JP5549864B2 - 同一負荷パターンを有する装置の省電力駆動装置及び方法 - Google Patents
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Description
なお、同一負荷パターン装置は、サーボプレス、プレス用ダイクッション、搬送装置、物流装置などの産業用装置を主に想定するが、それらには限定されない。
ここで「損失量」とは、バッテリから供給される電力とモータ出力との差、すなわち、バッテリからモータに到る電気回路(DC−DCコンバータ、インバータとモータを含む)およびモータ内部の磁気回路において発熱や電磁放射の形で失われる仕事量を意味する。
この損失量を低減する手段として、例えば特許文献1が既に提案されている。また、本発明に関連する技術が、特許文献2と非特許文献1,2に開示されている。
しかし、特許文献1の手段を各種装置、特にバッテリで駆動されるサーボプレス、プレス用ダイクッション、搬送装置、物流装置などの産業用装置に適用しようとすると以下の問題がある。
例えば、インバータとモータ間の配線、電磁ノイズ除去用素子(フェライトコアやフィルタ)、モータのロータにおける損失(ロータ内に誘導される電流による損失など)が考慮されていない。
また、産業用装置ではインバータとモータ間の配線が長かったり、電磁ノイズ除去用素子やモータが大型であったりするため、これらの構成要素からの損失量も無視できないことが多い。
これは、例えば、次の理由による。
(a)バッテリで駆動されるDC−DCコンバータと、DC−DCコンバータの出力で駆動されるインバータとを備える場合、DC−DCコンバータの出力電圧の最適化ができない。
(b)配線作業が現物合わせのため、配線の電気的特性が事前に予測できない。
(c)電磁ノイズ除去用素子が装置設置後に追加されることがある、
(d)モータが故障して交換されることがあるが、モータは一台ごとに特性が異なる。
(e)モータの温度は、装置の起動直後は低く、装置を連続運転していると上昇するが、モータの損失特性は温度によって変化する。
前記同一負荷パターンにおけるバッテリからの受電電力量を計算する電力量演算器と、
インバータのパラメタを複数の値に変化させ、各パラメタにおける前記受電電力量を比較し、該受電電力量を最小にするパラメタを選択して、インバータに指令するパラメタ選択・指令器と、を備える、ことを特徴とする同一負荷パターンを有する装置の省電力駆動装置が提供される。
インバータのパラメタを複数の値に変化させ、
前記各パラメタにおける前記同一負荷パターンによるバッテリからの受電電力量を計算し、
各パラメタにおける前記受電電力量を比較し、該受電電力量を最小にするパラメタを選択して、インバータに指令する、ことを特徴とする同一負荷パターンを有する装置の省電力駆動方法が提供される。
また、このバッテリ91には、図示しない太陽電池、燃料電池、風力発電機等により直流電力を充電するようになっている。
DC−DCコンバータ93は、直流電圧の昇圧もしくは降圧もしくはその双方を行う可変出力電圧のDC−DCコンバータである。図1で、DC−DCコンバータ93の右側の、キャパシタ17の両端間の電圧が出力電圧である。
このようなDC−DCコンバータ93は、IGBTやパワーMOSFETなどの電力制御素子とインダクタやトランスを組み合わせて実現される。
DC−DCコンバータ制御回路95は、電子回路もしくは組み込みCPUと専用制御プログラムないしは両者の組み合わせで実現される。
17はキャパシタであり、直流バス15の電圧を平滑化する。キャパシタ17は、アルミ電解コンデンサが使用されることが多いが、他の種類のコンデンサや電気二重層キャパシタを用いてもよい。
また、インバータ19は、この実施形態では、モータ21の正逆回転、力行・回生が可能な4象限駆動のインバータを仮定するが、機械負荷23(同一負荷パターン装置)の特性および動作によっては、回転方向が一方向のみ、もしくは力行のみが可能なインバータでもよい。力行のみが可能なインバータを用いる場合、DC−DCコンバータも力行のみ可能なものであってよい。
モータ21は、この実施形態では、3相誘導モータないし3相永久磁石同期モータを仮定するが、インバータとの組み合わせでトルク・回転速度が可変であれば、他の形式のモータでもよい。
25はモータエンコーダであり、モータ21の回転位置(角度)を測定する。モータエンコーダ25として、光学式や磁気式のロータリーエンコーダやレゾルバが用いられる。なお、制御器27が速度制御を行う場合には、モータ21の回転速度(角速度)を測定すればよい。この場合、ロータリーエンコーダやレゾルバで測定した回転位置を時間微分してもよいし、タコメータのように回転速度を直接測定してもよい。
制御器27は、この実施形態では、位置制御を仮定するが、速度制御でもよい。制御器内部の演算手法としては、PID(Proportional Integral Derivative)制御やI−PD(Integral Proportional Derivative)制御などが多く用いられるが、その他の制御手法を用いてもよい。制御性を改善するためのフィードフォワード演算を組み合わせてもよい。制御器27は、DSP(Digital Signal Processor)やマイコンを用いたプログラマブル装置もしくはアナログ回路もしくはそれらの組み合わせにより実現可能である。
本発明は同一負荷パターンで繰り返し運転される装置(同一負荷パターン装置)を対象としているので、この実施形態において、図に示すように、モータ回転角度指令値Acはサイクル(繰り返される同一パターン)を有し、サイクルの開始時点と終了時点において、指令値生成器29はサイクル開始信号Csとサイクル終了信号Ceをそれぞれ出力するものとする。
この図において、C1、C2、C3がそれぞれサイクルを示している。サイクルとサイクルの間では、任意の指令値、たとえば機械負荷23を停止させておくような指令値や機械負荷23を手動操作にしたがって動作させるための指令値を出力してかまわない。
なお、制御器27が速度制御を行う場合には、指令値生成器29はモータ回転速度指令値を出力するようにすればよい。
インバータの構成・動作例の詳細は例えば、非特許文献1に示されている。また、可変な搬送波周波数によりPWM変調を行う方法の例は、特許文献2に示されている。なお特許文献2では、搬送波はキャリアと呼ばれている。
搬送波発振器49は、2つの値M1,M2の間でカウントアップ・ダウンを繰り返すアップダウンカウンタを電子回路やDSPやマイコンのプログラムで構成して三角搬送波を発振し、搬送波周波数指令値Fに応じてM1,M2の値を適切に変えることにより発振周波数を変える構成が可能であるが、アナログ電子回路による発振回路など他の方法で構成してもよい。
電圧測定器61で測定される時刻tにおけるバッテリ91のマイナス側に対するプラス側の電圧をV(t)と記す。また電流測定器63で測定される時刻tにおけるバッテリ91のプラス側を図中で左から右へ流れる電流をI(t)と記す。電流測定値が負の値の場合、電流が図中で右から左へ流れることを示す。
電力量演算器81は、DSPやマイコンを用いたプログラマブル装置もしくはアナログ電子回路もしくはそれらの組み合わせにより実現可能である。
電力量演算器81は、以下のような演算を行う。
時刻tにおける電力P(t)は電圧と電流の積であり、式(1)であらわされる。ここで、P(t)が正の値であれば電力が図中の左から右へ、P(t)が負の値であれば電力が図中の右から左へ流れることを示す。
P(t)=V(t)×I(t)・・・(1)
1サイクルの電力量Wは、電力の時間積分なので、そのサイクルに対するサイクル開始信号の時刻をT1、サイクル終了信号の時刻をT2と書けば、数1の式(2)であらわされる。
以上の説明のように、電流測定値と電力に負の値も許容することにより、1サイクル中で力行と回生が混在している場合にも本発明は適用可能となる。すなわち、電力の正、負が、それぞれ力行、回生に相当する。
以下、DC−DCコンバータ制御回路95の出力電圧指令値Gが一定である場合を説明する。
パラメタ選択・指令器83は、1サイクルごとに異なる搬送波周波数指令値Fを出力する。サイクル終了時点において、電力量演算器81から各サイクルに対する1サイクルの電力量Wが出力されるので、パラメタ選択・指令器83の内部に記憶しておく。パラメタ選択・指令器83は、記憶した1サイクルの電力量Wを比較し、もっとも電力量が小さくなる搬送波周波数指令値Fを、以降の搬送波周波数指令値Fとして出力する。
(1)インバータからモータへ到る配線へのノイズフィルタの追加、モータの交換、機械負荷の改造など、損失に影響を与えるハードウェア的な変更が行われた直後にパラメタの探索・決定を行う。たとえば、パラメタ選択・指令器83に押しボタン(図示せず)を接続し、ハードウェア的な変更が行われたら人間が押しボタンを押す。パラメタ選択・指令器は押しボタンが押された後、最初に行われるサイクル(本例では最初の5サイクル)においてパラメタ(本例では搬送波周波数指令値)の探索・決定を行い、以降、決定された搬送波周波数指令値を出力し続ける。
以下、搬送波周波数指令値Fと出力電圧指令値Gが変化できる場合を説明する。
この場合、パラメタ選択・指令器83が出力する搬送波周波数指令値Fと出力電圧指令値Gを変化させて1サイクルの電力量Wを記憶・比較し、もっとも電力量Wが小さくなる搬送波周波数指令値Fと出力電圧指令値Gを、以降の搬送波周波数指令値Fと出力電圧指令値Gとして出力する。
損失を小さくする複数のパラメタ(搬送波周波数指令値Fと出力電圧指令値G)を探索・決定する方法としてはたとえば以下の方法がある。
この実施形態は、インバータとモータが複数台で、すべてが同じ動きをする場合である。たとえば、モータのサイズが制限されるため、一体の機械負荷を複数台のモータで分担して駆動するような場合である。
図5はインバータとモータが3台の場合を示すが、2台もしくは4台以上の場合も同様である。また図5において、DC−DCコンバータの内部およびインバータ内部の構成は第1実施形態と同じなので、DC−DCコンバータの内部およびインバータ内部の構成は図示を省略する。
各要素の構成は第1実施形態と同じである。
19A、19B、19C インバータ
21A、21B、21C モータ
23A、23B、23C 機械負荷
25A、25B、25C モータエンコーダ
27A、27B、27C 制御器
3組の総計の電力量Wを計測するように電圧測定器61と電流測定器63が接続されているので、第1実施形態と同じ電力量演算、パラメタ探索・決定動作をすることにより、3組の総計の損失を小さくするようにパラメタ(搬送波周波数指令値F、出力電圧指令値G)が探索・決定される。
例えば、同一の負荷パターン内の複数の区間毎に、上記パラメタを選択してもよい。また、インバータのパラメタは、スイッチング波形の電圧変化率であってもよい。
17 キャパシタ、
19、19A、19B、19C インバータ、
21、21A、21B、21C モータ、
23、23A、23B、23C 機械負荷(同一負荷パターン装置)、
25、25A、25B、25C モータエンコーダ、
27、27A、27B、27C 制御器、
29 指令値生成器、
41 電力制御部、43 モータ電流測定器、
45 指令演算器、47 PWM変調器、49 搬送波発振器、
51 ゲート駆動回路、
61 電圧測定器、
63 電流測定器、
81 電力量演算器、
83 パラメタ選択・指令器、
91 バッテリ、
93 DC−DCコンバータ、
95 DC−DCコンバータ制御回路
Claims (4)
- バッテリで駆動されるDC−DCコンバータと、該DC−DCコンバータの出力で駆動されるインバータとを備え、該インバータから電力供給されるモータで駆動され、同一負荷パターンを有する装置の省電力駆動装置であって、
前記同一負荷パターンにおけるバッテリからの受電電力量を計算する電力量演算器と、
インバータのパラメタを複数の値に変化させ、各パラメタにおける前記受電電力量を比較し、該受電電力量を最小にするパラメタを選択して、インバータに指令するパラメタ選択・指令器と、を備える、ことを特徴とする同一負荷パターンを有する装置の省電力駆動装置。 - 前記負荷パターンのサイクル開始信号とサイクル終了信号を出力する指令値生成器を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の省電力駆動装置。
- 前記インバータのパラメタは、搬送波周波数、および、DC−DCコンバータの出力電圧である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の省電力駆動装置。
- バッテリで駆動されるDC−DCコンバータと、該DC−DCコンバータの出力で駆動されるインバータとを備え、該インバータから電力供給されるモータで駆動され、同一負荷パターンを有する装置の省電力駆動方法であって、
インバータのパラメタを複数の値に変化させ、
前記各パラメタにおける前記同一負荷パターンによるバッテリからの受電電力量を計算し、
各パラメタにおける前記受電電力量を比較し、該受電電力量を最小にするパラメタを選択して、インバータに指令する、ことを特徴とする同一負荷パターンを有する装置の省電力駆動方法。
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