JP4413281B2 - 歯科用支台、歯科用支台構築用補強芯材および歯科用支台構築用キット - Google Patents

歯科用支台、歯科用支台構築用補強芯材および歯科用支台構築用キット Download PDF

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    • A61K6/887Compounds obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds

Description

技術分野
本発明は歯科用の支台(歯科用ポスト)、こうした歯科用支台を形成するための芯材および歯科用支台形成用のキットに関する。
背景技術
歯科用支台は、通常歯髄を除去した歯根部に挿入し、差し歯(クラウン)などの土台になるものである。図1に示すように、歯科用支台1は、歯根部に植設される支持軸であるが、この歯科用支持体1はその機能からクラウン等と接合するコア部1aとこのコア部1を歯根に固定するポスト部1bに分けて見ることもできる。
即ち、歯科用支台1の役割は、歯冠部の構造体(たとえばクラウン2)だけでは保持力が不足する場合に、歯根部に歯科用支台1を挿入し、歯冠部の構造体を歯科用支台1のコア部1aと構造的に連結させることによって、歯冠部の構造体が歯牙3から脱落しにくくすることにある。
歯科用支台は、通常、レジン系接着剤、合着用セメント等の接着材(合着材)で歯牙の内部にセットすることにより形成されている。従来、歯科用支台の形成材料としては、金属、セラミック、カーボン、レジン、またはこれら組み合わせた複合材料などが用いられている。また、ポスト部分は、歯科用支台のセット後に歯冠部の構造体が脱落するのを防止するために、歯科用支台の挿入方向に対して直角方向に溝やネジが形成されている場合が多い。
しかしながら、こうした歯科用支台が植設される歯牙を切削して形成されるため、穿孔すべき根管の形態は、種々の条件が重なり合い一定ではない。また、穿孔対象である歯牙は、生体組織であるため、穿孔することにより形成される根管の形態は本来不定型で、切削具の形態に合うような幾何学的形態ではない。このため専用切削具では削り足りない部分が生じたり、逆に健全歯質を過剰に削除してしまう場合がある。その結果、前者の場合には、既製ポストの適合不良を生じ、後者の場合には、歯根の脆弱化を招来する。
他方、こうした既存ポストを用いずに、ポスト孔形成後、そのポスト孔の形状などを採取(印象採取)し、この採取した形態に合わせて鋳造されたポストを用いる方法も採用されている。この方法によれば、どのようなポスト孔を形成しても、ポストは、このポスト孔の形態に鋳造するので、上記のような問題は生じにくい。
しかしながら、鋳造によってポストを製造するためには、形成したポスト孔の印象を採取し、石膏模型上で製造したポストを次回来院時に装着することになるので、少なくとも2回の通院が必要になる。また、この方法では、印象採取後も、印象からの石膏模型製作、模型上でのワックスアップ、埋没、鋳造といった煩雑な工程を経なければ鋳造ポストを製造することができないという問題もある。
さらに、上記の既存ポストを用いる方法および鋳造ポストを用いる方法の両者共、装着したポストが歯根歯質と接着性充填材によって接着していなければ脱落、歯根の破折等の事故が生ずる危険性が増大する。そのために、ポストの表面は、充填材料との接着に適した状態に改質しなければならない。こうしたポストの表面改質には、サンドブラスト、スズ鍍金、接着性プライマーの塗布、あるいはこれらの方法を組み合わせた改質方法が採用されているが、これらの改質方法にはいずれも煩雑な操作が必要となるという問題がある。
また、穿孔すべき根管の形態は、種々の条件が重なり合うことから一定ではない。また、穿孔対象が生体組織であるため、根管の形態は本来不定型で、切削具の形態に合うような幾何学的形態ではない。このため専用切削具では削り足りない部分が生ずることがある。
このため、通常の場合、ポストの形状に適合するようにポストよりもわずかに大きめに穿孔を形成し、ここに歯科用接着剤を充填し、歯科用接着剤が硬化する前にポストを穿孔内に押し込んで、歯科用接着剤が硬化するのを待って次の工程の治療に移るのが一般的な治療方法であった。しかしながら、こうした歯科用接着剤の硬化にはある程度の時間を要するため、歯科用接着剤が硬化する前にポストが動くと、ポストの固定が不充分になり、ポストがぐらつくことがあり、こうしたポストを用いたのでは良好な歯科治療を行うことができない。
他方、齲歯等により内部が空洞化した歯質であっても、こうした歯質を内部から適当な支持部材を用いてバインドする(支持部材を用いて歯科用接着剤で歯質を一体化する)とある程度の強度が発現する。歯科治療では、人工的な材料である歯質を置き換えるよりも、本来患者の有している歯質を利用して治療を行うことが望ましいとされている。
しかしながら、上記の既存ポストあるいは鋳造ポストは、いずれもCo-Cr-Ni合金、金、銀のような金属あるいは合金で形成されている。こうした金属あるいは合金と歯質とは弾性係数が大きく異なり、この弾性係数の差が接着破壊の原因となる。すなわち、比較的弾性係数の小さい金属を用いたとしても、ポストの金属の弾性係数は、歯根歯質の弾性係数の約5〜10倍である。このため、こうしたポストが口腔内に装着されて咀嚼力がかかると、ポストと歯根歯質との間の「撓み」状態に違いが生ずる。この撓み状態の差が、ポストと歯根歯質との間の接着破壊を引き起こす要因の一つとなるのである。また、接着破壊に至らない場合であっても、金属ポストが存在する歯根上部と、金属ポストが存在しない歯根下部(根尖付近)との境界部への応力集中は避けられない。その結果、この境界部で歯根が破折した例も報告されている。
ところで、上記のような歯科用支台を用いて治療を行った後で、根尖部に炎症などが生じ、再治療を行う場合には、この支台を除去し、根尖部まで穴を開ける必要がある。
しかしながら、通常、歯科用支台は除去することを想定して歯牙内部にセットされていないため、歯科用支台を簡単に除去することはできない。特に歯牙と歯科用支台とが強力に接着している場合は、歯科用支台除去時に無理な力がかかり、歯牙破折等の損傷が生じたりすることもある。
したがって、歯の再治療に際し、人体に損傷を与えることなく、歯牙内部から容易に除去できる歯科用支台の開発が望まれている。
発明の開示
本発明はこれらの従来の支台構造における問題点を解消しようとするものであり、新規な支台構造、支台構築材料、支台構築キットを提供することを目的としている。
さらに、本発明は、歯の再治療に際して、人体に損傷を与えることなく、歯牙内部から容易に除去できる歯科用支台を提供することを目的としている。
また、本発明は、歯質に穿設されたポスト孔に確実に嵌挿することができる歯科用支台(歯科用ポスト)を提供することを目的としている。
本発明の歯科用支台は、根尖部に挿入されて歯科用接着剤によって歯牙に固定され得る歯科用支台であって、
該歯科用支台が、根尖部に挿入される支持軸(ポスト部)とこの支持軸の先端部に形成された先端部(コア部)とからなり、該歯科用支台の該先端部と支持軸とを連通する芯材を有し、
該芯材が、
アクリル系有機マトリックスが含浸されている無機繊維、
アクリル系有機マトリックスが含浸されている有機繊維、
金属線
および
支持軸と少なくとも該支持軸を可動軸として上下に移動可能に嵌挿された支持軸固定部材
よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の芯材とからなることを特徴としている。
また、本発明の歯科用支台(繊維含有歯科用支台)は、アクリル系有機マトリックス(A)と、無機繊維および/または有機繊維(B)と、重合性(メタ)アクリル酸エステル(a)および重合開始剤(b)からなる充填材(C)とから製造されることを特徴としている。
上記繊維含有歯科用支台は、歯科用支台構築用補強芯材を用いて構築されており、この歯科用支台構築用補強芯材は、アクリル系有機マトリックス(A)と、無機繊維および/または有機繊維(B)とからなり、該アクリル系有機マトリックス(A)が無機繊維および/または有機繊維(B)に含浸されていることを特徴としている。
上記繊維含有歯科用支台は、アクリル系有機マトリックス(A)と、無機繊維および/または有機繊維(B)とからなり、該アクリル系有機マトリックス(A)が無機繊維および/または有機繊維(B)に含浸されている歯科用支台構築用補強芯材と、重合性(メタ)アクリル酸エステル(a)および重合開始剤(b)からなる充填材(C)とからなることを特徴とする歯科用支台構築用キットを用いることにより構築することができる。
本発明では、重合性モノマー(A)が含浸して繊維を一体化することにより補強芯材を形成しており、この補強芯材が充填材(C)と強固に接着して支台を形成する。この支台は、弾性係数等の物理的・機械的特性が歯質と同程度であるので、咀嚼力等の応力がかかった場合に、歯質と同程度にこの応力を吸収するので、歯質との境界部に応力ひずみが蓄積することがなく、長期間安定に歯質に接着する。また、本発明の補強芯材と充填材(C)とで製作した支台の表面には、重合性モノマーが残留しており、続いて歯科用接着剤である歯科用接着性レジンセメント(通常、重合性モノマー(A)、重合開始剤(B)および充填材の混合物で歯牙に対して高い接着性能を有するもの)を使用して歯牙に装着する場合、この残留重合性モノマーが歯科接着性レジンセメントの重合性モノマーと共重合することにより、歯牙−菌科接着用レジンセメント−支台構造用材料が強固に一体化する。
前記、表面残留重合性モノマーの確認法としては、できあがった支台をアセトン等の有機溶媒に暫時浸漬し、溶出してきた重合性モノマーをガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等を用いて分析する方法が好適に用いられる。
また、本発明の支台構築用材料は、硬化後は、重合性モノマー硬化物と補強用芯材とが一体化して複合体となるために、弾性係数等の物理的・機械的特性のコントロールは極めて容易である。従って、歯科治療の効果がより高くなるように種々の状況に応じて支台の弾性係数等の物理的・機械的特性を変化させることができる。
さらに、本発明で用いられる支台構築用補強芯材は、通常口腔内で、歯牙そのものを鋳型として硬化させるために、歯牙の歯根に良好に適合した構造体となる。
また、本発明の歯科用支台(金属線入り歯科用支台)は、根尖部に根管充填材が充填されている歯牙の内部に挿入される、コア部とポスト部とからなる歯科用支台であって、
該コア部の頂上中心部から該ポスト部の縦方向中心部に1本または複数本の金属線が配されており、
該金属線の先端部が、該根管充填材の表面またはその近傍まで達するようになっていることを特徴としている。
前記金属線としては、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、ニッケルクロム合金またはチタン合金からなる金属線が好ましい。
前記金属線の太さは、0.05〜3mmであることが望ましい。
また、前記金属線の弾性率は、10〜500GPaであることが望ましい。
前記金属線の伸びは、100%以下であることが望ましい。
前記金属線1本の歯科用支台からの引き抜き強度は、引き抜き易さの面から、0.05〜10kgであることが望ましい(JIS G 3101、JIS G 4305に準拠)。
前記金属線の周囲に形成される歯科用支台の素材としては、重合性(メタ)アクリル酸エステル(a)と重合開始剤(b)とを含有してなるアクリル系有機マトリックス(A)と充填材(B)とを組み合わせた複合材料(コンポジットレジン系材料)が好ましい。
さらに本発明の歯科用支台(支持軸固定部材付き歯科用支台)は、歯質に穿設されたポスト孔に基端部を挿入することにより歯質に植設可能な支持軸と、該支持軸の先端部近傍に位置し、該支持軸を可動軸として上下に移動可能に嵌挿された支持軸固定部材とからなることを特徴としている。
本発明の支持軸固定部材付き歯科用支台(歯科用ポスト)は、歯質に穿設されたポスト孔に基端部を挿入して歯質に植設する支持軸と植設後、支持軸の基端部に移動することにより、支持軸をポスト孔に固定する支持軸固定部材とを有している。支持軸をポスト孔に挿入する際には、歯科用接着剤をポスト孔内に充填して支持軸を挿入することから、ほとんど空隙を形成することなく、支持軸がポスト孔に挿入されて歯質と接着可能な状態になる。同時に、過剰の歯科用接着剤は、ポスト孔上部に押し上げられる。そして、この段階で支持軸固定部材を支持軸の基端方向に押し下げると、押し上げられた歯科用接着剤によってこの支持軸固定部材は、歯質の内周壁に密着しながら接着し、支持軸を形成されたポスト孔のほぼ中央に立設させることができる。しかも、支持軸固定部材も歯科用接着剤によって歯質に形成されたポスト孔の内周および支持軸と強固に接着して固定されるので、支持軸がポスト孔に堅牢に接着される。さらに、支持軸、支持軸固定部材および歯質が一体になるので、支持軸に係る応力(例えば咀嚼の際の応力等)が、支持軸、支持軸固定部材および歯質によって支持され、例えば歯髄部に嵌挿された支持軸のみにかかることがないので、本発明の支持軸固定部材付き歯科用支台を用いて修復された歯質は、長期間にわたって修復当初の状態を維持されやすい。
【図面の簡単な説明】
図1は、従来の歯科用支台の模式断面図である。
図2は、根管に充填材(C)を入れ状態を模式的に示す図である。
図3は、充填材(C)に補強芯材を入れた状態を示す図である。
図4は、充填材(C)が硬化した後、補強芯材と硬化した充填材が一体化した支台を根管から取り外している状態を模式的に示す図である。
図5は、歯質表面に酸性の前処理剤(クエン酸10重量%と塩化第2鉄3重量%とを含有する水溶液など)で前処理している状態を模式的に示す図である。
図6は、根管に再び支台を挿入して接着した状態を模式的に示す図である。
図7は、固定された支台に歯冠等を固定した状態を模式的に示す図である。
図8は、本発明に係る歯科用支台の一例を示す模式断面図である。
図9は、本発明の歯科用ポストの断面構造の一例を示す断面図である。
図10は、本発明の歯科用ポストの使用例を示す説明図である。
図11は、本発明の歯科用ポストの他の態様を示す断面図である。
図12は、本発明の歯科用ポストの他の態様を示す断面図である。
図13は、上記図12に示される歯科用ポストの使用状態を示す断面図である。
図14は、本発明の実施例1で製造した試験片の斜視図である。
発明を実施するための最良の形態
次に本発明の歯科用支台、歯科用支台構築用補強芯材および歯科用支台構築用キットについて具体的に説明する。
本発明の歯科用支台は、根尖部に挿入されて歯科用接着剤によって歯牙に固定され得る歯科用支台である。
この歯科用支台は、根尖部に挿入される支持軸(ポスト部)と支持軸の先端部に支持軸の先端に形成された先端部(コア部)とからなり、歯科用支台の先端部と支持軸とを連通する芯材を有している。
そして、この芯材が、
アクリル系有機マトリックスが含浸されている無機繊維、
アクリル系有機マトリックスが含浸されている有機繊維、
金属線および支持軸と少なくとも該支持軸を可動軸として上下に移動可能に嵌挿された支持軸固定部材
のいずれかによって形成されている。
まず、芯材が、アクリル系有機マトリックスが含浸されている無機繊維あるいはアクリル系有機マトリックスが含浸されている有機繊維である繊維含有歯科用支台について説明する。
本発明の繊維含有歯科用支台は、アクリル系有機マトリックス(A)と、無機繊維および/または有機繊維(B)と、重合性(メタ)アクリル酸(a)および重合開始剤(b)からなる充填材(C)とから製造されるものである。この歯科用支台において、上記のアクリル系有機マトリックス(A)が、無機繊維および/または有機繊維(B)に含浸されることにより歯科用支台構築用芯材を形成する。
即ち、この歯科支台構築用補強芯材は、アクリル系有機マトリックス(A)と、無機繊維および/または有機繊維(B)とからなる。
アクリル系有機マトリックス(A)
そして、ここでアクリル系有機マトリックス(A)は、重合性(メタ)アクリル酸エステル(a)および重合開始剤(b)含有する硬化性組成物である。
重合性(メタ)アクリル酸エステル(a)
本発明で使用する重合性(メタ)アクリル酸エステル(a)には、単官能重合性モノマーと、多官能重合性モノマーとがある。
単官能重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレート系モノマー(a1)が好ましい。
この(メタ)アクリレート系モノマー(a1)の例としては、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-または3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、1,2-または1,3-ジヒドロキシプロピルモノ(メタ)アクリレート、エリスリトールモノ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル;
ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;
エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート等の(ポリ)グリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート;
パーフルオロオクチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のフルオロアルキルエステル;
γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリ(トリメチルシロキシ)シラン等の(メタ)アクリロキシアルキル基を有するシラン化合物;
および、
テトラフルフリル(メタ)アクリレート等の複素環を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
多官能重合性モノマー
また、重合性(メタ)アクリル酸エステル(a1)として用いることがある多官能重合性モノマーの例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキシレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のアルカンポリオールのポリ(メタ)アクリレート、
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート;下記式で表される脂肪族、脂環族または芳香族の(メタ)アクリレート;
Figure 0004413281
(ただし、上記式において、Rは水素原子またはメチル基を示し、mおよびnは0または正の数を示す。また、R1は、以下に記載する芳香族基または脂環基である。);
Figure 0004413281
下記式で表される脂環族または芳香族エポキシジ(メタ)アクリレート;
Figure 0004413281
(上記式において、Rは水素原子またはメチル基を示し、nは0または正の数を示し、R1は、−(CH22−、−(CH24−、
Figure 0004413281
を表す。)。
さらに、下記式で表される分子内にウレタン結合を有する多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
Figure 0004413281
上記式において、Rは水素原子またはメチル基を示し、R1は、−(CH22−、−(CH24−、−(CH26−、
Figure 0004413281
を表す。
以上に例示した化合物の中で、単官能の重合性(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートのようなアルキル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,3-ジヒドロキシプロピルモノ(メタ)アクリレート、エリスリトールモノ(メタ)アクリレートのような水酸基含有(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートのような分子内にエチレングリコール鎖を有する(メタ)アクリレート、1,6−ビス(メタクリロキシエチルオキシカルボニルアミノ)-2,2.4-(または-2,4,4-)トリメチルヘキサン等が特に好ましく用いられる。
また、多官能性の重合性(メタ)アクリル酸エステルとしては、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートのような分子内にエチレングリコール鎖を有するジ(メタ)アクリレート、
Figure 0004413281
(ただし、上記式において、Rは水素原子またはメチル基を表し、m+nは2〜20である。)
Figure 0004413281
(ただし、上記式において、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
Figure 0004413281
(ただし、上記式において、Rは水素原子またはメチル基を表す。)等で表わされる化合物等が特に好ましく用いられる。
酸性基を有する重合性モノマー(a2)
また、本発明では、アクリル系有機マトリックス(A)は、分子内に酸性基を有する重合性モノマー(a2)を含有していてもよい。この分子内に酸性基を有する重合性モノマーを用いることにより、補強用繊維、無機材料や歯質との接着性能を大幅に向上するため、本発明で使用することが特に望ましい。分子内に酸性基を有する重合性モノマー(a2)としては具体的には、
(メタ)アクリル酸およびその無水物、1,4-ジ(メタ)アクリロキシエチルピロメリット酸、6-(メタ)アクリロキシエチルナフタレン-1,2,6-トリカルボン酸、N-(メタ)アクリロイル−p−アミノ安息香酸、N-(メタ)アクリロイル-o-アミノ安息香酸、N-(メタ)アクリロイル-m-アミノ安息香酸、N-(メタ)アクリロイル-5-アミノサリチル酸、N-(メタ)アクリロイル−4−アミノサリチル酸、4-(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸およびその無水物、4-(メタ)アクリロキシブチルトリメリット酸およびその無水物、4-(メタ)アクリロキシヘキシルトリメリット酸およびその無水物、4-(メタ)アクリロキシデシルトリメリット酸およびその無水物、2-(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、3-(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、4-(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、β-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、β-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンマレエート、β-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、11-(メタ)アクリロイルオキシ-1,1-ウンデカンジカルボン酸、p-ビニル安息香酸等のカルボン酸基またはその無水物を含有するモノマー;
(2-(メタ)アクリロキシエチル)ホスホリック酸、(2-(メタ)アクリロキシエチルフェニル)ホスホリック酸、10-(メタ)アクリロキシデシルホスホリック酸等の燐酸基を含有するモノマー;
および、
p-スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基を含有するモノマーを挙げることができる。
これらのうちではカルボン酸基を含有するモノマーが好ましく、4-メタクリロキシエチルトリメリット酸およびその無水物が特に好ましい。分子内に酸性基を有する重合性モノマー(a2)は、アクリル系有機マトリックス(A)中の重合性成分の合計量のうち通常1〜50重量%、特に好ましくは3〜30重量%の範囲内の量で用いられる。
本発明において、上記アクリル系有機マトリックス(A)中には、上記の重合性アクリル系エステル(a1)、必要により分子内に酸性基を有する重合性モノマー(a2)を含有しているが、これらはモノマーとして含有されていてもよいし、またこれらの部分重合物であってもよい。
また、これらは単独で、または2種類以上を混合して用いることができる。
重合開始剤(b)
本発明で用いるアクリル系有機マトリックス(A)は、重合開始剤(b)を含有している。かかる重合開始剤としては、有機過酸化物、無機過酸化物、ホウ素含有重合開始剤、α-ジケトン化合物、有機アミン化合物、有機スルフイン酸、有機スルフィン酸塩、無機硫黄化合物、有機燐化合物およびバルビツール酸類を挙げることができる。これらは1種または2種以上用いることができる。これらの重合開始剤は、便宜上、常温化学重合タイプ、光重合タイプ、またはこれらの複合したデュアルタイプなどが挙げられる。常温化学重合タイプで使用される過酸化物としては、例えばジアセチルペルオキシド、ジプロピルペルオキシド、ジブチルペルオキシド、ジカプリルペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、過酸化ベンゾイル(BPO)、p,p’-ジクロルベンゾイルペルオキシド、p,p’-ジメトキシベンゾイルペルオキシド、p,p’-ジメチルベンゾイルペルオキシド、p,p’-ジニトロベンゾイルペルオキシドなどの有機過酸化物および過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、塩素酸カリウム、臭素酸カリウムおよび過リン酸カリウムなどの無機過酸化物を挙げることができる。これら過酸化物のアクリル系有機マトリックス(A)中の重合性成分に対する割合は好ましくは0.01重量%〜5重量%の範囲内の量で使用される。
重合開始剤のうちホウ素含有重合開始剤としては、一般に、有機ホウ素化合物、またはこれを含有してなる組成物を挙げることができる。有機ホウ素化合物としては、例えばトリエチルホウ素、トリプロピルホウ素、トリイソプロピルホウ素、トリブチルホウ素、トリ−sec−ブチルホウ素、トリイソブチルホウ素、トリペンチルホウ素、トリヘキシルホウ素、トリオクチルホウ素、トリデシルホウ素、トリドデシルホウ素、トリシクロペンチルホウ素、トリシクロヘキシルホウ素などのトリアルキルホウ素類;ブトキシジブチルホウ素などのアルコキシアルキルホウ素類;ブチルジシクロヘキシルボラン、ジイソアミルボラン、9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナンなどのジアルキルボランおよび上記の化合物の一部が部分的に酸化された化合物などを挙げることができる。さらに、これらの化合物は組み合わせて使用することができる。これらの中ではトリブチルホウ素、あるいは部分酸化したトリブチルホウ素が好ましく用いられる。部分酸化したトリブチルホウ素としては、例えばトリブチルホウ素1モルに対し酸素を0.3〜0.9モル付加させたものが好ましく用いられる。これら有機ホウ素化合物は、アクリル系有機マトリックス(A)中に含有される重合性成分に対して、好ましくは0.1重量%〜50重量%の範囲内の量で使用される。
また、光重合タイプで使用される重合開始剤としては、紫外光線もしくは可視光線を照射することによって光重合することができる重合開始剤である。かかる光重合の際に使用できる重合開始剤に特に制限はないが、例えばベンジル、4,4’-ジクロロベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、9,10-アントラキノン、ジアセチル、d,1-カンファーキノン(CQ)、トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドなどの紫外線または可視光線増感剤が挙げられる。これら紫外光線もしくは可視光線を照射することによって光重合することができる重合開始剤は、アクリル系有機マトリックス(A)中の重合性成分に対して、好ましくは0.01重量%〜5重量%の範囲内の量で使用される。
アクリル系有機マトリックス(A)を常温化学重合もしくは光重合によって重合させる際には、還元性化合物を併用することができる。ここで、有機還元性化合物としては、例えばN,N-ジメチルアニリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン(DMPT)、N,N-ジエチル-p-トルイジン、N,N-ジエタノール-p-トルイジン(DEPT)、N,N-ジメチル-p-tert-ブチルアニリン、N,N-ジメチルアニシジン、N,N-ジメチル-p-クロルアニリン、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステル、N,N−ジエチルアミノ安息香酸(DEABA)およびそのアルキルエステル、N,N−ジメチルアミノベンツアルデヒド(DMABAd)などの芳香族アミン類;N-フェニルグリシン(NPG)、N-トリルグリシン(NTG)、N,N-(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)フェニルグリシン(NPG−GMA)などを併用することができる。
特に、本発明で使用されるアクリル系有機マトリックス(A)を確実に硬化させ、さらに補強用繊維、無機材料および歯質に対する接着性を向上させるためには、下記式[I]で表わされるアミン化合物または下記式[II]で表わされるアミン化合物の少なくとも一種を含有させることが好ましい。
Figure 0004413281
上記式[I]において、R1およびR2は互いに独立に水素原子であるかあるいは官能基もしくは置換基を有していてもよいアルキル基であり、そしてR3は水素原子または金属原子である。
Figure 0004413281
上記式[II]において、R4およびR5は互いに独立に水素原子またはアルキル基であり、そしてR6は水素原子であるかあるいは官能基もしくは置換基を有していてもよいアルキル基または同様のアルコキシル基である。
これらアミン化合物は、アクリル系有機マトリックス(A)中に、好ましくは0.01重量%〜5重量%の範囲内の量で配合される。
式[I]で表されるアミン化合物の例としては、NPG、NTGおよびNPG−GMAなどを挙げることができる。このうちNPGが特に好ましく用いられる。式[II]で表されるアミン化合物の例としては、N,N−ジメチルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステル、N,N−ジエチルアミノ安息香酸(DEABA)およびそのアルキルエステルの他、N,N−ジプロピルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステル、N−イソプロピルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステル、N−イソプロピル−N−メチルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステルなどで代表される脂肪族アルキルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステル類;DMABAd、N,N−ジエチルアミノベンツアルデヒド、N,N−ジプロピルアミノベンツアルデヒド、N−イソプロピル−N−メチルアミノベンツアルデヒドなどで代表される脂肪族アルキルアミノベンツアルデヒド類;N,N−ジメチルアミノアセチルベンゼン、N,N−ジエチルアミノアセチルベンゼン、N,N−ジプロピルアミノアセチルベンゼン、N−イソプロピルアミノアセチルベンゼン、N−イソプロピル−N−メチルアミノアセチルベンゼンなどで代表される脂肪族アルキルアミノアセチルベンゼンおよび脂肪族アルキルアミノアシルベンゼン類などを挙げることができる。これらのアミン化合物は単独であるいは組み合わせて使用できる。
また、本発明で使用されることもある還元性化合物の例としては、ベンゼンスルフィン酸、o-トルエンスルフィン酸、p-トルエンスルフィン酸、エチルベンゼンスルフィン酸、デシルベンゼンスルフィン酸、ドデシルベンゼンスルフィン酸、クロルベンゼンスルフィン酸、ナフタリンスルフィン酸などの芳香族スルフィン酸またはその塩類を併用することもできる。
無機還元性化合物としては、硫黄を含有する還元性無機化合物が好ましく使用できる。かかる化合物としては、水または水系溶媒などの媒体中でラジカル重合性単量体を重合させる際にレドックス重合開始剤として使用される還元性無機化合物が好ましく、例えば亜硫酸、重亜硫酸、メタ亜硫酸、メタ重亜硫酸、ピロ亜硫酸、チオ硫酸、1亜2チオン酸、1,2チオン酸、次亜硫酸、ヒドロ亜硫酸およびこれらの塩が挙げられる。このうち亜硫酸塩が好ましく用いられ、特に亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウムが好ましい。これらの還元性無機化合物は単独でもしくは組み合わせて使用できる。これら還元性無機化合物は、アクリル系有機マトリックス(A)中の重合性成分に対して好ましくは0.01重量%〜5重量%の範囲内の量で使用される。
有機繊維および無機繊維(B)
本発明で支台構築に使用される歯科支台構築用補強芯材は、上記のようなアクリル系有機マトリックス(A)と、有機繊維および/または無機繊維(B)とからなる。
ここで有機繊維の例としては、アクリル繊維、アセテート繊維、銅アンモニア繊維、ポリアミド繊維(例:ナイロン46繊維、ナイロン6繊維、ナイロン66繊維、ナイロン612繊維、ナイロン10繊維、半芳香族ポリアミド繊維、芳香族ポリアミド繊維)、アラミド繊維、ポリイミドアミド繊維、ポリイミド繊維、ビスコースレーヨン繊維、ポリビニリデン繊維、ビニロン繊維、フッ素樹脂繊維、プロミックス繊維、ポリアセタール繊維、ポリウレタン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、超高分子量ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維を挙げることができる。
本発明で用いられる無機繊維としては、例えば、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、カルシウムアルミネート(CaO-Al2O3系)およびアルミノシリケート(Na2O-Al2O3-SiO2系)等の生体内不活性酸化物;カーボン(virtous,pyrolytic,graphite)、窒化珪素(Si3N4)および炭化珪素(SiC)等の生体内不活性非酸化物;通常のガラス繊維、特にバイオグラス(SiO2-Na2O-CaO-P2O5系)、セラブタール(SiO2-CaO-Na2O-P2O5-K2-MgO系)およびCPSAガラス(CaO-P2O5-SiO2-Al2O3系)等の生体内活性生体ガラス;マイカ系結晶ガラス(SiO2-B2O3-Al2O3-MgO-K2O-F系)、A−W結晶化ガラス(SiO2-CaO-MgO-P2O5系)およびβ-Ca(PO 4 2 系結晶化ガラス(CaO-P2O5系)等の生体内活性結晶化ガラス;ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO46(OH)2)等の生体内活性リン酸カルシウム;トリカルシウムホスフェート(TCP:(Ca3(PO42)、テトラカルシウムホスフェート(4CP:(Ca4O(PO42)および低結晶性ハイドロキシアパタイト等の生体内崩壊性リン酸カルシウム;ならびに、可溶性カルシウムアルミネート(CaO-Al2O3系)等の生体内崩壊性カルシウムアルミアルミネートから形成される繊維を挙げることができる。
これらの繊維の中でも無機繊維であることが好ましく、さらに、ガラス繊維が好ましく、さらに生体親和性のある繊維、例えばCaO-P2O5-SiO2-Al2O3系生体材料用ガラス繊維(CPSAガラス繊維)が、本発明では特に好ましい繊維である。このCPSAガラス繊維において、繊維中におけるカルシウム/リンのモル比が通常は0.5〜3.0の範囲内にあり、この繊維中における酸化カルシウム成分と五酸化二燐成分との合計が通常は20〜60重量%の範囲内にあり、さらに二酸化珪素成分と酸化アルミニウム成分との合計が、通常は35〜80重量%の範囲内にある。このようなCaO-P2O5-SiO2-Al2O3系生体材料用ガラス繊維(CPSAガラス繊維)の詳細は、特公平62-12322号公報、特公平1-30927号公報および特公平2-10244号公報ならびに米国特許第4613577号明細書および米国特許第4820573号明細書などに記載されている。
本発明で使用される有機繊維あるいは無機繊維(短繊維)の直径は、通常は1〜30μm、好ましくは3〜15μmの範囲内にある。このような繊維は単独で使用することもできるが、撚糸あるいは交差させた糸(編まれた繊維、組まれた繊維)にして使用することにより弾性係数の調整が容易になる。この場合の撚数あるいは交差回数は、通常は0.5〜10回/25mm、好ましくは1〜5回/25mmである。このような撚糸あるいは交差させた糸は、通常は10〜20000デニール、好ましくは50〜10000デニールの範囲内ある。
本発明では、上記のような繊維が複数含有されているが、この場合において、この複数の繊維は同一であっても異なっていてもよい。
上記のような繊維は、例えばカップリング剤、特にγ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のカップリング剤を用いて前処理した後に用いることが好ましい。このようなカップリング剤を用いた前処理には、通常は、有機溶媒にカップリング剤を溶解し、この中に上記繊維、あるいは、編まれた繊維、組まれた繊維を浸潰した後、溶液から引き上げて乾燥する方法が採用される。また、こうしてカップリング剤に浸潰して引き上げた後、この繊維を加熱することが好ましい。
歯科支台構築用補強芯材
本発明で使用される歯科支台構築用補強芯材は、アクリル系有機マトリックス(A)が、上記のような繊維(B)の集合体に含浸されている。アクリル系有機マトリックス(A)を繊維(B)の集合体中に含浸させる方法として、例えば、繊維を予めアクリル系有機マトリックスで被覆する方法、アクリル系有機マトリックス(A)と繊維の集合体(B)とが減圧条件下に接触する工程を設ける方法等を採用することができる。
本発明で使用される補強芯材は、アクリル系有機マトリックス(A)を繊維(B)に含浸後、例えば短時間の光照射により部分重合させておいてもよい。こうすることにより、補強芯材のベタツキが少なくなり、取り扱いが容易になる。また、好適に使用可能なアクリル系有機マトリックス(A)の選択の幅が広がる。従ってアクリル系有機マトリックス(A)に含有される重合開始剤は光重合開始剤が好ましい。
本発明で使用される歯科支台構築用補強芯材における繊維の占める容積率は、通常は5〜95%、好ましくは20〜80%の範囲内で調整することができる。この繊維の占める容積率を調整することにより、本発明で使用される歯科支台構築用補強芯材の機械的・物理的特性を制御することができる。
充填材
上記のような歯科支台構築用補強芯材は、通常は、充填材と共に使用される。
ここで歯科支台構築用補強芯材と共に使用される充填材としては、一般にコンポジットレジン等として使用されている充填材を用いることができるが、特に本発明では、樹脂成分として上記歯科支台構築用補強芯材を構成するアクリル系有機マトリックス(A)と同一または類似したモノマー成分組成を有する充填材が好ましい。このようにアクリル系有機マトリックス(A)と同一または類似したモノマー組成の充填材を使用することにより、アクリル系有機マトリックス(A)と充填材のモノマーとが一体となって樹脂を形成するので、補強芯材と充填材との境界が生ずることがなく全体が一体となる。
すなわち、本発明で使用される充填材(C)は、上記アクリル系有機マトリックス(A)と同一または近似した重合性(メタ)アクリル酸エステル(a)および重合開始剤(b)を含有している。ここで使用される重合性(メタ)アクリル酸エステル(a)および重合開始剤(b)の具体的な例は、上記アクリル系有機マトリックス(A)におけるのと同一である。また、重合性(メタ)アクリル酸エステル(a)および重合開始剤(b)以外の成分を含有していても良い。
フィラー
特に本発明で使用される充填材(C)にはフィラーを配合することが好ましい。ここで使用するフィラーとしては、有機質フィラー、無機質フィラーおよび有機質複合フィラーから選択される少なくとも1種のフィラーある。
有機質フィラーとしては、重合体の粉砕もしくは分散重合によって得られた粉末重合体のフィラーや架橋剤を含む重合性単量体を重合させた後粉砕して得られたフィラーを挙げることができる。ここで、有機質フィラーの原料となる重合性単量体としては特に限定はないが、重合性単量体の単独重合体もしくは共重合体が好ましく使用される。これらの重合体の例としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸プロピル、ポリメタクリル酸ブチル(PBMA)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリビニルアルコール(PVA)およびそれらを形成する単量体が2種以上共重合して得られる共重合体などを挙げることができる。
無機質フィラーとしては、例えばシリカ、シリカアルミナ、アルミナ、アルミナ石英、ガラス(バリウムガラスを含む)、チタニア、ジルコニア、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、雲母、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化チタン、リン酸カルシウムなどを挙げることができる。これらは通常のカップリング処理を施すことが好ましい。
有機質複合フィラーとしては、前述した無機質フィラー表面で前述の重合性モノマーを重合させて無機質フィラーを被覆した後、粉砕して得られるフィラーを挙げることができる。具体的には、無機質フィラーである微粉末シリカまたは酸化ジルコニウムなどをトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートを主成分とする重合性単量体を重合させることにより被覆し、得られた重合体を粉砕したフィラー等を挙げることができる。
これらフィラーは、充填材中の重合性(メタ)アクリル酸エステル(a)および重合開始剤(b)の合計100重量部に対して、通常1〜1000重量部の範囲内の量で、好ましくは10〜500重量部の範囲の量で使用される。
このような充填材と補強芯材との複合体は、歯質と同程度の機械的・物理的特性を有していることが好ましい。
歯質、特に本発明の充填材が接触する歯牙の象牙質の曲げ強度は、通常は138〜270MPaであり、また曲げ弾性率は通常は12〜19MPaであることが知られている(例えば、歯科材料・器機Vol.14,No.6,P555-562(1997):「歯科修復物に望まれる物理的・機械的性質の適正値について」参照)。従って、本発明の補強芯材と接着性充填材との複合体の曲げ弾性率は12〜19MPaの範囲内にあることが好ましい。このような曲げ弾性率を発現させることにより、蓄積応力等による歯質の破折を防止することができる。
補強芯材構築用キット
本発明の繊維含有歯科用支台は、上記のようなアクリル系有機マトリックス(A)が含浸された繊維(B)と、充填材とを個別に梱包した補強芯材構築用キットを使用して形成することが好ましい。
本発明で使用される補強芯材構築用キットでは、アクリル系有機マトリックス(A)が含浸された繊維(B)と、充填材(C)とを個別に梱包するなど、保存貯蔵中に硬化反応が進行しないように包装されている。そして、使用時に補強芯材と充填材(C)とを使用して支台を作製する。また、充填材(C)は、貯蔵時等におけるモノマーの重合反応の進行を抑制するために、モノマーと重合開始剤とが接触しないように梱包されるか、あるいは、例えば光重合開始剤を用いる場合には、光が透過しない素材を用いて梱包されている。これにさらに重合性モノマー組成物と重合開始剤とからなる歯科用接着剤セットを付属させてもよい。重合性モノマー組成物は、有機マトリックス(A)または充填材(C)と同様な重合性モノマーおよびフィラーから適宜選択され使用される。重合開始剤は、常温重合開始剤が好ましく用いられ、なかでもトリブチルホウ素の部分酸化物等の有機ホウ素化合物が特に好ましい。
本発明の補強芯材構築用キットは、例えば次のようにして使用される。
まず、歯牙の根管拡大および消毒を行う。
その上で、根管に充填材(C)を入れ(図2参照)、続いて補強芯材を挿入する(図3参照)が、分離剤を歯牙表面に塗布し、歯牙と支台との分離を容易にすることが好ましい。ここで分離剤としては、具体的にはワセリン、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコール、アルジネート系分離材等が例示される。
充填材(C)が硬化した後、補強芯材と硬化した充填材が一体化した支台を根管から取り外す(図4参照)。
続いて、この支台に歯科用接着性レジンセメント等を塗布し歯質に再装着・固定するわけであるが、この際、歯質表面に酸性の前処理剤(クエン酸10重量%と塩化第2鉄3重量%とを含有する水溶液など)で前処理することが好ましい(図5、図6参照)。
そして、この固定された支台に必要により歯冠等を固定する(図7参照)。
金属線入り歯科用支台
本発明の金属線入り歯科用支台は、根尖部に根管充填材が充填されている歯牙の内部に挿入される、コア部とポスト部とからなる歯科用支台であって、
該コア部の頂上中心部から該ポスト部の縦方向中心部に1本または複数本の金属線が配されており、
該金属線の先端部が、該根管充填材の表面またはその近傍まで達するようになっている歯科用支台である。
本発明の金属線入り歯科用支台は、たとえば図8に示すように根尖部に根管充填材4が充填されている歯牙3の内部に挿入される、コア部1aとポスト部1bとが一体化されてなる歯科用支台1である。そして、このコア部1aの頂上中心部からポスト部1bの縦方向中心部に1本または複数本の金属線5が配されており、この金属線5の先端部が、根管充填材4の表面またはその近傍まで達するようになっている。金属線入り歯科用支台1は、金属線5とその周囲を被覆する素材(好ましくはコンポジットレジン系材料6)とから構成されている。
金属線
本発明で用いられる金属線は、引き抜くことが容易な形態であれば特に制限はなく、金属線を引き抜くに当たって、引き抜きを困難にするような凹凸部分が周面に形成されていない金属線であることが必要である。金属線の好ましい形態としては、金属線の一端から他端まで全く同じ太さの円柱もしくは角柱、また金属線の一端から他端まで徐々に細くなっている円錐もしくは角錐の形状が挙げられる。この円錐もしくは角錐形状の金属線を歯科用支台に用いる場合、金属線の尖っている方の端を根尖部の方に向けてセットする。この金属線は、再治療の際の引き抜きが容易なように、金属線の表面が滑らかであること好ましい。金属線の表面の滑らかさは、歯科用支台から金属線を引き抜くに際して大きな抵抗がなく金属線が容易に引き抜ける程度であればよい。この表面粗さについて、たとえばJIS B 0601に準拠して測定すると、その表面粗さは、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下である。
本発明で用いられる金属線の素材としては、通常歯科用途として口腔内で用いられる金属であれば特に問題なく使用することができるが、金属線は、口腔内に長期間置かれることになるから、腐蝕し難い材質であることが好ましい。具体的には、鉄、クロム、ニッケル、コバルト、銀、金、白金、銅、チタン、タングステンおよびこれらの合金等の金属線が挙げられる。これらのうち、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、ニッケルクロム合金およびチタン合金からなる金属線が好ましく、特にチタン合金からなる金属線が好ましい。これらの金属線は、メッキ等の表面処理が施されていてもよい。
金属線の太さは、通常は0.05〜3mm、好ましくは0.1〜2mm、さらに好ましくは0.2〜1mmである。また、金属線の長さは、通常3〜50mm、好ましくは5〜30mm、さらに好ましくは10〜20mmである。
金属線の弾性率は、通常は10〜500GPa、好ましくは50〜400GPa、さらに好ましくは100〜200GPaである。本発明で使用される金属線は、引き抜き時に金属線が塑性変形して伸びることがない金属線が好ましい。また、金属線の伸びは、通常は100%以下、好ましくは50%以下である。
金属線1本の歯科用支台からの引き抜き強度は、引き抜き易さの面から、通常は0.05〜10kg、好ましくは0.3〜5kg、さらに好ましくは0.5〜3kgである。
本発明において金属線の引き抜き強度は、歯科用支台試料を引張試験機に固定し、この支台試料の頂上中心部から突き出ている金属線の先端部をチャックで固定して、クロスヘッドスピード1mm/分で金属線を引き抜いたときの最大強さを引き抜き強度とする。
金属線被覆用素材
本発明の金属線入り歯科用支持台を構成する金属線の周囲を被覆する素材としては、通常歯科用支台の素材として用いられる金属、セラミック、カーボン、レジン等が使用することができるが、上記金属線と組み合わせて歯科用支台を作製する場合、形態の付与や加工が簡単なレジン系材料を使用することが好ましい。特に歯科用支台の材料として、歯冠材料や充填材料として近年多く用いられているコンポジットレジン系材料が好ましく用いられる。
このようなコンポジットレジン系材料としては、アクリル系有機マトリックス(A)と充填材(B)とを組み合わせた複合材料が好ましく用いられる。
このアクリル系有機マトリックス(A)は、重合性(メタ)アクリル酸エステル(a)および重合開始剤(b)を含有する硬化性組成物である。ここで使用される(メタ)アクリル酸エステル(a)には、単官能重合性モノマーと、多官能重合性モノマーとがある。
単官能重合性モノマーとしては、上記繊維含有歯科用支台の説明において示した(メタ)アクリレート系モノマー(a1)が好ましく使用される。また、重合性(メタ)アクリル酸エステル(a)として多官能重合性モノマーを使用することもでき、この多官能重合性モノマーとしても上記繊維含有歯科用支台の説明において示した多官能重合性モノマーを使用することができる。この金属線入り歯科用支台で用いられるアクリル系有機マトリックス(A)には、重合開始剤(b)が含有されており、この重合開始剤としては、前述の繊維含有歯科用支台の説明において示した有機過酸化物、無機過酸化物、ホウ素含有重合開始剤、α−ジケトン化合物、有機アミン化合物、有機スルフィン酸、有機スルフィン酸塩、無機硫黄化合物、有機燐化合物およびバルビツール酸類を挙げることができる。また、アクリル系有機マトリックス(A)を常温化学重合もしくは光重合によって重合させる際には、還元性化合物を併用することができ、この還元性化合物としては、上記繊維含有歯科用支台の説明の際に示した有機還元性化合物および無機還元性化合物を使用することができる。この金属線入り歯科用支台の構築に用いられるアクリル系有機マトリックス(A)には、上記繊維含有歯科用支台の説明において示した充填材(B)である有機質フィラー、無機質フィラーおよび有機質複合フィラーから選択される少なくとも1種のフィラーを含有させることができる。
本発明の金属線入り歯科用支台は、図8に示すように、支台1の芯として金属線5が支台1の頂部より根尖部まで配されている。このような本発明に係る歯科用支台が歯牙内部に埋め込まれた歯の再治療時には、まずクラウン等の歯冠部の構造体を取り外し、支台のコア部分の頂部を若干量削除して金属線の頂部をむき出しにし、その金属線のむき出し部分をプライヤーなどで挟んで金属線を引き抜く。その後、この金属線を引き抜いた穴を通して、または、その穴を拡大した穴を通して根尖部の治療を行う。
支持軸固定部材付き歯科用支台(歯科用ポスト)
本発明の支持軸固定部材付き歯科用支台(歯科用ポスト)は、図9に示すように、支持軸91と、この支持軸を上下可動軸とする支持軸固定部材92とからなる。
この支持軸は、金属、セラミックス材料あるいは繊維と樹脂とからなる複合材料で形成された柱状物であり、その直径は通常は0.05〜3mm、好ましくは0.2〜2mmであり、その長さは通常は1〜50mm、好ましくは5〜30mmである。上記範囲内において、治療する歯牙の大きさに合わせてその直径および長さを適宜設定することができる。殊にこの支持軸の長さは、治療される歯牙に必要な長さよりも相当長くすることにより作業性を向上させることができる。そして、植設後、必要な時期に余剰の支持軸は切断される。また、穿設されたポスト孔に植設される基端部は、図9に示すように、この支持軸の幅方向の中心を頂点とする逆さ円錐状に形成されていることが好ましい。このように基端部を尖らせることにより、穿設されたポスト孔の深部にまで支持軸を挿入することができると共に、穿設されるポスト孔の深部の直径を過度に大きくする必要がない。
このような支持軸は、金属、セラミックス材料、繊維と樹脂との複合材料、無機フィラーと樹脂からなる複合材料のように硬質材料で形成されている。ここで使用することができる金属は、腐食性がなく、人体に対して悪影響を及ぼすことのない金属または合金であり、こうした金属の例としては、金、銀、白金、パラジウム、銅、鉄、コバルト、クロム、ニッケルおよびこれらの合金を挙げることができる。特に本発明では、これらの金属に中でもステンレス鋼、コバルト−クロム合金、ニッケル−クロム合金、歯科用銀合金、歯科用金銀パラジウム合金が好ましく使用される。また、この支持体は、セラミックス材料で形成されていてもよい。ここで使用することができるセラミックス材料は、同様に、人体に対する影響がなく、長期間にわたってその特性が変動しない材料が使用される。このようなセラミックス材料の例としては、アルミナ、ジルコニア、窒化珪素およびシリカを挙げることができる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。また、この支持軸は、繊維と樹脂とからなる複合材料で形成されていてもよい。ここで使用することができる繊維としては、通常の合成繊維の他、カーボン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、金属繊維などを挙げることができるが、これらの中でもカーボン繊維および/またはガラス繊維を使用することが好ましい。これらの繊維は単独であるいは組み合わせて使用することができる。このような繊維に樹脂を含浸させて硬化させることにより柱状物を製造することができる。ここで使用することができる樹脂は、水に対して不溶性であって、長期間水と接触しても加水分解等の化学的変化あるいは応力劣化を生じにくい樹脂が使用される。このような樹脂としては反応硬化型樹脂が好ましく、特にエポキシ樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂を使用することが好ましく、さらにこれらのなかでもアクリル樹脂が特に好ましい。このような樹脂は単独であるいは組み合わせて使用することができる。上記のような繊維および樹脂から複合材料を形成する際には、繊維100重量部に対して樹脂を通常は1〜1000重量部、好ましくは10〜100重量部の量で使用して、繊維に樹脂を含浸させて樹脂を硬化させる。この際、繊維は撚糸されていてもよいし、また組編みされていてもよい。
また、支持軸は、無機フィラーと樹脂とからなる複合材料から形成されていてもよい。ここで無機フィラーとしては、例えばシリカ、シリカアルミナ、アルミナ、アルミナ石英、ガラス(バリウムガラスを含む)、チタニア、ジルコニア、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、雲母、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化チタン、リン酸カルシウムなどを挙げることができる。これらは通常のカップリング処理を施すことが好ましい。また、この無機フィラーと共に使用される樹脂としては、前述の樹脂を挙げることができる。
支持軸は、上記のような金属、セラミックス材料、複合材料を用いて形成されるが、当初から支持軸の直径および長さになるように製造してもよいし、また、所望の大きさよりも大きい柱状体を形成し、これを研磨あるいは切削して所望の形状の柱状体とすることもできる。殊に、柱状体の基端部のテーパーは、研磨あるいは切削により形成することが好ましい。
この柱状体の基端部に形成されるテーパーの角度は、通常は120〜10度、好ましくは30〜90度である。このように角度で基端部を形成することにより支持軸をポスト孔の深部にまで挿入可能であり、支持軸の固定がより確実になる。
このような支持軸91の先端近傍には、支持軸固定部材12が、この支持軸91に嵌挿されて配置されている。この支持軸固定部材2は、支持軸91を移動軸として上下に移動可能に支持軸91に嵌挿されている。この支持軸固定部材92は、上記のような構成を有していればその形態に特に制限はないが、図9に示すように、円筒状であることが好ましい。即ち、この円筒状の支持軸固定部材92は、支持軸91を嵌挿するための貫通孔を有する円筒状、角筒状などの種々の形態にすることができる。また、この支持軸固定部材92の少なくとも底端部、好ましくは底端部および上端部が、テーパー状に形成されていることが好ましい。本発明の歯科用ポストを植設するために穿設されるポスト孔は、深さが深くなるに従って、先細になることが多く、このように支持軸固定部材92の底端部にテーパーを形成することにより、この支持軸固定部材92を穿設されたポスト孔の奥にまで挿入することができ、従って、支持軸91をより確実に固定することができる。ここで形成されるテーパーの角度は、適宜設定することができるが、通常は5〜90度、好ましくは10〜30度である。
この支持軸固定部材92の直径は、治療しようとする歯牙に対応させて適宜設定することができるが、通常は0.1〜5mm、好ましくは0.3〜3mmの範囲内にあり、また、その長さは0.5〜40mm、好ましくは3〜20mmであり、その長さは、通常は支持軸の長さの10〜90%、好ましくは25〜75%である。
この支持軸固定部材92に形成されている貫通孔の直径は、支持軸の直径の101〜200%の範囲内にあることが好ましい。このように両者の直径を設定することにより、支持軸固定部材によって支持軸が確実に固定され、また、支持軸固定部材を円滑に支持軸基端部方向に押し込むことができる。
この支持軸固定部材は、支持軸を形成している素材で形成することができる。
即ち、このような支持軸固定部材は、金属、セラミックス材料、繊維と樹脂との複合材料、無機フィラーと樹脂との複合材料のように硬質材料で形成されている。ここで使用される金属の例としては、上記支持軸を形成することができる金属と同様に、腐食性がなく、人体に対して悪影響を及ぼすことのない金属または合金であり、こうした金属の例としては、金、銀、白金、パラジウム、銅、鉄、コバルト、クロム、ニッケル、および、これらの合金を挙げることができる。特に本発明では、これらの金属に中でもステンレス鋼、コバルト−クロム合金、ニッケル−クロム合金、歯科用銀合金、歯科用金銀パラジウム合金が好ましい。また、セラミックス材料を用いる場合には、同様に、人体に対する影響がなく、長期間にわたってその特性が変動しないアルミナ、ジルコニア、および、シリカを使用することが可能である。さらに、繊維と樹脂とからなる複合材料で形成することができる。ここで使用することができる繊維としては、通常の合成繊維の他、カーボン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、金属繊維などを挙げることができ、また、複合材料を形成する樹脂としては、ポリスルホン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂や反応硬化型樹脂が好ましく、特にエポキシ樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂を使用することが好ましく、さらにこれらのなかでもアクリル樹脂が特に好ましい。こうした複合材料を使用して支持軸固定部材は、例えば、繊維で筒状体を製造し、この筒状体に樹脂を含浸して硬化させることにより製造することもできるし、他の素材を用いる場合と同様に切削あるいは研磨により形成することもできる。
また、支持軸固定部材は、無機フィラーと樹脂との複合材料であってもよく、ここで使用することができる無機フィラーおよび樹脂としては、支持軸の説明に際に例示したものを挙げることができる。
また、本発明の歯科用ポストにおいて、支持軸と支持軸固定部材とは同一の素材で形成することもできるし、異なる素材で形成することもできる。
本発明の歯科用ポストは、例えば、図10に示すように使用される。
まず、治療を必要とする歯牙にポスト孔を穿設する。次いで、こうして形成されたポスト孔に歯科用の接着剤121を充填する。こうして接着剤121を充填した後、接着剤が硬化する前に本発明の歯科用ポストの支持軸91を、尖った基端部を先頭にしてポスト孔に挿入する。こうして歯科用ポストの支持軸91を接着剤が充填されたポスト孔に挿入することにより押しのけられた歯科用接着剤が支持軸91に沿ってポスト孔内を上昇する。こうして、歯科用ポストの支持軸91をポスト孔に挿入した後、支持軸固定部材92をポスト孔の下方に押し下げる。ポスト孔内には、充填剤121が充填されており、支持軸固定部材92を押し下げることにより、支持軸91と支持軸固定部材92との間および支持軸固定部材92と歯牙との間が接着剤121で満たされる。
次いで、上記歯科用接着剤121を硬化させることにより、歯牙と支持軸固定部材と支持軸とが硬化した接着剤121によって一体化される。なお、歯科用接着剤の硬化には、光、熱等外部エネルギーを利用することもできるし、また接着剤を用いる直前に硬化剤を配合して硬化させることもできる。
こうして接着剤によって歯牙と支持軸固定部材と支持軸とを一体化した後、余剰の支持軸、硬化接着剤、支持軸固定部材を研磨して支台とする。こうして形成された支台の上に通常の方法に従って歯冠等を配置して歯質の修復を行う。
本発明の歯科ポストは、上記のような構成を有しているか、さらに種々改変することができる。
例えば、図11に示すように支持軸91に螺旋溝95を形成すると共に、支持軸固定部材92の円筒内周壁面に上記螺旋溝95と螺合する螺旋溝96を形成して支持軸91と支持軸固定部材92とが螺合するようにしてもよい。このように支持軸91と支持軸固定部材92とを螺合する場合には、支持軸固定部材92を支持軸91の基端部方向に押し下げる代わりに、支持軸固定部材92を回転することにより確実にポスト孔の深部に到達させることができる。また、本発明の歯科用ポストは、図12に示すように、支持軸91に長さの異なる支持軸固定部材92a,92b,92c...を巻回し、支持軸固定部材92の下端部にテーパーを形成してもよい。このような支持軸固定部材92a,92b,92c...は、例えば異なる径の筒状物(例えば金属筒)等で形成することもできるし、また、繊維に樹脂を含浸させた筒状物で形成することもできる。このような本発明の歯科用ポストは、図13に示すように、支持軸91をホスト孔に挿入した後、支持軸固定部材12をポスト孔の下方に押し下げて同様に使用する。
発明の効果
本発明の繊維含有歯科用支台は、このアクリル系有機マトリックス(A)が含浸された無機繊維および/または有機繊維(B)からなる補強芯材と充填材(C)とから形成されており、この補強芯材は充填材(C)と非常に良好な接着性を有している。特に充填材として、アクリル系有機マトリックス(A)を構成する重合性成分と同一または近似したモノマー組成とすることにより、補強芯材と充填材(C)とが強固に一体化した支台となる。しかもこうして構築された支台は、歯質と同程度の物理的・機械的特性を有しているので、応力がかかっても歯質と同程度に撓み、歯質との境界部等に残留応力が蓄積しない。従って、本発明の補強芯材は長期間にわたって良好に歯質と接着する。
また、本発明の繊維含有歯科用支台は、歯根を穿孔して形成された孔に補強芯材を挿入し、さらにその周囲に充填材を充填して硬化させることにより構築することが可能であり、1回の治療で支台を構築することができる。しかも、どのような形態の孔に対しても本発明による支台はその形状を変化させて完全に適合し、従って歯質と支台との間に装着不良を起こすこともない。
また、本発明の金属線入り歯科用支台は、芯として引き抜きやすい金属線を有しているので、歯の再治療に際し、人体に損傷を与えることなく、歯牙内部から容易に除去することができる。
さらに、本発明の支持軸固定部材付き歯科用支台(歯科用ポスト)は、支持軸とこの支持軸を稼働軸として上下動可能な支持軸固定部材とから構成されている。修復が必要な歯牙にポスト孔を穿設した後、歯科用接着剤をこのポスト孔に挿入して、支持軸を植設し、次いで支持軸固定部材を押し下げることにより、支持軸をポスト孔中央に確実に植設することができる。しかも、ポスト孔に歯科用接着剤を充填して支持軸を植設し、さらに支持軸固定部材を支持軸の基端部方向に押し下がることにより、歯牙と支持軸固定部材と支持軸とが硬化した歯科用接着剤によって一体化されるので、全体が共同して齲歯を強化することができる。また、このようにして形成されたポスト(支持軸)は、歯牙と支持軸固定部材と支持軸とが硬化した歯科用接着剤によって一体化されることから、例えばこの支持軸を支台として歯冠などを装着しても支台が安定しているので、治療した歯牙が長期間にわたって変化することがない。
実施例
以下に、本発明を実施例および比較例を示してさらに詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
ガラス繊維性の撚糸(日本ガラス繊維(株)製、商品名:マイクログラスヤーンYECG 37-1/5、撚数3.8回125mm、短繊維の呼び径9μm、換算デニール:6075)2m(重量1.37g)をエチルアルコール95重量%とγ−メタクロロキシプロピルトリメトキシシラン5重量%との混合液50mlに浸し、1時間放置した。その後、撚糸を混合液から取り出し、室温で10分間放置した後、80□に温度設定した送風定温乾燥機(東京理科器械(株)製、WFO-450ND)中で24時間放置、乾燥してガラス繊維の表面をシランカップリング処理した。
これとは別に、トリエチレングリコールジメタクリレート25重量部、1,6-ビス(メタクリロキシオキシカルボニルアミノ)-2,2,4-(2,4,4)トリメチルヘキサン75重量部、カンファキノン0.3重量部、および、N,N-ジメチルアミノ安息香酸-2-ブトキシエチル0.3重量部を混合して均一なモノマー組成物を調製した。
このモノマー組成物30g中にシランカップリング処理した上記ガラス繊維製の撚糸2mを浸し、ガラス繊維の間にモノマーオ組成物が含浸するように、減圧(約5mmHg)−常温の状態にそれぞれ1分間ずつ放置する操作を10回繰り返した。
続いて、撚糸をモノマー組成物中から取り出し、余分なモノマー組成物を拭い取りモノマーを含浸させた補強芯材とした(繊維含有率;60容量%)。
トリエチレングリコールジメタクリレート25重量部、1,6-ビス(メタクリロシキエチルオキシカルボニルアミノ)-2,2,4-(2,4,4)トリメチルヘキサン75重量部、カンファキノン0.3重量部、N,N-ジメチルアミノ安息香酸-2-ブトキシエチル0.3重量部、および、バリウムガラス(SCHOTTGLASWERKE(株)製、GM8235,平均粒径1μm、通常の方法で1重量γ-メタクリロキシプロピルメトキシシラン処理したもの)200重量部を混合して均一な充填材ペーストを調製した。
JIS T 6514の付図2に記載されたステンレス鋼製金型に、このペースト及び次に25mmに切断した上記補強芯材4本を充填し、これに可視光線照射器((株)モリタ東京製作所製、アルフアライトII)を用いて両面より可視光線を60秒づつ照射して幅2mm、厚さ2mm、長さ25mmの図14に示すような試験片を作製した。
この試験片におけるガラス繊維の体積含有率は27%である。
この試験片を37□の蒸留水中に24時間保持した後、JIS T 6514の5.8に記された方法でクロスヘッドスピード毎分1mmで曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
試験片は5個作製し、5回測定した平均値を測定値として以下に示す。
曲げ強度・・・・・355MPa
曲げ弾性率・・・・14GPa
また、この試験片の破壊面を電子顕微鏡(日本電子(株)製、JSM-5400)で観察したところ、樹脂とガラス繊維との間の界面剥離は観察されなかった。破壊形態は樹脂部分の凝集破壊およびガラス繊維の破断のみであり、ガラス繊維と樹脂部分との接着性が極めて良好であることがわかった。
文献(歯科材料・器機Vol.14,No.6,P555-562(1997):歯科修復物に望まれる物理的・機械的性質の適正値について)によれば、歯牙の象牙質の曲げ強度は、138〜270MPaであり、曲げ弾性率は12〜19MPaであり、上記組成物が歯牙象牙質に極めて似通った機械的性質を有していることがわかった。
比較例1
JIS T 6514の付図2に記載されたステンレス鋼製金型に実施例1で調製した充填材ペーストを充填し、これに可視光線照射器((株)モリタ東京製作所製、アルファライトII)を用いて両面より可視光線を60秒づつ照射して幅2mm、厚さ2mm、長さ25mmの試験片を作製した。ただし、この試験片にはガラス繊維は含有されていない。
この試験片を37□の蒸留水中に24時間保持した後、JIS T 6514の5.8に記された方法でクロスヘッドスピード毎分1mmで曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
試験片は5個作製し、5回測定した平均値を測定値として以下に示す。
曲げ強度・・・・・121MPa
曲げ弾性率・・・・6GPa
実施例2
実施例1において、補強芯材の有機マトリックス部分を曲げ試験片作製前に可視光線照射器((株)モリタ東京製作所製、アルファライトII)を用いて可視光線を60秒間照射して予備重合をした以外は、実施例1と同様に操作して試験片を作成し、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。
試験片は5個作製し、5回測定した平均値を測定値として以下に示す。
曲げ強度・・・・・332MPa
曲げ弾性率・・・・14GPa
実施例3
実施例2で使用した補強芯材および充填材ペーストを使用して図2〜7に従って実際の臨床治療のシュミレーションを行った。以下その手順を示す。
1.牛前歯の歯根部を先端より15mmの部分で切断して歯髄を取り除いた後、歯科技工用ダイヤモンドヘッド((株)松風製、ダイヤモンドHP)を用いて深さ12mm開口部の直径3mmの穴を形成し、支台構築用の歯牙のモデルとした。
2.図2に示すように、まず歯牙の穴に分離材としてワセリンを極薄く塗布した後、充填材ペーストを充填した。
3.図3に示すように、さらに補強芯材を3本穴の最奥部まで差し込み、可視光線照射装置(クルツァー(株)製、トランスルックスCL)を用いて可視光線を60秒間照射し、充填材を硬化させた。
4.図4に示すように、硬化した支台を歯牙から取り外し、歯牙および支台に付着した分離材を綿球で拭き取った。
5.図5に示すように、歯科用接着剤の前処理材(サンメディカル(株)製、スーパーボンドC&B用表面処理剤グリーン)を塗布し、10秒間放置した後流水にて10秒間洗浄した。
6.図6に示すように、歯科用接着剤(サンメディカル(株)製、スーパーボンドC&B)を用いて支台を歯牙に装着した。
7.支台部分に改めて充填材を盛り足して、可視光線照射装置(クルツァー(株)製、トランスルックスCL)を用いて可視光線を60秒間照射して硬化させた。
8.歯科用ダイヤモンドポイント(デレダインゲッツ、コンポジェイプ)を用いて硬化した支台を研削し支台部分を形成した。
9.歯科用合金((株)ジーシー製、キャストウェルMC12)および歯科用硬化レジン(サンメディカル(株)製、ニューメタカラーL)を用いた定法に従って、前装冠を作製し、歯科用接着剤(サンメディカル(株)製、スーパーボンドC&B)を用いて支台に装着した。
以上の作業が特に遅滞なくスムーズに進行でき、本発明のキットが実際の臨床治療に充分適用可能であることが証明された。
参考例4
抜去直後に冷凍保存した牛前歯を解凍し、歯根部を約15mmの長さで取り、歯髄を除去した。
次いで、歯髄除去により形成された歯髄腔を歯科用タービンで拡大し、さらに根尖部の穴を歯科用接着剤(サンメディカル(株)製、商品名スーパーボンドC&B)で閉塞して疑似治療用歯牙を作製した。
トリエチレングリコールジメタクリレート25重量部、1,6-ビス(メタクリロキシエチルオキシカルボニルアミノ)-2,2,4-(2,4,4)-トリメチルヘキサン75重量部、カンフアキノン0.3重量部、N,N-ジメチルアミノ安息香酸-2-ブトキシエチル0.3重量部およびバリウムガラス(SCHOTTGLASWERKE(株)製、商品名GM8235、平均粒径1μm、通常の方法で1重量%γ-メタクリロキシプロピルメトキシシラン処理したもの)200重量部を混合して均一なペーストを調製した。
このペーストを上記疑似治療用歯牙に充填し、中心部に直径0.4mm、長さ20mmのステンレス製針金を植立した(図8参照)。充填したペーストに歯科用可視光線照射器(クルツァー(株)製、商品名トランスルックスCL)より可視光線を60秒間照射してペーストを重合硬化させ、そのまま24時間室温で放置した後、硬化したペースト頂部を歯科用タービンで除去し、ステンレス針金の頂部をむき出しにした。次いで、このむき出したステンレス製針金をプライヤーを用いて引き抜いた。その結果、硬化ペーストの頂部から根尖部まで縦方向に貫通した通路が簡単に形成することができた。
なお、上記ステンレス製針金は、弾性率が153GPaであり、伸びが23%以下であった。また、ステンレス製針金の歯科用支台からの引き抜き強度は、0.6kgであった。

Claims (20)

  1. 根尖部に挿入されて歯科用接着剤によって歯牙に固定され得る歯科用支台であって、
    該歯科用支台が、充填材(C)と芯材とから形成され、根尖部に挿入される支持軸と該支持軸の先端に形成された先端部とからなり、さらに、該芯材が該歯科用支台の該先端部と支持軸とを連通し、
    該芯材が、シランカップリング処理されたガラス繊維に、重合性(メタ)アクリル酸エステル(a)および重合開始剤(b)からなる重合性物質であるアクリル系有機マトリックス(A)を含浸し、該アクリル系有機マトリックス(A)を硬化させてなる無機繊維(B)であることを特徴とする歯科用支台。
  2. 歯科用支台が、アクリル系有機マトリックス(A)と、無機繊維(B)と、重合性(メタ)アクリル酸エステル(a)および重合開始剤(b)からなる充填材(C)とから製造されることを特徴とする請求項1記載の歯科用支台。
  3. 根尖部に挿入されて歯科用接着剤によって歯牙に固定され得る歯科用支台であって、
    該歯科用支台が、根尖部に挿入される支持軸と該支持軸の先端に形成された先端部とからなり、さらに、該歯科用支台の該先端部と支持軸とを連通する芯材を有し、
    該芯材が、支持軸と少なくとも該支持軸を可動軸として上下に移動可能に嵌挿された支持軸固定部材であることを特徴とする歯科用支台。
  4. 歯質に穿設されたポスト孔に基端部を挿入することにより歯質に植設可能な支持軸と、該支持軸の先端部近傍に位置し、該支持軸を可動軸として上下に移動可能に嵌挿された支持軸固定部材とからなることを特徴とする請求項3に記載の歯科用支台。
  5. 支持軸のポスト孔に挿入する基端部が、該支持軸の幅方向の中心を頂点とする逆さ円錐状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の歯科用支台。
  6. 支持軸固定部材の少なくとも底端部が、テーパー状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の歯科用支台。
  7. 支持軸固定部材が、支持軸に沿って支持軸基端部方向に移動するように支持軸に嵌挿されていることを特徴とする請求項3に記載の歯科用支台。
  8. 支持軸と支持軸固定部材とが螺合しており、支持軸固定部材を回転することにより、支持軸固定部材が支持軸基端部方向に移動することを特徴とする請求項3に記載の歯科用支台。
  9. 支持軸または支持軸固定部材の少なくともいずれか一方が、金属、セラミックス材料、繊維と樹脂とからなる複合材料および無機フィラーと樹脂とからなる複合材料よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の材料で形成されていることを特徴とする請求項3に記載の歯科用支台。
  10. 支持軸および/または支持軸固定部材を形成する金属が、金、銀、白金、パラジウム、銅、鉄、コバルト、クロム、ニッケル、および、これらの合金よりなる群から選ばれる少なくとも一種の金属または合金を含有するものであることを特徴とする請求項3に記載の歯科用支台。
  11. 支持軸および/または支持軸固定部材を形成するセラミックス材料が、アルミナ、ジルコニア、および、シリカよりなる群から選ばれる少なくとも一種類の無機材料を含有するものであることを特徴とする請求項3に記載の歯科用支台。
  12. 支持軸および/または支持軸固定部材を形成する複合材料が、カーボン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維および金属繊維よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の繊維と、アクリル樹脂、エポキシ樹脂および不飽和ポリエステル樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の樹脂とから形成されてなることを特徴とする請求項3に記載の歯科用支台。
  13. 支持軸が歯科用接着剤によりポスト孔に接着固定可能であり、かつ支持軸固定部材を押し下げることにより該歯科用接着剤と接着して支持軸を歯質に接着固定可能にされていることを特徴とする請求項3に記載の歯科用支台。
  14. 重合性(メタ)アクリル酸エステル(a)および重合開始剤(b)からなる重合性物質であるアクリル系有機マトリックス(A)と、シランカップリング処理されたガラス繊維からなる無機繊維(B)とからなり、該アクリル系有機マトリックス(A)がシランカップリング処理されたガラス繊維からなる無機繊維(B)に含浸され、該アクリル系有機マトリックス(A)が硬化されていることを特徴とする歯科用支台構築用補強芯材。
  15. 上記アクリル系有機マトリックス(A)が、重合性(メタ)アクリル酸エステル(a)と重合開始剤(b)とからなることを特徴とする請求項14に記載の歯科用支台構築用補強芯材。
  16. 上記アクリル系有機マトリックス(A)が、重合性(メタ)アクリル酸エステル(a)の部分重合物を含むことを特徴とする請求項14または15に記載の歯科用支台構築用補強芯材。
  17. 上記重合開始剤(b)が、可視光重合開始剤であることを特徴とする請求項14に記載の歯科用支台構築用補強芯材。
  18. 重合性(メタ)アクリル酸エステル(a)および重合開始剤(b)からなる重合性物質であるアクリル系有機マトリックス(A)と、
    シランカップリング処理されたガラス繊維からなる無機繊維(B)とからなり、該アクリル系有機マトリックス(A)が該シランカップリング処理されたガラス繊維からなる無機繊維(B)に含浸され、該アクリル系有機マトリックス(A)が硬化されている歯科用支台構築用補強芯材と、
    重合性(メタ)アクリル酸エステル(a)および重合開始剤(b)からなる充填材(C)とからなることを特徴とする歯科用支台構築用キット。
  19. 上記充填材(C)が、さらに無機フィラーおよび/または有機フィラーを含有することを特徴とする請求項18に記載の歯科用支台構築用キット。
  20. さらに、歯科用接着剤との組み合わせからなる請求項19に記載の歯科用支台構築用キット。
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