JP5551683B2 - リポソーム組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、エリブリンまたはその薬理学的に許容される塩を含有する新規なリポソーム組成物に関する。また、本発明は、該リポソーム組成物の製造方法に関する。
リポソームは、1つ以上の脂質二重層により包囲された内相を有する微細閉鎖小胞であり、水溶性物質を内相に、脂溶性物質を脂質二重層に保持することができる。リポソームに活性化合物を封入し、標的組織へ送達する際には、いかにして活性化合物をリポソームへ高い効率で封入するか、また、いかにしてリポソームによる活性化合物の保持安定性を確保するかが重要なポイントとなる。
脂溶性化合物をリポソームへ封入する場合、比較的容易に高い封入率を達成できるが、アムホテリシンB(リポソーム医薬品アンビゾームの主薬)のような膜親和性の非常に高い化合物の場合を除き、一般的に血漿中での保持安定性は低く、体内動態が十分に改善されることは難しい。水溶性化合物のリポソームへの封入方法にはリピドフィルム法(ボルテックス法)、逆相蒸発法、界面活性剤除去法、凍結融解法やリモートローディング法(pH勾配法、イオン勾配法)等様々な方法がある。しかしながら、100%近い高い封入率が得られるのはリモートローディング法のみであり、その他の方法では5〜30%程度の封入率しか得られない。
リモートローディング法として、pH勾配や硫酸アンモニウムイオン勾配を利用したものが知られている。pH勾配を利用したリモートローディング法であるpH勾配法とは、目的の化合物のpHによる分子型/イオン型の乖離平衡の移動を利用して化合物をリポソーム内に取り込む技術である。
pH勾配法によりリポソームに封入される化合物の一例として、例えば、ドキソルビシン(DOX、pKa:8.2)が挙げられる。pH4の緩衝液によりリポソーム溶液を調製した後に、リポソーム外相をpH7の緩衝液に置換する。このリポソーム溶液にDOXを加えた場合、加えられたpH7の溶液中では分子型のDOXは脂溶性となるため、水相ではなくリポソーム膜に移行する。さらにリポソーム膜に移行したDOXがpH4のリポソーム内相と接触した場合、イオン型となりリポソーム内相に溶け込んでいく。このように、解離平衡の移動によってDOXはリポソーム外相から内相に輸送される(非特許文献1、非特許文献2、および特許文献1を参照。)。
また、このようなリモートローディング法を改良した種々の技術が報告されている。
非特許文献3には、コレステロールフリーリポソームという特別な組成のリポソームにおいてpH勾配法を行う際に、リポソーム外相に活性化合物と共にエタノールを添加することで、活性化合物の封入率を向上させる技術が開示されている。
特許文献2には、pH勾配に加えて、リポソーム内相に銅イオンを存在させることで、活性化合物の封入率を向上させる技術が開示されている。
硫酸アンモニウムイオン勾配を利用したリモートローディング法である硫酸アンモニウム法とは、pH勾配法におけるpH勾配に代えて、2価の硫酸アンモニウム等のイオン勾配を利用して活性化合物をリポソーム内相に取り込む技術である(非特許文献1および特許文献3を参照。)。
特許文献4には、硫酸アンモニウムによるイオン勾配に加えて、リポソーム外相に活性化合物と共にボロン酸を添加することで、リポソーム内に活性化合物を取り込む技術が開示されている。
また、特許文献5には、硫酸アンモニウムによるイオン勾配に変えて、グルクロン酸アニオンによるイオン勾配を利用して活性化合物をリポソームに取り込むことで、硫酸アンモニウムを利用した場合に比べて、活性化合物の放出速度を向上させる技術が開示されている。
このように、封入率の面からリモートローディング法は優れた封入方法である。しかしながら、リポソーム内相に封入された活性化合物が結晶化するDoxil(DOXのリポソーム製剤)等の特殊な例を除くと、リモートローディング法を用いた場合、活性化合物は血漿中でリポソームから漏出しやすく、活性化合物の保持安定性が低いという問題点がある。
以上のように、従来技術の方法では、リポソームへの活性化合物の高い封入率と、リポソームにおける活性化合物の保持安定性を両立することは難しいのが現状である。
米国特許第5192549号明細書 国際公開第2006/037230号パンフレット 米国特許第5316771号明細書 米国特許第6051251号明細書 国際公開第2005/046643号パンフレット
佐塚泰之,"リポソームの調製法",「リポソーム応用の新展開:人工細胞の開発に向けて(秋吉一成,辻井薫監修)」,エヌ・ティー・エス, (2005), pp.33-37. Mayer LD et al., Biochimica et Biophysica Acta, (1986), 857:pp.123-126. N. Dos Santos et al., Biochimica et Biophysica Acta, (2004), 1661(1):pp.47-60
本発明が解決しようとする課題は、活性化合物の保持安定性および封入率が高いリポソーム組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、エリブリンまたはその薬理学的に許容される塩を活性化合物とするリポソーム組成物が、リポソーム組成物における活性化合物の保持安定性および封入率が極めて高いことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]
リポソームを含み、リポソーム内相に活性化合物を含むリポソーム組成物であって、活性化合物がエリブリンまたはその薬理学的に許容される塩である、リポソーム組成物。
[2]
リポソーム組成物が固体状または液体状である、1に記載のリポソーム組成物。
[3]
リポソーム内相にアンモニウム塩をさらに含む、1または2に記載のリポソーム組成物。
[4]
前記アンモニウム塩の濃度が10mM以上である、3に記載のリポソーム組成物。
[5]
リポソーム内相に塩、酸、塩基および/またはアミノ酸をさらに含む、1〜4のいずれかに記載のリポソーム組成物。
[6]
前記塩の濃度が1〜300mMである、5に記載のリポソーム組成物。
[7]
前記酸の濃度が1〜300mMである、5または6に記載のリポソーム組成物。
[8]
前記アミノ酸の濃度が1〜300mMである、5〜7のいずれかに記載のリポソーム組成物。
[9]
前記塩基の濃度が1〜300mMである、5〜8のいずれかに記載のリポソーム組成物。
[10]
前記活性化合物の濃度が0.01〜300mg/mLである、1〜9のいずれかに記載のリポソーム組成物。
[11]
前記活性化合物がメシル酸エリブリンである、1〜10のいずれかに記載のリポソーム組成物。
[12]
リポソーム内相に硫酸アンモニウム、クエン酸、および活性化合物をさらに含む、1〜11のいずれかに記載のリポソーム組成物。
[13]
リポソーム外相に糖、電解質、および/またはアミノ酸を含む、1〜12のいずれかに記載のリポソーム組成物。
[14]
リポソーム外相に糖または電解質、およびアミノ酸を含む、1〜13のいずれかに記載のリポソーム組成物。
[15]
前記糖の濃度が2〜20%である、13または14に記載のリポソーム組成物。
[16]
前記アミノ酸の濃度が1〜300mMである、13〜15のいずれかに記載のリポソーム組成物。
[17]
リポソーム外相にショ糖または塩化ナトリウム、およびヒスチジンを含む、1〜16のいずれかに記載のリポソーム組成物。
[18]
前記リポソーム内相にシクロデキストリンを実質的に含まない、1〜17のいずれかに記載のリポソーム組成物。
[19]
リポソームが水素添加ホスファチジルコリンを含む、1〜18のいずれかに記載のリポソーム組成物。
[20]
リポソームがコレステロールを含む、1〜19のいずれかに記載のリポソーム組成物。
[21]
リポソームがメトキシポリエチレングリコール縮合体を含む、1〜20のいずれかに記載のリポソーム組成物。
[22]
前記メトキシポリエチレングリコール縮合体がジステアロイルホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール縮合体である、21に記載のリポソーム組成物。
[23]
リポソームが水素添加ホスファチジルコリン、コレステロール、およびジステアロイルホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール縮合体を含む、1〜22のいずれかに記載のリポソーム組成物。
[24]
前記水素添加ホスファチジルコリンを10〜80%、前記コレステロールを1〜60%、前記ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール縮合体を0〜50%含む、23に記載のリポソーム組成物。
[25]
リポソームが水素添加大豆ホスファチジルコリン、コレステロール、およびポリエチレングリコール2000−ホスファチジルエタノールアミンを含む、1〜24のいずれかに記載のリポソーム組成物。
[26]
1〜25のいずれかに記載のリポソーム組成物を製造する方法であって、
リポソームを含む、リポソーム分散液を供するステップと、
前記リポソーム分散液と前記活性化合物とを混合するステップと、
前記リポソーム分散液のリポソーム内相に前記活性化合物を導入するステップと
を含む方法。
[27]
前記リポソーム分散液がリポソーム外相にアンモニウム塩を実質的に含まない、26に記載の方法。
[28]
前記リポソーム分散液のリポソーム外相のpHが3〜10である、26または27に記載の方法。
[29]
前記リポソーム分散液のリポソーム外相のpHが7〜10である、26〜28のいずれかに記載の方法。
[30]
前記pHが、前記リポソーム分散液と前記活性化合物とを混合するステップにおける前記リポソーム分酸液のリポソーム外相のpHである、28または29に記載の方法。
[31]
前記リポソーム分散液を供するステップが、リポソームを含み、リポソーム内相およびリポソーム外相にアンモニウム塩を含むリポソーム準備液を供するステップと、
前記リポソーム準備液のリポソーム外相を置換または希釈するステップと
を含む、26〜30のいずれかに記載の方法。
[32]
前記リポソーム外相を置換または希釈するステップが、リポソーム外相のpHをリポソーム内相のpHより高くするステップである、31に記載の方法。
[33]
前記リポソーム外相を置換または希釈するステップが、リポソーム内相のpHとリポソーム外相のpHの差を1〜5とするステップである、31または32に記載の方法。
[34]
前記リポソーム内相のpHが3〜9である、26〜33のいずれかに記載の方法。
[35]
前記リポソーム内相のpHが4〜9である、26〜34のいずれかに記載の方法。
[36]
前記リポソーム内相のpHが5〜8である、26〜35のいずれかに記載の方法。
[37]
前記活性化合物を導入するステップにおいて、リポソーム外相が電解質を含む溶液である、26〜36のいずれかに記載の方法。
[38]
前記リポソーム分散液が、シクロデキストリンをリポソーム内相に実質的に含まない、26〜37のいずれかに記載の方法。
[39]
リポソーム外相のpHを中性にするステップをさらに含む、26〜38のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、新規なリポソーム組成物を提供することができる。本発明のリポソーム組成物は、高い効率でリポソーム内相へ活性化合物を封入し、また、活性化合物の高い保持安定性を有する。
in vitroラット血漿中(37℃)でのメシル酸エリブリンのリポソーム組成物の濃度推移を示す。 in vivo FaDu担癌ヌードマウスでのリポソームによるメシル酸エリブリンの抗腫瘍活性を示す。 in vivo ACHN担癌ヌードマウスでのリポソームによるメシル酸エリブリンの抗腫瘍活性を示す。
本発明を、発明を実施するための形態により具体的に説明するが、本発明は、以下の発明を実施するための形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができる。
本発明において参照される文献に開示されている内容は、本発明に参照として取り込まれる。
[定義]
「リポソーム」とは、脂質二重層により包囲された内相を有する微細閉鎖小胞を意味する。本発明において、リポソームは、小さな1枚膜リポソーム(SUV:small unilamellar vesicle)、大きな1枚膜リポソーム(LUV:large unilamellar vesicle)、さらに大きな1枚膜リポソーム(GUV:giant unilamellar vesicle)、同心円状の複数の膜を有する多重層リポソーム(MLV:multilamellar vesicle)、同心円状でなく不規則に複数の膜を有するリポソーム(MVV:Multivesicular vesicle)等を含む。
「リポソーム内相」は、リポソームの脂質二重層に包囲された水性領域を意味し、「内水相」および「リポソーム内水相」と同義で用いる。「リポソーム外相」は、リポソームが液体中に分散している場合に、リポソームの脂質二重層に包囲されていない領域(すなわち、内相および脂質二重層以外の領域)を意味する。
「リポソーム組成物」とは、リポソームを含み、リポソーム内相にメシル酸エリブリンをさらに含む組成物を意味する。本発明において、リポソーム組成物は、固体状および液体状のものを含む。
「リポソーム分散液」とは、リポソームを含む組成物であって、リポソーム内相に活性化合物が導入される前の組成物を意味する。
「リポソーム準備液」とは、リポソームを含む組成物であって、リポソーム内相にメシル酸エリブリンを封入するために、リポソーム外相を調整する前の組成物を意味する。
「リポソーム試薬」とは、液体状の場合、リポソーム分散液を意味し、固体状の場合は、所定の溶媒に溶解または懸濁することでリポソーム分散液を得ることのできる試薬を意味する。溶媒については後述する。後述するように、固体状のリポソーム試薬は、例えばリポソーム分散液を乾燥させることで得られる。
なお、本明細書において、固体と液体を混合するとは、固体を液体に溶解することと懸濁することとを包含するものとし、混合、溶解、懸濁は互いに交換可能に用いる。同様に、溶媒と分散媒も互いに交換可能に用いる。
また、本発明のリポソーム組成物、リポソーム分散液、リポソーム準備液、リポソーム試薬は、シクロデキストリンを実質的に含まない。シクロデキストリンを実質的に含まないとは、シクロデキストリンを添加していないことを意味する。なお、シクロデキストリンによる活性化合物の溶解度(みかけの溶解度)の向上が有意に認められる量のシクロデキストリンを含まなければよく、活性化合物の溶解度の向上が有意に認められない量を加えた場合も、本発明の実施として排除されるものではない。
さらに、本発明の好ましい態様として、リポソーム分散液におけるリポソーム分散液が、リポソーム外相に実質的にアンモニウム塩を含まないとは、リポソーム分散液のリポソーム外相にアンモニウム塩を添加していないことを意味する。なお、本発明の目的を達成できる範囲の量のアンモニウム塩を加えることが、本発明の実施として排除されるものではない。また、リポソーム準備液のリポソーム外相にアンモニウム塩を含む場合、アンモニウム塩を実質的に含まない溶液を用いてリポソーム準備液のリポソーム外相を置換または希釈することにより、アンモニウム塩を実質的に含まないリポソーム分散液を調製することができる。
[活性化合物]
本発明における活性化合物は、エリブリンまたはその薬理学的に許容される塩である(以下、「エリブリン等」と記載する場合がある。)。薬理学的に許容される塩とは、無機酸塩、有機酸塩のいずれであってもエリブリンと塩を形成するものであれば特に限定されないが、例えば、塩酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、過リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、パモ酸塩(pamoate)等が挙げられ、好ましくは、塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、メシル酸塩等が挙げられ、より好ましくはメシル酸塩である。すなわち、本発明における活性化合物は、好ましくは、メシル酸エリブリンである。また、エリブリンの薬理学的に許容される塩としては、エリブリンと、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、亜鉛、ジエタノールアミンとの塩であってもよい。エリブリンまたはその薬理学的に許容される塩は、国際公開第99/65894号パンフレットまたは米国特許第6214865号公報(これら特許文献に記載される内容は参照により取り込まれる)に記載される化合物またはその塩であり、抗腫瘍及び抗有糸分裂活性を含めて薬理学的活性を有する。そして、エリブリンまたはその薬理学的に許容される塩は、抗腫瘍剤として、メラノーマ、線維肉腫、単球性白血病、結腸ガン、卵巣ガン、乳ガン、骨肉腫、前立腺ガン、肺ガン、及びras−転換繊維芽細胞などに抗腫瘍活性を有する。
ただし、エリブリン等と共に組み合わせることのできる活性化合物としては、医薬(診断薬を含む)、化粧料、食品などの分野において用いられる化合物から選択することができる。活性化合物は、エリブリン等以外の1種の化合物または2種以上の化合物の組み合わせであってもよい。
活性化合物としては、低分子化合物等が挙げられ、中でも、抗腫瘍剤、抗菌剤、抗炎症剤、抗心筋梗塞剤、造影剤として用いられる化合物が好適である。
活性化合物は、分子量が100〜2000であるものが好ましく、200〜1500であるものがより好ましく、300〜1000であるものがさらに好ましい。一般にこれらの範囲において、活性化合物のリポソーム膜透過性が良好であり、好適に本発明を適用できる。
活性化合物は、水溶性化合物および脂溶性化合物を含み、水または水性溶媒へ少なくとも多少とも溶解するものであれば、本発明を適用することができる。
本発明において、抗腫瘍剤としては、特に限定されないが、例えば、塩酸イリノテカン、塩酸ノギテカン、エキサテカン、RFS−2000、Lurtotecan、BNP−1350、Bay−383441、PNU−166148、IDEC−132、BN−80915、DB−38、DB−81、DB−90、DB−91、CKD−620、T−0128、ST−1480、ST−1481、DRF−1042、DE−310等のカンプトテシン誘導体;ドセタキセル水和物、ドセタキセル、パクリタキセル、IND−5109、BMS−184476、BMS−188797、T−3782、TAX−1011、SB−RA−31012、SBT−1514、DJ−927等のタキサン誘導体;イホスファミド、塩酸ニムスチン、カルボコン、シクロホスファミド、ダカルバジン、チオテパ、ブスルファン、メルファラン、ラニムスチン、リン酸エストラムスチンナトリウム、6−メルカプトプリンリボシド、エノシタビン、塩酸ゲムシタビン、カルモフール、シタラビン、シタラビンオクホスファート、テガフール、ドキシフルリジン、ヒドロキシカルバミド、フルオロウラシル、メトトレキサート、メルカプトプリン、リン酸フルダラビン、アクチノマイシンD、塩酸アクラルビシン、塩酸イダルビシン、塩酸ピラルビシン、塩酸エピルビシン、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、塩酸ピラルビシン、塩酸ブレオマイシン、ジノスタチンスチマラマー、ネオカルチノスタチン、マイトマイシンC、硫酸ブレオマイシン、硫酸ペプロマイシン、エトポシド、酒石酸ビノレルビン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンデシン、硫酸ビンブラスチン、塩酸アムルビシン、ゲフィニチブ、エキセメスタン、カペシタビン、TNP−470、TAK−165、KW−2401、KW−2170、KW−2871、KT−5555、KT−8391、TZT−1027、S−3304、CS−682、YM−511、YM−598、TAT−59、TAS−101、TAS−102、TA−106、FK−228、FK−317、E7070、(8E、12E、14E)−7−{(4−シクロヘプチルピペラジン−1−イル)カルボニル}オキシ−3、6、16、21−テトラヒドロキシ−6、10、12、16、20−ペンタメチル−18、19−エポキシトリコサ−8、12、14−トリエン−11−オリド(E7107)、KRN−700、KRN−5500、J−107088、HMN−214、SM−11355、ZD−0473等を挙げることができる。上記抗腫瘍剤において、塩として記載している化合物は、任意の塩であってもよく、フリー体であってもよい。また、フリー体として記載している化合物は、任意の塩であってもよい。
抗菌剤としては、特に限定されないが、例えば、アンホテリシンB、セフォチアムーヘキセシル、セファロスポリン、クロラムフェニコール、ジクロフェナック等を挙げることができる。上記抗菌剤において、化合物は、任意の塩であってもよい。
抗炎症剤としては、特に限定されないが、例えば、プロスタグランジン類(PGE1、PGE2)、デキサメサゾン、ハイドロコルチゾン、ピロキシカム、インドメタシン、プレドニゾロン等を挙げることができる。上記抗炎症剤において、化合物は、任意の塩であってもよい。
抗心筋梗塞剤としては、特に限定されないが、例えば、アデノシン、アテノロール、ピルジカイニド等が、造影剤としては、イオパミドール、イオキサグル酸、イオヘキソール、イオメプロール等を挙げることができる。上記抗心筋梗塞剤および上記造影剤において、化合物は、任意の塩であってもよい。
[脂質]
本発明のリポソームは、膜構成成分として、リン脂質および/またはリン脂質誘導体を含むことが好ましい。リン脂質およびリン脂質誘導体としては、例えば、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、スフィンゴミエリン、セラミドホスホリルエタノールアミン、セラミドホスホリルグリセロール、セラミドホスホリルグリセロールホスファート、1,2−ジミリストイル−1,2−デオキシホスファチジルコリン、プラスマロゲン、ホスファチジン酸等を挙げることができる。リン脂質およびリン脂質誘導体は、これらのうち1種または2種以上の組み合わせであってもよい。
リン脂質およびリン脂質誘導体における脂肪酸残基は特に限定されないが、例えば、炭素数12〜20の飽和または不飽和の脂肪酸残基を挙げることができ、具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等の脂肪酸由来のアシル基を挙げることができる。また、卵黄レシチン、大豆レシチン等の天然物由来のリン脂質、および不飽和脂肪酸残基に部分的にまたは完全に水素添加した部分水素添加卵黄レシチン、(完全)水素添加卵黄レシチン、部分水素添加大豆レシチン、(完全)水素添加大豆レシチン等を用いることもできる。
リポソームを調製する際に用いるリン脂質および/またはリン脂質誘導体の配合量(モル分率)は、特に限定されないが、リポソーム膜成分全体に対して10〜80%が好ましく、30〜60%がより好ましい。
本発明のリポソームは、膜構成成分として、リン脂質および/またはリン脂質誘導体以外に、膜安定化剤としてコレステロール、コレスタノール等のステロール類、炭素数8〜22の飽和または不飽和のアシル基を有する脂肪酸類、α−トコフェロール等の酸化防止剤を含んでもよい。
リポソームを調製する際に用いるこれらステロール類の配合量(モル分率)は、特に限定されないが、リポソーム膜成分全体に対して、1〜60%が好ましく、10〜50%がより好ましく、30〜50%がさらに好ましい。
また、脂肪酸類の配合量(モル分率)は、特に限定されないが、リポソーム膜成分全体に対して、0〜30%が好ましく、0〜20%がより好ましく、0〜10%がさらに好ましい。酸化防止剤の配合量(モル分率)は酸化防止効果が得られる量が添加されれば十分であるが、リポソーム膜成分全体の0〜15%が好ましく、0〜10%がより好ましく、0〜5%がさらに好ましい。
本発明のリポソームは、膜構成成分として、機能性脂質または修飾脂質を含有していてもよい。
機能性脂質として、血中滞留性脂質誘導体、温度変化感受性脂質誘導体、pH感受性脂質誘導体等を挙げることができる。修飾脂質として、PEG化脂質、糖脂質、抗体修飾脂質、ペプチド修飾脂質等が挙げられる。
血中滞留性脂質誘導体としては、例えば、グリコフォリン、ガングリオシドGM1、ガングリオシドGM3、グルクロン酸誘導体、グルタミン酸誘導体、ポリグリセリンリン脂質誘導体、ホスフォエタノールアミンとメトキシポリエチレングリコールの縮合体である、N−{カルボニル−メトキシポリエチレングリコール−2000}−1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスフォエタノールアミン、N−{カルボニル−メトキシポリエチレングリコール−5000}−1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスフォエタノールアミン、N−{カルボニル−メトキシポリエチレングリコール−750}−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスフォエタノールアミン、N−{カルボニル−メトキシポリエチレングリコール−2000}−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスフォエタノールアミン(MPEG2000−ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン)、N−{カルボニル−メトキシポリエチレングリコール−5000}−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスフォエタノールアミン等のポリエチレングリコール誘導体(メトキシポリエチレングリコール縮合体など)等を挙げることができる。リポソームが血中滞留性脂質誘導体を含有することにより、リポソームが外来異物として肝臓などにおいて捕捉されにくくなることで、リポソームの血中滞留性を向上させることなどが可能となる。
温度変化感受性脂質誘導体としては、例えば、ジパルミトイルホスファチジルコリン等を挙げることができる。リポソームが温度変化感受性脂質誘導体を含有することにより、特定の温度においてリポソームを崩壊させる、リポソームの表面特性を変化させるなどが可能となる。さらに腫瘍等の標的部位の加温と組み合わせることで、標的部位でリポソームが崩壊し、標的部位に活性化合物を放出させることなどが可能となる。
pH感受性脂質誘導体としては、例えば、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン等を挙げることができる。リポソームがpH感受性脂質誘導体を含有することにより、エンドサイトーシスによりリポソームが細胞へ取り込まれる際にリポソームとエンドソームとの膜融合を促し、活性化合物の細胞質への送達を改良することなどが可能となる。
糖脂質、抗体修飾脂質およびペプチド修飾脂質としては、標的細胞または標的組織に親和性のある糖、抗体またはペプチドを結合した脂質が挙げられる。修飾脂質を用いることで、能動的にリポソームを標的細胞または標的組織に送達することができる。
リポソームを調製する際に用いる血中滞留性脂質誘導体の配合量(モル分率)は、特に限定されないが、リポソーム膜構成成分脂質全体の0〜50%が好ましく、0〜30%がより好ましく、0〜20%がさらに好ましい。
[リポソーム]
上記した通り、リポソームは脂質二重層により包囲された内相を有する微細閉鎖小胞である。
理想的には、リポソームは、a)エリブリン等を内相にいったん封入した後では、エリブリン等がリポソーム外相には漏れ出ないバリア能を有していることが好ましい。また、医薬として用いる場合、リポソームは生体内で安定であることが好ましく、また、リポソームは、生体に投与した際に血中ではエリブリン等がリポソーム外相には漏れ出ないバリア能を有することが好ましい。
実用可能なレベルでこのような膜透過性を有するリポソームのための膜構成成分の組成は、当業者であれば、必要に応じて後述する実施例を参照することで、活性化合物や標的組織などに応じて適宜設定することができる(菊池寛他、「リポソームI−調製法と検定法−」、細胞工学, (1983), 2(9):pp.1136-1149および当該文献に引用される文献等参照)。
なお、医薬として用いる場合、リポソームが、標的組織、細胞または細胞内小器官に到達した後は、エリブリン等がリポソームから放出されることが好ましい。リポソームは、一般に膜構成成分自体は生分解性であり、最終的には標的組織等で分解される。これにより、封入されていたエリブリン等が放出されると考えられる。また、リポソーム自体が細胞に取り込まれてもよい。
また、リポソーム組成物は固形癌などの標的組織へのターゲティングばかりでなく、血液癌などへの活性化合物の送達にも用いることができ、血中での徐放性製剤(slow release formulation)や放出制御製剤(controlled release formulation)等として用いることも可能である。
リポソームの粒子径は目的に応じて設定することができる。例えば、注射剤等としてEPR(Enhanced Permeability and Retention)効果により癌組織や炎症組織へとリポソームを送達することを意図する場合、リポソームの粒子径は、好ましくは30〜400nm、より好ましくは50〜200nmである。また、マクロファージへとリポソームを送達することを意図する場合、リポソームの粒子径は、好ましくは30〜1000nm、より好ましくは100〜400nmである。また、リポソーム組成物を経口製剤や経皮製剤として用いる場合など、リポソームの粒子径は、数ミクロンとすることができる。なお、(1)正常組織では(血管内皮細胞が密に血管壁を構成しているため)血管壁がバリアーとなり、高分子や特定の大きさのリポソームのような微細粒子は組織内に分布できないが、病変組織では(血管内皮細胞間に隙間ができていて)血管壁がルーズとなって血管透過性が亢進しており、高分子や微細粒子は血管外の組織に分布でき(enhanced permeability)、また、(2)正常組織ではリンパ系が発達しているが、病変組織ではリンパ系が発達していないためにいったん取り込まれた高分子や微細粒子が全身系に回収されずにその病変組織に留まる(enhanced retention)ことが知られており、EPR効果と呼ばれている(松村、前田, Cancer Research, (1986), 46:pp.6387-6392)。これにより、リポソームの粒子径を調整することで、体内動態を制御することができる。
なお、本発明において、リポソームの粒子径は、動的光散乱法(準弾性光散乱法)による重量平均粒子径を意味する。ここでは動的光散乱(Dynamic Light Scattering)測定器(例えば、Malvern Instruments Ltd社製Zetasizer Nano ZSモデルや大塚電子社製ELS-8000)により測定された粒子径を示す。測定器は粒子のブラウン運動を測定し、確立された動的光散乱法理論に基づいて粒子径を決定している。
リポソーム内相の溶媒は特に限定されるべきものではなく、例えば、リン酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液、リン酸塩緩衝化生理食塩液等の緩衝液、生理食塩水、細胞培養用の培地などを挙げることができる。溶媒として、緩衝液を用いる場合には、緩衝剤の濃度が5〜300mMであることが好ましく、10〜100mMであることがより好ましい。リポソーム内相のpHは、特に限定されるものではないが、3〜11が好ましく、4〜9がより好ましい。
[リポソーム組成物]
本発明によるとリポソーム組成物が提供される。リポソーム組成物は、リポソームを含み、リポソーム内相にエリブリン等をさらに含む。上記した通り、リポソーム組成物は、固体状および液体状のものを含む。リポソーム組成物が固体状のものの場合、後述するように所定の溶媒に溶解または懸濁することで、液体状のものとすることができる。また、リポソーム組成物が凍結した固体の場合には室温放置等により融解させることで、液体状のものとすることができる。
リポソーム組成物におけるリポソームの濃度および活性化合物の濃度は、リポソーム組成物の目的、剤形等に応じて適宜設定することができる。リポソーム組成物が液剤の場合において、リポソームの濃度はリポソームの構成成分である全脂質の濃度として、0.2〜100mM、好ましくは1〜30mMとすることができる。リポソーム組成物を医薬として用いる場合における活性化合物の濃度(用量)については後述する。リポソーム組成物におけるシクロデキストリンの量は、エリブリン等に対して0.1モル当量未満が好ましく、検出限界以下であることがより好ましい。
本発明におけるリポソームは、脂質二重層にエリブリン等が分配されていてもよい。
リポソーム組成物が液剤の場合におけるリポソーム組成物の溶媒(分散媒)は特に限定されるべきものではなく、例えば、リン酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液、リン酸塩緩衝化生理食塩液等の緩衝液、生理食塩水、細胞培養用の培地などを挙げることができる。リポソーム組成物におけるリポソーム外相のpHは、特に限定されるものではないが、3〜11が好ましく、4〜9がより好ましい。
リポソーム組成物には、さらに、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、イノシトール、リボース、キシロース等の単糖類、乳糖、ショ糖、セロビオース、トレハロース、マルトース等の二糖類、ラフィノース、メレジトース等の三糖類、シクロデキストリン等の多糖類、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール等の糖アルコールなどの糖や、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコール等を加えてもよい。糖とアルコールとを組み合わせて用いてもよい。
この溶媒(分散媒)に分散したリポソームを安定に長期間保存するには、凝集などの物理的安定性の面から、溶媒(分散媒)中の電解質を極力なくすことが好ましい。また、脂質の化学的安定性の面から、溶媒(分散媒)のpHを酸性から中性付近(pH3.0〜8.0)に設定することや窒素バブリングにより溶存酸素を除去することが好ましい。
リポソーム組成物に含まれる糖または多価アルコールの濃度は特に限定されないが、リポソームが溶媒に分散した状態において、例えば、糖の濃度は、2〜20%(W/V)が好ましく、5〜10%(W/V)がより好ましい。多価アルコールの濃度は、1〜5%(W/V)が好ましく、2〜2.5%(W/V)がより好ましい。これら溶媒をリポソーム分散液におけるリポソーム外相として用いることもでき、リポソーム準備液のリポソーム外相をこれら溶媒で置換または希釈することで、リポソーム外相の溶液をこれら溶液とすることができる。
リポソーム組成物の固形製剤は、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、イノシトール、リボース、キシロース糖の単糖類、乳糖、ショ糖、セロビオース、トレハロース、マルトース等の二糖類、ラフィノース、メレジノース等の三糖類、シクロデキストリン等の多糖類、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール等の糖アルコールなどの糖を含むことが好ましいが、より好ましくは、グルコース、乳糖、ショ糖、トレハロース、ソルビトールの配合であり、さらに好ましくは、乳糖、ショ糖、トレハロースの配合である。これにより、固形製剤を安定に長期間保存することができる。また、凍結する場合には、固形製剤は、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール(水溶液)を含むことが好ましい。多価アルコール(水溶液)は、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールがより好ましく、グリセリン、プロピレングリコールがさらに好ましい。これにより、固形製剤を安定に長期間保存することができる。糖と多価アルコールとを組み合わせて用いてもよい。
[リポソーム組成物の製造方法]
本発明によると、エリブリンまたはその薬理学的に許容される塩を含有するリポソーム組成物を製造する方法が提供される。リポソーム組成物を製造する方法は、リポソームを含むリポソーム分散液を供するステップと、前記リポソーム分散液と前記活性化合物(エリブリンまたはその薬理学的に許容される塩)とを混合するステップと、前記リポソーム分散液のリポソーム内相に前記活性化合物を導入するステップとを含む方法である。
リポソームを含むリポソーム分散液を供するステップは、リポソーム準備液を供するステップと、前記リポソーム準備液のリポソーム外相を置換または希釈するステップとを含むことが好ましい。
リポソーム準備液は、例えば、アンモニウム塩を含む溶液中でリポソームを調製することで供することができる。アンモニウム塩を含む溶液中でリポソーム準備液を調製することにより、リポソーム内相にアンモニウム塩をさらに含むリポソーム分散液とすることができる。
リポソーム準備液を調製する際のアンモニウム塩を含む溶液は、いずれかのアンモニウム塩を含む溶液であれば特に限定されるものではない。
アンモニウム塩としては、例えば、塩化アンモニウム、ホウ酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、コハク酸アンモニウム、リン酸アンモニウムが挙げられ、好ましくは、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、リン酸アンモニウムであり、より好ましくは、硫酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、酒石酸アンモニウムであり、特に好ましくは、硫酸アンモニウムである。
これらのアンモニウム塩のうち、いずれか2種以上のアンモニウム塩を組み合わせて用いてもよい。
アンモニウム塩を含む溶液におけるアンモニウム塩の濃度は、封入するエリブリン等の量に応じて適宜設定することができるが、高ければ高いほどよく、好ましくは10mM以上であり、より好ましくは20mM以上であり、さらに好ましくは50mM以上である。アンモニウム塩を含む溶液のpHは3〜9とすることが好ましく、封入率と安定性のバランスから、より好ましくは4〜9であり、さらに好ましくは5〜8である。
アンモニウム塩を含む溶液のpH調整のために、pH調整剤を使用することができる。アンモニウム塩を含む溶液中の個々のpH調整剤の濃度は特に限定されないが、好ましくは1〜300mMであり、より好ましくは5〜100mMである。
pH調整剤は、例えば、アルギニン、ヒスチジン、グリシンなどのアミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、コハク酸、クエン酸、グルタミン酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、炭酸、乳酸、ホウ酸、マレイン酸、フマル酸、りんご酸、アジピン酸、塩酸、硫酸などの酸、上記酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などの塩、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、アンモニア水(アンモニア)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性化合物(塩基)等が挙げられる。pH調整剤としては、好ましくは、水酸化ナトリウム、塩酸、アンモニア水、酢酸、乳酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、およびリン酸であり、より好ましくは水酸化ナトリウム、アンモニア水、塩酸、酢酸、クエン酸、およびリン酸であり、さらに好ましくは、水酸化ナトリウム、アンモニア水、塩酸、クエン酸、およびリン酸である。pH調整剤は、いずれか2種以上のアンモニウム塩を組み合わせて用いてもよい。また、pH調整剤として、リン酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液、リン酸塩緩衝化生理食塩液等の緩衝液を用いてもよい。
リポソーム準備液として、実質的にシクロデキストリンを含まずに、リポソームを調製することで得られる溶液を用いることが好適である。また、リポソーム準備液として、リポソーム内相に塩、酸、塩基および/またはアミノ酸をさらに含有していてもよく、この場合、リポソーム内相に、活性化合物、アンモニウム塩、および酸を含有することが好ましい。アンモニウム塩としては、硫酸アンモニウムが好ましい例示として挙げられ、酸としては、クエン酸が好ましい例示として挙げられる。
リポソームの調製は、リピドフィルム法(ボルテックス法、)、逆相蒸発法、超音波法、プレーベジクル法、エタノール注入法、French Press法、コール酸除去法、Triton X−100バッチ法、Ca2+融合法、エーテル注入法、アニーリング法、凍結融解融合法等が挙げられる。
リポソームの調製における各種条件(膜構成成分の量、温度など)は、リポソームの調製方法や目的とするリポソームの組成、粒子径等に応じて適宜設定することができる(前掲、菊池(1983)等参照)。
必要に応じて任意に、リポソームの粒子径を調整することができる。粒子径は、例えば孔径のそろったメンブランフィルターを用いて、高圧力下でイクストルージョン(押し出し濾過)を行うことで調整することができる。粒子径の調整は、本発明のリポソーム組成物の製造における任意のタイミングで行うことができ、例えば、リポソーム準備液におけるリポソーム外相を調整する前、リポソーム準備液におけるリポソーム外相を調整した後、または活性化合物をリポソーム内相へ導入した後に行うことができる。粒子径の調整は、活性化合物をリポソーム内相へ導入する前に行うことが好ましく、リポソーム準備液におけるリポソーム外相を調整する前に行うことがより好ましい。
得られたリポソーム準備液のリポソーム外相を置換または希釈することにより、リポソーム分散液を得ることができる。リポソーム外相の置換または希釈は、1回で行ってもよく、各種置換または希釈する方法を組み合わせて複数回行ってもよい。
リポソーム準備液のリポソーム外相を置換する方法としては、透析、遠心分離、ゲルろ過等の方法が挙げられる。リポソーム外相を置換することで、リポソーム外相にシクロデキストリンあるいはアンモニウム塩を実質的に含まないように本発明を実施することができる。また、リポソーム外相を置換または希釈することにより、リポソーム内相に、効率的に、エリブリンまたはその薬理学的に許容される塩を封入することもできる。
透析は、例えば、透析膜を用いて行うことができる。透析膜としては、セルロースチューブやスペクトラポア等の分子量で分画する膜が挙げられる。
遠心分離は、例えば、遠心加速度が、好ましくは100,000g以上、より好ましくは300,000g以上で実施することができる。遠心によりリポソーム外相を置換することで、リポソーム外相の置換とあわせて、リポソームの濃縮を行うことができる。
ゲルろ過は、例えば、SephadexやSepharose等のカラムを用いて、分子量に基づいて分画することにより実施することができる。
リポソーム外相を置換および/または希釈する際に用いる溶媒(分散媒)としては、例えばショ糖溶液、食塩水、細胞培養用の培地などを挙げることができる。これら溶媒を用いることにより、安定なリポソーム組成物を調製することができる。
当該溶媒のpHは、特に限定されるものではないが、2〜11の範囲で設定でき、好ましくは3〜10、より好ましくは6〜10、さらに好ましくは7〜10である。後述するように、エリブリン等のリポソーム内相への導入にpH勾配を利用することもできる。この場合、リポソーム外相が目的のpHとなるように溶媒のpHを設定することができる。
当該溶媒のpH調整のためにpH調整剤を使用することができる。使用する濃度は特に限定されないが、好ましくは1〜300mM、より好ましくは5〜100mMである。
pH調整剤としては、例えば、アルギニン、ヒスチジン、グリシンなどのアミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、クエン酸、グルタミン酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、炭酸、乳酸、ホウ酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、アジピン酸、塩酸、硫酸などの酸、上記酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などの塩、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性化合物が挙げられ、好ましくは、水酸化ナトリウム、塩酸、ヒスチジン、酒石酸、コハク酸、クエン酸、およびリン酸であり、より好ましくは水酸化ナトリウム、塩酸、ヒスチジン、酒石酸、クエン酸、およびリン酸であり、さらに好ましくは水酸化ナトリウム、塩酸、ヒスチジン、リン酸である。
エリブリンまたはその薬理学的に許容される塩のリポソームへの封入率を改善するために、リポソーム外相に、電解質を含む溶液(塩類溶液)を添加してイオン強度を増大させることにより、封入率を増加させることができる。リポソーム外相に含まれる電解質(塩類)は、特に限定されないが、好ましくは塩化ナトリウム、塩化カリウムであり、より好ましくは塩化ナトリウムである。また、生理食塩水を用いることもできる。また、リポソーム分散液等のリポソーム外相として、糖、電解質、および/またはアミノ酸を含んでいてもよく、糖または電解質と、アミノ酸とを含有していてもよい。糖としては、ショ糖が好ましい例示として挙げられ、電解質としては生理食塩水、塩化ナトリウム等が好ましい例示として挙げられ、アミノ酸としてはヒスチジンが挙げられる。
得られたリポソーム分散液は、リポソーム外相およびリポソーム内相に実質的にシクロデキストリンあるいはアンモニウム塩を含有していないことが好ましいが、本発明においては、何らかの理由でリポソーム分散液のリポソーム外相にシクロデキストリンあるいはアンモニウム塩を添加した場合など、リポソーム分散液が、リポソーム外相にシクロデキストリンあるいはアンモニウム塩を含有していても、エリブリンまたはその薬理学的に許容される塩をリポソーム内相に導入することができる。
リポソーム分散液におけるリポソームの脂質濃度は、1〜100mMであることが好ましく、1〜50mMであることがより好ましい。これらの範囲において、リポソーム分散液の物性を損なうことなく、より多くのリポソーム粒子を好適に形成することができる。
得られたリポソーム分散液とエリブリン等の活性化合物とを混合し、リポソーム分散液のリポソーム内相に活性化合物を導入することで、リポソーム組成物を得ることができる。導入するステップは、リポソーム分散液と活性化合物との混合液におけるリポソームの膜透過性を上げるステップとを含むことが好ましい。これにより、エリブリン等のリポソームへの封入をより短時間に行うことができる。しかしながら、リポソーム分散液とエリブリン等とを混合した後、リポソームの膜透過性を上げるための操作を特に行わなくても、時間をかければエリブリン等をリポソームへ封入することができる。
エリブリンまたはその薬理学的に許容される塩を混合するステップにおいて、エリブリン等として、溶媒に溶解したものや、固体状のものを用いることができる。溶媒は特に限定されるものではなく、例えば、リポソーム分散液におけるリポソーム外相と同じものを用いることができる。
必要に応じて任意に、エリブリン等のリポソーム内相への導入にpH勾配を利用することもできる。この場合、リポソーム分散液におけるリポソーム内相のpHは3〜9が好ましく、4〜9がより好ましく、5〜8がさらに好ましい。
また、リポソーム外相のpHをリポソーム内相のpHよりも高く設定してpH勾配を付与することができる。好ましいpHの勾配は1〜5であり、より好ましくは2〜3である。
さらに、リポソーム外相のpHをエリブリン等のpKa付近により近づけることにより、リポソームへの封入率を高めることができる。好ましくは7.5〜12.5、より好ましくは8.5〜11.5、さらに好ましくは9〜10.5である(メシル酸エリブリンのpKa=9.6)。
リポソーム準備液として、実質的にシクロデキストリンを含まずに、リポソームを調製することで得られる溶液を用いることが好適である。
得られた混合液におけるリポソームの膜透過性を上げる方法として、混合液を加熱する方法、混合液に膜流動化剤を添加する方法等が挙げられる。
混合液を加熱する場合、一般的には、より高い温度に昇温することで、より効率的に活性化合物をリポソーム内相に導入できる。具体的には、活性化合物や用いるリポソーム膜構成成分の熱的安定性を考慮して、昇温する温度を設定することが好ましい。特に、昇温する温度は、リポソームの脂質二重膜の相転移温度以上とすることが好ましい。
リポソームの脂質二重膜の「相転移温度」とは、昇温状態での示差熱分析における吸熱開始温度(吸熱反応が始まった際の温度)を意味する。示差熱分析とは、試料および基準物質の温度を変化させながら、当該試料と基準物質の温度差を時間または温度の関数として測定することで試料の熱特性を分析することができる技術である。リポソームの膜構成成分について示差熱分析を行った場合、温度の上昇につれリポソーム膜成分の流動化が起こり、吸熱反応が観察される。本技術分野において広く知られているように、リポソームの膜成分によって吸熱反応が観察される温度域は大きく変化する。例えばリポソーム膜成分が純粋な脂質で構成される場合、吸熱反応が観察される温度域は非常に狭く、吸熱反応は、吸熱ピーク温度に対して±1℃の範囲内で観察されることが多い。一方で、リポソーム膜成分が複数の脂質で構成される場合、特に天然物由来の脂質で構成される場合など、吸熱反応が観察される温度域が広くなる傾向があり、吸熱反応は、吸熱ピーク温度に対して例えば±5℃の範囲内で観察される(すなわちブロードなピークが観察される)ことがある。本発明において、リポソームの脂質二重膜の相転移温度以上に昇温することで、リポソームの膜流動性が上昇し、活性化合物の膜透過性が上昇すると考えられる。
例えば、活性化合物や用いるリポソーム膜構成成分の熱的安定性等にもよるが、リポソームの脂質二重膜の相転移温度〜相転移温度+20℃の温度範囲であることが好ましく、相転移温度〜相転移温度+10℃の温度範囲であることがより好ましく、相転移温度+5℃〜相転移温度+10℃の温度範囲であることがさらに好ましい。
昇温する温度は通常20〜100℃であり、好ましくは40〜80℃、さらに好ましくは45〜65℃である。
具体的には、ジパルミトイルホスファチジルコリン(単体での相転移温度:41℃)とコレステロールを主体としたリポソーム膜の場合には、その組成にもよるが、一般に昇温温度は、40〜60℃が好ましく、45〜50℃がより好ましい。また、水素添加大豆ホスファチジルコリン(HSPC,単体での相転移温度:50〜60℃)とコレステロールを主体としたリポソーム膜の場合には、その組成にもよるが、一般に昇温温度は、50〜70℃が好ましく、55〜65℃がより好ましい。しかしながら、これら昇温する温度は本発明を何ら限定するものではない。
昇温するステップにおいて、相転移温度以上の温度に維持する時間は特に限定されるものではなく、例えば、数秒〜30分の範囲で適宜設定することが可能であるが、活性化合物や脂質の熱的安定性や、効率的な大量生産を考慮すれば、短時間で処理することが望ましい。すなわち、昇温維持時間は1分〜30分であることが好ましく、2分〜5分であることがより好ましい。しかしながら、これら温度維持の時間は本発明を何ら限定するものではない。
また、上記した通り、得られた混合液に膜流動化剤を添加(すなわち、リポソームの外相側に添加)することでも、リポソームの膜透過性を上げることができる。膜流動化剤として、水系溶媒に可溶な有機溶媒、界面活性剤、酵素等を挙げることができる。より具体的には、有機溶媒として、たとえばエチルアルコール、ベンジルアルコール等の一価アルコール類、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコール類、ジメチルスルホキサイド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒を挙げることができる。界面活性剤として、脂肪酸ナトリウム、モノアルキル硫酸塩、モノアルキルリン酸塩等の陰イオン系界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の陽イオン系面活性剤、アルキルジメチルアミンオキシド等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルモノグリセリルエーテル、脂肪酸ソルビタンエステル等の非イオン性界面活性剤を挙げることができる。酵素として、コリンエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼ等を挙げることができる。当業者であれば、リポソーム膜構成成分の組成、膜流動化剤などに応じて、膜流動化剤の添加による活性化合物の封入の効率化の程度や、リポソームの安定性などを考慮して、膜流動化剤の量を設定することができる。
本発明のリポソーム組成物の製造方法は、前記導入するステップの後に引き続いて、得られたリポソーム組成物のリポソーム外相のpHを調整するステップを含むことができる。
外相の調整するpHは特に限定されないが、リポソームを構成するリン脂質の化学的安定性の観点から、好ましくは4〜10、より好ましくは5〜9、さらに好ましくは6〜8の中性pHである。
また、得られたリポソーム組成物を乾燥させるステップをさらに含むことができる。
すなわち、リポソーム組成物を液剤とする場合、上記導入するステップにより得られた液体状のリポソーム組成物をそのまま最終的なリポソーム組成物とすることができ、または得られた液体状のリポソーム組成物におけるリポソーム外相を調整(置換等)することで最終的なリポソーム組成物とすることができる。この際のリポソーム外相の調整は、リポソーム準備液におけるリポソーム外相の調整と同様に行うことができる。リポソーム組成物が液剤である場合、そのまま使用に供することができる。
また、リポソーム組成物を固形製剤とする場合、上記導入するステップにより得られた液体状のリポソーム組成物を乾燥させることにより最終的な固体状のリポソーム組成物とすることができる。リポソーム組成物を乾燥させる方法としては、凍結乾燥や噴霧乾燥等を挙げることができる。リポソーム組成物が固形製剤の場合、リポソーム組成物は適当な溶媒に溶解または懸濁させることで液剤として使用に供することができる。溶媒は、リポソーム組成物の使用の目的等に応じて適宜設定することができ、例えばリポソーム組成物を注射剤として用いる場合、溶媒は、滅菌蒸留水であることが好ましい。リポソーム組成物を医薬として用いる場合、医者や患者により、例えば固形製剤を封入したバイアルに溶媒を注入することで、このような用時調製を行うことができる。また、液体状のリポソーム組成物を凍結させた固形製剤の場合、凍結状態で保存し、使用時に室温で放置融解または加温による急速融解により液体状に戻すことで液剤として使用に供することができる。
[医薬組成物等]
本発明のリポソーム組成物は、医薬分野において、治療薬として用いることができる。具体的には、本発明のリポソーム組成物は抗腫瘍剤の医薬組成物とし用いることができる。
本発明のリポソーム組成物を医薬組成物として用いる場合、リポソーム組成物は、注射(静注、動注、局所注射)、経口、経鼻、経皮、経肺、点眼により投与することができ、特に静脈注射、皮下注射、皮内注射、動脈内注射の他、標的とする細胞や臓器に対しての局所注射などの注射が好ましい。経口投与する場合のリポソーム組成物の剤形としては、例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤、カプセル剤、内服液剤等を挙げることができる。非経口投与する場合のリポソーム組成物の剤形としては、例えば、注射剤、点滴剤、点眼剤、軟膏剤、座剤、懸濁剤、パップ剤、ローション剤、エアゾール剤、プラスター剤等を挙げることができ、特に注射剤、点滴剤が好ましい。
医薬組成物の投与量は、対象となる疾患の種類、活性化合物の種類、患者の年齢、性別、体重、症状の程度等により著しく異なるが、通常成人1日当たり、エリブリンまたはその薬理学的に許容される塩の投与量は、特に限定されないが、好適な塩であるメシル酸エリブリンは、通常、0.1〜10mgである。また、1日1〜数回にわけて投与することができる。本発明のリポソーム組成物として、リポソーム内相にエリブリンまたはその屋栗毛区的に許容される塩を、例えば、0.01〜300mg/mL含むリポソーム組成物を投与することができる。
[キット]
本発明によるとリポソーム組成物を調製するためのキットが提供される。キットは、医薬としてのリポソーム組成物を調製するために用いることができ、臨床現場で医者や患者自身が使用することができる。
キットは、リポソーム試薬を含む。リポソーム試薬は、固体状または液体状のいずれでもよい。リポソーム試薬が液体状である場合、上記リポソーム分散液をリポソーム試薬とすることができる。また、リポソーム試薬が固体状である場合、リポソーム試薬は、適当な溶媒に溶解または懸濁することでリポソーム分散液を得ることのできる試薬であり、上記リポソーム分散液を乾燥させることでリポソーム試薬を得ることができる。乾燥は、上記リポソーム組成物の乾燥と同様に行うことができる。キットを使用する際は、リポソーム試薬が固体状である場合、リポソーム試薬を適当な溶媒に溶解または懸濁させることでリポソーム分散液とする。この際の溶媒は、上記リポソーム分散液におけるリポソーム外相と同様である。
本発明のキットは、エリブリンまたはその薬理学的に許容される塩(好適な塩としては、メシル酸エリブリン)をさらに含む。エリブリンまたはその薬理学的に許容される塩は、固体状または液体状(溶媒に溶解または懸濁された状態)のいずれでもよい。キットを使用する際は、エリブリン等が固体状である場合、エリブリン等を適当な溶媒に溶解または懸濁させ、液体状とすることが好ましい。溶媒は、エリブリン等の物性等に応じて適宜設定することができ、例えば上記リポソーム分散液におけるリポソーム外相と同様とすることができる。本発明のキットには、エリブリンまたはその薬理学的に許容される塩以外の活性化合物を含んでいてもよい。
キットにおいて、リポソーム試薬と活性化合物は、別個に包装されていてもよく、または、リポソーム試薬と活性化合物は、それぞれ固体状であり、混合されていてもよい。
リポソーム試薬が固体状である場合に、上記した通り溶解または懸濁させることでリポソーム分散液とすることを除けば、キットは、上記リポソーム組成物の製造方法における、リポソーム分散液と活性化合物との混合、およびリポソーム分散液のリポソーム内相への活性化合物の導入と同様のステップを行うことで使用することができる。これにより、リポソーム試薬のリポソーム内相へ活性化合物が導入されたリポソーム組成物を製造することができる。
リポソーム試薬と活性化合物が、それぞれ固体状であり、一緒に包装されている場合には、このリポソーム試薬と活性化合物との混合物を適当な溶媒に溶解または懸濁させる。この際の溶媒は、上記リポソーム分散液におけるリポソーム外相と同様である。これにより、リポソーム分散液と活性化合物とを混合した状態とすることができ、その後、上記リポソーム組成物の製造方法における、リポソーム分散液のリポソーム内相への活性化合物の導入におけるその他のステップを行うことで使用することができる。
本発明を実施例および比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
<リポソーム内相用水溶液の調製>
硫酸アンモニウム396.4mgおよびクエン酸一水和物189.1mgを純水で溶解し、15mLにメスアップすることで200mM 硫酸アンモニウム/60mM クエン酸水溶液を作成した。リポソーム内相用水溶液は200mM 硫酸アンモニウム/60mM クエン酸水溶液2.5mLをアンモニア水でpH5.5に調整後、純水を用いて5mLにメスアップすることにより調製した。
<リポソーム準備液の調製>
水素添加大豆ホスファチジルコリン(Lipoid社製)317.9mg、コレステロール(Sigma社製)116.0mgおよびポリエチレングリコール2000−ホスファチジルエタノールアミン(Genzyme社製、MPEG2000−ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン)130.4mgをクロロホルム10mLに溶解した後に正確に3本に分注し、そのうちの1本をロータリーエバポレーターでクロロホルムを減圧留去し、リピッドフィルムを作成した。得られたリピッドフィルムに、リポソーム内相用水溶液5mLを約60℃に加温して添加し、撹拌してリポソーム準備液を調製した。このリポソーム準備液を20分間超音波処理した後に、約65℃に加温したエクストルーダー(Lipex Biomembranes社製)を用いて整粒し、リポソーム準備液を得た。得られたリポソーム準備液中のリポソームの粒子径を動的光散乱法で測定したところ、いずれも90〜100nmであった。
<リポソーム分散液の調製>
Sephadex G−50カラムを用い、得られたリポソーム準備液を0.9%塩化ナトリウム/10mM ヒスチジン水溶液(pH=7.6)で溶出することで、リポソーム外相を0.9%塩化ナトリウム/10mM ヒスチジン水溶液へと置換した。リポソーム外相を置換した後、400,000×gで30分間遠心した。遠心後、再分散し、0.9%塩化ナトリウム/10mM ヒスチジン水溶液を用いて液量を5mLに調整し、リポソーム分散液を得た。
<活性化合物溶液の調製>
メシル酸エリブリンを0.9%塩化ナトリウム/10mM ヒスチジン水溶液で溶解し、1mg/mLのメシル酸エリブリン溶液を得た。
<リポソーム組成物の調製>
10mLのガラス容器中、0.5mLのリポソーム分散液と0.5mLのメシル酸エリブリン溶液を混合し、55℃の水浴中で3分間インキュベートすることにより、リポソーム内にメシル酸エリブリンが導入されたリポソーム組成物を得た。
<封入率の測定>
封入率は、以下のようにして求めた。
活性化合物が封入されたリポソーム組成物を400,000×gで30分間超遠心した。上清中の活性化合物濃度をHPLCで測定することで、リポソームに未封入の活性化合物量を定量した。封入率を下記式により計算した。
メシル酸エリブリンの封入率は、90.9%であった。
[実施例2]
<リポソーム内相用水溶液の調製>
実施例1と同様にして、硫酸アンモニウム264.3mgおよびクエン酸一水和物126.1mgを純水で溶解し、メスフラスコを用いて10mLにメスアップすることで200mM 硫酸アンモニウム/60mM クエン酸水溶液を作成した。そのうち1mLを量り取り、アンモニア水でpHを5.5に調整後、純水で2mLにメスアップすることによりリポソーム内相用水溶液を調製した。
<リポソーム準備液の調製>
脂質混合物(水素添加大豆ホスファチジルコリン:コレステロール:ポリエチレングリコール2000−ホスファチジルエタノールアミン=58.6:19.2:22.2(重量比))を80mgずつ秤量し、リポソーム内相用水溶液2mLを約80℃に加温して添加し、撹拌してリポソーム準備液を調製した。このリポソーム準備液を約80℃に加温したエクストルーダー(Lipex Biomembranes社製)を用いて整粒し、リポソーム準備液を得た。
<リポソーム分散液の調製>
得られたリポソーム準備液を0.9%塩化ナトリウム/10mM ヒスチジン水溶液(pH=7.6)で10mLにメスアップし、400,000×gで30分間遠心した。遠心後、上清を全て廃棄した。沈殿を0.9%塩化ナトリウム/10mM ヒスチジン水溶液で再分散し、メスフラスコを用いて液量を1mLに調整し、リポソーム分散液を得た。
<薬物溶液の調製>
メシル酸エリブリン(メシル酸エリブリン)を0.9% 塩化ナトリウム/10mM ヒスチジン水溶液で溶解し、5mg/mLのメシル酸エリブリン溶液を得た。
<リポソーム組成物の調製>
10mLのガラス容器中、0.96mLのリポソーム分散液と0.24mLのメシル酸エリブリン溶液を混合し、60℃の水浴中で3分間インキュベートすることにより、リポソーム内にメシル酸エリブリンが導入されたリポソーム組成物を得た。
<ラット血漿中での安定性>
調製したメシル酸エリブリン封入リポソーム0.2mLとラット血漿1.8mLを混合し、液相インキュベーターを用いて37℃で振盪した。調製直後、振盪開始6時間後、12時間後、24時間後、48時間後、72時間後にサンプリングを行い、メシル酸エリブリンのリポソーム内残存量をHPLCで測定した。
測定結果を図1に示す。図1からわかるように血漿中でも120時間という長期間に亘ってメシル酸エリブリンを安定に保持し、徐放することが可能であることが示された。
[実施例3]
<リポソーム内相用水溶液の調製>
硫酸アンモニウム264.3mgおよびクエン酸一水和物126.1mgを純水で溶解し、約15mLにした。水酸化ナトリウム水溶液でpHを7.0に調整後、純水で20mLにメスアップすることによりリポソーム内相用水溶液(100mM硫酸アンモニウム/30mMクエン酸)を調製した。
<リポソーム準備液の調製>
脂質混合物(水素添加大豆ホスファチジルコリン:コレステロール:ポリエチレングリコール2000−ホスファチジルエタノールアミン=58.6:19.2:22.2(重量比))を378mg秤量し、上記リポソーム内相用水溶液10mLを約80℃に加温して添加し、撹拌してリポソーム準備液を調製した。50nmのポリカーボネートメンブレンフィルターを装着し約80℃に加温したエクストルーダー(Lipex Biomembranes社製)でリポソーム準備液を整粒し、粒子径約80nmのリポソーム準備液を得た。
<リポソーム分散液の調製>
Sephadex G−50カラムを用い、得られたリポソーム準備液を0.9%塩化ナトリウム/10mMヒスチジン水溶液(pH=7.6)で溶出することで、リポソーム外相を0.9%塩化ナトリウム/10mMヒスチジン水溶液へと置換した。リポソーム外相を置換した後、約400,000×gで30分間遠心した。遠心後、96mg/mLスクロース/10mMヒスチジン水溶液(pH=7.6)で再分散し、液量を10mLにメスアップすることでリポソーム分散液を得た。
<薬物溶液の調製>
メシル酸エリブリンを96mg/mLスクロース/10mM ヒスチジン水溶液(pH=7.6)で溶解し、5mg/mLのメシル酸エリブリン溶液を得た。
<リポソーム組成物の調製>
10mLのガラス容器中、9.6mLのリポソーム分散液と1.2mLのメシル酸エリブリン溶液を混合し、水酸化ナトリウムを用いてpHを9.5に調整した。60℃の水浴中で3分間インキュベートすることにより、リポソーム内にメシル酸エリブリンが導入されたリポソーム組成物を得た。冷却後、塩酸を用いてpHを7.5に調整した。実施例1と同様にして封入率を測定したところ、封入率は99%であった。
[実施例4]
<リポソーム内相用水溶液の調製>
実施例1と同様にして、100mM 硫酸アンモニウム/30mM クエン酸水溶液(pH=5.5)を調製した。
<リポソーム準備液の調製>
水素添加大豆ホスファチジルコリンおよびコレステロールおよびポリエチレングリコール2000−ホスファチジルエタノールアミンを以下の表1に記載の量だけそれぞれ秤量した。それぞれクロロホルム3mLに溶解した後にロータリーエバポレーターでクロロホルムを減圧留去し、リピッドフィルムを作成した。得られたリピッドフィルムに、作成したリポソーム内相用水溶液10mLを約80℃に加温して添加し、撹拌してリポソーム準備液を調製した。約80℃に加温したエクストルーダー(Lipex Biomembranes社製)を用いて整粒し、整粒したリポソーム準備液を得た。得られたリポソーム準備液中のリポソームの粒子径を動的光散乱法で測定したところ、Rp.1は77nm、Rp.2は95nm、Rp.3は79nm、Rp.4は128nmであった。
<リポソーム組成物の調製>
実施例1と同様にして、リポソーム分散液を得た。また、メシル酸エリブリンを0.9% 塩化ナトリウム/10mM ヒスチジン水溶液で溶解し、5mg/mLのメシル酸エリブリン溶液を得た。
10mLのガラス容器中、4.8mLの各リポソーム分散液と0.6mLのメシル酸エリブリン溶液をそれぞれ混合し、60℃の水浴中で3分間インキュベートすることにより、リポソーム内にメシル酸エリブリンが導入されたリポソーム組成物を得た。それぞれのリポソーム組成物に24.6mLの0.9% 塩化ナトリウム/10mM ヒスチジン水溶液を添加し、0.22μmのポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルターを用いて濾過滅菌することで、投与検体(メシル酸エリブリン濃度:0.1mg/mL)を得た。
実施例1と同様にして、封入率を測定し、いずれの処方においても90%以上であることを確認した。
雌性ヌードマウス(NU/NU、日本チャールズ・リバー株式会社)にヒトメラノーマLOX細胞を皮下に接種し,11日後または12日後に検体を10mL/kg(メシル酸エリブリンとして1.0mg/kg)となるように尾静脈内投与した.投与後一定時間(15分,30分,1,2,4,8,12,24,36,48時間)経過後に心穿刺による血液採取と腫瘍組織の摘出を実施した(n=3).血液はヘパリンを含む試験管に取り,採取後30分以内4℃で10分間1,500×gで遠心分離して血漿を得た.腫瘍は全組織を摘出してPBSで洗浄し,吸水紙でふき取った後にただちに組織重量を測定・記録した.組織を試験管に入れて氷水中で冷却した後,分析操作までは−80℃で保存した.
血漿中および腫瘍組織中のメシル酸エリブリンはLC/MS/MSを用いて測定した。
PKパラメーターはnon−compartment model解析ソフトウェア(WinNonlin v.5.0.1)を用いて算出した。メシル酸エリブリンの血漿PKパラメーターおよび腫瘍組織PKパラメーターの結果を、それぞれ表2および表3に示す。
表2および表3から、Rp.1〜4の全てのリポソーム組成物において、フリーのメシル酸エリブリンと比較して血漿および腫瘍組織のAUCが増大していることから、メシル酸エリブリンの腫瘍移行量および滞留性が向上していた。
[実施例5]
<リポソーム内相用水溶液の調製>
実施例1と同様に、100mM 硫酸アンモニウム/30mM クエン酸水溶液(pH=5.5)を調製した。
<リポソーム準備液の調製>
水素添加大豆ホスファチジルコリン221.8mgおよびコレステロール72.5mgおよびポリエチレングリコール2000−ホスファチジルエタノールアミン86.9mgを秤量した。クロロホルム3mLに溶解した後にロータリーエバポレーターでクロロホルムを減圧留去し、リピッドフィルムを作成した。得られたリピッドフィルムに、作成したリポソーム内相用水溶液10mLを約80℃に加温して添加し、撹拌してリポソーム準備液を調製した。約80℃に加温したエクストルーダー(Lipex Biomembranes社製)を用いて整粒し、整粒したリポソーム準備液を得た。得られたリポソーム準備液中のリポソームの粒子径を動的光散乱法で測定したところ、約90nmであった。
<リポソーム分散液の調製>
Sephadex G−50カラムを用い、得られたリポソーム準備液を0.9%塩化ナトリウム/10mMヒスチジン水溶液(pH=7.6)で溶出することで、リポソーム外相を0.9%塩化ナトリウム/10mMヒスチジン水溶液へと置換した。リポソーム外相を置換した後、400,000×gで30分間遠心した。遠心後、再分散し、0.9%塩化ナトリウム/10mMヒスチジン水溶液を用いて液量を10mLに調整し、リポソーム分散液を得た。
<薬物溶液の調製>
メシル酸エリブリンを0.9% 塩化ナトリウム/10mM ヒスチジン水溶液で溶解し、1mg/mLのメシル酸エリブリン溶液を得た。また、フリー体の投与検体として、0.9% 塩化ナトリウム/10mM ヒスチジン水溶液でメシル酸エリブリン溶液を希釈し、0.22μmのPVDFフィルターを用いて濾過滅菌することで、投与検体(メシル酸エリブリン濃度:0.3mg/mLおよび0.4mg/mL)を得た。
<リポソーム組成物の調製>
10mLのガラス容器中、1.8mLのリポソーム分散液と1.2mLのメシル酸エリブリン溶液をそれぞれ混合し、60℃の水浴中で3分間インキュベートすることにより、リポソーム内にメシル酸エリブリンが導入されたリポソーム組成物を得た。得られたリポソーム組成物を0.9% 塩化ナトリウム/10mM ヒスチジン水溶液で希釈し、0.22μmのPVDFフィルターを用いて濾過滅菌することで、投与検体(メシル酸エリブリン濃度:0.2mg/mL)を得た。実施例1と同様にして、封入率を測定し、90%以上であることを確認した。
ヒト咽頭扁平上皮癌細胞株であるFaDu(American Type Culture Collectionより入手)を10%ウシ胎児血清含有MEM培地で培養し、増殖させた。細胞を0.05%Trypsin−EDTA溶液を用いてフラスコより遊離させ回収した。PBSで洗浄後、PBSにて5×10個/mLになるように懸濁し、氷上で保持した。6週齢のヌードマウス(日本チャールス・リバー株式会社)の右腹側部へ、1匹あたり0.1mLの細胞懸濁液を皮下注射した。各々のマウスを毎日観察し、状態異常が発見された場合には適宜記録を行った。腫瘍の大きさを経時的にノギスを用いて測定し、腫瘍の大きさを、計算式:長径×(短径の2乗)÷2に基づき算出した。腫瘍の大きさが100〜200mmになった時点で、各試験群間での腫瘍の大きさおよびマウスの体重の平均値が均一になるように群分けを行い(各試験群のマウス数は5匹)、薬物の尾静脈内投与(0.2mL/20g;7日間隔で3回)を行った。
検体投与後の平均腫瘍体積の推移結果を図2に示す。
図2に示すように、FaDuは、メシル酸エリブリンに感受性の低い細胞株であるため、フリー体では最大耐用量である4mg/kg投与でも腫瘍縮小効果は得られなかった。一方、リポソーム組成物の場合には、最大耐用量以下である2mg/kg投与でも腫瘍縮小効果が明確に認められ、これまでメシル酸エリブリンが奏功しなかった癌種に対しても非常に高い薬理効果が得られることが示された。
[実施例6]
<リポソーム内相用水溶液の調製>
実施例1と同様に、100mM 硫酸アンモニウム/30mM クエン酸水溶液(pH=5.5)を調製した。
<薬物溶液の調製>
実施例5と同様に実施し、フリー体の投与検体(メシル酸エリブリン濃度:0.2mg/mLおよび0.3mg/mLおよび0.4mg/mL)を得た。
<リポソーム組成物の調製>
上述のように作製したリポソーム内相溶水溶液を用いた以外は実施例5と同様にして、リポソーム組成物(メシル酸エリブリン濃度:0.3mg/mL)を得た。実施例1と同様にして、封入率を測定し、90%以上であることを確認した。
ヒト腎癌細胞株であるACHN(American Type Culture Collectionより入手)を10%ウシ胎児血清含有MEM培地で培養し、増殖させた。細胞を0.05%Trypsin−EDTA溶液を用いてフラスコより遊離させ回収した。PBSで洗浄後、PBSにて5×10個/mLになるように懸濁し、氷上で保持した。6週齢のヌードマウス(日本チャールス・リバー株式会社)の右腹側部へ、1匹あたり0.1mLの細胞懸濁液を皮下注射した。各々のマウスを毎日観察し、状態異常が発見された場合には適宜記録を行った。腫瘍の大きさを経時的にノギスを用いて測定し、腫瘍の大きさを、計算式:長径×(短径の2乗)÷2に基づき算出した。腫瘍の大きさが150〜200mmになった時点で、各試験群間での腫瘍の大きさおよびマウスの体重の平均値が均一になるように群分けを行い(各試験群のマウス数は5匹)、薬物の尾静脈内投与(0.2mL/20g;7日間隔で3回)を行った。
検体投与後の平均腫瘍体積の推移結果を図3に示す。
図3に示すように、ACHNは、メシル酸エリブリンに耐性のある細胞株であるため、フリー体投与では2mg/kg投与群、3mg/kg投与群、および4mg/kg(最大耐用量)投与群のいずれにおいても検体投与開始45日後において無処置群との有意な差は認められなかった。一方、リポソーム組成物3mg/kg投与群においては腫瘍増殖抑制効果が認められ、検体投与開始45日後において無処置群およびフリー体投与群に対し有意に小さい腫瘍体積値を示した。このようにこれまでのメシル酸エリブリンではまったく治療効果が得られないような癌種に対してもリポソーム製剤化することで、腫瘍の増殖を遅延させることが可能となることが示された。
[実施例7]
<リポソーム内相用水溶液の調製>
以下の表4に示す12種類の内相用水溶液を作成した。
<リポソーム準備液の調製>
脂質混合物(水素添加大豆ホスファチジルコリン:コレステロール:ポリエチレングリコール2000−ホスファチジルエタノールアミン=58.6:19.2:22.2(重量比))を120mgずつ試験管に秤量し、80℃に加温した各内相用水溶液3mLで水和した。
このリポソーム準備液を約80℃に加温したエクストルーダーを用いて整粒し、リポソーム準備液を得た。
<リポソーム分散液の調製>
Sephadex G−50カラムを用い、得られたリポソーム準備液を0.9%塩化ナトリウム/10mM ヒスチジン水溶液で溶出することで、リポソーム外相を0.9%塩化ナトリウム/10mM ヒスチジン水溶液へ置換した。
リポソーム外相を置換した後、400,000×gで1時間遠心し、上清を完全に除去した。沈殿物を96mg/mLスクロース/10mM ヒスチジン水溶液(pH=7.5)で約2mLとなるように再懸濁した。
得られたリポソーム分散液の粒子径を動的光散乱法で測定したところ、いずれも約80nmであった。
<薬物溶液の調製>
メシル酸エリブリンを96mg/mLスクロース/10mM ヒスチジン水溶液で溶解し、5mg/mLのメシル酸エリブリン溶液を得た。
<リポソーム組成物の調製>
10mLのガラス容器中、リポソーム分散液とメシル酸エリブリン溶液をメシル酸エリブリン:0.2mg/mL,総脂質濃度:16μmol/mLとなるように混合した。60℃で5分間昇温し、リポソーム内にメシル酸エリブリンが導入されたリポソーム組成物を得た。
<封入率の測定>
封入率は、実施例1と同様にして測定した。結果を表4に示す。表4から分かるとおり、いずれのアンモニウム塩を内相に用いた場合でもメシル酸エリブリンの封入率が向上することが明らかとなった。特に硫酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酒石酸アンモニウムを用いた際に顕著に封入率が向上した。
[実施例8]
<リポソーム内相用水溶液の調製>
実施例7と同様にして、100mM 硫酸アンモニウム/30mM クエン酸水溶液(pH=7.5)のリポソーム内相用水溶液を調製した。
<リポソーム準備液の調製>
上記リポソーム内相用水溶液を用いて実施例7と同様にリポソーム準備液を調製した。
<リポソーム分散液の調製>
Sephadex G−50カラムを用い、得られたリポソーム準備液を0.9%塩化ナトリウム/10mM ヒスチジン水溶液で溶出することで、リポソーム外相を0.9%塩化ナトリウム/10mM ヒスチジン水溶液へ置換した。
リポソーム外相を置換した後、400,000×gで1時間遠心し、上清を完全に除去した。沈殿物を96mg/mL/10mM ヒスチジン水溶液(pH=7.5)で再懸濁し、リポソーム外相を96mg/mLスクロース/10mM ヒスチジン水溶液(pH=7.5)に置換し、リポソーム分散液を得た。得られたリポソーム分散液の粒子径を動的光散乱法で測定したところ、約80nmであった。
リポソーム分散液を7本に分注し、既知量の硫酸アンモニウム(水酸化ナトリウム水溶液によりpHを7.5に調整済)を表5の各濃度になるようにリポソーム外相にそれぞれ添加し、リポソーム外相中に硫酸アンモニウムが既知濃度存在するリポソーム分散液を得た。
<薬物溶液の調製>
メシル酸エリブリンを96mg/mLスクロース/10mM ヒスチジン水溶液で溶解し、5mg/mLのメシル酸エリブリン溶液を得た。
<リポソーム組成物の調製>
10mLのガラス容器中、リポソーム分散液とメシル酸エリブリン溶液をメシル酸エリブリン:0.2mg/mL,総脂質濃度:16mMとなるように混合した。60℃で5分間昇温し、リポソーム内にメシル酸エリブリンが導入されたリポソーム組成物を得た。
<封入率の測定>
封入率は、実施例1と同様にして測定した。結果を表5に示す。リポソーム外相中に硫酸アンモニウムが0.4mM存在するだけで封入率は顕著に低下し、10mM存在するとほとんど封入されないことが示された。
[実施例9]
<リポソーム内相用水溶液の調製>
実施例7と同様にして、100mM 硫酸アンモニウム/30mM クエン酸水溶液(pH=7.5)のリポソーム内相用水溶液を調製した。
<リポソーム準備液の調製>
上記リポソーム内相用水溶液を用いて実施例7と同様にリポソーム準備液を調製した。
<リポソーム分散液の調製>
Sephadex G−50カラムを用い、得られたリポソーム準備液を0.9%塩化ナトリウム/10mM ヒスチジン水溶液で溶出することで、リポソーム外相を0.9%塩化ナトリウム/10mM ヒスチジン水溶液へ置換した。
リポソーム外相を置換した後、400,000×gで1時間遠心し、上清を完全に除去した。沈殿物を96mg/mLスクロース/10mM ヒスチジン水溶液(pH=7.5)で再懸濁し、リポソーム外相を96mg/mLスクロース/10mM ヒスチジン水溶液(pH=7.5)に置換し、リポソーム分散液を得た。得られたリポソーム分散液の粒子径を動的光散乱法で測定したところ、約80nmであった。
その後、リポソーム分散液を7本に分注した。
<薬物溶液の調製>
メシル酸エリブリンを96mg/mLスクロース/10mM ヒスチジン水溶液で溶解し、5mg/mLのメシル酸エリブリン溶液を得た。
<リポソーム組成物の調製>
10mLのガラス容器中、リポソーム分散液とメシル酸エリブリン溶液をメシル酸エリブリン:0.2mg/mL,総脂質濃度:16mMとなるようにそれぞれ混合した。1M 水酸化ナトリウム水溶液を用いて表6に示すようにそれぞれリポソーム外相のpHを調整した。60℃で5分間昇温し、リポソーム内にメシル酸エリブリンが導入されたリポソーム組成物を得た。次いで、塩酸を用いて外相のpHを7.5に調整した。
<封入率の測定>
封入率は、実施例1と同様にして測定した。結果を表6に示す。リポソーム外相のpHの上昇に伴いエリブリンの封入率は大幅に向上し、ほぼ100%の封入率を達成した。
[実施例10]
<リポソーム内相用水溶液の調製>
実施例7と同様にして、100mM 硫酸アンモニウム/30mM クエン酸水溶液(pH=7.5)のリポソーム内相用水溶液を調製した。
<リポソーム準備液の調製>
上記リポソーム内相用水溶液を用いて実施例7と同様にリポソーム準備液を調製した。
<リポソーム分散液の調製>
Sephadex G−50カラムを用い、得られたリポソーム準備液を0.9%塩化ナトリウム/10mM ヒスチジン水溶液で溶出することで、リポソーム外相を0.9%塩化ナトリウム/10mM ヒスチジン水溶液へ置換した。
リポソーム分散液を4本に分注し、400,000×gで1時間遠心し、上清を完全に除去した。そのうち2本の沈殿物は96mg/mLスクロース/10mM ヒスチジン水溶液(pH=7.5)で再懸濁し、リポソーム外相を96mg/mLスクロース/10mM ヒスチジン水溶液(pH=7.5)に置換した。残りの2本の沈殿物は0.9%塩化ナトリウム/10mM ヒスチジン水溶液(pH=7.5)で再懸濁し、リポソーム外相を0.9%塩化ナトリウム/10mM ヒスチジン水溶液(pH=7.5)に置換した。得られたリポソーム分散液の粒子径を動的光散乱法で測定したところ、いずれも約80nmであった。
<薬物溶液の調製>
メシル酸エリブリンを96mg/mLスクロース/10mM ヒスチジン水溶液で溶解し、5mg/mLのメシル酸エリブリン溶液を得た。また、同様にメシル酸エリブリンを0.9%塩化ナトリウム/10mM ヒスチジン水溶液で溶解し、5mg/mLのメシル酸エリブリン溶液を得た。
<リポソーム組成物の調製>
10mLのガラス容器中、リポソーム分散液とメシル酸エリブリン溶液をメシル酸エリブリン:0.2mg/mL,総脂質濃度:16mMとなるようにそれぞれ混合した。リポソーム外相が96mg/mLスクロース/10mM ヒスチジン水溶液(pH=7.5)の2本のうち1本のリポソーム外相のpHを水酸化ナトリウムの添加により9.5に調整した。同様に、リポソーム外相が0.9%塩化ナトリウム/10mM ヒスチジン水溶液(pH=7.5)の2本のうち1本のリポソーム外相のpHを水酸化ナトリウムの添加により9.5に調整した。60℃で5分間昇温し、リポソーム内にメシル酸エリブリンが導入されたリポソーム組成物を得た。
<封入率の測定>
封入率は、実施例1と同様にして測定した。結果を表7に示す。リポソーム外相が非電解質であるスクロースの場合と比べ、電解質である塩化ナトリウムの場合では非常に高い封入率が得られることが明らかとなった。また、電解質の効果に加え、リポソーム外相をアルカリにするpH勾配を適用することで100%の封入率を達成した。
本出願は、2009年3月30日出願の日本特許出願(特願2009−082521号)および米国特許仮出願(61/164653)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明は、活性化合物の保持安定性が高いリポソームを高い封入率で製造する方法を提供することができる。
本発明のリポソーム組成物は、エリブリンまたはその薬理学的に許容される塩の薬理作用により治療用途に用いることが好適である。

Claims (23)

  1. リポソームを含み、リポソーム内相に、(1)エリブリンまたはその薬理学的に許容される塩、(2)少なくとも1つのアンモニウム塩、および(3)塩、酸、塩基および/またはアミノ酸を含むリポソーム組成物。
  2. リポソーム内相の(2)のアンモニウム塩が硫酸アンモニウム、クエン酸アンモニウムまたは酒石酸アンモニウムである、請求項1に記載のリポソーム組成物。
  3. リポソーム内相の(2)のアンモニウム塩が硫酸アンモニウムである、請求項1に記載のリポソーム組成物。
  4. リポソーム内相の(3)塩、酸、塩基および/またはアミノ酸が、アルギニン、ヒスチジン、グリシン、酸、上記酸のナトリウム塩、上記酸のカリウム塩、上記酸のアンモニウム塩、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、アンモニア水(アンモニア)、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
    上記酸が、アスコルビン酸、安息香酸、コハク酸、クエン酸、グルタミン酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、炭酸、乳酸、ホウ酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、アジピン酸、塩酸および硫酸からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリポソーム組成物。
  5. リポソーム内相の(3)塩、酸、塩基および/またはアミノ酸が、アルギニン、ヒスチジン、グリシン、酸、上記酸のナトリウム塩、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、アンモニア水(アンモニア)および水酸化ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
    上記酸が、アスコルビン酸、安息香酸、コハク酸、クエン酸、グルタミン酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、炭酸、乳酸、ホウ酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、アジピン酸、塩酸および硫酸からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリポソーム組成物。
  6. リポソーム内相の(3)塩、酸、塩基および/またはアミノ酸が、塩酸、酢酸、乳酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸およびリン酸ならびにそれらのナトリウム塩、水酸化ナトリウムおよびアンモニア水(アンモニア)からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリポソーム組成物。
  7. リポソーム内相の(3)塩、酸、塩基および/またはアミノ酸が、酢酸、乳酸、酒石酸、クエン酸およびリン酸ならびにそれらのナトリウム塩、水酸化ナトリウムおよびアンモニア水(アンモニア)からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリポソーム組成物。
  8. リポソーム内相の(3)塩、酸、塩基および/またはアミノ酸が、クエン酸および/またはそのナトリウム塩である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリポソーム組成物。
  9. リポソーム内相の(1)エリブリンまたはその薬理学的に許容される塩がメシル酸エリブリンである、請求項1〜のいずれか一項に記載のリポソーム組成物。
  10. リポソームが水素添加ホスファチジルコリン、コレステロール、およびジステアロイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコール縮合体を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載のリポソーム組成物。
  11. リポソームが水素添加大豆ホスファチジルコリン、コレステロール、およびポリエチレングリコール2000−ホスフアチジルエタノールアミンを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載のリポソーム組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のリポソーム組成物を製造する方法であって、リポソームを含リポソーム内相に、(2)少なくとも1つのアンモニウム塩、および(3)塩、酸、塩基および/またはアミノ酸を含むリポソーム分散液を供するステップと、
    前記リポソーム分散液と(1)エリブリンまたはその薬理学的に許容される塩とを混合するステップと、
    前記リポソーム分散液のリポソーム内相にエリブリンまたはその薬理学的に許容される塩を導入するステップと
    を含む方法。
  13. 前記リポソーム分散液のリポソーム外相のpHが3〜10である、請求項12に記載の方法。
  14. 前記リポソーム分散液のリポソーム外相のpHが7〜10である、請求項12または13に記載の方法。
  15. 前記pHが、前記リポソーム分散液と前記活性化合物とを混合するステップにおける前記リポソーム分酸液のリポソーム外相のpHである、請求項13または14に記載の方法。
  16. 前記リポソーム分散液を供するステップが、リポソームを含み、リポソーム内相およびリポソーム外相にアンモニウム塩を含むリポソーム準備液を供するステップと、
    前記リポソーム準備液のリポソーム外相を置換または希釈するステップと
    を含む、請求項1215のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記リポソーム外相を置換または希釈するステップが、リポソーム外相のpHをリポソーム内相のpHより高くするステップである、請求項16に記戯の方法。
  18. 前記リポソーム外相を置換または希釈するステップが、リポソーム内相のpHとリポソーム外相のpHの差を1〜5とするステップである、請求項16または17に記載の方法。
  19. 前記リポソーム内相のpHが3〜9である、請求項1218のいずれか一項に記戦の方法。
  20. 前記リポソーム内相のpHが4〜9である、請求項1219のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記リポソーム内相のpHが5〜8である、請求項1220のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記活性化合物を導入するステップにおいて、リポソーム外相が電解質を含む溶液である、請求項1221のいずれか一項に記載の方法。
  23. リポソーム外相のpHを中性にするステップをさらに含む、請求項1222のいずれか一項に記載の方法。
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