JP5554245B2 - マイクロリソグラフィ露光装置のマスク照明用の照明系 - Google Patents
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Description
最新の投影露光装置では、2つの異なる種類の装置の間で区別を付けることができる。一方の種類では、ウェーハ上の各対象部分がマスクパターン全体を対象部分の上に1回で露光することによって照射され、そのような装置は、一般的に、ウェーハステッパと呼ばれる。一般的に、ステップアンドスキャン装置又はスキャナと呼ばれる他方の種類の装置では、マスクパターンを投影光ビームの下で所定の基準方向に漸次的に走査し、それと同期してこの方向に対して平行又は非平行に基板テーブルを走査することによって各対象部分が照射される。ウェーハの速度とマスクの速度との比は、投影対物系の倍率に等しく、通常は1よりも小さく、例えば、1:4である。
EP1,262,836A1では、ミラーアレイは、1000個よりも多くの微細ミラーを含むマイクロ電気機械系(MEMS)として達成される。ミラーの各々は、互いに対して垂直な2つの異なる平面内で傾斜することができる。従って、そのようなミラーデバイス上に入射する放射線は、(実質的に)あらゆる望ましい半球方向へと反射することができる。ミラーアレイと瞳面の間に配置されたコンデンサーレンズは、ミラーによって生成される反射角を瞳面内の位置へと変換する。この公知の照明系は、各々が1つの特定の微細ミラーに関連付けられ、かつ各々をこの関連付けられたミラーを傾斜することによって瞳面にわたって自由に移動させることができる複数の円形スポットによって瞳面を照明することを可能にする。
しかし、瞳成形光学ラスタ要素、特に、回折光学要素及びミラーアレイの使用によっても、依然として系瞳平面内で望ましい強度分布を得るのは困難である。回折光学要素の場合には、ズームレンズ及びアキシコン要素が、遠視野強度分布を変化させるので、特定の要素によって生成される遠視野強度分布は、通常は系瞳平面内では得られない。例えば、アキシコン要素は、系瞳平面内の照明区域の位置に対してだけでなく、これらの区域内のエネルギ分布に対しても望ましい影響を有することが示されている。
ミラーアレイの場合には、マスク上に入射する光の特定の角度分布が望ましい場合にミラーの調節が非常に困難であることが見出されている。
本発明によると、この目的は、a)マスク平面に位置決めされたマスクを照明するように構成され、ビーム偏向要素によって生成される偏向角を変更することによって変えることができる位置を有するスポットを系瞳面内で各々が照明する反射ビーム偏向要素又は透過ビーム偏向要素から成るビーム偏向アレイを含む系瞳面内に強度分布を生成するビーム偏向構成要素を含むマイクロリソグラフィ投影露光装置の照明系を準備する段階と、b)照明系の系瞳面内のターゲット強度分布を判断する段階と、c)段階b)で判断されたターゲット強度分布を近似する系瞳面内のスポット配列を判断する段階と、d)一方でビーム偏向要素によって系瞳面内で照明されるスポットの位置と他方で光スポットを照明する時にビーム偏向要素によって生成される偏向角との間の関係を表すビーム偏向要素に割り当てられた関数を判断する段階と、e)段階c)で判断されたスポット配列を得るのに必要な偏向角を段階d)で判断された関数を用いて判断する段階と、f)段階e)で判断された偏向角が生成されるようにビーム偏向要素に制御信号を供給する段階とを含む方法を用いて達成される。
ビーム偏向要素は、角度をその間に形成する2つの傾斜軸によって傾斜させることができるミラーとして構成することができる。別の実施形態では、ビーム偏向要素は、電気光学要素又は音響光学要素である。
本発明によると、この目的は、回折光学要素によって生成される角度分布のフーリエ変換が望ましい強度分布とは異なるという点で達成される。
望ましい強度分布は、内側σ、外側σ、及び極幅という瞳量によって定めることができる。この場合、望ましい強度分布における瞳量の値は、回折光学要素によって生成される角度分布のフーリエ変換における対応する値から内側σ及び外側σのうちの少なくとも一方において0.1(又は、更には0.2)よりも大きく、及び/又は極幅において少なくとも1°(又は、更には2°)だけ異なる。
少なくとも1つの光学要素は、回折光学要素を照明するように構成された照明器光学系、及び回折光学要素と系瞳面の間に配置された瞳成形光学サブ系から成る群のうちの一方に配置することができる。
本発明の様々な特徴及び利点は、添付図面と併せて以下の詳細説明を参照することによってより容易に理解することができる。
図1は、集積回路及び他の微細構造構成要素の製造に用いられる投影露光装置10の大幅に簡略化した斜視図である。投影露光装置は、投影光を生成する光源と、投影光を注意深く定められた性質を有する投影光束へと変換する照明光学系とを含む照明系12を含む。投影光束は、微細構造18を含むマスク16上の視野14を照明する。この実施形態では、照明視野14は、近似的にリングセグメント形状を有する。しかし、他の例えば矩形の照明視野14の形状も同様に考えられている。
1.照明系の一般的な構造
図2は、図1に示している第1の実施形態の照明系12を通じたより詳細な子午断面図である。明瞭化のために、図2の図は大幅に簡略化しており、正確な縮尺のものではない。これは、特に、様々な光学ユニットをごく少数の光学要素のみで表していることを意味する。実際には、これらのユニットは、有意に多くのレンズ又は他の光学要素を含むことができる。
照明系12は、ハウジング28、及び図示の実施形態ではエキシマレーザ30として達成されている光源を含む。エキシマレーザ30は、約193nmの波長を有する投影光を放出する。他の種類の光源及び他の波長、例えば、248nm又は157nmも考えられている。
折り返しミラー36からの反射の後に、ビーム34は、マイクロレンズ40から成るアレイ38上に入射する。ミラーアレイ46は、マイクロレンズ40の後側焦点面の若干前方に配置される。以下により詳細に説明するが、ミラーアレイ46は、好ましくは、互いに垂直に整列した2つの傾斜軸により互いに独立して傾斜することができる複数の小さい個々のミラー要素Mijを含む。ミラー要素Mijの合計数は、100を超えるか、又は更には数千を超えるとすることができる。ミラー要素Mijの反射面は平面とすることができるが、更に別の反射パワーが望ましい場合は曲面とすることができる。それとは別に、ミラー面には、回折構造を設けることができる。ミラー要素Mijの数は、マイクロレンズアレイ38に収容されるマイクロレンズ40の数に等しい。従って、各マイクロレンズ40は、ミラーアレイ46の正確に1つのミラー要素Mijに割り当てられる。
図4の断面図は、YZ平面内で様々な傾斜角だけ傾斜された複数の隣接ミラー要素Mijにより、平行光をYZ平面内で如何に異なる方向に反射することができるかを示している。
ズームレンズ系58の後方には、対向する円錐面を有するアキシコン要素66、68の対64が配置される。両方のアキシコン要素66、68が直接に接触する場合には、アキシコン対64は平行平面プレートの効果しか持たない。図2に双方向矢印69によって示しているように両方のアキシコン要素66、68が分離されると、アキシコン要素66、68の間の間隔は、光エネルギの半径方向外向きのシフトを引き起こす。アキシコン要素は当業技術ではそれ自体公知であるから、本明細書ではこれらに対してより詳細に説明しないことにする。
ズームレンズ系58及びアキシコン要素66、68の付設は、ミラー要素Mijの全数が小さい場合は特に有利である。これは、少数のミラー要素Mijが、系瞳面70を照明する上で限られた変動性しかもたらさないことによる。特に、数千個もの個々のミラー要素Mijが存在する場合には、ズームレンズ系58及びアキシコン要素66、68を完全に不要にすることができ、又はミラー要素Mijによって生成された角度分布を系瞳平面70内の強度分布へと変換するコンデンサー光学系で置換することができる。
例えば、ミラーアレイ46は、構造上に入射する光線を適切な制御信号の印加を受けて構造の異なる部分において個別に変更することができる様々な方向に向けることを可能にするあらゆる他の偏向構造で置換することができる。そのような別の構造は、例えば、電気光学要素又は音響光学要素を含むことができる。そのような要素では、適切な材料を超音波又は電界それぞれに露出することによって屈折率を変えることができる。これらの効果は、入射光を様々な方向に向ける屈折率格子を製造するのに利用することができる。
以下では、照明系12の一般的な機能に対して図4を参照して説明する。
エキシマレーザ30及びビーム拡大ユニット32によって生成される平行光束34は、マイクロレンズアレイ38のマイクロレンズ40により、ミラー要素Mijに向けて収束する複数の個別光束へと再分割される。ミラー要素Mijは、マイクロレンズ40の後側焦点面の若干前方に配置されるので、各ミラー要素Mij上で照明される区域は、点の幾何学形状ではなく、図3に示しているように小さい円盤の幾何学形状を有する。
系瞳平面70内にはいかなる光学要素も配置されない可能性があるが、以下では、ミラー要素Mijによって系瞳平面に生成される光充満区域を「スポット」と呼ぶことにする。図5は、その上部に、全てのミラーが互いに対して平行に配置された場合のこれらのスポット88を示している。図5の下部には、ミラー要素Mijを適切な傾斜角だけ傾斜することによって得られたスポット88の異なる配列がある。入射光束の可変偏向を変更するのに必ずしもミラー要素を傾斜する必要がないので、以下ではこの傾斜を「調節」と呼ぶことにする。例えば、ミラー面は曲面とすることができ、又は楔形の面を回転させることができる。
マスク16上で照明される視野14の形状は、主に残りの光学構成要素、すなわち、光学インテグレーター72、コンデンサー78、視野絞り82、及び視野絞り対物系84によって決まる。これらの構成要素は、系瞳平面70とマスク平面86の間に配置され、図6ではこれらの構成要素を「視野成形構成要素」という用語で呼ぶ。
3.1.一般的な制御スキーム
以下では、ミラー要素Mijを制御する時に適用することができる一般的な制御スキームに対して説明する。このスキームによると、ミラー要素Mijに対する制御信号の判断は、図7の流れ図に例示している複数の段階に分割される。
段階S1
第1の段階S1では、系瞳平面70内のターゲット強度分布が判断される。
また、前段階(図7には示していない)においてマスク平面86内の角度光分布から始めて、シミュレーション又は測定によって系瞳平面70内のターゲット強度分布を判断することができる。通常、マスク平面86内の角度光分布は、全ての視野点において等しくなる。しかし、一部の場合には、特定のマスク16を視野位置に依存する角度光分布で照明することが有利であるとすることができる。
第2の段階S2では、系瞳面内で段階S1で判断されたターゲット強度分布を近似するスポット配列が判断される。この段階S2は、以下で「瞳アルゴリズム」と呼ぶことにするアルゴリズムの適用を含むことができる。一般的に、このアルゴリズムは、入力データとして利用可能なスポットの合計数、スポット形状(各スポット内部の強度分布を含むことができる)、及び同じく(適応可能な場合は)これらの量のスポット位置へのあらゆる依存性を必要とすることになる。次に、瞳アルゴリズムは、スポット配列が段階S1で判断されたターゲット強度分布に可能な限り厳密に近似するまで、使用可能な系瞳平面70にわたって利用可能スポットを分布させる。この目的のために、瞳アルゴリズムは、擬似焼きなましアルゴリズムのような確率的メタアルゴリズムを用いることができる。
スポット形状の判断に対しては、下記の節3.2でより詳細に説明する。
次の段階S3では、各ミラー要素Mijに対して、一方でミラー要素Mijによって系瞳平面70内で照明されるスポットの位置と、他方で光スポットを生成する時にミラー要素ijによって生成される偏向角との間の関係を表す関数が割り当てられる。この場合、「偏向角」という用語は、偏向角と均等な物理量、例えば、ミラー要素ijに対する表面法線の向き、又は適切な制御信号によって設定される傾斜角も含むことになる。
この関数の判断は、下記の節3.3の主題である。
次の段階S4では、段階S3で判断された関数を用いることにより、段階S2で判断されたスポット配列を得るのに必要な偏向角が判断される。この判断の後には、段階S1で判断されたターゲット強度分布を系瞳平面70内に生成するためにミラー要素Mijによってどの偏向角を引き起こさなければならないかが分る。
段階S5
最後の段階S5では、段階S4で判断された偏向角が生成されることを保証する制御信号がミラー要素Mijに供給される。最も単純な場合には、フィードフォワード制御スキームが適用される、すなわち、一方で制御信号と他方で偏向角との間の固定された関係が存在する。この関係は、例えば、ルックアップテーブル又は関数として表現することができる。ある一定の偏向角を設定すべきである場合には、対応する制御信号がルックアップテーブル又は関数から判断され、着目している個々のミラー要素Mijに供給される。
閉ループ制御の場合には、段階S4で判断された偏向角が、閉ループ制御のためのターゲット値として供給されるのみである。付加的な測定デバイスが、例えば、ミラー面の傾斜角を測定することによって実際の偏向角を測定し、実際の値をターゲット値に対して比較する。
瞳アルゴリズムに与えられるスポット形状の判断が以下の節の主題である。
以下では、瞳アルゴリズムに与えなければならないスポット形状を如何にして判断することができるかに対してより詳細に説明する。
理想的には、ミラー要素Mijによって系瞳平面70内に生成されるスポットは、全てのミラー要素Mijに対して、スポットが系瞳平面70内で位置決めされる位置に関係なく等しいサイズ、幾何学形状、及び強度分布を有する。しかし、実際の照明系では、これらの仮定のうちの少なくとも一部を満たすことができない(十分には)。そのような不備は、系瞳平面70内で得られた強度分布が、マスク平面86内で望ましい角度光分布を得るのに必要になる強度分布とは異なるという結果を有することになる。
通常、瞳成形構成要素の非理想的挙動を生じる収差を完全に排除することはできないので、これらの収差の効果、すなわち、スポットサイズ変化を計算上算入すべきである。
スポット形状変化が、主に系統的原因を有し、公差及び単一の照明系に関連付けられる他の原因に実質的に依存しない場合には、そのような変化をシミュレーションによって単独で判断することができる。図9の概略図に示しているように、通常、スポット形状のそのようなシミュレーションは、単一のミラー要素Mijによって系瞳平面70内に生成される強度分布が、標準の光学設計プログラムを用いて、例えば、光線追跡法を用いて判断することを含む。この計算は、各ミラー要素Mijが有する異なる角度の向きに対して繰り返すことができる。このようにして、各ミラー要素Mijに対して判断されたスポット形状は、瞳アルゴリズムに入力データとして供給される。スポット形状がスポット位置に依存する場合には、様々な位置においてスポットを生成するのに必要とされる偏向も瞳アルゴリズムに与えなければならない。
スポット形状をシミュレーションによって判断する代わりに、特定の照明系でのみ生成される収差、例えば、製造公差によって引き起こされる効果をも考慮する測定を実施することができる。
そのような測定は、1つを除く全てのミラー要素Mijをいかなる光も系瞳平面70へと反射されない「オフ」位置へと傾斜することによって実施することができる。好ましくは、マスク平面86に配置され、特定の視野点上に入射する光の角度分布を測定する瞳測定センサを用いると、「オン」状態にあるミラー要素によって生成されるスポット形状を判断することができる。この判断は、マスク平面86内で測定された角度分布の系瞳平面70内の強度分布への変換を含む。この変換は、系瞳平面70とマスク平面86の間に配置された光学要素によって生成される光学効果を考慮することができる。
この場合、同じ測定が別のミラー要素Mijに対して繰り返される。この工程を加速するために、測定は、多くのミラー要素Mijに対して同時に実施することができる。この同時実施には、瞳測定センサ内で得られるデータを現時点で「オン」状態にあるミラー要素に曖昧性なく割り当てることができるように、ミラー要素Mijが、系瞳平面70内の明確に異なる領域を照明することのみが必要とされる。
図10には、スポット形状の測定を略示している。この図は、スポット形状が、計算ではなく測定され、スポット形状の判断が、外部コンピュータ内ではなく照明系12内で実施されることにおいてのみ図9とは異なる。
ある一定の場合には、スポット形状変動の一部分は系統的であり、別の部分は、特定の照明系に依存する。例えば、スポット形状は、上述のように系統的な変化しか持たない可能性があり、それに対してスポット内の全体強度のような他のスポット関連パラメータは、照明系が他の点では同一ではあるが、照明系毎に大きく異なる可能性がある。
この場合、瞳アルゴリズムは、図11に例示しているように2つの異なる部分に分離することができる。時間を消費するスポット形状の計算を含む第1の部分は、外部コンピュータ内で実施することができ、系非依存の結果を生じる。第2の部分は、特定の照明系の特定の特性を考慮し、第1の部分によって供給されるターゲット位置を適応させる。
スポット形状がシミュレーションによって判断されるか又は測定によって判断されるかに関係なく、通常はスポット形状をピクセル情報によってではなく、少数のパラメータだけによって表すことで十分である。それによって瞳アルゴリズムによって供給及び考察すべきであるデータの量が大きく低減する。
上述のように、瞳アルゴリズムは、個々のミラー要素Mijによって生成されるスポットを系瞳平面70内のどこに位置決めすべきであるかを判断するに過ぎない(段階S2)。以下では、段階S3で示した関数を如何に判断することができるかを説明する。
シミュレーション
図12に例示しているシミュレーションでは、系瞳平面70内のスポット位置が、ミラー要素Mijによって生成される偏向及び従って傾斜角に如何に依存するかを各ミラー要素Mijに対して判断することができる。
この目的のために、スポットの位置をそれぞれのミラー要素Mijが有するいくつかの異なる傾斜角に対して計算すべきである。スポットの形状ではなく位置のみを上述のように判断するだけでよいので、傾斜角に対するスポット位置の依存性を得るのに少数の光線を追跡するだけでよい。
次に、瞳アルゴリズムによって計算されたスポットターゲット位置に基づいて、ミラー要素Mijの調節に必要とされる傾斜角を各ミラーに対して判断することができる。照明系12のミラー制御ユニット50に少量のデータ、すなわち、各ミラー要素Mijに対するターゲット傾斜角だけしか供給しなくてもよいように、傾斜角のこの計算は、完全に外部コンピュータによって実施することができる。
代替的に、スポット位置とミラー要素Mijの傾斜角との間の関係は、図13に例示しているように測定によって判断することができる。この目的のために、個々のミラー要素Mijに対して設定された異なる傾斜角に対してスポット位置が測定される。スポット形状の測定と同様に、スポット位置も、マスク平面86内の光の角度分布を測定する瞳測定センサによって判断することができる。同様に、測定の場合にも、傾斜角−スポット位置の関係を逆転する必要があり、ルックアップテーブルの代わりに、内挿スポット位置に対する傾斜角を同様に与える適合関数を用いることができる。
この場合にも、3.2節でスポット形状の測定を参照して上述したように、スポット位置をマスク平面86内の角度分布を測定することによって間接的にではなく、系瞳平面70内で直接測定するか又はビームスプリッタを用いて光の僅かな部分が誘導されるセンサを用いて測定するように考えることができる。
同じ制御スキームを瞳ではなく、視野が最初に成形される照明系において適用することができることに注意すべきである。そのような系では、ミラー要素Mijは、マスク16上での望ましい照明視野のアスペクト比を近似的に有するアレイで配置される。この場合、ミラー要素Mijは、ミラー要素をマスク平面上に結像する対物系の瞳平面内の強度分布を決める。そのような系は、ミラー要素を照明する光学要素、ミラー要素と瞳平面の間に配置された光学要素、及び同じく瞳平面とマスク平面の間にフーリエ関係を与える光学要素群も含む。
1.照明系の一般的な構造
図15は、図1に示している投影露光装置における使用に適する第2の実施形態による照明系112を通じた子午断面図である。明瞭化の目的で、図15の図も大幅に簡略化しており、正確な縮尺のものではない。これは、特に、様々な光学ユニットをごく少数の光学要素のみで表していることを意味する。実際には、これらのユニットは、有意により多くのレンズ又は他の光学要素を含むことができる。
エキシマレーザ130によって放出される投影光は、ビーム拡大ユニット132に入射し、ここで光束は拡大される。ビーム拡大ユニット132を通過した後に、投影光は、回折光学要素(DOE)134によって形成される第1の光学ラスタ要素上に入射する。回折光学要素134は、異なる角度分布を生成する他の回折光学要素によって容易に置換することができるように第1の交換ホルダ136内に受け取られる。回折光学要素134は、図示の実施形態では、発散が導入されるように各入射光線を偏向する1つ又はそれよりも多くの回折格子を含む。これは、光学ラスタ要素134上の各位置において、光がある一定の角度範囲内で回折されることを意味する。この範囲は、例えば、−3°から+3°に及ぶことができる。図2では、これを2つの発散光線138、140に分割される軸上光線に対して略示している。従って、回折光学要素134は、投影光の角度分布を修正し、遠視野強度分布に影響する。
図2に示している照明系12と図15に示している照明系112との間の主な相違点は、回折光学要素134が、傾斜可能なミラー要素Mijから成るアレイ46を置換している点である。以下では、回折光学要素134に向けて改善されたレイアウトスキームのための手法を説明する。
2.1.従来の手法
従来的には、最初の段階で系瞳平面154内の強度分布が判断される。次に、フーリエ関係平面にこの強度分布を生成する回折光学要素134が設計される。フーリエ関係平面では、正弦条件が厳密に当て嵌まる。正弦条件は、pがsin(α)に比例する場合に、角度αの下で第1の平面から出射する光線が、フーリエ関係にある第2の平面と光線高さpで交わることになることを必要とする。
場合によってはフーリエ関係平面内の強度分布を遠視野強度分布とも呼ぶが、これは、tan(α)≒sin(α)である小さい角度においてのみ良好な近似である。
生成される角度光分布が既知である場合には、望ましい角度光分布が得られるような要素上の回折構造を判断することを可能にする公知のアルゴリズムが利用される。この点に関して用いることができる回折光学要素の種類は、場合によってはコンピュータ生成ホログラム(CGH)と呼ぶ。
実線104は、望ましい強度分布102を得るように従来通りに設計された回折光学要素134によって生成されるフーリエ関係平面内の強度分布を表している。明らかなように、実際の強度分布104の勾配は有限であるが、それにも関わらず、矩形の強度分布102が、非常に良好な程度に近似されている。
しかし、従来の手法では、ズームレンズ群146及びアキシコン要素150、152の対148によって生成される効果は、フーリエ関係が当て嵌まると仮定される程度に単に無視される。しかし、アキシコン要素150、152は、接触状態にない場合は正弦条件に強く違反し、同様に、ズームレンズ群146は、通常は、正弦条件の違反を生じる収差を導入する。
しかし、アキシコン要素150、152は、分離された場合にエネルギを半径方向外向きにシフトする。強度分布106の内側フランクの勾配は、アキシコン要素150、152の間の距離にほぼ反比例することを示すことができる。アキシコン要素150、152の間の最大距離では、これらの勾配は、最小斜度に達する。
回折光学要素134と系瞳平面154の間に配置された光学要素が正弦条件を厳密に満たさない場合は、逸脱が必ず起こることに注意すべきである。例えば、回折光学要素134と系瞳平面154の間のコンデンサーを完全に不要にする照明系では、遠視野強度分布しか得られない。上述のように、遠視野強度分布は、フーリエ関係強度分布に対する良好な近似に過ぎない。
本発明によると、光学要素134が設計される時に、ズームレンズ群146及びアキシコン要素150、152の対148(又は、回折光学要素134と系瞳平面154の間に配置されたあらゆる他の光学要素)によって生成される光学効果が考慮される。ズームレンズ群146及びアキシコン要素150、152によって生成される光学効果は既知であるから、回折光学要素は、これらの要素によって導入される修正を補償するように設計することができる。例えば、アキシコン要素150、152が、エネルギを半径方向外向きにシフトする場合には、回折光学要素134は、系瞳平面154の中心により多くのエネルギを集中すべきである。
しかし、ズームレンズ群146及びアキシコン要素150、152の対148と組み合わせると、系瞳平面154内に生成される強度分布は、望ましい強度分布102を非常に正確に近似する。これを図18のグラフに示しており、ズームレンズ群146及びアキシコン要素150、152の対148と共に回折光学要素134によって生成された実際の強度分布が、実線110で示されている。
更に、回折光学要素134によって生成される角度光分布を判断する時に、ズーム光学系146及びアキシコン要素150、152の対148において生成される3次又はそれよりも高次の光学収差を考慮することも可能である。これらの収差もまた、ズーム光学系146及びアキシコン要素150、152の対148の実際の構成に依存する。
図20に示している強度分布は、X双極照明環境に対応する。この設定では、極幅は35°であり、内側σは0.8であり、外側σは0.99である。内側σは、光強度の10%が瞳内にある瞳半径として定められる。外側σは、照明光強度の90%が瞳内にある瞳半径として定められる。極幅は、瞳平面内で照明される区域の境界を形成し、強度がこの区域の最大強度の50%に低下している半径の間の開口角として定められる。
図21は、回折光学要素134、照明器光学系、及び瞳成形光学サブ系によって生成される系瞳面154内の別の実際の強度分布を示している。図21に示している強度分布は、Y双極照明環境に対応する。この設定では、極幅は35°であり、内側σは0.3であり、外側σは0.5である。
同じことは、上述したものと同じ瞳量(内側σ及び外側σ、極幅)によって表すことができる環状照明環境にも当て嵌まる。
本発明の一態様によると、瞳成形構成要素、例えば、傾斜可能ミラー要素Mij又は回折光学要素によって生成され、系瞳面内で望ましい強度分布を得ることを必要とする角度光分布の判断は、収差の考慮を伴う場合がある。図14の流れ図に要約しているように、これらの収差は、瞳成形光学サブ系を照明する光学系、瞳成形光学サブ系自体、及び/又は系瞳面とマスク平面の間に配置された光学要素によって生成される場合がある。
16 マスク
28 照明系
32,38 照明器光学系
46 ビーム偏向構成要素
58、64 瞳成形光学サブ系
70 照明系瞳面
78 光学要素
Claims (23)
- 瞳成形光学サブ系のビーム偏向構成要素によって生成される偏向角を決定する方法であって、
a)マスク平面に位置決めされたマスクを照明するように構成され、
瞳成形光学サブ系を含み、かつ
ビーム偏向構成要素を照明する照明器光学系を含む、
マイクロリソグラフィ投影露光装置の照明系を準備する段階、
b)前記照明系の系瞳面内のターゲット強度分布を決定する段階、
c)前記瞳成形サブ系によって前記系瞳面に生成される強度分布が段階b)で決定された前記強度分布を近似するように、偏向角を決定し、該偏向角の決定においてi)前記照明器光学系によって生成される収差、ii)該瞳成形光学サブ系によって生成される収差、iii)該系瞳面と前記マスク平面の間に配置された光学要素によって生成される収差のうちの少なくとも1つが考慮される段階、
を含み、
前記ビーム偏向構成要素は、制御信号に応答して可変である偏向角によって各々が入射光線を偏向するようになっている反射ビーム偏向要素又は透過ビーム偏向要素のビーム偏向アレイを含み、
各偏向要素は、前記系瞳面にスポットを生成し、
前記スポットの位置は、前記制御信号に応答して変えることができ、
前記スポットの形状が、前記収差i)及び/又はii)を考慮することによって決定される
ことを特徴とする方法。 - 前記収差i)は、前記ビーム偏向構成要素を照明する光の前記強度分布及び/又は角度分布の局所変動を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記収差ii)は、正弦条件の違反を引き起こす収差を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
- 前記収差iii)は、前記系瞳面に対するフーリエ関係を厳密に確立する理想的な平面からの前記マスク平面の偏位を引き起こす収差を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記段階b)は、
(a)前記マスク平面内の光のターゲット角度分布を決定する段階、
(b)前記マスク平面に生成される前記角度分布が前記ターゲット角度分布を近似するように前記系瞳面内の前記強度分布を決定する段階、
を伴う、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法。 - 前記段階(b)の前記決定は、前記瞳成形サブ系と前記マスク平面の間に配置された光学要素によって生成される収差を考慮する段階を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
- 前記瞳成形サブ系は、可変焦点距離を有するズーム光学系を含むことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の方法。
- 前記瞳成形サブ系は、通過して伝播する光を半径方向に再配分する調節可能なアキシコン系を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の方法。
- 前記アキシコン系は、各々が円錐光学面を有する1対のアキシコン要素と、光軸に沿って該アキシコン要素の間の距離を調節するための駆動機構とを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
- 前記ビーム偏向構成要素によって生成される前記偏向角は、該ビーム偏向構成要素の面にわたって変化することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記スポットの形状が、シミュレーションによって決定されることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の方法。
- 前記スポットの形状が、測定によって決定されることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の方法。
- 前記段階c)は、段階b)で判断された前記強度分布を近似する前記系瞳面内のスポットの配列を判断する段階を含むことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の方法。
- 前記段階c)は、前記ビーム偏向要素の1つに割り当てられた関数を決定する段階を含み、
前記関数は、一方で前記系瞳面に前記ビーム偏向要素によって生成された前記スポットの位置と、他方で該光スポットを生成する時に該ビーム偏向要素に供給される制御信号との間の関係を説明する、
ことを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の方法。 - 前記関数は、シミュレーションによって決定されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
- 前記関数は、測定によって決定されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
- 単一の関数が、全てのビーム偏向要素に割り当てられることを特徴とする請求項14から請求項16のいずれか1項に記載の方法。
- 互いに異なる関数が、互いに異なるビーム偏向要素に割り当てられることを特徴とする請求項14から請求項16のいずれか1項に記載の方法。
- 前記段階c)は、前記スポットの配列を得るために前記ビーム偏向要素によって生成されるべきである偏向角を決定する段階を含むことを特徴とする請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の方法。
- 前記方法の少なくとも一部の段階が、外部コンピュータ上で実施されることを特徴とする請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の方法。
- 前記方法の少なくとも一部の段階が、前記投影露光装置の一体部分であるコンピュータ上で実施されることを特徴とする請求項1から請求項20のいずれか1項に記載の方法。
- 前記偏向要素は、少なくとも1つの傾斜軸の回りに傾斜されるように構成されたミラーであることを特徴とする請求項1から請求項21のいずれか1項に記載の方法。
- 前記制御信号は、ミラーの傾斜角に関連する情報を収容することを特徴とする請求項22に記載の方法。
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