JP5551468B2 - 歯科用支台築造導光性ファイバー入りファイバーポスト、およびそれを含む歯科治療用キット - Google Patents
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光を照射することによって重合硬化する歯科用光硬化性組成物は、口腔内で十分な作業時間がとれ、作業は光照射することによって完了させることができるため、有用性が高い。しかしながら、光照射は歯牙の上部構造部に相当する歯列の上からおこなうので、歯牙解剖学的構造上、光の届かない深さや部位に至るまで歯科用光硬化性組成物を十分に硬化させることができなかった。
歯科用光硬化性組成物の長所を生かしながら光の届かない部分にまで、導光性ファイバー入りファイバーポストと歯科用光硬化性組成物を組み合わせて導入することによって、有益な治療方法となりうる。また、光の届かない深さにあって、解剖学的に光照射しづらい部位に対して適用される材料として、根管充填シーラー、ガッターパーチャーポイント、支台築造用ポスト材などがあり、この材料として適用しうる導光性ファイバー入りファイバーポストと歯科用光硬化性組成物の組み合わせができればきわめて有用な材料であり、これを用いた治療方法を提供できる。
本発明の導光性ファイバー入りファイバーポストは、好ましくは350〜520nmの波長光を通すことができるものである。
また、光源である発光部から、好ましくは10〜10,000mW、より好ましくは100〜6,000mWの出力で発光されることが好ましい。
光源としては、現在、歯科に応用されているものを使用でき、ハロゲン、キセノン、発光ダイオード系などを好適に使用できる。光源の光の波長は上記に示したように350〜520nmの範囲が好ましい。また、光強度は、10〜3,000mW/cm2の範囲で使用できる。
本発明の導光性ファイバー入りファイバーポストの導光性ファイバーの材質は、ポリアミド樹脂である。光ファイバーとして一般的に知られているポリオレフィンやポリカーボネートや(メタ)アクリル樹脂などの従来光ファイバー用に好適に用いられてきた樹脂以外の樹脂である。
なお、前記のとおり、該導光性ファイバーは配置されたファイバーポストの略中心部に位置していることが好ましいが、偏芯していても良いし、或いは、時計の文字盤の数字のように複数本の導光性ファイバーがファイバーポストの辺縁部に略円周状、略等間隔に配置されていても良い。
ファイバーポストを構成する繊維(ファイバー)は、例えば有機繊維、無機繊維、或いはこれらの混合繊維乃至は複合繊維のいずれでもよい。
また、無機繊維の材質としては、例えば、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、カルシウムアルミネート(CaO−Al2O3系)およびアルミノシリケート(Na2O−Al2O3−SiO2系)等の生体内不活性酸化物;カーボン(vitreous,pyrolytic,graphite)、窒化珪素(Si3N4)および炭化珪素(SiC)等の生体内不活性非酸化物;通常のガラス繊維、特にバイオグラス(SiO2−Na2O−CaO−P2O5系)、セラブタール(SiO2−CaO−Na2O−P2O5−K2O−MgO系)およびCPSAガラス(CaO−P2O5−SiO2−Al2O3系)等の生体内活性生体ガラス;マイカ系結晶ガラス(SiO2−B2O3−Al2O3−MgO−K2O−F系)、A−W結晶化ガラス(SiO2−CaO−MgO−P2O5系)およびβ−Ca(PO4)2系結晶化ガラス(CaO−P2O5系)等の生体内活性結晶化ガラス;ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)等の生体内活性リン酸カルシウム;トリカルシウムホスフェート(TCP:(Ca3(PO4)2)、テトラカルシウムホスフェート(4CP:(Ca4O(PO4)2)および低結晶性ハイドロキシアパタイト等の生体内崩壊性リン酸カルシウム;ならびに、可溶性カルシウムアルミネート(CaO−Al2O3系)等の生体内崩壊性カルシウムアルミアルミネートから形成される繊維を挙げることができる。
本発明では、上記のような繊維が複数含有されているが、この複数の繊維は同一であっても異なっていてもよい。
上記のような繊維は、例えばカップリング剤、特にγ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のカップリング剤を用いて前処理した後に用いることが好ましい。このようなカップリング剤を用いた前処理としては、好ましくは有機溶媒にカップリング剤を溶解し、この中に上記繊維、あるいは、編まれた繊維、組まれた繊維を浸潰した後、溶液から引き上げて乾燥する方法が採用される。また、こうしてカップリング剤に浸潰して引き上げた後、この繊維を加熱することが好ましい。
本発明の導光性ファイバー入りファイバーポストは、例えば照射端部の直径が0.5〜3mmの範囲が好ましく、より好ましくは0.7〜2.5mm、さらに好ましくは0.9〜2mmの範囲である。前記数値範囲の下限値を下回ると折れやすくなり、上限値を上回ると太すぎて根管内では使用不可となり何れも好ましくない。
また、導光性ファイバー直径/ファイバーポスト直径の比は、好ましくは0.04〜1、より好ましくは、0.08〜0.9、更に好ましくは0.12〜0.8である。前記数値範囲の下限値を下回ると照射光の強度が弱く折れやすくなり、上限値を上回ると太すぎて根管内では使用不可や導光性ファイバー樹脂を覆うガラスファイバー繊維量が少なくなり何れも好ましくない。
ここで、導光性ファイバーが複数本存在する場合は、導光性ファイバー直径は、各導光性ファイバー単繊維の断面積を合算した合計面積と同じ面積を有する円の直径としている。又、各導光性ファイバー単繊維の直径は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上、更に好ましくは0.5mm以上である。前記数値範囲の下限値を下回ると折れ易くなり好ましくない。
本発明の導光性ファイバー入りファイバーポストは、使用直前に埋入する再深部側端部を歯科用研削バーおよびドリル等で、鉛筆先状に加工することが好ましい。光硬化性組成物が充填された再深部まで到達しなくてよく、発光端部と再深部との間には、光硬化性組成物の硬化深度以下の長さの距離があってもよい。
また、前記繊維の周囲に含浸される有機マトリックスとしては、アクリル系有機マトリックスが好ましく、例えば重合性(メタ)アクリル酸エステルおよび重合開始剤とを含有する硬化性組成物を好ましいものとして挙げることができる。
重合性(メタ)アクリル酸エステルとしては、単官能重合性モノマーおよび多官能重合性モノマーのいずれも使用できる。単官能重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。
エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレートの如き(ポリ)オキシアルキレンモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート;パーフルオロオクチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレートの如き(メタ)アクリル酸のフルオロアルキルエステル;
γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリ(トリメチルシロキシ)シランの如き(メタ)アクリロキシアルキル基を有するシラン化合物;および、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートの如き複素環を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また、多官能重合性モノマーとしては、多官能重合性(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。その例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキシレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートの如きアルカンポリオールのポリ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの如きポリオキシアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート;下記式(1)で表される脂肪族、脂環族または芳香族の(メタ)アクリレート;
また、多官能性重合性(メタ)アクリル酸エステルとしては、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ビス(メタクリロキシエチルオキシカルボニルアミノ)−2,2,4−(または−2,4,4−)トリメチルヘキサンのような分子内にエチレングリコール鎖を有するジ(メタ)アクリレート、下記式(3)−1〜(3)−3
のそれぞれで表わされる化合物等が特に好ましく用いられる。
上記の如き(メタ)アクリル酸エステルは単独でまたは2種以上組合せて使用できる。
(2−(メタ)アクリロキシエチル)ホスホリック酸、(2−(メタ)アクリロキシエチルフェニル)ホスホリック酸、10−(メタ)アクリロキシデシルホスホリック酸等の燐酸基を含有するモノマー;および、p−スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基を含有するモノマーを挙げることができる。
これらのうちではカルボン酸基を含有するモノマーが好ましく、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸およびその無水物が特に好ましい。分子内に酸性基を有する重合性モノマーは、アクリル系有機マトリックス中の重合性成分の合計量に基づいて、好ましくは1〜50重量%、特に好ましくは3〜30重量%の範囲内の量で用いられる。
本発明において、上記アクリル系有機マトリックス中には、上記の重合性(メタ)アクリル酸エステルおよび必要により分子内に酸性基を有する重合性モノマーが含有されている。これらはモノマーとして含有されていてもよいし、またこれらの部分重合物として含有されていもよい。
本発明で用いるアクリル系有機マトリックスは、重合開始剤を含有している。かかる重合開始剤としては、例えば有機過酸化物、無機過酸化物、ホウ素含有重合開始剤、α−ジケトン化合物、有機アミン化合物、有機スルフイン酸、有機スルフィン酸塩、無機硫黄化合物、有機燐化合物およびバルビツール酸類を挙げることができる。これらは1種または2種以上で用いることができる。これらの重合開始剤は、便宜上、常温化学重合タイプ、光重合タイプ、またはこれらの複合したデュアルタイプなどに分けられるが、本発明ではいずれのタイプも使用できる。常温化学重合タイプで使用される過酸化物としては、例えばジアセチルペルオキシド、ジプロピルペルオキシド、ジブチルペルオキシド、ジカプリルペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、過酸化ベンゾイル(BPO)、p,p’−ジクロルベンゾイルペルオキシド、p,p’−ジメトキシベンゾイルペルオキシド、p,p’−ジメチルベンゾイルペルオキシド、p,p’−ジニトロジベンゾイルペルオキシドなどの有機過酸化物および過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、塩素酸カリウム、臭素酸カリウムおよび過リン酸カリウムなどの無機過酸化物を挙げることができる。これら過酸化物のアクリル系有機マトリックス中の重合性成分に対して、好ましくは0.01重量%〜5重量%の範囲内の量で使用される。
重合開始剤のうちホウ素含有重合開始剤としては、例えば有機ホウ素化合物、またはこれを含有してなる組成物を挙げることができる。有機ホウ素化合物としては、例えばトリエチルホウ素、トリプロピルホウ素、トリイソプロピルホウ素、トリブチルホウ素、トリ−sec−ブチルホウ素、トリイソブチルホウ素、トリペンチルホウ素、トリヘキシルホウ素、トリオクチルホウ素、トリデシルホウ素、トリドデシルホウ素、トリシクロペンチルホウ素、トリシクロヘキシルホウ素などのトリ(シクロ)アルキルホウ素;ブトキシジブチルホウ素などのアルコキシアルキルホウ素;ブチルジシクロヘキシルボラン、ジイソアミルボラン、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンなどのジアルキルボランおよび上記の化合物の一部が部分的に酸化された化合物などを挙げることができる。さらに、これらの化合物は組み合わせて使用することができる。これらの中ではトリブチルホウ素、あるいは部分酸化したトリブチルホウ素が好ましく用いられる。部分酸化したトリブチルホウ素としては、例えばトリブチルホウ素1モルに対し酸素を0.3〜0.9モル付加させたものが好ましく用いられる。これら有機ホウ素化合物は、アクリル系有機マトリックス中に含有される重合性成分に対して、好ましくは0.1重量%〜50重量%の範囲内の量で使用される。
アクリル系有機マトリックスを常温化学重合もしくは光重合によって重合させる際には、還元性化合物を併用することができる。ここで、有機還元性化合物としては、例えばN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン(DMPT)、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジエタノール−p−トルイジン(DEPT)、N,N−ジメチル−p−tert−ブチルアニリン、N,N−ジメチルアニシジン、N,N−ジメチル−p−クロルアニリン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステル、N,N−ジエチルアミノ安息香酸(DEABA)およびそのアルキルエステル、N,N−ジメチルアミノベンツアルデヒド(DMABAd)などの芳香族アミン類;N−フェニルグリシン(NPG)、N−トリルグリシン(NTG)、N,N−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニルグリシン(NPG−GMA)などを用いることができる。
特に、本発明で使用されるアクリル系有機マトリックスを確実に硬化させ、さらに補強用繊維、無機材料および歯質に対する接着性を向上させるためには、下記式(4)で表わされるアミン化合物または下記式(5)で表わされるアミン化合物の少なくとも一種を含有させることが好ましい。
これらアミン化合物は、アクリル系有機マトリックス中に、好ましくは0.01重量%〜5重量%の範囲内の量で配合される。
式(5)で表されるアミン化合物の例としては、N,N−ジメチルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステル、N,N−ジエチルアミノ安息香酸(DEABA)およびそのアルキルエステルの他、N,N−ジプロピルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステル、N−イソプロピルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステル、N−イソプロピル−N−メチルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステルなどで代表される脂肪族アルキルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステル;DMABAd、N,N−ジエチルアミノベンツアルデヒド、N,N−ジプロピルアミノベンツアルデヒド、N−イソプロピル−N−メチルアミノベンツアルデヒドなどで代表される脂肪族アルキルアミノベンツアルデヒド;N,N−ジメチルアミノアセチルベンゼン、N,N−ジエチルアミノアセチルベンゼン、N,N−ジプロピルアミノアセチルベンゼン、N−イソプロピルアミノアセチルベンゼン、N−イソプロピル−N−メチルアミノアセチルベンゼンなどで代表される脂肪族アルキルアミノアセチルベンゼンおよび脂肪族アルキルアミノアシルベンゼンなどを挙げることができる。これらのアミン化合物は単独であるいは組み合わせて使用できる。
本発明の導光性ファイバー入りファイバーポストと組み合わせて使用される光硬化性組成物は、可視光線などの光によって重合硬化するものであり、光以外の硬化メカニズムを併用させた硬化性組成物でもよい。なかでも実施例記載の条件で光照射した場合の硬化深度が2mm以上を示すものが好適であり、3mm以上を示すものがさらに好ましい。
これら使用される重合性単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸のアルキルあるいは芳香族エステル(炭素数1〜20)、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(炭素数2〜20)、エチレングリコールオリゴマー(メタ)アクリレート(2〜30量体)、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2−[p−(γ−メタクリロキシ−β−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、2,2−ジ(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン(1分子中にエトキシ基2〜10個)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の単官能性あるいは多官能性の(メタ)アクリル酸エステル;ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができる。また、光重合硬化性組成物で提案されているような単量体等が好適であり、これらの単量体は単独で、あるいは2種類以上混合して使用することが好ましい。
上記の光重合型開始剤としては、α−ジケトンと3級アミンからなるもの、α−ジケトンと過酸化物、フェニルホスフィンオキシド化合物等、従来公知の開始剤が挙げられる。
これらの成分としては、具体的には特開平6−9327号公報、特開平7−97306号公報に記載されているものを使用することができ、またその光硬化性組成物も使用することができる。
本発明の導光性ファイバー入りファイバーポストの1つの実施態様の概略図を図1(ファイバーポスト1本)および図2(ファイバーポスト3本)に示す。中心部にある導光性ファイバーと周辺のファイバーポスト、更に、ファイバー間隙を埋めるマトリックスは、以下の通りに調製した。
まず、ファイバーポストとしては、グラスファイバー(セントラル硝子(株)製ECG−150、繊維径9μm、撚数3.6回/25mm)を編組したチューブ(グラスファイバー200本×3束を16打、内径1.5mm、外径1.9mm、目付量300g/m2)を使用した。
導光性ファイバーとして、外径0.435mmのポリアミド・モノフィラメントであるソルトウォータースペシャル システムショックリーダー((株)サンライン製)を用いた。
前記チューブの中心に前記導光性ファイバーを挿入して、導光性ファイバー入りファイバーポストとした。
周囲のグラスファイバーのみを長軸方向に340gの引張応力をかけた後(周は細くなったが、長軸方向には実質的な延伸は認められなかった)、25mmに切断し、円柱状構造物を得た。
更に、ファイバー間隙を埋めるマトリックスとしては、アクリル系有機アートレジンSH−500S(50重量%)、NKESTER3G処理品(50重量%)の混合品100gに外添加として重合開始材のDRYBPOを1g、重合禁止材のp−メトキシフェノールを0.02g添加し、溶解したマトリックスを用いた。
即ち、前記マトリックス混合液体に前記円柱状構造物を10分間浸漬し、液体より該構造物を取り出して、室温にて60分間放置した後に、125℃で50分間加熱重合し、得られた構造物を導光性ファイバー入り歯科用ファイバーポストとした。導光性ファイバー入り歯科用ファイバーポストの直径は1.31mmであった。
内径2.5mm深さ10mmの内腔を有する、光を実質上透過も反射もしない硬質ゴム製モールドを試作した。光硬化性組成物としてサンメディカル(株)製i−TFCのポストレジンを充填し、一方向から可視光線照射器TransluxCL(Kulzer)にて20秒間光照射した。光硬化性組成物をモールドから取り出して、未硬化部分をナイフで除去し、除去できずに残った硬化物について照射面からの長さをノギスにて測定したところ6.04mmであった。同様に、ポストレジンをモールド内に充填した後、Φ1.3mm長さ10mmに切断し、再深部側端部を歯科用研削バーで、鉛筆先状に加工された本発明の導光性ファイバー入りファイバーポストをモールド中心部に挿入し、照射端部平面と充填された光硬化性組成物の表面の水準が一致するように(以下、これを完全に挿入という)して、光照射した。このときのポストレジンの硬化深度を計測した。
また、比較例として、同様に、ポストレジンをモールド内に充填した後、Φ1.3mm長さ10mmに切断し、再深部側端部を歯科用研削バーで、鉛筆先状に加工されたサンメディカル(株)製支台築造用ファイバーポスト;i−TFCポスト中心部に挿入し、照射端部平面と充填された光硬化性組成物の表面の水準が一致するように(以下、これを完全に挿入という)して、光照射した。このときのポストレジンの硬化深度を計測し、本発明品と比較した。
Φ1.3mm長さ10mmに切断し、ポストレジンをモールド内に充填した後、発光端部から0.5mmまでの間を歯科用研削バーで、鉛筆先状に加工された本発明の導光性ファイバー入りファイバーポストをモールド内に完全に挿入し、光硬化深度試験を実施した。充填されたポストレジンの硬化深度は6.00mmであり、導光性ファイバー入りファイバーポストをモールド内に完全に挿入したところ、硬化深度は8.44mmという結果になり、導光性ファイバー入りファイバーポストを光硬化性組成物に相当するポストレジンと組み合わせることで、約2mmの硬化深度が深くなった効果が結果より観られた。
上記実施例1と同様に試験を行い、発光端部を歯科用研削バーで、鉛筆先状に加工された市販品として使用されているi−TFCポストとポストレジンとの組み合わせと比較した。モールド内に完全に挿入したところ、硬化深度は6.00mmという結果から、導光性ファイバー入りファイバーポストの方が、効果が好適に得られたことが判った。
ポストレジンをモールド内に充填した後、発光端部から0.5mmまでの間を歯科用研削バーで、鉛筆先状に加工された本発明の導光性ファイバー入りファイバーポストを深さ8mmまでモールド内に挿入し、光硬化深度試験を実施した。その結果ポストレジンは完全に硬化し、硬化深度は10mmであった。
Claims (5)
- 光入射端部から入射した光が、少なくとも他端の発光端部および側面部分から発光する導光性ファイバーを有する、導光性ファイバー入り歯科用ファイバーポストであって、前記導光性ファイバーは、ポリアミド樹脂よりなることを特徴とする導光性ファイバー入り歯科用ファイバーポスト。
- 支台築造用ポスト材および/または根管充填用ポイント材として用いられる請求項1に記載の導光性ファイバー入り歯科用ファイバーポスト。
- 導光性ファイバー入りファイバーポストの照射端部の直径が0.5〜3mmである請求項1または2に記載の導光性ファイバー入り歯科用ファイバーポスト。
- 導光性ファイバーの直径が0.08〜0.8mmである請求項1〜3のいずれかに記載の導光性ファイバー入り歯科用ファイバーポスト。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の導光性ファイバー入り歯科用ファイバーポストを含む歯科治療用キット。
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