療へ利用できる。
視覚系では、例えば体細胞からリプログラミングにより網膜前駆細胞や網膜色素上皮細胞や視細胞を得た場合には、これを直接注入あるいは細胞シート化して移植することにより加齢黄斑変性症や網膜色素変性症の治療へ利用できる。
膵臓系では、例えばβ細胞やインスリン産生細胞を得た場合には、これをカテーテルなどを用いてあるいは免疫遮断デバイスに封入して移植することにより、糖尿病の治療へ利用できる。
肝臓系では、例えばアルブミン産生細胞を得た場合には、これをカテーテルなどを用いてあるいは免疫遮断デバイスに封入して移植することにより、大量出血を伴う外傷治療などへ利用できる。また、例えば血液凝固因子産生細胞を得た場合には、これをカテーテルなどを用いてあるいは免疫遮断デバイスに封入して移植することにより、大量出血を伴う外傷治療や血友病などの先天性遺伝病などへ利用できる。
体細胞をリプログラミングしてiPS細胞を得た場合には、上記と同様に、インビトロ分化系などにより目的の治療用細胞の製造に利用することができる。以上、例えば、高橋ら、実験医学 vol.26 No.5(増刊)、2008年(羊土社);再生医療 第7巻 第3号 2008年(メディカルレビュー社);および医学のあゆみ vol.229 No.9 2009年(医歯薬出版株式会社)を参照のこと。
本発明に従ってリプログラミングした細胞はまた、治療用再生組織、器官、臓器の材料としての利用が可能である。例えば、体細胞をリプログラミングして組織幹細胞やその前駆細胞、あるいはiPS細胞を得た場合には、これらの細胞を用いてインビトロまたはインビボにおいて目的の治療用組織または器官を誘導・構築し、これを移植に用いることができる(例えば、高橋ら、実験医学 vol.26 No.5(増刊)、2008年(羊土社);再生医療 第7巻 第3号 2008年(メディカルレビュー社);および医学のあゆみ vol.229 No.9 2009年(医歯薬出版株式会社)を参照のこと)。
例えば、心筋細胞、あるいはislet-1遺伝子などを発現する心筋前駆細胞やnkx-2.5遺伝子、gata-4遺伝子などの心筋分化関連マーカー因子を発現する細胞を誘導し、これをカテーテルなどを用いて直接移植する他、誘導した心筋細胞などをシート化・積層化して移植することにより、心筋梗塞などの心不全や拡張型心筋症などの心臓疾患に適用することができる。細胞のシート化・積層化は、例えば温度感受性培養皿などを利用して行うことができる。また、誘導した心筋細胞に加えて血管内皮細胞を混合して細胞シート化・積層化することにより、血管網が再構築された細胞積層シートを作ることができる。
同様に、例えば脂肪細胞や骨髄細胞や血球細胞などの体細胞から間葉系幹細胞を得た場合、軟骨細胞を誘導し、これをカテーテルなどを用いて直接移植する他、誘導した軟骨細胞などを高分子支持担体とともに移植することにより、軟骨や骨組織を再構築や関節障害の治療へ適用できる。
同様に、例えば膵臓、肝臓、胃、腸などの消化器系、表皮・真皮・毛髪などの皮膚系、内耳などの聴覚系などにおける治療用組織を高分子支持担体などを利用して培養することにより得ることもできる。
例えば、肝臓組織を誘導して得た場合は、肝癌、肝硬変、急性肝不全や、ヘモクロマトーシスなどの肝代謝障害の治療へ利用できる。
平滑筋・骨格筋などの筋組織系を誘導して得た場合には、これを直接注入あるいはカテーテルなどを用いて移植することにより、筋ジストロフィー治療などへ利用できる。
肺細胞組織を得た場合、これを患部へ移植することにより嚢胞性線維症や喘息などの肺呼吸器疾患治療へ利用できる。
腎臓系では、メサンギウム細胞や尿細管上皮細胞、糸球体細胞など含む組織を得た場合、これを直接移植することにより、腎不全や腎炎の治療や透析治療などへ利用できる。
動静脈などの血管・リンパ管系では、細胞シート化または高分子支持担体などを用いて血管を構築し、これを直接移植することにより、冠動脈大動脈バイパス移植などの心臓疾患治療、下肢虚血性疾患治療、虚血性心疾患治療などへ利用できる。
さらに、本発明に従ってリプログラミングした細胞は、創薬研究ツールとしての利用が可能である。例えば、ヒト体細胞をリプログラミングしてヒト組織幹細胞やその前駆細胞、あるいはiPS細胞を得た場合には、これらの細胞を用いて目的の分化状態の細胞、または組織もしくは器官を誘導し、これを被検物質の薬効・毒性評価や作用メカニズムの解明、あるいは生物現象メカニズムの解析に用いることが可能である(例えば、高橋ら、実験医学 vol.26 No.5(増刊)、2008年(羊土社);再生医療 第7巻 第3号 2008年(メディカルレビュー社);および医学のあゆみ vol.229 No.9 2009年(医歯薬出版株式会社)を参照のこと)。
また、本発明は、遺伝子組換え体製剤を製造する細胞への応用も可能である。すなわち、本発明のリプログラミング法により、ホルモン、代謝酵素などを産生する細胞を得た場合、これを治療用タンパク質の製造細胞とすることができる。例えば、肝臓系の、物質代謝が可能な細胞を得ることにより、アルブミン産生細胞、血液凝固因子産生細胞、α1アンチトリプシンなどの代謝酵素産生細胞を作製し、産生した代謝酵素を直接注射するか点滴投与することにより、これらのタンパク質の欠乏症の治療に用いることができる。例えばβ細胞などの、物質代謝が可能な膵臓系の細胞を得ることにより、インスリン産生細胞を作製し、産生したインスリンを直接注射することにより、I型糖尿病の治療に用いることもできる。さらに、得られた細胞へ所望の外来遺伝子を導入することにより、遺伝子組換え体を付加する治療用タンパク質製剤の製造細胞とすることができる。同様に、産生タンパク質に機能付加したり分泌能力を高める機能遺伝子を細胞に導入することにより、該細胞の物質生産能力を高めることができる。
さらに、本発明に従ってリプログラミングした細胞は、遺伝子治療への利用が可能である。例えば、ヒト体細胞をリプログラミングしてヒト組織幹細胞やその前駆細胞、あるいはiPS細胞を得た場合には、これら細胞へ治療用遺伝子を導入し、目的の分化状態の細胞、または組織もしくは器官を誘導し、カテーテル、免疫遮断デバイス、点滴などを用いて移植することにより、疾患の治療が可能である。例えば、ヒトiPS細胞またはヒト皮膚前駆細胞を得た場合には、血液凝固第8因子の遺伝子を導入し、得られた細胞を血友病治療に適用できる。この場合、治療できる疾患は、単一遺伝子病(例えば、HUMAN GENE TRANSFER PROTOCOLS Last updated: 11-18-08 (NIH遺伝子治療臨床プロトコール一覧)p150、Monogenic diseasesの項を参照のこと)、あるいはその他の疾患(例えば、HUMAN GENE TRANSFER PROTOCOLS Last updated: 11-18-08 (NIH遺伝子治療臨床プロトコール一覧)p150、other diseases/disordersの項#1〜#23、およびCancerの項#1〜#13を参照のこと)である。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1:4因子連結ベクターの構築
(1)Oct4、Sox2、cMycおよびKlf4の遺伝子の連結
図1に示す7種類の4因子連結カセット:SKtMO、MKtSO、MKiresSO、SOiresMK、SKiresMO、MOiresSK、およびMKtOSを以下の手順で作製した。
各遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)配列は、Takahashi et al., Cell, 2006, 126:663-676の記載に従ってPCRクローニングした。cMycとしては、活性化型であるcMycT58Aを採用した。遺伝子ORFの連結のための介在配列としては、cMycとKlf4の間およびcMycとOct4の間では、細胞内プロテアーゼであるFurinの認識配列の3’側にE2A配列をつなげた配列(以下「Fu−E2A」という)を用い、その他の因子間では、Furinの3’側にT2A配列をつなげた配列(以下「Fu−T2A」という)を用いた(図2)。
例として、SKtMOおよびSKiresMO連結カセットの概要を図3に、SKtMO連結カセットの全塩基配列を図4に示す。
SKtMO連結カセットの場合、5’側から1番目(sox2)と2番目(Klf4)の遺伝子は、1番目のORFから終止コドンを削除し、その3’側にインフレームでFu−T2Aを連結し、Fu−T2Aの3’側にBglII部位を付加し、2番目のORFの5’側にBamHI部位を付加し、これらの制限酵素で消化し、得られた断片を結合させることによりインフレームで連結した。3番目(cMyc)と4番目(Oct4)の遺伝子の連結も、Fu−T2Aの代わりにFu−E2Aを用いて同様に行い、Oct4のORFの3’末端には終止コドンを配置した。2番目と3番目のORF間は、図3に示すとおりに連結した。以上により、4遺伝子のORFをインフレームで連結した。
SKiresMO連結カセットの場合、1番目と2番目のORFの連結および3番目と4番目のORFの連結は、SKtMO連結カセットと同様に行った。ただし、2番目のORFの3’末端には終止コドン−NotI部位を配置した。IRESとの連結は、上記終止コドンの3’側のNotI部位およびIRESの5’側に配置したXhoI部位を平滑末端化して行った。その他は、図3に示すとおりに連結した。
他の5種の4因子連結カセットについても、SKtMOおよびSKiresMO連結カセットの場合と同様にして作製した。IRES配列はEMCV由来IRES(インビトロジェン社)を参照して作製した。
次いで、上記で作製した連結カセットをpLN1EPOwbベクター中にサブクローニングした。pLN1EPOwbベクターは、pLN1EPO(Kakeda et al., Gene Therapy, 2005, 12: 852-856)にWPRE(Woodchack post transcriptional regulatory element)配列を挿入し、SV40ポリA配列(pA)をBGHpAに置換することにより作製した。サブクローニングにより得られたベクターを、それぞれpmSKtMO、pmMKtSO、pmMKiresSO、pmSOiresMK、pmSKiresMO、pmMOiresSK、およびpmMKtOSと命名した。
(2)4因子連結カセットを導入したレトロウイルス(RV)pMXsベクターの作製
実施例1(1)で作製した4因子連結カセットベクターをBamHIおよびNotIで消化することにより、4因子連結カセットを調製し、pMXsベクター(東京大学北村俊雄教授より供与;Takahashi et al., Cell, 2006, 126: 663-676)のBamHI−NotI部位間へ挿入した。得られたベクターを、それぞれpMXs−SKtMO、pMXs−SKiresMO、pMXs−MOiresSK、pMXs−MKtSO、pMXs−MKiresSO、pMXs−SOiresMK、およびpMXs−MKtOSと命名した。
一方で、コントロール用として、各因子のORFのみをpMXsベクターのBamHI−NotI部位間へ挿入したベクターを作製した。また、レトロウイルス(RV)ベクターの導入効率をみるために、IRES−GFPおよびGFP−IRES−LacZをpMXsベクターのBamHI−NotI部位間へ挿入したベクターを作製した。
実施例2:レトロウイルス(RV)ベクターによるマウス骨髄単核球細胞(mBMMNC)のリプログラミング
(1)連結4因子SKtMOによるmBMMNCのリプログラミング
細胞のリプログラミングは、実施例1(2)で作製した7種の連結4因子導入pMXsベクターのうち、pMXs−SKtMOを導入した場合にのみ成功した。この実験の詳細を以下に示す。
上記7種の連結4因子導入pMXsベクターを、Oct4−GFPマウス由来mBMMNC(要時調製)1×10個へ、レトロネクチン(タカラバイオ社)を用いて感染・導入し、マウスES細胞の培養法に準じて培養し、細胞リプログラムを試みた。細胞リプログラムの進行は、細胞質のGFP発現を指標とし、蛍光顕微鏡により検出・判定した。RVベクター感染から、フィーダー細胞であるマウス胎仔線維芽細胞(MEF)上へ播種するまでのレトロネクチンコートプレート中での培養は、サイトカイン(マウス幹細胞因子:mSCF、マウスインターロイキン−3:mIL−3、ヒトトロンボポエチン:hTPO、各100ng/ml)の存在下で行った。また、SKtMO RVベクター感染後12日目において、MEFを培養ウェル中へ再添加した。その他の方法の詳細を以下に示す。
mBMMNCの調製は、Oct4−EGFPトランスジェニックマウス(10〜24週齢)(横浜市立大学 大保和之准教授より供与;K. Ohbo et al., Dev. Biol., 258, pp.209-225, 2003)の大腿骨内の骨髄を採取し、比重遠心法により行った。
遺伝子導入用のRVベクター濃縮サンプルは、次のとおり調製した。コラーゲンタイプIコート100mmディッシュに5×10個のRVパッケージング用細胞:PLAT−E細胞(東京大学北村俊雄教授より供与;S.Morita et al., Gene Therapy, 7, pp.1063-1066, 2000)を播種し、37℃、5% CO下、10% FBS入りDMEM培地で培養した。培養24時間後に、各連結因子およびコントロール用RVベクター1種のそれぞれについて、100mmディッシュ1枚を用い、プラスミド9μgをFuGene6(ロシュダイグノスティック社)を用いて導入することにより、RVベクターの導入を行った。
遺伝子導入の約48時間後に培養上清を回収し、0.45μmフィルターでろ過後、mBMMNCへのRVベクター1感染反応あたり培養上清の3分の2量を分注し、5800×g、4℃で4時間遠心した。コントロールは、各因子4種の培養上清を分注する際に混合し、遠心調製した。ペレットをRVベクター1感染反応あたり0.75mlのマウスES細胞用培地で再懸濁し、これをRVベクター濃縮サンプルとした。マウスES細胞用培地としては、20%FBS入りDMEM培地に1/100容の2-メルカプトエタノール(SIGMA社)、1000 IU/mlマウスLIF(1/10000容のESGRO;フナコシ社)を添加したものを用いた。
その後、mBMMNCへのRVベクター感染のために、レトロネクチン(タカラバイオ社)でコートされた12ウェルプレートの1ウェルに上記RVベクター濃縮サンプルを添加し、1000×g、18℃で2時間遠心した後、マウスSCF(100ng/ml)、ヒトTPO(100ng/ml)、およびマウスIL−3(100ng/ml)を含む新たなマウスES細胞用培地0.25mlに懸濁したmBMMNC1×10個を添加した。これを室温で5分間遠心した後、37℃、5% COにて培養を開始した。
RVベクターの導入効率は、RVベクター感染後2日目において、コントロール用RVベクターのGFP発現を指標とするFACS解析によって調べた。その結果、pMXs−iresGFPベクター(タグなし単因子対照用)で47%、pMXs−GFPiresLacZベクター(連結4因子対照用)で8.7%であった。
pMXs−SKtMOベクターをOct4−GFPマウス由来mBMMNCへ導入した連結4因子SKMO導入群では、感染後13日目においてOct4−GFP発現が確認された(図5)。さらに培養を継続した結果、感染後15日目においてES細胞様のコロニー形成が確認された(図5)。
また、pMXs−SKtMOベクター感染後13日目において、連結4因子SKMO導入群では、従来法であるタグなし単因子RVベクターを4種類調製し、混合して遺伝子導入したコントロール群(以下「No tag群」という)と比べて、ウェル中のGFP陰性細胞が顕著に低減した(図6)。さらに、これらウェル中の細胞をFACS解析し、ソーテイングした結果、Oct4−GFP陽性細胞は、解析細胞中の10.5%であり、従来法であるNo tag群の場合(2.6%)と比べて約4倍(FACS解析)に増加・濃縮し、効率よく分画・分取できた(図7a)。さらに、リプログラムされた細胞(Oct4−GFP陽性細胞)は、Oct4−GFP陰性細胞とは大きさ・形態(FSC,SSC)でより均質な細胞群として分離された(図7b)。
以上の結果より、(i)連結4因子SKtMOは、1種のRVベクターpMx−SKtMOにより、ES細胞様のコロニー形成能を保持する、Oct4−GFP発現する細胞リプログラミングできること、ならびに(ii)連結4因子SKtMOによりリプログラムされたOct4−GFP陽性細胞は、FACS上で均質な細胞集団として分離され、従来法であるNo tag群と比べて4倍の効率で分画・分取できることが示された。
(2)連結4因子SKtMOとOct4との組合せによるmBMMNCのリプログラミング
pMXs−SKtMOベクターに加えて、さらに1遺伝子ORFのpMXsベクターを用いた遺伝子導入による細胞リプログラムを試みた。方法は、実施例2(1)に従い、独立に3セットの実験を行った。その結果、全ての実験回において、pMXs−SKtMOベクターとpMXs−Oct4ベクターとの組み合わせを用いることにより、Oct4−GFP陽性細胞はRVベクター感染後3日目から出現し、増殖した。さらに、感染後16日目からES様コロニー形成が確認された。pMXs−SKtMOベクターのみを用いた場合は、感染後4日目においてもOct4−GFP陽性細胞を殆ど検出できなかった。感染後4日目の写真を図8に示す。
一方で、Oct4に換えて他の因子:Sox2、cMycおよびKlf4のORFを各々導入したpMXsベクターのそれぞれをpMXs−SKtMOと組み合わせた場合には、Oct4−GFP陽性細胞の誘導促進は認められなかった。RVベクター感染後2日目におけるコントロール用RVベクターの導入効率は、pMXs−iresGFPベクター(単因子対照用)で52.4±4.45%、pMXs−GFPiresLacZベクター(連結4因子対照用)で5.61±1.48%であった。
以上より、連結4因子SKtMOとOct4との組み合わせを用いることにより、SKtMOのみの場合と比べて9日早く細胞リプログラミングを達成できることが明らかとなった。
実施例3:CHO細胞における連結4因子の発現プロセシングの確認
連結4因子の発現プロセシングを確認するために、実施例1(1)で作製した連結4因子ベクター:pmSKtMO、pmMKtSO、pmMKiresSO、pmSOiresMK、pmSKiresMOおよびpmMOiresSKを、CHO細胞で一過的に発現させ、ウェスタンブロット解析を行った。
ベクター導入は、Lipofectamine2000(インビトロジェン社)を用い、添付のプロトコールに従って行った。培養は、12穴プレートを用いて2.4×10個のCHO細胞をトランスフェクションの前日に播種して行った。
ベクター導入後48時間で細胞を回収し、DTTを含む1×SDSサンプルバッファーに溶解した。タンパク質濃度をEZQ Protein Quantitationキット(R33200:インビロトジェン社)により定量し、各サンプル10μgを用いてウエスタンブロット解析を行った。ブロッテイングはセミドライ法により行った。検出1次抗体としては、抗Oct3/4(H−134)ウサギポリクロナール抗体(SC-9081:Santa Cruz Biotechnology社)、抗Sox2ウサギポリクロナール抗体(AB5603:Chemicon International社)、抗cMycウサギポリクロナール抗体(PA1-25363:Affinity BioReagents社)、抗Klf4ヤギポリクロナール抗体(AF3158:R&D systems社)を用いた。2次抗体としては、検出1次抗体作製動物由来のIgGに対するHRP標識抗体を使用した。シグナル検出には、ECL plus(GEヘルスケア社)を使用した。
その結果、全てのコンストラクトにおいて予測されるバンドパターンが検出された(図9)。例えば、SKtMOでは、Sox2、cMycおよびKlf4についてはFu−2A配列が付加されたサイズのバンドが検出され、Oct4についてはFu−2A配列が付加されていないサイズのバンドが検出された。これらのことから、連結4因子の発現プロセシングが正しく行われていることが確認された。

Claims (10)

  1. 複数の核初期化転写因子のそれぞれをコードする複数のDNAを、細胞中の内在酵素によって切断されるペプチドをコードする介在DNA配列を介してポリシストロニックに連結してなる発現カセットであって、
    介在DNA配列が2AペプチドをコードするDNA配列を含むものであり、
    複数の核初期化転写因子が、Sox2、Klf4、cMyc、およびOct4であり、
    Sox2をコードするDNA、Klf4をコードするDNA、cMycをコードするDNA、およびOct4をコードするDNAを、5’末端から3’末端に向けてこの順番で含んでなる、発現カセット
  2. 請求項1に記載の発現カセットを作動可能な形で含んでなる、発現ベクター。
  3. レトロウイルスベクターである、請求項2に記載の発現ベクター。
  4. 請求項2または3に記載の発現ベクターを含んでなる、細胞。
  5. 細胞をリプログラミングする方法であって、該細胞に、請求項1に記載の発現カセットまたは請求項2もしくは3に記載の発現ベクターを導入する工程を含んでなる、方法。
  6. 前記細胞に、1種の核初期化転写因子をコードするDNAを含む第二の発現カセットまたは該発現カセットを作動可能な形で含む第二の発現ベクターを導入する工程をさらに含んでなる、請求項5に記載の方法。
  7. 第二の発現カセットまたは第二の発現ベクターに含まれる前記DNAが、Oct4をコードするものである、請求項6に記載の方法。
  8. 前記細胞が骨髄由来単核球細胞である、請求項5に記載の方法。
  9. iPS細胞が得られる、請求項5に記載の方法。
  10. リプログラミングされた細胞の製造方法である、請求項5〜9のいずれか一項に記載の方法。
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