JP6662031B2 - 冷却システム - Google Patents

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本発明は、ハイブリッド車両においてエンジンおよび電動モータを冷却するシステムに関する。
エンジンと電動モータとを走行駆動源として搭載したハイブリッド車両において、エンジン,電動モータのそれぞれを冷却対象とした冷却系を個別に装備した冷却システムが知られている。エンジンの冷却系には、エンジン駆動の機械式ポンプで圧送される冷媒の循環するエンジン冷却回路が設けられ、電動モータの冷却系には、電動式ポンプで圧送される冷媒の循環するモータ冷却回路が設けられる。
エンジンの冷却系は、電動モータの冷却系に比較して冷却対象の発熱量が多いことから、冷却能力が高められており、多量の冷媒がポンプで圧送され、冷媒に吸熱される熱量が多い傾向にある。
そこで、エンジンの冷却系で冷媒に吸収された熱を電動モータの冷却系に利用する技術が開発されている。たとえば、寒冷環境において電動モータの冷却系を加温するために、モータ冷却回路とエンジン冷却回路とを接続する流路に開閉弁を設けたうえで、開閉弁を開放して二系統の冷却回路を連通させる技術が検討されている(特許文献1,2参照)。
特開2013-073533号公報 特許4958637号公報
上述したような二系統の冷却回路が接続された冷却システムでは、電動モータの冷却系よりもエンジンの冷却系の冷却能力が高められていることから、電動式ポンプよりも高出力の機械式ポンプが用いられる。
しかしながら、冷媒の温度が低下して粘度が上昇していれば、粘性抵抗の増大によってポンプの圧送負荷が増大し、エネルギー効率の低下を招く。この場合には、機械式ポンプよりも低出力の電動式ポンプのエネルギー効率が低下しやすい。そのほか、そもそもエンジンが始動していなければ、機械式ポンプを駆動させることができず、二系統の冷却回路を連通させたとしてもエンジン冷却回路で冷媒が圧送されないため、電動式ポンプの圧送負荷が増大し、エネルギー効率の低下を招くおそれもある。
本件の冷却システムは、上記のような課題に鑑みて創案されたものであり、エネルギー効率の低下を抑えることを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用および効果であって、従来の技術では得られない作用および効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
(1)ここで開示する冷却システムには、エンジンを冷却する第一回路と、電動モータを冷却する第二回路と、バルブと制御部とが設けられる。
前記第一回路には、第一ポンプで圧送される第一冷媒が流通する。前記第一ポンプは前記エンジンによって駆動される。
前記第二回路には、電動の第二ポンプで圧送される第二冷媒が流通する。
前記バルブは、前記第一回路と前記第二回路とを連通する連通路に介装される。
前記制御部は、前記エンジンが前記第一ポンプを駆動していることを含む所定条件の成立時に前記バルブを開放しつつ、前記第二ポンプの出力を抑える。
前記所定条件は、前記第一冷媒の温度が前記第二回路で許容される上限温度よりも低いことおよび前記第二冷媒の温度よりも前記第一冷媒の温度のほうが高いことを含む。
なお、前記第二ポンプよりも前記第一ポンプのほうが高出力である。また、前記バルブが開放されると、前記第一回路と前記第二回路とが連通し、前記バルブが閉鎖されると、前記第一回路と前記第二回路との連通が遮断される。
前記第一冷媒の温度は、前記エンジンの発熱量に応じて大きく変動し、たとえば前記電動モータの作動上限温度を超える程度まで高温になる場合がある。しかし、このような状況で前記バルブを開放してしまうと、前記電動モータの安定作動を保証できなくなるおそれがある。そのため、前記制御部は、前記第一冷媒が過剰に高温でないことを条件として、前記バルブを開放する。
なお、前記第一冷媒の温度が前記第二回路で許容される前記上限温度以上であれば、前記制御部は、前記バルブを閉鎖し、前記第二ポンプの出力を維持することが好ましい。
)前記制御部は、前記所定条件の成立時に、前記第二冷媒の温度が低いほど、前記第二ポンプの出力抑制量を大きくすることが好ましい。なお、前記第一冷媒および前記第二冷媒は、温度が低下するにつれて粘度が上昇する。
)また、前記制御部は、前記所定条件の成立時に、前記第一冷媒の温度が低いほど、前記第二ポンプの出力抑制量を大きくすることが好ましい
)前記第一回路には、前記第一冷媒を放熱させる第一ラジエータが設けられることが好ましい。さらに、前記連通路には、前記第一回路における前記エンジンよりも下流側であって前記第一ラジエータよりも上流側と前記第二回路とを連通させる第一連通路が設けられることが好ましい。この場合には、前記バルブが前記第一連通路に介装された第一バルブを有することが好ましい。
)また、前記第二回路には、前記第二冷媒を放熱させる第二ラジエータが設けられることが好ましい。さらに、前記連通路には、前記第二回路における前記第二ラジエータよりも上流側と前記第一回路とを連通させる第二連通路が設けられることが好ましい。この場合には、前記バルブが前記第二連通路に介装された第二バルブを有することが好ましい。
)前記制御部は、前記エンジンの停止中に前記第二ポンプが故障した場合に、前記エンジンを始動させ、前記バルブを開放することが好ましい。
)前記制御部は、前記所定条件の成立時に、前記第一ポンプの出力が高いほど、前記第二ポンプの出力抑制量を大きくすることが好ましい。
本件の冷却システムによれば、第一ポンプの駆動時にバルブを開放して第一回路と第二回路とを連通させたうえで、電動の第二ポンプの出力を抑えることにより、第二回路における第二冷媒の圧送負荷の少なくとも一部をエンジン駆動の第一ポンプに担わせることができ、エネルギー効率の低下を抑えることができる。
冷却システムを示す模式図であり、白抜きの矢印が冷媒の流通方向である。 冷媒温度と電動式ポンプの出力を抑制するための補正係数との対応を例示するグラフである。 機械式ポンプの出力の大きさと電動式ポンプの出力を抑制するための補正係数との対応を例示するグラフである。 冷却システムにおける制御の手順を例示するフローチャートである。 図4の出力抑制制御の手順を例示するフローチャートである。
図面を参照して、実施形態としての冷却システムについて説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
本実施形態の冷却システムは、エンジンと電動モータとを走行駆動源として搭載したハイブリッド車両に装備される。ハイブリッド車両では、エンジン,電動モータが走行状態に応じて使い分けられる。たとえば、電動モータまたはエンジンが単独で使用され、あるいは、電動モータおよびエンジンが併用される。
本冷却システムでは、エンジン,電動モータのそれぞれを冷却対象とし、これらの冷却対象が冷媒で冷却される。なお、本実施形態では、冷媒の流通方向を基準に上流および下流を定める。
[1.構造]
まず、図1を参照して、冷却システムの基本的な構造を説明する。以下、エンジン1および電動モータ2のそれぞれを冷却する二つの冷却構造,これらの冷却構造を連結させる構造の順に述べる。
[1−1.冷却構造]
冷却システムには、エンジン1の冷却系と電動モータ2の冷却系とがそれぞれ個別に設けられる。エンジン1の冷却系には、エンジン1を冷却するエンジン冷却回路(第一回路)10が設けられ、電動モータ2の冷却系には、電動モータ2を冷却するモータ冷却回路(第二回路)20が設けられる。また、エンジン冷却回路10を流通するエンジン冷媒(第一冷媒)と、モータ冷却回路20を流通するモータ冷媒(第二冷媒)とには、同一の冷却液が使用される。これらの冷媒は、温度が低下するにつれて粘性が上昇する特性をもつ。
エンジン冷却回路10には、冷却対象のエンジン1と、エンジン1によって駆動される機械式ポンプ(第一ポンプ)P1と、エンジン冷媒を放熱させるエンジンラジエータ(第一ラジエータ)12とが介装される。
このエンジン冷却回路10には、エンジンラジエータ12からエンジン1へのエンジン冷媒が流通する上流側回路101と、エンジン1からエンジンラジエータ12へのエンジン冷媒が流通する下流側回路102とが設けられる。
エンジン1は、燃料を燃焼させた熱エネルギーによって駆動力を出力する内燃機関である。エンジン1の内部をエンジン冷媒が流通することで、エンジン1の作動熱がエンジン冷媒によって吸収されて冷却される。このエンジン1の駆動力は、車輪のほか、機械式ポンプP1に出力される。
機械式ポンプP1は、エンジン1の駆動力を動力源とするエンジン冷媒の圧送器である。この機械式ポンプP1は、エンジンP1に連動して作動する。すなわち、エンジン1の作動時には機械式ポンプP1も作動し、エンジン1の停止時には機械式ポンプP1の作動も停止する。
エンジンラジエータ12は、エンジン冷媒を外気と熱交換させて冷却する放熱器である。このエンジンラジエータ12の内部をエンジン冷媒が流通することで、外気によってエンジン冷媒が放熱する。
モータ冷却回路20には、冷却対象として、電動モータ(図1では「M/G」〈Motor Generator〉と示す)2をはじめ、電動モータ2と走行駆動用バッテリ(図1では「BAT」と示す)6との間に設けられたインバータ(図1では「INV」と示す)3や車載充電器(図1では「OBC」〈On Board Charger〉と示す)4といった電装品が介装される。さらに、モータ冷却回路20には、補機用バッテリ9によって駆動される電動式ポンプ(第二ポンプ)P2と、モータ冷媒を放熱させるモータラジエータ(第二ラジエータ)22とが介装される。
このモータ冷却回路20には、モータラジエータ22から電動モータ2へのモータ冷媒が流通する上流側回路201と、電動モータ2からモータラジエータ22へのモータ冷媒が流通する下流側回路202とが設けられる。
電動モータ2は、走行時に力行する機能と制動時に回生する機能とを併せもつ電動発電機である。この電動モータ2に接続されるインバータ3は、DC−ACインバータとも称され、電流を直流から交流に変換、または、電流を交流から直流に変換する変換器である。電動モータ2の力行時には、たとえばインバータ3に内蔵されたIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)モジュールによって交流周波数や交流電圧が制御され、電動モータ2の回生時には、発生した電力が直流電力に変換されて走行駆動用バッテリ6が充電される。
車載充電器4は、AC−DCインバータとも称され、充電ステーションや家庭用コンセントなどの外部充電設備を用いて走行駆動用バッテリ6を充電するときに、電流を交流から直流に変換する変換器である。たとえば、外部電源装置から供給される数百ボルトの交流電力が数百ボルトの直流電力に変換され、走行駆動用バッテリ6が充電される。
上記の電動モータ2,インバータ3および車載充電器4は、作動時に発熱するため、所定の使用温度範囲内で作動し続けられるように冷却される。
電動式ポンプP2は、補機用バッテリ9の電力を動力源とするモータ冷媒の圧送器である。この電動式ポンプP2の作動状態は、エンジン1の作動状態から独立して制御される。たとえば、エンジン1の停止中に電動式ポンプP2を作動させることができ、また、エンジン1の作動中に電動式ポンプP2の作動を停止させることができる。
モータラジエータ22は、上述したエンジンラジエータ12と同様に、モータ冷媒を外気と熱交換させて冷却する放熱器である。このモータラジエータ22の内部をモータ冷媒が流通することで、外気によってモータ冷媒が放熱する。
つづいて、エンジン1の冷却系と電動モータ2の冷却系とを比較して説明する。
エンジン1の作動時における発熱量は、電動モータ2,インバータ3や車載充電器4の作動時における発熱量よりも多い。そのため、エンジン1の冷却系のほうが電動モータ2の冷却系よりも冷却能力が高められている。具体的に言えば、エンジン冷却回路10のエンジン冷媒量(たとえば100〜200リットル)は、モータ冷却回路20のモータ冷媒量(たとえば5〜10リットル)よりも多い。また、エンジン冷媒を圧送する機械式ポンプP1のほうが、モータ冷媒を圧送する電動式ポンプP2よりも高出力である。
そのほか、エンジン冷却回路10の冷却対象(エンジン1)よりも、モータ冷却回路20の冷却対象(電動モータ2,インバータ3,車載充電器4)のほうが、許容される上限温度(耐熱性)が低い。たとえば、エンジン冷却回路10で許容される上限温度は120℃程度であり、モータ冷却回路20で許容される上限温度は60℃程度である。そのため、エンジン冷却回路10におけるエンジン冷媒の温度(以下、「エンジン冷媒温度」という)TEよりも、モータ冷却回路20におけるモータ冷媒の温度(以下、「モータ冷媒温度」という)TMのほうが、もっぱら低温である。
[1−2.連通構造]
つぎに、上述した二系統の冷却回路10,20を連結させる構造を説明する。ここでは、連結構造として、三つの連通路30,31,32が設けられている。
連通路30,31,32は、エンジン冷却回路10とモータ冷却回路20とを連通させる冷媒の流通路である。
これらの連通路30,31,32は、エンジン冷却回路10からモータ冷却回路20へのエンジン冷媒が流通する一つの流入連通路30と、モータ冷却回路20からエンジン冷却回路10へのモータ冷媒が流通する二つの流出連通路31,32とに大別される。
流入連通路30は、エンジン冷却回路10の下流側回路102とモータ冷却回路20の上流側回路201とを連通させる。すなわち、エンジン冷却回路10の下流側回路102において流入連通路30の上流端部が接続される第一接続箇所S1には、三叉路状に分岐した流路が形成される。同様に、モータ冷却回路20の上流側回路201において流入連通路30の下流端部が接続される第二接続箇所S2には、三叉路状に分岐した流路が形成される。
二つの流出連通路31,32のうち一方は、エンジン冷却回路10における下流側回路102とモータ冷却回路20の上流側回路201とを連通させる第一流出連通路31であり、他方は、モータ冷却回路20の下流側回路202とエンジン冷却回路10における下流側回路102とを連通させる第二流出連通路32である。
第一流出連通路31の上流端部は、モータ冷却回路20の上流側回路201において、流入連通路30が接続される第二接続箇所S2よりも上流側の第三接続箇所S3に接続される。また、第一流出連通路31の下流端部は、エンジン冷却回路10の下流側回路102において、流入連通路30が接続される第一接続箇所S1よりも下流側の第四接続箇所S4に接続される。
第二流出連通路32の上流端部は、モータ冷却回路20の下流側回路202において、すべての冷却対象(電動モータ2,インバータ3,車載充電器4)よりも下流側の第五接続箇所S5に接続される。また、第二流出連通路32の下流端部は、エンジン冷却回路10の下流側回路102において、流入連通路30が接続される第一接続箇所S1よりも下流側の第六接続箇所S6に接続される。ここでは、エンジン冷却回路10の下流側回路102において、第四接続箇所S4よりも下流側に第六接続箇所S6が配置される。
なお、第三〜第六接続箇所S3〜S6には、第一および第二接続箇所S1,S2と同様に、三叉路状に分岐した流路が形成される。
[2.制御]
つづいて、上述した冷却構造における冷媒の流通に関する制御を説明する。この制御は、制御装置(制御部)50によって実施される。
[2−1.接続装置]
はじめに、制御装置50に接続される装置を説明する。
制御装置50の入力側には、制御装置50に情報を伝送する装置が接続され、制御装置50の出力側には、制御装置50の制御対象が接続される。
具体的には、制御装置50に対して、エンジン冷媒温センサ(第一センサ)41と、モータ冷媒温センサ(第二センサ)42と、上述した機械式ポンプP1および電動式ポンプP2ならびにエンジン1と、四つのバルブV1〜V4とが接続されている。
エンジン冷媒温センサ41,モータ冷媒温センサ42,機械式ポンプP1は、制御装置50の入力側に接続され、バルブV1〜V4は、制御装置50の出力側に接続される。さらに、電動式ポンプP2およびエンジン1は、制御装置50の入力側および出力側のそれぞれに接続される。
エンジン冷媒温センサ41は、エンジン冷媒温度TEを検出する検出器である。同様に、モータ冷媒温センサ42は、モータ冷媒温度TMを検出する検出器である。ここでは、エンジン冷却回路10の下流側回路102においてエンジン1と第一接続箇所S1との間にエンジン冷媒温センサ41が設けられ、このエンジン冷媒温センサ41によって下流側回路102のエンジン冷媒温度TEが検出される。また、モータ冷却回路20の上流側回路201において第二接続箇所S2と電動モータ2との間にモータ冷媒温センサ42が設けられ、このモータ冷媒温センサ42によって上流側回路201のモータ冷媒温度TMが検出される。これらのエンジン冷媒温度TE,モータ冷媒温度TMの情報は、制御装置50に伝送される。
機械式ポンプP1からは、自身の出力の大きさに関する情報が制御装置50に伝送される。出力の大きさに関する情報とは、機械式ポンプP1の圧送量や圧送圧力に関する情報である。この情報としては、機械式ポンプP1の出力の大きさに応じて変動するポンプ回転速度情報や作動電流情報などが挙げられる。
電動式ポンプP2からは、自身の故障に関する情報が制御装置50に伝送される。故障に関する情報とは、電動式ポンプP2が故障しているか否かの情報である。この情報としては、ポンプ回転速度情報や作動電流情報などが挙げられる。
エンジン1からは、自身の作動に関する情報が制御装置50に伝送される。作動に関する情報とは、エンジン1が作動しているか否かの情報である。この情報としては、クランク回転速度情報が挙げられる。
バルブV1〜V4は、冷媒流路に介装される。具体的には、第一バルブV1が流入連通路30に介装され、第二バルブV2が第一流出連通路31に介装され、第三バルブ(第二バルブ)V3が第二流出連通路32に介装され、第四バルブV4がモータ冷却回路20の下流側回路202において第五接続箇所S5よりも下流側に介装される。
これらのバルブV1〜V4は、制御装置50によって開閉制御される電磁開閉弁である。第一バルブV1,第二バルブV2,第三バルブV3は、非通電時(非制御時)に閉鎖状態を維持する常閉弁である。一方、第四バルブV4は、非通電時(非制御時)に開放状態を維持する常開弁である。
[2−2.制御装置]
つぎに、制御装置50を説明する。この制御装置50は、CPU(Central Processing Unit),MPU(Micro Processing Unit)などのマイクロプロセッサやROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory),不揮発メモリなどを集積した電子デバイス(ECU,電子制御装置)として構成される。ここでいうプロセッサとは、例えば制御ユニット(制御回路)や演算ユニット(演算回路)、キャッシュメモリ(レジスタ)などを内蔵する処理装置(プロセッサ)である。また、ROM,RAMおよび不揮発メモリは、プログラムや作業中のデータが格納されるメモリ装置である。制御装置50で実施される制御の内容は、ファームウェアやアプリケーションプログラムとしてROM,RAM,不揮発メモリ,リムーバブルメディア内に記録される。また、プログラムの実行時には、プログラムの内容がRAM内のメモリ空間内に展開され、プロセッサによって実行される。
制御装置50は、各種の制御条件の成否に応じて各種の制御指令を制御対象に出力する機能をもつ。
この制御装置50には、各種の制御を実施するための要素として、各種の制御条件を判定する判定部510と、判定部510によって判定された制御条件の成否に基づいて各種の制御内容を指令する指令部520とが設けられる。この指令部520には、バルブV1〜V4の開閉を指令するバルブ指令部530と、電動式ポンプP2の作動状態を指令するポンプ指令部540と、エンジン1の作動状態を指令するエンジン指令部550とが設けられる。さらに、ポンプ指令部540には、電動式ポンプP2の出力の大きさを演算する出力演算部541が設けられる。
なお、判定部510,指令部520,バルブ指令部530,ポンプ指令部540,出力演算部541およびエンジン指令部550は、制御装置50で実行されるプログラムの一部の機能を示すものであり、ソフトウェアで実現されるものとする。ただし、各機能の一部または全部をハードウェア(電子制御回路)で実現してもよく、あるいはソフトウェアとハードウェアとを併用して実現してもよい。
ここで、判定部510によって判定される各種の制御条件の成否と、指令部520によって制御内容が指令される各種の制御との対応を、下記の表1に示す。
Figure 0006662031
〈制御条件〉
以下、表1に示す制御条件のそれぞれを、エンジン作動条件,フェール条件,冷媒温度条件(所定条件)の順に説明する。
エンジン作動条件は、エンジン1が作動しているか否かを判定する条件である。そのため、エンジン作動条件は、エンジン1が作動していれば成立し、エンジン1が停止していれば成立しない。機械式ポンプP1の作動がエンジン1に連動することから、エンジン作動条件は、機械式ポンプP1が作動しているか否かを判定する条件とも言える。
なお、停止したエンジン1を始動させる通常の条件としては、下記の条件A1〜A3(OR条件)が挙げられる。
条件A1:環境温度が所定環境温度以下である
条件A2:走行駆動用バッテリ6の容量(SOC:State Of Charge,充電率)が所
定容量未満である
条件A3:要求出力トルクが所定トルクよりも大きい
条件A1の環境温度とは、冷却システムが晒される環境の温度である。この環境温度としては、たとえば外気温や冷媒温度を用いることができる。また、所定環境温度としては、電動モータ2や走行駆動用バッテリ6の安定作動が保証された下限温度(たとえば−10℃)が設定される。そのほか、条件A2の所定容量には、走行駆動用バッテリ6の容量が十分に残存していると見做せる下限容量(たとえば30%)が設定され、条件A3の所定トルクには、電動モータ2の最高出力トルクが設定される。
フェール条件は、電動式ポンプP2が故障しているか否かを判定する条件である。そのため、フェール条件は、電動式ポンプP2が故障していれば成立し、電動式ポンプP2が故障していなければ成立しない。
冷媒温度条件は、エンジン冷却回路10のエンジン冷媒をモータ冷却回路20に適切に流入させるための温度条件である。この冷媒温度条件の判定では、基本条件の成否を判定したうえで、第一条件および第二条件が判定される。
基本条件としては、下記の条件B1およびB2(AND条件)が挙げられる。
条件B1:エンジン冷媒温度TEが許容上限温度T0よりも低温(TE<T0)である
条件B2:モータ冷媒温度TMよりもエンジン冷媒温度TEのほうが高温(TM<TE
である
条件B1の許容上限温度T0とは、電動モータ2やインバータ3,車載充電器4の安定動作が保証される上限温度(たとえば60℃)である。すなわち、モータ冷却回路20で許容される上限温度が許容上限温度T0として予め設定される。
第一条件は、モータ冷媒温度TMが第一所定温度T1以下(TM≦T1)であることである。反対に、第二条件は、モータ冷媒温度TMが第一所定温度T1よりも高温(TM>T1)であることである。この第一所定温度T1は、モータ冷媒が高粘度と見做せる上限温度(たとえば−10℃)として予め設定される。なお、第一条件と第二条件とでは、成否が排他的に判定される。
上記の表1に示すように、フェール条件の不成立と冷媒温度条件の基本条件の不成立とが判定されると、通常制御が実施される。また、エンジン作動条件の不成立とフォール条件の成立とが判定されると、フェール制御が実施される。さらに、エンジン作動条件の成立と冷媒温度条件の基本条件の成立が判定されると、出力抑制制御が実施される。この出力抑制制御では、基本条件が成立したうえで、第一条件の成立が判定されると第一制御が実施され、第二条件の成立が判定されると第二制御が実施される。
〈制御内容〉
つぎに、下記の表2を参照して、指令部520から制御内容が指令される各種の制御について、通常制御,フェール制御,出力抑制制御の順に説明する。
Figure 0006662031
通常制御は、エンジン冷却回路10とモータ冷却回路20との連通を遮断して、互いに独立して冷媒を流通させる制御である。この通常制御では、すべての連通路30,31,32のそれぞれに設けられた第一バルブV1,第二バルブV2および第三バルブV3を閉鎖させ、モータ冷却回路20に設けられた第四バルブV4を開放させる。このようにバルブV1〜V4の開閉パターンが制御されることで、エンジン冷媒がエンジン冷却回路10のみで循環し、モータ冷媒がモータ冷却回路20のみで循環する。なお、電動式ポンプP2は特に制御されず、通常通りに作動する。
ここでは、非通電時におけるバルブV1〜V4の開閉パターンと、通常制御におけるバルブV1〜V4の開閉パターンとが同じなので、制御指令がされていないとしても、エンジン冷却回路10とモータ冷却回路20とで独立して冷媒が流通する。そのため、本実施形態の冷却システムでは、「通常制御の実施」を「何も制御しない」と読み替えてもよい。
フェール制御は、電動式ポンプP2が故障した場合に、機械式ポンプP1を利用してモータ冷却回路20のモータ冷媒を流通させる制御である。このフェール制御では、エンジン1が作動していなければ強制的にエンジン1を始動させ、第一バルブV1,第二バルブV2および第四バルブV4を開放させ、第三バルブV3を閉鎖させる。このようにバルブV1〜V4の開閉パターンが制御されることで、流入連通路30を経てエンジン冷却回路10から流入したエンジン冷媒は、電動モータ2,インバータ3,車載充電器4を経てモータラジエータ22で冷却され、第一流出連通路31からエンジン冷却回路10に還流し、エンジンラジエータ12で冷却される。
出力抑制制御は、モータ冷却回路20におけるモータ冷媒の圧送負荷を機械式ポンプP1に担わせたうえで、電動式ポンプP2の出力を抑える制御である。そのため、出力抑制制御では、電動式ポンプP2に出力の抑制が指令される。このように指令される電動式ポンプP2に出力は、出力演算部541によって演算される。
ここで、出力演算部541によって演算される電動式ポンプP2の出力について説明する。この出力演算部541は、モータ冷媒温度TM,エンジン冷媒温度TE,機械式ポンプP1の出力OMなどの所定のパラメータに基づいて、電動式ポンプP2の出力OEを演算する。
たとえば、図2に示すように、モータ冷媒温度TMが低くなるにつれて小さくなる補正係数αを、電動式ポンプP2の定格出力OE1に乗算することで、電動式ポンプP2の出力OE(=α・OE1)が演算される。
図2では、モータ冷媒温度TMが上述した第一所定温度T1以下であれば、補正係数αが「0(ゼロ)」に設定されるため、電動式ポンプP2が停止される。一方、モータ冷媒温度TMが第二所定温度T2よりも高ければ、補正係数αが「1」に設定されるため、電動式ポンプP2の出力OE(=OE1)は抑制されない。この第二所定温度T2は、モータ冷媒が低粘度と見做せる下限温度(たとえば10℃)として予め設定される。なお、第一所定温度T1よりも高温であって第二所定温度T2以下のモータ冷媒は、中粘度と見做すことができる。
あるいは、図2に括弧書きで示すように、エンジン冷媒温度TEが低くなるにつれて小さくなる補正係数βを、電動式ポンプP2の出力OE1に乗算することで、電動式ポンプP2の出力OE(=β・OE1)を演算してもよい。
そのほか、図3に示すように、機械式ポンプP1の出力OMが高くなるにつれて小さくなる補正係数γを電動式ポンプP2の定格出力OE1に乗算することで、電動式ポンプP2の出力OE(=γ・OE1)を演算してもよい。
図3では、機械式ポンプP1の出力OMが第一所定出力OM1よりも低ければ、補正係数γが「1」に設定され、第二所定出力OM2よりも高ければ、補正係数γが「0(ゼロ)」に設定される。この第一所定出力OM1は、機械式ポンプP1に更なる負荷を担わせると、エンジン1の不安定燃焼やストールといった不具合を招くおそれのある上限出力として予め設定される。一方、第二所定出力OM2は、機械式ポンプP1に十分に余力があるとされる下限出力として予め設定される。
なお、上述した補正係数α,β,γの少なくとも二つを併用して、電動式ポンプP2の出力OEを演算してもよい。
このようにして出力演算部541によって演算された出力OEは、出力抑制制御において、電動式ポンプP2への出力指令値として用いられる。
出力抑制制御のうちの第一制御では、第一条件(TM≦T1)の成立を制御条件とする。すなわち、補正係数αが「0(ゼロ)」であることから、電動式ポンプP2を停止させる。また、第一制御では、第一バルブV1および第三バルブV3を開放させ、第二バルブV2および第四バルブV4を閉鎖させる。このようにバルブV1〜V4の開閉パターンが制御されることで、流入連通路30を経てモータ冷却回路20から流入したエンジン冷媒は、電動モータ2,インバータ3,車載充電器4を経て、第二流出連通路32からエンジン冷却回路10に還流する。
出力抑制制御のうちの第二制御では、電動式ポンプP2の出力が抑えられる。このとき、モータ冷媒温度TMやエンジン冷媒温度TEが低くなるほど、あるいは、機械式ポンプP1の出力OMが高くなるほど、電動式ポンプP2の出力抑制量が大きく制御される。また、第二制御では、フェール制御と同様に、第一バルブV1,第二バルブV2および第四バルブV4を開放させ、第三バルブV3を閉鎖させる。そして、流入連通路30を経てエンジン冷却回路10から流入したエンジン冷媒は、電動モータ2,インバータ3,車載充電器4を経てモータラジエータ22で冷却され、第一流出連通路31からエンジン冷却回路10に還流する。このように、出力抑制制御時の制御装置50は、第一バルブV1,第二バルブV2および第四バルブV4を開放させてエンジン冷却回路10とモータ冷却回路20とを連通させつつ、電動式ポンプP2の出力を抑える。
[3.フローチャート]
つぎに、冷却システムにおける制御フローを説明する。
この制御フローは、車両のメインスイッチがオンの状態において、所定の周期で繰り返し実施される。また、フローチャート中の各ステップは、制御装置50のハードウェアに割り当てられた各機能がソフトウェア(コンピュータプログラム)によって動作することで実施される。
図4に示すように、はじめに、エンジン1が作動しているか否かを判定する(ステップA10)。すなわち、エンジン作動条件の成否を判定する。
エンジン1が作動(エンジン作動条件が成立)していれば、エンジン冷媒温度TEが許容上限温度T0よりも低温であるか否かを判定し(ステップA20)、モータ冷媒温度TMよりもエンジン冷媒温度TEのほうが高温であるか否かを判定する(ステップA30)。すなわち、冷媒温度条件における基本条件の成否を判定する。
それから、所定のパラメータに基づいて電動式ポンプP2の出力を演算し(ステップA40)、出力抑制制御の実施を指令する(ステップA50)。
図5に示すように、出力抑制制御では、モータ冷媒温度TMが第一所定温度T1以下か否かを判定する(ステップA52)。すなわち、冷媒温度条件の第一条件が成立したか否か(第二条件が不成立か否か)を判定する。
モータ冷媒温度TMが第一所定温度T1以下(第一条件が成立,第二条件が不成立)であれば、第一制御の実施を指令し(ステップA54)、モータ冷媒温度TMが第一所定温度T1よりも高温(第一条件が不成立,第二条件が成立)であれば、第二制御の実施を指令する(ステップA56)。そして、本制御周期を終了(リターン)する。
また、図4に示すように、エンジンが停止(エンジン作動条件が不成立)していれば、電動式ポンプP2が故障しているか否かを判定する(ステップA60)。すなわち、フェール条件の成否を判定する。電動式ポンプP2が故障(フェール条件が成立)していれば、フェール制御の実施を指令し(ステップA70)、電動式ポンプP2が正常(フェール条件が不成立)であれば、通常制御の実施を指令する(ステップA80)。そして、本制御周期を終了(リターン)する。
[4.作用および効果]
本実施形態の冷却システムは、上述のように構成されるため、以下のような作用および効果を得ることができる。
(1)冷却システムで実施される出力抑制制御によれば、エンジン作動条件の成立時、すなわち、機械式ポンプP1の駆動時に、流入連通路30および第二流出連通路32に設けられた第一バルブV1および第三バルブV3を開放させ、または、流入連通路30および第一流出連通路31に設けられた第一バルブV1および第二バルブV2を開放させ、エンジン冷却回路10とモータ冷却回路20とを連通させる。そのうえで、電動式ポンプP2の出力が抑えられるので、モータ冷却回路20におけるモータ冷媒の圧送負荷の少なくとも一部を機械式ポンプP1に担わせることができ、エネルギー効率の低下を抑えることができる。
(2)また、出力抑制制御の制御条件、すなわち、冷媒温度条件には、エンジン冷媒温度TEが許容上限温度T0よりも低温であること(条件B1)が含まれる。そのため、モータ冷却回路20に流入するエンジン冷媒温度TEによって、冷却対象である電動モータ2やインバータ3,車載充電器4が過熱されることを回避することができる。したがって、冷却対象の熱保護性を確保し、動作の安定性を確保することができる。
(3)ところで、温度が低下するにつれて冷媒の粘性は上昇する。この粘性上昇により、ポンプによる冷媒の圧送負荷も増大する。機械式ポンプP1よりも電動式ポンプP2のほうが低出力であることから、電動式ポンプP2によるモータ冷媒の圧送負荷が増大しやすい。そこで、出力抑制制御では、モータ冷媒温度TMが低くなるにつれて粘性が上昇するモータ冷媒を圧送する電動式ポンプP2の出力を抑えている。したがって、電動式ポンプP2によるモータ冷媒の圧送負荷を適切に低減させることができる。よって、エネルギー効率の低下を確実に抑えることができる。
たとえば、モータ冷媒温度TMが第一所定温度T1以下であれば、高粘度のモータ冷媒を電動式ポンプP2で圧送することができないおそれがある。この場合には、モータ冷却回路20においてモータ冷媒が滞留し、冷却対象の周辺のみでモータ冷媒が局所的に過熱し、冷却対象の熱保護性を確保することができないおそれがある。さらに、電動式ポンプP2に過剰な負荷がかかる。
しかしながら、出力抑制制御の第一制御では、モータ冷媒温度TMが第一所定温度T1以下であり、モータ冷媒が高粘度であれば、電動式ポンプP2を停止させる。そのため、機械式ポンプP1のみでモータ冷媒を圧送させることにより、モータ冷却回路20の冷却対象を適切に冷却したうえで、電動式ポンプP2の圧送負荷を軽減させることができる。
また、モータ冷媒温度TMが第一所定温度T1よりも高温であれば、電動式ポンプP2による中粘度のモータ冷媒の圧送負荷が増大する。この場合には、出力抑制制御の第二制御が実施され、出力の抑えられた電動式ポンプP2と機械式ポンプP1とによってモータ冷媒が圧送される。そのため、電動式ポンプP2の圧送負荷の増大を抑えつつ、機械式ポンプP1の圧送負荷の増大を抑えることができる。よって、電動式ポンプP2および機械式ポンプP1に圧送負荷を適切に分担させることができる。
(4)同様に、出力抑制制御において、エンジン冷媒温度TEが低くなるにつれて電動式ポンプP2の出力が抑えられれば、エンジン冷却回路10からモータ冷却回路20に流入するエンジン冷媒の粘度が上昇するほど、電動式ポンプP2の出力が抑えられることになる。よって、エネルギー効率の低下を確実に抑えることができる。
(5)さらに、冷媒温度条件には、モータ冷媒温度TMよりもエンジン冷媒温度TEのほうが高温であること(条件B2)が含まれる。そのため、モータ冷却回路20に流入するエンジン冷媒温度TEによって、モータ冷却回路20におけるモータ冷媒の粘度低下を促進させることができる。よって、モータ冷媒の粘性抵抗を低下させ、電動式ポンプP2の圧送負荷を軽減させることができる。
逆に、エンジン冷却回路10にエンジン冷媒よりも低温のモータ冷媒が流入するため、エンジン1の冷却を促進させることもできる。
(6)出力抑制制御では、エンジン冷却回路10における下流側回路102の第一接続箇所S1、すなわち、エンジン1よりも下流側であってエンジンラジエータ12よりも上流側に接続された流入連通路30の第一バルブV1が開放される。そのため、エンジン1で吸熱した後であってエンジンラジエータで放熱する前の温かいエンジン冷媒をモータ冷却回路20に流入させることができる。よって、モータ冷却回路20のモータ冷媒の粘度低下を促進させ、電動式ポンプP2の圧送負荷を軽減させることができる。
(7)出力抑制制御の第一制御では、モータ冷却回路20における下流側回路202の第五接続箇所S5、すなわち、モータラジエータ22よりも上流側に接続された第二流出連通路32の第三バルブV3が開放される。そのため、モータラジエータ22で放熱する前のモータ冷媒をエンジン冷却回路10に流入させることができる。よって、冷媒の過度な冷却を抑えることができ、エネルギー効率の低下に寄与する。
(8)フェール制御では、エンジン1を強制的に始動させたうえで、エンジン冷却回路10とモータ冷却回路20とを連通させるため、機械式ポンプP1によって、エンジン冷却回路10のエンジン冷媒だけでなくモータ冷却回路20のモータ冷媒も圧送することができる。そのため、電動式ポンプP2が故障した非常時であっても、モータ冷却回路20のモータ冷媒を流通させることができる。よって、モータ冷媒の局所的な過熱を回避し、冷却対象の熱保護性を確保することができる。
このフェール制御における冷媒は、エンジン冷却回路10からモータ冷却回路20に流入してモータラジエータ22で冷却されてから、エンジンラジエータ12で冷却される。このように、二つのラジエータ12,22で冷媒を冷却することができるので、熱保護性を確保することができ、冷却効率を向上させることに寄与する。
(9)出力抑制制御において、機械式ポンプP1の出力が高くなるにつれて電動式ポンプP2の出力が抑えられれば、出力が高くなるほど機械式ポンプP1によって圧送されるモータ冷媒の量が多くなるとともに、電動式ポンプP2によって圧送されるモータ冷媒の量が少なくなる。よって、機械式ポンプP1および電動式ポンプP2に圧送負荷を適切に分担させ、エネルギー効率の低下を適切に抑えることができる。
[5.変形例]
最後に、本実施形態の冷却システムの変形例について述べる。
たとえば、上述したバルブV1〜V4に開度調整可能な開閉弁を用いてもよい。この場合には、出力抑制制御やフェール制御において、電動モータ2の冷却系の熱保護性を高めるために、エンジン冷媒温度TEが高くなるにつれて、開放されるバルブV1〜V4の開度を小さくすることが好ましい。
また、連通路30,31,32に介装されたバルブV1〜V3に代えて、接続箇所S1〜S6に三方開閉弁を用いてもよい。この三方開閉弁は、二つの流入口のうちの一方を開放するとともに他方を遮断することで一方の流入口と一つの流出口とを連通させる、または、二つの流出口のうちの一方を開放するとともに他方を遮断することで一つの流入口と一方の流出口とを連通させる。このような三方開閉弁を用いた場合には、二つの流入口または流出口のうちの他方を流通する冷媒を遮断することができるため、三方開閉弁の開放された側への冷媒の流通量を増加させることができる。よって、温度制御性を向上させることができる。
そのほか、冷媒温度条件の基本条件に下記の条件B3あるいはB4を加えてもよい。
条件B3:モータ冷媒温度TMが許容上限温度T0より低温(TM<T0)である
条件B4:エンジン冷媒温度TEが第一所定温度T1より高温(TE>T1)である
条件B3が基本条件に加えられることで、高温のモータ冷媒がモータ冷却回路20のみで冷却され、電動モータ2の冷却系の熱保護性を確保することができる。また、条件B4が基本条件に加えられることで、高粘度のエンジン冷媒がモータ冷却回路20に流入することが回避され、電動モータ2の圧送負荷の増大を抑えることができる。
なお、各種の制御対象を一つの制御装置50で集中的に制御する構成に限らず、複数の制御装置(制御部)によって分散的に制御する構成であってもよい。たとえば、エンジン1に関してはエンジンECU(制御部)が制御し、バルブV1〜V4に関してはモータECU(制御部)が制御してもよい。制御の主体となる制御装置の構成にかかわらず、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
1 エンジン
10 エンジン冷却回路(第一回路)
12 エンジンラジエータ(第一ラジエータ)
2 電動モータ
3 インバータ
4 車載充電器
6 走行駆動用バッテリ
9 補機用バッテリ
20 モータ冷却回路(第二回路)
22 モータラジエータ(第二ラジエータ)
30 流入連通路(第一連通路)
31 第一流出連通路
32 第二流出連通路(第二連通路)
41 エンジン冷媒温センサ(第一センサ)
42 モータ冷媒温センサ(第二センサ)
50 制御装置(制御部)
510 判定部
520 指令部
530 バルブ指令部
540 ポンプ指令部
541 出力演算部
550 エンジン指令部
0 許容上限温度
1 第一所定温度
2 第二所定温度
E エンジン冷媒温度
M モータ冷媒温度
1 機械式ポンプ(第一ポンプ)
2 電動式ポンプ(第二ポンプ)
1 第一バルブ
2 第二バルブ
3 第三バルブ(第二バルブ)
4 第四バルブ
α,β,γ 補正係数

Claims (7)

  1. エンジン駆動の第一ポンプで圧送される第一冷媒が流通し、前記エンジンを冷却する第一回路と、
    電動の第二ポンプで圧送される第二冷媒が流通し、電動モータを冷却する第二回路と、
    前記第一回路と前記第二回路とを連通する連通路に介装されたバルブと、
    前記エンジンが前記第一ポンプを駆動していることを含む所定条件の成立時に前記バルブを開放しつつ、前記第二ポンプの出力を抑える制御部と
    を備え
    前記所定条件は、前記第一冷媒の温度が前記第二回路で許容される上限温度よりも低いことおよび前記第二冷媒の温度よりも前記第一冷媒の温度のほうが高いことを含む
    ことを特徴とする冷却システム
  2. 前記制御部は、前記所定条件の成立時に、前記第二冷媒の温度が低いほど、前記第二ポンプの出力抑制量を大きくする
    ことを特徴とする請求項1に記載された冷却システム。
  3. 前記制御部は、前記所定条件の成立時に、前記第一冷媒の温度が低いほど、前記第二ポンプの出力抑制量を大きくする
    ことを特徴とする請求項1または2に記載された冷却システム
  4. 前記第一回路には、前記第一冷媒を放熱させる第一ラジエータが設けられ、
    前記連通路は、前記第一回路における前記エンジンよりも下流側であって前記第一ラジエータよりも上流側と前記第二回路とを連通させる第一連通路を有し、
    前記バルブは、前記第一連通路に介装された第一バルブを有する
    ことを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載された冷却システム。
  5. 前記第二回路には、前記第二冷媒を放熱させる第二ラジエータが設けられ、
    前記連通路は、前記第二回路における前記第二ラジエータよりも上流側と前記第一回路とを連通させる第二連通路を有し、
    前記バルブは、前記第二連通路に介装された第二バルブを有する
    ことを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載された冷却システム。
  6. 前記制御部は、前記エンジンの停止中に前記第二ポンプが故障した場合に、前記エンジンを始動させ、前記バルブを開放する
    ことを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載された冷却システム。
  7. 前記制御部は、前記所定条件の成立時に、前記第一ポンプの出力が高いほど、前記第二ポンプの出力抑制量を大きくする
    ことを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載された冷却システム。
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