JP2006006237A - 抗生物質の分解方法及びこれに用いる微生物 - Google Patents

抗生物質の分解方法及びこれに用いる微生物 Download PDF

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Abstract

【課題】 微生物を用いて抗生物質を分解する方法及びこれに用いる微生物を提供する。
【解決手段】 抗生物質を、プロテオバクテリア(Proteobacteria)又はグラム陽性低GC含量細菌、グラム陽性高GC含量細菌に属し、かつ抗生物質を分解しうる能力を有する微生物から選ばれる少なくとも1種で処理することを含む、抗生物質の分解方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、抗生物質の分解方法及びこれに用いる微生物に関する。
我が国における沿岸域では、真珠、ハマチ及びブリなどの養殖魚生産が盛んに行われている。多くの養殖漁場では、需要の拡大に伴い富栄養が進行し、貧酸素化及び赤潮などの環境劣化、過密養殖などによる周年の魚病の発生が頻発している。そのため、魚類海面養殖では魚病発生時だけでなく、感染予防のために、現在、多種多様な抗生物質が大猟に使用されている。養殖における抗生物質の薬効については魚病研究者によって精力的に調べられており、バクテリア及び病原菌の抑制に著しい効果を有することが報告されている。しかしながら、環境水中における抗生物質の基礎的研究は少なく、それら知見は限られている。
現在、抗生物質の大量使用により、水域、海底土壌中に大量の抗生物質が残留しており、環境汚染、耐性菌の出現、食物連鎖による人体への摂取など、人的及び物的に与える影響が危惧される。実際、医薬品として人体に抗生物質が使用される場合、必ずいくつかの副作用が伴うことは周知の事実である。このような副作用が、環境を経由して、人体に現れる可能性は高い。従って、持続的な養殖魚生産には、魚病予防に対する有効性及び経済性だけでなく、人体及び環境に対する安全性を兼ね備えた抗生物質の投薬技術を確立する必要があった。
特許文献1では、KN菌を用いて豚尿に含まれる抗生物質を分解し無害化することが記載されている。KN菌は、複数の菌種が混在する微生物群であり、従って、抗生物質に対して複数の微生物の相乗的な分解作用を有するものと考えられる。しかし、複数の微生物が混在するという原理上、KN菌の保存やバイオレメディエーションの実施の際に、時間の経過とともに微生物種の組成の変化や微生物間での遺伝子組換えが生じ、抗生物質に対する分解能力が低下するという問題があった。
特開2003−94090号公報
本発明の課題は、微生物を用いて抗生物質を分解する方法及びこれに用いる微生物を提供することである。
本発明は、以下の発明を包含する。
(1)抗生物質を、プロテオバクテリア(Proteobacteria)、グラム陽性低GC含量細菌又はグラム陽性高GC含量細菌に属し、かつ抗生物質を分解しうる能力を有する微生物から選ばれる少なくとも1種で処理することを含む、抗生物質の分解方法。
(2)プロテオバクテリアに属し、かつ抗生物質を分解しうる能力を有する微生物がγ−プロテオバクテリアに属する微生物である(1)記載の分解方法。
(3)γ−プロテオバクテリアに属する微生物がPseudomonas属に属する微生物である(2)記載の分解方法。
(4)グラム陽性低GC含量細菌に属する微生物がBacillus属に属する微生物である(1)記載の分解方法。
(5)グラム陽性高GC含量細菌に属する微生物がActinobacteria属に属する微生物である(1)記載の分解方法。
(6)アンピシリンを分解しうる能力を有するRA4株。
(7)オキシテトラサイクリン塩酸塩を分解しうる能力を有するRO1株。
(8)チアンフェニコールを分解しうる能力を有するRT1株
本発明によれば、微生物を用いて抗生物質を効果的に分解することができる。従って、水域や海底土壌中の抗生物質を分解し、浄化することが可能になる。
本発明に用いる微生物としては、プロテオバクテリア(Proteobacteria)、グラム陽性低GC含量細菌、又はグラム陽性高GC含量細菌に属し、かつ抗生物質分解しうる能力を有する微生物であれば、特に制限はない。
本発明者らは、高知県浦ノ内湾の海底土壌から38株の抗生物質を代謝する細菌株を得た。
高知県浦ノ内湾の海底土壌から得られた株のうち、RT1株は、16S rDNA塩基配列情報を用いた系統分類学的解析により(配列番号1)、既知の細菌Bacillus licheniformisに対し、98.9%の相同性を示し、グラム陽性低GC含量細菌、特にBacillus属に属すると同定された。RT1株は、受託番号FERM P−20071で、2004年5月31日付で独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に寄託されている。
RT1株は下記の菌学的性質を有する。
寒天培地上で黄褐色のコロニーを形成し、抗生物質のみを炭素源とする培地で増殖する。
高知県浦ノ内湾の海底土壌から得られた株のうち、RO1株は、16S rDNA塩基配列情報を用いた系統分類学的解析により(配列番号2)、既知の細菌Swine manure bacteriumに対し、99.6%の相同性を示し、グラム陽性高GC含量細菌、特にActinobacteria属に属すると同定された。RO1株は、受託番号FERM P−20072で、2004年5月31日付で独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に寄託されている。
RO1株は下記の菌学的性質を有する。
寒天培地上で黄褐色のコロニーを形成し、抗生物質のみを炭素源とする培地で増殖する。
高知県浦ノ内湾の海底土壌から得られた株のうち、RA4株は、16S rDNA塩基配列情報を用いた系統分類学的解析により(配列番号3)、既知の細菌Pseudomonas celllosaに対する相同性が91.8%であることから、γ−プロテオバクテリア群のPseudomonas属に属する新菌株と同定された。RA4株は、受託番号FERM P−20073で、2004年5月31日付で独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託されている。
RA4株は下記の菌学的性質を有する。
寒天培地上で茶色のコロニーを形成し、抗生物質のみを炭素源とする培地で増殖する。
16S rDNA塩基配列情報はDDBJデータベース中のFASTA SEARCHで既知細菌種との比較を行った(Altschul, S.F., W. Gish, W. Miller, E. W. Myers and D.J. Lipman; Basic local alignment search tool, J. Mol. Biol. 215: 403-410 (1990))。系統樹は、前記データベースで検索された既知細菌種を含め、近隣結合法に基づき作成した。ブーツストラップ値はPCソフトCLUSTAL W ver. 1.7 より決定した(Thompson, J.D., D.G. Higgins and T.J. Gibson; CLUSTAL W: improving the sensitivity of progressive multiple sequence alignment through sequence weighting, position-specific gap penalties and weight matrix choice, Nuc. Aci. Res. 22: 4673-4680 (1994))。
RT1株及びRO1株について、16S rDNA塩基配列情報を用いて作成した系統樹を図1に示す。
RA4株について、16S rDNA塩基配列情報を用いて作成した系統樹を図2に示す。
本発明においては、前記のようにして得られた菌株を変異誘発処理して得られる変異株を用いてもよい。
変異誘発処理は任意の適当な変異原を用いて行うことができる。ここで、「変異原」なる語は、その広義において、例えば変異原効果を有する薬剤のみならずUV照射のごとき変異原効果を有する処理をも含むものと理解すべきである。適当な変異原の例としてエチルメタンスルホネート、UV照射、N−メチル−N′−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、ブロモウラシルのようなヌクレオチド塩基類似体及びアクリジン類が挙げられるが、他の任意の効果的な変異原を用いてもよい。
微生物の培養に際しては、通常の細菌の培養方法が一般に用いられる。培地としては資化可能な炭素源、窒素源、無機物などを程よく含有する培地であれば合成培地、天然培地のいずれでも使用可能である。
炭素源としては、グルコース、澱粉、デキストリン、マンノース、フルクトース、シュクロース、ラクトース、キシロース、アラビノース、マンニトール、糖蜜などが単独又は組合せて用いられる。更に、菌の資化能によっては炭化水素、アルコール類、有機酸なども用いられる。
窒素源としては、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、尿素、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、乾燥酵母、コーン・スチープ・リカー、大豆粉、カザミノ酸、アミノ酸などが単独又は組合せて用いられる。
そのほか、必要に応じて塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸二水素カリウム、リン酸マグネシウム・8水和物、硫酸第一鉄、塩化カルシウム、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸銅などの無機塩類;チアミン塩酸塩などのビタミン類を加える。
本発明の対象となる抗生物質としては、魚類の養殖に用いられる水産用抗生物質、例えば、アンピシリン、アモキシシリン、シクラシリン及びピペラシリンナトリウムなどのペニシリン系抗生物質、オキシテトラサイクリン塩酸塩及びドキシサイクリン塩酸塩などのテトラサイクリン系抗生物質、クロラムフェニコール及びチアンフェニコールなどのクロラムフェニコール系抗生物質、ジョサマイシン、リンコマイシン、エリスロマシインなどのマクロライド系抗生物質、その他オキソリン酸、オレアンドマシン、ニフルスチレン酸ナトリウム、スルフイソゾールナトリウム、ミロキサシン等が挙げられる。本発明は、ペニシリン系、テトラサイクリン系及びクロラムフェニコール系の抗生物質、特に、アンピシリン、オキシテトラサイクリン塩酸塩及びチアンフェニコールの分解に有効である。
細菌による抗生物質の分解
予め培地中で細菌を前培養する。培地を容器に注ぎ、オートクレーブ処理した後、前培養物を接種する。培養後、HPLCによって培養物中の抗生物質を定量する。
本発明の分解方法において、処理時のpHは、通常4〜10、好ましくは6〜8、処理温度は、通常5〜35℃、好ましくは20〜25℃、処理時間は、通常1週間以上、好ましくは2週間以上である。また、分解の際には、細菌の増殖を促進するため、十分な空気を通気し、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸二水素カリウム、リン酸マグネシウム・8水和物、硫酸第一鉄、塩化カルシウム、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸銅などの無機塩類;チアミン塩酸塩などのビタミン類を加えることが好ましい。
海底土壌の場合、抗生物質汚染環境から海底土壌を処理施設へ運搬した後、土壌に分解細菌培養物を加え、数日間適温で保温する。土壌中の抗生物質濃度を測定し、抗生物質濃度が基準値以下であれば、土壌を環境中に戻す。
水質汚染の場合、抗生物質汚染環境から水を吸い上げ、分解細菌のバイオフィルムを通過させ、抗生物質を分解する。水質を検査した後、抗生物質濃度が基準値以下であれば、水を再び環境に排出する。これらの一連の操作は、水処理施設内に水を循環させることで行う。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)スクリーニング
滅菌後の試験管に、高知県浦の内湾より得られた海底土壌を1gとり、ろ過海水10mlに懸濁させ、室温で静置培養を行った。その後、上澄み液0.05mlを抗生物質含有寒天培地に塗沫し、30℃インキュベーター内で一週間培養した。形成したコロニーを分解細菌とし、これを別の寒天培地に単離した。色、形状、生長具合など目視により種を分類した。
用いた培地組成は、1000mlのろ過海水に対し、バクトペプトン5g、酵母エキス1g、グルコース10g、寒天15g、そして抗生物質が1×10−4Mになるよう加えた。
結果
各抗生物質を含んだ培地から目視により6〜10種の分解細菌が分離され、計38株得られた。
これらは前培養として抗生物質(1×10−4M)含有液体培地に移植し、30℃インキュベーター内に静置培養した。また、抗生物質寒天培地に植えかえし30℃インキュベーター内に静置培養した後に、冷蔵庫内に保存した。寒天培地に培養したものは、一ヶ月後に植えかえをし、維持培養した。
(実施例2)細菌の同定
細菌からのDNA抽出
液体培地に細菌を植えかえ、37℃で1〜2日間振とう培養し、細菌培養(10ml)を遠心管にとり、3000rpmで20分間遠心した。TE buffer(500μl)で菌体を再懸濁した後、マイクロチューブに移し、10%SDS(60μl)を加え、緩やかに攪拌後、50℃で30分間インキュベーションした。さらに10mg/ml lysozyme solution(60μl)6μlと10mg/ml proteinase k(6μl)を加え、50℃で30分間インキュベーションした。これに等量のフェノール(pH8)を加え、緩やかに攪拌し、常温で12000rpmで5分間遠心後、水層を新しいマイクロチューブに取り、5M NaCl(100μl)とCTAB(80μl)を加えて緩やかに攪拌し、60℃で10分間インキュベーションした。等量のクロロホルム−イソアミルアルコール混液を加え緩やかに攪拌し、常温で12000rpmで5分間遠心した後、水層を新しいマイクロチューブにとり、2倍量の100%エタノールを加えた。これを−30℃で一晩インキュベーションし、DNAを析出させた。
4℃で15000rpmで15分間遠心した後、上清を取り除き、沈殿に70%エタノール(500μl)を加え、4℃で15000rpmで15分間遠心した。上清はピペットマンを用いて完全に取り除き、沈殿をドライアップした。これに超純水50μlを加え懸濁させ、ゲノムDNA量を測定した。
測定用試料は、DNA懸濁溶液から1μlとり、699μlの超純水に溶解し、波長200〜300nm吸光度を測定し、260nmOD1=50ng/μlの割合でDNA量を換算し、懸濁液中のDNA量を算出した。
PCR
PCR用のマイクロチューブを使用し、下記の成分を氷上で混合した。PCRにマイクロチューブし、下記の温度設定で16S rDNAの増幅反応を開始した。
Buffer(MgCl含有)・・10μl
dNTP・・・・・・・・・・・・ 8μl
Primer 27F・・・・・・10pmol
Primer 1492R・・・・10pmol
DNA・・・・・・・・・・・・100ng
Taq polymerase・・・0.5μl
TE buffer・・・・・・・・・・Xμl
total・・・・・・・・・・・ 100μl
[温度設定]
94℃ 10:00
(1) 94℃ 1:00
(2) 56℃ 2:00
(3) 72℃ 2:00
72℃ 7:00
4℃
(1)〜(3)の操作を30回繰り返す。
確認電気泳動
TAEバッファーに1.5%のアガロースを加えゲル混合液を調整し、電子レンジでゲルを溶解させ室温で冷ました後に、ゲル作成容器に注ぎゲルを固めた。泳動槽にTAEバッファーを注ぎ、ゲルをセットした。
PCR産物(1.0μl)、6×loading buffer(1.0μl)及び滅菌脱イオン水(4.0μl)を混合した試料を、それぞれのレーンにアプライし、30分ほど泳動した後、エチジウムブロマイド入りタッパーにゲルを移し、15分間染色した後に254nm UV励起でバンドを確認した。
シークエンス用PCR産物の精製
寒天からPCR産物を切り出し、穴開きマイクロチューブの中に入れ、15000rpm、5分間遠心し、下のマイクロチューブに寒天を落した。同量のフェノールを加えvortexし、液体窒素中に1分間静置後、室温で融解させた。融解した試料を室温、15000rpm、10分間遠心し、水層を新しいマイクロチューブに移した後、水層と等量のフェノール・クロロホルム(1:1)を加えた。室温で15000rpm、10分間遠心し、水層を新しいマイクロチューブに移した後、水層量の1/10の3M酢酸ナトリウムと等量の2−プロパノールを加え、室温、15000rpm、20分間遠心した。上清を捨て、70%エタノールを1ml加えvortexし、室温、15000rpm、20分間遠心した。水分を完全に取り除いた後、10μlのTEに件濁させ、電気泳動によってPCR産物1μlを供し、産物量を確認する。
16S rDNA塩基配列の決定
下記の成分を氷上で混合、下記の温度設定で反応を開始する。
Reaction mix・・・・・・1μl
希釈液・・・・・・・・・・・・・・7μl
Primer27F・・・・・・3.2pmol
PCR product・・・・10〜50ng
TE buffer・・・・・・・・Xμl
total・・・・・・・・・・・20μl
[温度設定]
94℃ 5:00
(1) 96℃ 0:10
(2) 50℃ 0:05
(3) 60℃ 4:00
4℃
(1)〜(3)の操作を25回繰り返す。
反応液20μlに100%エタノール64μlと滅菌水16μlを加え、室温に15分間放置した。室温、15000rpmで、20分間遠心し、上清を完全に取り除き、70%エタノール250μl加え、voltexを用いて撹拌した後、室温、15000rpm、20分間遠心し、得られた沈澱をドライアップした。TSR12.5μlを加えてvoltexし、シークエンスにかけた。
相同性が98%未満であったRT1株、RT6株、RT8株、RA3株、RA4株及びRO1株の6種が新種であることが見い出された。本来、PCR法による塩基配列情報の読み間違いが1000分の1の確立で起こり、突然変異の確立など総合し相同性が99.8%未満であるものを新種とするが、今回経験上PCR法による塩基配列情報の読み間違いが約2%起こるものとし、確実に新種であると判断できる相同性を98%未満とした。
(実施例3)分解能力の確認
スクリーニングにより得られた分解細菌を、寒天培地と同組成の液体培地で一週間30℃インキュベーター内で前培養を行った。その後ガラス製試験管に同組成の液体培地9mlを入れ、前培養した細菌を1ml植えつけ、30℃インキュベーター内に三週間静置培養した。一週間毎にその液体培地中の抗生物質濃度をHPLCで測定することで、分解能力の確認を行った。結果を図3〜5に示す。
チアンフェニコール分解細菌である、RT1株及びRT6株は、2週間後にそれぞれ2割及び6割の分解率を示した(図3)。
アンピシリン分解細菌である、RA3株とRA4株は2週間後に7〜8割の分解率を示した(図4)。
オキシテトラサイクリン塩酸塩分解細菌である、RO1株は、2週間後に4割の分解率を示した(図5)。
(実施例4)海底土壌中における分解能力の確認
浦ノ内湾より採取した海底土壌1gをオートクレーブで滅菌し(121℃、20分)、抗生物質を10−4M/gとなるように添加した。予め前培養した分解細菌株(RT1株、RT6株、RT8株、RA3株、RA4株)の培養液0.1mlをそれぞれ加えてよく混合した。この際、必要に応じて、分解細菌の増殖を促進するために空気や栄養分(例えば、硝酸塩、リン酸塩、ビタミン類等)を加え、分解細菌の活性を高めた。30℃インキュベーター内で一週間静置培養した。一週間後に試料中の抗生物質濃度を測定して分解率を求めた。結果以下の表1に示す。
Figure 2006006237
分解能力確認実験で液体培地中で分解能力を示した菌株が、海底土壌中でも分解活性を示すことが確認された。また、これら分解細菌種が活性を発揮するために十分な空気を添加することが好ましいことも明らかとなった。
(実施例5)分解細菌の生長速度と分解速度
30mlポリカーボネートを培養用容器として用い、(実施例3)と同組成の液体培地29mlに前培養した細菌を1ml植えつけ、37℃バイオシェーカー内で培養を行った。分解細菌の生長量は540nmにおける濁度として、専用セルホルダーに30mlポリカーボネート容器をおいて、分光光度計で直接測定した。培地中の抗生物質は、マイクロチューブに1ml採取後、15000rpmで15分間遠心、0.45μmメンブランフィルターでろ過し、HPLCを用い以下の測定条件で測定した。
(a)カラム:OHpak KB−802 HQ 移動相:20mM NHPO(pH3.1)
(b)カラム:ODS RP−18 GP 移動相:20mM NHPO:AN=80:20
(c)カラム:ODS RP−18 GP 移動相:10mM TFA:AN=80:20
分解能力確認実験でアンピシリンに対し高い分解能力を示したRA3株、RA4株について、その生長量と分解割合の経時変化を調べた。その結果を図6及び7に示す。
RA3株は一日目、RA4株は二日目に対数的に増殖し、それと同時にアンピシリンを速い速度で分解することが確認された。これは、これら分解細菌が生長の際にアンピシリンを代謝していることを示している。したがってRA3株、RA4株は、アンピシリンをはじめペニシリン系の抗生物質が持つβラクタム環を分解する酵素、ラクタマーゼを放出している可能性が高いと考えられる。
抗生物質分解菌の系統学的位置付けを示す図である。 抗生物質分解菌の系統学的位置付けを示す図である。 抗生物質分解菌の液体培地中における抗生物質の分解能を示す図である。 抗生物質分解菌の液体培地中における抗生物質の分解能を示す図である。 抗生物質分解菌の液体培地中における抗生物質の分解能を示す図である。 RA3株について、その生長量と分解割合の経時変化を示す図である。 RA4株について、その生長量と分解割合の経時変化を示す図である。

Claims (8)

  1. 抗生物質を、プロテオバクテリア(Proteobacteria)、グラム陽性低GC含量細菌又はグラム陽性高GC含量細菌に属し、かつ抗生物質を分解しうる能力を有する微生物から選ばれる少なくとも1種で処理することを含む、抗生物質の分解方法。
  2. プロテオバクテリアに属し、かつ抗生物質を分解しうる能力を有する微生物がγ−プロテオバクテリアに属する微生物である請求項1記載の分解方法。
  3. γ−プロテオバクテリアに属する微生物がPseudomonas属に属する微生物である請求項2記載の分解方法。
  4. グラム陽性低GC含量細菌に属する微生物がBacillus属に属する微生物である請求項1記載の分解方法。
  5. グラム陽性高GC含量細菌に属する微生物がActinobacteria属に属する微生物である請求項1記載の分解方法。
  6. アンピシリンを分解しうる能力を有するRA4株。
  7. オキシテトラサイクリン塩酸塩を分解しうる能力を有するRO1株。
  8. チアンフェニコールを分解しうる能力を有するRT1株。
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