JP5554711B2 - 殺生物剤の嫌気性微生物に対する評価のための高処理量の試験方法 - Google Patents

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Description

本件は、米国仮出願整理番号60/973,909(2007年9月20日出願)(参照によりその全部を本明細書に組入れる)に対する優先権を主張する。
発明の分野
本発明は、一般的な嫌気性環境(例えば油田およびガス田)中に見出される殺生物剤の嫌気性有機体に対する殺生物効果を試験するための高処理量の試験方法に関する。
発明の背景
嫌気性生物は、生育のために酸素を必要とせず、そして更には酸素の存在下で死滅する場合がある有機体である。嫌気性有機体の中で種々のレベルの空気耐性が報告されてきた。偏性嫌気性生物は、厳密に酸素なしで生活し、これらの殆どは、酸素曝露中で数時間を超えては生存しないと考えられている。短時間であっても酸素ストレス下では、偏性嫌気性バクテリアは代謝性変化、形態変化、または死に直面する場合がある。
硫酸塩還元バクテリア(SRB)は、偏性嫌気性生物に分類される。SRBは、硫酸塩を最終電子受容体として用い、硫化水素を生成する。SRBは、嫌気性条件が存在する多くの環境中に一般的に見出される。工業的に、SRBは水性または水含有環境、特に油およびガスの貯留層、油井およびガス井、油/ガスの操作、分離、貯蔵および輸送のシステム、油/ガスのパイプライン、油/ガスの容器、冷却タワー、環境水、廃水および処理システム、紙およびパルプのミル粉砕、貯蔵&混合タンクならびにプロセス水、バラスト水、他の工業プロセス水等における多くの問題の原因となる可能性がある。
嫌気性有機体,例えば嫌気性バクテリアに起因する可能性がある問題の結果として、嫌気性生物の生育を有効に制御する殺生物剤の要求が存在する。しかし、殺生物剤の効果は種々の要因(嫌気性生物が生育する化学的環境、および嫌気性生物の種類または特定の株が挙げられる)に左右される。よって、微生物種の1つの株に対して有効である場合がある殺生物剤は、異なる微生物種、または更には同じ種の異なる株に対して、または異なる環境条件下で、同様には有効ではない場合がある。
従って、特定環境からの微生物に対する殺生物剤の効果を評価するための試験方法が広く用いられている。例えば、API RP−38は、SRB評価のための、American Petroleum Instituteによって推奨される最も一般的に用いられる工業標準方法である。API RP−38試験において、SRB汚染サンプルは、試験殺生物剤で、密閉した血清バイアル中で試験する。バイアルを隔膜およびアルミニウムクリンプのキャップで密閉して、試験方法における酸素の障害を低減する。次いで、バクテリア計数のためにサンプルを連続希釈する。接種のためにニードルシリンジを用い、連続希釈のためにアリコートを移す。SRB生育のためのインキュベーション時間は、典型的には28日間である。
しかし、嫌気性生物に対する殺生物評価のための従来の試験方法は、幾つかの不利益を被る。例えば、上記のように、これらは時間がかかり、そして労働集約的であり、API試験のためのインキュベーション時間は28日間である。加えて、一部分において、酸素の排除の徹底が不足し、および嫌気性生物の生育に有利な雰囲気条件を与えられないことにより、公知の方法は、高い正確性および再現性を与えない。従来の方法の複雑性および制限の結果として、新規で、より迅速で、より有効で、そしてより再現性がある試験方法への要求が存在する。
発明の簡単な要約
本発明は、殺生物剤の嫌気性生物に対する殺生物効果の試験方法を提供する。該方法は:1つ以上の嫌気性生物サンプルを、マルチチャンネルピペットに接続可能な第1の組の容器の中に準備すること;1つ以上の殺生物サンプルを、1つまたは複数の既知濃度で、マルチチャンネルピペットに接続可能な第2の組の容器の中に準備すること;該1つ以上の殺生物サンプルと該嫌気性生物サンプルとの混合物をマルチチャンネルピペットによって形成すること;殺生物サンプルと嫌気性生物サンプルとの間の反応を可能にするように混合物をインキュベートすること;1つ以上の殺生物サンプルの各々の嫌気性生物に対する致死有効性を、1つまたは複数の選択された時間間隔で評価すること;を含み、1つ以上の殺生物サンプルを準備するステップ以外の各ステップを嫌気性条件下で実施する。
発明の詳細な説明
上記の通り、本発明は、殺生物剤の嫌気性有機体(例えばSRB)に対する殺生物効果を測定するための高処理量(HTP)の試験方法を提供する。該方法によれば、経時的に、嫌気性条件下で種々の処理間隔後に完全または所定のレベルの有機体致死を実現するのに必要な特定剤の最小殺生物剤濃度(MBC)を試験することが可能になる。幾つかの態様において、該方法は、連続希釈法、マルチウエルまたはマルチチューブ容器(マルチチャンネルピペットに接続可能なもの)、および完全に機能する嫌気性操作システムを用いて殺生物効果を試験する。
本発明のHTP試験法は、従来方法と比べて幾つかの利点を与える。例えば、その高い有効性により、該方法によれば、複数種の殺生物剤および剤の組合せの徹底的な評価および比較が可能になり(同時に短時間の間に)、迅速に結果を得ることならびに手間のコストおよび試験材料の低減をもたらす。大量のサンプルを試験する能力によっても、各サンプルの更なる複製および単独試験における各剤の対比比較が可能になり、これにより、試験の正確性が増大して、別個の試験における種々の(変化する)試験条件に起因する実験の偏りが回避される。
加えて、本発明のHTP試験手順は、厳密に嫌気性の生育条件を与え、これは、全試験時間の間の嫌気性生物の生存、生育、形態的および生理的な状況に対する酸素の影響を回避し、そして計数中の嫌気性生物の迅速な回収をもたらす。結論として、HTP法は、必要なインキュベーション時間が大幅により短く、そして更に、試験の正確性を増大させる。例えば、API RP−38従来試験について必要な28日間と比べ、本発明において試験するSRBについてのインキュベーション時間は約3日間に過ぎない。
更に、本発明の方法は、種々の時間間隔での検討下で殺生物化合物についての効果データを与えることができ、これは、多くの先行技術の試験の最小阻害濃度(MIC)データとは対照的である。本発明の方法は、殺生物剤が微生物を致死させる能力を試験下で経時的に測定する。一方MIC法は、殺生物剤の阻害効果を、1つの固定された時間点で、致死効果のために必要な用量の情報を与えることなく評価するのみである。
殺生物剤によって単純に阻害される有機体は、剤の活性が低下(これは、例えば、環境中に存在する失活剤又は剤の分解による)したときにはなお育つことができる。また、連続的な阻害処理下の有機体は殺生物剤対抗性/耐性に容易に生育でき、そして同じまたは同様の種類の殺生物剤での更なる処理を生き延びる場合がある。よって、微生物を致死させるために必要な殺生物剤の用量のデータは、有機体を単に阻害するのではなく排除するという要求が存在する場合、特に重要である。
本発明の手法はまた、殺生物効果の、MIC法よりも信頼性あるデータを与える。MIC試験において、殺生物剤と微生物との接触は培地中で起こる。培地中の幾つかの一般的な成分(例えばタンパクまたはアンモニウム化合物)は、所定の殺生物化合物を不活性化させる場合があり、よって殺生物化合物の濃度を人工的に妨げる場合がある。本発明の方法において、培地は、有機体計数ステップにおいてのみ必要であり、残りの殺生物剤の継続した活性は求められない。従って、本発明の方法は、実際の殺生物剤の効果のより信頼性ある評価を提供できる。
本発明は、殺生物剤の嫌気性生物に対する致死効果を高処理量で試験するための方法を提供する。該方法は:1つ以上の嫌気性生物サンプルを、マルチチャンネルピペットに接続可能な第1の組の容器の中に準備すること;1つ以上の殺生物サンプルを、1つまたは複数の既知濃度で、マルチチャンネルピペットに接続可能な第2の組の容器の中に準備すること;該1つ以上の殺生物サンプルと該嫌気性生物サンプルとの混合物をマルチチャンネルピペットによって形成すること;殺生物サンプルと嫌気性生物サンプルとの間の反応を可能にするように混合物をインキュベートすること;1つ以上の殺生物サンプルの各々の嫌気性生物に対する致死有効性を、1つまたは複数の選択された時間間隔で評価すること;を含み、ここで、1つ以上の殺生物サンプルを準備するステップ以外の各ステップを嫌気性条件下で実施する。
本発明のHTP法は、任意の環境からの嫌気性有機体を試験するのに好適である。ここで、このような有機体は、例えば、油田またはガス田の水、油田およびガス田の水系流体、油およびガスの貯留層、油およびガスの操作、分離および輸送のシステム、油およびガスの井および貯蔵タンク、油およびガスのパイプライン、油およびガスの容器、燃料、冷却タワー、環境水、土壌、廃水および処理システム、紙およびパルプのミル粉砕、バラスト水、工業設備、混合および貯蔵のタンク、ならびにプロセス水、塗料、ラテックス、コーティング、金属加工流体、水系スラリー、ならびに分散顔料、接着剤、インク、テープ接合コンパウンド、パーソナルケアおよび家庭用の製品、他の水含有流体、バイオフィルム、医療およびヘルスケアの領域における診断および治療の設備および道具、および臨床のサンプル等に存在する。嫌気性生物含有サンプルは、単独種または混合種の有機体を含有できる。好ましい嫌気性有機体は、微生物であり、より好ましくはバクテリアであり、最も好ましくはSRBである。他の好適な嫌気性バクテリアとしては、これらに限定するものではないが、工業環境および臨床サンプルにおいて一般的に見出される嫌気性バクテリア,例えばクロストリジウム(Clostridium)、ペプトストレプトコッキ(Peptostreptococci)、バクテロイデス(Bacteroides)、アクチノマイセス(Actinomyces)、プレボテラ(Prevotella)、フゾバクテリウム(Fusobacterium)、レプトトリキア(Leptotrichia)、真正細菌(Eubacterium)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)、乳酸菌(Lactobacillus)、または硝酸塩および亜硝酸塩還元バクテリア(NRB)が挙げられる。
本明細書の用語「嫌気性生物サンプル」は、試験に好適な粘度を有する嫌気性生物の水性サンプルを意味する。サンプルは、試験に好適である状態で天然に存在でき、すなわち、嫌気性生物は好適な粘度を有する水含有媒体中での存在が見出される。または、サンプルは、培養した1種または複数種の嫌気性生物を水含有媒体中に懸濁させることによって人工的に作製できる。人工的に懸濁させた嫌気性生物サンプルのための水含有媒体は、それ自体がフィールド環境(この中に有機体が典型的には住み、もしくは混入する)であってもよく、または、人工的に作製してもよい。天然由来の水含有媒体は、好ましくは、上記で挙げた種々の環境(この中に有機体が存在する)であり、これらに限定するものではないが、油田およびガス田の水、油田およびガス田の水系流体、油およびガスの貯留層、燃料、冷却タワー水、環境水、廃水および処理水、紙およびパルプのミル粉砕において用いる水、バラスト水、工業プロセス水、塗料、ラテックス、コーティング、金属加工流体、水系スラリー、ならびに分散顔料、水含有接着剤インクおよびテープ接合コンパウンド、パーソナルケアおよび家庭用の製品、他の水含有流体、および臨床のサンプルが挙げられる。注目される培養した嫌気性生物の懸濁液を作製するのに用いる場合、水含有媒体は、好ましくは使用前に致死させる。
嫌気性生物が低粘度の液体環境中(従ってピペットを用いて移すことができる)に天然に存在する場合、物質の更なる加工は典型的には必要なく、そして嫌気性生物サンプルは直接本発明の試験に供することができる。嫌気性生物サンプルの直接試験は、サンプル収集場所のごく近くで試験を実施できる場合、または嫌気性生物サンプルの嫌気性条件下での輸送が可能な場合には特に有利である。
輸送中に嫌気性条件を維持することに困難がある場合、嫌気性生物を、初めに、密閉された培地瓶中の好適な培地中に単離し、次いで後から輸送することが好ましい。これに代えて、収集した嫌気性生物含有サンプルを、輸送前に、密閉した瓶中の好適な嫌気性生物培地に添加できる。培地は、還元剤を含有することが好ましい。有機体は、次いで、ラボ中で更に富化でき、そして次いで、脱気したバッファー中または媒体中(試験のための好適な粘度を有するもの)で再懸濁でき、またはこれを更なる評価のために貯蔵できる。非液体環境(例えば硬質表面または高粘度物質,例えばテープ接合コンパウンド)中に存在する嫌気性生物は、容易に単離でき、次いで、脱気したバッファー中または水含有媒体中(試験のための好適な粘度を有するもの)で再懸濁でき、または更なる評価のために貯蔵できる。これに代えて、嫌気性有機体は、市販源または実験室での収集から得て培養できる。
殺生物剤試験のために、嫌気性生物サンプルを容器内に分配する。このステップは、嫌気性チャンバー内で実施する。嫌気性チャンバーにより、本発明のこのステップおよび種々の他のステップを嫌気性環境下で行なうことが可能になり、これは嫌気性有機体の生育に対する酸素の影響を回避し、嫌気性生物の生育のために有益な雰囲気条件(約90%N2、5%CO2および5%H2である雰囲気)を与え、従って、生育インキュベーション時間を大きく低減させる。また、酸素ストレスおよび毒性効果の下で、嫌気性生物は、形態的および生理的な変化または死に直面する場合があり、これは嫌気性生物の殺生物剤に対する感受性の変化をもたらし、または殺生物剤の効果を過大評価する可能性があるため、本発明で用いる嫌気性条件はより信頼性ある結果をもたらす。
チャンバーは、例えば、作業足場付のグローブボックス、または他の種類の酸素排除筐体(グローブ有りまたは無しで手で接続可能であり、そして作業足場を収容するもの)であることができる。有利には、チャンバーは、酸素を、好ましくは2.5%未満のレベル、より好ましくは0.4%未満まで除去できるのがよい。最も好ましくは微量の酸素を除去する。不活性ガス,例えば窒素またはアルゴンを用いて有効な酸素排除を与えることができる。
チャンバーは、好ましくは内蔵インキュベーターを収容するが、これは要求はされない。特に好ましいのは、作業足場、温度および濃縮物の制御装置、循環嫌気性ガス、微量酸素除去能力、ならびに内蔵インキュベーターを有するユニットである嫌気性チャンバーである。このようなチャンバーは市販で入手可能である。例えば、好ましいチャンバーは、Bactron嫌気性チャンバー(Sheldon Manufacturing,Inc.Oregon,USAから入手可能)である。
述べたように、嫌気性生物含有サンプルは、適切に既知量の1種または複数種の嫌気性生物を含有し、嫌気性チャンバー内側のマルチチャンネルピペットに接続可能な容器内に分配される。好ましい容器は、マルチウエルプレートである。マルチウエルプレートは、ウエルの複数の周期的な列およびカラムを、サンプルの個々のアリコートを保持するために含む。プレートは、種々のウエル数およびウエル容積,例えば6〜96ウエル(プレート当たり)および300μl〜2ml(ウエル当たり)で入手可能である。サンプルをプレートのウエル内にピペット(例えばマルチチャンネルピペットシステム)を用いて入れる。これに代えて、本発明の方法のこのおよび他のステップ,例えば培地媒体充填、連続希釈、接種および剤の分散または移送で使用するために、自動化または半自動化された装置を嫌気性チャンバーの内側に配置して、マルチチャンネルピペットを置き換えることができる。
任意に、嫌気性生物サンプルは、種々の嫌気性生物濃度で試験できる。これは、嫌気性生物サンプルで連続希釈を実施することによって行なうことができる。このような希釈は、好ましくは、マルチチャンネルピペットおよびマルチウエルプレートを、希釈したサンプルおよび他の溶液(たとえば制御溶液)のための容器として用いて行なう。典型的な連続希釈手順において、嫌気性生物サンプルは、特定の1つまたは複数の嫌気性生物濃度で、マルチウエルプレートにおけるウエルの上部列に入れる。各カラムの第2列内で、同じ嫌気性生物サンプルを、例えば半分に希釈する。マルチウエルプレートの更なる列内で希釈を繰返す。マルチウエルプレートの各カラムは、従って、複数の濃度の1種または複数種の嫌気性生物を収容する。
試験すべき1つ以上の殺生物サンプル(すなわち、溶液中またはマトリクス中に存在する殺生物剤)は、マルチチャンネルピペットに接続可能な第2の組の容器(好ましくはマルチウエルプレート)の中で直接作製し、またはこれに移送する。殺生物サンプルは、嫌気性チャンバーの外側で作製でき、そしてその後嫌気性チャンバーの内側に持ってくるが、これらを直接、嫌気性チャンバーの内側で作製することが好ましい。種々の溶媒およびマトリクス(水および有機溶媒が挙げられる)を用いてサンプルを形成できる。幾つかの態様において、上記の水含有媒体を、殺生物剤用のマトリクスとして用いることが有利である。これは条件(この下で殺生物剤を操作することになる)への良好な接近を与えることができるからである。典型的には、媒体は、無菌であるか、または殺生物サンプルの形成のための使用前に致死させる。
複数の殺生物剤濃度を試験すべきであるか、またはMBCを測定すべきである場合、殺生物サンプルの複数の連続希釈をその上で実施するのがよい。このような希釈は、好ましくは、マルチチャンネルピペットおよびマルチウエルプレートを、希釈されたサンプル、更には任意の他の溶液(例えば制御溶液)のための容器として用いて行なう。典型的な連続希釈手順において、注目される各殺生物サンプルは、特定の濃度で、マルチウエルプレート内のウエルの上部列内に入れる。各カラムの第2列内で、同じ殺生物サンプルを、例えば半分に希釈する。マルチウエルプレートの更なる列内で希釈を繰返す。マルチウエルプレートの各カラムは、従って、特定の殺生物剤を複数の濃度で収容する。
本発明は、試験のための任意の特定の殺生物剤には、および注目される嫌気性生物を致死させるための可能性を有することが特に好適であると考えられる任意のものには、限定されない。例としては、これらに限定するものではないが、アルデヒド,例えばグルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、ホスホニウム化合物,例えばテトラキスヒドロキシメチルホスホニウムスルフェート(THPS)、アンモニウム化合物,例えばアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール(ブロノポール)、チアゾロン,例えば5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(CMIT/MIT)、トリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタン、ベンズイソチアゾリノン(BIT)、1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニア−アダマンタンクロリド、2,6−ジメチル−m−ジオキサン−4−オールアセテート、o−フタルアルデヒド、オキサゾリジン、トリアジン、ならびに他のホルムアルデヒド放出殺生物剤、ならびにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
殺生物サンプルの作製に続き、マルチチャンネルピペットを用いて移して既知量の殺生物サンプルを嫌気性生物サンプルと混合する。好ましくは、これは、より少ない体積のサンプルをより大きい体積のサンプルを収容する容器内に移すことにより行なう。
任意に、注目される他の1種または複数種の化学物質としては、例えば、1種または複数種の、腐食防止剤、酸素捕捉剤、スケール阻害剤、ポリマー添加剤を、殺生物サンプルまたは嫌気性生物サンプルまたはこれらの2つの混合物の中に添加できる。
接触した時点で、殺生物サンプルおよび嫌気性生物サンプルを混合し、そして嫌気性条件下でインキュベートして、嫌気性生物と殺生物剤との間の反応を可能にする。インキュベーションの時間および/または温度は操作者によって選択して、注目される特定の要求に合致させる。好ましくは、インキュベーション温度は、環境(ここから試験される嫌気性生物が得られるか、またはここに殺生物剤を使用することが計画される)の温度近くに設定する。インキュベーション時間範囲は、殺生物剤が作用し始めるのに必要な見積もり時間および殺生物剤の活性が試験条件下で持続する見積もり時間に左右される。インキュベーション時間は、秒単位から月単位の範囲であることができる。
嫌気性チャンバー内で実施することは必要ではないが、チャンバー内のインキュベーターの存在は、本発明のインキュベーションステップを大きく促進し、そして試験の正確性の増大を助け、更に有機体計数時間を短くする。これはサンプルの酸素への暴露を回避することによる。インキュベーション時間の間、所望であれば、サンプルを異なる時間間隔で再接種できる。再接種は、使用者が再現しようとするフィールド条件の種類に応じて、例えば、時間単位、日単位または週単位で実施できる。
1種または複数種の殺生物剤の有効性は、プロセス全体に亘って(殺生物サンプルと嫌気性生物サンプルとの混合に従って)、および/または選択したインキュベーション時間の終了時に、評価できる。有効性は、定量的(例えば、生存細胞計数法によって生存有機体の減少を測定することにより);または定性的(有機体を完全に致死させることを調べることにより)のいずれでも評価できる。定量的または定性的な生存微生物測定法は、当該分野で周知であり、そして選択する特定の方法は本発明にとって決定的ではない。
例として、1つの好適な定量的な測定方法としては、培地系連続希釈法の使用が挙げられる。試験する嫌気性生物を生育させるのに好適な培地ブロスのアリコートを、配列されたマルチウエルまたはマルチチューブ、好ましくはマルチウエルプレートの中に入れる。試験の感度または特異性を増大させるために、特定の有機体または有機体群についての生育指標を培地ブロス中に添加できる。例えば、硫酸第一鉄アンモニウムを硫酸塩還元バクテリア(SRB)用の培地媒体に添加できる。硫酸第一鉄アンモニウムが、バクテリア生育中にSRBによって産生されるH2Sと反応する場合、黒色沈殿が形成され、生育および代謝活性の視認できる指標が与えられる。また、残存殺生物剤の殺生物活性を中和できるが有機体の生育に対する負の影響を有さない中和剤を、培地ブロス中に添加して、残存殺生物剤の嫌気性生物に対する任意の阻害効果を除くことができる。種々のインキュベーション時間間隔の後、またはインキュベーションの終了時に、嫌気性生物−殺生物サンプル混合物および任意の未処理対照サンプルの一部を各ウエルからマルチチャンネルピペットを用いて取出し、そして、更なる連続希釈のために培地ブロスを収容する別のマルチウエルプレートのウエル内に移す。これに代えて、培地ブロスの代わりに、マルチウエルプレートは、水またはバッファー溶液を収容してもよい。連続希釈(1つ以上)は、次いで、更なる細胞計数のために各カラムの下で行なう。
連続希釈に続き、マルチウエルプレートを次いでインキュベートして、各ウエル内の任意の生存バクテリアを視認可能な生育に到達させる。嫌気性チャンバー内で実施することは必要ではないが、チャンバー内のインキュベーターの存在は、本発明のこのステップを大きく促進し、そして試験の正確性の増大を助け、更に有機体計数時間を短くする。好ましくは、インキュベーション温度は、最適生育温度(典型的には、環境(ここから試験嫌気性生物を収集した)の温度と同様)、または、市販試験株を提供する機関によって推奨させる生育温度に設定する。インキュベーション時間は、未処理対照が視認可能な生育に到達するのに必要な時間未満でないのがよく、そして当業者によって容易に確認できる。
インキュベーション後、操作者は、各カラムの第1列から最終列までカウントし、視認可能な生育または生育指標を示す最後のウエルのウエル番号を記録する。これに従い、元の混合物中の嫌気性生物集団を、次いで算出できる。連続希釈された濃度の各殺生物剤の殺生物効果による生存嫌気性生物の減少を、次いで、殺生物剤処理されたサンプル中の嫌気性生物集団を、非殺生物処理対照サンプル中のものから差し引くことによって算出する。培地ブロス中の殺生物剤の残余が、計数結果に影響を有する(殺生物剤の残存殺生物活性に起因して)と予測される場合には、計数の前または最中に中和剤を用いる中和ステップを適用して残存殺生物活性を中和してもよい。
培地ブロスに代えて水またはバッファーの溶液を、嫌気性生物の計数のための連続希釈用に用いる場合、各ウエル中の嫌気性生物数は、固体養分表面(例えば寒天プレート)上で、例えばColony Forming Unit試験法を用いて、更に測定できる。
以下の例において示すように、計数ステップによって、試験する殺生物サンプルのいずれが嫌気性生物に対して効果を有するか、更には、種々の処理間隔の後で完全または所定のレベルの嫌気性生物致死を実現するのに必要な剤の最小濃度、の同定が可能になる。
計数の代替として、殺生物効果を評価するために定性法を用いることができる。例として、培地系の方法を用いることを含む1つの好適な定性測定法は、連続希釈が必要であることを除き、上記に記載される定量法に類似して操作する。続いて、結果は、生存嫌気性生物細胞の低減量に代えて完全な殺生物として読む。
培地系の方法以外に、生存有機体を定量的または定性的に検出するために用いることができ、そして育成できない有機体の検出に特に好適である、他の方法としては、細胞ATP(アデノシン三リン酸)検出、蛍光分子法、イムノアッセイ、核酸検出法、および細胞の生存能力または活性を検出するための他の方法が挙げられる。
本発明の方法における種々のステップは、嫌気性環境下で実施する。上記の嫌気性操作系に加え、特に偏性嫌気性生物を試験する場合、嫌気性生物サンプル、殺生物サンプルおよびこれらのサンプルの連続希釈物の調製のための種々の溶媒、溶液、媒体(例えば、バッファー、マトリクス、および水)を、使用前に脱気することが更に好ましい。脱気された水/バッファー/マトリクスは、嫌気性生物含有フィールド液体サンプルに代えて嫌気性生物単離体を試験する場合に、特に好適である。脱気は、これらの剤の中に存在する酸素の試験結果に対する影響を大きく低下させる。
脱気法は、当業者に周知であり、例えば、酸素の不活性ガス置換、凍結ポンプ融解(freeze-pump-thaw)法、酸素捕捉等が挙げられる。SRBに対する殺生物効果を試験するために、脱気された水/バッファー/マトリクスの酸素濃度は、10ppm未満であることが好ましく、より好ましくは0.5ppm未満である。他のバクテリアに対し、最大酸素レベルは、バクテリアの酸素に対する耐性、およびバクテリアが必要とする最適雰囲気生育条件に応じてより高いことができる。
本発明の種々の態様において使用するのに好適な培地は当該分野で周知である。例えば、SRBでは、好ましい培地としては、Starkey培地、スルフェートAPI培地、およびPostgate培地が挙げられる。またSRBでは、SRB接種調製培地中の硫酸第一鉄アンモニウムの濃度が、0.5〜20ppmであることが好ましく、好ましくは1〜10ppmである。SRB回収培地(計数用)中の硫酸第一鉄アンモニウムの濃度は、好ましくは20〜1000ppm、より好ましくは25〜100ppmである。
当業者によって理解されるように、本発明の方法の種々のステップの順番は変えることができる。例えば、第1の組の複数の容器内への嫌気性生物サンプルの供給は、第2の組の複数の容器内への1つ以上の殺生物サンプルの供給の後、前、または同時に実施できる。
以下の例は、本発明を更に例示するために与える。例は本発明の範囲の限定を意図しない。

例1
本発明の高処理量の試験方法を用いて、油田においての8つの一般的に用いられる殺生物剤(表1)を、フィールド単離SRBの制御でのこれらの有効性について評価する。殺生物剤は、8つの異なる用量レベルで3重に試験する。殺生物効果は、9回の間隔で、9日間に亘って測定する。表2は、9日間の試験期間の間での、試験される殺生物剤のSRBに対する殺生物効果(3重での平均)を示す。
Figure 0005554711
バクテリア懸濁液および処理プレートの調製
SRBは、始めに、嫌気性に(37℃)、−80℃凍結貯蔵から、2〜3日間、修正したStarkey培地中で生育させる。ブロスは、乳酸ナトリウム(3.5g)、塩化アンモニウム(1.0g)、オルトリン酸水素二カリウム(0.5g)、硫酸マグネシウム(2.0g)、硫酸ナトリウム(0.5g)、塩化カルシウム(0.1g)、チオグリコール酸(0.1g)、イースト抽出物(0.5g)、硫酸第一鉄アンモニウム(0.001g)を1L水中に含有する。インキュベーションは、Bactron III嫌気性チャンバー(Sheldon Manufacturing,Inc.Oregon,USA)内部のインキュベーター内で行なう。滅菌塩溶液(1.2490g NaCl,2.9290g NaHCO3,0.1910g Na2CO3,0.0060g Na2SO4,0.033g CaCl2,および0.0590g MgCl2・6H2O、1L水中)を準備し、脱気し(減圧排気および窒素ガス供給のステップを繰り返して)、そして試験前に嫌気性チャンバー内側に少なくとも1日入れる。SRBは、培地ブロスを2000gで15〜30分間遠心分離することによって収集する。バクテリアのペレットを、脱気した塩バッファー中で、最終バクテリア濃度約107CFU/mLに再懸濁させる。懸濁液を、次いで、96ディープウエルプレート(処理プレート)に900μl/ウエルで添加する。
殺生物剤溶液および殺生物剤プレートの調製
別個の96ディープウエルプレート(殺生物剤プレート)を用いて、殺生物剤溶液を8つの濃度に下記のように調製する:1mlの各殺生物剤溶液(初期濃度(この場合1000ppm)を有する)を、プレートの第1列に3つ添加し、1:2連続希釈を各カラムの下で行ない、8勾配レベルの殺生物剤濃度を各殺生物剤について得る。
バクテリア懸濁液の殺生物剤での処理
100μlの各殺生物剤溶液を、殺生物剤プレートから処理プレートに移し、よく混合する。処理プレートを、滅菌96ウエルプレートマットで覆って37℃にてチャンバー内側でインキュベートする。
バクテリアの計数
各ウエル内の生存バクテリアを9回の間隔で9日間に亘って、連続希釈法を用いて計数する。2時間から開始する各回の間隔で、20μlのアリコートを処理プレートの各ウエルから採取して、修正したStarkey培地で満たした96ウエルマイクロタイタープレートの第1列内に移す。ブロス2(180μl毎ウエル)は、乳酸ナトリウム(3.5g)、塩化アンモニウム(1.0g)、オルトリン酸水素二カリウム(0.5g)、硫酸マグネシウム(2.0g)、硫酸ナトリウム(0.5g)、塩化カルシウム(0.1g)、チオグリコール酸(0.1g)、硫酸第一鉄アンモニウム(0.025g)を1L水中に含有する。1:10連続希釈を次いで各カラムの下で行ない、そしてプレートを37℃にてチャンバー内側でインキュベートする。処理プレートは、SRB懸濁液で最終SRBレベル約107CFU/mLで再接種(その日のバクテリア計数の7日後)する。3日のインキュベーション後、生育および黒色沈殿物(SRB生育を示す)を示す各カラム内の最後のウエルのウエル番号を記録する。バクテリアのlog減少(各殺生物剤の殺生物効果に起因する)を、殺生物剤処理サンプルについて記録される最後の生育ウエル番号を、非殺生物剤処理対照サンプルのものから差し引くことによって算出する。
この例の全試験は、嫌気性チャンバー内側で実施できる。表2は、9日間の試験期間の間での、8つの殺生物剤のSRBフィールド培地に対する殺生物効果を示す。
Figure 0005554711
例1の検討は、複数の殺生物剤およびこれらのブレンド物の評価および比較における、本発明のHTP試験法の利点の幾つかを示す。全体で、例1は、1728データ点を与え、8つの殺生物剤によって3重に8用量レベルにて9回の間隔で処理されるSRBのlog減少を含む。同じ試験を、従来のAPI RP−38試験法を用いて実施する場合、約78日間(よく訓練された技術者の約280作業時間を含む)が、最終結果を得るために必要である。これに対し、約16日間(よく訓練された技術者の約12作業時間を含む)のみが、例1において実施されるような本発明のHTP試験法を用いて必要である。
例2
グルタルアルデヒド(UCARCIDE 250)を、2つの別個の試験で、油田生成水のSRBに対する殺生物効果について、比較目的のために従来の血清バイアル希釈試験法を用いて、反復試験する。水サンプルを12.5ppmおよび25.0ppmのグルタルアルデヒドで3日間GasPak嫌気性瓶中で処理する。該処理に続き、生存SRBバクテリアを、連続希釈法によって計数する。1mLの混合物を、ニードルシリンジを用いて、隔膜およびアルミニウムクリンプのキャップで密閉したSRB培地バイアル中の9mLのSRB培地媒体中に移す。培地バイアルを、次いで14日間インキュベートする。SRB log減少を表3に記録する。
Figure 0005554711
例3
別の検討において、グルタルアルデヒド(UCARCIDE 250)を、2つの別個の試験で、SRB培地に対する殺生物効果について、本発明の高処理量試験法を用いて、反復試験する。例1で記載する同じ試験手順を用いる。5勾配用量レベルでのでのグルタルアルデヒドによる3時間処理後のSRBのlog減少を表4に表す。分かるように、本発明のHTP法は、従来の試験方法と比べてより高い再現性のデータを与える。
Figure 0005554711
本発明を、その好ましい態様に関して上記で説明してきたが、本開示の精神および範囲の中での変更が可能である。従って本件は、本明細書で開示する一般的な原則を用いた本発明の任意の変形、用途または適用に及ぶことを意図する。更に本件は、本発明が属する分野で公知または通例的に実施される範囲内である本開示からの逸脱に及び、これは特許請求の範囲の限定の範囲内となることを意図する。
本発明は以下の態様を有する。
[1] 殺生物剤の嫌気性生物に対する殺生物効果の試験方法であって:
1つ以上の嫌気性生物サンプルを、マルチチャンネルピペットに接続可能な第1の組の複数の容器の中に準備すること;
1つ以上の殺生物サンプルを、1つまたは複数の既知濃度で、マルチチャンネルピペットに接続可能な第2の組の複数の容器の中に準備すること;
該1つ以上の殺生物サンプルと該嫌気性生物サンプルとの混合物をマルチチャンネルピペットによって形成すること;
殺生物サンプルと嫌気性生物サンプルとの間の反応を可能にするように混合物をインキュベートすること;
1つ以上の殺生物サンプルの各々の嫌気性生物に対する致死有効性を、1つまたは複数の選択された時間間隔で評価すること;
を含み、1つ以上の殺生物サンプルを準備するステップ以外の各ステップを嫌気性条件下で実施する、方法。
[2] 1つ以上の殺生物サンプルを第2の組の複数の容器の中で準備するステップを嫌気性条件下で実施する、上記[1]に記載の方法。
[3] 1つ以上の殺生物サンプルの各々の有効性を評価するステップを、インキュベーションステップ全体に亘って種々の時間間隔で実施するか、またはインキュベーションステップの終了時に実施する、上記[1]〜[2]に記載の方法。
[4] 1つ以上の殺生物サンプルの各々の致死有効性を評価するステップを、生存嫌気性生物を定量的に測定することによって、または嫌気性生物致死が完了しているか否かを定性的に測定することによって、のいずれかで実施する、上記[1]〜[3]に記載の方法。
[5] インキュベーションステップ中に、1つ以上の殺生物サンプルと嫌気性生物サンプルとの混合物に1つまたは複数の嫌気性生物サンプルを再接種する、上記[1]〜[4]に記載の方法。
[6] 1つ以上の殺生物サンプルが、天然由来のまたは人工的に作製された水含有媒体中の殺生物剤を含む、上記[1]〜[5]に記載の方法。
[7] 1つ以上の殺生物サンプルを、種々の濃度で準備する、上記[1]〜[6]に記載の方法。
[8] 1つ以上の殺生物サンプルを、複数の容器の組の中で、連続希釈法によって直接作製する、上記[7]に記載の方法。
[9] 嫌気性生物源が、油田およびガス田の水、油田およびガス田の水系流体、油およびガスの貯留層、油井およびガス井、油およびガスの操作、分離、貯蔵、および輸送のシステム、油およびガスのパイプライン、油およびガスの容器、燃料、冷却タワー、環境水、土壌、廃水および処理システム、紙およびパルプのミル粉砕、バラスト水、工業設備、混合および貯蔵のタンク、ならびにプロセス水、塗料、ラテックス、コーティング、金属加工流体、水系スラリー、ならびに分散顔料、接着剤、インク、テープ接合コンパウンド、バイオフィルム、パーソナルケアおよび家庭用の製品、他の水含有流体、硬質表面、ならびに医療およびヘルスケアの領域における診断および治療の設備および道具、または臨床のサンプルである、上記[1]〜[8]に記載の方法。
[10] 嫌気性生物サンプルまたは殺生物サンプルを作製するために用いる水含有媒体源が、油田およびガス田の水、油田およびガス田の水系流体、油およびガスの貯留層、燃料、冷却タワー水、環境水、廃水および処理水、紙およびパルプのミル粉砕において用いる水、バラスト水、工業プロセス水、塗料、ラテックス、コーティング、金属加工流体、水系スラリー、ならびに分散顔料、水含有接着剤インクおよびテープ接合コンパウンド、パーソナルケアおよび家庭用の製品、他の水含有流体、または臨床のサンプルである、上記[1]〜[8]に記載の方法。
[11] 嫌気性生物サンプル中の嫌気性生物が、単独種または混合種の嫌気性有機体である、上記[1]〜[10]に記載の方法。
[12] 嫌気性生物サンプル中の嫌気性生物が、単独種または混合種の、クロストリジウム(Clostridium)、ペプトストレプトコッキ(Peptostreptococci)、バクテロイデス(Bacteroides)、アクチノマイセス(Actinomyces)、プレボテラ(Prevotella)、フゾバクテリウム(Fusobacterium)、乳酸菌(Lactobacillus)、レプトトリキア(Leptotrichia)、真正細菌(Eubacterium)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)、硫酸塩還元バクテリアからの種、または硝酸塩および/もしくは亜硝酸塩還元バクテリアからの種である、上記[1]〜[11]に記載の方法。
[13] 1つ以上の嫌気性生物サンプルが、天然由来の嫌気性生物を含有する液体物質であるか、または、嫌気性生物含有物質もしくは1種もしくは複数種の嫌気性生物培地を、天然由来のもしくは人工的に作製された水含有媒体と混合することによって作製される、上記[1]〜[12]に記載の方法。
[14] 1つ以上の嫌気性生物サンプルを、種々の嫌気性生物濃度で準備する、上記[1]〜[13]に記載の方法。
[15] 殺生物剤が、アルデヒド,例えばグルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、ホスホニウム化合物,例えばテトラキスヒドロキシメチルホスホニウムスルフェート(THPS)、アンモニウム化合物,例えばアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール(ブロノポール)、チアゾロン,例えば5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(CMIT/MIT)、トリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタン、ベンズイソチアゾリノン(BIT)、1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニア−アダマンタンクロリド、2,6−ジメチル−m−ジオキサン−4−オールアセテート、o−フタルアルデヒド、オキサゾリジン、トリアジン、ならびに他のホルムアルデヒド放出殺生物剤、ならびにこれらの2種以上の混合物、のうち1種以上である、上記[1]〜[14]に記載の方法。
[16] 第1の組の複数の容器および第2の組の複数の容器が、独立に、マルチウエル容器またはマルチチューブである、上記[1]〜[15]に記載の方法。
[17] 第1の組の複数の容器および第2の組の複数の容器が、マルチウエルプレートである、上記[1]〜[16]に記載の方法。

Claims (5)

  1. 殺生物剤の嫌気性生物に対する殺生物効果の試験方法であって:
    1つ以上の嫌気性生物サンプルを、マルチチャンネルピペットに接続可能な第1の組の複数の容器の中に準備すること;
    1つ以上の殺生物サンプルを、1つまたは複数の既知濃度で、マルチチャンネルピペットに接続可能な第2の組の複数の容器の中に準備すること;
    該1つ以上の殺生物サンプルと該嫌気性生物サンプルとの混合物をマルチチャンネルピペットによって形成すること;
    殺生物サンプルと嫌気性生物サンプルとの間の反応を可能にするように混合物をインキュベートすること;
    1つ以上の殺生物サンプルの各々の嫌気性生物に対する致死有効性を、1つまたは複数の選択された時間間隔で評価すること;
    を含み、1つ以上の殺生物サンプルを準備するステップ以外の各ステップを嫌気性条件下で実施し、そして
    嫌気性生物が硫酸塩還元バクテリアである、方法。
  2. 1つ以上の殺生物サンプルを第2の組の複数の容器の中で準備するステップを嫌気性条件下で実施する、請求項1に記載の方法。
  3. 1つ以上の殺生物サンプルの各々の有効性を評価するステップを、インキュベーションステップ全体に亘って種々の時間間隔で実施するか、またはインキュベーションステップの終了時に実施する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 1つ以上の殺生物サンプルの各々の致死有効性を評価するステップを、生存嫌気性生物を定量的に測定することによって、または嫌気性生物致死が完了しているか否かを定性的に測定することによって、のいずれかで実施する、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. インキュベーションステップ中に、1つ以上の殺生物サンプルと嫌気性生物サンプルとの混合物に1つまたは複数の嫌気性生物サンプルを再接種する、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
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