JP5543176B2 - 再剥離性を有する多層両面粘着シート - Google Patents
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Description
しかし、このような粘着材は、再剥離可能とするために被着体との粘着面の剥離力を低下させる必要があるため、剥がれや発泡等を発生する可能性が高くなるという問題を抱えていた。すなわち、再剥離性と、剥離や発泡の発生などに関する信頼性はトレードオフの関係にあり、両者を両立させることは極めて難しいことであった。
本粘着シートは、表面側粘着剤層及び裏面側粘着剤層と中間層との間に他の層が介在してもよい。
(1)少なくとも一方向に物理的に引き裂いて分断可能な層として形成することができる(第1の実施形態)。
(2)ゴム弾性を備え、変形剥離層の面積方向の何れかの方向に物理的に伸縮可能である層として形成することができる(第2の実施形態)。
(3)熱によって変形剥離層の面積方向の何れかの方向に化学的に伸縮可能である層として形成することができる(第3の実施形態)。
(4)変形剥離層のみが、溶剤(水を含む)により溶解して化学的に変形させることができる性質を備えた層として形成することができる(第4の実施形態)。
以下、それぞれの実施形態について詳細に説明する。
第1の実施形態に係る本粘着シート1は、表面側粘着剤層1A及び裏面側粘着剤層1Bのほかに、少なくとも1層の変形剥離層1Cを有する多層両面粘着シートであって、図1に示すように、該変形剥離層1Cは、その面積方向における一方向、例えばその長さ方向又は幅方向に、物理的に引き裂いて分断可能な層であることを特徴とするものである。
また、表面側粘着剤層1Aの表側面及び裏面側粘着剤層1Bの裏側面にはそれぞれ剥離シート1D、1Eを積層するのが好ましい。
さらにまた、上記以外の層を介在させることは適宜可能である。
変形剥離層1Cは、例えばセロハンや、ポリエステルやポリスチレン系ブロック共重合体、ナイロン、ポリオレフィン等の樹脂を少なくとも1つの方向に配向、すなわち延伸させたシートを用いて形成することにより、少なくとも一方向に物理的に引き裂き可能に形成することができる。
また、ポリエステルやポリスチレン系ブロック共重合体、ナイロン、ポリオレフィン等の任意の樹脂から形成されたフィルムに、エンボス加工、シボ加工、罫線加工などによって凹凸を賦形することにより、一方向に引き裂き可能に形成することができる。
なお、ここでいう引裂強度は、JISK6772に準じて測定した値、すなわち幅4
0mm×長150mmの試験片を準備し、短片の中央から長さ方向に75mmの切り込みを入れ、試験片の切り込みを入れた両側が裏表となるよう引張試験機にとりつけ、引張速度200mm/分にて引裂いた時の加重を意図するものである。
表面側粘着剤層1A及び裏面側粘着剤層1Bはいずれも、現在公知の粘着剤と同様に形成することができる。
これらのモノマーを用いた重合処理としては、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合などの公知の重合方法が採用可能であり、その際に重合方法に応じて熱重合開始剤や光重合開始剤などの重合開始剤を用いることによりアクリル酸エステル共重合体を得ることができる。
また、アクリル酸エステル共重合体のガラス転移温度(理論Tg)は−70℃〜0℃、より好ましくは−55℃〜0℃の範囲にあることが好ましい。理論Tgが低すぎる材料はポリマー中の高凝集成分や高極性成分の含有量が少なく、結果被着体への保持力や接着力に劣る傾向にある。他方、理論Tgが高すぎると粘着力に劣り、常温における感圧接着性が損なわれるため好ましくない。
剥離シート1D及び1Eには、支持シートの一面を剥離処理してなるシートを適宜用いることができる。
透明なポリマーシートとしては、例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系の他、アクリル系、塩化ビニル系、ポリカーボネート系、ポリスチレン系、ポリウレタン系、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの各種ポリオレフィン系材料の他、TACフィルム等を主成分とするものを例示することができる。
剥離シート1Dの剥離処理面に、粘着剤組成物を塗布して乾燥し表面側粘着剤層1Aを形成し、これに別の剥離シート1Dの剥離処理面重ねて積層し、その後、必要に応じて表面側粘着剤層1Aを硬化させればよい。
他方、剥離シート1Eの剥離処理面に、粘着剤組成物を塗布して乾燥し表面側粘着剤層1Bを形成し、これに別の剥離シート1Eの剥離処理面重ねて積層し、その後、必要に応じて表面側粘着剤層1Bを硬化させればよい。
次に、一方の剥離シート1Dを剥がした表面側粘着剤層1Aの粘着面と、一方の剥離シート1Eを剥がした裏面側粘着剤層1Bの粘着面とで挟むようにして、変形剥離層1Cを構成するシートを貼り合わせることにより、図2に示すように、1D/1A/1C/1B/1Eからなる本粘着シート1を形成することができる。
第2の実施形態に係る本粘着シート2は、表面側粘着剤層2A及び裏面側粘着剤層2Bのほかに、少なくとも1層の変形剥離層2Cを有する多層両面粘着シートであって、該変形剥離層2Cは、ゴム弾性を備え、変形剥離層2Cの面積方向の何れかの方向に物理的に伸縮可能である層であることを特徴とするものである。
また、表面側粘着剤層2Aの表側面及び裏面側粘着剤層2Bの裏側面にはそれぞれ剥離シート2D、2Eを積層するのが好ましい。
さらにまた、上記以外の層を介在させることは適宜可能である。
このように、変形剥離層2Cを物理的に伸縮させるという物理的変形を与えることによって、表面側粘着剤層2A側と裏面側粘着剤層2B側とを分断することができる。
変形剥離層2Cは、例えばシリコーンエラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーなどのゴム弾性を発揮し得る樹脂を用いて形成することで当初のサイズを超えて伸びるゴム弾性を備えるものとすることができる。
表面側粘着剤層2A及び裏面側粘着剤層2Bはいずれも、上記表面側粘着剤層1A及び裏面側粘着剤層1Bと同様に形成すればよい。
剥離シート2D及び2Eはいずれも、上記剥離シート1D及び1Eと同様に形成すればよい。
本粘着シート2は、本粘着シート1と同様に各層を積層して製造することができる。
第3の実施形態に係る本粘着シート3は、表面側粘着剤層3A及び裏面側粘着剤層3Bのほかに、少なくとも1層の変形剥離層3Cを有する多層両面粘着シートであって、該変形剥離層3Cは、熱によって変形剥離層3Cの面積方向の何れかの方向に化学的に伸縮可能である層であることを特徴とするものである。
また、表面側粘着剤層3Aの表側面及び裏面側粘着剤層3Bの裏側面にはそれぞれ剥離シート3D、3Eを積層するのが好ましい。
さらにまた、上記以外の層を介在させることは適宜可能である。
このように、熱によって変形剥離層3Cを化学的に伸縮させるという化学的変形を与えることによって、表面側粘着剤層3A側と裏面側粘着剤層3B側とを分断することができる。
変形剥離層3Cは、現在公知の熱収縮フィルムを使用することができる。例えば、ポリスチレン系、ポリ塩化ビニル系、ポリエステル系樹脂からなる熱収縮性フィルムなどを用いて形成することができる。
より具体的には、ポリスチレン系ブロック共重合体(例えば スチレン55重量%、メチルメタクリレート35重量%、ブチルアクリレート10重量%からなるポリスチレン系ブロック共重合体)を110℃にてTD方向に4.0倍延伸して得られた熱収縮性ポリスチレンフィルムを用いることができる。
なお、熱収縮フィルムの詳細については、例えば特開2005−171182号公報の段落[0009]−[0029]等参照のこと。
表面側粘着剤層3A及び裏面側粘着剤層3Bはいずれも、上記表面側粘着剤層1A及び裏面側粘着剤層1Bと同様に形成すればよい。
剥離シート3D及び3Eはいずれも、上記剥離シート1D及び1Eと同様に形成すればよい。
本粘着シート3は、本粘着シート1と同様に各層を積層して製造することができる。
第4の実施形態に係る本粘着シート4は、表面側粘着剤層4A及び裏面側粘着剤層4Bのほかに、少なくとも1層の変形剥離層4Cを有する多層両面粘着シートであって、該変形剥離層4Cは、溶剤(水を含む)により溶解して化学的に変形させることができる性質を備えた層であることを特徴とするものである。
また、表面側粘着剤層4Aの表側面及び裏面側粘着剤層4Bの裏側面にはそれぞれ剥離シート4D、4Eを積層するのが好ましい。
さらにまた、上記以外の層を介在させることは適宜可能である。
このように、溶剤(水を含む)による化学反応という化学的変形によって表面側粘着剤層4A側と裏面側粘着剤層4B側とを分断することができる。
変形剥離層4Cを水溶解性とするには、各種親水性化合物、例えばヒドロキシエチルセルロース、デンプン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸・ヒアルロン酸・ポリグルタミン酸等の塩、キトサン、ポリリジン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリジオキソラン、ポリエチレンイミン等やポリアルキレンオキシドの変性体などを配合した樹脂組成物をベースとして水溶解性のシートを形成し、このシートを用いて形成すればよい。
より具体的には、ウレタンアクリレート、ポリオキシエチレン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、光開始剤を混合して得られる紫外線硬化樹脂組成物を、アプリケータにて硬化後の厚みが50μmとなるよう塗工してUV照射すれば、水溶解性のシートを作製することができる。
表面側粘着剤層4A及び裏面側粘着剤層4Bはいずれも、上記表面側粘着剤層1A及び裏面側粘着剤層1Bと同様に形成すればよい。
剥離シート4D及び4Eはいずれも、上記剥離シート1D及び1Eと同様に形成すればよい。
本粘着シート4は、本粘着シート1と同様に各層を積層して製造することができる。
本粘着シート1〜4の何れかを用いて2つの部材間を接着することにより、当該2つの部材と本粘着シート1〜4の何れかとからなる積層体を形成することができる。
そしていずれの場合にも、接着後に剥離したい場合には、変形剥離層1C〜4Cのいずれかを変形させることにより剥離させることができる。
また、本粘着シート1〜4の何れかを用いて、画像表示装置を構成する2つの部材間を接着することにより、画像表示装置を構成することができる。
例えば、透明カバー材、タッチパネル材、画像表示装置のいずれか2つの光学部材間を、本粘着シート1〜4の何れかを用いて接着し、これらを密着一体化することにより画像表示装置を構成することができる。
このように構成した画像表示装置は、変形剥離層1C〜4Cのいずれかを変形させることにより剥離させることができるため、光学部材と粘着材との界面ではなく、両面粘着シート内部から剥離することができるから、透明カバー材、タッチパネル材、画像表示装置のそれぞれが再利用可能となる。
また、たとえ透明カバー材や画像表示装置を貼り合せた後に、貼着ミスや長期の使用による修理・交換などをすることができる。
1A、2A、3A、4A 表面側粘着剤層
1B、2B、3B、4B 裏面側粘着剤層
1C、2C、3C、4C 変形剥離層
1D、2D、3D、4D 剥離シート
1E、2E、3E、4E 剥離シート
X,Y 被着体
Claims (4)
- 表面側粘着剤層及び裏面側粘着剤層のほかに少なくとも1層の中間層を有する多層両面粘着シートであって、少なくとも1層の中間層は、少なくとも一方向に物理的に引き裂いて分断可能であって、該分断によって該中間層と他の層とが剥離可能となる変形剥離層である構成を備えた多層両面粘着シート。
- 前記変形剥離層は、他の層の周縁部から外側にはみ出した部分を備えていることを特徴とする請求項1記載の多層両面粘着シート。
- 請求項1又は2に記載の多層両面粘着シートを、2つの部材間の貼着に用いてなる積層体。
- 請求項1〜3の何れかに記載の多層両面粘着シートを、画像表示装置における部材間の貼着に用いてなる画像表示装置。
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