JP5544083B2 - 回転電機用ステータ - Google Patents

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Description

本発明は、回転電機用ステータに関し、より詳しくは、アースされた状態で用いられるステータコアを有し、該ステータコアに形成されたスロット溝に、巻線が巻き束ねられてなる巻線コイルが収容されており、前記ステータコアと前記巻線コイルとの間の静電容量を低減しうるように前記スロット溝の壁面と前記巻線コイルとの間に空隙を設けて前記巻線コイルが収容されている回転電機用ステータに関する。
従来、電力によって回転動力を発生させるモータや回転動力を電力に変換するジェネレータなどの回転電機が広く用いられている。
通常、モータやジェネレータなどの回転電機には、固定配置されたステータと、該ステータに対して回転可能に設けられたロータとが備えられており、このステータやロータには、エナメル線などの巻線が巻き束ねられて形成された巻線コイル(以下、単に「コイル」ともいう)が設けられたりしている。
そして、例えば、モータにおいては、ステータの巻線に通電してコイルで磁界を発生させ、該磁界により永久磁石が用いられてなるロータとの間に反発力を発生させてロータを回転させたり、あるいは、ロータの巻線に通電してコイルで磁界を発生させ、永久磁石が用いられたステータとの間に反発力を発生させてロータを回転させたりしている。
また、ジェネレータにおいては、永久磁石が配設されたロータの回転によって生じる磁界の変動によりステータに配設されたコイルに誘導電位を発生させたりしている。
このコイルは、通常、ステータコアやロータコアに形成されたスロットと呼ばれる溝の内部に巻線を配設させてステータやロータに備えられている。
このスロット溝は、通常、モータやジェネレータの回転軸方向と平行な方向に沿って延在されており、前記回転軸周りに、略均等な間隔でステータコアやロータコアの表面に複数条形成されている。
そして、スロット溝は、ステータコアやロータコアの全長にわたる長さに形成されておりステータコアやロータコアの両端面に開口された状態となるように形成されている。
このステータコアなどの形成には、モータやジェネレータの運転効率の観点から高い透磁率を有する鋼材などの金属材料が用いられている。
そのため、例えば、モータの電気的な信頼性を向上させるべく、このステータコア端面の開口部のエッジと巻線コイルとがモータ駆動時の振動などで擦れ合って巻線の絶縁被膜に傷が発生することを防止しうるように巻線コイルをスロットライナやウェッジなどの絶縁シートで包囲してスロット溝に収容させることが行われている。
また、巻線の絶縁層に欠陥が生じていた場合であっても該欠陥箇所を樹脂で被覆して絶縁性を確保させるとともに、スロット溝に収容させた後の巻線を樹脂で被覆して絶縁層に傷が発生してしまうことを防止すべくワニスを巻線間に含浸させて巻線間の空気をできるだけ追い出した後に、該ワニスを固化させることによりモータの絶縁信頼性を向上させることが行われている。
さらに、巻線の導体とステータコアとが短絡した際の感電事故などを防止すべくステータコアにアースが施されて信頼性の向上が図られたりしている。
ところで、前記絶縁シートには、通常、ポリマーなどの誘電体が用いられていることから、ステータコアがアースされることで、モータの駆動時にスロットライナに誘電分極が生じて、この分極による漏れ電流が発生してしまうおそれがある。
このことに対し巻線コイルとステータコアとの間の静電容量を低下させて漏れ電流を低減させるべく、ポリマーよりも比誘電率(以下、単に「誘電率」ともいう)の低い空気などの気体を存在させて巻線コイルとステータコアとの間に空隙を設けることが行われている。
例えば、特許文献1には、スロット溝の壁面に突起を設けて絶縁シートとの間に空隙を設けることにより巻線コイルとステータコアとの間の静電容量を低減させて漏れ電流を抑制させることが記載されている。
しかし、この特許文献1に記載の方法では、スロット溝の壁面の突起部のみで巻線コイルが実質上支持されることから巻線コイルがモータ駆動時に振動しやすく、漏れ電流の低減がなされたとしても巻線コイルが振動して絶縁層に損傷を与えるおそれがある。
また、巻線コイルへのワニスの含浸によって、絶縁層への損傷を防止することも考え得るが、ワニスの含浸は、ワニスで固められた巻線コイルをスロット溝に収容させるよりも、一旦、スロット溝中に巻線コイルを収容させた後に当該巻線コイルを固化させる方が作業が簡便であることから、従来、巻線コイルをスロット溝中に収容させた後に実施されたりしている。
一方で特許文献1に記載の方法でスロット溝の内壁面と巻線コイルとの間に空隙を設けた場合には、このワニスの含浸時にスロット溝の突起によって形成された空隙部にワニスが浸透されやすく静電容量の低減が十分なされないおそれがある。
したがって、特許文献1に記載されているような方法によって、電気的な信頼性を確保しようとすると簡便な方法でステータを作製することが困難となってしまう。
すなわち、従来、電気的な信頼性が向上されたステータを簡便な方法で製造することが困難であるという問題を有している。
特開平9−154245号公報
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、信頼性の向上されたステータを簡便なる方法で提供することを課題としている。
本発明の回転電機用ステータは、回転電機に用いられ、アースされた状態で用いられるステータコアを有し、該ステータコアに形成されているスロット溝に、巻線が巻き束ねられてなる巻線コイルが収容されており、前記ステータコアと前記巻線コイルとの間の静電容量を低減しうるように前記スロット溝の壁面と前記巻線コイルとの間に空隙を設けて前記巻線コイルが前記スロット溝に収容されている回転電機用ステータであって、前記スロット溝の壁面と前記巻線コイルとの間に絶縁シートが介装されており、樹脂組成物で形成された内部に複数の気泡を含有する発泡体が前記絶縁シートと前記巻線コイルとの間充填されて前記空隙が設けられており、前記樹脂組成物と同じかまたは異なる樹脂組成物が前記巻線コイルの巻線間に無発泡な状態で充填され、且つスロット溝の壁面と巻線コイルとの間に充填されている前記発泡体が、1.5〜30の発泡倍率で発泡されていることを特徴としている。
本発明によれば、スロット溝の壁面と巻線コイルとの間に発泡体を充填させて空隙を設けることから巻線コイルの振動を防止でき絶縁層が損傷を受けることを抑制させつつ漏れ電流の低減を図りうる。
また、スロット溝の壁面と巻線コイルとの間に発泡体を充填させるという簡便な手段で絶縁層の損傷を防止でき、絶縁信頼性を向上させうる。
さらには、巻線間にワニスが含浸される場合であっても、樹脂組成物で包囲された気泡の状態で空隙が形成されることから、この空隙部にワニスが含浸されてしまうおそれを低減させうる。
すなわち、本発明によれば、信頼性の向上されたステータを簡便なる方法で得ることができる。
なお、巻線コイルとステータコアとの間の静電容量が大きくなると、電源側においてサージが発生した際に、特に、このサージが最初に入力される巻線コイルとステータコアとの間に生じる分担電圧が多大なものとなり、場合によっては、部分放電が生じるなどして巻線の絶縁層にダメージを与えるおそれがあるが、本発明においては、上記のように巻線間にワニスが含浸される場合であっても、静電容量が増大されてしまうことを抑制しつつワニス含浸を実施させ得る。
すなわち、ステータコアと巻線コイルとの間の静電容量が低減され、巻線間へのワニスの充填などが容易となることにより、サージ発生時における分担電圧の低減を図りうるとともに巻線の絶縁性を向上させうることから部分放電の抑制を図りうる。
以下に、回転電機として誘導モータを例示しつつ本発明の好ましい実施の形態を添付図面に基づき説明する。
図1は、回転軸に垂直な平面で誘導モータを切断した場合の断面の概略を示した概略図であり、図2は、図1の記号「A」で示されている破線で囲まれた領域における本実施形態のステータを拡大した拡大断面図である。
図中の符号10は、誘導モータの略中心部に配設された細長い円柱形状を有する回転軸を表している。
20は、該回転軸10の外周側に周設されているロータコアを表しており、該ロータコアは、前記回転軸10を挿通させ得る貫通孔を一端側から他端側に貫通させた略円筒形状に形成されている。
前記回転軸10とロータコア20とは、固定一体化されて軸周りに回転可能な状態で誘導モータに備えられている。
30は、誘導モータ内に固定されて配設されているステータコアを表しており、本実施形態のステータは、該ステータコア30と巻線が巻き束ねられてなる巻線コイルとが用いられて構成されている。
このステータコア30は、前記ロータコア20の円筒形状の外径よりも僅かに大きな内径を有する全体略円筒形状に形成されており、しかも、円筒形状の内側に形成されている中空領域をモータの回転軸が延在する方向に沿わせた状態で誘導モータ内に固定されて配設されている。
そして、ステータコア30は、その円筒形状の内周面とロータコア20の外周面との間に僅かに空隙を形成させて中空領域にロータコア20を収容させた状態で誘導モータに配設されている。
31は、ステータコア30の内周面側に形成された複数条のスロット溝を表しており、この複数のスロット溝31は、前記回転軸10の延在方向に略平行して延在されており、しかも、隣接するスロット溝31が互いに略平行して配設されている。
そして、ステータコア30の内周面側には、このスロット溝31によって、ステータコア30の一端側から他端側にいたる長さ(テータコア30の全長)を有する直線状の開口部31aが互いに略平行して複数形成されている。
また、スロット溝31は、ステータコア30を長さ方向に貫通する状態で形成されており、ステータコア30の一方の端面と他方の端面には、スロット溝31の断面形状と同形状の開口部が形成されている。
さらに、ステータコア30の内周面から外周側に向けてのスロット溝31の深さは、全てのスロット溝31において略同一深さとされている。
32は、ステータコア30の内周面側に形成された複数のスロット溝31によって、回転軸10方向に向けて突出した状態に形成されたティースである。
該ティース32は、突出方向先端部に他部よりも広幅に形成された広幅部32aを有しており、スロット溝31の延在方向(回転軸10の延在方向)に垂直な平面による断面が略T字状となる形状を有している。
このロータコア20やステータコア30の形成には、特に限定されるものではないが、例えば、電磁鋼板を前記回転軸10の軸方向に積層させた積層体などを用いることができる。
40は、このスロット溝31に収容されてステータコア30とともにステータを構成する巻線コイルに用いられている巻線を表している。
そして、51は、該巻線40とスロット溝31の内壁面との間に介装された状態でステータに配設されており、主として、巻線40がステータコア30に収容される前にスロット溝31に挿入されて配設される絶縁シート(以下「スロットライナ」ともいう)であり、該スロットライナ51は、スロット溝31の延在方向(回転軸10の延在方向)に垂直な平面による断面が、回転軸10方向に向けて開口された略コの字状となる状態で配設されている。
また、スロットライナ51は、スロット溝31の長さよりも僅かに長く形成されており、ステータコア30の一方の端面と他方の端面とに形成されたスロット溝31の開口部のエッジ部分と巻線40とが直接接触して、巻線40の絶縁層が傷ついたりすることを防止し得るように、その両端部を、ステータコア30の端面に形成されたスロット溝31の開口部からそれぞれ突出させて配設されている。
52は、スロットライナ51とともに用いられ、主として、巻線40がコイル状に巻き束ねられてステータコア30に収容された後にスロット溝31に挿入されて配設される絶縁シート(以下「ウェッジ52」ともいう)を表している。
このウェッジ52は、スロットライナ51の回転軸10方向の開口部を覆う状態で配設されており、スロットライナ51のコの字状断面に対向するコの字状断面を有し、スロットライナ51とウェッジ52とは、そのコの字形状の先端部を重畳させてスロット溝31内に配設されている。
そして、スロット溝31内においては、ウェッジ52のコの字状断面形状における先端部は、スロットライナ51のコの字状断面形状における先端部よりも外側に位置させて重畳されている。
すなわち、スロット溝31内においては、ウェッジ52のコの字形状における先端部は、スロットライナ51のコの字形状における先端部とスロット溝31の内壁面との間に挟持された状態とされている。
このウェッジ52もスロット溝31の長さよりも僅かに長く形成されており、巻線40は、スロット溝31内においては、このスロットライナ51とウェッジ52とにより包囲されてステータコア30に配設されている。
該スロットライナ51やウェッジ52は、ポリマーフィルムや、ポリマー繊維によって紙状に形成されてなるシートを用いて形成されたものを採用することができる。
なかでも、適度なコシを有し、すべり性が良好でスロット溝31への挿入作業性のみならず巻線コイルをスロット溝31に収容させる際の作業性をも向上させうる点において少なくとも表面が芳香族ポリアミド繊維によって紙状に形成されてなる絶縁紙が好適である。
図中の、符号61は、巻線コイルの最も外側に位置する巻線の表面と前記スロットライナ51の内側表面との間に充填されている発泡体を示し、符号62は、巻線コイルを形成する各巻線40の間にワニスが含浸されて固化されたワニス固体を示している。
前記発泡体61は、例えば、加熱することで気体が発生される発泡剤とベース樹脂とを混合して、加熱することで発泡が生じる加熱発泡性樹脂組成物を作製し、該加熱発泡性樹脂組成物を加熱発泡させることにより形成させることができ、例えば、予め加熱発泡性樹脂組成物を加熱して発泡させたものを巻線コイルとスロットライナ51との間に圧入したり、未発泡な加熱発泡性樹脂組成物を巻線コイルとスロットライナ51との間に介在させた後に加熱発泡させたりして充填させることができる。
前記加熱発泡性樹脂組成物には、ベースポリマー、発泡剤以外に、例えば、ベースポリマーを架橋させるための架橋剤や触媒などを含有させることができ、有機もしくは無機フィラーなども適宜含有させることができる。
また、前記加熱発泡性樹脂組成物は、固体状態または液体状態で前記発泡体61の形成に用いることができ、液体状態とする場合には、例えば、ベース樹脂や発泡剤などを溶剤に分散させたものを用いて前記発泡剤により発泡させるとともに前記溶剤を揮発させたり、あるいは、常温液体状の熱硬化性樹脂をベース樹脂に用いて発泡と同時にこのベース樹脂を熱硬化させるなどして発泡体を形成させることができる。
前記ベース樹脂としては、特に限定されるものではないが、通常、体積抵抗率の値が1010Ω・cm以上の電気絶縁性を有するものを用いうる。
また、低い比誘電率(例えば、2.5以下)で、しかも、高い発泡倍率で発泡させうるものが好適である。
例えば、予め発泡させた加熱発泡性樹脂組成物を巻線コイルとスロットライナ51との間に圧入するような場合においては、ポリ四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合樹脂、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合樹脂、四フッ化エチレン・エチレン共重合樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂などのフッ素系樹脂や、環状オレフィン樹脂、ポリナフタレン樹脂などの炭化水素系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などのポリマーを例示することができる。
また、巻線コイルとスロットライナ51との間に介在させた後に加熱発泡性樹脂組成物を加熱発泡させる場合には、ある程度の温度で軟化させることができ、且つ、軟化時(あるいは溶融時)において高い張力を示すポリマーが好適である。
このようなベース樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
このベース樹脂と混合される発泡剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素アンモニウム、アジド類などの無機系発泡剤や、トリクロロモノフルオロメタンなどのフッ化アルカン、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系化合物、パラトルエンスルホニルヒドラジドなどのヒドラジン系化合物、p−トルエンスルホニルセミカルバジドなどのセミカルバジド系化合物、5−モルホリル−1,2,3,4−チアトリアゾールなどのトリアゾール系化合物、N,N’−ジニトロソテレフタルアミドなどのN−ニトロソ化合物などの有機系発泡剤などの他に炭化水素系溶剤を樹脂で覆って平均粒径10〜30μm程度となるようにマイクロカプセル化させたマイクロカプセル化発泡剤などが挙げられる。
なかでも、樹脂組成物のベース樹脂の軟化点近傍あるいはそれ以上の温度で気体を発生させるものが好ましい。
また、炭化水素系溶剤をマイクロカプセル化させたマイクロカプセル化発泡剤は、エポキシ樹脂やポリアミド樹脂をはじめとする多くの種類の樹脂に対して与える影響が小さく、例えば、加熱発泡性樹脂組成物を硬化させる際に硬化阻害したり、ベース樹脂の加熱老化特性を低下させたりするような悪影響を与えることを抑制させうる点において好適である。
また、発泡体61を、発泡倍率(発泡時の体積/未発泡時の体積)が1.5〜30倍のいずれかとなる状態で形成させた場合には、適度なクッション性を発揮させ得る。
すなわち、誘導モータを駆動させた際の振動により巻線コイルがスロット溝31内で振動して、その絶縁層が損傷してしまうおそれを低減させうるとともに、騒音の発生を抑制させ得る。
前記ワニス固体62は、一般にモータ用巻線の“固定用ワニス”、“含浸用ワニス”などとして市販のワニス状樹脂組成物(以下「ワニス」ともいう)を巻線40の間に含浸させて熱硬化などによって固化させることで形成させることができる。
このワニスには、アルキッド樹脂などのポリエステル樹脂をベースにした液状の熱硬化性樹脂組成物を挙げることができる。
なお、このように実質上問題となる気泡が巻き込まれていない無発泡な状態でワニス固体62を巻線40の間に充填させることでステータの絶縁信頼性を大きく向上させうる。
(ステータ製造方法1)
本実施形態のステータは、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、ステータコア30の一端面に形成された開口部からスロット溝31の延在方向に沿ってスロット溝31内にスロットライナ51を挿入し、巻線装置にて巻線40をティース32に所定ターン数巻回して巻線コイルを作製しスロット溝31の内部に収容させた後、ウェッジを挿入する。
その後、予め所定の発泡倍率で発泡させた加熱発泡性樹脂組成物を巻線コイルとスロットライナ51との間に圧入して巻線コイルとスロットライナ51との間に形成された空間に発泡体61を充填する。
その後、ステータコア30の隣接するティース32の広幅部32aの間に形成されている直線状の開口部31aに対してワニスを滴下し、該滴下をワニスがコイルエンド部から滲出するまで継続した後に全体を加熱してワニスの熱硬化を実施し、無発泡な状態、すなわち、実用上問題となる気泡が混入されていない状態のワニス固体62を形成させる。
このとき従来であれば、スロットライナとステータコアとの間にまでワニスが浸透して、空気層がワニスで充満されてしまうおそれを有していた。
そのため、このような方法により巻線コイルにワニスを含浸させる場合には慎重な作業を要し多大な手間がかかっていた。
特に、スロットライナに紙状の素材のものを用いている場合には、ワニスを含浸させた後にスロット溝の壁面と巻線コイルとの間に空気を残存させることは実質不可能であった。
一方で、本発明によれば、発泡体に形成されている気泡部分にはワニスが含浸されず、しかも、この発泡体がバリアとなって、スロットライナにワニスが含浸されることを抑制することから、スロット溝の壁面と巻線コイルとの間に多くの空気を存在させることができる。
また、仮に、巻線コイルがスロット溝に収容されたステータコア全体をワニスを収容した槽に浸漬させるようなワニス含浸方法が実施されたとしても、スロット溝の壁面と巻線コイルとの間に発泡体の気泡を存在させうる。
したがって、ステータコアがアースされた状態で誘導モータが駆動された場合においても、スロット溝の壁面と巻線コイルとの間にワニスが含浸されて空気が実質存在しなくなっているような場合に比べて、巻線コイルとステータコアとの間の誘電率を低減させることができ、ステータコアと巻線コイルとの間の静電容量を低減させ得る。
このようにステータコアと巻線コイルとの間の静電容量を低減させ得ることから、漏れ電流を低減することができるとともに、サージ発生時における分担電圧も低減することができ部分放電の発生を抑制させ得る。
しかも、スロット溝の壁面と巻線コイルとの間に空気を存在させつつも巻線の間にワニスを十分含浸させる得ることから、ワニス固体中への空気の混入を防止することができ巻線の絶縁信頼性をより向上させうる。
すなわち、この“ステータ製造方法1”として例示したステータ製造方法によれば、簡便なる方法で信頼性の向上された回転電機用ステータを得ることができる。
(ステータ製造方法2)
上記のステータ製造方法1に代えて以下のような製造方法によりステータを作製することも可能である。
まず、液体状の加熱発泡性樹脂組成物、あるいは、シート状の加熱発泡性樹脂組成物を作製し、スロットライナ51の一面、または両面に液体状の加熱発泡性樹脂組成物を塗工、乾燥させるか、あるいは、シート状の加熱発泡性樹脂組成物を貼り合わせ、この加熱発泡性樹脂組成物が備えられた面が内側(巻線に接する側)となるようにしてステータコア30の一端面に形成された開口部からスロット溝31内にスロットライナ51を挿入し、巻線装置にて巻線コイルを作製しスロット溝31の内部に収容させる。
その後、巻線コイルがスロット溝に収容されたステータコア全体を、発泡剤から気体が放出される温度(以下「発泡温度」ともいう)まで加熱して加熱発泡性樹脂組成物を発泡させ、該発泡により巻線コイルとスロットライナ51との間の空間に加熱発泡性樹脂組成物が発泡されてなる発泡体を充填させる。
その後、ワニスを巻線間に含浸させてワニス固体を形成させる点についてはステータ製造方法1と同様である。
また、簡便なる方法で信頼性の向上された回転電機用ステータを得ることができるという効果についてもステータ製造方法1と同様である。
このステータ製造方法2による製造方法によれば、軟化された加熱発泡性樹脂組成物を発泡の勢いによって巻線コイルの表面に密着させ得ることから、巻線コイルの表面に形成されている凹凸形状に追従させて発泡体を形成させうる。
したがって、予め発泡された発泡体を巻線コイルとスロットライナ51との間に圧入させる場合に比べてより多くの空気をスロット溝31の内壁面と巻線コイルとの間に形成させやすいこととなる。
また、スロットライナ51に芳香族ポリアミド繊維が用いられてなる絶縁紙など紙状のものを用いた場合においては、その繊維間に加熱発泡性樹脂組成物を侵入させることもでき、絶縁紙に対するワニスの侵入をよりいっそう抑制させ得る。
また、この加熱発泡性樹脂組成物を発泡させるべく巻線コイルがスロット溝に収容されたステータコア全体を加熱することにより、巻線間におけるワニスの流動性が向上され、巻線間に気泡などが残存するおそれをよりいっそう抑制させ得る。
すなわち、絶縁信頼性の向上がより強く要望されているような場合においては、ステータ製造方法1の方法よりもステータ製造方法2の方法を採用して回転電機用ステータを作製する方が好適であるといえる。
なお、本実施形態においては、スロットライナやウェッジを巻線コイルとともにスロット溝に収容させた場合を例示して誘導モータ用ステータとその製造方法を説明しているが、スロットライナやウェッジを備えていない場合も本発明の意図する範囲である。

また、本実施形態においては、誘導モータを例示して回転電機用ステータと回転電機用ステータ製造方法を説明しているが、本発明においては、回転電機を誘導モータに限定するものではない。
誘導モータの断面を示した概略図。 図1の記号「A」で示されている領域を拡大した拡大図。
符号の説明
10:回転軸、20:ロータコア、30:ステータコア、31:スロット溝、32:ティース、32a:広幅部、40:巻線、51:スロットライナ、52:ウェッジ、61:発泡体、62:ワニス固体

Claims (1)

  1. 回転電機に用いられ、アースされた状態で用いられるステータコアを有し、該ステータコアに形成されているスロット溝に、巻線が巻き束ねられてなる巻線コイルが収容されており、前記ステータコアと前記巻線コイルとの間の静電容量を低減しうるように前記スロット溝の壁面と前記巻線コイルとの間に空隙を設けて前記巻線コイルが前記スロット溝に収容されている回転電機用ステータであって、
    前記スロット溝の壁面と前記巻線コイルとの間に絶縁シートが介装されており、樹脂組成物で形成された内部に複数の気泡を含有する発泡体が前記絶縁シートと前記巻線コイルとの間充填されて前記空隙が設けられており、前記樹脂組成物と同じかまたは異なる樹脂組成物が前記巻線コイルの巻線間に無発泡な状態で充填され、且つスロット溝の壁面と巻線コイルとの間に充填されている前記発泡体が、1.5〜30の発泡倍率で発泡されていることを特徴とする回転電機用ステータ。
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