センサデータのタイムリー且つ確実な方式によるネットワークのコーディネータへの送信を保証しつつ、スリープパターンを使用して電池寿命を節約するという課題に対処するニーズが存在している。
本発明の第1の態様の実施例によれば、センサと、コーディネータと、を含む装置の無線センサネットワークが提供され、センサは、パラメータの値を検出するべく動作可能な検知手段と、ネットワーク内のその他の装置との無線通信のための送信及び受信手段と、センサのスリープパターンを制御するべく動作可能なセンサ制御手段と、を有し、且つ、コーディネータは、ネットワーク内のその他の装置との無線通信のための送信及び受信手段を有し、センサの送信手段は、パラメータ値に関する値情報を送信するべく動作可能であり、且つ、コーディネータの送信手段は、値情報に基づく適切なセンサスリープパターンの通知を送信するべく動作可能である。
本発明の実施例のネットワークによれば、コーディネータは、適切なスリープパターンを送信可能であり、この結果、スリープパターンの中央集中制御が提供されるか、或いは、少なくともこれに対して影響を与えることができる。ネットワーク内のセンサは、パラメータの値を検出し、且つ、これらの値に関する情報をコーディネータに直接的に又はその他の装置を介して間接的に送信する。この値情報を使用し、適切なセンサスリープパターンの通知が判定され、次いで、この通知が、コーディネータにより、関係するセンサに間接又は直接的に送信される。従って、本明細書において使用されている「動作可能」という用語は、規定されている手段が使用の際に規定された機能を実行するべく構成されているという概念を含む。当業者であれば、通知をその他の情報と共に供給及び送信可能であることを理解するであろう。例えば、非常事態の状況に関する別個の情報を(恐らくは、非常事態ビットの形態において)供給可能である。
いくつかの実施例においては、前述のセンサは、無線センサネットワーク内における唯一の間欠動作する装置であってよい。更に一般的には、センサは、ネットワーク内の複数の間欠動作する装置のうちの1つであってよく、コーディネータは、間欠動作する装置のそれぞれのものごとに適切なスリープパターンを送信するべく動作可能である。これらの装置は、センサ、アクチュエータ、又はネットワーク内において使用される任意のその他のタイプの電池電力供給型の装置であってよい。従って、コーディネータは、適切なスリープパターンの通知を供給することにより、それぞれの間欠動作する装置の動作に影響を付与する。このような中央における調整により、柔軟な且つ改善されたネットワーク動作が可能となる。
1つのシナリオにおいては、間欠動作する装置のうちの少なくとも1つのものに送信される適切なスリープパターンは、その装置とは関係のない要因である外部要因に基づいて定められる。例えば、ネットワーク内の少なくとも1つの間欠動作する装置は、前述のセンサによって検出された値に基づいて判定された適切なスリープパターンを受信可能である。この場合には、パラメータ値は、非常事態の状態を通知可能であり、且つ、適切なスリープパターン割当の中央集中制御により、比較的低いデューティサイクルのスリープパターンをネットワーク内のその他の装置に送信し、これにより、非常事態の状態にあるセンサに十分なネットワークリソースが提供されることを保証可能である。当然のことながら、非常事態の状況は、関係する装置の機能に応じて、その他の方法で規定することも可能であろう。例えば、アクチュエータは、より高いレベルの動作を指示された場合には、非常事態の状況に移行し、これにより、適切なスリープパターンの中央収集制御において、この非常事態の状況を使用し、ネットワーク内のその他の装置に影響を与えることができる。
先程定義されたネットワーク内において、異なる装置は、異なる優先順位を具備可能である。例えば、重要な医療装置(高い優先順位)と、医療装置(中程度の優先順位)と、非医療装置(低い優先順位)と、という区別が存在可能である。このような優先順位を使用し、ネットワークリソースを割り当て可能である。有利には、それぞれの間欠動作する装置に対して優先順位を割り当てる際に、コーディネータが外部要因(例えば、ネットワーク内のその他の装置に関係したもの)に基づいてその適切なスリープパターンを判定する場合には、その程度を決定可能である。一例として、センサを重要な医療装置に分類することができ、且つ、従って、このセンサに送信される適切なスリープパターンに対する外部の影響は存在しないであろう。より低い優先順位の間欠動作する装置は、非常事態の状況などのネットワークリソースに対する増大した要件を具備したネットワーク内の1つ又は複数の更に高い優先順位の間欠動作する装置に基づいて、外部要因の結果として、そのスリープパターンが比較的低いデューティサイクルのものに低減される可能性がある。当業者であれば、間欠動作する装置のために予め定義された1つ又は複数の非常事態の状況が存在可能であり、より深刻な非常事態の状況では、ネットワーク内の1つ又は複数のその他の間欠動作する装置に送信される適切なスリープパターンに対して、より重大な影響が与えられることを理解するであろう。
適切なスリープパターンは、アルゴリズムによるか、単純な計算によるか、ルックアップテーブルの使用によるか、或いは、人間の介入によるなど、任意の適切な方法によって判定可能である。好適な一実施例においては、コーディネータは、適切なスリープパターンを判定するべく使用される判定手段を含む。或いは、この代わりに、コーディネータは、コーディネータとの有線又は無線接続状態にある中央監視ユニットから適切なスリープパターンを受信することも可能である。従って、中央監視ユニットは、WSNの配備形態に応じて、無線センサネットワークの一部であってもよく、或いは、そうでなくてもよい。
中央監視ユニット(医療アプリケーションにおいては、しばしば、中央監視及び医学治療ユニットとも呼ばれる)は、(例えば、複数の患者の)複数のステーションから非常事態データの連続した又は不定期のストリームを受信する能力を有する監視装置を具備したステーションであってよい。中央監視ユニットは、その役割が受信したデータの監視である要員(看護師や医療専門家など)を包含可能である。これらの要員は、例えば、個々の患者又は産業用部品の状態の変化に応答して処置を講じることができる。
適切なスリープパターンがコーディネータ又は中央監視ユニットにおいて判定されたら、そのスリープパターンは、無線でセンサに送信され、そこで、センサ受信手段を使用して受信される。前述のように、この送信は、直接的なものであってもよく、或いは、その他のネットワークノードを介した間接的なものであってもよい。当業者であれば、パラメータ値に関する情報のセンサからコーディネータへの送信も、直接又は間接的なものであってよいことを理解するであろう。
パラメータ値に関する情報は、任意の適切な方式により、恐らくは、データフレーム内において送信可能である。この情報は、実際には、実際のパラメータ値を有することも可能であり、或いは、パラメータ値をなんらかの方法でセンサ処理手段によって処理することにより、この情報を生成することも可能である。
コーディネータから送信される適切なセンサスリープパターンの通知も、任意の適切な方式により、供給可能である。好ましくは、WSNが送信フレームを使用している際には、通知は、送信フレームのコーントロールフィールド内において、例えば、フレームコントロールフィールド内などのMACヘッダ内の既定値に設定された値を使用することにより、送信される。好適な一実施例においては、この値は、予め定義された適切なスリープパターンを表すように組合せられて機能する1つ又は複数のビットであってよい。値は、任意の送信フレームのフレームコントロールフィールド内に収容可能であろう。或いは、この代わりに、値は、MACフレーム内の装置状態記述部であってもよい(これは、恐らくは、通知と、潜在的には、警報/非常事態の状況などのその他の情報と、を含む1オクテットであろう)。その場合には、MACフレームコントロールは、装置状態記述部を判読及び解釈するべきかどうかを通知するための装置状態ビットを包含可能であろう。
好適な実施例においては、通知の送信は、コーディネータからのその他の送信よりも高い優先順位を有する。例えば、通知を含む送信は、通知を含まない送信の前にスケジューリング可能である。或いは、この代わりに、通知は、コーディネータから永久的に又は特定の期間にわたって送信されるすべての送信フレーム内において送信することも可能である。
好ましくは、ネットワーク装置は、アクノリッジメント機能を使用し、通知及び/又は値情報のアクノリッジメントを実現する。アクノリッジメントは、障害が存在する際には、再送に結び付けることができる。
1つ又は複数の閾値との比較により、パラメータの変化の検出により、又は変化率の検出により、或いは、計測されるパラメータ用の適切な方法により、検出された値を(例えば、コーディネータ又は中央監視ユニットにおいて)考慮し、適切なスリープパターンを判定可能である。多くの状況においては、1つ又は複数の閾値との単純な比較が好適である。
適切なスリープパターンをリアルタイムで規定可能である。例えば、1つ又は複数の異なる閾値、異なる値又は異なる変化、及び変化率を使用し、ウェークアップ時間率、送信間の時間、又はその他の適切な定義の観点において、適切なスリープパターンを算出可能である。その他のケースにおいては、予め定義されたスリープパターンを、好ましくは、例えば、センサ及び/又はコーディネータ及び/又は監視ユニット内などのネットワーク内に保存可能である。
好適な実施例においては、いくつかの閾値によって判定された複数の予め定義されたスリープパターンが存在しており、それぞれの閾値は、比較的低いウェークアップスリープパターンと比較的高いウェークアップスリープパターンの間の境界を規定している。ここで、比較的低いウェークアップスリープパターンは、比較的低いデューティサイクル又は比較的長い送信間隔のパターンであってよく、且つ、比較的高いウェークアップスリープパターンは、比較的高いデューティサイクル又は比較的短い送信間隔のパターンであってよい。
電池(これは、消耗することがあり、且つ、従って、センサに電力供給し交換及び/又は充電が必要な任意の手段を意味する)がセンサに電力を供給するべく存在する場合には、これを反映するべくスリープパターンを調節することが有利であろう。さもなければ、制御手段は、検出された値を考慮して適切であると判定され、且つ、センサに送信されたスリープパターンを単純に実行可能である。
好ましくは、前述のセンサは、電池を更に有し、制御手段は、通知と、センサの現在の電池電荷と、の両方に基づいてスリープパターンを制御するべく動作可能である。例えば、実際のスリープパターンは、これらの要因と、潜在的には、その他の要因と、の組合せに基づいて選択可能である。
従って、例えば、制御手段は、電池電荷の許容範囲の予め定義された限度に従って適切なスリープパターンを許容又は拒絶可能である。制御手段は、任意の拒絶された適切なスリープパターンをより低いウェークアップスリープパターンによって変更するべく設計可能である。好ましくは、このより低いウェークアップパターンは、電池によって許容される最高のウェークアップパターンを有する予め定義されたスリープパターンである。
異なる電池電荷のレベルの間に複数の限度が存在し、制御手段が、それぞれの限度の上にではなくそれぞれの限度の下において相対的に少ない数のスリープパターンを許容する場合には、好ましくは、限度の数は、閾値の数に等しい。
有利には、センサの送信機は、通知と同様に、好ましくは、送信フレームのコントロールフィールド内において、現在の電池電荷に関係する情報を送信するべく更に動作可能である。無線センサネットワークによって使用される送信フレームは、通知のためのコントロールフィールドと、現在の電池電荷のためのコントロールフィールドと、の両方を有することが可能であり、それぞれ、1つ又は複数のビットの形態を有する。或いは、この代わりに、同一のコントロールフィールドを電池電荷情報と通知のために使用することも可能であり、センサからコーディネータに送信される送信フレームは、このコントロールフィールド内に電池電荷情報を含み、且つ、コーディネータからセンサに送信される送信フレームは、このコントロールフィールド内に通知を含む。
コーディネータの受信手段は、電池電荷情報を受信するべく動作可能であってよく、且つ、コーディネータは、電池に関する処理を実行することにより、充電情報の予め定義された値に応答するべく動作可能な応答手段を更に有することができる。例えば、コーディネータは、電池電荷アラームを設定するか、状況について中央監視ユニットに通知するか、或いは、任意のその他の適切な処理を実行することができる。
更なる態様においては、本発明の実施例は、センサと、コーディネータと、を含む装置の無線センサネットワーク内におけるコーディネータを提供し、コーディネータは、パラメータの検出された値に関してセンサから値情報を受信するべく動作可能な受信手段と、値情報に基づいてセンサ用の適切なスリープパターンを判定するべく動作可能な判定手段と、適切なスリープパターンの通知を送信するべく動作可能な送信手段と、を有する。
更なる態様においては、本発明の実施例は、センサと、コーディネータと、を含む装置の無線センサネットワーク内におけるセンサを提供し、センサは、パラメータの値を検出するべく動作可能な検知手段と、センサのスリープパターンを制御するべく動作可能なセンサ制御手段と、パラメータ値に関する値情報を送信するべ動作可能な送信手段と、値情報に基づいて判定された適切なセンサスリープパターンの通知を受信するべく動作可能な受信手段と、を有し、センサ制御手段は、適切なセンサスリープパターンに基づいてセンサのスリープパターンを制御する。
更なる態様においては、本発明の実施例は、使用の際に、センサと、コーディネータと、を含む装置の無線センサネットワークとの有線又は無線通信状態にある中央監視ユニットを提供し、センサは、パラメータの値を検出するべく動作可能な検知手段と、ネットワーク内のその他の装置との無線通信のための送信及び受信手段と、センサのスリープパターンを制御するべく動作可能なセンサ制御手段と、を有し、且つ、コーディネータは、ネットワーク内のその他の装置との無線通信のための送信及び受信手段を有し、センサの送信手段は、パラメータ値に関する値情報を送信するべく動作可能であり、且つ、コーディネータの送信手段は、値情報に基づいた適切なセンサスリープパターンの通知を送信するべく動作可能であり、中央監視ユニットは、値情報に基づいてセンサ用の適切なスリープパターンを判定するべく動作可能な判定手段と、適切なスリープパターンの通知をネットワークの装置に送信するべく動作可能な通信手段と、を有する。
方法の一態様によれば、本発明の実施例は、センサと、コーディネータと、を含む装置の無線センサネットワーク内における方法に関し、方法は、センサ内においてパラメータの値を検出するステップと、センサからコーディネータにパラメータ値に関する値情報を送信するステップと、コーディネータからセンサに値情報を考慮した適切なセンサスリープパターンの通知を送信するステップと、通知に基づいてセンサのスリープパターンを制御するステップと、を有する。
本発明の更なる態様は、無線センサネットワークのセンサ又はコーディネータ又は制御監視ユニットのプロセッサによって実行された際に、それぞれ、前述のセンサ又はコーディネータ又は制御監視ユニットの機能を提供するソフトウェア(又は、コンピュータプログラム)と、センサ又はコーディネータによって実行された際に、これらの装置について記述されている方法を実行するソフトウェアと、を提供する。このようなソフトウェアは、コンピュータ可読媒体上に保存可能である。
以上、多くの特徴について、反復を回避するべく1つの態様との関係においてのみ説明した。しかしながら、これらの態様の任意のものの特徴及び好適な特徴は、自由に組み合わせ可能であり、且つ、適宜、その他の態様に適用することも可能である。具体的には、当業者であれば、送信及び受信手段が規定されている場合には、対応する受信及び送信手段は、それぞれ、信号経路の反対側の端部に提供されることを理解するであろう。
本発明を更に十分に理解するべく、且つ、本発明を実施可能な方法を更に明瞭に示すべく、以下、添付図面を参照するが、これは、例示を目的としたものに過ぎない。
IEEE802.15.4のWPANにおけるプロトコルレイヤを示す。
IEEE802.15.4のWPANの可能なPHY帯域を示す。
WPANのスター及びピアツーピアトポロジーを示す。
ビーコン対応型のIEEE802.15.4のWPAN内のスーパーフレームの構造を示す。
IEEE802.15.4のWPAN内のネットワーク装置とコーディネータの間におけるデータ転送の可能なモードを示す。
IEEE802.15.4のWPAN内のネットワーク装置とコーディネータの間におけるデータ転送の可能なモードを示す。
IEEE802.15.4のWPAN内のネットワーク装置とコーディネータの間におけるデータ転送の可能なモードを示す。
IEEE802.15.4のWPAN内のネットワーク装置とコーディネータの間におけるデータ転送の可能なモードを示す。
IEEE802.15.4のWPAN内においてデータフレーム用に使用されるフレームフォーマットを示す。
図9のフレームフォーマット内のフレームコントロールフィールドの構造を示す。
図10のフレームコントロールフィールド内のフレームタイプビットの可能な値の表である。
本発明の実施例によるWSN内の無線センサ及びコーディネータを示す概略図である。
変化するパラメータ値を伴う装置とコーディネータの間の信号の流れを示す流れ図である。
処理が中央監視ユニット内において実行される図13に類似した流れ図を示す。
電池電荷レベルを表すべく送信フレームのコントロールフィールド内において使用可能な電池ビットの一例を示す表である。
変化するパラメータ値及び電池電荷状態を伴う装置とコーディネータの間の信号の流れを示す流れ図である。
中央監視ユニットを有する図16に類似した流れ図である。
予め定義されたスリープパターンを電池電荷のレベルと関連付ける1つの方法を示す表である。
電池レベルを考慮することなしにスリープパターンを選択する装置における別の方法を示す流れ図である。
電池レベルを考慮することなしにスリープパターンを選択する装置における別の方法を示す流れ図である。
図19A及び図19Bにおいてコーディネータによって実行されている処理及び制御シグナリングを中央監視ユニットが実行する図19A及び19Bに類似した図である。
図19A及び図19Bにおいてコーディネータによって実行されている処理及び制御シグナリングを中央監視ユニットが実行する図19A及び19Bに類似した図である。
電池レベルが考慮されている図19A及び図19Bに対応した流れ図である。
電池レベルが考慮されている図19A及び図19Bに対応した流れ図である。
中央監視ユニットを更に含む図21A及び図21Bに類似した流れ図である。
中央監視ユニットを更に含む図21A及び図21Bに類似した流れ図である。
IEEE802.15.4のフレームフォーマットに対する変更を示す。
IEEE802.15.4のフレームフォーマットに対する別の変更を示す。
緊急ビット及び電池ビット、並びに、その他の改善を包含するためにIEEE802.15.4のフレームコントロールフィールドに対して必要な変更を示す。
対応するIEEE802.15.4の変更済みのフレームタイプを示す。
IEEE802.15.6などの新しい規格の一部としてのすべての改善を示す。
図27に対応した可能なフレームタイプビットの表を示す。
現在のIEEE802.15.4規格におけるMACフレームの基本フォーマットを示す。
IEEE802.15.4規格の現在のバーションのコマンドフレーム識別子リストを示す。
本発明の実施例について説明する前に、可変スリープパターンを具備した装置を具備する(ピコネット、WPAN、及びMBANを含むBANなどの)無線ネットワークの設計のために関連すると予想され、且つ/又は、現在開発中のIEEE802.15.6規格の基礎として使用可能であるIEEE802.15.4の部分について、少し背景説明を行っておくこととする。
図1は、無線トランシーバ及びその低レベルコントロールを含むPHYレイヤを介して物理媒体にアクセスする層状のOSI(Open Systems Interconnection:開放型システム間相互接続)モデルの観点におけるIEEE802.15.4のWPANの概略的なアーキテクチャを示しており、これには、参照符号100が付与されている。図示のように、PHY用の2つの代替周波数帯域101、102が存在しており、これらが図2に示されている。低周波数帯域101は、868.3MHzに中心を有する単一の20kb/sのチャネル及び/又は915MHzに中心を有するそれぞれが40kb/sの10個のチャネルを提供する。高い帯域102は、それぞれが250kb/sであり、且つ、2.44GHzの周波数に中心を有する16個のチャネルを提供する。これらの帯域のうちのいずれが使用されるかは、当該地域の規制要件によって左右されることになる。
このPHYに対するアクセスは、図1に参照符号105によって示されているMAC(Medium Access Control)サブレイヤによって提供される。従って、この上位には、且つ、WPAN100の外部には、その他のネットワークからのWPANに対するアクセスを許容するLLC(Link Layer Control)が提供されており、これは、IEEE802.2規格によるものであってもよく、或いは、その他のタイプのものであってもよい。最終的に、LLCより上方の上位レイヤ109は、ネットワークの構成、操作、及びメッセージのルーティングを提供するためのネットワークレイヤと、意図されている全体的な機能を提供するアプリケーションレイヤと、を含む。
MACサブレイヤの1つのタスクは、ネットワークトポロジーを制御することにある。スター及びピアツーピアが、通信ネットワーク内における2つの既知のトポロジーであり、且つ、いずれも、IEEE802.15.4において提供されている。いずれの場合にも、トポロジーは、装置とコーディネータという2つの基本的な種類のネットワークノードを区別している。図3に示されているように、スタートポロジーにおいては、いくつかの装置11が、中央コーディネータ10と直接通信しており、ピアツーピア構成においては、装置11Aによるコーディネータとの通信は、リレーとして機能する中間の装置11B及び11Cにより、1つ又は複数のホップに沿って実行される。コーディネータは、上位レイヤへのアクセスポイントとして機能しており、WSNの場合には、コーディネータは、センサによって収集されたデータ用のシンクとして機能する。それぞれの装置の通信レンジを相当に限定することができる場合には(数メートル)、ピアツーピアトポロジーによれば、相対的に大きなエリアをカバー可能である。トポロジーは、動的であってよく、装置のネットワークへの追加又は除去に伴って変化する。
産業用のWSNの場合に、例えば、可動部品を有する機械の単一の静止した物品上のセンサからの読取値を監視するには、スターネットワークが適当であろう。一方、ピアツーピアトポロジーは、コンベヤベルト上の物体を監視するべく使用可能であろう。
MBANの場合には、例えば、コーディネータがそれぞれの患者サイト(病院のベッドなど)に提供され、一人の患者上の装置と信号を交換する場合には、スターネットワークが適当であろう。ピアツーピアは、複数の患者に対してサービスするべく1つのコーディネータが提供される場合に、より適切なトポロジーであろう(コーディネータは、病室内の固定された地点に配置可能であろう)。従って、装置11は、一般に、移動型となり、コーディネータは、移動型又は固定型であってよい。又、ピアツーピアネットワークは、ネットワークを迅速にセットアップ又は変更したり、或いは、ネットワークの自己組織化及び自己回復の実現が必要とされる高速に変化する環境に好適であろう。自己回復は、例えば、既存のコーディネータに障害が発生するか又は既存のコーディネータがネットワークを離脱した場合に、新しいコーディネータを確立するステップを包含可能である。
病院や工場などの同一の場所に、多数のスター及び/又はピアツーピアネットワークをセットアップ可能であり、そのそれぞれが、独自のコーディネータを有する。この場合には、相互干渉を回避すると共にデータの共有又は照合を許容するべく、個々のコーディネータが協働する必要がある。IEEE802.15.4においては、このようなネットワークをクラスタと呼んでおり、且つ、クラスタ用の全体的なコーディネータを確立するステップと、クラスタを分割及びマージするステップと、が提供されている。
WPAN内のノードは、様々な能力のユニットによって構成可能である。一般に、コーディネータの役割は、なんらかの処理パワーを有する相対的に高機能な装置と、複数の供給源からの送信を同時に処理する能力を有するトランシーバと、を必要とすることになる。そして、この結果、電力の十分な供給を必要とすることになる(場合によっては、商用電源供給型であってよい)。一方、ネットワーク内のその他の装置は、相対的に限られた処理能力と、電池電力のみへのアクセスと、を具備可能であり、且つ、場合によっては、リレーホップとして機能することができないほどに単純なものであってもよい。非常にわずかな電力しか利用できない装置は、大部分の時間にわたってシャットダウン可能であり、且つ、例えば、センサデータを他のノードに送信する際にのみ、ときどき、「ウェークアップ」可能である。従って、IEEE802.15.4規格は、「フル機能」装置と「部分的機能」装置を区別している。MBANの場合に、且つ、センサを身体又は装置内に埋植可能であり、大きな又は充電式の電池を具備することができないその他のWPANの場合に、電力の利用可能性は特有の課題である。
IEEE802.15.4において想定されている2つのタイプのWPANが、ビーコン対応型及びビーコン非対応型である。
ビーコン対応型のネットワークにおいては、コーディネータが、ビーコンを定期的に送信し、且つ、装置が、そのビーコンを定期的に聴取し、ネットワークに対して同期化すると共にチャネルにアクセスする。チャネルアクセスは、図4に示されているスーパーフレーム構造に基づいており、これは、コーディネータによって規定される。それぞれのスーパーフレーム30は、アクティブと非アクティブという2つの部分から構成されている。アクティブ部分は、コンテンションアクセス期間CAP(contention access period)36と、これに後続する、サービスの質要件を有するアプリケーション用の保証されたアクセスのための任意選択のコンテンションフリー期間CFP(contention free period)37と、に分割される。
図4の垂直分割によって示されているように、スーパーフレームは、それぞれがコーディネータからの又は装置からのデータのフレームを搬送する能力を有する16個の等しく離隔した時間スロットに分割される。まず、コーディネータによって送信されるビーコンフレーム(以下を参照されたい)について、スロット31が到来する。この後に、いくつかのスロット32がCAP内において供給され、既知のCSMA−CA(Carrier Sense Multiple Access−Collision Avoidance:搬送波感知多重アクセス/衝突回避方式)アルゴリズムに基づいて、コンテンション方式により、装置との間のデータ送信が許容される。要すれば、CSMA−CAにおいては、装置は、CAP内における送信を所望するたびに、ランダムな期間にわたって待機する。チャネルがアイドル状態にあると判明した際には、ランダムなバックオフ時間の後に、装置は、そのデータを送信する。ランダムなバックオフ時間の後に、チャネルがビジー状態にあると判明した際には、装置は、チャネルに再度アクセスするべく試みる前に、更なるランダムな期間にわたって待機する。
次に、CFPの保証された時間スロットGTS(guaranteed time slots)33が後続し、且つ、図示されているように、これらのそれぞれのものは、複数の基本時間スロットにわたって延長可能である。非アクティブ期間の満了後に、コーディネータが他のビーコンフレーム31を送信することにより、次のスーパーフレームがマーキングされる。装置は、スーパーフレームの非アクティブ期間34において、スリープ状態に移行可能である。従って、非アクティブ期間34の長さを拡張することにより、装置の電池電力を可能な限り節約可能である。
ビーコン非対応型のネットワークにおいては、コーディネータは、(例えば、ネットワークディスカバリのために)要求されない限り、同期化のためにビーコンを送信する必要はない。チャネルアクセスは、スーパーフレーム構造によって制限されてはおらず、且つ、装置は、非同期であって、CSMA−CAによってすべてのデータ転送が実行される。これらは、センサ−MACなどの特定のプロトコルに従って、その装置固有のスリーピングパターン(又は、デューティサイクル)を踏襲可能である。
MBANアプリケーションの場合には、コーディネータは、監視対象の1つ又は複数の身体の外部に位置している。これは、PDA、携帯電話機、ベッドサイドのモニタステーション、或いは、場合によっては、一時的にコーディネータとして機能する十分に高機能なセンサであってよい。産業用のWSNにおいては、コーディネータは、PDA、センサ、ラップトップ又はその他のコンピュータ、或いは、場合によっては、中央又はリジョナルプロセッサであってよい。前述のように、ビーコン対応型ネットワーク内のコーディネータは、ネットワーク装置に対する同期化及びチャネルアクセスの提供を担当している。又、スーパーフレームの開始及び終了は、コーディネータによって規定される。コーディネータは、その他のネットワークに対する潜在的な通信と、例えば、充電済みの電池の容易な交換による十分な電源に対するアクセスと、という2つの主要な機能を具備している。
図5〜図8は、IEEE802.15.4ネットワーク内における装置とコーディネータの間のデータ転送を示している。IEEE802.15.4には、以下のような3つの基本的な転送タイプが規定されている。
(i)装置(送信者)がそのデータを送信する先である受信者としてのコーディネータに対するデータ転送―スター及びピアツーピアトポロジーの両方において使用される。
(ii)装置がデータを受信する送信者としてのコーディネータからのデータ転送―スター及びピアツーピアトポロジーの両方において使用される。
(iii)2つのピア間におけるデータ転送―ピアツーピアネットワークにおいてのみ使用される。
図5及び図6は、それぞれ、ビーコン対応型及びビーコン非対応型の場合の両方における装置(ネットワーク装置11)とコーディネータ(コーディネータ10)からの転送を示す。相違点は、ビーコン対応型の場合には、装置11は、CFPにおいてCSMA−CAを使用して、又はCAPにおいてGTSを使用して、データ(データフレーム42)を送信する前に、コーディネータからビーコンフレーム41を受信するべく待機しなければならず、ビーコン非対応型の場合には、通常、ビーコンフレームが存在せず、且つ、装置11は、CSMA−CAを使用してデータフレーム42を自由に送信するという点にある。いずれの場合にも、コーディネータは、任意選択のアクノリッジメントフレーム43を送信することにより、データの正常な受信をアクノリッジする。これらの異なるタイプのフレームについては、更に詳細に後述する。
受信者がなんらかの理由から受信したデータフレームを処理することができない場合には、そのメッセージはアクノリッジされない。送信者が所定の期間の後にアクノリッジメントを受信しない場合には、送信者は、その送信が不成功であったと仮定し、且つ、フレーム送信を再試行する。何回かの再試行の後に、アクノリッジメントが依然として受信されない場合には、送信者は、そのトランザクションを終了させるか又は再度試行するべく選択可能である。アクノリッジメントが不要である際には、送信者は、送信が成功したものと仮定する。
図7及び図8は、コーディネータ10から装置11へのデータ転送を示している。コーディネータがビーコン対応型WPAN(図7)においてデータを装置に転送すべく所望する際には、コーディネータは、データメッセージが保留中であるという旨をビーコンフレーム41内において通知する。装置は、定期的にビーコンフレームを聴取し、且つ、メッセージが保留中である場合には、データ要求(MAC命令)44を送信し、CSMA−CAによってデータを要求する。コーディネータ10は、アクノリッジメントフレーム43を送信することにより、データ要求の正常な受信をアクノリッジする。次いで、保留中のデータフレーム42が、スロット型のCSMA−CAを使用して、或いは、可能な場合には、アクノリッジメントの直後に、送信される。装置11は、任意選択のアクノリッジメントフレーム43を送信することにより、データの正常な受信をアクノリッジ可能である。この段階で、トランザクションが完了する。データトランザクションが正常に完了した際に、そのメッセージは、ビーコン内の保留メッセージのリストから除去される。
ビーコン非対応型の場合には、特定の装置11用の準備が整ったデータを具備するコーディネータ10は、コンテンションに基づいて送信されるその装置からのデータ要求44を待たなければならない。この要求を受信した際に、コーディネータは、アクノリッジメントフレーム43を送信する(これは、該当する場合には、準備されたデータが存在しないことを通知するべく使用することも可能である)。次いで、データフレーム42が送信され、これに応答し、装置11は、返信として他のアクノリッジメントフレーム43を送信可能である。
わかりやすくするべく、以上の手順においては、装置とコーディネータの間のデータ転送のうちの前述のケース(i)及び(ii)のみが考慮されているが、ピアツーピアネットワークにおいては、前述のように、データ転送は、一般に、1つ又は複数の中間ノードを伴うメカニズム(iii)を介して実行されることになり、その結果、関係する衝突及び遅延が増大する。
図5〜図8に示されているように、IEEE802.15.4ネットワーク内における通信には、以下のように4つの異なるタイプのフレームが関係している。
−ビーコンを送信するべくコーディネータによって使用されるビーコンフレーム41
―すべてのデータ転送用に使用されるデータフレーム42
−正常なフレームの受信を確認するべく使用されるアクノリッジメントフレーム43
−データ要求などのすべてのMACピアエンティティの制御転送を処理するべく使用されるMACコマンドフレーム44
4つのフレームタイプのそれぞれのものの構造は、非常に類似しており、且つ、例として、データフレーム42のものが図9に示されている。この図において、2つの水平のバーは、MACサブレイヤと、PHYレイヤと、をそれぞれ表している。時間は左から右に進行し、且つ、フレームのそれぞれの連続したフィールドの時間長が、関係するフィールドの上方に示されている(単位:オクテット)。すべてのフレームは、特定順序のフィールドのシーケンスから構成されており、これらは、左から右に、PHYによって送信される順序において示されており、最も左側のビットが、時間的に最初に送信される。それぞれのフィールド内のビットには、0(最も左側であり、且つ、最下位である)からk−1(最も右側であり、且つ、最上位である)までが付番されており、この場合に、フィールドの長さは、kビットである。
データフレーム42を介して送信されるデータは、上位レイヤに由来している。データペイロードは、MACサブレイヤに伝達され、且つ、MACサービスデータユニット(MAC Service data unit:MSDU)と呼称される。MACペイロードには、先頭にMACヘッダMHR(MAC Header)が付加され、且つ、末尾にMACフッタMFR(MAC Footer)が付加される。MHRは、フレームコントロールフィールド50(以下を参照されたい)、データ連番(DSN:data sequence number)、アドレス指定フィールド、及び任意選択の補助セキュリティヘッダを含む。MFRは、16ビットのフレームチェックシーケンスFCS(Frame check sequence)から構成されている。MHR、MACペイロード、及びMFRが、1つのMACデータフレーム、即ち、MPDU(MAC protocol data unit)を形成する。MPDUは、PHYサービスデータユニットPSDU(Physical Layer Convergence Protocol Service Data Unit:物理層収束プロトコルサービスデータユニット)としてPHYに伝達され、これが、PHYペイロードになる。PHYペイロードには、先頭に、プリアンブルシーケンス及びフレーム開始デリミタSFD(start of frame delimiter)を含む同期化ヘッダSHR(synchronisation header)と、オクテットを単位とするPHYペイロードの長さを含むPHYヘッダPHR(PHY header)と、が付加される。プリアンブルシーケンス及びデータSFDにより、受信者は、シンボル同期化を実現可能である。SHR、PHR、及びPHYペイロードが、1つのPHYパケット、すなわちPHYプロトコルデータユニットPPDU(PHY Protocol data unit)を形成する。
ビーコンフレーム41、アクノリッジメントフレーム43、及びMACコマンドフレーム44は、MACペイロードがそれぞれのケースにおいて異なる機能を具備し、アクノリッジメントフレームがMACペイロードを具備していないことを除いて、類似の構造を具備している。又、ビーコンフレーム41、アクノリッジメントフレーム43、及びMACコマンドフレーム44は、MACサブレイヤに由来しており、上位レイヤの関与を伴っていない。
図10には、それぞれのタイプのフレーム内において使用されるフレームコントロールフィールド50が更に詳細に示されている。これは、図示のように、異なる目的のためのサブフィールドに割り当てられた16ビットから構成されている。具体的には、フィールドの最初の3ビットは、ビーコンフレーム41、データフレーム42、アクノリッジメントフレーム43、又はMACコマンドフレーム44というフレームタイプ51を表している。フレームタイプを表記する方法が図11に示されている。フレームタイプビット51に後続するのが、単一ビットのセキュリティ有効化サブフィールド52であり、これは、セキュリティがMACサブレイヤによって有効化されているかどうかを表している。これに後続しているが、フレームペンディングサブフィールド53であり、これは、送信者が受信者用の更なるデータを具備しているかどうかを通知する。次が、アクノリッジメントが受信者から要求されているかどうかを通知するアクノリッジメント要求サブフィールド54である。この後に、更なるいくつかのサブフィールド55〜59が後続しており、これらは、アドレス指定のために使用されるか、又は現在のIEEE802.15.4の仕様においては予約されている。
前述のように、図11は、フレームタイプサブフィールド51の可能なビット値の表であり、IEEE802.15.4の仕様においては、値100及び101が使用されていないことを示している。
本発明の背景の概説を以上で終了し、以下、本発明の実施例を参照する。図12は、センサ60と、コーディネータと、これらの両方の装置を有するWSNと、を示す概略図であり、これらは、いずれも本発明の実施例によるものである。
センサは、センサノード61を使用することにより、パラメータを計測する。例えば、図12に示されているセンサ60は、センサノード61を使用することにより、患者のグルコースレベルなどの生命パラメータを計測可能である。グルコースレベル(又は、その他のパラメータ)を制御手段内において処理し、WSN65上においてコーディネータ64に送信するための値情報を供給可能である。さもなければ、パラメータ値自体が、この情報を形成可能である。適切なスリープパターンが、センサの外部において選択され、且つ、コーディネータ64により、センサに送信される。制御手段は、センサのスリープパターンを制御する際に、受信した適切なスリープパターンを考慮する。いくつかの状況においては、制御手段は、適切なスリープパターンを単純に実行することになる。その他の状況においては、制御手段は、適切なスリープパタンが実行されないように、電池電荷レベルなどのその他の要因を考慮可能である。無線回路62を微調節することにより、任意のスリープパターンを実行する。
この場合においては、且つ、以下のシナリオにおいても、スリープパターンの変更を通知する送信メッセージは、それ自体が、比較的高い優先順位を有するものと想定されており、且つ、従って、例えば、装置からの日常的な及び保守の送信などのその他の送信やスリープパターンの通知をなんらかの理由から含んでいないデータ送信よりも高い優先順位が付与されている。
実施例の説明においては、直接又は間接を問わず、コーディネータからセンサへのアクノリッジメントを参照しておらず、且つ、本出願に示されている信号の流れも、それらを含んでいない。しかしながら、スリープパターンのメッセージングは、その他のデータ/情報よりも高い優先順位を有しているため、スリープパターンのメッセージは、理想的には、任意のスリープパターンの変更の前に、アクノリッジされることが好ましい。
次の表1には、WSN内の装置の異なる緊急レベルに基づいた異なる適切な予め定義されたスリープパターンの一例が付与されている。例えば、MBANなどの医療目的に使用されるネットワークにおいては、(例えば、WSNに接続されている医師のPDAや患者の腕時計又は携帯電話などの)非医療装置には、低デューティサイクルのスリープパターンを使用可能である。表1において観察可能なように、このような非医療装置は、この結果、最も長いスリープ時間又はスリープ時間率を具備する。このスリープパターンの通知は、例えば、送信フレームのフレームコントロールフィールド内の緊急ビットなどにより、WSN上において送信可能である。この例においては、非医療装置は、緊急ビット00を具備するように示されている。表1は、正常医療パターンのスリープを具備する正常状態にある医療装置を示しており、これは、わずかに高いデューティサイクルを有し、且つ、緊急ビット01によって表記されている。このような医療装置においてわずかに異常な状態が発生した場合に、デューティサイクルが再度わずかに増大し、且つ、緊急ビットが10になる。最後に、非常事態の状況にある医療装置の場合には、デューティサイクルの劇的な増大又は連続的なウェークアップが存在する。この非常事態の状況を表記するべく、緊急ビット11が使用される。この例においては、医療センサ装置の場合には、正常な状況とわずかに異常な状況の間及びわずかに異常な状況と非常事態の状況の間の遷移を、それぞれの場合において、計測されたパラメータがそれぞれの閾値を超過することにより、引き起こすことができる。当業者であれば、理解するように、緊急性の増大は、パラメータが受け入れ可能な値の範囲を具備する場合に、そのパラメータが上昇又は降下するか、或いは、これらの両方が発生した場合に、発生可能であり、いくつかの閾値によって規定された受け入れ可能な範囲のいずれかの限度に接近するほど、受け入れ不能なものに近づく。
又、先程簡単に述べたように、いくつかの実施例においては、時間に伴うパラメータ値の又は時間に伴う変化率又はパラメータ値の変化、或いは、任意のその他の基準により、スリープパターンの変更をトリガ可能である。例えば、非常に迅速な脈拍数の変化は、生理学的な状態ではなく、病理学的な不整脈に起因する可能性があり、且つ、従って、変化率を考慮しつつ、スリープパターンの変更を生じさせるのに好適であろう。
表1のビット値は、すべての装置について固定されており、且つ、その解釈は、センサ、コーディネータ、又はコントローラにとって、又はWSNの一部として又は別個に提供可能である任意の中央監視ユニットにとって、既知である。
図13は、一例として表1のビット値を使用する流れ図であり、この図は、生命パラメータ又はパラメータ値に関するその他のパラメータ計測された情報によって規定された徐々に異常な状況に推移するセンサ及び装置とコーディネータの間の信号の流れを示している。まず、センサが、グルコースレベルなどの生命パラメータを計測しS100、且つ、パラメータ値に関する情報をコーディネータに送信するS101。コーディネータは、例えば、そのレベルを予め定義されている閾値と比較することにより、センサ内の状況を評価するS102。この比較に応答し、コーディネータは、適切なスリープパターンを判定し、且つ、正常な状況を通知する緊急ビット01として、適切なスリープパターンの通知をセンサに送信するS103。送信は、この場合には、且つ、以下の図においても、直接的にセンサからコーディネータへとして示されているが、当業者であれば、ピアツーピアネットワークにおいては、送信は、その他のノードを介した間接的なものであってよいことを理解するであろう。センサがコーディネータからスリープパターンの通知を受信したら、センサは、これを実行可能であるS104。センサは、パラメータ値に関する情報のコーディネータへの送信を継続するS105。この後に、患者が、(例えば、閾値とのグルコースレベルの比較によって規定された)非常事態の状況に移行する。この段階で、コーディネータは、適切なスリープパターンを更に高頻度のモードに変更するS106。又、コーディネータは、ビット11を使用することにより、深刻な非常事態の状況の通知をセンサに送信しS107、且つ、センサが、新しいスリープパターンを再度反映させるS108。既定の数の装置が(例えば、パラメータ閾値の超過によって規定される)非常事態にある場合には、コーディネータは、より低いデューティサイクルのスリープパターンを低優先順位の装置に送信する。例えば、非医療装置は、ステップS109に示されているように、より低いデューティサイクルの動作が要求されているという通知を受信可能である。この例においては、緊急ビットが00(最も長いスリープ時間)に設定された状態において示されているが、これは、表1においてこれらの非医療装置に対して永久的に割り当てられた方式であるが、わずかに変更されたビット方式によれば、これらの装置は、少なくとも2つの異なるビットパターンを具備可能となり、この段階においては、相対的に低いデューティサイクルのビット方式が非医療装置に送信される。又、恐らくは、第1閾値よりも高い閾値を有する非常事態にある装置の数に応じて、重要ではない医療ネットワーク装置及びセンサには、より低いデューティサイクルの動作を伴う適切なスリープパターンの通知を送信可能である。例えば、コーディネータは、最も長いスリープ時間を具備する通常は非医療装置にのみ実装されるスリープパターンを規定する緊急ビット00を送信可能であるS110。
図13は、コーディネータがネットワーク装置用の適切なスリープパターンを判定する状況を示しているが、この処理は、中央監視ユニットによって部分的に又は全体的に実行することも可能である。図14は、図13と類似した流れ図を示しており、且つ、従って、詳細な説明は省略する。2つの図の相違点は、図14は、処理が中央監視ユニット内において実行される様子を示しており、コーディネータは、ネットワーク装置と中央監視ユニットの間の中継装置として機能しているに過ぎないという点にある。このシナリオにより、自動的な又はスタッフによって選択されるスリープパターンの中央集中制御が可能となる。
表1及び図13及び図14は、中央集中型のスリープの微調節能力に関するものであるが、装置の電池レベルを考慮してはいない。この実施例においては、センサは、コーディネータからの通知のみに基づいて適切なスリープパターンを実装している。このため、医学的な状況が主要な要因であり、従って、このシナリオは、特に、医療アシスタントが存在している際の集中治療の状況に好適である。
その他の実施例においては、センサは、コーディネータによって設定された通知のみならず、電池チェックにも依存して、スリープパターンを変更可能である。このために、電池レベルをコーディネータに送信可能である。図15は、電池の電荷レベルを表すべく送信フレームのコントロールフィールド内において使用可能な電池ビットの一例を示す表70である。パーセンテージ電荷を、それぞれが25%の範囲を有する4つの異なるレベルに分割している。或いは、この代わりに、更に少ない数の又は更に多くの数のレベルを選択することも可能であり、且つ、スケールの線形分割は必須ではない。例えば、最上位の電荷レベルは、例えば、50〜100%であってよく、且つ、その他の電荷レベルは、更に小さな範囲をカバー可能である。電池ビットについては、2つのビットが使用されており、これにより、電池電荷を4つの異なるレベルに分割可能である。
図16は、変化するパラメータ値及び変化する電池電荷状態を伴う装置とコーディネータの間の信号の流れを示す流れ図である。このような実施例は、緊急医療支援が入手可能ではない医療テレメトリアプリケーションにおいて有用であろう。
このような場合には、スリープパターン制御に電池レベルを含めることにより、比較的高いデューティサイクルのスリープパターンが電池電荷の完全な消耗に結び付かないことを保証可能である。これらの本発明の実施例においては、電池レベルが適切である場合にのみ、計測されたパラメータ値に照らして好適な比較的高いデューティサイクルのパターンを実行可能である。さもなければ、現在のスリープパターンが維持される。
同様に、電池レベルが低下した場合には、計測されたパラメータ値にとって好適なものよりも低いデューティサイクルを選択する必要があろう。
このシナリオにおいては、非常事態データが依然として記録されるが、理想的なものを下回るペースにおいて記録される。これは、例えば、装置が埋植型であり、且つ、電池を即座に交換不能である際に、(電池にアクセスするべく操作が必要であるため)特に有利である。又、これは、非埋植型アプリケーションの電池を交換するべく夜間において看護師又は医療アシスタントが周辺に存在していない際のテレメトリ非常事態アプリケーションの場合にも、有用である。例えば、自宅治療においては、相対的に高い精度及びサンプリングレートにおいて、夜間に数分間にわたってのみ発生可能なまれな医学的又は非常事態の状況の記録を継続することが有利である。同時に、センサは、低電池レベルのメッセージをコーディネータに送信可能である。図16は、グルコースレベルなどの生命パラメータが上昇した際の非常事態の状況への変化を示している。正常な状況の医療装置から始まって、表1に設定されている緊急ビット01を1つ又は複数の現在の送信フレーム内において送信可能である。ステップS300において、センサは、グルコースレベルなどのパラメータを計測する。センサは、ステップS301において、パラメータをコーディネータに送信し、且つ、コーディネータは、ステップS302において、患者の状況を評価する。非常事態のレベルが増大している場合には、緊急ビット10がセンサに送信される。この時点において、センサは、電池レベルをチェックしS304、これらの緊急ビットによって通知されたスリープパターンが許容可能であるかどうかを判定する。許容可能ではない場合には、センサは、ステップS305において、例えば、電池ビット01を使用することにより、低電池レベルメッセージをコーディネータに送信する。次いで、コーディネータは、電池に関する処理を実行するS306。次のフェーズにおいて、センサは、パラメータ値を更新し、これが、コーディネータに対して送信され、この結果、ステップS308において、コーディネータは、より深刻な非常事態の状況を検出する。コーディネータは、ステップS309において、緊急ビット11をセンサに送信する。その結果、ステップS310において、センサは、電池レベルが更に高頻度のウェークアップを許容するかどうかを確認する。許容する場合には、ステップS311において、スリープパターンが、緊急ビット11に対応するように変更される。同時に、この非常事態の状況にセンサが遷移することにより、非常事態にある装置の数が閾値を超過することになる。コーディネータは、ステップS312において、緊急ビット00を重要ではない医療装置に対して送信することにより、処置を講じ、ステップS313において、それらの装置のウェークアップパターンを低速化させる。ステップS314において、コーディネータは、非医療装置に対して、最も低速の適切なウェークアップパターンを通知する緊急ビットを送信する(これらは、ビット00として示されており、且つ、表1の方式に適合していないが、当業者であれば、更に多くのビット又はその他の方法を使用して更なるスリープパターンを通知する方法を理解するであろう)。
図17は、中央治療ユニットが処理及び決定の制御を管理しており、且つ、必ずしも低電池レベルビットの中央監視ユニットへの伝達を伴うことなしにコーディネータによって実行される電池の処置を除いて、コーディネータが中継装置として機能する類似のシナリオを示している。
図18は、スリープパターンを電池電荷のレベルに対して関連付ける1つの方法を示す表70である。この場合に示されているスリープパターンは、単一装置カテゴリ用のものであり、従って、以前の図及び表1に示されている医療装置と非医療装置への分割には当てはまらない。最も低いレベルL1(0〜25%)は、閾値比較の結果がどのようなものであっても、比較的低いウェークアップスリープパターンのみを許容し、第2レベルL2は、中程度のウェークアップパターンを更に許容し、第3レベルL3(50〜75%)は、更に高いウェークアップパターンを更に許容し、且つ、トップレベルL4(75〜100%)は、すべての可能なスリープパターンが許容されるように、連続したウェークアップパターンを更に許容する。従って、電池電荷レベルは、必要に応じて、パラメータ値に従って選択されたスリープパターンを無効にする。レベルL1〜L4の間の限度とパラメータ用に定義されている閾値の間には、実用性の理由から、1対1の対応関係が存在しており、従って、それぞれの限度が2つのレベルの間を超えた場合に、1つの予め定義されたスリープパターンの分だけ、受け入れ可能なスリープパターンの境界を移動する。
図19A及び図19Bは、電池レベルを考慮することなしにスリープパターンを選択する装置内における別の方法を示す流れ図である。この場合にも、図18の場合と同様に、1つの装置カテゴリのみが考慮されている。コーディネータは、以下に示されている表2に従って設定される緊急ビットを有するフレームを送信する。
正常状態においては、コーディネータは、緊急ビット00(パラメータ値が最大で閾値Th1である)を送信する。わずかに異常である場合には(計測されたパラメータがTh1から最大で閾値Th2である)、緊急ビット01が送信される。計測されたパラメータが最大で閾値Th3である異常状態においては、装置は、緊急ビット10を送信する。計測されたパラメータ値がTh3を上回った状態から、装置は、非常事態となり、且つ、緊急ビット11を送信する。
センサが図19Aの開始時点において、正常なスリープパターン(00)を有する正常な状態にあると始まるものと仮定すると、パラメータ値が計測されS400、且つ、コーディネータに送信されるS401。次いで、コーディネータは、値を閾値Th1〜Th3と比較することにより、状況の緊急性を評価する。装置が正常な状況にある場合には、スリープパターンは変更されないS402。閾値Th1とTh2の間に規定されているわずかに異常な状況においては、コーディネータは、異なる適切なスリープパターンを選択し、新しいスリープパターンの通知がビット01としてセンサに送信されるS403。センサは、デューティサイクルを増大するS404。パラメータが第2閾値Th2と第3閾値Th3の間に位置した場合には、装置は、異常な状況にあり、且つ、対応するメッセージが、緊急ビット10と共に、コーディネータから送信されるS405。異常な状況を反映させるべく、スリープパターンが再度変更されるS406。最後に、計測されたパラメータがパラメータTh3を上回っている場合には、装置は、非常事態にあり、且つ、緊急ビット11を有するメッセージがコーディネータによって送信されるS407。センサは、そのデューティサイクルを最高のレベルに再度変更するS408。
非常事態にある装置の数又は非常事態にある相対的に高い優先順位の装置の数が閾値を超過した場合にはS409、メッセージが1つ又は複数の非医療装置に対して送信されS412、これにより、それらの装置のスリープパターンが、例えば、最低レベルに低減される413。同一の又は潜在的には更に高い閾値において、類似のメッセージを送信しS410、重要ではない医療装置のデューティサイクルを低減させる。
図20A及び図20Bは、図19A及び図19Bに類似した図であり、この場合には、図19A及び図19Bにおいてコーディネータによって実行されていた処理及び制御シグナリングが、中央監視ユニットによって実行されている。この場合には、コーディネータは、中継装置として機能しているに過ぎない。
図21A及び図21Bは、図19A及び図19Bに対応した流れ図であるが、この場合には、電池レベルが考慮されている。この実施例においては、電池ビットがセンサから送信され、且つ、緊急ビットがコーディネータから送信される。コーディネータによって送信される緊急ビットは、パラメータ計測のみを考慮した適切なスリープパターンを通知し、且つ、センサによって送信される電池ビットは、動作の際の実際に許容される最高のスリープパターンを示す。手順の開始時点においては、本発明者らは、センサが正常なスリープ−ウェークアップパターンと、完全に充電された電池と、を具備しているものと仮定し、この結果、センサのパラメータ値に関する情報がコーディネータに送信されるS500。次いで、コーディネータは、パラメータを評価し、そのパラメータが、Th1未満、Th1とTh2の間、Th2とTh3の間、又はTh3超のいずれに位置しているのかを確認する。パラメータがTh1未満である場合には、スリープウェークアップパターンの変更は不要であるS501。
生命パラメータが第1閾値Th1と第2閾値Th2の間に位置している場合には、ステップS502において、メッセージが、01に設定された緊急ビットと共に、センサに送信される。電池レベルがチェックされるS503。このパラメータ計測によって選択されたスリープパターンが、図18の表に従って制御手段によって許容される場合には(即ち、このケースでは、電池電荷がL2、L3、又はL4に位置している場合には)、スリープパターンは、わずかに異常な状態のものに変更される。電池がL1にある場合には、スリープパターンの変更は不可能であるが、S505において、電池レベルL1を反映させるべく、メッセージが、00に設定された電池ビット共に、コーディネータに送信される。コーディネータは、低レベルの電池に対して処置を講じるS506。さもなければ、スリープパターンは、電池によって許容される最高のレベルに変更されS507、且つ、メッセージが、許容される最高のスリープ−ウェークアップパターン用の電池レベルであるxxに設定された電池ビット共に、コーディネータに送信されるS508。わずかに異常な状況にある装置について電池レベルの問題がない場合には、これは、レベルL2、L3、及びL4をカバーする。従って、唯一の他の代替肢は、電池レベルがL1の場合である。但し、実装の容易性を考慮し、この余分なステップは、このパラメータレベルもその他のパラメータレベルと同様に含んでいてよいが、省略してもよい。
パラメータがTh2とTh3の間に位置しており、且つ、従って、装置が異常な状況にある場合には、緊急ビット10を有する適切なスリープパターンを通知するべく、メッセージがセンサに送信される。これを受け入れ可能であるかどうかを確認するべく、電池レベルが再度チェックされる。電池レベルが、必要とされているスリープパターンの変更に問題がない場合には(即ち、L3又はL4に位置している場合には)、装置は、異常なスリープパターンに変更する。一方、電池レベルがL1である場合には、スリープパターンに対する変更は不可能であり、且つ、メッセージが、00に設定された電池ビットと共に、コーディネータに送信される。電池に対する処置が講じられる。さもなければ(電池レベルがL2に位置している場合には)、スリープパターンが、電池によって許容される最高のものに変更され(01)、且つ、メッセージが、許容された最高のスリープパターンであるxxに設定された電池ビットと共に、送信される。この場合に、xxは、レベルL2を反映させるべく、01である。
最後に、パラメータが閾値Th3を上回っている場合には、11に設定された緊急ビットを有するメッセージが、センサに送信され、且つ、電池レベルがチェックされる。電池レベルは、レベルL4に位置している場合にのみ、問題がない。この場合には、装置は、その装置固有のスリープパターンを非常事態のものに変更する。一方、電池レベルがL1に位置している場合には、メッセージが、00に設定された電池ビットと共に、コーディネータに送信される。任意のその他のレベル(ここでは、レベルL2及びL3)の場合には、スリープパターンは、許容される最高のパターンに変更され、且つ、送信される電池ビットは、以前と同様に、許容される最高のスリープパターン(即ち、実装されるスリープパターン)であるxxに設定される。
パラメータが閾値の間のどこに位置しているのかをコーディネータが評価したら、この情報を使用し、非常事態の状況にある装置の数をチェックする。装置の数が閾値を超過している場合には、00に設定された緊急ビットを有するメッセージを重要ではない医療装置及び非医療装置に送信するべく、処置が講じられる。この結果、これらの装置は、正常な(最低の)デューティサイクルスリープパターンに変更する。
図22A及び図22Bは、図21A及び図21Bと類似した図であるが、この場合には、比較機能及び緊急ビットの設定が中央監視及び医学治療ユニットによって実行されている。コーディネータは、電池に対して処置を講じる際のその役割以外には、中継装置として機能しているに過ぎない。従って、センサから電池レベルとの関係において送信されるすべてのメッセージは、コーディネータによって処理され、且つ、必ずしも、中央ユニットに転送されない。
或いは、この代わりに、電池ビットは、パラメータ計測とは別個に、純粋に、電池レベルのインジケータとして、使用することも可能である。この場合には、コーディネータは、電池ビット、ルックアップテーブル、及び自身がセンサに送信したパラメータ値又は適切なスリープパターンの組合せから実装される実際のスリープパターンを算出可能である。この代替肢によれば、電池レベルに関する更に詳細な情報が得られるが、コーディネータの処理能力を増大させる必要がある。
以下の説明は、前述のシグナリングプロトコルをIEEE802.15.4に基づいて現在開発中のIEEE802.15.6などの通信規格に内蔵する方法を示している。図23は、緊急メッセージに対してその他のものよりも高い優先順位が割り当てられるように、メッセージの緊急性を通知するためのIEEE802.15.4のフレームフォーマットに対する変更を示している。2つの緊急ビット81、82が示されており、且つ、センサは、変化する適切なスリープパターンのコーディネータからセンサへの通知のために、データフレーム、アクノリッジメントフレーム、及びMACコマンドフレームのうちのいずれか又はすべてのものなどの送信フレーム内において、これらの緊急ビットを利用する。
又、これらの緊急ビットは、例えば、表1に示されているように、非医療装置と医療装置を区別するべく、或いは、産業用アプリケーションにおいて異なる装置タイプの間の優先順位を区別するべく、使用することも可能である。図10との比較から観察可能なように、フレームコントロールが、1オクテットだけ拡張されており、この1オクテット内において、2つのビット(緊急U1及び緊急U2)を使用し、異なるスリープパターンに対応した異なる緊急レベルを通知している。
図24は、電池レベルに関係した2つのビット83、84を更に含む。これらのビットは、電池レベル1であるL1と電池レベル2であるL2として示されている。図21A及び図21Bとの関係において説明したように、適切なスリープパターンが、電池レベルを考慮したことに起因して許容されないため、センサに送信される緊急ビットは、センサによって実装される実際のスリープパターンには反映させることができない。従って、コーディネータに送信される電池ビットを、電池レベルを考慮して実行される実際のスリープパターンの通知として、パラメータレベル/緊急ビットと共に参照する必要があろう。
以上の実施例は、IEEE802.15.4に対する改善として、或いは、BAN用の規格であるIEEE802.15.6などの提案されている機能を必要としている開発中の新しい規格の不可欠な部分として具現化できる。
このスリープパターンの改善は、いくつかの関連する改善のうちの1つであってよい。図25は、非常事態ビットとアクノリッジメントタイプを表す2つのビットと共に、本明細書において参照されている緊急ビット及び電池ビットを包含するべく必要とされるIEEE802.15.4のフレームコントロールフィールドに対する変更を示している。下位互換性を考慮し、これらの非常事態及びアクノリッジメントタイプのためには、IEEE802.15.4の予備のビット(7〜9)を使用している。更には、フレームコントロールは、前述のように、1オクテットだけ拡張されており、そのうちの2ビットが様々な緊急レベルを区別するべく、そして、別の2つのビットが電池ビットして、使用されている。1オクテットの残りの2ビットは、予備である。対応するIEEE802.15.4の変更済みのフレームタイプが図26に示されている。下位互換性を考慮し、予備のビット100〜111を使用して、異なるタイプのアクノリッジメントフレームと、非常事態の状況について生成される新しいタイプのフレームである非常事態フレームと、を通知している。
「グリーンフィールド」方式の規格から開始し、改善により、恐らくは、フレームコントロール内に以下のものが包含されることになろう。
・アクノリッジメントタイプのための2つのビット
・緊急レベルのための2つのビット
・電池レベルのための2つのビット
・フレームのタイプを表すための3つのビット
更には、コントロールフレーム内のフレームタイプは、データフレーム、MACフレーム、及びビーコンフレームなどのその他のタイプのフレームに加えて、以下のもののうちのいずれかを通知するための値を包含可能であろう。
・非常事態フレーム
・アクノリッジメントフレーム
・即時アクノリッジメントフレーム
・遅延アクノリッジメントフレーム
図27は、IEEE802.15.6などの新しい規格の一部としての改善を示している。この図は、MACレイヤにおけるヘッダフレームの提案部分を示している。当業者であれば、緊急レベル及び電池レベルが、本出願の実施例を参照しており、これらは、完成したシステムにおける更なる実施例を形成するべく、その他の改善の任意の組合せと組み合わせ可能であることを理解するであろう。一実施例においては、緊急ビット及び任意選択の電池レベルビット(適切なスリープパターンの通知及び任意選択による電池電荷情報)との関連において使用される非常事態ビット(又は、その他の非常事態通知)は、非常事態の状況を補足及び/又は確認可能である。図28は、図27に対応した可能なフレームタイプビットの表を示している。
図29は、MACコマンドオクテットの場所を示す現在のIEEE802.15.4規格におけるMACフレームの基本的なフォーマットを示している。図30は、IEEE802.15.4規格の現在のバージョンのコマンドフレーム識別子のリストを示している。
上述の本発明のフレームコントロールの実施例は、MACフレームヘッダのMACフレームコントロール内の少なくとも4つのビット(u1 u2 b1 b2)を使用し、BAN装置の状態を表している。これらの状態情報ビットは、いずれも、独立的に設定可能であり、且つ、一般的には、但し、限定を伴うことなしに、非常事態の状況において、BAN、BANトラフィック、及びBAN装置管理において、多数の方法によって組み合わせ可能である。これらは、図29に示されているように、MACコマンドフレーム又はその他の任意のタイプの送信フレーム内において送信可能である。
代わりの解決手段においては、新しいMACコマンドフレームを追加可能であり、新しいコマンドフレーム識別子が図30のリストに追加される。前述のビットを使用することにより、又は、なんらかのその他の方法により、ペイロードを使用して装置状態を弁別可能であろう。
MACコマンドフレームを含む任意の送信フレームタイプに好適な更なる代替の且つ好ましい方式は、フレームコントロールの外に、但し、依然としてMACヘッダの内部に、前述のビット、或いは、好ましくは、以下に示されている装置状態の列挙リストを有する単一のオクテットを導入するというものである。この1オクテットは、合計で256個の可能な装置状態を提供することになり、例えば、限定を伴うことなしに、以下のようなものがある。
状態ID−装置状態の説明
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0x01−正常(即ち、非常事態ではなく、電池も正常である)
0x02−非常事態ではなく、電池が中レベルである。
0x03−非常事態ではなく、電池が低レベルである。
0x04−非常事態であり、電池が正常である。
0x05−非常事態であり、電池が中レベルである。
0x06−非常事態であり、電池が低レベルである。
受信装置が、このフィールドを判読及び解釈するべきかどうかを知るために、単一の「装置状態」(ds)ビットをMACフレームコントロール内に導入し、装置状態を判読及び解釈するか(ds=1)、又は装置状態を無視するか(ds=0)を通知可能である。
信頼性は、IEEE802.15.6及びその他の規格の主要な要件の1つである。医学的な緊急事態においては、しばしば、患者の救命又はその他の極めて重要な情報のセンサによる入手頻度を増大させることが極めて重要である。例えば、正常な状態において、センサが10時間ごとにデータを計測している場合にも、非常事態においては、半時間ごとに患者の状態の更新を実行することが必要になろう。本発明の実施例は、医療BAN内のコーディネータが、非常事態にある装置の数を考慮して非常事態の状況においてスリープパターンを調和させることができるようにする新しいコーディネータに基づいた中央集中型のスリープ/ウェークアップパターンのスケジューリングを開示している。
本発明の実施例は、中央監視機能を利用可能であると共に、患者の状況を中央治療ステーションから看護師が分析することにより、或いは、中央監視ステーションにおいて実行される分析又は診断に基づいて自動的に、スリープパターンを変更可能であるケースを考慮している。特に有利な特徴は、医療スタッフを使用し、複数の入力パラメータを考慮して情報を分析することによってスリープパターンを変更する中央集中型コマンド機能の生成である。これは、いくつかのインテリジェントなパターン認識アルゴリズムにより、ゲートウェイ又はその他の場所において実行することも可能である。
本発明の実施例は、以下のような有利な態様を具備可能である。
実施例は、非常事態の状況に応答した医療ボディエリアネットワーク又は無線センサネットワークにおける中央集中型のウェークアップ及びスリープパターンのスケジューリング方法を導入する。
実施例は、電池の状態を考慮した非常事態の状況に応答した医療ボディエリアネットワーク又は無線センサネットワークにおける中央集中化型のウェークアップ及びスリープパターンのスケジューリング方法を導入する。
実施例は、非常事態の状況に応答すると共に中央医学治療ユニットと調和した医療ボディエリアネットワーク又は無線センサネットワークにおける中央集中型のスリープパターンのスケジューリング方法を提供する。
更には、実施例は、電池の状態を考慮しつつ非常事態の状況に応答すると共に中央医学治療ユニットと調和した医療ボディエリアネットワーク又は無線センサネットワークにおける中央集中型のスリープパターンのスケジューリング方法を提供する。
実施例は、複数の患者又は一人の患者の複数のセンサが非常事態に移行した際に非医療装置及び非常事態にはない医療装置を低速化させるという概念を導入する。
ウェークアップパターンにおける低速化の量を量子化するべく、新しいシグナリングビット(即ち、非常事態ビット)が提供されている。
本発明の実施例は、MBANの使用による非常事態管理の円滑な実行において極めて重要な役割を果たすことができる。以下のようなシナリオに留意されたい。
1.世界中で数億人の人々が糖尿病を患っている。最近、グルコースの計測のための埋植可能な又は非侵襲的な方法が検討されている。WSNは、患者のグルコースレベル情報の24時間にわたる提供を支援することになる。患者のグルコースがチャートを逸脱し、且つ、患者のための非常ジオロケーション及びその他の必要な緊急的な医学的手順が必要とされる状況が存在する。心臓に問題を有する世界中の数億人の患者の状況を、彼らの身体上の無線センサ及びMBANを利用することにより、病院内において、又は自宅において、監視可能である。MBANは、このような患者に更なる移動性を提供する。心機能の異常や心臓発作などの更に深刻なケースなどの状況にある患者のグループの場合には、生命を脅かす医学的な非常事態において、極めて重要な医学的データが失われたり又は遅延したりしないことを保証することが極めて重要である。本発明の実施例によれば、非常事態に移行する患者に装着された医療センサ又は装置のスリープパターンの更に正確且つ中央集中型の制御及びスケジューリングの可能性がもたらされる。
2.本発明の実施例によれば、非常事態の診断に応答して装置のスリープパターンを制御する可能性が中央医学治療ユニットに対して付与される。
3.この非常事態スリープパターンのスケジューリングのいくつかの実施例の発明概念は、非常事態にある患者又は装置の数が重要な閾値を超過した際に、その他の非医療装置(又は、重要ではないアプリケーションの医療装置)を低速化させるという可能性を具備している。これを実行することにより、この発明概念は、コーディネータ及び中央医学治療ユニットが、更なる信頼性を伴って、且つ、非常事態にある患者優先の方式により、非常事態にある患者及び装置を処理する可能性をもたらす。
4.これを実行する際に、本発明の実施例は、電池レベルを考慮することにより、非常事態において信頼性の高い且つ安定した非常事態動作を保護可能である。
5.本発明の実施例は、医療スタッフが周辺にいない際に非常事態の状況に移行可能な数千人の患者の生命を救うことができる。
6.本発明の実施例は、医療システムにおける非常事態に対する応答効率を改善する。
7.本発明の実施例は、医療MBANシステム内における非常事態の認知度を改善する。
8.本発明の実施例は、非常事態の応答プロセスを自動化することによって人件費を低減する。
9.本発明の実施例は、患者の身体から得られる非常事態データの精度を改善する。
10.センサとコーディネータを調和させることにより、本発明の実施例によれば、非常事態の深刻さと現在の電池レベルを考慮して最良のスリープパターンを実現可能である。
本発明は、新しいセンサ、コーディネータ、中央監視ユニット、又はこれらのためのハードウェアモジュールの形態をとることが可能であり、且つ、1つ又は複数のセンサ及び/又はコーディネータ及び/又は中央監視ユニットのプロセッサによって実行されるソフトウェアを置換又は変更することにより、実装可能である。
従って、本発明の実施例は、ハードウェアにおいて、或いは、1つ又は複数のプロセッサ上において稼働するソフトウェアとして、或いは、これらの組合せとして、実装可能である。又、本発明は、本明細書に記述されている技法のいずれかのものの一部又はすべてを実行する1つ又は複数の装置又は機器プログラム(例えば、コンピュータプログラム及びコンピュータプログラムプロダクト)として実施可能である。このような本発明を実施するプログラムは、コンピュータ可読媒体上に保存可能であり、或いは、例えば、1つ又は複数の信号の形態を有することも可能であろう。このような信号は、インターネットウェブサイトからダウンロード可能なデータ信号であってよく、或いは、搬送波信号上において、又は任意のその他の形態において、提供することも可能である。
以上の説明においては、一例として、IEEE802.15.4及びIEEE802.15.6を参照しているが、本発明は、IEEE802.15.6に従って動作するかどうかとは無関係に、任意のタイプのMBANに対して、且つ、医療ボディエリアネットワークでない場合にも、非常事態の状況における通信の信頼性の改善に対する要件を具備するその他のタイプのBAN及びその他の近距離WSNに対して、適用可能である。