JP5545729B2 - 抗菌剤並びにそれを用いた口腔用組成物及び飲食品 - Google Patents

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Description

本発明は、複数種の口腔内嫌気性細菌、特に歯周病原因菌に対し、実際の口腔内において、直接的接触と間接的接触のどちらか一方であっても優れた抗菌性を有し、且つ香味良好で日常の連用に適した抗菌剤並びにそれを用いた口腔用組成物及び飲食品に関する。
近年、精油や香料の機能のひとつに、口腔内疾患である歯周病原因菌に対する抗菌作用があることは広く知られている。
例えば、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、プレボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)といった歯周病原因菌に、有効に抑制作用を示す抗菌香料が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記抗菌香料は、口腔内疾患に関与するユーバクテリウム属(Eubacterium sp.)、タンネレラ・フォーサイセンシス(Tannerella forsythensis)、トレポネマ・デンティコラ(Treponema denticola)等の口腔内嫌気性細菌に対する抗菌性の報告はなされておらず、歯周病原因菌を代表する口腔内嫌気性細菌全般に効果を奏するものではなかった。また、上記抗菌香料は、薬品臭、消毒薬臭、スモーク臭、香粧品臭、苦味、渋味、えぐみ等の独特の好ましくない香味をもつため、口中に含むと不快感を引き起こすものが殆どであり、口腔用組成物や飲食品に用いるには、実用性や連用性に劣るという問題点があった。
また、他に、フソバクテリウム・ヌクレアタムに有効に抑制作用を示す、上記抗菌香料とは異なる香料成分による抗菌香料組成物が知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、上記抗菌香料組成物とは、ヘキシルアルデヒド等の特定の香料成分であり、酢酸エステルによる抗菌性は開示されていない。また、口腔内疾患に関与するポルフィロモナス・ジンジバリス、ユーバクテリウム属、プレボテラ・インターメディア、タンネレラ・フォーサイセンシス、トレポネマ・デンティコラ等の口腔内嫌気性細菌に対する抗菌性の報告はなかった。更に、上記抗菌香料もまた、薬品臭、消毒薬臭、スモーク臭、香粧品臭、苦味、渋味、えぐみ等の独特の好ましくない香味をもつため、口中に含むと不快感を引き起こすものが殆どであり、口腔用組成物や飲食品に用いるには、実用性や連用性に劣るという問題点があった。
一方、「香りを発現する」という香料の特性をより発揮できる状態を考慮し、香料の直接的接触だけでなく、気化した蒸気状態における精油や香料の抗菌性について報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
しかしながら、該香料等の抗菌性は好気性細菌や真菌類に有効であり、口腔内疾患に関与する上記に挙げたような口腔内嫌気性細菌に対する抗菌性の報告例は皆無であった。また、口腔内嫌気性細菌はもとより、歯周病原因菌だけでも何十種類も存在し、ひとつの原因菌に抗菌性を示すだけでは、口腔疾患改善に不十分である。
特開2002−265978号公報 特開2004−18470号公報
浅越亨、日本化粧品技術者会誌、34巻、25〜46頁(2000)
本発明は、以上のような事情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、複数種の口腔内嫌気性細菌、特に歯周病原因菌に対し、実際の口腔内において、直接的及び間接的のどちらか一方の接触であっても優れた抗菌性を有し、且つ香味良好で日常の連用に適した抗菌剤並びにそれを用いた口腔用組成物及び飲食品を提供するにある。
本発明は、口腔内嫌気性細菌に対する抗菌性を有する抗菌剤であって、酢酸エステルを含有することを特徴とする抗菌剤により上記目的を達成する。
好ましくは、酢酸エステルが、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸ゲラニル、酢酸リナリル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シトロネリル、酢酸ネロール、酢酸ボルニル、酢酸イソボルニル、酢酸テルピニル、酢酸ミルセニル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、酢酸シンナミル、酢酸アニシル及びアセチルイソオイゲノールのうち1種又は2種以上である。
更に好ましくは、口腔内嫌気性細菌に対し、直接的に及び/又は間接的に接触することで抗菌性を有する。
更に、上記抗菌剤を口腔用組成物に含有させることが好ましく、更にまた、上記抗菌剤を飲食品に含有させることが好ましい。
すなわち、本発明者らは、従来のように香味が悪く、服用しづらい殺菌剤や抗菌香料に替わり得る香料成分を探索するため、ヒトにとって香味良好なフルーツや嗜好品に含有される或いは用いられる精油、香料及び香料成分に注目し、歯周病原因菌等の口腔内嫌気性細菌に対する抗菌性の有無について、まずスクリーニング試験を行った。
その結果、直接的接触法において、カモミール精油、スペアミント香料、シソ香料、バナナ香料、ベルガモット香料、ココナッツ香料、グレープフルーツ香料、カルダモン香料、ウィンターグリーン香料、シトラール、ネロリドール、リナロール、ゲラニオール、メントール及びシネオールに抗菌性があることを見出した。
更に、上記香料等を含有する口腔用組成物や飲食品によって、実際に口腔内で抗菌性を発揮させることを考慮して、間接的接触法における抗菌性を検討した。従来より、抗菌性を有する香料成分としては、フェノール類やモノテルペンアルコール類が一般的に知られているため、それらを多く含有するウィンターグリーン香料やモノテルペンアルコールそのものであるリナロール、ゲラニオール等が強い抗菌性を有すると予想していた。しかしながら、検討の結果、驚くべきことに、バナナ香料及びベルガモット香料が、直接的接触法と間接的接触法の両方において、複数の異なる口腔内嫌気性細菌に対して抗菌性を示し、総合的に最も汎用性が高く、有効であることを見出した。
そこで、更にバナナ香料及びベルガモット香料の含有成分について検討したところ、主成分である酢酸エステルが口腔内嫌気性細菌に対し抗菌性を有し、且つ口中に含んでも香味良好であることを見出した。
すなわち、本発明者らは、酢酸エステルが口腔内嫌気性細菌の細胞膜自体や膜透過性に対し障害を与える、又は菌体内に取り込まれた後の代謝産物であるアルコール類の抗菌効果により、口腔内嫌気性細菌に対して抗菌性を有するのではないかと考え、本発明に到達した。
本発明の抗菌剤は、口腔内嫌気性細菌に対し抗菌性を有する。
本発明の抗菌剤は、直接的に接触するか、間接的に接触するかのどちらか一方であって
も、複数の異なる口腔内嫌気性細菌に対し抗菌性を有するため、間接的接触により抗菌効果を奏するものは、口腔内の病変部位に直接塗布する必要がなく、これを用いた口腔用組成物や飲食品を、口腔内に滞留するだけで有効に抗菌効果を得ることができる。
本発明の抗菌剤を用いた口腔用組成物や飲食品は、薬品臭、消毒薬臭、スモーク臭、香粧品臭、苦味、渋味、えぐみ等の独特の好ましくない香味をもつ従来の殺菌剤や抗菌剤とは異なり、香味良好で実用性や連用性に優れる。
また、本発明の抗菌効果は、複数の異なる口腔内嫌気性細菌に対して発揮されるので、口腔内疾患のうちでも代表的な歯周病を予防・防止する、ひいては口臭防止の口腔衛生効果も期待できる。
次に、本発明を詳しく説明する。
本発明の抗菌剤は、口腔内嫌気性細菌に対する抗菌性を有する抗菌剤であって、酢酸エステルを含有する。
まず、本発明に係る口腔内嫌気性細菌とは、口腔内疾患すなわち歯周病原因菌等を指し、例えば、ポルフィロモナス・ジンジバリス、フソバクテリウム・ヌクレアタム、ユーバクテリウム属、プレボテラ・インターメディア、タンネレラ・フォーサイセンシス、トレポネマ・デンティコラ等の歯周病菌が挙げられる。これらの中でも特に、ポルフィロモナス・ジンジバリス、フソバクテリウム・ヌクレアタム及びユーバクテリウム属に対して、本発明の抗菌剤は、抗菌性を有効に発揮する。
本発明における酢酸エステルとは、一般に下記の化学式(1)で表される化合物で、特に花卉や果実類の香気成分に含まれる芳香のある液体又は結晶である。例えば、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸ゲラニル、酢酸リナリル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シトロネリル、酢酸ネロール、酢酸ボルニル、酢酸イソボルニル、酢酸テルピニル、酢酸ミルセニル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、酢酸シンナミル、酢酸アニシル及びアセチルイソオイゲノール等が挙げられ、これらは単独あるいは2種以上混合してもよい。この中でも特に、各口腔内嫌気性細菌に対し有効に抗菌性を示し、香味が良好である点で、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸ゲラニル、酢酸リナリル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸シトロネリル、酢酸ネロール、酢酸テルピニルが好適である。
Figure 0005545729
また、本発明の抗菌剤は、口腔内嫌気性細菌に対して直接的か間接的のどちらか一方の接触のみで、抗菌効果を発揮する。ここで間接的に接触するとは、酢酸エステルが揮発し蒸気状態で口腔内嫌気性細菌に接触することを指す。
すなわち、間接的に接触することで抗菌性を有する場合、口腔内の嫌気性細菌による病変部位に直接塗布する必要がなく、本発明の抗菌剤を用いた口腔用組成物や飲食品を、口腔内に滞留するだけで有効に抗菌効果を得ることができる点で好適である。
本発明の抗菌剤は、上記酢酸エステルを単独で、あるいは2種以上混合して用いられ、例えば、各種の口腔用組成物や飲食品に添加し、従来の公知の方法により、各種の製品形態にして使用される。
添加方法は、上記酢酸エステルを含有する香料として、あるいは酢酸エステルそのものを添加する等が挙げられる。
口腔用組成物全体重量中、又は飲食品全体重量中の含有量は、酢酸エステルとして、0.005重量%以上であることが抗菌性を発揮する点で好ましい。
また、本発明の口腔用組成物としては、歯磨き剤、洗口剤、歯間ブラシ、舌ブラシ、フィルム剤、パッチ剤等が挙げられ、飲食品としては、飲料(茶類、アイソトニック飲料等)、チューインガム、ソフトキャンディ、グミキャンディ、ハードキャンディ、錠菓、マイクロカプセル等が挙げられ、研磨、洗浄、含嗽、拭付、貼付、咀嚼、舐める、飲食による口中滞留等によって口腔内で長く滞留させ、抗菌性を有効に発揮できる点で好適である。
本発明の口腔用組成物は、上記抗菌剤と各種口腔用組成物原料と混合し、得られた混合物を用いて、従来公知の製造方法に従うことにより得られる。
例えば、歯磨き剤の場合は、上記抗菌剤と界面活性剤、発泡剤、湿潤剤、粘結剤、抗炎症剤、収斂剤、保存料、香料、甘味料等を混合して製造される。
このようにして得られた歯磨き剤は、口中に含み、歯と歯ぐきを研磨、洗浄することにより病変部位近辺に存在する口腔内嫌気性細菌に、酢酸エステルが直接的及び/又は揮発し蒸気状態で間接的に接触し、効果的に抗菌性を発揮することができる。また、香味良好で日常の連用に適している点で好ましい。
本発明の飲食品は、例えば、チューインガムの場合は、まず、ニーダー中に通常のガムベース用原料を投入して溶融混合し、ガムベースを作製する。次に、上記ガムベースに対し糖類、色素等を添加して混合し、更に上記抗菌剤、香料等を添加して混合する。そして、得られた混合物を適宜の形状に成形することにより抗菌剤含有チューインガムが得られる。
このようにして得られたチューインガムは、口中で咀嚼することにより、病変部位近辺に存在する口腔内嫌気性細菌に、酢酸エステルが直接的、或いは揮発し蒸気状態で間接的に接触し、効果的に抗菌性を発揮することができる。また、一般的な嗜好性チューインガムと香味上大差なく、連用が容易となる点で好ましい。
以下に、本発明の実施例を用いて例示する。
<精油、香料及び香料成分のスクリーニング>
口腔内嫌気性細菌に対する抗菌性の有無について、フルーツに含有される、或いは嗜好品に用いられる精油、香料及び香料成分のスクリーニングを行った。スクリーニングに用いた口腔内嫌気性細菌の試験菌株名を表1に示す。以下本文中では、口腔内嫌気性細菌名を表1中の略号で記載する。また、Pg−1及びElは理化学研究所より、Pg−2は岐阜大学生命科学総合研究支援センターより、Fnは住商ファーマインターナショナル(株)より入手した。なお、抗菌性測定は、直接的接触法及び間接的接触法の両方について実施した。
Figure 0005545729
<抗菌性測定用培地の作成>
ブルセラHK寒天培地(極東製薬工業(株)製)に、5%の兎無菌脱繊血((株)日本生物材料センター製)を添加した平板培地を用いた。
<試験菌液の調製>
各口腔内嫌気性細菌の試験菌液は以下のようにして調製した。
まず、表1の試験菌を上記抗菌性測定用培地で培養した。培養した試験菌を、Difco Anaerobe Broth MIC(Becton,Dickinson and Company製)による液体培地に分散させ、試験菌液の原液とした。抗菌性測定には、抗菌性測定用培地に試験菌液を100μl塗抹した時に、30〜300個のコロニーが生える程度の濃度になるよう、上記液体培地で更に希釈したものを用いた。
<スクリーニング−直接的接触法>
上記抗菌性測定用培地に、表2に記載の精油、香料及び香料成分を400μl塗抹し、その上から表1の試験菌液100μlを塗抹したものを、アネロパック・ケンキ(三菱ガス化学(株)製)を用いて、37℃で嫌気培養した。なお、抗菌性の有無は、精油、香料及び香料成分の代わりにオリーブ油400μlを塗抹したコントロールにコロニーが発生した時点で、試験菌の生育を目視確認し、試験菌のコロニー未発生のものを抗菌性あり、発生したものを抗菌性なしと評価し、表2に示した。
<スクリーニング−間接的接触法>
表2に記載の精油、香料及び香料成分8mlを乾熱滅菌した脱脂綿に染み込ませ、空のシャーレに入れた。別に、表1の試験菌液100μlを塗抹した抗菌性測定用培地を準備した。両者を同じパウチ袋に入れ、アネロパック・ケンキを用いて、37℃で嫌気培養した。なお、抗菌性の有無は、精油、香料及び香料成分の代わりに蒸留水8mlを乾熱滅菌した脱脂綿に染み込ませたものと、試験菌液塗抹培地を一緒に嫌気培養したものをコントロールとし、コントロールにコロニーが発生した時点で、試験菌の生育を目視確認し、直接的接触法と同様に評価した。
Figure 0005545729
スクリーニングの結果、直接的接触法では、カモミール精油、スペアミント香料、バナナ香料、ベルガモット香料、ココナッツ香料、グレープフルーツ香料、カルダモン香料、ウィンターグリーン香料、シトラール、ネロリドール、リナロール、ゲラニオール、メントール及びシネオールが、すべての口腔内嫌気性細菌に対し抗菌性を示した。
また、間接的接触法では、バナナ香料及びベルガモット香料が最も有効に、抗菌性を示した。
スクリーニングによる直接的及び間接的接触法の両方に抗菌性を示した、バナナ香料及びベルガモット香料の含有成分を検討したところ、共通して含有量の多い成分は、酢酸エステルであることから、酢酸エステルとその関連香料成分の抗菌性の強度を、以下の方法を用いて確認した。なお、この抗菌性強度測定も、直接的、間接的接触法の両方について行った。
<抗菌性強度−直接的接触法>
表3に示す酢酸エステル及び香料成分を、100μl/100μlから6.25μl/100μlになるよう、半量ずつ段階的にオリーブ油で希釈した各溶液100μlを、抗菌性測定用培地に塗抹した。その上から表1の試験菌液100μlを塗抹したものを、アネロパック・ケンキを用いて、37℃で嫌気培養した。なお、抗菌性の強度評価は、酢酸
エステルや香料成分の代わりにオリーブ油100μlを塗抹したコントロールにコロニーが発生した時点でそれぞれの試験菌の生育を目視確認し、試験菌の発育の見られない濃度を表3に示した。
Figure 0005545729
<抗菌性強度−間接的接触法>
表4に示す酢酸エステル及び香料成分を、8ml/8mlから1ml/8mlになるよう、半量ずつ段階的にオリーブ油で希釈した各溶液8mlを、乾熱滅菌した脱脂綿に染み込ませ、空のシャーレに入れた。別に、表1の試験菌液100μlを塗抹した抗菌性測定用培地を準備した。両者を同じパウチ袋に入れ、アネロパック・ケンキを用いて、37℃で嫌気培養した。抗菌性の強度評価は、酢酸エステル及び香料成分の代わりに蒸留水8mlを乾熱滅菌した脱脂綿に染み込ませたものと、試験菌液塗抹培地を一緒に嫌気培養したものをコントロールとし、コントロールにコロニーが発生した時点でそれぞれの試験菌の生育を目視確認し、試験菌の発育の見られない濃度を表4に示した。
Figure 0005545729
表3、4の結果から、直接的接触法では酢酸エステルである酢酸イソアミル、酢酸リナリルは、Pg−1及びPg−2に対し特に抗菌性を示したが、該酢酸エステルの分解物であるイソプロピルアルコールや酢酸イオン(酢酸ナトリウム)は抗菌性を示さなかった。これは、酢酸エステルの抗菌効果が、口腔内嫌気性細菌の細胞内に侵入した後の酢酸エス
テルの分解物による効果でなく、酢酸エステルそのものに起因することを示している。
また、間接的接触法では、酢酸エステルである酢酸イソアミルと酢酸イソブチルは、Pg−1、Pg−2、Fn、Elに対し強い抗菌性を示したものの、香料成分(シトラール、ネロリドール、リナロール、メントール、シネオール)は、抗菌性を示さなかった。
なお、「>」は記載した濃度では試験菌の発育を阻止していないことを示す。
更に、表5に示す酢酸エステルの抗菌性強度について、上述の直接的接触法及び間接的接触法を用いて評価した。
Figure 0005545729
表5の結果から、全ての酢酸エステルにおいて、直接的接触と間接的接触のどちらか一方或いは両方に優れた抗菌性を有した。また、供した4種類全ての試験菌に対し、少なくとも直接的接触と間接的接触のどちらか一方に抗菌性を示したのは、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸ゲラニル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸シトロネリル、酢酸ネロール、酢酸テルピニルであった。特に、酢酸ゲラニル、酢酸シトロネリルは直接的接触と間接的接触の両方において優れた抗菌性を示した。
<実施例1〜3>
上記抗菌性強度測定において、口腔内嫌気性細菌に対し抗菌性を示した酢酸エステル及び香料成分を用いて、各抗菌香料を調製した。
Figure 0005545729
Figure 0005545729
Figure 0005545729
<比較例1>バナナ様香料
上記抗菌性強度測定において、以下の香料成分を用いてバナナ様香料を調製した(比較例評価のため、酢酸エステルの含有されていないバナナ様の香味を有するバナナ様香料を調製した)。
Figure 0005545729
<比較例2>ティーツリー香料
一般的に抗菌性を有する精油成分として知られているテルピネン−4−オールを用いて、ティーツリー香料を調製した。
Figure 0005545729
<実施例4>歯磨き剤
実施例1のバナナ香料1を用いて、表11に示した配合にて、抗菌剤含有口腔用組成物として歯磨き剤を調製した。
Figure 0005545729
<実施例5〜7、比較例3〜4>
実施例2〜3、比較例1〜2の各香料及び酢酸エステル(酢酸イソブチル)を用いて、チューインガムを調製した。
表12に示す組成に従い、チューインガム原料を40〜50℃以下に保ちながら、保温ニーダーで加熱混合して均質化し、冷却した後、エクストルーダーを用いて押し出し成形を行い、各チューインガムを得た。
Figure 0005545729
以上のようにして得られた実施例及び比較例品について、まず、実施例1〜3及び比較例1〜2の香料と、酢酸イソブチルの抗菌性評価を、Pg−1に対する間接的接触法による抗菌性強度測定で評価した。その結果を表11及び12の抗菌性の評価欄に示す。
更に、実施例4の歯磨き剤と、実施例5〜7及び比較例3〜4のチューインガムについて、専門パネラー10名による香味評価を行った。その結果を表11及び12の香味の評価欄に示す。
抗菌性評価の結果、実施例1〜3の香料、酢酸イソブチル及び比較例2の香料は、口腔内嫌気性細菌に対して強い抗菌性を示したが、比較例1の香料は抗菌性を示さなかった。
香味については、実施例4の歯磨き剤は薬品臭や収斂味のない良好な香味であり、実施例5〜6のチューインガムも香味が大変良好であって、実施例4〜6は共に日常の連用性にも極めて優れたものであった。実施例7及び比較例3のチューインガムは、香味は優れるものの、実施例5〜6のチューインガムに比べて若干嗜好性に劣るものであった。特に実施例7のチューインガムは単独の香料成分(酢酸イソブチル)しか含有しないため、その香味がやや単調であった。比較例4のチューインガムは、薬品臭が強いためチューイン
ガムとして喫食するには不良であり、日常の連用には適さなかった。
全体としてみると、実施例4の歯磨き剤及び実施例5〜6のチューインガムは、抗菌性が強く、香味も極めて優れるため、本発明の効果が顕著にあらわされた大変良好なものであった。実施例7も、実施例5〜6とほぼ同等な良好品であった。それに対し、比較例3及び4は、抗菌性と香味のどちらか一方において全く効果を奏することがなく、本発明には適さないものであった。

Claims (3)

  1. 口腔内嫌気性細菌に対する抗菌性を有する抗菌剤であって、酢酸エステルを含有することを特徴とする抗菌剤。
  2. 酢酸エステルが、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸ゲラニル、酢酸リナリル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シトロネリル、酢酸ネロール、酢酸ボルニル、酢酸イソボルニル、酢酸テルピニル、酢酸ミルセニル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、酢酸シンナミル、酢酸アニシル及びアセチルイソオイゲノールのうち1種又は2種以上である請求項1記載の抗菌剤。
  3. 口腔内嫌気性細菌に対し、直接的に及び/又は間接的に接触することで抗菌性を有する請求項1又は2記載の抗菌剤。
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