本発明の実施携帯について図面を参照しながら説明する。
まず、本発明が適用される作業機械の一例であるハイブリッド型ショベルの構成について説明する。
図1は本発明が適用されるハイブリッド型作業機械の一例であるハイブリッド型ショベルの側面図である。本発明が適用される作業機械としては、ハイブリッド型ショベルに限られず、蓄電装置から電気負荷に電力を供給するものであれば、他の作業機械にも適用することができる。
図1に示すハイブリッド型ショベルの下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載されている。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端に、アーム5が取り付けられ、アーム5の先端にバケット6が取り付けられている。ブーム4,アーム5及びバケット6は、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。上部旋回体3には、キャビン10が設けられ、且つエンジン等の動力源が搭載される。
図2は、図1に示すハイブリッド型ショベルの駆動系の構成を示すブロック図である。図2において、機械的動力系は二重線、高圧油圧ラインは実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御系は実線でそれぞれ示されている。
機械式駆動部としてのエンジン11と、アシスト駆動部としての電動発電機12は、変速機13の2つの入力軸にそれぞれ接続されている。変速機13の出力軸には、油圧ポンプとしてメインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続されている。メインポンプ14には、高圧油圧ライン16を介してコントロールバルブ17が接続されている。油圧ポンプ14は可変容量式油圧ポンプであり、斜板の角度(傾転角)を制御することでピストンのストローク長を調整し、吐出流量を制御することができる。以下、可変容量式油圧ポンプ14を単に油圧ポンプ14と称することもある。
コントロールバルブ17は、ハイブリッド型ショベルにおける油圧系の制御を行う制御装置である。下部走行体1用の油圧モータ1A(右用)及び1B(左用)、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9は、高圧油圧ラインを介してコントロールバルブ17に接続される。また、旋回機構2を駆動するための旋回用油圧モータ2Aもコントロールバルブ17に接続される。
電動発電機12には、インバータ18Aを介して、蓄電器又は蓄電池等の蓄電部を含む蓄電系(蓄電装置)120が接続される。本実施形態では蓄電部としてキャパシタを用いている。また、パイロットポンプ15には、パイロットライン25を介して操作装置26が接続される。操作装置26は、レバー26A、レバー26B、ペダル26Cを含む。レバー26A、レバー26B、及びペダル26Cは、油圧ライン27及び28を介して、コントロールバルブ17及び圧力センサ29にそれぞれ接続される。圧力センサ29は、電気系の駆動制御を行うコントローラ30に接続されている。
コントローラ30は、電動発電機12の運転制御(電動(アシスト)運転又は発電運転の切り替え)を行うとともに、昇降圧制御部としての昇降圧コンバータを駆動制御することによる蓄電部(キャパシタ)の充放電制御を行う。コントローラ30は、蓄電部の充電状態、電動発電機12の運転状態(電動(アシスト)運転又は発電運転)に基づいて、昇降圧コンバータの昇圧動作と降圧動作の切替制御を行い、これにより蓄電部(キャパシタ)の充放電制御を行う。
この昇降圧コンバータの昇圧動作と降圧動作の切替制御は、DCバスに設けられたDCバス電圧検出部によって検出されるDCバス電圧値、蓄電部電圧検出部によって検出される蓄電部電圧値、及び蓄電部電流検出部によって検出される蓄電部電流値に基づいて行われる。
さらに、蓄電部電圧検出部によって検出される蓄電部電圧値に基づいて、蓄電部(キャパシタ)のSOCが算出される。
図2に示すハイブリッド型ショベルは旋回機構を電動にしたもので、旋回機構2を駆動するために旋回用電動機21が設けられている。電動作業要素としての旋回用電動機21は、インバータ20を介して蓄電系120に接続されている。旋回用電動機21の回転軸21Aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回変速機24が接続される。旋回用電動機21と、インバータ20と、レゾルバ22と、メカニカルブレーキ23と、旋回変速機24とで負荷駆動系が構成される。
図3は蓄電系(蓄電装置)120の構成を示すブロック図である。蓄電系120は、蓄電部としてのキャパシタ19と、昇降圧コンバータとDCバス110とを含む。DCバス110は、キャパシタ19、電動発電機12、及び旋回用電動機21の間での電力の授受を制御する。キャパシタ19には、キャパシタ電圧値を検出するためのキャパシタ電圧検出部112と、キャパシタ電流値を検出するためのキャパシタ電流検出部113が設けられている。キャパシタ電圧検出部112とキャパシタ電流検出部113によって検出されるキャパシタ電圧値とキャパシタ電流値は、コントローラ30に供給される。
昇降圧コンバータ100は、電動発電機12及び旋回用電動機21の運転状態に応じて、DCバス電圧値を一定の範囲内に収まるように昇圧動作と降圧動作を切り替える制御を行う。DCバス110は、インバータ18A,20と昇降圧コンバータ100との間に配設されており、キャパシタ19、電動発電機12、及び旋回用電動機21の間での電力の授受を行う。
図2に戻り、コントローラ30は、ハイブリッド型ショベルの駆動制御を行う主制御部としての制御装置である。コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)及び内部メモリを含む演算処理装置で構成され、CPUが内部メモリに格納された駆動制御用のプログラムを実行することにより実現される装置である。
コントローラ30は、圧力センサ29から供給される信号を速度指令に変換し、旋回用電動機21の駆動制御を行う。圧力センサ29から供給される信号は、旋回機構2を旋回させるために操作装置26を操作した場合の操作量を表す信号に相当する。
コントローラ30は、電動発電機12の運転制御(電動(アシスト)運転又は発電運転の切り替え)を行うとともに、昇降圧制御部としての昇降圧コンバータ100を駆動制御することによるキャパシタ 19の充放電制御を行う。コントローラ30は、キャパシタ19の充電状態、電動発電機12の運転状態(電動(アシスト)運転又は発電運転)、及び旋回用電動機21の運転状態(力行運転又は回生運転)に基づいて、昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御を行い、これによりキャパシタ19の充放電制御を行う。
この昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御は、DCバス電圧検出部111によって検出されるDCバス電圧値、キャパシタ電圧検出部112によって検出されるキャパシタ電圧値、及びキャパシタ 電流検出部113によって検出されるキャパシタ電流値に基づいて行われる。
以上のような構成において、アシストモータである電動発電機12が発電した電力は、インバータ18Aを介して蓄電系120のDCバス110に供給され、昇降圧コンバータ100を介してキャパシタ19に供給される。旋回用電動機21が回生運転して生成した回生電力は、インバータ20を介して蓄電系120のDCバス110に供給され、昇降圧コンバータ100を介してキャパシタ19に供給される。
図4は、蓄電系120の回路図である。昇降圧コンバータ100は、リアクトル101、昇圧用IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)102A、降圧用IGBT102B、キャパシタ19を接続するための電源接続端子104、インバータ105を接続するための出力端子106、及び、一対の出力端子106に並列に挿入される平滑用のコンデンサ107を備える。昇降圧コンバータ100の出力端子106とインバータ18A,20との間は、DCバス110によって接続される。
リアクトル101の一端は昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bの中間点に接続され、他端は電源接続端子104に接続される。リアクトル101は、昇圧用IGBT102Aのオン/オフに伴って生じる誘導起電力をDCバス110に供給するために設けられている。
昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bは、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)をゲート部に組み込んだバイポーラトランジスタで構成され、大電力の高速スイッチングが可能な半導体素子(スイッチング素子)である。昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bは、コントローラ30により、ゲート端子にPWM電圧が印加されることによって駆動される。昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bには、整流素子であるダイオード102a及び102bが並列接続される。
キャパシタ19は、昇降圧コンバータ100を介してDCバス110との間で電力の授受が行えるように、充放電可能な蓄電器であればよい。なお、図4には、蓄電器としてキャパシタ19を示すが、キャパシタ19の代わりに、リチウムイオン電池等の充放電可能な二次電池、リチウムイオンキャパシタ、又は、電力の授受が可能なその他の形態の電源を用いてもよい。
電源接続端子104及び出力端子106は、キャパシタ19及びインバータ105が接続可能な端子であればよい。一対の電源接続端子104の間には、キャパシタ電圧を検出するキャパシタ電圧検出部112が接続される。一対の出力端子106の間には、DCバス電圧を検出するDCバス電圧検出部111が接続される。
キャパシタ電圧検出部112は、キャパシタ19の電圧値Vcapを検出する。DCバス電圧検出部111は、DCバス110の電圧値Vdcを検出する。平滑用のコンデンサ107は、出力端子106の正極端子と負極端子との間に挿入され、DCバス電圧を平滑化するための蓄電素子である。
キャパシタ電流検出部113は、キャパシタ19の正極端子(P端子)側においてキャパシタ19に流れる電流の値を検出する検出手段であり、電流検出用の抵抗器を含む。すなわち、キャパシタ電流検出部113は、キャパシタ19の正極端子に流れる電流値I1を検出する。一方、キャパシタ電流検出部117は、キャパシタの負極端子(N端子)側においてキャパシタ19に流れる電流の値を検出する検出手段であり、電流検出用の抵抗器を含む。すなわち、キャパシタ電流検出部117は、キャパシタ19の負極端子に流れる電流値I2を検出する。
昇降圧コンバータ100において、DCバス110を昇圧する際には、昇圧用IGBT102Aのゲート端子にPWM電圧が印加され、降圧用IGBT102Bに並列に接続されたダイオード102bを介して、昇圧用IGBT102Aのオン/オフに伴ってリアクトル101に発生する誘導起電力がDCバス110に供給される。これにより、DCバス110が昇圧される。
DCバス110を降圧する際には、降圧用IGBT102Bのゲート端子にPWM電圧が印加され、降圧用IGBT102B、インバータ105を介して供給される回生電力がDCバス110からキャパシタ 19に供給される。これにより、DCバス110に蓄積された電力がキャパシタ19に充電され、DCバス110が降圧される。
なお、実際には、コントローラ30と昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bとの間には、昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bを駆動するPWM信号を生成する駆動部が存在するが、図4では省略する。このような駆動部は、電子回路又は演算処理装置のいずれでも実現することができる。
以上のような構成のハイブリッド型ショベルにおいて、本実施形態では、蓄電系120のキャパシタ19を冷却するための冷却装置が設けられる。冷却装置は、冷媒(例えば、冷却水)を循環させる水冷ポンプと、循環している冷媒とハイブリッド型ショベルの本体の一部との間で熱交換を行なうためのペルチェ素子(熱伝達媒体)400とを有する。水冷ポンプを駆動する冷却水ポンプ用モータ310は、インバータ320を介して蓄電系120に接続される。すなわち、冷却水ポンプ用モータ310は、蓄電系120からの電力で駆動されて冷却水ポンプ250(図5参照)を駆動し、冷却装置内で冷媒を循環させる。ペルチェ素子400は電子冷却素子であり、コンバータ410を介して蓄電系120に接続される。すなわち、ペルチェ素子400は、蓄電系120からの電力により駆動され、冷却装置内で循環する冷媒から熱を吸収して冷媒を冷却し、吸収した熱をショベル本体の一部(例えば、カウンタウェイト)に放出する。ここで、冷却水ポンプ用モータ310としてDCモータを用いることもでき、その場合は、インバータ320としてはDC/DC変換器を用いることもできる。
キャパシタ19を冷却するための冷却装置について、以下に詳細に説明する。図5はキャパシタ19を冷却するための冷却装置200の構成を示す図である。
図5において、冷却装置200は、循環する冷媒によりキャパシタ19から熱を吸収し、吸収した熱を熱交換器210を介してショベルの本体220に放出することで、キャパシタ19を冷却する。本実施形態では、冷媒として冷却水を用い、熱交換器210としてペルチェ素子400を用いている。また、ショベルの本体220とは、ショベルを構成する比較的大きな熱容量を有する部分であり、例えば、ショベルの上部旋回体3を構成するフレームの一部であり、あるいは上部旋回体3に設けられたカウンタウェイト等である。
また、冷却装置200は、キャパシタ19以外にも、モータ230や電気回路部品240を冷却できるように構成されている。モータ230は、例えば電動発電機12や旋回用電動機21等の電動負荷となって発熱する部品である。電気回路部品240は、例えば、電気負荷を駆動するためのコントローラやドライバ等を構成する電気部品の中で、特に動作時の発熱が大きい部品、あるいは、耐熱温度が低い部品である。
キャパシタ19を冷却した冷却水(冷媒)は、冷却水ポンプ250に吸い込まれ、切替バルブ260を介して電気回路部品240及びモータ230に供給され、電気回路部品240及びモータ230を冷却した後に、電気部品用ラジエータ270に流れ込む。電気部品用ラジエータ270は、エンジン11のラジエータ11aの近傍に配置され、エンジン11のラジエータ11aと同様な構造を有する放熱器である。電気部品用ラジエータ270は、内部を通る冷却水をエンジン11のファン11bで発生した空気流で冷却する。
電気部品用ラジエータ270に入った冷却水は放熱して低温の冷却水となり、冷水配管280に流れ込む。冷水配管280はキャパシタ19(キャパシタの内部ではなくキャパシタ19の外周を包囲するような冷却部)に接続されており、低温の冷却水がキャパシタ19を流れることで、キャパシタ19は冷却される。キャパシタ19を冷却した後の冷却水は再び冷却水ポンプ250に吸い込まれてから吐出され、上述の経路を循環する。
ここで、本実施形態では、電気部品用ラジエータ270とキャパシタ19を繋ぐ冷水配管280の途中に、本体220に接続された熱交換器210が設けられている。熱交換器210として、上述のようにペルチェ素子400を用いることで、キャパシタ19に供給される冷却水をペルチェ素子400によっても冷却することができる。すなわち、ペルチェ素子400にキャパシタ19から電力を供給して駆動することで、ペルチェ素子400の吸熱部(冷却部)により冷水配管280を冷却する。ペルチェ素子400の発熱部(放熱部)は、ショベルの本体220に接続されており、吸熱部(冷却部)で吸収した熱はショベルの本体220に放熱される。
ショベルの運転時(エンジン11が駆動されている間)は、冷却水の冷却は電気部品用ラジエータにより行なわれるため、ペルチェ素子400を駆動する必要は無い。ただし、キャパシタ19を強く冷却したい場合には、ペルチェ素子400を駆動して冷却水をさらに低温にしてもよい。
本実施形態では、ショベルの運転が停止されてエンジン11の駆動が停止されると、冷却水ポンプ250の駆動は維持され、切替バルブ260が作動されて冷却水の経路が切り替えられる。すなわち、エンジン11の駆動が停止されると、切替バルブ260は冷却水の通路を、図5に示すように、電気回路部品240、モータ23、及び電気部品用ラジエータを通らずに熱交換器210に流れるように切り替える。これと同時に、ペルチェ素子400よりなる熱交換器210に電力が供給され、ペルチェ素子400が駆動される。
切替バルブ260が冷却水の通路を切り替えると、冷却水の循環経路は図5の2点鎖線で囲まれた部分での循環経路となる。この循環経路では、冷却水ポンプ250から吐出される冷却水は、切替バルブ260を介してバイパス通路282に流れ、熱交換器210の手前の冷水配管280に流れる。そして、冷却水は熱交換器210(ペルチェ素子400)を通過して冷却されてから、キャパシタ19に流れる。この冷却水によりキャパシタ19は冷却される。キャパシタ19を通過した冷却水は冷却水ポンプ250に吸い込まれ、再び冷却水ポンプ250から吐出されて上述の経路を循環する。
以上のように、エンジン11の駆動が停止されても、冷却水ポンプ250は駆動を続け、且つ冷却水の通路が切り替えられて熱交換器210とキャパシタ19だけを通過する循環経路が形成される。これにより、エンジン11の駆動が停止された後もキャパシタ19の冷却は継続され、キャパシタ19の温度が低減されるため、温度に起因したキャパシタ19の劣化を抑制することができる。また、冷却水ポンプ250はキャパシタ19からの電力で駆動されるため、冷却水ポンプ250を駆動する分だけキャパシタ19の蓄電量が減少する。これにより、キャパシタ19の充電率が減少してキャパシタ19の電圧が低下し、電圧に起因したキャパシタ19の劣化を抑制することができる。
図6は、上述の冷却装置200が組み込まれた上部旋回体3の平面図である。図6に示すように、ショベルは、下部走行体1として右側無限軌道1a及び左側無限軌道1bを備えている。上部旋回体3にはブーム5が取り付けられている。ブーム5の左側には運転室10aが設けられており、運転室10a内に操作装置26及びコントローラ30が設けられている。操作装置26は、運転者による運転操作を受け付けて、運転操作内容に基づく制御信号をコントローラ30に送出する。
ブーム4の右側には、昇降圧コンバータ100、旋回用電動機を制御するインバータ20、電動発電機12を制御するインバータ18A、冷却水ポンプ用モータ300を制御するインバータ310、及びペルチェ素子400を制御するコンバータ410を含む電気回路部品240が配置されている。
運転室10aの後側には、エンジン11、油圧ポンプ14及び電動発電機12が配置されている。上部旋回体3の後部にカウンタウェイト3aが設けられている。エンジン11のラジエータ11aに近接して、電気部品用ラジエータ270が配置されており、エンジン11の回転に伴い回転するファンの風が、電気部品用ラジエータ270にも供給される。本実施形態では、電気部品用ラジエータ270の近傍にキャパシタ19が配置され、残りの空間に冷却水ポンプ250及びこれを駆動する冷却水ポンプ用モータ300が配置されている。
以上のような配置構成の冷却装置200において、ショベルの運転時(すなわち、エンジン11の駆動時)には、冷却水ポンプ250から吐出される冷却水は、切替バルブ260に入り、切替バルブ260から配管284に流れて電気回路部品240に入る。冷却水は電気回路部品240を冷却してから配管286を流れて、電動発電機12に入る。冷却水は、電動発電機12を冷却してから配管288を流れて、旋回用電動機21に入る。そして、冷却水は旋回用電動機21を冷却してから、配管290を流れて電気部品用ラジエータ270に入る。冷却水は電気部品用ラジエータ270を流れる間に冷却され、冷水配管280に供給される。電気部品用ラジエータ270で冷却されて低温となった冷却水は冷水配管280からキャパシタ19に供給される。
ここで、冷水配管280の一部は、上部旋回体3の後部に設けられたカウンタウェイト3aに沿って延在しており、冷水配管280とカウンタウェイト3aとの間にペルチェ素子400が配置されている。ペルチェ素子400の吸熱部が冷水配管280に接触して熱的に接続され、放熱部がカウンタウェイト3aに接触して熱的に接続されている。したがって、ペルチェ素子400を駆動することで、冷水配管280から熱が吸収され、ペルチェ素子400を伝導してカウンタウェイト3aに放出される。このように、ペルチェ素子400は、冷水配管280とカウンタウェイト3aとの間で熱交換を行なう熱交換器210として機能する。あるいは、ペルチェ素子400は、冷水配管280の熱をカウンタウェイト3aに移動させるヒートポンプとして機能すると言うこともできる。したがって、
ペルチェ素子400の代わりに既知の熱交換器を用いてもよく、熱交換器としてヒートパイプ等を用いることもできる。
ショベルの運転時(すなわち、エンジン11の駆動時)には、冷却水は電気部品用ラジエータ270で冷却されるため、ペルチェ素子400を駆動して冷却しなくてもよく、必要な場合にだけペルチェ素子400を駆動すればよい。冷水配管280を流れた冷却水は、キャパシタ19に流れ、キャパシタ19を冷却してから、配管292を流れて冷却水ポンプ250に吸い込まれる。そして、冷却水は再び冷却水ポンプ250から切替バルブ260へと送り出されて、冷却装置200内で上述の経路に沿って循環する。
以上は、ショベルの運転時(すなわち、エンジン11の駆動時)での冷却水の流れであるが、ショベルの運転を停止した後(すなわち、エンジン11の駆動を停止した後)にも、冷却装置200は運転を停止せず、キャパシタ19の冷却を継続する。図7は、ショベルの運転を停止したときの冷却装置200の制御処理のフローチャートである。
まず、ショベルがキーオフされると(ステップS1)、エンジン11の駆動が停止される(ステップS2)。続いて、キャパシタ19の電圧が予め設定されたシステム下限値より高いか否かが判定される(ステップS3)。システム下限値は、キャパシタ19の充電率を一定値以上としてシステム制御(特に電力の供給)を問題なく行えるように設定された電圧値である。なお、キャパシタ19の電圧は、キャパシタ電圧検出部112が検出することができるが、キャパシタ電圧検出部112が設けられていない場合には、キャパシタ19内に電圧検出センサを設けることとしてもよい。
キャパシタ19の電圧値がシステム下限値以下の場合(ステップS3のNO)、キャパシタ19の電圧は十分に低下しているので、キャパシタ19を冷却するための電力をキャパシタ19から供給する必要はないため、処理を終了する。
一方、キャパシタ19の電圧値がシステム下限値より高い場合(ステップS3のYES)、処理はステップS4に進む。ステップS4では、切替バルブ260を操作して冷却水の経路を、配管284からバイパス配管282に切り替える。
続いて、冷却水ポンプ250の駆動が開始され(ステップS5)、冷却水ポンプ250から冷却水が吐出される。したがって、冷却水ポンプ250から吐出された冷却水は、切替バルブ260を通ってバイパス配管282に流れる。
続いて、ペルチェ素子400の駆動が開始される(ステップS6)。すなわち、キャパシタ19からペルチェ素子400に電力が供給され、ペルチェ素子400による冷却が開始される。ステップS5の処理によりバイパス配管282に流れた冷却水は、冷水配管280に流れ、ペルチェ素子400を通過する際に冷却されて低温の冷却水となり、キャパシタ19に供給される。したがって、キャパシタ19は冷却水により冷却される。キャパシタを冷却した冷却水は、冷却水ポンプ250に吸い込まれ、再び冷却水ポンプ250から吐出されて、以上の経路に沿って循環する。
ステップS6の処理が終了すると、処理はステップS7に進み、ステップS3と同様にキャパシタ19の電圧がシステム下限値より高いか否かが判定される。キャパシタ19の電圧がシステム下限値より高い場合は(ステップS7のYES)、ステップS7の判定を繰り返し行なう。キャパシタ19の電圧がシステム下限値以下となると(ステップS7のNO)、処理はステップS8に進む。ステップS8では、これ以上キャパシタ19の電圧値がシステム下限値まで下がったためこれ以上キャパシタ19から放電することはできないとして、冷却水ポンプ250の駆動を停止し且つペルチェ素子400の駆動を停止して、処理を終了する。
以上のように、ショベルの運転を停止した後(すなわち、エンジン11の駆動を停止した後)にも、キャパシタ19の電力により冷却装置200を運転することで、キャパシタ19を冷却し、且つキャパシタ19の電圧を低減することができる。これにより、ショベルの運転を停止した後に、キャパシタの温度を低下させ、且つ電圧も降下させることができ、キャパシタ19の劣化を抑制することができる。
本実施形態によれば、エンジン停止後もキャパシタ19を冷却するための専用の冷却水ポンプやラジエータを設ける必要がなくなり、ショベルの製造コストを上昇させることはない。また、ショベルの運転を停止した後に、エンジン11を継続して運転する必要がなく、ファン11aを回しておく必要がないため、安全性の点で好ましい。さらに、キャパシタ19自体のエネルギを使用してキャパシタ19を冷却するので、効率的な冷却である。また、運転停止後は、冷却が必要なキャパシタ19のみを冷却するので、効率的な冷却であり、且つキャパシタ19の冷却能力を大きくとることができる。
なお、図6に示す冷却装置では、キャパシタ19を電気部品用ラジエータ270に近い場所に配置しているが、キャパシタ19を配置する位置は他の場所でもよい。図8はキャパシタ19の設置位置を変更した場合の配管構成を示す図である。図8に示す例では、キャパシタ19を電気部品回路24の近くに配置している。したがって、冷水配管280はペルチェ素子400を通過した後に電気部品回路240の方向に向かって延在し、電気部品回路240の横を通過してキャパシタ19に接続されている。
次に、本発明の第2実施形態による冷却装置について、図9を参照しながら説明する。図9は第2実施形態による冷却装置200Aの構成を示す図である。図9において、図5に示す構成部品と同等な部品には同じ符号を付し、その説明は適宜省略する。
ショベルの運転時には、冷却装置200Aにおいて、キャパシタ19を冷却した冷却水(冷媒)は、切替バルブ262を通過してから、電気回路部品240及びモータ230を通過し、電気回路部品240及びモータ230を冷却する。その後、冷却水はチェックバルブ264を通過して冷却水ポンプ250に吸い込まれる。冷却水ポンプ250から吐出された冷却水は、電気部品用ラジエータ270に流れ込む。電気部品用ラジエータ270に入った冷却水は放熱して低温の冷却水となり、冷水配管280に流れ込む。冷水配管280はキャパシタ19(キャパシタの内部ではなくキャパシタ19の外周を包囲するような冷却部)に接続されており、低温の冷却水がキャパシタ19を流れることで、キャパシタ19は冷却される。キャパシタ19を冷却した後の冷却水は再び切替バルブ262を通過して電気回路部品240及びモータ230に供給され、上述の経路を循環する。
ここで、本実施形態では、切替バルブ262にバイパス配管294が接続されている。バイパス配管294の他端は、チェックバルブ264と冷却水ポンプ250との間の配管に接続されている。したがって、ショベルの運転を停止してエンジン11の駆動を停止した後は、切替バルブ262を操作することで、キャパシタ19を冷却した冷却水をバイパス配管294に流してから冷却水ポンプ25に吸い込ませることができる。
バイパス配管294とショベルの本体220との間にはペルチェ素子400が配置されており、キャパシタ19を冷却した後の冷却水をペルチェ素子400によっても冷却することができる。すなわち、ペルチェ素子400にキャパシタ19から電力を供給して駆動することで、ペルチェ素子400の吸熱部(冷却部)によりバイパス配管294を冷却する。ペルチェ素子400の発熱部(放熱部)は、ショベルの本体220に接続されており、吸熱部(冷却部)で吸収した熱はショベルの本体220に放熱される。
本実施形態では、ショベルの運転が停止されてエンジン11の駆動が停止されると、冷却水ポンプ250の駆動が開始され、又は冷却水ポンプ250が駆動されていた場合は駆動が維持され、且つ切替バルブ262が操作されて冷却水の経路が切り替えられる。すなわち、エンジン11の駆動が停止されると、切替バルブ262は冷却水の通路を、図9に示すように、電気回路部品240、モータ23、及び電気部品用ラジエータを通らずにバイパス配管294流れるように切り替える。これと同時に、ペルチェ素子400に電力が供給され、ペルチェ素子400が駆動される。
切替バルブ262を操作して冷却水の通路を切り替えると、冷却水の循環経路は図9の2点鎖線で囲まれた部分での循環経路となる。この循環経路では、冷却水ポンプ250から吐出される冷却水は、電気部品用ラジエータ270に供給され、電気用品用ラジエータ270で冷却された後に、冷水配管280を流れ、キャパシタ19を冷却する。そして、キャパシタ19を冷却した冷却水は、切替バルブ262を通ってバイパス配管294に流れ、ペルチェ素子400により冷却されてから、冷却水ポンプ250に吸い込まれる。
ここで、バイパス配管294は冷却水ポンプ250とチェックバルブ264との間に接続されており、バイパス配管294を流れてきた冷却水は、チェックバルブ264に流れることができず、冷却水ポンプ250の吸入側に流れることとなる。したがって、切替バルブ262でバイパス配管294に切替えられると、冷却水ポンプ250で送り出される冷却水は、電気回路部品240及びモータ230には流れずに、図9の二点鎖線で囲まれた経路を循環することとなる。
なお、本実施形態では、エンジン11用のラジエータ11aは専用の電動モータファン11bにより冷却されている。電動モータファン11bは、エンジン11の駆動とは別に電力で駆動されるファンであり、エンジン11の駆動を停止した後でも、電気部品用ラジエータ270に送風することができる。すなわち、電動モータファン11bは、DC/DCコンバータ11cを介してキャパシタ19からの電力を供給することで駆動される。本実施形態ではエンジン11の駆動を停止した後にも、キャパシタ19から電動モータファン11bに電力を供給し続けることで、電気部品用ラジエータ270により冷却水を冷却することができる。
また、本実施形態では、エンジン11の駆動を停止した後にキャパシタ19のみを冷却する際に、冷却水ポンプ250を逆転させてもよい。この場合、冷却水ポンプ250から吐出される冷却水は、まずバイパス配管294を流れ、ペルチェ素子400により冷却されてから、切替バルブ262を通ってキャパシタ19に流れることとなる。冷却水ポンプ250から吐出される冷却水は、チェックバルブ264があるために、モータ230及び電気回路部品240の方向に流れることは無い。したがって、この場合は、切替バルブ262を省略することもできる。
次に、本発明の第3実施形態による冷却装置について、図10を参照しながら説明する。図10は第3実施形態による冷却装置200Bの構成を示す図である。図10において、図5及び図9に示す構成部品と同等な部品には同じ符号を付し、その説明は適宜省略する。
ショベルの運転時には、キャパシタ19を冷却した冷却水(冷媒)は、切替バルブ262を通過してから、電気回路部品240及びモータ230を通過し、電気回路部品240及びモータ230を冷却する。その後、冷却水はチェックバルブ264を通過して冷却水ポンプ250に吸い込まれる。冷却水ポンプ250から吐出された冷却水は、切替バルブ266を通って電気部品用ラジエータ270に流れ込む。電気部品用ラジエータ270に入った冷却水は放熱して低温の冷却水となり、冷水配管280に流れ込む。冷水配管280はキャパシタ19(キャパシタの内部ではなくキャパシタ19の外周を包囲するような冷却部)に接続されており、低温の冷却水がキャパシタ19を流れることで、キャパシタ19は冷却される。キャパシタ19を冷却した後の冷却水は再び切替バルブ262を通過して電気回路部品240及びモータ230に供給され、上述の経路を循環する。
一方、ショベルの運転が停止されて、エンジン11の駆動が停止されると、切替バルブ262が操作されてバイパス配管294に切替えられ、且つ切替バルブ266が操作されてバイパス配管296に切り替えられる。エンジン11の駆動が停止されると、エンジン11で駆動しているファンも停止するので送風が無くなり、電気部品用ラジエータ270は放熱器として機能しなくなる。そこで、電気部品用ラジエータ270の手前に切替えバルブ266とバイパス配管296を設けて、冷却水が電気部品用ラジエータ270を通らずに、冷水配管280に流れるようにしている。冷水配管280には、上述の第1実施例と同様にペルチェ素子400が設けられており、キャパシタ19に流れる前に冷却水を冷却する。
なお、本実施形態では、上述の第2実施形態と同様に、エンジン11の駆動を停止した後にキャパシタ19のみを冷却する際に、冷却水ポンプ250を逆転させてもよい。
上述の第1乃至第3実施形態では、ペルチェ素子400により冷却水を冷却し、その冷却水でキャパシタ19を冷却するが、ペルチェ素子400に逆電圧を加えれば、冷却水を加熱することもできる。したがって、ペルチェ素子400で加熱した冷却水をキャパシタ19に流すことで、キャパシタを暖機することもできる。
なお、上述の第1乃至第3実施形態では旋回機構2が電動式であったが、旋回機構2が電動ではなく油圧駆動の場合がある。図11は図2に示すハイブリッド式ショベルの旋回機構を油圧駆動式とした場合の駆動系の構成を示すブロック図である。図11に示すハイブリッド型ショベルでは、旋回用電動機21の代わりに、旋回油圧モータ2Aがコントロールバルブ17に接続され、旋回機構2は旋回油圧モータ2Aにより駆動される。このような、ハイブリッド式ショベルであっても、上述の第1乃至第3実施形態による冷却装置を設けることで、ショベルの運転停止後にキャパシタ19の温度を低下させ且つ電圧を低下させて、キャパシタ19の劣化を抑制することができる。
また、上述の第1乃至第3実施形態では、エンジン11と電動発電機12とを油圧ポンプ14に接続して油圧ポンプ14を駆動する、いわゆるパラレル型のハイブリッド式ショベルに本発明を適用した例について説明した。本発明は、図12に示すようにエンジン11で電動発電機12を駆動し、電動発電機12が生成した電力を蓄電系120に蓄積してから蓄積した電力のみによりポンプ用電動機400を駆動してメインポンプ14を駆動する、いわゆるシリーズ型のハイブリッド式ショベルにも適用することもできる。この場合、電動発電機12は、本実施形態ではエンジン11によって駆動させることによる発電運転のみを行なう発電機としての機能を備えている。
なお、図12に示すハイブリッド式ショベルでは、ブームシリンダ7からの戻り油圧を利用して油圧回生が行なわれている。すなわち、ブームシリンダ7からの戻り油圧用の油圧配管7Aにブーム回生油圧モータ510が設けられ、ブーム回生油圧モータにより発電機500を駆動して回生電力を発生する。発電機500により発生した電力はインバータ18Cを介して蓄電系120に供給される。