JP5554647B2 - ベンゾイレン尿素またはその誘導体の製造方法および化合物 - Google Patents

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Description

本発明は、ベンゾイレン尿素またはその誘導体の製造方法および化合物に関する。
例えば、半導体素子の製造に用いられるレジスト組成物や、例えば、難燃剤などに含有される有効成分として、ベンゾイレン尿素が、よく知られている。
このようなベンゾイレン尿素を製造する方法としては、例えば、アントラニル酸(アミノ安息香酸)と尿素とを、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド中において反応させることが、提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
Nikpour, Farzad; Paibast, Touraj; Chemistry Letters; vol. 34; nb. 10; (2005); p. 1438 − 1439
しかしながら、上記の方法によりベンゾイレン尿素を製造する場合には、アントラニル酸(アミノ安息香酸)と尿素とを反応させる必要があるところ、原料成分であるアントラニル酸(アミノ安息香酸)を工業的に得るには、無水フタル酸にアンモニア水を加え、これに苛性ソーダ液と次亜塩素酸ソーダとを追加してフタルアミン酸ソーダとして、これを硫酸で処理するという非常に煩雑な工程を必要としている。そのため、ベンゾイレン尿素の製造が煩雑となり、コストも低減できないという不具合がある。
本発明の目的は、より簡易にベンゾイレン尿素またはその誘導体を製造できるベンゾイレン尿素またはその誘導体の製造方法、および、ベンゾイレン尿素の誘導体である新規化合物を提供することにある。
上記目的を達成するため、ベンゾイレン尿素またはその誘導体の製造方法は、下記一般式(1)で示される芳香族アミンと、尿素および/またはビウレットとを反応させることを特徴としている。
(X1〜X4は、それぞれ独立して水素原子または置換基を示す。但し、X4は、−C(=O)−X(X5は、水酸基、アルコキシ基およびハロゲン原子のいずれかを示す。)で示す置換基以外の置換基または水素原子を示し、X1〜X4のうち、互いに隣接する置換基により、環形成されていてもよい。)
また、本発明のベンゾイレン尿素またはその誘導体の製造方法では、上記一般式(1)において、X1〜X4が、それぞれ独立して、水素原子、または、置換されていてもよいアミノ基、水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルアミド基、アリール基および炭素数1〜4のアルキル基から選択される置換基であることが好適である。
また、本発明のベンゾイレン尿素またはその誘導体の製造方法では、上記一般式(1)において、X1〜X4のうち、少なくとも1つの置換基が、置換されていてよいアミノ基であることが好適である。
また、本発明のベンゾイレン尿素またはその誘導体の製造方法は、では、上記一般式(1)で示される芳香族アミンが、ジアミノトルエンであることがより好適である。
また、本発明の化合物は、下記一般式(2)で示されることを特徴としている。
本発明のベンゾイレン尿素またはその誘導体の製造方法では、上記一般式(1)で示される芳香族アミンと、尿素および/またはビウレットとを反応させるのみでベンゾイレン尿素またはその誘導体を製造できるため、原料成分を製造する工程を大きく削減でき、より簡易にベンゾイレン尿素またはその誘導体を製造することができる。
そのため、ベンゾイレン尿素またはその誘導体を効率よく製造して、安価に提供することができる。
また、本発明の化合物は、例えば、半導体素子の製造に用いられるレジスト組成物や、難燃剤などに含有される有効成分、さらには、医薬原料などとしての用途を期待できる。
本発明のベンゾイレン尿素(1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン−2,4−ジオン)またはその誘導体の製造方法では、下記一般式(1)で示される芳香族アミンと、尿素および/またはビウレットとを反応させる。
(X1〜X4は、それぞれ独立して水素原子または置換基を示す。但し、X4は、−C(=O)−X(X5は、水酸基、アルコキシ基およびハロゲン原子のいずれかを示す。)で示す置換基以外の置換基または水素原子を示し、X1〜X4のうち、互いに隣接する置換基により、環形成されていてもよい。)
上記式(1)において、X1〜X4は、それぞれ独立して水素原子または置換基を示す。
置換基としては、例えば、ベンゼン環から電子を吸引する電子求引性基、ベンゼン環に電子を放出する電子供与性基などが挙げられる。
電子求引性基としては、例えば、−C(=O)−X(X5は、水酸基、アルコキシ基(炭素数1〜4のアルコキシ基)およびハロゲン原子(後述)のいずれかを示す。)、−NX (X6は、後述するアルキル基を示す。)、−NO、−CN、−SOH、−CHO(アルデヒド基)、−COX(X7は、後述するアルキル基を示す。)、ハロゲン原子(例えば、塩素、フッ素、臭素およびヨウ素など)などが挙げられる。
電子供与性基としては、例えば、置換されていてもよいアミノ基が挙げられる。
置換していてもよいアミノ基は、例えば、下記式(3)で示される。
−NX (3)
(式中、X8およびX9は、互いに同一または相異なって、水素原子またはアルキル基を示す。)
上記式(3)中、X8およびX9において、アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどの直鎖または分岐鎖の炭素数(以下、「C」と省略する。)1〜4のアルキル基や、例えば、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、iso−オクチル、2−エチルヘキシルなどの直鎖または分岐鎖のC5〜8のアルキル基などが挙げられる。
このような電子供与性基(−NX)として、より具体的には、例えば、−NH、−NHCH、−NHCHCH、−N(CH、−N(CHCH、−N(CHCH)CHなどが挙げられる。
また、電子供与性基としては、さらに、例えば、水酸基(−OH)、C1〜4のアルコキシ基(−OX10(X10は、上記のC1〜4のアルキル基を示す。))、C1〜4のアルキルアミド基(−NHC(=O)X11(X11は、上記のC1〜4のアルキル基を示す。))、アリール基(例えば、フェニル基など)、上記のC1〜4のアルキル基などが挙げられる。
さらに、上記式(1)においては、例えば、X1〜X4のうち、互いに隣接する置換基により、環形成されていてもよい。
このような芳香族アミンとしては、例えば、アミノナフタレン、ジアミノナフタレン、テトラヒドロアミノナフタレンなどが挙げられる。
但し、上記一般式(1)において、X4は、−C(=O)−X(X5は、水酸基、アルコキシ基およびハロゲン原子のいずれかを示す。)で示す置換基以外の置換基または水素原子を示す。
上記式(1)で示される芳香族アミンとして、好ましくは、X1〜X4がそれぞれ独立して、水素原子または電子供与性基、より具体的には、水素原子、または、置換されていてもよいアミノ基、水酸基、C1〜4のアルコキシ基、C1〜4のアルキルアミド基、アリール基およびC1〜4のアルキル基から選択される置換基であることが挙げられる。
置換基がそれぞれ独立して水素原子または電子供与性基であれば、ベンゼン環に電子が放出される(すなわち、ベンゼン環が電子を授受する)ため、ベンゼン環の電子密度を高め、芳香族アミンの反応性の向上を図ることができる。
なお、置換基として、好ましくは、X1〜4の水素原子または置換基の組み合わせにより、結果としてベンゼン環の電子密度が高められればよく、そのような範囲において、例えば、電子供与性基と電子求引性基とを併用することもできる。
また、上記式(1)で示される芳香族アミンとして、より好ましくは、X1〜4のうち、少なくとも1つの置換基が、置換されていてよいアミノ基であることが挙げられる。
X1〜4のうち、少なくとも1つの置換基が、置換されていてよいアミノ基であれば、反応生成物であるベンゾイレン尿素またはその誘導体に、反応性官能基を導入しつつ、ベンゼン環の電子密度を高めることができる。
置換されていてもよいアミノ基は、好ましくは、一般式(1)で示される芳香族アミンのアミノ基(−NH)に対して、メタ位(すなわち、X、X)に置換される。
置換されていてもよいアミノ基は、好ましくは、1つ置換され、X1に置換される場合には、好ましくは、X2、X3が水素原子であり、X4がメチル基(−CH)であり、また、X3に置換される場合には、好ましくは、X1、X2が水素原子であり、X4がメチル基(−CH)である。
一般式(1)で示される芳香族アミンとして、より具体的には、例えば、アニリン、ジメチルアニリン(2,3-ジメチルアニリン、2,5−ジメチルアニリン、3,4−ジメチルアニリン、3,5−ジメチルアニリン)、トルイジン(o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン)、ジアミノトルエン(特に制限されないが、工業的には、例えば、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエンなど)などが挙げられる。
これら芳香族アミンは、単独使用または2種類以上併用することができる。
芳香族アミンとして、好ましくは、ジアミノトルエンが挙げられる。
ジアミノトルエンは、上記した利点を有する芳香族アミンとして、工業的に入手が容易である。
そして、この反応では、芳香族アミン1モルに対して、尿素2モル、または、ビウレット1モル、あるいは、それらに相当するモル数の尿素およびビウレット(混合物)が反応する。
そのため、芳香族アミンと尿素とを反応させる場合には、それらの配合割合は、芳香族アミン1モルに対して、尿素が、例えば、2モル以上、好ましくは、2.01モル以上、通常、3.0モル以下である。
また、芳香族アミンとビウレットとを反応させる場合には、それらの配合割合は、芳香族アミン1モルに対して、ビウレットが、例えば、1モル以上、好ましくは、1.01モル以上、通常、2.0モル以下である。
また、芳香族アミンと、尿素およびビウレットとを反応させる場合には、それらの配合割合は、芳香族アミン1モルに対して、尿素のモル数の1/2量、および、ビウレットのモル数の総モル数が、例えば、1モル以上、好ましくは、1.01モル以上、通常、2モル以下となるように、調整する。
なお、このような場合において、尿素とビウレットとの配合割合は、目的及び用途に応じて、適宜設定される。
また、この反応では、必要により、反応溶媒を用いることができる。
反応溶媒としては、原料成分である芳香族アミンや、尿素および/またはビウレット、さらには、反応生成物であるベンゾイレン尿素またはその誘導体に対して不活性であれば、特に制限されないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジイソプロピルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジイソプロピルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N,N−ジエチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、スルホランなどの非プロトン性極性溶媒などが挙げられる。
反応溶媒の配合割合は、特に制限されないが、原料成分である芳香族アミン、尿素および/またはビウレットの総量100質量部に対して、例えば、10〜900質量部、好ましくは、50〜800質量部である。
また、この反応においては、触媒を用いることもできる。
触媒としては、特に制限されないが、例えば、リチウムメタノラート、リチウムエタノラート、リチウムプロパノラート、リチウムブタノラート、ナトリウムメタノラート、カリウム−tert−ブタノラート、マグネシウムメタノラート、カルシウムメタノラート、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、酢酸鉛、リン酸鉛、塩化アンチモン(III)、塩化アンチモン(V)、アルミニウムアセチルアセトナート、アルミニウム−イソブチラート、三塩化アルミニウム、塩化ビスマス(III)、酢酸銅(II)、硫酸銅(II)、硝酸銅(II)、ビス−(トリフェニル−ホスフィンオキシド)−塩化銅(II)、モリブデン酸銅、酢酸銀、酢酸金、酸化亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛アセトニルアセタート、オクタン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、ヘキシル酸亜鉛、安息香酸亜鉛、ウンデシル酸亜鉛、酸化セリウム(IV)、酢酸ウラニル、チタンテトラフェノラート、ナフテン酸チタン、塩化バナジウム(III)、バナジウムアセチルアセトナート、塩化クロム(III)、酸化モリブデン(VI)、モリブデンアセチルアセトナート、酸化タングステン(VI)、塩化マンガン(II)、酢酸マンガン(II)、酢酸マンガン(III)、酢酸鉄(II)、酢酸鉄(III)、リン酸鉄、シュウ酸鉄、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、酢酸コバルト、塩化コバルト、硫酸コバルト、ナフテン酸コバルト、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、ナフテン酸ニッケルなどが挙げられる。
さらに、触媒としては、例えば、Ti(OCHCHCH(チタンテトラノルマルプロポキシド)、Ti(OCH(CH(チタンテトライソプロポキシド)、Ti(OCHCHCHCH(チタンテトラノルマルブトキシド)、TiCl、Ti(N(CH、Zr(OCHCH(ジルコニウムテトラエトキシド)、Zr(N(CH、ZrCl、Hf(OC(CH、HfCl、NbCl、Ta[(NCH、Sc(OCOCH、Y(OCH(CH、La(OCH(CH、La(OCOCH、Yb[N(Si(CH、Sm[N(Si(CH、Sm(OCOCH、Bi(OCOCH(酢酸ビスマス)、BiCl、Zn(OSOCF(別表記:Zn(OTf)、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛)、Zn(OSO、Zn(OSO、Zn(OSO、Zn(OSOCH(p−トルエンスルホン酸亜鉛)、Zn(OSO、Zn(BF、Zn(PF、Hf(OTf)(トリフルオロメタンスルホン酸ハフニウム)、Sn(OTf)、Al(OTf)、Cu(OTf)なども挙げられる。
これら触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、触媒の配合割合は、芳香族アミン1モルに対して、例えば、0.000001〜0.1モル、好ましくは、0.00005〜0.05モルである。
なお、触媒の添加方法は、一括添加、連続添加および複数回の断続分割添加のいずれの添加方法でも、反応活性に影響を与えることがなく、特に制限されることはない。
また、この反応における反応条件は、例えば、不活性ガス雰囲気下において、常圧下、反応温度が、例えば、140〜300℃、好ましくは、160〜250℃であり、反応時間は、例えば、0.5〜10時間、好ましくは、1〜5時間である。
反応温度が上記上限を超過する場合には、原料の劣化や副反応によってベンゾイレン尿素およびその誘導体の収率が低下する場合がある。
一方、反応温度が上記下限未満である場合には、反応速度が遅いためベンゾイレン尿素およびその誘導体の収率が低下する場合がある。
また、反応時間が上記上限を超過する場合には、原料の劣化や副反応によってベンゾイレン尿素およびその誘導体の収率が低下する場合がある。
一方、反応時間が上記下限未満である場合には、十分に反応が進行しないためベンゾイレン尿素およびその誘導体の収率が低下する場合がある。
そして、これにより、芳香族アミンと、尿素および/またはビウレットとが、例えば、下記式(4)に示すように反応し、主生成物として、ベンゾイレン尿素またはその誘導体が得られる。
(式中、X1〜X4は、上記式(1)のX1〜X4と同意義を示す。)
このような方法において、ベンゾイレン尿素またはその誘導体の収率は、芳香族アミンを基準として、例えば、40〜99モル%、好ましくは、60〜99モル%である。
そして、このようなベンゾイレン尿素またはその誘導体の製造方法では、上記一般式(1)で示される芳香族アミンと、尿素および/またはビウレットとを反応させるのみでベンゾイレン尿素またはその誘導体を製造できるため、原料成分を製造する工程を大きく削減でき、より簡易にベンゾイレン尿素またはその誘導体を製造することができる。
そのため、ベンゾイレン尿素またはその誘導体を効率よく製造して、安価に提供することができる。
より具体的には、上記一般式(1)で示される芳香族アミンとして、例えば、ジアミノトルエンを用いれば、ジアミノトルエンと、尿素および/またはビウレットとは、例えば、下記式(5)に示すように反応し、ベンゾイレン尿素またはその誘導体として、一般式(2)で示される本発明の化合物を得ることができる。
なお、上記式(2)で示される化合物は、上記式(5)に示す反応における原料成分であるジアミノトルエンの種類(例えば、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエンなど)や、反応条件などにより、ベンゼン環に置換するアミノ基およびメチル基の置換位が異なるが、その総量の収率は、ジアミノトルエンを基準として、例えば、40〜99モル%、好ましくは、60〜99モル%である。
また、上記式(2)において、アミノ基(HN−)は、好ましくは、5位または7位に置換され、メチル基(HC−)は、好ましくは、6位または8位に置換される。
つまり、上記の2置換ベンゾイレン尿素およびその誘導体として、より具体的には、例えば、7−アミノ−6−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン−2,4−ジオン、5−アミノ−6−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン−2,4−ジオン、5−アミノ−8−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン−2,4−ジオン、7−アミノ−8−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン−2,4−ジオンなどが挙げられる。
また、このような化合物は、例えば、洗浄、再結晶、カラム分離、分取などの公知の方法により、単離・精製することができる。
そして、このような化合物は、ベンゾイレン尿素骨格を有しているため、ベンゾイレン尿素が用いられる種々の用途、例えば、半導体素子の製造に用いられるレジスト組成物や、難燃剤(反応性難燃剤)などに含有される有効成分、さらには、医薬原料などとしての用途を期待できる。
とりわけ、上記化合物は、ベンゾイレン尿素に反応性官能基であるアミノ基が置換されているため、上記した用途において、対象材料に対して化学結合により固定化できるなど、広い応用が期待されている。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1(2,4−ジアミノトルエンと尿素の反応)
還流冷却器、攪拌装置を備えた内容量200mLのガラス製フラスコに、2,4−ジアミノトルエン(17.64g:0.144mol)、および、溶媒として1,3−ジメチルイミダゾリジノン(70g)を仕込み、さらに触媒としてp−トルエンスルホン酸亜鉛(0.1502g:0.368mmol)を仕込み、窒素ガスを毎分200mL流通、300rpmで攪拌しながら、195℃まで昇温させた。195℃に到達した後、尿素(17.60g:0.293mol)を一括で仕込み、反応温度195℃で7時間反応させた。
反応液の一部を採取して、液体クロマトグラフ(UV検出器(254nm))にて定量したところ、ベンゾレイン尿素誘導体として3種の異性体混合物が、その総量として、2,4−ジアミノトルエンに対して83モル%の収率で生成していることが確認された。
次いで、3種の異性体をそれぞれ分取した。以下において、3種の異性体のそれぞれを、異性体A、異性体Bおよび異性体Cとする。
得られた各異性体は、下記の通り同定された。
なお、各異性体のNMR測定では、溶媒に重DMSOを使用し、重DMSOをNMRシフト基準(H:2.49ppm、13C:39.5ppm)とした。
[異性体A]
同定された異性体Aを、下記式(6)に示す。
H−NMR分析(500MHz)
:CH−φ(2.0ppm)、NH−φ(5.9ppm)、H−φ(6.2ppm、7.4ppm)、NH(10.6ppm、10.7ppm)
13C−NMR分析(125MHz)
:CH−φ(16.9ppm)、CH炭素(ベンゼン環:96.2ppm、127.9ppm)、4級炭素(ベンゼン環およびカルボニル:102.7ppm、117.0ppm、141.0ppm、150.9ppm、153.2ppm、162.4ppm)
FD−MS分析(分子量測定):(M+)=191
上記式(6)で示されるベンゾイレン尿素誘導体(7−アミノ−6−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン−2,4−ジオン)の分子量、すなわち、C=191と一致した。
[異性体B]
同定された異性体Bを、下記式(7)に示す。
H−NMR分析(500MHz)
:CH−φ(2.0ppm)、NH−φ(6.9ppm)、H−φ(6.1ppm、7.1ppm)、NH×2(10.8ppm)
13C−NMR分析(125MHz)
:CH−φ(16.7ppm)、CH炭素(ベンゼン環:99.9ppm、135.7ppm)、4級炭素(ベンゼン環およびカルボニル:97.5ppm、114.4ppm、141.2ppm、149.0ppm、150.0ppm、166.0ppm)
FD−MS分析(分子量測定):(M+)=191
上記式(7)で示されるベンゾイレン尿素誘導体(5−アミノ−6−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン−2,4−ジオン)の分子量、すなわち、C=191と一致した。
[異性体C]
同定された異性体Cを、下記式(8)に示す。
H−NMR分析(500MHz)
:CH−φ(2.1ppm)、NH−φ(6.9ppm)、H−φ(6.2ppm、7.0ppm)、NH×2(9.5ppm〜11.5ppm)
13C−NMR分析(125MHz)
:CH−φ(16.3ppm)、CH炭素(ベンゼン環:107.8ppm、136.7ppm)、4級炭素(ベンゼン環およびカルボニル:98.0ppm、107.5ppm、139.5ppm、149.7ppm、150.3ppm、165.8ppm)
FD−MS分析(分子量測定):(M+)=191.07
上記式(8)で示されるベンゾイレン尿素誘導体(5−アミノ−8−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン−2,4−ジオン)の分子量、すなわち、C=191.19と一致した。
実施例2(2,6−ジアミノトルエンとビウレットの反応)(無触媒)
還流冷却器、攪拌装置を備えた内容量200mLのガラス製フラスコに、2,6−ジアミノトルエン(12.12g:0.099mol)、および、溶媒として1,3−ジメチルイミダゾリジノン(70g)を仕込み、窒素ガスを毎分200mL流通、300rpmで攪拌しながら、200℃まで昇温させた。200℃に到達した後、ビウレット(10.98g:0.107mol)を一括で仕込み、反応温度200℃で反応させた。
しばらくすると、不溶分が析出してきたため、3時間後に反応を停止し、濾過により析出物を回収し、エタノールで洗浄した後、乾燥させ、12.39g(2,6−ジアミノトルエンに対し収率66mol%)の固形物を回収した。
固形物について、H−NMR測定し、また、溶解分について、液体クロマトグラフ(UV検出器(254nm)測定した。これにより、ベンゾイレン尿素誘導体が、下記の通り同定された。
なお、この化合物のNMR測定では、溶媒に重DMSOを使用し、重DMSOをNMRシフト基準(H:2.49ppm、13C:39.5ppm)とした。
同定されたベンゾイレン尿素誘導体を、下記式(9)に示す。
H−NMR分析(500MHz)
:CH−φ(2.0ppm)、NH−φ(5.9ppm)、H−φ(6.5ppm、7.5ppm)、NH(9.9ppm、10.8ppm)
13C−NMR分析(125MHz)
:CH−φ(10.1ppm)、CH炭素(ベンゼン環:110.0ppm、125.7ppm)、4級炭素(ベンゼン環およびカルボニル:102.9ppm、103.5ppm、140.3ppm、151.2ppm、152.8ppm、162.7ppm)
LC−MS分析(分子量測定):(M+)=191
上記式(9)で示されるベンゾイレン尿素誘導体(7−アミノ−8−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン−2,4−ジオン)の分子量、すなわち、C=191と一致した。
実施例3(2,4−ジアミノトルエンと尿素の反応)
還流冷却器、攪拌装置を備えた内容量200mLのガラス製フラスコに、2,4−ジアミノトルエン(15.02g:0.123mol)、尿素(15.14g:0.252mol)、および、溶媒としてスルホラン(70g)を仕込み、さらに触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(0.112g:0.307mmol)およびチタンテトラノルマルプロポキシド(0.087g:0.307mmol)を仕込み、窒素ガスを毎分200mL流通、300rpmで攪拌しながら、反応温度200℃で3時間反応させた。
反応液の一部を採取して、液体クロマトグラフ(UV検出器(254nm)にて定量したところ、上記式(6)、上記式(7)、上記式(8)で表されるベンゾレイン尿素誘導体の異性体(異性体A、異性体Bおよび異性体C)混合物が、2,4−ジアミノトルエンに対して、85モル%の収率で生成していることが確認された。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で示される芳香族アミンと、尿素および/またはビウレットとを反応させ

    (X1〜X4は、それぞれ独立して水素原子、または、置換されていてもよいアミノ基、水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルアミド基、アリール基および炭素数1〜4のアルキル基から選択される置換基を示し、X1〜X4のうち、互いに隣接する置換基により、環形成されていてもよい。)
    下記一般式で示されるベンゾイレン尿素またはその誘導体を製造することを特徴とする、ベンゾイレン尿素またはその誘導体の製造方法。

    (式中、X1〜X4は、上記式(1)のX1〜X4と同意義を示す。)
  2. 上記一般式(1)において、X1〜X4のうち、少なくとも1つの置換基が、置換されていてよいアミノ基であることを特徴とする、請求項に記載のベンゾイレン尿素またはその誘導体の製造方法。
  3. 上記一般式(1)で示される芳香族アミンが、ジアミノトルエンであることを特徴とする、請求項1または2に記載のベンゾイレン尿素またはその誘導体の製造方法。
  4. 下記一般式(2)で示されることを特徴とする、化合物。

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