JP5551468B2 - 歯科用支台築造導光性ファイバー入りファイバーポスト、およびそれを含む歯科治療用キット - Google Patents

歯科用支台築造導光性ファイバー入りファイバーポスト、およびそれを含む歯科治療用キット Download PDF

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本発明は、歯科用光硬化性組成物に埋入されることにより当該組成物の光硬化効率の向上を可能とする導光性ファイバー入りファイバーポストおよびそれを用いたキットに関する。さらに詳しくは、光硬化型コンポジットレジン、根管内充填用光硬化性組成物、支台歯用光硬化性組成物、歯質や金属やセラミックスなどへの接着性組成物、硬質レジン、床用レジンなどで代表される歯科用光硬化性組成物に埋入される、ガッタパーチャーポイントや銀ポイントなどの根管充填用ポイントあるいは金属ポイントやファイバーポストなどの支台築造用ポスト材の代替品として好適に用いられる導光性ファイバー入りファイバーポストならびにそのキットに関する。つまり、光重合硬化を含む歯科用硬化性組成物とそれに組み合わせが好適な導光性ファイバー入りファイバーポストならびにそのキットに関する。
光を照射することによって重合硬化する歯科用光硬化性組成物は、口腔内で作業時間がとれ、作業を光照射することによって完了させることができるため、有用性が高い。このような光照射は歯牙の上部構造部に相当する歯列の上からおこなわれるので、歯牙解剖学構造上、光が届き難い深さであって、解剖学的に光が到達できないかあるいは到達が困難な部位に対して適用される材料として、根管充填シーラー、ガッターパーチャーポイント、支台築造用ポスト材(ファイバーポスト等)などがある。しかしながら、これらの材料には、口腔内での作業を考慮して硬化時間を長くすると、硬化前の成分が比較的長い時間にわたって生体組織に接触するために、生体安全性が損なわれる場合がある。反面、生体安全性を最小限にすべく硬化時間を短くすると作業時間が短くなるために、的確な治療が難しくなるという問題があった。
具体的な一例として、たとえば、無髄歯(神経を除去した歯)の支台築造には、負荷される力が強いために金属鋳造ポストやコアと接着材を用いて歯根部分と歯冠部分の補強を図ってきた。しかしながら、審美性の欠如や歯根破折を招く可能性があるので、金属に代えて歯牙の色合いと同じ調色にした硬化性組成物およびファイバー繊維を束ね硬化させたファイバーポストを適用する方法がある。なかでも、口腔内で作業するので治療時間がかかるため、光を照射することによって重合硬化する歯科用光硬化性組成物が非常に高い有用性を有するとされている。たとえば、前述の根管充填シーラー、ガッターパーチャーポイント、支台築造用ポスト材(ファイバーポスト等)がある。その場合、光硬化性組成物を填入することができないので、やむを得ず自己硬化型の硬化性組成物を適用している。その結果、十分に作業が完了しないうちに硬化してしまうために満足のいく治療ができない場合があった。
このような問題を解決するための方法が提案されており、特許文献1において、導光性ファイバーの先端を、光重合性組成物を充填した窩洞の底面近くまで埋入し、窩洞の底部から表層方向へ光重合組成物を重合硬化させる方法が提案されている。しかしながら、これは、導光性ファイバーと光照射器を物理的に接続することを要するので取扱が煩雑である問題点を有し、また、導光性ファイバー先端部から照射される光照射方向とは反対方向である表層部に向かって光重合性組成物を硬化させるので硬化が不十分な場合がある。
特開平10−146348号公報
本発明の目的は、歯科用光硬化組成物と、照射部位を制限されない導光性ファイバー入りファイバーポストを組み合わせることによって、目的の部位に達するまでは光を減衰させずに、光の届かない深さや部位など、光の届きにくいところや光強度が必要な部位に光照射を集中させて光重合硬化させることができる、埋入可能な導光性ファイバー入り歯科用ファイバーポストならびにキットを提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
本発明の上記目的および利点は、第1に、光入射端部から入射した光が、少なくとも他端の発光端部および側面部分から発光する導光性ファイバーを有する、導光性ファイバー入り歯科用ファイバーポストであって、前記導光性ファイバーは、ポリアミド樹脂よりなることを特徴とする導光性ファイバー入り歯科用ファイバーポストによって達成される。
本発明の上記目的および利点は、第2に、本発明の導光性ファイバー入りファイバーポストを含む歯科治療用キットによって達成される。
本発明の導光性ファイバー入りファイバーポストにより、歯科用光硬化性組成物は、光の届かない深さや部位に至まで重合硬化することができる。また、そのまま、重合硬化された歯科用光硬化性組成物中に埋入され、歯根内部に埋め込むファイバーポスト材などとして適用しうる。
光を照射することによって重合硬化する歯科用光硬化性組成物は、口腔内で十分な作業時間がとれ、作業は光照射することによって完了させることができるため、有用性が高い。しかしながら、光照射は歯牙の上部構造部に相当する歯列の上からおこなうので、歯牙解剖学的構造上、光の届かない深さや部位に至るまで歯科用光硬化性組成物を十分に硬化させることができなかった。
歯科用光硬化性組成物の長所を生かしながら光の届かない部分にまで、導光性ファイバー入りファイバーポストと歯科用光硬化性組成物を組み合わせて導入することによって、有益な治療方法となりうる。また、光の届かない深さにあって、解剖学的に光照射しづらい部位に対して適用される材料として、根管充填シーラー、ガッターパーチャーポイント、支台築造用ポスト材などがあり、この材料として適用しうる導光性ファイバー入りファイバーポストと歯科用光硬化性組成物の組み合わせができればきわめて有用な材料であり、これを用いた治療方法を提供できる。
本発明の導光性ファイバー入りファイバーポストの概略説明図である。 本発明の他の導光性ファイバー入りファイバーポストの概略図である。
本発明の導光性ファイバー入りファイバーポストの好ましい構造としては、例えばファイバーポストの略中心部に配された光を導通する導光性ファイバーと、それと略平行に配された無機繊維および/または有機繊維とが一体型となった構造が挙げられる。
本発明の導光性ファイバー入りファイバーポストは、好ましくは350〜520nmの波長光を通すことができるものである。
また、光源である発光部から、好ましくは10〜10,000mW、より好ましくは100〜6,000mWの出力で発光されることが好ましい。
光源としては、現在、歯科に応用されているものを使用でき、ハロゲン、キセノン、発光ダイオード系などを好適に使用できる。光源の光の波長は上記に示したように350〜520nmの範囲が好ましい。また、光強度は、10〜3,000mW/cmの範囲で使用できる。
本発明の導光性ファイバー入りファイバーポストの導光性ファイバーは、専ら、光照射器とは非接続状態乃至は非接触状態にて光照射される処置に用いられるものである。換言すれば、光照射器から放たれた光は空気中を進行した後、露出された当該導光性ファイバーポストの光入射面から入射するものである。かように非接続状態乃至は非接触状態にて光照射するので、取扱性および操作性が良い。
本発明の導光性ファイバー入りファイバーポストの導光性ファイバーの材質は、ポリアミド樹脂である。光ファイバーとして一般的に知られているポリオレフィンやポリカーボネートや(メタ)アクリル樹脂などの従来光ファイバー用に好適に用いられてきた樹脂以外の樹脂である。
ポリアミド樹脂は適度の吸水性を有することが好ましく、25℃、1気圧下の吸水率(ASTM D570(24h)準拠)は、好ましくは0.05〜6.5重量%、より好ましくは0.15〜3重量%、更に好ましくは0.3〜1.5重量%である。ポリアミド樹脂はヘテロ原子である窒素原子に結合した水素を有し、吸水性を有することにより、接着材や含浸用樹脂との接着性や親和性が良好となる。一方、吸水性が高すぎると、前記接着性や親和性が寧ろ低下するので好ましくない。なお、当該ポリマーはベンゼン環等の芳香環を含まない方がより好ましい。
リアミド樹脂は、アミド結合によって多数のモノマーが結合してできたポリマーであり、一般に脂肪族骨格を含むポリアミドはナイロン(Nylon)と総称される。また、ナイロンには、ωアミノ酸の重縮合反応で合成されるナイロン(n−ナイロン)とジアミンとジカルボン酸の共縮重合反応で合成されるナイロン(n,m−ナイロン)がある。前者の例では、ε−カプロラクタムより合成されるナイロン6、ウンデカンラクタムより合成されるナイロン11、ラウリルラクタムより合成されるナイロン12が挙げられ、後者の例では、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸より合成されるナイロン66、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸 より合成されるナイロン610、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸より合成されるナイロン6T、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸より合成されるナイロン6I、ノナンジアミンとテレフタル酸より合成されるナイロン9T、メチルペンタジアミンとテレフタル酸より合成されるナイロンM5Tが挙げられる。また、それら以外に、カプロラクタムとラウリルラクタムとの共縮重合体であるナイロン612のように、ωアミノ酸同士の共縮重合体もある。
本発明の導光性ファイバーは可視光に対して透明であり、可視光透過率(厚さ2mmにてJIS K7375に準拠)は、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
なお、前記のとおり、該導光性ファイバーは配置されたファイバーポストの略中心部に位置していることが好ましいが、偏芯していても良いし、或いは、時計の文字盤の数字のように複数本の導光性ファイバーがファイバーポストの辺縁部に略円周状、略等間隔に配置されていても良い。
ファイバーポストを構成する繊維(ファイバー)は、例えば有機繊維、無機繊維、或いはこれらの混合繊維乃至は複合繊維のいずれでもよい。
ここで有機繊維としては、例えばアクリル繊維、アセテート繊維、銅アンモニア繊維、ポリアミド繊維(例えばナイロン46繊維、ナイロン6繊維、ナイロン66繊維、ナイロン612繊維、ナイロン10繊維、半芳香族ポリアミド繊維、芳香族ポリアミド繊維)、アラミド繊維、ポリイミドアミド繊維、ポリイミド繊維、ビスコースレーヨン繊維、ポリビニリデン繊維、ビニロン繊維、フッ素樹脂繊維、プロミックス繊維、ポリアセタール繊維、ポリウレタン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、超高分子量ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維を挙げることができる。
また、無機繊維の材質としては、例えば、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、カルシウムアルミネート(CaO−Al系)およびアルミノシリケート(NaO−Al−SiO系)等の生体内不活性酸化物;カーボン(vitreous,pyrolytic,graphite)、窒化珪素(Si)および炭化珪素(SiC)等の生体内不活性非酸化物;通常のガラス繊維、特にバイオグラス(SiO−NaO−CaO−P系)、セラブタール(SiO−CaO−NaO−P−KO−MgO系)およびCPSAガラス(CaO−P−SiO−Al系)等の生体内活性生体ガラス;マイカ系結晶ガラス(SiO−B−Al−MgO−KO−F系)、A−W結晶化ガラス(SiO−CaO−MgO−P系)およびβ−Ca(PO)2系結晶化ガラス(CaO−P系)等の生体内活性結晶化ガラス;ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH))等の生体内活性リン酸カルシウム;トリカルシウムホスフェート(TCP:(Ca(PO)、テトラカルシウムホスフェート(4CP:(CaO(PO)および低結晶性ハイドロキシアパタイト等の生体内崩壊性リン酸カルシウム;ならびに、可溶性カルシウムアルミネート(CaO−Al系)等の生体内崩壊性カルシウムアルミアルミネートから形成される繊維を挙げることができる。
これらの繊維の中でも無機繊維が好ましく、ガラス繊維がより好ましく、さらに生体親和性のある繊維、例えばCaO−P−SiO−Al系生体材料用ガラス繊維(CPSAガラス繊維)が特に好ましい。このCPSAガラス繊維は、繊維中におけるカルシウム/リンのモル比が、好ましくは0.5〜3.0の範囲内にあり、酸化カルシウム成分と五酸化二燐成分との合計が、好ましくは20〜60重量%の範囲内にあり、さらに二酸化珪素成分と酸化アルミニウム成分との合計が、好ましくは35〜80重量%の範囲内にある。このようなCaO−P−SiO−Al系生体材料用ガラス繊維(CPSAガラス繊維)の詳細は、特公平62−12322号公報、特公平1−30927号公報および特公昭2−10244号公報ならびに米国特許第4613577号明細書および米国特許第4820573号明細書などに記載されている。
本発明で使用される有機繊維あるいは無機繊維の単繊維直径は、好ましくは1〜30μm、より好ましくは3〜15μmの範囲内にある。このような繊維は単独で使用することもできるが、撚糸あるいは交差させた糸(編まれた繊維、組まれた繊維)にして使用することにより弾性係数の調整を容易とすることができる。この場合の撚数あるいは交差回数は、好ましくは0.5〜10回/25mm、より好ましくは1〜5回/25mmである。このような撚糸あるいは交差させた糸は、好ましくは10〜20,000デニール、より好ましくは50〜10,000デニールの範囲内にある。
本発明では、上記のような繊維が複数含有されているが、この複数の繊維は同一であっても異なっていてもよい。
上記のような繊維は、例えばカップリング剤、特にγ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のカップリング剤を用いて前処理した後に用いることが好ましい。このようなカップリング剤を用いた前処理としては、好ましくは有機溶媒にカップリング剤を溶解し、この中に上記繊維、あるいは、編まれた繊維、組まれた繊維を浸潰した後、溶液から引き上げて乾燥する方法が採用される。また、こうしてカップリング剤に浸潰して引き上げた後、この繊維を加熱することが好ましい。
本発明の導光性ファイバー入りファイバーポストは、人歯(象牙質)の特性に近似していることが好ましい。例えば曲げ弾性係数12〜19GPaおよび曲げ強度140〜270GPaであることが望ましい。そのために、上記の繊維の曲げ弾性係数は、好ましくは10〜40GPa、より好ましくは12〜35GPa、更に好ましくは15〜30GPaであり、上記の繊維の曲げ強度は、好ましくは200MPa以上、より好ましくは220MPa以上、更に好ましくは250MPa以上である。
本発明の導光性ファイバー入りファイバーポストは、例えば照射端部の直径が0.5〜3mmの範囲が好ましく、より好ましくは0.7〜2.5mm、さらに好ましくは0.9〜2mmの範囲である。前記数値範囲の下限値を下回ると折れやすくなり、上限値を上回ると太すぎて根管内では使用不可となり何れも好ましくない。
また、照射光を誘導する導光性ファイバー樹脂の直径は、0.08〜0.8mmが好ましく、より好ましくは0.1〜0.7mm、さらに好ましくは0.25〜0.5mmである。前記数値範囲の下限値を下回ると照射光の強度が弱くなり、上限値を上回ると導光性ファイバー樹脂を覆うガラスファイバー繊維量が少なくなり何れも好ましくない。
また、導光性ファイバー直径/ファイバーポスト直径の比は、好ましくは0.04〜1、より好ましくは、0.08〜0.9、更に好ましくは0.12〜0.8である。前記数値範囲の下限値を下回ると照射光の強度が弱く折れやすくなり、上限値を上回ると太すぎて根管内では使用不可や導光性ファイバー樹脂を覆うガラスファイバー繊維量が少なくなり何れも好ましくない。
ここで、導光性ファイバーが複数本存在する場合は、導光性ファイバー直径は、各導光性ファイバー単繊維の断面積を合算した合計面積と同じ面積を有する円の直径としている。又、各導光性ファイバー単繊維の直径は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上、更に好ましくは0.5mm以上である。前記数値範囲の下限値を下回ると折れ易くなり好ましくない。
本発明の導光性ファイバー入りファイバーポストの長さは、口腔内で使用する場合は、例えば5〜30mmの範囲にあるのが作業性も良く好適である。保管するにあたっては、例えば10〜50mmの長さが適切で、使用直前に適切な長さに切断することができる。上記範囲内において、治療する歯牙の大きさに合わせてその直径および長さを適宜設定することができる。
本発明の導光性ファイバー入りファイバーポストは、使用直前に埋入する再深部側端部を歯科用研削バーおよびドリル等で、鉛筆先状に加工することが好ましい。光硬化性組成物が充填された再深部まで到達しなくてよく、発光端部と再深部との間には、光硬化性組成物の硬化深度以下の長さの距離があってもよい。
また、前記繊維の周囲に含浸される有機マトリックスとしては、アクリル系有機マトリックスが好ましく、例えば重合性(メタ)アクリル酸エステルおよび重合開始剤とを含有する硬化性組成物を好ましいものとして挙げることができる。
重合性(メタ)アクリル酸エステルとしては、単官能重合性モノマーおよび多官能重合性モノマーのいずれも使用できる。単官能重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。
単官能重合性(メタ)アクリレートモノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートの如き(メタ)アクリル酸のアルキルエステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−または3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、1,2−または1,3−ジヒドロキシプロピルモノ(メタ)アクリレート、エリスリトールモノ(メタ)アクリレートの如き(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル;ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートの如きポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレート;
エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレートの如き(ポリ)オキシアルキレンモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート;パーフルオロオクチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレートの如き(メタ)アクリル酸のフルオロアルキルエステル;
γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリ(トリメチルシロキシ)シランの如き(メタ)アクリロキシアルキル基を有するシラン化合物;および、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートの如き複素環を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また、多官能重合性モノマーとしては、多官能重合性(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。その例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキシレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートの如きアルカンポリオールのポリ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの如きポリオキシアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート;下記式(1)で表される脂肪族、脂環族または芳香族の(メタ)アクリレート;
(上記式において、Rはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を示し、mおよびnは0または正の数を示しそしてRは、以下に記載する2価の基である。);
下記式(2)で表される脂環族または芳香族エポキシジ(メタ)アクリレート;
(上記式において、Rはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を示し、nは0または正の数を示し、Rは、それぞれ独立に−(CH−、−(CH−または下記2価の基である);
さらに、下記式(3)で表される分子内にウレタン結合を有する多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
(上記式において、Rはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を示し、Rは、−(CH−、−(CH−、−(CH−または下記2価の基である)。
以上に例示した化合物の中で、単官能重合性(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)クリレート、エチル(メタ)アクリレートのようなアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,3−ジヒドロキシプロピルモノ(メタ)アクリレート、エリスリトールモノ(メタ)アクリレートのような水酸基含有(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートのような分子内にエチレングリコール鎖を有する(メタ)アクリレート等が特に好ましく用いられる。
また、多官能性重合性(メタ)アクリル酸エステルとしては、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ビス(メタクリロキシエチルオキシカルボニルアミノ)−2,2,4−(または−2,4,4−)トリメチルヘキサンのような分子内にエチレングリコール鎖を有するジ(メタ)アクリレート、下記式(3)−1〜(3)−3
(上記式において、Rはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、m+nは2〜20である)、
(上記式において、Rはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す)、
(上記式において、Rはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す)、
のそれぞれで表わされる化合物等が特に好ましく用いられる。
上記の如き(メタ)アクリル酸エステルは単独でまたは2種以上組合せて使用できる。
また、本発明の、アクリル系有機マトリックスは、分子内に酸性基を有する重合性モノマーを含有していてもよい。分子内に酸性基を有する重合性モノマーを含有することにより、補強用繊維、無機材料や歯質との接着性能を大幅に向上できるため、本発明で使用することが特に望ましい。分子内に酸性基を有する重合性モノマーとしては具体的には、(メタ)アクリル酸およびその無水物、1,4−ジ(メタ)アクリロキシエチルピロメリット酸、6−(メタ)アクリロキシエチルナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸、N−(メタ)アクリロイル−p−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−o−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−m−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−5−アミノサリチル酸、N−(メタ)アクリロイル−4−アミノサリチル酸、4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸およびその無水物、4−(メタ)アクリロキシブチルトリメリット酸およびその無水物、4−(メタ)アクリロキシヘキシルトリメリット酸およびその無水物、4−(メタ)アクリロキシデシルトリメリット酸およびその無水物、2−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、4−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンマレエート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸、p−ビニル安息香酸等のカルボン酸基またはその無水物を含有するモノマー;
(2−(メタ)アクリロキシエチル)ホスホリック酸、(2−(メタ)アクリロキシエチルフェニル)ホスホリック酸、10−(メタ)アクリロキシデシルホスホリック酸等の燐酸基を含有するモノマー;および、p−スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基を含有するモノマーを挙げることができる。
これらのうちではカルボン酸基を含有するモノマーが好ましく、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸およびその無水物が特に好ましい。分子内に酸性基を有する重合性モノマーは、アクリル系有機マトリックス中の重合性成分の合計量に基づいて、好ましくは1〜50重量%、特に好ましくは3〜30重量%の範囲内の量で用いられる。
上記の如き分子内に酸性基を有する重合性モノマーは単独でまたは2種以上組合せて使用することができる。
本発明において、上記アクリル系有機マトリックス中には、上記の重合性(メタ)アクリル酸エステルおよび必要により分子内に酸性基を有する重合性モノマーが含有されている。これらはモノマーとして含有されていてもよいし、またこれらの部分重合物として含有されていもよい。
また、これらモノマーおよび部分重合物は単独で、または2種類以上を混合して用いることができる。
本発明で用いるアクリル系有機マトリックスは、重合開始剤を含有している。かかる重合開始剤としては、例えば有機過酸化物、無機過酸化物、ホウ素含有重合開始剤、α−ジケトン化合物、有機アミン化合物、有機スルフイン酸、有機スルフィン酸塩、無機硫黄化合物、有機燐化合物およびバルビツール酸類を挙げることができる。これらは1種または2種以上で用いることができる。これらの重合開始剤は、便宜上、常温化学重合タイプ、光重合タイプ、またはこれらの複合したデュアルタイプなどに分けられるが、本発明ではいずれのタイプも使用できる。常温化学重合タイプで使用される過酸化物としては、例えばジアセチルペルオキシド、ジプロピルペルオキシド、ジブチルペルオキシド、ジカプリルペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、過酸化ベンゾイル(BPO)、p,p’−ジクロルベンゾイルペルオキシド、p,p’−ジメトキシベンゾイルペルオキシド、p,p’−ジメチルベンゾイルペルオキシド、p,p’−ジニトロジベンゾイルペルオキシドなどの有機過酸化物および過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、塩素酸カリウム、臭素酸カリウムおよび過リン酸カリウムなどの無機過酸化物を挙げることができる。これら過酸化物のアクリル系有機マトリックス中の重合性成分に対して、好ましくは0.01重量%〜5重量%の範囲内の量で使用される。
重合開始剤のうちホウ素含有重合開始剤としては、例えば有機ホウ素化合物、またはこれを含有してなる組成物を挙げることができる。有機ホウ素化合物としては、例えばトリエチルホウ素、トリプロピルホウ素、トリイソプロピルホウ素、トリブチルホウ素、トリ−sec−ブチルホウ素、トリイソブチルホウ素、トリペンチルホウ素、トリヘキシルホウ素、トリオクチルホウ素、トリデシルホウ素、トリドデシルホウ素、トリシクロペンチルホウ素、トリシクロヘキシルホウ素などのトリ(シクロ)アルキルホウ素;ブトキシジブチルホウ素などのアルコキシアルキルホウ素;ブチルジシクロヘキシルボラン、ジイソアミルボラン、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンなどのジアルキルボランおよび上記の化合物の一部が部分的に酸化された化合物などを挙げることができる。さらに、これらの化合物は組み合わせて使用することができる。これらの中ではトリブチルホウ素、あるいは部分酸化したトリブチルホウ素が好ましく用いられる。部分酸化したトリブチルホウ素としては、例えばトリブチルホウ素1モルに対し酸素を0.3〜0.9モル付加させたものが好ましく用いられる。これら有機ホウ素化合物は、アクリル系有機マトリックス中に含有される重合性成分に対して、好ましくは0.1重量%〜50重量%の範囲内の量で使用される。
また、光重合タイプで使用される重合開始剤としては、例えば紫外光線もしくは可視光線を照射することによって光重合することができる重合開始剤が用いられる。かかる光重合の際に使用できる重合開始剤に特に制限はないが、例えばベンジル、4,4’−ジクロロベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、9,10−アントラキノン、ジアセチル、d,l−カンファーキノン(CQ)、トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドなどの紫外線または可視光線増感剤が挙げられる。これら紫外光線もしくは可視光線を照射することによって光重合することができる重合開始剤は、アクリル系有機マトリックス中の重合性成分に対して、好ましくは0.01重量%〜5重量%の範囲内の量で使用される。
アクリル系有機マトリックスを常温化学重合もしくは光重合によって重合させる際には、還元性化合物を併用することができる。ここで、有機還元性化合物としては、例えばN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン(DMPT)、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジエタノール−p−トルイジン(DEPT)、N,N−ジメチル−p−tert−ブチルアニリン、N,N−ジメチルアニシジン、N,N−ジメチル−p−クロルアニリン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステル、N,N−ジエチルアミノ安息香酸(DEABA)およびそのアルキルエステル、N,N−ジメチルアミノベンツアルデヒド(DMABAd)などの芳香族アミン類;N−フェニルグリシン(NPG)、N−トリルグリシン(NTG)、N,N−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニルグリシン(NPG−GMA)などを用いることができる。
特に、本発明で使用されるアクリル系有機マトリックスを確実に硬化させ、さらに補強用繊維、無機材料および歯質に対する接着性を向上させるためには、下記式(4)で表わされるアミン化合物または下記式(5)で表わされるアミン化合物の少なくとも一種を含有させることが好ましい。
上記式(4)において、RおよびRは互いに独立に水素原子であるかあるいは官能基もしくは置換基を有していてもよいアルキル基であり、そしてRは水素原子または金属原子である。
上記式(5)において、RおよびRは互いに独立に水素原子またはアルキル基であり、そしてRは水素原子、官能基、あるいは官能基もしくは置換基を有していてもよいアルキル基または同様のアルコキシル基である。
これらアミン化合物は、アクリル系有機マトリックス中に、好ましくは0.01重量%〜5重量%の範囲内の量で配合される。
式(4)で表されるアミン化合物の例としては、NPG、NTGおよびNPG−GMAなどを挙げることができる。このうちNPGが特に好ましく用いられる。
式(5)で表されるアミン化合物の例としては、N,N−ジメチルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステル、N,N−ジエチルアミノ安息香酸(DEABA)およびそのアルキルエステルの他、N,N−ジプロピルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステル、N−イソプロピルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステル、N−イソプロピル−N−メチルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステルなどで代表される脂肪族アルキルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステル;DMABAd、N,N−ジエチルアミノベンツアルデヒド、N,N−ジプロピルアミノベンツアルデヒド、N−イソプロピル−N−メチルアミノベンツアルデヒドなどで代表される脂肪族アルキルアミノベンツアルデヒド;N,N−ジメチルアミノアセチルベンゼン、N,N−ジエチルアミノアセチルベンゼン、N,N−ジプロピルアミノアセチルベンゼン、N−イソプロピルアミノアセチルベンゼン、N−イソプロピル−N−メチルアミノアセチルベンゼンなどで代表される脂肪族アルキルアミノアセチルベンゼンおよび脂肪族アルキルアミノアシルベンゼンなどを挙げることができる。これらのアミン化合物は単独であるいは組み合わせて使用できる。
また、本発明で使用されることがある還元性化合物の例としては、ベンゼンスルフィン酸、o−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチルベンゼンスルフィン酸、デシルベンゼンスルフィン酸、ドデシルベンゼンスルフィン酸、クロルベンゼンスルフィン酸、ナフタリンスルフイン酸などの芳香族スルフイン酸またはその塩を挙げることもできる。無機還元性化合物としては、硫黄を含有する還元性無機化合物が好ましく使用できる。かかる化合物としては、水または水系溶媒などの媒体中でラジカル重合性単量体を重合させる際にレドックス重合開始剤として使用される還元性無機化合物が好ましく、例えば亜硫酸、重亜硫酸、メタ亜硫酸、メタ重亜硫酸、ピロ亜硫酸、チオ硫酸、1亜2チオン酸、1,2チオン酸、次亜硫酸、ヒドロ亜硫酸およびこれらの塩が挙げられる。このうち亜硫酸塩が好ましく用いられ、特に亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウムが好ましい。これらの還元性無機化合物は単独でもしくは組み合わせて使用できる。これら還元性無機化合物は、アクリル系有機マトリックス中の重合性成分に対して好ましくは0.01重量%〜5重量%の範囲内の量で使用される。
本発明の導光性ファイバー入りファイバーポストの導光性ファイバーの周囲に覆う無機繊維および有機繊維は、上記に示したアクリル系有機マトリックス中に含浸していることが好ましい。このマトリックスは、導光性ファイバー入りファイバーポストの導光性ファイバーとポストファイバーを合わせた全ファイバーの重量に対して、好ましくは10〜30重量%、より好ましくは11〜25重量%、更に好ましくは12〜20重量%で含有される。前記数値範囲の下限値を下回ると折れやすくなり、上限値を上回ると規格寸法を逸脱し、何れも好ましくない。
本発明の導光性ファイバー入りファイバーポストと組み合わせて使用される光硬化性組成物は、可視光線などの光によって重合硬化するものであり、光以外の硬化メカニズムを併用させた硬化性組成物でもよい。なかでも実施例記載の条件で光照射した場合の硬化深度が2mm以上を示すものが好適であり、3mm以上を示すものがさらに好ましい。
本発明の導光性ファイバー入りファイバーポストと組み合わせて使用される光硬化性組成物は、重合性単量体と重合開始剤から構成されるか、またはそれらに加えて無機充填剤および/または有機充填剤および、必要に応じその他の添加物から構成される。かかる光硬化性組成物としては、光重合型あるいはデュアル重合型のコンポジットレジン、ボンディング材、コーティング材、コア用レジン、ポスト用レジン、シーラー材、裏層材などが挙げられる。歯牙欠損の修復には、歯牙の欠損部の実質上全部分ないしは一部分を充填し、かつ、噛み合わせ時の力学的強度を担う充填材と、前記充填材と歯質部とを固定接着する接着剤よりなる補綴材ないしはそれらを用いた補綴方法が好適である。
本発明における光硬化性組成物が、前記充填材を含むものであるときには、専ら、前者の充填材において、好適に本発明の効果が奏せられるので、以下、本発明における光硬化性組成物として、充填材を含む例について説明する。
これら使用される重合性単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸のアルキルあるいは芳香族エステル(炭素数1〜20)、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(炭素数2〜20)、エチレングリコールオリゴマー(メタ)アクリレート(2〜30量体)、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2−[p−(γ−メタクリロキシ−β−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、2,2−ジ(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン(1分子中にエトキシ基2〜10個)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の単官能性あるいは多官能性の(メタ)アクリル酸エステル;ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができる。また、光重合硬化性組成物で提案されているような単量体等が好適であり、これらの単量体は単独で、あるいは2種類以上混合して使用することが好ましい。
上記の光重合型開始剤としては、α−ジケトンと3級アミンからなるもの、α−ジケトンと過酸化物、フェニルホスフィンオキシド化合物等、従来公知の開始剤が挙げられる。
また、充填材としては、例えば従来から使用されている各種の無機充填剤,有機充填剤,または無機・有機複合充填材を使用できる。その具体例として、二酸化珪素(例えば石英、石英ガラス、シリカゲル)、アルミナを挙げることができる。珪素を主成分とし各種重金属とともにホウ素および/またはアルミニウムを含有する各種ガラス、各種セラミックス、フッ化カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン等も使用できる。フィラーの表面処理には、通常使用されるシランカップリング剤、例えば、ω−メタクリロキシアルキルトリメトキシシラン(メタクリロキシ基と珪素原子との間の炭素数:3〜12)、ω−メタクリロキシアルキルトリエトキシシラン(メタクリロキシ基と珪素原子との間の炭素数:3〜12)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等の有機珪素化合物が使用される。さらに、本発明で使用される光重合硬化性組成物には必要に応じ有機溶剤、水、安定剤、顔料等の一般的な添加物を配合することもできる。
これらの成分としては、具体的には特開平6−9327号公報、特開平7−97306号公報に記載されているものを使用することができ、またその光硬化性組成物も使用することができる。
歯科用石膏を用いた模型のキャビティまたは窩洞や根管内に充填された歯科用光重合性組成物に本発明の導光性ファイバー入りファイバーポストを埋入して、その表面を光照射した歯科用光重合性組成物を硬化させる方法の一例として、根管に適用する具体例をもって説明する。予め根管内に形成した穴の深さよりも数mm長い導光性ファイバーを準備する。穴の深さと形状から予測して、穴の入り口から照射した場合に光が当たりにくい部分ならびに併用する光硬化性組成物の硬化深度を超える部分を予測し、その部分に相当する導光性ファイバーの側面を削る。導光性ファイバーの一端から光照射したときに、削った部分から光が発光されていることを予め確認する。光重合硬化性接着材を穴の内壁全面に塗布して光照射する。引き続き、光硬化性組成物(穴埋め材)を隙間なく充填し、直ちに予め準備した導光性ファイバーを完全に挿入する。このとき、導光性ファイバーの一端が数mm露出しているのが好ましい。根管の穴の入り口部分から光硬化性組成物ならびに導光性ファイバー一端を同時に光照射して硬化させる。このとき、通常なら光が深部まで届きにくい部分にも導光性ファイバーを通して光が発光されているので、歯牙と光硬化性組成物ならびに導光性ファイバーが強固に一体となる。
(導光性ファイバー入りファイバーポストの調製)
本発明の導光性ファイバー入りファイバーポストの1つの実施態様の概略図を図1(ファイバーポスト1本)および図2(ファイバーポスト3本)に示す。中心部にある導光性ファイバーと周辺のファイバーポスト、更に、ファイバー間隙を埋めるマトリックスは、以下の通りに調製した。
まず、ファイバーポストとしては、グラスファイバー(セントラル硝子(株)製ECG−150、繊維径9μm、撚数3.6回/25mm)を編組したチューブ(グラスファイバー200本×3束を16打、内径1.5mm、外径1.9mm、目付量300g/m)を使用した。
導光性ファイバーとして、外径0.435mmのポリアミド・モノフィラメントであるソルトウォータースペシャル システムショックリーダー((株)サンライン製)を用いた。
前記チューブの中心に前記導光性ファイバーを挿入して、導光性ファイバー入りファイバーポストとした。
次にγ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン(TSL8370:GE東芝シリコーン(株)製)の液体に10分間浸漬し、液体より取り出して室温にて30分間放置した後に、125℃で40分間乾燥させ、グラスファイバー表面をシラン処理した。
周囲のグラスファイバーのみを長軸方向に340gの引張応力をかけた後(周は細くなったが、長軸方向には実質的な延伸は認められなかった)、25mmに切断し、円柱状構造物を得た。
更に、ファイバー間隙を埋めるマトリックスとしては、アクリル系有機アートレジンSH−500S(50重量%)、NKESTER3G処理品(50重量%)の混合品100gに外添加として重合開始材のDRYBPOを1g、重合禁止材のp−メトキシフェノールを0.02g添加し、溶解したマトリックスを用いた。
即ち、前記マトリックス混合液体に前記円柱状構造物を10分間浸漬し、液体より該構造物を取り出して、室温にて60分間放置した後に、125℃で50分間加熱重合し、得られた構造物を導光性ファイバー入り歯科用ファイバーポストとした。導光性ファイバー入り歯科用ファイバーポストの直径は1.31mmであった。
(光硬化深度試験)
内径2.5mm深さ10mmの内腔を有する、光を実質上透過も反射もしない硬質ゴム製モールドを試作した。光硬化性組成物としてサンメディカル(株)製i−TFCのポストレジンを充填し、一方向から可視光線照射器TransluxCL(Kulzer)にて20秒間光照射した。光硬化性組成物をモールドから取り出して、未硬化部分をナイフで除去し、除去できずに残った硬化物について照射面からの長さをノギスにて測定したところ6.04mmであった。同様に、ポストレジンをモールド内に充填した後、Φ1.3mm長さ10mmに切断し、再深部側端部を歯科用研削バーで、鉛筆先状に加工された本発明の導光性ファイバー入りファイバーポストをモールド中心部に挿入し、照射端部平面と充填された光硬化性組成物の表面の水準が一致するように(以下、これを完全に挿入という)して、光照射した。このときのポストレジンの硬化深度を計測した。
また、比較例として、同様に、ポストレジンをモールド内に充填した後、Φ1.3mm長さ10mmに切断し、再深部側端部を歯科用研削バーで、鉛筆先状に加工されたサンメディカル(株)製支台築造用ファイバーポスト;i−TFCポスト中心部に挿入し、照射端部平面と充填された光硬化性組成物の表面の水準が一致するように(以下、これを完全に挿入という)して、光照射した。このときのポストレジンの硬化深度を計測し、本発明品と比較した。
実施例1
Φ1.3mm長さ10mmに切断し、ポストレジンをモールド内に充填した後、発光端部から0.5mmまでの間を歯科用研削バーで、鉛筆先状に加工された本発明の導光性ファイバー入りファイバーポストをモールド内に完全に挿入し、光硬化深度試験を実施した。充填されたポストレジンの硬化深度は6.00mmであり、導光性ファイバー入りファイバーポストをモールド内に完全に挿入したところ、硬化深度は8.44mmという結果になり、導光性ファイバー入りファイバーポストを光硬化性組成物に相当するポストレジンと組み合わせることで、約2mmの硬化深度が深くなった効果が結果より観られた。
比較例1
上記実施例1と同様に試験を行い、発光端部を歯科用研削バーで、鉛筆先状に加工された市販品として使用されているi−TFCポストとポストレジンとの組み合わせと比較した。モールド内に完全に挿入したところ、硬化深度は6.00mmという結果から、導光性ファイバー入りファイバーポストの方が、効果が好適に得られたことが判った。
実施例2
ポストレジンをモールド内に充填した後、発光端部から0.5mmまでの間を歯科用研削バーで、鉛筆先状に加工された本発明の導光性ファイバー入りファイバーポストを深さ8mmまでモールド内に挿入し、光硬化深度試験を実施した。その結果ポストレジンは完全に硬化し、硬化深度は10mmであった。

Claims (5)

  1. 光入射端部から入射した光が、少なくとも他端の発光端部および側面部分から発光する導光性ファイバーを有する、導光性ファイバー入り歯科用ファイバーポストであって、前記導光性ファイバーは、ポリアミド樹脂よりなることを特徴とする導光性ファイバー入り歯科用ファイバーポスト。
  2. 支台築造用ポスト材および/または根管充填用ポイント材として用いられる請求項1に記載の導光性ファイバー入り歯科用ファイバーポスト。
  3. 導光性ファイバー入りファイバーポストの照射端部の直径が0.5〜3mmである請求項1または2に記載の導光性ファイバー入り歯科用ファイバーポスト。
  4. 導光性ファイバーの直径が0.08〜0.8mmである請求項1〜のいずれかに記載の導光性ファイバー入り歯科用ファイバーポスト。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の導光性ファイバー入り歯科用ファイバーポストを含む歯科治療用キット。
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