JP5547234B2 - 電流センサ - Google Patents
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Description
本発明の磁性体コア100(101〜108、200〜208、300〜305)は、軟磁性材料(保磁力が小さく透磁率が大きい材料、例えば鉄、ケイ素鋼、パーマロイ、センダスト、パーメンジュール、ソフトフェライト、アモルファス磁性合金、ナノクリスタル磁性合金、電磁鋼など)を複数種類積層して形成されている。電磁鋼としては、特定の方向に偏って磁化しないようにした無方向性鋼板、特定の方向のみに磁化しやすくなるようにした方向性鋼板がある。複数の材料の積層方向は、コアの周方向以外の方向であればどんな方向であってもよい。また、材料の種類は2種であってもよいし、3種でもよく、2種以上であれば何種類でもよい。さらに、複数の材料は、不規則に積層されていても構わない。詳細については後述する。
本発明の電流センサが備えるホールIC15は、磁性体コア100(101〜108、200〜208、300〜305)の中空部30に挿し通されるバスバーまたはケーブル等を流れる被測定電流に応じて変化する磁束を検出して、磁束の検出信号を電気信号として出力する。ホールIC15はリード線13を介して図示しない外部の回路に接続される。本発明ではホールIC15は、ホール素子と電気回路の組み合わせで実現してもよい。ホールIC15、ホール素子は磁電変換素子の一例である。
上述したように、LH離間した存在領域内の任意の2点の磁束密度が近似していることが条件となり、座標EC〜CE間における磁束密度には何らの条件も課されないのであるから、例えば、座標EE〜EC間については、磁束密度がフラットな分布となるように、一種類の磁性体(第1磁性体1とする)のみで構成することとし、座標EE〜EC間の各座標点からLH離間した点が存在する座標CE〜CC間についても同じ第1磁性体1のみで構成して、座標CE〜CC間がフラットな磁束密度分布とすればよい。磁性体コア100の図中のコア左端部〜座標EEの区間、座標CC〜図中のコア右端部の区間、座標EC〜CE間の区間については何らの条件も課されないため、例えば第1磁性体1とは異なる第2磁性体2の層を形成すればよい。
磁性体コア100を変形した応用例として、本応用例の磁性体コア101のように、座標EC〜CE間の区間について第1磁性体1とも第2磁性体2とも異なる材料(第4磁性体4とする)で構成してもよい。この場合3種類の磁性体で磁性体コアが形成されたことになる。
磁性体コア100を変形した応用例として、本応用例の磁性体コア102のように、図中のコア左端部〜座標EEの区間、座標CC〜図中のコア右端部の区間、座標EC〜CE間の区間を磁性体でない物質(非磁性体9とする)で構成してもよい。このように、非磁性体が含まれる場合でも、磁束の補償関係が成り立つ限り、ホールICセンシング部11の位置ずれによる電流センサの感度の変動を抑制することができる。これ以外にも、図中のコア左端部〜座標EEの区間、座標CC〜図中のコア右端部の区間、座標EC〜CE間の区間については、複数種類の磁性体を積層して構成してもよい。
上述したように、LH離間した存在領域内の任意の2点の磁束密度が近似していることが条件となり、座標EC〜CE間における磁束密度には何らの条件も課されない。従って、例えば、EE〜EC間において二種類の磁性体を任意のパターンに配置し、CE〜CC間において、EE〜EC間に用いられた二種類の磁性体を、EE〜EC間における配置と同じパターンに配置して磁性体を形成しても良い。図13(a)に示すように、本応用例の磁性体コア103は、座標EE〜EC、CE〜CCの区間において、第1磁性体1と第3磁性体3が交互に配置されて、同一の磁束密度分布を形成している。なお、本応用例、および以下の応用例5〜9においては、図中のコア左端部〜座標EEの区間、座標CC〜図中のコア右端部の区間、座標EC〜CE間の区間についての言及を省略するが、この区間については、応用例1〜3同様、磁性体、非磁性体、複数種類の磁性体を積層して形成するなど任意の構成で構わない。
本応用例の磁性体コア104は、座標EE〜EC、CE〜CCの区間において、第1磁性体1と第3磁性体3が交互に配置されて、同一の磁束密度分布を形成されている点で応用例4と同じであるが、第1磁性体1と第3磁性体3の層の厚みを異ならせてある。具体的には第3磁性体3を第1磁性体1の層よりも薄く形成した。
本応用例の磁性体コア105は、応用例4、5と同じように、座標EE〜EC、CE〜CCの区間において、2種類の材料を交互に配置して形成されている。本応用例の磁性体コア105は、磁性体(図中、第3磁性体と表記したが、磁性体の種類に特に制限はない)と、非磁性体9とを交互に積層して形成されている。このように、座標EE〜EC、CE〜CCの区間において、磁性体と非磁性体とを用いて、任意のパターンで積層することによっても磁性体コアを形成することができる。
上述したように、LH離間した存在領域内の任意の2点の磁束密度が近似していることが条件となり、座標EC〜CE間における磁束密度には何らの条件も課されない。従って、例えば、EE〜EC間において三種類の磁性体を任意のパターンに配置し、CE〜CC間において、EE〜EC間に用いられた三種類の磁性体を、EE〜EC間における配置と同じパターンに配置して磁性体を形成しても良い。図14(a)に示すように、本応用例の磁性体コア106は、座標EE〜EC、CE〜CCの区間において、第1磁性体1と第2磁性体2と第3磁性体3とが同一のパターンに配置されて、同一の磁束密度分布を形成している。
応用例7と同様に、本応用例の磁性体コア107は、座標EE〜EC、CE〜CCの区間において、第1磁性体1と第2磁性体2と第3磁性体3が配置されて、同一の磁束密度分布を形成している。本応用例では、第1磁性体1を他の層よりも厚く形成している。
本応用例の磁性体コア108は、座標EE〜EC、CE〜CCの区間において、4種の磁性体(第1磁性体1、第2磁性体2、第3磁性体3、第4磁性体4)を配置して形成されて、同一の磁束密度分布を形成している。このように、応用例7〜応用例9では、複数種類の磁性体を不規則に配置して形成された磁性体コアを示したが、これらを規則的に配置して磁性体コアを形成することも可能であることはいうまでもない。この場合、図10で説明したようにS<2LHの条件では、磁束密度分布の波長λB=(S−LH)/m(ただし、mは1以上の整数)の周期で規則性を有するようにしても補償関係が成立する。
上述したように、LH離間した存在領域内の任意の2点の磁束密度が近似していることが条件となるから、例えば、座標EE〜CC間については、磁束密度がフラットな分布となるように、一種類の磁性体(第1磁性体1)のみで構成すればよい。磁性体コア200の図中のコア左端部〜座標EEの区間、座標CC〜図中のコア右端部の区間については何らの条件も課されないため、例えば第1磁性体1とは異なる第2磁性体2の層を形成すればよい。
磁性体コア200を変形した応用例として、本応用例の磁性体コア201のように、座標CC〜図中のコア右端部の区間について第1磁性体1とも第2磁性体2とも異なる材料(第4磁性体4とする)で構成してもよい。この場合3種類の磁性体で磁性体コアが形成されたことになる。
磁性体コア200を変形した応用例として、本応用例の磁性体コア202のように、図中のコア左端部〜座標EEの区間、座標CC〜図中のコア右端部の区間を磁性体でない物質(非磁性体9)で構成してもよい。このように、非磁性体が含まれる場合でも、磁束の補償関係が成り立つ限り、ホールICセンシング部11の位置ずれによる電流センサの感度の変動を抑制することができる。これ以外にも、図中のコア左端部〜座標EEの区間、座標CC〜図中のコア右端部の区間については、複数種類の磁性体を積層して構成してもよい。
上述したように、LH離間した存在領域内の任意の2点の磁束密度が近似していることが条件となる。従って、図11で説明したようにS≧2LHの条件では、磁束密度分布の波長λB=LH/m(ただし、mは1以上の整数)の周期で規則性を有するようにしても補償関係が成立する。図16(a)に示すように、本応用例の磁性体コア203は、座標EE〜CCの区間において、第1磁性体1と第3磁性体3が交互に配置されて、波長λB=LH/3となるように形成されている。なお、本応用例、および以下の応用例14〜18においては、図中のコア左端部〜座標EEの区間、座標CC〜図中のコア右端部の区間についての言及を省略するが、この区間については、応用例1〜3や応用例10〜12同様、磁性体、非磁性体、複数種類の磁性体を積層して形成するなど任意の構成で構わない。
本応用例の磁性体コア204は、座標EE〜CCの区間において、第1磁性体1と第3磁性体3が交互に配置されて、波長λB=LH/3となるように形成されている点で応用例13と同じであるが、第1磁性体1と第3磁性体3の層の厚みを異ならせてある。具体的には第3磁性体3を第1磁性体1の層よりも薄く形成した。
本応用例の磁性体コア205は、応用例13、14と同じように、座標EE〜CCの区間において、2種類の材料が交互に配置されて、波長λB=LH/3となるように形成されている。本応用例の磁性体コア205は、磁性体(図中、第3磁性体3と表記したが、磁性体の種類に特に制限はない)と、非磁性体9とを交互に積層して形成されている。このように、座標EE〜CCの区間において、磁性体と非磁性体とを用いて、波長λB=LH/mで積層することによっても磁性体コアを形成することができる。
上述したように、LH離間した存在領域内の任意の2点の磁束密度が近似していることが条件となる。従って、図11で説明したようにS≧2LHの条件では、磁束密度分布の波長λB=LHの周期で規則性を有するようにしても補償関係が成立する。図17(a)に示すように、本応用例の磁性体コア206は、座標EE〜CCの区間において、第1磁性体1と第2磁性体2と第3磁性体3とを配置して、波長λB=LHとなるようなパターンを形成し、これを繰り返し積層して形成されている。
応用例16と同様に、本応用例の磁性体コア207は、座標EE〜CCの区間において、第1磁性体1と第2磁性体2と第3磁性体3を配置して、波長λB=LHとなるようなパターンを形成し、これを繰り返し積層して形成されている。本応用例では、第1磁性体1を他の層よりも厚く形成している。
本応用例の磁性体コア208は、座標EE〜CCの区間において、4種の磁性体(第1磁性体1、第2磁性体2、第3磁性体3、第4磁性体4)を配置して、波長λB=LHとなるようなパターンを形成し、これを繰り返し積層して形成されている。
実施例1〜3において第1磁性体1〜第4磁性体4として磁性体の種類を複数示したが、これらの磁性体は具体的には、上述した軟磁性材料である例えば鉄、ケイ素鋼、パーマロイ、センダスト、パーメンジュール、ソフトフェライト(フェライトシート)、アモルファス磁性合金(アモルファスリボン)、ナノクリスタル磁性合金、電磁鋼(無方向性鋼板、方向性鋼板)などのいずれであってもよい。磁性体を2種類として構成する場合に好適な組み合わせは、電磁鋼板と周波数特性の良い材料、フェライトと方向性電磁鋼板、アモルファス磁性合金と方向性電磁鋼板、アモルファス磁性合金とフェライトなどである。
実施例1〜3において非磁性体9として示したが、非磁性体とは具体的には、反磁性体や常磁性体を意味する。
以下、図19を参照して、波長λB=LH/m(LH=λB×m)とならない場合について検討する。図19はセンシング部積層方向長さLHが波長λBの整数倍にならない場合の磁束総数の変化について模式的に示す図である。
この場合、ΔLが第1磁性体1の層1つ分が存在する座標区間内に内包される場合と、ΔLが第3磁性体3の層1つ分が存在する座標区間内に内包される場合との間で、ホールICセンシング部11の磁束総数の変化ΔΦが最も大きくなる。この場合のΔΦの計算式は、磁場の強さをHとし、ホールICセンシング部11の積層方向と直交しコアの周方向と直交する方向の長さをWHとして、ΔΦ=ΔL×WH×(μ1−μ3)×Hとなる。
この場合、イのパターンと同様に、ΔLが第1磁性体1の層1つ分が存在する座標区間内に内包される場合と、ΔLが第3磁性体3の層1つ分が存在する座標区間内に内包される場合との間で、ホールICセンシング部11の磁束総数の変化ΔΦが最も大きくなる。しかしながらロのパターンでは、ΔL=L3であるため、ΔΦの計算式は、ΔΦ=L3×WH×(μ1−μ3)×Hとなり、イのパターンよりもΔΦが大きくなる。
この場合、ΔLが第1磁性体1の層1つ分が存在する座標区間内に内包される場合と、ΔLが第3磁性体3の層1つ分が存在する座標区間(長さL3)を全て含む場合との間で、ホールICセンシング部11の磁束総数の変化ΔΦが最も大きくなる。ΔΦの計算式はロのパターンと同じで、ΔΦ=L3×WH×(μ1−μ3)×Hとなり、イのパターンよりもΔΦが大きくなる。
この場合、ハのパターンと同様に、ΔLが第1磁性体1の層1つ分が存在する座標区間内に内包される場合と、ΔLが第3磁性体3の層1つ分が存在する座標区間(長さL3)を全て含む場合との間で、ホールICセンシング部11の磁束総数の変化ΔΦが最も大きくなる。ΔΦの計算式はロ、ハのパターンと同じで、ΔΦ=L3×WH×(μ1−μ3)×Hとなり、イのパターンよりもΔΦが大きくなる。
この場合、ΔLが第1磁性体1の層1つ分が存在する座標区間(長さL1)を全て含む場合と、ΔLが第3磁性体3の層1つ分が存在する座標区間(長さL3)を全て含む場合との間で、ホールICセンシング部11の磁束総数の変化ΔΦが最も大きくなる。ΔΦの計算式は、ΔΦ=(L1+L3−ΔL)×WH×(μ1−μ3)×Hとなり、ロ、ハ、ニのパターンよりもΔΦが小さくなる。
図20を参照して、本発明の磁性体コアの形状および積層方向について説明する。図20は本発明の電流センサが備える磁性体コアの形状および積層方向のバリエーションについて示す斜視図である。(a)はリング形状、同心環状に積層した磁性体コアの例、(b)はリング形状、電流導通方向に積層した磁性体コアの例、(c)は形状を略角形のC字形状とし同心環状に積層した磁性体コアの例をそれぞれ示すものである。図3において、実施例に係る磁性体コア100(101〜108、200〜208、300〜305)の形状が、板を環状に丸めた形状であるものとして説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図20(c)のように、形状を略角形のC字形状としてもよい。また積層方向については上述したように、周方向以外の方向であれば、何れの方向であっても良い。従って、(b)のように、電流導通方向に積層して磁性体コアを形成してもよい。
引き続き図20を参照して、本発明の磁性体コアの製造方法について説明を加える。(a)の磁性体コアの場合、複数の材料からなる平板を積層して積層板を形成し、この積層板をパイプ成形してから、パイプの周の一部を切断してギャップを形成することにより製造することができる。この製造工程は容易であるし、切断により形成されるギャップ端面が均一になることから好適な製造工程の一つである。これ以外にも、(a)の磁性体コアは、複数の材料からなる平板を積層して形成した積層板をC字状に丸め加工して製造することも可能である。同様の製造方法で、(c)の磁性体コアも製造可能である。また、(b)の磁性体コアの場合、複数の材料からなる平板を積層して積層板を形成し、この積層板をリング状に打ち抜いた後、その周の一部を切断してギャップを形成することにより製造することができる。これ以外にも、(b)の磁性体コアは、複数の異なるリング状シート材料を交互に積層した後、周の一部を切断してギャップを形成してもよい。
2 第2磁性体
3 第3磁性体
4 第4磁性体
9 非磁性体
11 ホールIC(素子)センシング部
11a 外縁方向端部
11b 中心方向端部
11c 上方向端部
11d 下方向端部
13 リード線
13c−1 鍔部
15 ホールIC
15a 端部
15b ケース
20 ギャップ
30 中空部
50 ケース
51 収容部
52 ガイドスリーブ
53 ストッパ
54 電流導通部
55 底面
60 蓋
61 長円凹部
100〜108、200〜208、300〜305 磁性体コア
Claims (9)
- 周の一部にギャップを有し、環状に形成された磁性体コアと、
前記ギャップに配置され、前記磁性体コアの中空部を通過する被測定電流に応じて変化する磁束を検出する磁電変換素子とを備え、
前記磁性体コアが、
複数の材料を周方向以外の方向に積層して形成され、
前記磁電変換素子のセンシング部が存在しうる領域として予め定めた領域(以下、センシング部存在領域という)内における、積層方向の距離が前記センシング部の積層方向長さだけ離間した2点の磁束密度が近似するように形成されたこと
を特徴とする電流センサ。 - 請求項1に記載の電流センサであって、
前記センシング部存在領域の積層方向長さSが、前記センシング部の積層方向長さLHの2倍よりも小さいものとし、
前記磁性体コアが、前記センシング部存在領域内の磁束密度の積層方向の分布が長さ(S−LH)/m(ただし、mは1以上の整数)の周期で規則性を有するように形成されたこと
を特徴とする電流センサ。 - 請求項1に記載の電流センサであって、
前記センシング部存在領域の積層方向長さSが、前記センシング部の積層方向長さLHの2倍以上であるものとし、
前記磁性体コアが、前記センシング部存在領域内の磁束密度の積層方向の分布が長さLH/m(ただし、mは1以上の整数)の周期で規則性を有するように形成されたこと
を特徴とする電流センサ。 - 請求項1に記載の電流センサであって、
前記磁性体コアが、
複数の材料を不規則に積層して形成されたこと
を特徴とする電流センサ。 - 請求項1から4の何れかに記載の電流センサであって、
前記磁性体コアが、同心環状に積層して形成されたこと
を特徴とする電流センサ。 - 請求項1から4の何れかに記載の電流センサであって、
前記磁性体コアが、被測定電流の導通方向に積層して形成されたこと
を特徴とする電流センサ。 - 請求項1から5の何れかに記載の電流センサであって、
前記磁性体コアが、複数の異なる材料を積層した平板を環状に丸め、周の一部を切断して形成されたこと
を特徴とする電流センサ。 - 請求項1から7の何れかに記載の電流センサであって、
前記磁性体コアが、方向性電磁鋼とアモルファス磁性合金を交互に積層して形成されたこと
を特徴とする電流センサ。 - 請求項1から7の何れかに記載の電流センサであって、
前記磁性体コアが、方向性電磁鋼とフェライトを交互に積層して形成されたこと
を特徴とする電流センサ。
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