JP5552831B2 - 電動ポンプユニット - Google Patents

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Description

この発明は、たとえば自動車のトランスミッション(変速機)などに油圧を供給する油圧ポンプとして使用される電動ポンプユニットに関する。
自動車のトランスミッションには油圧ポンプにより油圧が供給されるが、省エネルギなどの観点から停車時にエンジンを停止するいわゆるアイドルストップ(アイドリングストップ)を行う自動車では、アイドルストップ時にもトランスミッションへの油圧供給を確保するために、電動油圧ポンプが使用されるようになっている。
自動車のトランスミッション用電動油圧ポンプは、車体の限られたスペースに搭載されるため、コンパクト化が要求され、また、軽量化およびコスト低減も要求される。このような要求に応えるため、ポンプ、ポンプ駆動用電動モータおよび電動モータのコントローラが共通のユニットハウジング内に組み込まれた電動ポンプユニットが提案されている(たとえば特許文献1参照)。
特開2008−215088号公報
上記の従来の電動ポンプユニットは、トランスミッションの外側にねじなどで固定され、配管によってトランスミッションと接続される。
このため、ユニットハウジングはシールによって防水され、また、ユニットハウジング内部にも、電動モータやコントローラの電装品の防水のためのシールが必要である。
また、ポンプ駆動用電動モータのモータステータを構成するコイルなどで発生する熱を放熱する必要があり、そのために電動ポンプユニットの体格が大型化するという問題がある。
トランスミッション用電動ポンプユニットには、通常、特許文献1にも記載されているような内接歯車ポンプが使用される。この内接歯車ポンプは、ポンプハウジング内のポンプ室にアウタギヤとインナギヤが収容され、ポンプ室を区画する軸方向両端壁に油吸入ポートおよび油吐出ポートが形成されたものであり、油吸入ポートおよび油吐出ポートは、それぞれ、ポンプハウジングに形成された径方向または軸方向の油吸入穴および油吐出穴を介して外部と連通させられている。
ポンプハウジングは、たとえば、アルミニウム合金などの金属のダイカスト成形品であるが、成形後に油吸入穴や油吐出穴の機械加工が必要であり、その分、製造工程が増えるという問題がある。さらに、ポンプハウジングには油吸入穴や油吐出穴を形成するだけの大きさが必要で、その分、ポンプハウジングが大型化するという問題もある。
この発明の目的は、上記の問題を解決し、防水が簡単で、コンパクト化ならびに重量およびコストの低減が可能な電動ポンプユニットを提供することにある。
この発明による電動ポンプユニットは、ポンプハウジング内のポンプ室を区画する軸方向端壁にそれぞれ外部と連通する油吸入ポートおよび油吐出ポートが設けられたポンプと、水平に配置されてポンプに連結されたモータ軸、モータ軸に固定状に設けられたモータロータおよびモータロータの周囲に配置されたモータステータを有するポンプ駆動用電動モータとを備え、モータステータが、油が導入されるユニットハウジングの凹所の開口を密閉する蓋と一体化されるとともに、ポンプハウジングと一体化されており、凹所内に油が満たされるようになっていて、ポンプおよび電動モータが凹所内に満たされた油に浸漬させられており、ポンプハウジングの油吸入ポートがそのまま外部と連通し、ポンプハウジングとモータステータとの間に、凹所内に開口しておりポンプハウジングの径方向外側から油吸入ポートに油を導入する油通路が形成されていることを特徴とするものである。
たとえば、ユニットハウジングの凹所内の空間は、ユニットハウジングの適当箇所に形成された油吸入穴などを介して、外部のオイルパンなどの油供給源に連通させられる。油吐出ポートは、凹所内の空間とは連通せず、油吐出管などの適宜な手段により外部と連通させられる。
油は、油通路から油吸入ポートに油が導入される程度に凹所内に入れられればよいが、凹所内に満たされるようにしてもよい。
凹所内の油は、ポンプハウジングとモータステータとの間の油通路から油吸入ポートを通ってポンプ室内に入り、油吐出ポートから油吐出管などを通って外部に吐出される。
この発明の電動ポンプユニットでは、蓋とユニットハウジングの間および油吐出管などとユニットハウジングの間だけをシールすればよく、防水が簡単である。電動モータのコントローラはユニットハウジング内には設けられないので、その防水も不要である。モータで発生した熱は、油に浸漬させられている部分から油を通して熱容量の大きいユニットハウジングに放熱される。このため、放熱のためにポンプの部分の体格を大きくする必要がなく、電動ポンプユニットのコンパクト化ならびに重量およびコストの低減が可能である。
油吸入ポートがそのまま外部と連通しているので、油吸入ポートを外部と連通させるための油吸入穴をポンプハウジングに形成する必要がなく、その分、ポンプハウジングを小型化でき、製造工程も減少する。好ましくは、油吐出ポートが、油吐出穴を介さずに、そのまま油吐出管などに接続される。そうすれば、油吐出穴をポンプハウジングに形成する必要がなく、その分、ポンプハウジングを小型化でき、製造工程も減少する。
モータ軸は、通常、転がり軸受などを用いた軸受装置によって回転支持されるが、軸受装置の部分が油に浸漬させられていると、軸受装置が油によって潤滑され、潤滑のためのグリースやそのシールが不要になる。
この発明がトランスミッション用電動ポンプユニットに適用される場合、トランスミッションハウジングがユニットハウジングとなる。この場合、電動ポンプユニットを構成するポンプおよびポンプ駆動用電動モータが、蓋と一体化されて凹所内に収容されるので、従来の電動ポンプユニットのためのハウジングは不要であり、トランスミッションハウジングとの間の配管も簡素化される。したがって、さらに防水が簡単で、さらなるコンパクト化ならびに重量およびコストの低減が可能である。
好ましくは、モータロータが、円筒状のロータ本体の外周部に固定状に設けられた合成樹脂製の永久磁石保持部材に、複数の永久磁石が保持されているものである。
このようにすれば、永久磁石をロータ本体に接着剤で固定する必要がなく、剥がれのおそれがない。
たとえば、ロータ本体の外周面が円筒面で、ロータ本体の両端部において外周部の周方向複数箇所に、回り止め凹部が形成されており、永久磁石保持部材が、ロータ本体の両端面外周部に密着する円環部と、ロータ本体の外周面において両円環部を連結するとともに永久磁石を保持する連結部とからなり、永久磁石保持部材に、ロータ本体の回り止め凹部にはまる複数の回り止め凸部が一体に形成されている。
このようにすれば、ロータ本体の回り止め凹部に永久磁石保持部材の回り止め凸部がはまり合っているため、ロータ本体の外周面が円筒面であっても、回転によりロータ本体に対して永久磁石保持部材が円周方向に滑ることがなく、永久磁石保持部材の固定が確実である。ロータ本体の外周面が円筒面であるから、その加工が容易で、安価に製作できる。
ロータ本体に形成される回り止め凹部は、たとえば、ロータ本体の端面外周部から外周面端部にわたる切欠き状のものである。この場合、永久磁石保持部材の回り止め凸部は、両円環部の互いに対向する面に形成される。回り止め凹部は、ロータ本体の端面および外周面の一方の複数箇所または両者の複数箇所に形成された有底穴状のものでもよい。いずれの場合も、永久磁石保持部材の回り止め凸部は、ロータ本体の回り止め凹部に対応する位置に設けられる。
たとえば、永久磁石保持部材の連結部が、軸方向にのびて両円環部を連結する複数の棒状部からなり、各棒状部の円環部より径方向外側にのびた部分に、周方向両側に張り出した永久磁石保持用爪部が一体に形成され、隣接する棒状部の爪部の間に永久磁石が保持されるようになされている。
このようにすれば、永久磁石保持部材を軽量化し、かつ、爪部によって永久磁石を確実に保持することができる。
たとえば、モータステータが、コア、コアに組み込まれた合成樹脂製インシュレータおよびインシュレータの部分に巻かれたコイルを有し、インシュレータが合成樹脂製の蓋と一体成形されており、インシュレータの端面にねじ穴が形成され、ポンプハウジングに貫通穴が形成され、貫通穴に通されてねじ穴にねじ合わされたねじ部材により、モータステータとポンプハウジングが一体化されている。
このようにすれば、ポンプおよび電動モータを蓋に確実に一体化することができ、しかも全体をさらにコンパクトに構成することができる。
ポンプは、たとえば、内接歯車ポンプである。内接歯車ポンプは、たとえば、内部に内周壁と軸方向両端壁で区画されたポンプ室が形成されたポンプハウジングと、両端面が前記両端壁に摺接するようにポンプ室内の外周側に回転自在に収容された、内周に内歯を有するアウタギヤと、両端面が前記両端壁に摺接するようにポンプ室内のアウタギヤの内側に回転自在に収容された、外周にアウタギヤの内歯とかみ合う外歯を有するインナギヤとを備え、内歯と外歯の所定のかみ合い部分に対応する前記端壁に油吸入ポートが形成されるとともに、内歯と外歯の他のかみ合い部分に対応する前記端壁に油吐出ポートが形成されているものである。
この発明の電動ポンプユニットによれば、上記のように、防水が簡単で、コンパクト化ならびに重量およびコストの低減が可能である。
図1は、この発明の実施形態を示すトランスミッション用電動ポンプユニットの主要部の縦断面図である。 図2は、図1のII−II線に沿う拡大断面図である。 図3は、図1のIII−III線に沿う拡大断面図である。 図4は、ポンプと電動モータの分解斜視図である。 図5は、モータロータの仮想的な分解斜視図である。 図6は、図3のVI−VI線に沿う拡大断面図である。
(1) 電動ポンプユニット
(2) トランスミッションハウジング(ユニットハウジング)
(4) 凹所
(5) ポンプ
(6) 電動モータ
(7) 蓋
(13) ポンプハウジング
(14) ポンプ室
(14a) 内周壁
(14b) 前端壁
(14c) 後端壁
(15) アウタギヤ
(15a) 内歯
(16) インナギヤ
(16a) 外歯
(25)(26) 貫通穴
(27) モータ軸
(28) モータロータ
(29) モータステータ
(30) コア
(31) インシュレータ
(32) コイル
(34) ねじ穴
(35) ボルト(ねじ部材)
(39)(40) 油吸入ポート
(42)(43) 油吐出ポート
(60)(63) みぞ部(油通路)
(0) 油
以下、図面を参照して、この発明を自動車のトランスミッション用電動ポンプユニットに適用した実施形態について説明する。
図1はトランスミッションに内蔵されたアイドルストップ用電動ポンプユニット(1)を示す縦断面図、図2は図1のII−II線に沿う拡大横断面図、図3は図1のIII−III線に沿う拡大横断面図である。以下の説明において、図1の左側を前、右側を後とし、前から見たときの左右すなわち図2および図3の左右を左右とする。
トランスミッションハウジング(ユニットハウジング)(2)を構成する鉛直状の縦壁(3)の後面(外面)に、後部が開口した有底円形穴よりなる凹所(4)が形成されており、この凹所(4)内にポンプユニット(1)が配置されている。
ポンプユニット(1)は、ポンプ(5)とポンプ駆動用電動モータ(6)が蓋(7)と一体化されたものである。後に詳しく説明するように、モータ(6)の一部が蓋(7)と一体化され、モータ(6)の前にポンプ(5)が固定されている。そして、ポンプ(5)およびモータ(6)が凹所(4)内にはめられ、蓋(7)が凹所(4)の後部開口を密閉している。この例では、ポンプ(5)は内接歯車ポンプ、モータ(6)は3相巻線を有するDCブラシレスセンサレスモータである。図4は、ポンプ(5)とモータ(6)の分解斜視図である。
蓋(7)は、合成樹脂製で、後端部に内向きフランジ(8)と外向きフランジ(9)が一体に形成された厚肉円筒部(10)を備えている。円筒部(10)が凹所(4)の後部に密にはめられ、外向きフランジ(9)がOリング(11)を介して凹所(4)の周囲のハウジング縦壁(3)の後面に当てられ、図示しないボルトなどにより固定されている。蓋(7)の後端面に、コネクタ(12)が一体成形され、内向きフランジ(8)の内側の開口を塞いでいる。
ポンプ(5)は、モータ(6)に固定された短円柱状のポンプハウジング(13)を備えており、ハウジング(13)内に形成されたポンプ室(14)内の外周側にリング状のアウタギヤ(アウタロータ)(15)が回転自在に収容され、アウタギヤ(15)の内側に、これとかみ合うインナギヤ(インナロータ)(16)が回転自在に収容されている。
ポンプハウジング(13)は、後述するように一体化された前側半体(17)と後側半体(18)とからなる。前側半体(17)は比較的厚肉の円板状をなし、前側半体(17)の後端部に外向きフランジ(19)が形成されている。後側半体(18)は、比較的厚肉で短い円筒部(20)の後端に後壁部(21)が一体に形成されたものであり、前側半体(17)で塞がれた円筒部(20)内側の横断面円形の空間がポンプ室(14)となっている。円筒部(20)の内周は、円筒部(20)の外周に対して偏心している。後側半体(18)の円筒部(20)の内周面がポンプ室(14)を区画する円筒状の内周壁(14a)、前側半体(17)の後端面がポンプ室(14)を区画する平坦な前端壁(14b)、後側半体(18)の後壁部(21)の前端面がポンプ室(14)を区画する平坦な後端壁(14c)となっている。後側半体(18)の前端部に、外向きフランジ(22)が形成されている。後側半体(18)の後壁部(21)の中心に、これを前後に貫通する穴(23)が形成されている。この穴(23)の中心は、円筒部(20)の外周の中心と一致している。後側半体(18)の後壁部(21)の後端面に、後方に突出した短円筒状の突部(24)が形成されている。突部(24)の内径は穴(23)の内径より大径で、突部(24)の内周の中心は穴(23)の中心と一致している。ポンプハウジング(13)を構成する前側半体(17)のフランジ(19)および後側半体(18)を周方向に等分する複数箇所(この例では6箇所)に、これらを前後に貫通する貫通穴(ボルト穴)(25)(26)が形成されている。両半体(17)(18)は、たとえば、アルミニウム合金などの金属のダイカスト成形品で、ポンプ室(14)の内周壁(14a)、両端壁(14b)(14c)は研削加工などにより仕上げられている。
モータ(6)は、水平に配置されたポンプ駆動モータ軸(27)と、モータ軸(27)の後部に固定されたモータロータ(28)と、モータロータ(28)の周囲に配置されたモータステータ(29)とを備えている。
ステータ(29)は、積層鋼板よりなるコア(30)にインシュレータ(合成樹脂製絶縁体)(31)が組み込まれ、インシュレータ(31)の部分にコイル(32)が巻きつけられたものである。インシュレータ(31)が蓋(7)の円筒部(10)と一体成形され、コア(31)の内周面が円筒部(10)の内周に露出し、インシュレータ(31)の前部が円筒部(10)より前方に突出している。図示は省略したが、コイル(32)はコネクタ(12)に接続されている。円筒部(10)より突出したインシュレータ(31)の前端面を周方向に等分する複数箇所に、両半体(17)(18)の貫通穴(25)(26)に対応するねじ穴(34)が形成されている。
ポンプハウジング後側半体(18)の後壁部(21)後端面の外周寄りの部分がインシュレータ(31)の前端面に密着させられ、両半体(17)(18)の貫通穴(25)(26)に通されてねじ穴(34)にねじ合わされたねじ部材であるボルト(35)により、ポンプハウジング(13)がインシュレータ(31)すなわちモータステータ(29)と一体化されている。
モータ軸(27)は鉄系材料よりなり、その前部および後端部が、後側半体(18)の突部(24)の内周に設けられた前側軸受装置(36)および蓋(7)の内向きフランジ(8)の内周に設けられた後側軸受装置(37)に回転自在に支持されている。この例では、各軸受装置(36)(37)は、1個の転がり軸受である玉軸受よりなる。モータ軸(27)の前部は、後側半体(18)の穴(23)の部分を貫通してポンプ室(14)内に進入し、その前端部がインナギヤ(16)の中心に連結されている。ロータ(28)は、モータ軸(27)の後部から半径方向外側にのびかつステータ(29)の内側においてモータ軸(27)を囲む円筒状のものであり、その外周に複数の永久磁石(38)が設けられている。
アウタギヤ(15)は、その外周面がポンプ室(14)の内周壁(14a)と摺接するとともに前後両端面がポンプ室(14)の前後両端壁(14b)(14c)と摺接するようにポンプ室(14)内に収容されている。アウタギヤ(15)の内周に、複数の内歯(15a)が形成されている。ポンプ室(14)の内周壁(14a)の中心が穴(23)の中心に対して偏心しているため、アウタギヤ(15)の中心も穴(23)の中心に対して偏心している。インナギヤ(16)は、その両端面がポンプ室(14)の前後両端壁(14b)(14c)と摺接するようにポンプ室(14)内に収容されている。後側半体(18)の突部(24)の中心すなわちモータ軸(27)の中心がアウタギヤ(15)の中心に対して偏心しているため、インナギヤ(16)の中心はアウタギヤ(15)の中心に対して偏心している。インナギヤ(16)の外周に、アウタギヤ(15)の内歯(15a)と偏心した状態でかみ合う複数の外歯(16a)が形成されている。アウタギヤ(15)およびインナギヤ(16)は、たとえば、合成樹脂の射出成形品である。
内歯(15a)と外歯(16a)のかみ合い部分(この例では上側のかみ合い部分)に対応するポンプ室(14)の両端壁(14b)(14c)に、弧状の油吸入ポート(39)(40)が形成されている。後側半体(18)において、吸入ポート(40)の後側の部分が弧状に取り除かれて、ポート(40)がそのまま外部と連通している。吸入ポート(40)の径方向外側の複数箇所(この例では3箇所)において、後側本体(18)の後壁部(21)が外周まで取り除かれて、みぞ部(60)が形成され、これに連なるように、後壁部(21)の外周部およびフランジ(22)ならびに前側半体(17)のフランジ(19)が前後全長にわたって取り除かれて、切欠き(61)(62)が形成されている。これに対応するインシュレータ(31)の前端部が径方向全幅にわたって取り除かれて、みぞ部(63)が形成されている。そして、ポンプハウジング(13)のみぞ部(60)とインシュレータ(31)のみぞ部(63)が合わさって、ポンプハウジング(13)の径方向外側から吸入ポート(40)に油を導入する油通路が形成されている。内歯(15a)と外歯(16a)の他のかみ合い部分(この例では下部のかみ合い部分)に対応するポンプ室(14)の前端壁(14b)に円形の油吐出ポート(42)が形成され、同後端壁(14c)に弧状の油吐出ポート(43)が形成されている。前側半体(17)の吐出ポート(42)より前側の部分に吐出ポート(41)より大径の拡径部(44)が形成され、油吐出管(45)の後端部が拡径部(45)に密にはめ止められている。吐出管(45)の前部は、凹所(4)の底壁(46)に形成された貫通穴(47)にOリング(48)を介して密にはめ止められている。凹所(4)の底壁(46)の上部に、図示しないオイルパンと連通する油吸入穴(49)が形成され、この穴(49)を通して、凹所(4)内に油(0)が満たされるようになっている。そして、ポンプ(5)およびモータ(6)が油(0)に浸漬させられる。
ロータ(29)の詳細が図5および図6に示されている。
ロータ(29)は、円筒状のロータ本体(バックヨーク)(50)の外周に合成樹脂製の永久磁石保持部材(51)が固定状に設けられ、保持部材(51)を周方向に等分する複数箇所(この例では8箇所)にセグメント形状の永久磁石(38)が保持されたものである。
ロータ本体(50)は、たとえば焼結により形成されたものであり、モータ軸(27)に固定されたフランジ部(50a)と、フランジ部(50a)の外周端に一体に形成されてモータ軸(27)を囲むように前方にのびた円筒部(50b)とからなる。円筒部(50b)の外周面全体が円筒面で、外周面の横断面形状は円形である。円筒部(50b)の両端部の外周部において、周方向に等分する複数箇所(この例では8箇所)に、回り止め凹部(52)が形成されている。この例では、凹部(52)は、円筒部(50b)の両端面の最外周部に形成されて、円筒部(50b)の端面外周部から外周面端部にわたる切欠き状のものである。
保持部材(51)は、型を用いて合成樹脂を円筒部(50b)の外周部にモールドすることにより、円筒部(50b)と一体化されている。保持部材(51)は、円筒部(50b)の両端面外周部に密着する円環部(53)と、円筒部(50b)の外周面において両円環部(53)を連結するとともに永久磁石(38)を保持する連結部(54)とからなる。両円環部(53)の互いに対向する面に、円筒部(50b)の凹部(52)にはまる複数の回り止め凸部(55)が一体に形成されている。連結部(54)は、軸方向にのびて両円環部(53)を連結する複数の棒状部(56)からなる。棒状部(56)は、円環部(53)を周方向に等分する複数箇所(この例では8箇所)で、凸部(55)と同じ周方向位置に形成されている。棒状部(56)は円環部(53)より径方向外側にのびた横断面V状の部分を有し、この部分の両側先端部に、周方向両側に張り出した永久磁石保持用爪部(57)が一体に形成されている。そして、隣接する棒状部(56)の爪部(57)の間に永久磁石(38)が軸方向から挿入されて保持されている。
なお、保持部材(51)はロータ本体(50)に一体に成形されたものであるから、両者は分離されることはないが、両者の構成を理解しやすくするために、図5では両者を分離した分解斜視図として示している。
ロータ本体(50)の円筒部(50b)に形成される回り止め凹部は、上記のような円筒部(50b)の端面から外周面にわたる切欠き状の凹部(52)ではなく、円筒部(50b)の端面および外周面の一方の複数箇所または両者の複数箇所に形成された有底穴でもよい。その場合、保持部材(51)の回り止め凸部は、有底穴である凹部に対応する位置に設けられる。ロータ本体が焼結体である場合、穴の加工は困難であるから、上記のような切欠き状の凹部(30)が好ましい。
モータ(6)のコントローラ(図示略)は、トランスミッションの外に配置され、蓋(7)のコネクタ(12)を介してモータ(6)に接続されている。
車両の走行中は、モータ(6)は停止し、したがって、ポンプ(5)も停止している。
車両停止中に、モータ(6)が動作し、これによりポンプ(5)も動作する。ポンプ(5)が動作すると、凹所(4)内の油(0)が、ポンプハウジング(13)とインシュレータ(31)との間のみぞ部(60)(63)よりなる油通路から吸入ポート(40)を通ってポンプ室(14)内に入り、吐出ポート(42)から吐出管(45)を通してトランスミッションの所要箇所に供給される。
上記の電動ポンプユニット(1)では、ポンプ(5)およびポンプ駆動用電動モータ(6)が蓋(7)と一体化されてトランスミッションハウジング(2)内に収容されているので、従来の電動ポンプユニットのハウジングは不要であり、したがって、その防水も不要である。電動モータ(6)のコントローラはトランスミッションハウジング(2)内には設けられないので、その防水も不要である。また、ポンプ(5)と電動モータ(6)の間のシールも不要である。さらに、ポンプ(5)とトランスミッションハウジング(2)の間の配管が簡素化され、蓋(7)および吐出管(45)とトランスミッションハウジング(2)との間だけをシールすればよく、防水が簡単である。したがって、電動ポンプユニット(1)のコンパクト化ならびに重量およびコストの低減が可能である。なお、ポンプ(5)は車両停止中に動作するため、作動油(0)の油量管理のみで油面の高さの管理が可能である。
モータ(6)のステータ(29)で発生した熱は、油(0)に浸漬させられている部分から油(0)を通して熱容量の大きいトランスミッションハウジング(2)に放熱される。このため、放熱のために電動ポンプユニット(1)の体格を大きくする必要がなく、電動ポンプユニット(1)のコンパクト化ならびに重量およびコストの低減が可能である。
油吸入ポート(40)がそのまま外部と連通し、油吐出ポート(42)がそのまま油吐出管(45)に接続されているので、これらを外部と連通させるための油吸入穴や油吐出穴をポンプハウジング(13)に形成する必要がなく、その分、ポンプハウジング(13)を小型化でき、製造工程も減少する。
モータ軸(27)を支持する軸受装置(36)(37)が油(0)によって潤滑され、潤滑のためのグリースやそのシールが不要である。
モータロータ(28)において、永久磁石(38)をロータ本体(50)に接着剤で固定することが考えられるが、接着剤は油がかかる環境で使用すると、永久磁石(38)が剥がれるおそれがある。上記の実施形態では、モータロータ(28)が、円筒状のロータ本体(50)の外周部に固定状に設けられた合成樹脂製の永久磁石保持部材(51)に、複数の永久磁石(38)が保持されているものであるから、永久磁石(38)をロータ本体(50)に接着剤で固定する必要がなく、剥がれのおそれがない。
さらに、ロータ本体(50)の回り止め凹部(52)に永久磁石保持部材(51)の回り止め凸部(55)がはまり合っているため、ロータ本体(50)の外周面全体が円筒面で、外周面の横断面形状が円形であっても、回転によりロータ本体(50)に対して永久磁石保持部材(51)が円周方向に滑ることがなく、永久磁石保持部材(51)の固定が確実である。そして、ロータ本体(50)の外周面が円筒面であるから、その加工が容易で、安価に製作できる。
しかしながら、ロータ本体(50)および保持部材(51)の構成は、上記実施形態のものに限らず、適宜変更可能である。
電動ポンプユニット(1)の全体構成および各部の構成は、上記実施形態のものに限らず、適宜変更可能である。
また、この発明は、トランスミッション用電動ポンプユニット以外の電動ポンプユニットにも適用できる。

Claims (2)

  1. ポンプハウジング内のポンプ室を区画する軸方向端壁にそれぞれ外部と連通する油吸入ポートおよび油吐出ポートが設けられたポンプと、水平に配置されてポンプに連結されたモータ軸、モータ軸に固定状に設けられたモータロータおよびモータロータの周囲に配置されたモータステータを有するポンプ駆動用電動モータとを備え、
    モータステータが、油が導入されるユニットハウジングの凹所の開口を密閉する蓋と一体化されるとともに、ポンプハウジングと一体化されており、
    凹所内に油が満たされるようになっていて、ポンプおよび電動モータが凹所内に満たされた油に浸漬させられており、
    ポンプハウジングの油吸入ポートがそのまま外部と連通し、ポンプハウジングとモータステータとの間に、凹所内に開口しておりポンプハウジングの径方向外側から油吸入ポートに油を導入する油通路が形成されていることを特徴とする電動ポンプユニット。
  2. モータステータが、コア、コアに組み込まれた合成樹脂製インシュレータおよびインシュレータの部分に巻かれたコイルを有し、インシュレータが合成樹脂製の蓋と一体成形されており、
    インシュレータの端面にねじ穴が形成され、ポンプハウジングに貫通穴が形成され、貫通穴に通されてねじ穴にねじ合わされたねじ部材により、モータステータとポンプハウジングが一体化されており、
    油吸入ポートに油を導入する油通路は、ポンプハウジングに設けられたみぞ部とインシュレータに設けられたみぞ部が合わさることで形成されていることを特徴とする請求項1の電動ポンプユニット。
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