JP5555383B2 - 遠心バレル研磨装置及び遠心バレル研磨方法 - Google Patents

遠心バレル研磨装置及び遠心バレル研磨方法 Download PDF

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Description

本発明は、遠心バレル研磨装置及び遠心バレル研磨方法に関するものである。
遠心バレル研磨装置は、遊星回転するバレル槽に、ワークと研磨石を投入し(必要に応じて水やコンパウンドを加え)、遠心力に起因するワークと研磨石との相対運動差によってワークを研磨石で研磨するものである。この遠心力を利用した研磨装置におけるワークの単位時間当たりの研磨量(研磨スピード)を向上させることについては、盛んに研究されており、特許文献1には、装置の構造的パラメータの観点から研磨量を増加させる技術が開示されている。
この特許文献1では、Rをバレル槽の公転(旋回)半径、rをバレル槽の半径、Nをバレル槽の1秒間の公転(旋回)回転数、nをバレル槽の1秒間の自転回転数とし、公転半径と自転半径の比R/rを、1.5≦R/r≦8とした条件下では、自転回転数と公転回転数との比n/Nを、おおよそ−3.4≦n/N≦−1とした場合に、研磨量がアップして、研磨に要する時間が短縮されることを明らかにしている。
また、この特許文献1には、n/N=−1にすれば、構造が平易で製造コストを抑えられるため、構造が複雑で能率も悪い−1<n/N<0の場合と比較して好ましいことも説明されている。そして、実際に、この特許文献1の示す効果は広く認められており、この特許文献1が公告されてから現在に至る40年余に亘り、一般に製造されている遠心バレル研磨装置の多くが、n/N=−1で設計されている。
特公昭45−29359号公報
遠心バレル研磨装置において、ワークに直接触れて研磨を行う研磨石は、ワークを研磨すればそれだけ自らも磨耗するため、従来より、ワークの研磨量(研磨スピード)がアップすれば、それだけ研磨石の摩耗量(磨耗スピード)も増えていくのは、当然のことであると考えられていた。つまり、ワークの単位時間当たりの研磨量と研磨石の単位時間当たりの摩耗量との比を「研磨効率」と定義した場合、ワークの研磨量(研磨スピード)を増減させても、研磨効率はそれほど変動しないだろう、という考えが、研磨業界の常識とされてきた。上記特許文献1でも、研磨効率に関する言及はされていない。
しかしながら、遠心バレル研磨装置のユーザ(顧客)からは、研磨石の摩耗の進行を抑えながらワークの研磨量(研磨スピード)を向上させたい(つまり、ワークの研磨量と研磨効率の両方を同時に向上させたい)という要望が高まっている。その背景には、生産性の追求のためにワークの研磨量を増やしたいが、その一方で、研磨石の磨耗量が増えれば、ランニングコストが上昇するばかりか、磨耗粉が水と混ざって汚泥となり、劣悪な作業環境や排水処理負担増の原因となる、という事情がある。
このような研磨量と研磨効率の両方を同時に向上させることで、生産時間の短縮と、研磨石の摩耗低減を実現し、もってランニングコストを低減するというニーズ、あるいは、危険・きつい・汚いという所謂3K作業の軽減や地球環境問題の解決を図りたいというニーズは、全産業的に省エネ・高効率化・CSR( Corporate Social Responsibility )が求められるようになった近年、特に、顕著となっている。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ワークの単位時間当たりの研磨量を向上させながら、ワークの単位時間当たりの研磨量と研磨石の単位時間当たりの摩耗量との比である「研磨効率」も維持又は向上させることが可能な遠心バレル研磨装置及び遠心バレル研磨方法を提供することを目的とする。
遊星回転するバレル槽にワークとセラミックス製の研磨石を投入することで、前記ワークを前記研磨石により研磨する遠心バレル研磨装置であって、
Nを、前記バレル槽の公転回転数、
nを、前記バレル槽の自転回転数、
Rを、前記バレル槽の自転中心が描く公転軌道の半径、
n/Nを、前記バレル槽の自公転比、
F=4π22R/gを、前記バレル槽の遊星回転時における前記公転軌道上の遠心加速度と、重力加速度gとの比である相対遠心加速度と定義した上で、
前記バレル槽の遊星回転時における前記相対遠心加速度Fが、次式
2.1(n/N)+29.5≦F≦6.1(n/N)+40.7
の範囲に設定されているところに特徴を有する。
また、第2の発明は、
遊星回転するバレル槽にワークとセラミックス製の研磨石を投入することで、前記ワークを前記研磨石により研磨する遠心バレル研磨方法であって、
Nを、前記バレル槽の公転回転数、
nを、前記バレル槽の自転回転数、
Rを、前記バレル槽の自転中心が描く公転軌道の半径、
n/Nを、前記バレル槽の自公転比、
F=4π22R/gを、前記バレル槽の遊星回転時における前記公転軌道上の遠心加速度と、重力加速度gとの比である相対遠心加速度と定義した上で、
前記バレル槽の遊星回転時における前記相対遠心加速度Fを、次式
2.1(n/N)+29.5≦F≦6.1(n/N)+40.7
の範囲に設定して研磨を行うところに特徴を有する。
本願の発明者は、ワークの単位時間当たりの「研磨量」を向上させながら、ワークの単位時間当たりの研磨量と研磨石の単位時間当たりの摩耗量との比である「研磨効率」も維持又は向上させることを可能にする機械構造的な条件を得るため、次のような実験と思索を行った。
まず、従来より知られているバレル槽の自転回転数と公転回転数との比(自公転比)n/Nに加えて、バレル槽の遊星回転時における公転軌道上の遠心加速度と、重力加速度との比である相対遠心加速度Fにも着目し、相対遠心加速度Fと自公転比n/Nが、研磨量及び研磨効率との関係において有意性があるのではないかとの予測を立て、鋭意、実験を行った。
そして、この実験結果に基づいて重回帰分析を行うことにより、研磨量及び研磨効率に関して、相対遠心加速度Fと自公転比n/Nを説明変数に含む回帰式を導き出し、この回帰式に基づいて得られた相対遠心加速度Fと研磨量及び研磨効率との関係性を分析した。その結果、相対遠心加速度Fが増加するのに伴い、総じて、研磨量が増加し且つ研磨効率が低下する中、研磨効率を維持或いは向上させながらワークの単位時間当たりの研磨量を増加させることを実現し得る好適なFの範囲が、 2.1(n/N)+29.5≦F≦6.1(n/N)+40.7 に限定されるとの知見を得た。
<2.1(n/N)+29.5 の範囲では、研磨量の絶対値が小さいため顧客ニーズが低いと考えられる。しかも、遠心力が小さ過ぎるために、ワークと研磨石の流動に乱れが生じて、ワークに打痕(ワークや研磨石の飛び跳ねに起因する衝突によってワークに生じる傷や変形)を生じさせる虞があり、実用性に乏しい。 6.1(n/N)+40.7<F の範囲では、研磨量が増加するのに伴って研磨効率が減少し、また、研磨効率の絶対値が小さいため顧客ニーズが低いと考えられる。しかも、遠心力が大き過ぎるために、ワークに圧痕(ワークや研磨石の押圧によってワークに生じる傷や変形)を生じさせる虞があり、実用性に乏しい。これに対し、 2.1(n/N)+29.5≦F≦6.1(n/N)+40.7 とすれば、研磨量を増加させながら研磨効率を維持することができ、また、打痕と圧痕を少なくすることができ、さらに、生産時間の短縮と研磨石の摩耗低減を実現してランニングコストを低減することができ、さらにまた、3K作業の軽減や地球環境問題の解決を図ることができる。
本実施例の遠心バレル研磨装置の概略図 研磨量Qと研磨効率Eを縦軸に、相対遠心加速度Fを横軸に設定したグラフ 図2の変曲点β、変曲点γ、及び過渡点δにおける相対遠心加速度F(β),F(γ),F(δ)を縦軸に、自公転比n/Nを横軸に設定してプロットして得られたグラフ
前記バレル槽の遊星回転時における前記自公転比n/Nが、
−0.45≦n/N≦−0.07
の範囲に設定されていてもよい。
本願発明者の実験によれば、自公転比n/Nを、−0.45≦n/N≦−0.07 としたときに、研磨後のワークの艶が良好であるとの知見を得た。したがって、この範囲に自公転比n/Nを設定すれば、ワークの研磨量増大と研磨効率低下とのトレードオフを解消しながら、艶の良い良質な研磨を行うことが可能である。
前記バレル槽は、辺の数が5辺以上である正多角形の角筒状をなしていてもよい。
バレル槽が、辺の数を4辺以下とする正多角形の角筒状である場合、バレル槽内では、ワークと研磨石が正常な流動を形成しない。バレル槽が円筒形をなす場合は、ワークと研磨石がバレル槽の内周面上で滑るために、研磨が進みづらい。これに対し、バレル槽を、辺の数が5辺以上とする正多角形の角筒状にすれば、バレル槽の内部では、ワークと研磨石が滑ることなく正常な流動を形成するので、良好な研磨が効率良く行われる。
前記バレル槽は、前記バレル槽の公転中心に関して点対称となる4箇所に配置されており、前記バレル槽の前記自転中心と内周面との間の最大寸法rを、前記バレル槽の仮想内径と定義した上で、
2<R/r<3
としていてもよい。
遠心バレル研磨装置では、バレル槽を高速で公転させたときにバランスの崩れを回避するために、偶数個のバレル槽を公転中心に関して点対称となるように複数配置することが好ましい。そして、この点対称配置された偶数個のバレル槽の総容積を大きく確保するためには、偶数個のバレル槽で囲まれた公転中心部のデッドスペースをできるだけ狭くすることが好ましい。さらに、高速回転に耐えるためにはバレル槽の板厚を或程度厚くする必要がある。これらの点に鑑みると、バレル槽の数を4個にするとともに、バレル槽の自転中心が描く公転軌道の半径Rと、バレル槽の仮想内径rとの比を、2<R/r<3とすることが好ましい。このように設定すれば、バレル槽の強度を確保しつつ、バレル槽の総容積を大きく確保することができる。
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を図1〜図3を参照して説明する。図1に示すように、本実施例の遠心バレル研磨装置10は、遊星回転する4つのバレル槽12にマス16(ワークと研磨石)を投入することで、ワークを研磨石により研磨するものである。この遠心バレル研磨装置10は、ワークの研磨量Q(Qの定義については、後に詳しく説明する)の増大と研磨効率E(Eの定義については、後に詳しく説明する)の維持又は向上を同時に実現することが可能な手段(研磨条件)を有している。
まず、遠心バレル研磨装置10の構造を説明する。遠心バレル研磨装置10は、1つの回転板11と4つのバレル槽12とを備えて構成されている。回転板11は、円形をなし、図示しない公転用モータにより、水平な公転軸13(本発明の構成要件である公転中心)を中心として一方向(図1における反時計回り方向)へ所定の速度で回転駆動されるようになっている。
各バレル槽12は、その自転軸14(本発明の構成要件である自転中心)と平行に視たときに、辺の数が6辺である正六角形の角筒状をなしている。4つのバレル槽12は、回転板11における公転軸13から偏心した位置(即ち、公転軸13と同心の円周上)において、周方向に90°の等角度間隔を空けて配置されている。各バレル槽12は、公転軸13と平行な自転軸14を中心に回転板11に対して所定の速度で相対回転するようになっている。
公転軸13の回転力は、図示しない周知の回転力伝達機構を介して4つのバレル槽12に伝達され、4つのバレル槽12は、公転モータを駆動源として回転駆動される。これら4つのバレル槽12の回転方向(自転方向)は、回転板11の回転方向(公転方向)とは逆に、図1における時計回り方向である。公転モータが駆動すると、回転板11と4つのバレル槽12が一体となって公転軸13を中心に公転するとともに、各バレル槽12が、夫々、回転板11に対し自転軸14を中心として公転方向とは逆方向に自転し、もって、4つのバレル槽12が遊星回転するようになっている。4個のバレル槽12が公転するときに自転軸14が描く軌道は、公転軌道15となる。
次に、ワークの研磨量Qを増大させながら、研磨効率Eを維持又は向上させるための手段(研磨条件)について説明する。研磨効率Eは、ワークの単位時間当たりの研磨量Qと、研磨石の単位時間当たりの摩耗量Wとの比として定義されたものである。本願の発明者は、研磨効率Eとワークの研磨量Qを遠心バレル研磨装置10の構造的パラメータに関連付けるため、従来より知られている自転回転数n(nの定義については、後に詳しく説明する)と公転回転数N(Nの定義については、後に詳しく説明する)との比(自公転比)n/Nに加えて、バレル槽12の遊星回転時における公転軌道15上の遠心加速度と、重力加速度gとの比である相対遠心加速度Fにも着目し、相対遠心加速度Fと自公転比n/Nが、研磨量及び研磨効率との関係において有意性があるのではないかとの予測を立て、鋭意、実験を行った。
そして、この実験結果に基づいて重回帰分析を行うことにより、ワークの研磨量Q及び研磨効率Eに関して、自公転比n/Nと相対遠心加速度Fを説明変数に含む回帰式を導き出し、この回帰式に基づいて得られた相対遠心加速度Fとワークの研磨量Q及び研磨効率Eとの関係性を分析した。その結果、研磨効率Eを維持或いは向上させながらワークの単位時間当たりの研磨量Qを増加させることを実現し得る好適なFの範囲が、
−2.5(n/N)+12.6≦F≦6.1(n/N)+40.7 であり、
更に好ましくは、
2.1(n/N)+29.5≦F≦6.1(n/N)+40.7 であるとの知見を得た。
以下、好適なFの範囲を得るための手順を詳しく説明する。まず、手順の説明に使用する記号と、その定義の一覧を表1に示す。
Figure 0005555383
図1に示すように、Rは、バレル槽12が公転するときに、バレル槽12の自転軸14(自転中心)が描く公転軸13と同心円形をなす公転軌道15の半径であり、単位は(m)である。rは、バレル槽12の仮想内径であり、単位は(m)である。仮想内径rは、バレル槽12の内周が非円形である点に鑑みて創作した名称であり、バレル槽12の自転軸14と内周面との間の最大寸法を意味する。Nは、バレル槽12の1秒あたりの公転回転数であり、単位は(rps)である。nは、バレル槽12の1秒あたりの自転回転数であり、単位は(rps)である。vは、公転軌道15上におけるバレル槽12の周速度であり、単位は(m/s)である。したがって、v=2πRNとあらわされる。以上は、遠心バレル研磨装置10の構造的パラメータである。
ここで、自公転比n/Nの値とバレル槽12の研磨時の回転形態との関係について説明する。バレル槽12の回転方向は、図1における反時計回り方向を正方向とする。本実施例では、バレル槽12の公転方向が正転方向であるから、公転回転数Nは「+」で表記し、自転方向は逆転方向であるから、自転回転数は「−」で表記する。また、図1において、バレル槽12のうちバレル槽12の自転軸14と同じ高さで且つ自転軸14の左方の位置に点Aを設定する。
n/N=−1とした場合は、公転回転数Nと自転回転数nは絶対値が同じであるから、バレル槽12が公転軌道15上のどの位置にあっても、点Aは、自転軸14に対して一定の位置関係を維持する。つまり、バレル槽12は、観覧車のように姿勢を一定に保ったままで公転する。また、−1<n/N<0とした場合、自転回転数nの絶対値は公転回転数Nの絶対値よりも小さいので、バレル槽12は、公転が進むのに伴い、自転軸14を中心として反時計回り方向へ回転するように姿勢を変化させる。
gは、重力加速度であり、g=9.8m/s2とあらわされる。Fは、相対遠心加速度であり、単位は無次元である。相対遠心加速度は、本願発明を説明するために創案した名称であり、バレル槽12の遊星回転時における公転軌道15上の遠心加速度と、重力加速度gとの比を意味する。したがって、F=v2/Rg=4π22R/9.8とあらわされる。uは、ワークの研磨量Qの関数Fの指数比例乗数であり、u=log(Q/|n|)とあらわされる。tは、Wの関数Fの指数比例乗数であり、t=log(W/|n|)とあらわされる。
Qは、30分(単位時間)あたりのワークの研磨量(研磨の際に削り取られたワークの重量)であり、単位は(mg)である。Q=|n|・Fuとあらわされる。Wは、30分(単位時間)あたりの研磨石の磨耗量(研磨の際に削り取られた研磨石の重量)であり、単位は(mg)である。W=|n|・Ftとあらわされる。Eは、30分(単位時間)あたりのワークの研磨量Qと、30分(単位時間)あたりの研磨石の摩耗量Wとの比として定義される研磨効率であって、E=Q/W=F(u-t)とあらわされ、単位は無次元である。
研磨効率Eは、ワークの研磨量Qを研磨石の摩耗量Wで除した値であるから、研磨石の摩耗が所定量に達したときワークの研磨がどれくらい進んだかをあらわす指標であり、換言すると、ワークの研磨が所定量に達したときに研磨石の摩耗がどれくらい抑えられたかをあらわす指標である。つまり、ワークの研磨の進行と研磨石の摩耗の進行とを勘案した上で、研磨石がワークの研磨に対してどれだけ効率的に貢献したかをあらわす指標であり、自動車に例えると燃費の良し悪しをあらわす指標と言える。
上記の記号を用いて、研磨量Q,摩耗量W,研磨効率Eのモデル式を立てる。遠心バレル研磨装置10は、バレル槽12の自転によりマス16を流動させながら、公転に起因する遠心力をマス16に付与することによって研磨を行うものであるから、相対遠心加速度Fと研磨量Q及び研磨効率Eとの関係には有意性があると考えられる。つまり、ワークの研磨量Qは、バレル槽12の自転回転数nに比例する流動量と、相対遠心加速度Fの影響を受けると考えられ、自転回転数nと相対遠心加速度Fを含むモデル式であらわすことができる。また、このモデル式から導かれる研磨量Qの数値を、後述する実験により得られる研磨量Qの値に合致させるため、相対遠心加速度Fに指数比例乗数uを乗じる必要があると考えられる。したがって、研磨量Qは、数1に示す数式(モデル式)であらわすことができる。
Figure 0005555383
また、研磨石の摩耗量Wも、研磨量Qと同様、バレル槽12の自転回転数nに比例する流動量と、相対遠心加速度Fの影響を受けると考えられ、自転回転数nと相対遠心加速度Fを含むモデル式であらわすことができる。また、このモデル式から導かれる摩耗量Wの数値を、後述する実験により得られる摩耗量Wの値に合致させるため、相対遠心加速度Fに指数比例乗数tを乗じる必要があると考えられる。したがって、摩耗量Wは、数2に示す数式(モデル式)であらわすことができる。
Figure 0005555383
数1及び数2の数式に基づき、研磨効率Eは、数3に示す数式(モデル式)であらわすことができる。
Figure 0005555383
上記の数1、数2及び数3に示す数式は、相対遠心加速度Fが、研磨量Q及び研磨効率Eとの関係において有意性があるとの予測に基づいて立てたモデル式であり、この予測段階でのモデル式における指数比例乗数u,指数比例乗数tは、未知数である。この指数比例乗数u,指数比例乗数tに影響を与える要因と、その影響の程度を定量化することができれば、相対遠心加速度Fと研磨量Qとの関係、及び相対遠心加速度Fと研磨効率Eとの関係が明らかになり、ひいては、研磨量Qと研磨効率Eとの関係も明らかとなる。これにより、研磨量Qを向上させながら研磨効率Eも維持又は向上させることが可能な条件を探し出すことができると考えられる。
本願発明者は、指数比例乗数uに影響を与える要因として相対遠心加速度Fに着目し、数4に示すように、目的変数を指数比例乗数uとし、相対遠心加速度F、及び相対遠心加速度の二乗F2を説明変数とする重回帰モデル式を立てた。この重回帰モデル式において、Uaは、F2を説明変数とする項の偏回帰係数であり、Ubは、Fを説明変数とする項の偏回帰係数であり、Ucは、定数項である。
Figure 0005555383
指数比例乗数tに関しても、同様に、影響を与える要因として相対遠心加速度Fと自公転比n/Nとに着目し、数5に示すように、目的変数を指数比例乗数tとし、相対遠心加速度F、相対遠心加速度の二乗F2及び自公転比n/Nを説明変数とする重回帰モデル式を立てた。この重回帰モデル式において、Taは、F2を説明変数とする項の偏回帰係数であり、Tbは、Fを説明変数とする項の偏回帰係数であり、Tcは、n/Nを説明変数とする項の偏回帰係数であり、Tdは、定数項である。
Figure 0005555383
次に、上記の数4及び数5に示す重回帰モデル式の偏回帰係数Ua,Ub,Uc,Ta,Tb,Tc,Tdを求めるために、表2に示す条件で実験を行った。表2に示すように、遠心バレル研磨装置10として、湿式の装置を用いた。表2において、20gのコンパウンドは1000ccの水に溶解した状態でバレル槽12内に投入されている。また、マス16の量が50%とは、バレル槽12の容積に対するマス16の体積の比率が50%であることを意味する。自公転比n/Nの値は、−1≦n/N≦−0.07としているが、これは次の理由による。
n/N>0とした場合は、遠心バレル研磨装置10の機械的構造が複雑化して製作コストが上昇する。n/N<−1とした場合は、ワークの艶や光沢が著しく減少することが分かっている。また、図1に示すように、回転中のバレル槽12の内部では、マス16の表層部に流動層16aが安定的に連続して生成されることによって良好な研磨が行われるのであるが、n/N=0の場合は、流動層16aが発生しない無流動状態となるため、研磨不能となる。したがって、実験範囲は、自公転比n/Nを、−1≦n/N<0 の範囲に設定する必要がある。
さらに、−0.05≦n/N<0 とした場合は、流動層16aが生成されずにマス16の一部が高く積み上がるように滞留する状態と、この滞留した部分が雪崩のように一気に崩れ落ちる状態とが交互に繰り返されて、研磨効果が不安定となり、また、研磨量Qも著しく小さくなるため、市場価値が無い。その上、微細な研磨量Qや摩耗量Wを正確に計測することもまた困難である。したがって、自公転比n/Nの好適な実用範囲は、−1≦n/N<−0.05 となり、この範囲内に自公転比n/Nの実験条件を設定した。
また、相対遠心加速度Fが概ね9以下の場合、流動層16aをバレル槽12の内面側へ押し付ける力が不十分であり、マス16の一部が流動層16aの表層で浮遊してワークへの打痕(ワークや研磨石の飛び跳ねに起因する衝突によってワークに生じる傷や変形)のリスクが高まる。また、相対遠心加速度Fが概ね45以上の場合、マス16を過剰に押さえつけて圧痕(ワークや研磨石の押圧によってワークに生じる傷や変形)のリスクが高まる。したがって、相対遠心加速度Fの実用範囲は、概ね9<F<45となり、この範囲内に相対遠心加速度Fの実験条件を設定した。さらに、樹脂製研磨石や金属製メディアよりも市場において汎用されている商品群であって、省摩耗ニーズの高いセラミックス製研磨石を、実験条件にしている。
Figure 0005555383
この条件の下で行った実験の結果、及び実験の条件に基づいて算出した値を表3に示す。この表3において、バレル槽12の公転回転数N,バレル槽12の自転回転数nは、実験の条件として設定した条件値である。自公転比n/Nは、公転回転数Nと自転回転数nに基づいて算出した条件値である。相対遠心加速度Fは、表1に示す数式に公転回転数Nとバレル槽12の公転軌道15の半径Rの値を代入して算出した条件値である。ワーク(試験片)の研磨量Qと研磨石の摩耗量Wは、実験の結果として得られた実験値である。研磨効率Eは、実験で得られた研磨量Qと実験で得られた摩耗量Wとに基づき、表1に示す数式E=Q/Wから算出して得られた実験値である。
Figure 0005555383
表3に示す条件値と実験値、及び、数1,数3〜数5の数式に基づき、最小二乗法を用いて重回帰分析を行ったところ、数4及び数5に示す重回帰モデル式の偏回帰係数Ua,Ub,Uc,Ta,Tb,Tc,Tdが求められ、その結果、数6及び数7に示す重回帰式が得られた。この重回帰式の寄与率を調べたところ、いずれも0.9以上であり、数6及び数7の重回帰式は、再現性の高いモデル式であると言える。
Figure 0005555383
Figure 0005555383
図2は、数1の研磨量Qをあらわす数式中のnに「−3.3」を代入し、数3の研磨効率Eをあらわす数式中のn/Nに「−0.5」を代入した場合において、数1及び数3の数式と数6及び数7の重回帰式とに基づき、研磨量Qと研磨効率Eを縦軸に、相対遠心加速度Fを横軸に設定したグラフである。尚、図2のグラフにおける研磨量Qの単位は、mgからkgへ変更している。
このグラフからは、下記のようなことを読み取ることができる。相対遠心加速度Fが大きくなるのに伴い、ワークの研磨量Qが増加しているのに対し、研磨効率Eは総じて低くなる傾向にある。しかし、相対遠心加速度Fが領域c,dであるときに限り、研磨効率Eの値が高いレベルに維持されている。
領域c及び領域dにおける相対遠心加速度Fの値は、
−2.5(n/N)+12.6≦F≦6.1(n/N)+40.7
の範囲である。
また、領域dにおける相対遠心加速度Fの値は、
2.1(n/N)+29.5≦F≦6.1(n/N)+40.7
の範囲である。
領域cは、相対遠心加速度Fが大きくなるのに伴い、低下を続けていた研磨効率Eが、上昇に転じる変曲点β(F=−2.5(n/N)+12.6)から、再び低下に転じる変曲点γ(F=2.1(n/N)+29.5)までの領域である。変曲点β及び変曲点βにおける研磨効率Eの値は、研磨効率Eの変化が低下から上昇に転じるという意味で技術的意義がある。領域aから領域eに至る全範囲を総じてみれば、研磨量Qの増大に伴って研磨効率Eが減少するのに対し、この領域cは、相対遠心加速度Fが大きくなるのに伴い、研磨量Qと研磨効率Eの両方が上昇し、研磨効率Eの値も高いレベルに維持されるので、特別な領域(研磨量Qの増加と研磨効率Eの低下とのトレードオフが解消されているという点において、異質な領域)と言える。
また、領域dは、上昇していた研磨効率Eが低下に転じる変曲点γから、研磨効率Eが変曲点βと同じ値まで低下したときの過渡点δ(F=6.1(n/N)+40.7)までの領域である。領域aから領域eに至る全範囲を総じてみれば、研磨量Qの増大に伴って研磨効率Eが減少するのに対し、この領域dは、相対遠心加速度Fが大きくなるのに伴って、研磨量Qが上昇し、変曲点βまで減少していた研磨効率Eを変曲点β以上の高いレベルに維持している。したがって、研磨量Qの増加と研磨効率Eの低下とのトレードオフが解消されているという点において、この領域dは、異質な領域と言うことができる。
また、領域cよりも相対遠心加速度Fの小さい領域bは、研磨効率Eが変曲点γと同じ値であるときの過渡点αから、変曲点βまでの領域である。この領域bは、研磨効率Eの値が、領域c,dと同様に高いレベルであるが、領域aから領域eに至る全範囲において総じて研磨効率Eが減少していく中の経過領域であるから、特異な領域ではない。しかも、研磨量Qが、領域c,dに比べて低い。
さらに、領域bよりも相対遠心加速度Fの小さい領域aは、研磨効率Eが領域c,dよりも高いものの、研磨量Qが著しく少ないため、良好な領域とは言えない。しかも、−1≦n/N<−0.05の場合、過渡点αにおける相対遠心加速度Fの値が、7〜10になることから、過渡点αよりも相対遠心加速度Fの小さい領域aでは、流動層16aをバレル槽12の内面側へ押し付ける力が不十分である。そのため、マス16の流動層16aが表層で乱れを生じ、ワークに打痕を発生させるリスクも高く、なおのこと、実用性、汎用性に乏しい。さらに、研磨量Qが増加するのに伴って研磨効率Eが著しく減少していて、研磨量Qの増加と研磨効率Eの低下とのトレードオフが解消できていない以上、領域aは、異質な領域とは言えない。
また、領域dよりも相対遠心加速度Fの大きい領域eは、研磨量Qは多いものの、研磨効率Eが著しく低いため、良好な領域とは言えない。しかも、−1≦n/N<−0.05の場合、過渡点δにおける相対遠心加速度Fの値が、34〜40になることから、過渡点δよりも相対遠心加速度Fの大きい領域eでは、ワークに圧痕が生じるリスクも高く、なおのこと実用性、汎用性に乏しい。さらに、研磨量Qが増加するのに伴って研磨効率Eが著しく減少しており、研磨量Qの増加と研磨効率Eの低下とのトレードオフが解消できていない以上、領域eも、異質な領域とは言えない。
以上を総括すると、相対遠心加速度Fの実用範囲は領域b,領域c,領域dである。領域a及び領域eは、研磨量Q或いは研磨効率Eが著しく小さい(低い)ばかりか、ワークに打痕或いは圧痕を生じさせるリスクも高く、極めて劣等な範囲といえる。そして、総じて相対遠心加速度Fの増加に伴って研磨量Qが増加し且つ研磨効率Eが低下する中、相対遠心加速度Fが上昇するのにともなって、研磨量Qを向上させ且つ研磨効率Eをも維持或いは向上させる範囲は、領域c及び領域dのみである。
また、領域cと領域dの範囲を規定する相対遠心加速度Fの値は、自公転比n/Nの値に応じて変動する。図3のグラフは、数3の数式と数6及び数7の重回帰式とに基づき、相対遠心加速度Fを縦軸に、自公転比n/Nを横軸に設定し、変曲点β、変曲点γ、及び過渡点δにおける相対遠心加速度F(β),F(γ),F(δ)をプロットして得られたものである。
このグラフによれば、変曲点βの相対遠心加速度F(β)は、自公転比n/Nが大きく(絶対値が小さく)なるほど小さくなり、変曲点γ、及び過渡点δにおける相対遠心加速度F(γ),F(δ)は、自公転比n/Nが大きく(絶対値が小さく)なるほど大きくなることが分かる。また、領域cと領域dの範囲が、自公転比n/Nの値が大きくなるほど、拡大することが分かる。尚、表4は、変曲点β、変曲点γ、及び過渡点δにおける相対遠心加速度F(β),F(γ),F(δ)と、自公転比n/Nとの関係を、概略的にあらわしたものである。
Figure 0005555383
上述のように、本願の発明者は、研磨量Qを向上させ、同時に研磨効率Eをも維持または向上させる手段、つまり、研磨量Qの増加と研磨効率Eの低下とのトレードオフを解消する手段として、自公転比(バレル槽12の自転回転数nと公転回転数Nとの比)n/Nと、バレル槽12の遊星回転時における公転軌道15上の遠心加速度と、重力加速度との比である相対遠心加速度Fとに着目し、バレル槽12の遊星回転時における相対遠心加速度Fを、次式
−2.5(n/N)+12.6≦F≦6.1(n/N)+40.7
の範囲に設定すべきである、との知見を得た。
F<−2.5(n/N)+12.6 の範囲(図2の領域a,b)では、研磨効率Eは高いものの、研磨量Qについては、領域aで著しく低く、領域bで低い。しかも、領域aでは、遠心力が小さ過ぎるために、ワークと研磨石の流動に乱れが生じて、ワークに打痕を生じさせる虞があり、実用性に乏しい。6.1(n/N)+40.7<F の範囲(図2の領域e)では、研磨量Qは多いが、研磨効率Eが低い。しかも、遠心力が大き過ぎるために、ワークに圧痕を生じさせる虞があり、実用性に乏しい。
これに対し、−2.5(n/N)+12.6≦F≦6.1(n/N)+40.7(図2の領域c,d)とすれば、研磨量Qを増加させながら研磨効率Eを維持或いは向上させることができるので、研磨量Qを増大させながら、研磨量Q当たりの摩耗量Wを減少させることが可能である。このように研磨量Qと研磨効率Eの両方を同時に向上させることにより、生産時間の短縮と、研磨石の摩耗低減を実現し、もってランニングコストを低減することができ、さらに、3K作業の軽減や地球環境問題の解決を図ることができる。
また、2.1(n/N)+29.5≦F≦6.1(n/N)+40.7 とすれば、−2.5(n/N)+12.6≦F<2.1(n/N)+29.5 の場合と比較すると、研磨効率Eはほぼ同等であるものの、研磨量Qは増えるので、生産性に優れている。
また、実験によれば、バレル槽12の遊星回転時における自公転比n/Nを、−0.45≦n/N≦−0.07 としたときに、研磨後のワークの艶が良好であるとの知見を得た。したがって、この範囲に自公転比n/Nを設定すれば、ワークの研磨量Q増大と研磨効率E低下とのトレードオフを解消しながら、艶の良い良質な研磨を行うことが可能である。
また、バレル槽が、辺の数を4辺以下とする正多角形の角筒状である場合、バレル槽内では、ワークと研磨石が正常な流動を形成しない。バレル槽が円筒形をなす場合は、ワークと研磨石がバレル槽の内周面上で滑るために、研磨が進みづらい。これに対し、本実施例では、バレル槽12が、辺の数が6辺(つまり、5辺以上)とする正多角形の角筒状をなしているので、バレル槽12の内部では、ワークと研磨石が滑ることなく正常な流動を形成し、良好な研磨が効率良く行われる。
また、遠心バレル研磨装置は、バレル槽を高速で公転させたときにバランスの崩れを回避するために、偶数個のバレル槽を公転中心に関して点対称となるように配置することが好ましい。そして、この点対称配置された偶数個のバレル槽の総容積を大きく確保するためには、偶数個のバレル槽で囲まれた公転中心部のデッドスペースをできるだけ狭くすることが好ましい。さらに、高速回転に耐えるためにはバレル槽の槽を或程度厚くする必要がある。
本実施例は、これらの点に鑑み、バレル槽12の数を4個にするとともに、バレル槽12の自転中心が描く公転軌道15の半径Rと、バレル槽12の仮想内径(バレル槽12の自転中心と内周面との間の最大寸法であり、換言すると、バレル槽12の板厚を無視した外接円の半径)rとの比を、2<R/r<3とした。このように設定すれば、バレル槽12の強度を確保しつつ、バレル槽12の総容積を大きく確保することが実現できる。
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、バレル槽を正六角形の角筒状としたが、バレル槽は、辺の数が5以下の正多角形の角筒状でもよく、辺の数が7以上の正多角形の角筒状でもよく、円筒形でもよい。
(2)上記実施例では、バレル槽の数を4個としたが、バレル槽の数は、3個以下としてもよく、5個以上としてもよい。
(3)上記実施例では、バレル槽の自転中心が描く公転軌道の半径Rと、バレル槽の仮想内径(バレル槽の自転中心と内周面との間の最大寸法)rとの比を、2<R/r<3としたが、Rとrの比は、R/r≦2としてもよく、3≦R/rとしてもよい。
(4)上記実施例では、複数個のバレル槽を同一円周上において等角度ピッチで配置することで、複数個のバレル槽の重心位置を公転軸上に配置して公転時の重心バランスを安定させるようにしたが、これに替えて、複数個のバレル槽を、同一円周上において不等角度ピッチで配置してもよい。この場合、バレル槽と一体的に公転するバランサを設けることで、公転時の重心バランスを安定させることができる。
(5)上記実施例では、複数個のバレル槽を公転軸に関して点対称の位置関係となるように配置することで、公転時の重心バランスを安定させるようにしたが、バレル槽が1個の場合には、バレル槽の点対称の位置に、バレル槽と一体的に公転するバランサを設けることで、公転時の重心バランスを安定させることができる。
10…遠心バレル研磨装置
12…バレル槽
13…公転軸(公転中心)
14…自転軸(自転中心)
15…公転軌道

Claims (5)

  1. 遊星回転するバレル槽にワークとセラミックス製の研磨石を投入することで、前記ワークを前記研磨石により研磨する遠心バレル研磨装置であって、
    Nを、前記バレル槽の公転回転数、
    nを、前記バレル槽の自転回転数、
    Rを、前記バレル槽の自転中心が描く公転軌道の半径、
    n/Nを、前記バレル槽の自公転比、
    F=4π22R/gを、前記バレル槽の遊星回転時における前記公転軌道上の遠心加速度と、重力加速度gとの比である相対遠心加速度と定義した上で、
    前記バレル槽の遊星回転時における前記相対遠心加速度Fが、次式
    2.1(n/N)+29.5≦F≦6.1(n/N)+40.7
    の範囲に設定されていることを特徴とする遠心バレル研磨装置。
  2. 前記バレル槽の遊星回転時における前記自公転比n/Nが、
    −0.45≦n/N≦−0.07
    の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1記載の遠心バレル研磨装置。
  3. 前記バレル槽は、辺の数が5辺以上である正多角形の角筒状をなしていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遠心バレル研磨装置。
  4. 前記バレル槽は、前記バレル槽の公転中心に関して点対称となる4箇所に配置されており、
    前記バレル槽の前記自転中心と内周面との間の最大寸法rを、前記バレル槽の仮想内径と定義した上で、
    2<R/r<3
    としていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の遠心バレル研磨装置。
  5. 遊星回転するバレル槽にワークとセラミックス製の研磨石を投入することで、前記ワークを前記研磨石により研磨する遠心バレル研磨方法であって、
    Nを、前記バレル槽の公転回転数、
    nを、前記バレル槽の自転回転数、
    Rを、前記バレル槽の自転中心が描く公転軌道の半径、
    n/Nを、前記バレル槽の自公転比、
    F=4π 2 2 R/gを、前記バレル槽の遊星回転時における前記公転軌道上の遠心加速度と、重力加速度gとの比である相対遠心加速度と定義した上で、
    前記バレル槽の遊星回転時における前記相対遠心加速度Fを、次式
    2.1(n/N)+29.5≦F≦6.1(n/N)+40.7
    の範囲に設定して研磨を行うことを特徴とする遠心バレル研磨方法。
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