JP5548563B2 - ナノシートトランスデューサ - Google Patents

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Description

本発明は、シリコンからなる極めて薄いシート状弾性体を用いたトランスデューサに関する。
従来、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いた微小なトランスデューサが知られている。特許文献1にはカーボンナノチューブを林立させ、加わる力に応じて変化するカーボンナノチューブ群の電気抵抗を検出することによって加速度、質量、角加速度、圧力等を検出する技術が開示されている。特許文献2には弾性薄膜によって基端が支持された微小な柱状剛体に加わる力を弾性薄膜に設けたピエゾ抵抗素子によって検出する技術が開示されている。特許文献3、4にはシリコン基板上に支持されたダイヤフラムに設けた可撓電極と可撓電極に対向する固定電極とを備える静電容量型の音響トランスデューサが開示されている。
特開2006−119021号公報 特開平10−206202号公報 特開昭62−120200号公報 特開2005−323193号公報
特許文献1に記載されているようにカーボンナノチューブ同士が接触することによって生ずる電気抵抗の変化を利用して物理量を検出する場合、検出しようとする物理量とカーボンナノチューブ同士の接触の形態とが一対一に対応していることが必要となる。しかし、林立しているカーボンナノチューブ同士の接触形態は再現性が低いため、特許文献1に記載されている技術によって正確に物理量を検出することは困難であるという問題がある。
特許文献2に記載されているように微小な柱状剛体が受ける力に応じた弾性薄膜の変形を検出する場合、変形しやすく破損しにくい薄膜を設計することが要求される。しかし、薄膜を変形しやすく破損しにくくしようとすれば、薄膜の面積を広げる必要があるため、小型化して製造コストを低減することが困難になるという問題がある。
特許文献3、4に記載されている音響トランスデューサーでは可撓電極が設けられるダイヤフラムの面積に応じて感度と音圧が決まることになる。したがって、感度または音圧を増大させようとすれば、大型化するとともに製造コストが増大するという問題がある。
本発明はこれらの問題に鑑みて創作されたものであって、トランスデューサーの製造コストを低減することを目的の1つとする。
(1)上記目的を達成するためのナノシートトランスデューサは、溝と前記溝によって互いに隔てられた電極支持部と厚さ1μm未満のシート状の可撓電極とが形成されたシリコンからなる基板と、前記電極支持部上に形成された導電膜からなる固定電極と、前記固定電極と前記電極支持部との間に形成された絶縁層と、を備え、前記可撓電極は前記基板の主面に対して垂直である。
基板の主面に対して垂直なシート状の可撓電極は、基板に溝を深く形成することによって溝の底から立ち上がる可撓電極の高さを高く面積を広くできる。このため本発明によると、同一サイズのシリコンウエハから製造できるトランスデューサーの数を変えずに出力や感度を高めることができる。また可撓電極は厚さが1μm未満と極めて薄いため、"たわみ量/力"で表される係数が大きく、曲げ強度が高い。すなわち本発明によると、出力や感度が高く、強度も高く、かつ安価なトランスデューサーを実現することができる。
(2)上記目的を達成するためのナノシートトランスデューサにおいて、前記可撓電極は複数の短冊領域に分断されていてもよい。
可撓電極を複数の短冊領域に分断することによって、極めて薄い可撓電極が波打つような不安定な挙動を抑制することができる。
(3)上記目的を達成するためのナノシートトランスデューサにおいて、前記基板には、前記溝の底に開口する通孔を形成してもよい。
可撓電極を振動させることによって音波を電気信号に変換したり、電気信号を音波に変換したり、送風する実施形態では、電極支持部と可撓電極を隔てる溝の内部の圧力変動が可撓電極の動きを妨げる。したがって、溝に開口する通孔を形成して溝の内部の圧力変動を抑制することによって、ナノシートトランスデューサーの出力や感度を高めることができる。
(4)上記目的を達成するためのナノシートトランスデューサにおいて、前記固定電極は、前記可撓電極の両側にそれぞれ形成され、前記可撓電極の一方側に形成された前記固定電極と前記可撓電極の他方側に形成された前記固定電極とに逆相の駆動信号が印加されてもよい。
可撓電極の両側に位置する2つの固定電極に逆相の駆動信号を印加することによって、2つの静電容量のそれぞれに生ずる静電引力の合力を用いて可撓電極を駆動することができる。すなわち音などの波動や風を出力する実施形態においてこの構成を採用することにより、出力を高めることができる。
(5)上記目的を達成するためのナノシートトランスデューサにおいて、前記固定電極は、前記可撓電極の両側にそれぞれ形成され、前記可撓電極の撓み量に応じた信号が前記固定電極または前記可撓電極から取り出されてもよい。
この構成を採用する場合、可撓電極のたわみ量に応じて可撓電極と2つの固定電極とで形成される2つの静電容量がそれぞれ逆方向に変化する。したがって可撓電極のたわみ量に応じた信号を固定電極または可撓電極から取り出すことによって可撓電極を撓ませる物理量(圧力、加速度、傾斜角など)を感度良く検出することができる。
図1Aは本発明の第一実施形態にかかる断面図であって図1Bに示す1A−1A線の断面図である。図1Bは本発明の第一実施形態にかかる平面図である。図1Cは本発明の第一実施形態にかかる模式図である。 本発明の第一実施形態にかかる断面図である。 本発明の第一実施形態にかかる断面図である。 本発明の第一実施形態にかかる断面図である。 本発明の第一実施形態にかかる断面図である。 本発明の実施形態にかかるグラフ。 本発明の第一実施形態にかかる断面図である。 本発明の第一実施形態にかかる断面図である。 本発明の第一実施形態にかかる断面図である。 本発明の第一実施形態にかかる断面図である。 図11Aは本発明の第一実施形態にかかる平面図である。図11Bおよび図11Cは本発明の第一実施形態にかかる側面図である。 本発明の第一実施形態にかかる断面図である。 本発明の第一実施形態にかかる断面図である。 本発明の第一実施形態にかかる断面図である。 本発明の第一実施形態にかかる断面図である。 本発明の第一実施形態にかかる断面図である。 本発明の第一実施形態にかかる断面図である。 本発明の第二実施形態にかかる断面図である。 本発明の第二実施形態にかかる断面図である。 本発明の第二実施形態にかかる断面図である。 本発明の第二実施形態にかかる断面図である。 本発明の第二実施形態にかかる断面図である。 本発明の第二実施形態にかかる平面図である。 本発明の第二実施形態にかかる平面図である。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら以下の順に説明する。尚、各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
1.第一実施形態
本発明によるナノシートトランスデューサの第一実施形態を図1に基づいて説明する。ナノシートトランスデューサ1は、シリコン基板から製造されるMEMSである。シリコンからなる基板100には直線的に伸びる溝100aが形成される。溝100aによって互いに隔てられた電極支持部101と可撓電極104とが基部100cから突出している。基板100は、導入されている不純物によって全体が導体として機能する。
電極支持部101は実質的に剛体として振る舞うほぼ直柱体の部分である。電極支持部101が基部100cから突出する高さは可撓電極104が基部100cから突出する高さhと等しい。電極支持部101の上には金(Au)、白金(Pt)等の金属膜(導電膜)からなる固定電極103が形成されている。固定電極103は溝100aに近接している辺が可撓電極104と平行である。
電極支持部101の頂面には基板100と固定電極103とを絶縁するための絶縁層102が形成されている。絶縁層102はシリコン酸化膜からなる。
可撓電極104は厚さtが1μm未満のシート状に形成されている。電極支持部101から溝100aによって隔てられた可撓電極104は、電極支持部101の上に形成されている固定電極103の一辺に平行で基板100の主面100fに垂直である。可撓電極104が基部100cから突出する高さhは溝100aの深さと等しい。厚さtとともに可撓電極104の機械的特性を支配する可撓電極104の高さhは、任意に設定することができ、例えば厚さtを50nmに設定する場合、高さhを10〜50μmに設定可能である。可撓電極104の幅Lも高さhと同様に任意に設定可能である。可撓電極104の幅Lの長さは可撓電極104と固定電極103によって形成される静電容量と比例する。可撓電極104と外部回路との導通は基板100のどこかに接続領域を設け、ワイヤボンディング等によって基板100と外部回路とを導通させればよい。
溝100aは、例えば幅wを1〜100μmに設定し、長さLを10〜10000μmに設定する。溝100aの幅wは、固定電極103と可撓電極104との距離dを支配する。したがって、溝100aの幅wの固定電極103と可撓電極104とで形成される静電容量にほぼ反比例する。既に述べたとおり溝100aの深さは可撓電極104の高さhと等しくなる。
次にナノシートトランスデューサ1の機能について説明する。
ナノシートトランスデューサ1においては、固定電極103と可撓電極104とによって静電容量を形成できる。したがって可撓電極104のたわみ量に応じて変化する静電容量を検出することによって圧力や加速度や傾斜角といった物理量を検出するセンサとしてナノシートトランスデューサ1を利用することができる。センサとして利用する場合、図1Cに示すように固定電極103と可撓電極104とにバイアス電圧を印加し、固定電極103と可撓電極104との距離dの変化に伴う静電容量の変化を検出すればよい。そして可撓電極104の厚さtは1μm未満と極めて薄いため、"たわみ量/力"で表される係数が大きく、電荷が可撓電極104の先端部に集中しやすい。したがってナノシートトランスデューサ1は感度の高いセンサになる。
また固定電極103と可撓電極104とに電圧を印加すると、固定電極103と可撓電極104との間に静電引力が発生する。したがって固定電極103と可撓電極104とに電圧を印加することによって可撓電極104を撓ませることができ、電圧の大きさを変えることによって可撓電極104のたわみ量を制御することができる。また、固定電極103と可撓電極104とに交流の駆動電圧を印加することによって可撓電極104を振動させることができる。そして可撓電極104の厚さtは1μm未満と極めて薄いため、電荷が可撓電極104の先端部に集中しやすい。したがって効率よく可撓電極104を駆動することが可能である。
また可撓電極104の基端部は徐々に厚さが増す。したがって可撓電極104の撓みによって発生する応力は可撓電極104の基端部の局所領域に集中しにくい。そしてシリコンは細くなればなるほど曲げ強度が顕著に高まることが知られ、可撓電極104の曲げ強度は薄ければ薄いほど高まる。すなわち可撓電極104は大きな撓みにも耐えられるため、衝撃に強くダイナミックレンジが広いナノシートトランスデューサ1を実現することができる。
次にナノシートトランスデューサ1の製造方法を図2から図8を参照しながら説明する。
はじめに不純物が導入された単結晶シリコンからなる基板100を準備する。基板100の結晶方位は任意である。基板100の不純物濃度は基板100が導体として機能する程度に高く設定し、例えばリン(P)が1016cm-3の濃度で導入されている基板100を準備する。
次に図2に示すように、基板100の一方の主面に絶縁層102としてシリコン酸化膜を形成する。具体的には例えば熱酸化法、CVD法によって厚さ1μmのシリコン酸化膜を絶縁層102として形成する。
次に図3に示すように、絶縁層102の表面上に所定形状の金属膜103a、103bを形成する。具体的には、金(Au)、白金(Pt)などの耐食性の高い金属をスパッタリング法等で絶縁層102の表面全体に成膜し、フォトレジストを用いてエッチングすることによって所定パターンの金属膜103a、103bを形成する。リフトオフプロセスによって所定パターンの金属膜103a、103bを形成しても良い。
次に図4に示すように、金属膜103a、103bを保護膜として用いて、金属膜103a、103bの開口直下の基板100および絶縁層102の領域を垂直方向にエッチングする。その結果、金属膜103a、103bのパターンと同一パターンの横断面を有する直柱体101a、104aと溝100a、100bが形成される。このとき絶縁層102はフッ酸または希フッ酸によって基板100が露出するまでエッチングし、基板100のエッチングにはエッチングによって形成される側壁と基板100の主面100fが垂直になるDeep−RIE(Reactive Ion Etching)法を用いる。Deep−RIEとしては、例えば、Cプラズマによる保護ステップと、SFプラズマによるエッチングステップを短く交互に繰り返すボッシュプロセスを用いる。本工程で形成される溝100aの幅Wは、完成状態における溝100aの目標幅wよりも小さく設定しておく。後続工程における熱酸化と酸化膜の除去とによって溝100aは目標幅wまで拡幅するからである。
次に、基板100を900℃〜1200℃程度の雰囲気において熱酸化する。加湿酸化、水蒸気酸化、パイロジェニック酸化等のウェット酸化法がドライ酸化法よりも酸化レートが速いため好ましい。熱酸化の結果、図4に示す酸化前の直柱体101a、104aの表面から内部への酸素の拡散によって形成される内方拡散領域105aと、酸化前の直柱体101a、104aの表面より外側に成長する酸化シリコンによって形成される膨張領域105bとからなる酸化膜105が図5に示すように形成される。内方拡散領域105aの深さdと膨張領域105bの深さdの比は4:6〜6:4程度となり、2つの領域の深さはほぼ等しくなる。
図4に示すようにDeep−RIEによって形成された直柱体104aの側面と溝100a、100bの底面とが垂直に交わる交線近傍では、その交線から等距離に位置する点の集合が酸化膜105と非酸化領域104bとの界面105cを構成する。したがって、直柱体104aの基端部では、酸化膜105と非酸化領域104bとの界面105cがフレア面になる。このフレア面の曲率半径は内方拡散領域105aの厚さと等しくなるため、熱酸化の処理時間によって決めることができる。
熱酸化の処理時間は、直柱体104aの内部に酸化されずに残る非酸化領域104bの厚さtが可撓電極104の目標厚さと等しくなるように設定する。図6に示すように、シリコンの酸化膜厚は熱酸化の処理時間の平方根に比例する。すなわち、熱酸化の処理時間が長くなるほど酸化膜厚の制御性が向上する。また熱酸化の酸化レートはばらつきが小さいため、処理時間に応じた酸化膜厚を精度良く見積もることができる。したがってDeep−RIEによって形成する直柱体104aを可撓電極104の目標厚さよりも十分厚く形成しておき、酸化膜を十分厚く形成した後に酸化膜を除去すれば、厚さが1μm未満の極めて薄い可撓電極104を高い寸法精度で形成することができる。つまり、可撓電極104の目標厚さすなわち非酸化領域104bの厚さtよりも酸化膜を十分厚く形成するとよい。ただし、酸化せずに残す非酸化領域104bの厚さを1μm未満にするならば、熱酸化の処理時間が不必要なまでに長くならないように、酸化前の直柱体104aの厚さTは5μm未満にしておくことが望ましい。一方、酸化炉の温度が安定するまでは酸化膜厚の制御性が低いため、熱酸化の処理時間を少なくとも1時間以上に設定できるように直柱体104aの厚さTを可撓電極の目標厚さtよりも十分厚く形成しておく必要がある。
また熱酸化の処理時間を十分長く設定すると、Deep−RIEによって形成されたスキャロップの凹凸を平滑にならして可撓電極104の側面を滑らかに形成することもできる。さらに酸化温度を低く設定すると(例えば900℃以下)、酸化膜の粘度が高くなり圧縮応力が上がるため、細い部分ほど酸化レートが落ち、その結果、酸化前の直柱体104aの側面の傾斜を垂直方向に補正することも可能である。
次に、電極支持部101となる非酸化領域101b上の絶縁層102が残存するように酸化膜105を図7に示すように除去する。酸化シリコンからなる酸化膜105はフッ酸(HF)または希フッ酸(BHF)によって除去すればよい。例えば希フッ酸で酸化膜105を大部分除去した後に、残った薄い酸化膜105を蒸気フッ酸によって完全に除去するとよい。酸化膜105を完全に除去すると、非酸化領域104b(図5参照)が可撓電極104として露出し、非酸化領域101b(図5参照)が電極支持部101として露出する。なお、可撓電極104と金属膜103bとを結合していた絶縁層102の領域は、可撓電極104の厚さが薄いため、酸化膜105とともに除去することができる。その結果、金属膜103bは基板100から剥離する。可撓電極104が基部100cから突出する高さhはDeep−RIEの深さと内方拡散領域105aの深さによって決まり、任意に設定することが可能である。すなわち可撓電極104の厚さtに対する高さhの比は、Deep−RIEによって非常に大きく(100以上)設定することができる。
次に図8に示すように基板100をダイシングによって分断する。基板100のダイシングは溝100bにおいて基部100cが分断されるように実施する。ダイシングには例えばステルスダイサーが用いられる。さらにパッケージング等の後工程を実施すると、図1に示すナノシートトランスデューサ1が完成する。
既に述べたとおり、可撓電極104の幅Lと高さhとによってナノシートトランスデューサ1の感度や出力が決まる。すなわち、可撓電極104の面積が広くなるほど、ナノシートトランスデューサ1の感度や出力が向上する。上述した製造方法によると、可撓電極104をシリコンウエハの主面に対して垂直に形成できるため、可撓電極をシリコンウエハの主面に対して平行に形成する場合に比べて、感度や出力が同等のトランスデューサを1枚のシリコンウエハから多く製造することができる。また可撓電極104は、Deep−RIEによって原形が形成されるため、高さhと横断面形状を独立して自由に設計することができる。
また可撓電極104の基端部側面は基部100cに向かって広がるフレア面になるため、基部100cの表面と可撓電極104の基端部側面とがフレア面を介して段差無くなだらかに連続する。したがって、既に述べたとおり破損しにくい可撓電極104を形成できる。可撓電極104の基端部側面の縦断面における曲率半径は、前述したとおり熱酸化の処理時間によって決まり、熱酸化の処理時間を長くするほど大きくなる。したがって、熱酸化の処理時間を長くするほど可撓電極104は破損しにくくなる。
また、可撓電極104の厚さは、Deep−RIEによって形成する直柱体104aの厚さと熱酸化の処理時間とによって決まるところ、Deep−RIEによって10μm以上の深さの溝100aを形成するとしても直柱体104aの厚さを1μm程度にまで狭めることが可能であり、酸化膜は数μm程度の厚さに形成することが可能である。そして酸化膜の厚さは数nmの公差で制御することができる。また、シリコンは細くなればなるほど曲げ強度が顕著に高まることが知られ、可撓電極104の曲げ強度は薄ければ薄いほど高まる。したがって、上述した方法によって製造すると、基部100cから突出する高さhが10μm以上、厚さが1μm未満、アスペクト比(h/w)100以上の破損しにくい可撓電極104を歩留まり良く形成することが可能である。
なお、酸化膜を除去した後に可撓電極104の先端部のみ異方性ウェットエッチングを実施すると、可撓電極104を先鋭化することができる。このようにして可撓電極104を先鋭化すると、先端の曲率半径を10nm以下に形成することも可能である。
次にナノシートトランスデューサ1の利用方法について説明する。
図9および図10に示すように流路を形成する管20にナノシートトランスデューサ1を設置すると、管20を流通する流体の圧力や流速をナノシートトランスデューサ1によって計測することができる。この場合、前述したように可撓電極104および固定電極103にバイアス電圧を印加して静電容量を形成しておき、圧力や流速に伴って可撓電極104が撓むことによる静電容量の変化を電気信号として取り出すと、流体の圧力や流速を計測することができる。
ごく薄い可撓電極104が流体に接している場合、脈動などによって可撓電極104が波打つ恐れがある。波打つような不安定な挙動を可撓電極104が起こすと圧力を正確に検出できなくなる。そこで、図11に示すように基板100の主面に対して垂直なスリット104sを可撓電極104に形成して可撓電極104を分断してもよい。具体的には例えば図11Bに示すように基端部を残してスリット104sによって可撓電極104の上部だけを分断しても良いし、図11Cに示すようにスリット104sによって完全に分断されてそれぞれが独立して撓む複数の可撓電極104f、104b、104cを形成しても良い。スリット104sを形成することによって、可撓電極104の圧力を受ける領域それぞれの幅(L方向の長さ)が小さくなり、又、スリット104sが流体の抜け道になることによって、なめらかに撓むことが可能になる。
また図12に示すように、音を取り込むための通孔30aが形成されたケース30にナノシートトランスデューサ1を収容すると、ナノシートトランスデューサ1によって音を電気信号に変換することができる。可撓電極104および固定電極103にバイアス電圧を印加すると静電引力によって可撓電極104と固定電極103の隙間の距離dが短くなるため、可撓電極104と固定電極103の隙間の音響抵抗が増大する。これにより、溝100aへの音波の回り込みが抑制されるため、感度が増大する。
またナノシートトランスデューサを音波を出力したり送風するアクチュエータとして用いる場合には、出力を高めるために両側から可撓電極104を駆動しても良い。図13に示すナノシートトランスデューサ2は、可撓電極104の両側に電極支持部101c、101dと固定電極103c、103dとが設けられている。固定電極103c、103dに逆相の駆動信号を印加すると、固定電極103cと固定電極103dとで交互に可撓電極104を引きつけることができる。これによりナノシートトランスデューサ2によって音波を出力したり送風する場合には、音圧や風量を増大することができる。
ところで可撓電極を振動させることによって音波を出力したり送風する場合には、可撓電極と電極支持部の間の溝の圧力が可撓電極を撓ませる力の反作用となる。例えば図13に示す可撓電極104が溝100aを押しつぶす方向に撓むと、溝100aの圧力が高まるとともに溝100bの圧力が低くなる。したがって溝100a、100bの圧力変動は可撓電極104を撓ませる際の反作用となり、可撓電極104の駆動効率を下げる要因になる。そこで、図14に示すように溝100a、100bの底に開口する通孔100d、100eを基部100cに形成しても良い。ナノシートトランスデューサ3のように通孔100d、100eを基部100cに形成する場合、通孔100d、100eを介して溝100a、100bと通ずる空洞を基部100cに設けるとよい。なお、このような通孔は、可撓電極104の片側にのみ固定電極103を設ける場合であっても同様の効果を奏する。
また、図15に示すナノシートトランスデューサ4では、可撓電極104の両側に形成する溝100a、100bの幅w、wを不均等にしている。溝100a、100bの幅w、wを不均等にすることで溝100a、100bの圧力変動の幅を不均等にできるため、可撓電極104を撓ませる際の反作用を抑えることもできる。
また、図16に示すナノシートトランスデューサ5では、可撓電極104の基端に支持部106が形成されている。支持部106は可撓電極104より厚く剛体として振る舞うほぼ直柱体の領域である。支持部106を形成することによって可撓電極104の機械的性質を変えずに溝100a、100bの容積を大きくすることができる。可撓電極104を撓ませる際の反作用は溝100a、100bの容積を大きくするほど小さくなる。したがってナノシートトランスデューサ5では、可撓電極104の機械的性質を変えずに、可撓電極104を撓ませる際の反作用を抑制することができる。このような支持部106は、Deep−IREによって溝100a、100bを形成する際のマイクロローディング効果によって形成することができる。すなわち、溝100a、100bの原形を形成するための保護膜の開口を幅が異なる複数のスリットによって形成すると、開口直下に形成される溝はスリットの幅に応じた不均等な深さになる。このように形成する溝を熱酸化と酸化膜の除去とによって拡幅すると、溝の間に残存した領域が除去されるため、図16に示すようにステップ状の底部を有する溝100a、100bを形成できるのである。
また、図17に示すように可撓電極を2つ以上設けても良い。図17に示すナノシートトランスデューサ6は、2つの可撓電極104d、104eと2つの固定電極103c、103dとを備えている。固定電極103cと可撓電極104dとで1つの静電容量が形成され、固定電極103dと可撓電極104eとで別の1つの静電容量が形成される。可撓電極104d、104eは基部100cを介して導通しているため同電位となる。
ナノシートトランスデューサ6をアクチュエータとして用いる場合、固定電極103c、103dには逆相の駆動信号を印加しても良いし、同相の駆動信号を印加しても良い。ナノシートトランスデューサ6を加速度、傾斜等を検出するセンサとして用いる場合、検出対象の物理量に応じて可撓電極104d、104eが撓む方向は一致する。したがって、バイアス電圧が印加された固定電極103cと可撓電極104dとで形成される静電容量の変化と、バイアス電圧が印加された固定電極103dと可撓電極104eとで形成される静電容量の変化との差分をとると感度が2倍になる。このように可撓電極を2つ以上設けることによって、ナノシートトランスデューサの感度または出力を高めることができる。
2.第二実施形態
本発明によるナノシートトランスデューサの製造方法の第二実施形態を図18から図22を参照しながら説明する。
第一実施形態と同様に、不純物が導入された単結晶シリコンからなる基板100をはじめに準備する。
次に図18に示すように基板100の一方の主面上に所定形状に露光・現像されたフォトレジストからなる保護膜R1を形成する。
次に図19に示すように保護膜R1の開口直下の基板100の領域を垂直方向にエッチングする。その結果、保護膜R1のパターンと同一パターンの横断面を有する直柱体101a、104aと溝100a、100bが形成される。このとき用いるエッチング方法は、第一実施形態と同様にDeep−RIE(Reactive Ion Etching)法である。本工程で形成される溝100aの幅Wは、第一実施形態と同様に完成状態の溝100aの目標幅wよりも小さく設定しておき、後続工程における熱酸化と酸化膜の除去とによって溝100aを目標幅wまで拡幅させる。
次に、保護膜R1を除去し、基板100を900℃〜1200℃程度の雰囲気において熱酸化する。熱酸化の結果、図20に示すように第一実施形態と同様に、酸化前の直柱体101a、104aの表面から内部への酸素の拡散によって形成される内方拡散領域105aと、酸化前の直柱体101a、104aの表面より外側に成長する酸化シリコンによって形成される膨張領域105bとからなる酸化膜105が形成される。
次に図21に示すように、電極支持部101となる直柱体101aの上方に当たる酸化膜105の表面領域に所定パターンの金属膜103aを形成する。具体的には、金(Au)、白金(Pt)などの耐食性の高い金属をスパッタリング法等で絶縁層102の表面に成膜し、フォトレジストを用いてエッチングすることによって所定パターンの金属膜103aを形成してもよいし、リフトオフプロセスによって所定パターンの金属膜103aを形成しても良い。第二実施形態では、このようにして形成された金属膜103aが固定電極となる。
その後、第一実施形態と同様に酸化膜105を除去し、基板100をダイシングによって分断し、パッケージング等の後工程を実施すると、図22に示すナノシートトランスデューサ7が完成する。
本実施形態によると、電極支持部101の平面視形状と固定電極103の平面視形状とを別個独立に設計することができる。したがって、可撓電極104と対向する固定電極103の辺を除く領域を狭く設計することによって、固定電極103と基板100との間に生ずる寄生容量を低減することができる。
なお、電極支持部101の形状については、図23のナノシートトランスデューサ8のように可撓電極104の周りを一周させても良いし、図24に示すナノシートトランスデューサ9のように可撓電極104の両側に独立して2つの電極支持部101c、101dを形成しても良い。既に述べたように可撓電極104の両側において生ずる圧力変動が出力や感度を落とす要因となるため、可撓電極104の周りを一周する電極支持部101を形成する場合には、可撓電極104の両側に形成される溝100a、100bとの間における流体の移動抵抗を小さくすると良い。すなわち、ナノシートトランスデューサ8では、可撓電極104の幅方向における電極支持部101との間隔sをなるべく広くとることが好ましい。なお、図9に示すナノシートトランスデューサ9は固定電極103c、103dを極小化して寄生容量を低減する形態の一例をも示している。
3.他の実施形態
本発明の技術的範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば固定電極と基板とを絶縁するための絶縁層は多層でもよい。また、可撓電極上に絶縁層と金属膜とを残存させて感度を上げるための付加質量として利用しても良い。また、可撓電極上に残存させる絶縁層にスルーホールを形成しておけば、可撓電極上に残る金属膜と基板とを導通させることも不可能ではない。この場合、固定電極と可撓電極上の金属膜との距離を短くすることができる。
また、上記実施形態で示した材質や寸法やエッチング方法やパターン転写方法はあくまで例示であるし、当業者であれば自明である工程の追加や削除や工程順序の入れ替えについては説明が省略されている。
1、2、3、4、5、6、7、8、9…ナノシートトランスデューサ、20…管、30…ケース、30a…通孔、100…基板、100…基板、100a…溝、100b…溝、100c…基部、100d…通孔、100f…主面、101…電極支持部、101a…直柱体、101b…非酸化領域、101c、101d…電極支持部、102…絶縁層、103…固定電極、103a、103b…金属膜、103c、103d…固定電極、104…可撓電極、104a…直柱体、104b…非酸化領域、104d、104e、104f…可撓電極、104s…スリット、105…酸化膜、105a…内方拡散領域、105b…膨張領域、105c…界面、106…支持部、R1…保護膜

Claims (5)

  1. 溝と前記溝によって互いに隔てられた電極支持部と厚さ1μm未満のシート状の可撓電極とが形成されたシリコンからなる基板と、
    前記電極支持部上に形成された導電膜からなる固定電極と、
    前記固定電極と前記電極支持部との間に形成された絶縁層と、
    を備え、
    前記可撓電極は前記基板の主面に対して垂直である、
    ナノシートトランスデューサ。
  2. 前記可撓電極は複数の短冊領域に分断されている、
    請求項1に記載のナノシートトランスデューサ。
  3. 前記基板には、前記溝の底に開口する通孔が形成されている、
    請求項1または2に記載のナノシートトランスデューサ。
  4. 前記固定電極は、前記可撓電極の両側にそれぞれ形成され、
    前記可撓電極の一方側に形成された前記固定電極と前記可撓電極の他方側に形成された前記固定電極とに逆相の駆動信号が印加される、
    請求項1から3のいずれか一項に記載のナノシートトランスデューサ。
  5. 前記固定電極は、前記可撓電極の両側にそれぞれ形成され、
    前記可撓電極の撓み量に応じた信号が前記固定電極または前記可撓電極から取り出される、
    請求項1から3のいずれか一項に記載のナノシートトランスデューサ。
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