JP5543040B1 - クロスヘッドを有する大型低速2ストローク内燃機関用排気弁装置 - Google Patents

クロスヘッドを有する大型低速2ストローク内燃機関用排気弁装置 Download PDF

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Abstract

【課題】大型低速2ストロークユニフローディーゼル機関用排気弁装置の閉弁時の制動精度の向上。
【解決手段】排気弁1と、油圧アクチュエータと、プランジャ10'を備え、前記ボアと前記プランジャ10'との間に作動室60を画定し、加圧されるときに前記開放行程を行い、タンクに接続されるときに戻り行程を行わせる油圧アクチュエータと、油圧制御弁117とを有し、作動室60は油圧制御弁117を介して高圧油圧流体の前記供給源または前記タンクに選択的に接続可能であり、さらに、前記作動室60を油圧制御弁117に接続する油圧通路80、85を有し、前記排気弁1の開放行程の最終部分および戻り行程の最初部分の間に動作する流れ制限を備え、少なくとも前記戻り行程の最初部分の間に前記油圧通路80、85内の前記流れ制限を迂回させるバイパス装置117、195、197を有する。
【選択図】図3

Description

本出願は、クロスヘッドを有する大型の低速(slow−running)2ストローク内燃機関用排気弁装置に関する。より特定的には、本発明は、電子的に制御される油圧弁を介して油圧排気弁アクチュエータに接続された高圧油圧流体の供給源を備える排気弁装置に関する。この油圧アクチュエータは、ボアの端部と、排気弁に接続された往復動プランジャまたはピストンとの間に画定される作動室を備える。
たとえば船舶の原動機など、クロスヘッド型の大型低速2ストロークユニフローディーゼル機関は次第に大きくなってきている。それに伴い、こうした機関に対する排気弁も大きくなっている。これらの機関のより大型のものに対する排気弁は、高さ1メートルから2メートルになることがある。こうした排気弁の弁スピンドルは数百キロの重量になることがある。各機関サイクルに対して、機関シリンダの燃焼室を排気するために排気弁が開閉する必要がある。クロスヘッド型の大型2ストロークディーゼル機関については、通常動作における開閉は1分間当り60から200回になり得る。重量のある弁スピンドルが何らかの停止具または端面に当接することによる損傷を防ぐために、弁スピンドルの開放移動は制動されて、あらゆるこうした停止面に接触する前に停止される必要がある。したがって、通常こうした排気弁には開放行程制動装置の端部が設けられている。こうした開放行程制動装置の端部は、弁スピンドルの一部の上に形成された円錐面の形を取ってもよく、この円錐面はスピンドルボアの部分の側壁と協働して作動室への油圧流体供給を閉じる。こうした機構の例が特開2004−084670号に示されている。こうした円錐形の面は、適切に働くために弁スピンドルの長手方向にかなりの伸長を有する必要があり、もし弁スピンドルの温度が変われば弁スピンドルの長さの実質的な変化がもたらされることがあり、制動精度が失われる。機関および排気弁部分の温度は、たとえば機関荷重条件の違いなどによって変わり、特に機関が低温状態から徐々に動作温度になる始動時に変化する。機関のこうした温度の違いのために、排気弁スピンドルは膨張および収縮し、かつ中にスピンドルが装着されているハウジングとは異なる比率で膨張および収縮する。機関が大きくなるほど排気弁も大きくなり、弁スピンドルも大きくなる。したがって弁スピンドルの膨張および収縮も大きく、上に説明したとおりに排気弁の動作条件に影響することがある。したがって円錐形の表面が長いほど、開放相における最後の弁スピンドルの制動精度に影響を与える危険性が高まる。さらに、開放行程制動装置の端部は、排気弁の戻り行程の最初の部分においても動作しており、これは排気弁の閉鎖運動精度および再現性に悪影響をもたらす。
国際公開第2006/108438号は、請求項1のプリアンサンブルによる大型低速ディーゼル機関を開示している。
特開2004−084670号 国際公開第2006/108438号
この背景に基づき、本発明の目的は、先行技術に関連する問題を解決するか、または少なくとも低減させる、弁開放行程の最後に排気弁を減速および停止させる制動装置を有する排気弁装置を提供することである。
この目的は、クロスヘッドおよび複数のシリンダを有する大型低速2ストロークユニフローディーゼル機関用排気弁(1)装置を提供することによって達成され、この排気弁装置は、排気弁であって、排気弁のディスクが機関のシリンダのシリンダカバー内の弁座上にある閉鎖位置と、シリンダ内の燃焼室の掃気のために排気弁のディスクが弁座上にない開放位置との間で開放可能であることによって排気弁は開放行程と戻り行程とにおいて移動する、排気弁と、排気弁に作動的に接続されたガスバネであって、このガスバネによって排気弁は閉鎖位置に向けて弾力的に付勢される、ガスバネと、排気弁のスピンドルに作動的に接続された油圧アクチュエータであって、この油圧アクチュエータはボア内に受け入れられたプランジャを備え、かつこのボアとプランジャとの間に作動室を画定し、この作動室は、作動室が加圧されるときに開放行程を行い、かつ作動室がタンクに接続されるときに排気弁に戻り行程を行わせるためのものである、油圧アクチュエータと、高圧油圧流体の供給源と、油圧流体を戻すタンクと、電子制御ユニットに作動的に接続された電子制御された油圧弁と、を備え、作動室は電子制御された油圧弁を介して高圧油圧流体の供給源またはタンクに選択的に接続可能であり、この排気弁装置はさらに、作動室を電子制御された油圧弁に接続する油圧通路を備え、この油圧通路は排気弁の開放行程の最終部分および戻り行程の最初部分の間に動作する流れ制限を備え、この排気弁装置はさらに、少なくとも戻り行程の最初部分の間に油圧通路の可変の流れ制限を選択的に迂回させるバイパス装置を備える。
排気弁の戻り行程の最初部分の間に油圧通路の制限を迂回させる装置を提供することによって、動きのばらつきをもたらして精度を損なう戻り行程の低速かつ遅延部分を回避でき、それによって排気弁の閉鎖時期がより精密に制御可能となる。排気弁の閉鎖時期は、次のサイクルに対する圧縮圧力を定めるために決定的なものであるため、閉鎖時期が正確かつ再現可能であることは非常に重要である。
ある実施形態において、バイパス装置は電子制御された弁を備えるバイパス通路を備える。
別の実施形態において、バイパス装置は逆止弁を備えるバイパス通路を備える。
ある実施形態において、可変の制限は、ボア内に設けられた制御端縁と協働する、プランジャ内の軸方向に向けられたスリット(19)を一つ以上備える。
ある実施形態において、油圧通路は、作動室の頂部または端部におけるポートを介して作動室に接続するか、またはボアの側壁内のポートに接続する。
ある実施形態において、排気弁装置はさらに、油圧制御された弁および油圧制御されたバイパス弁に接続された電子制御ユニットを備え、制御装置は、可変の制限が動作する戻り行程の部分の間に油圧制御されたバイパス弁を開くために構成される。
ある実施形態において、電子制御されたバイパス弁は電子制御された油圧弁の一体化した部分である。
ある実施形態において、電子制御された弁は、電子制御されたバイパス弁の機能に割り当てられた一つのポートおよび一つの制御端縁を有する比例型スプール弁である。
ある実施形態において、制限はプランジャ内の狭いボアによって形成される。
本発明による排気弁のさらなる目的、特徴、利点および特性は、詳細な説明から明らかになるであろう。
本記載の以下の詳細部分においては、図面に示される例示的実施形態を参照しながら本発明をより詳細に説明する。
クロスヘッド型の大型2ストロークユニフローディーゼル機関の上側部分を示す断面図である。 例示的実施形態による排気弁を示す断面図である。 図2の排気弁の上側部分の詳細を示す断面図である。 図2および図3の排気弁の上側部分に形成される、例示的実施形態の発明による排気弁のスピンドルのスピンドルエクステンダを示す断面図である。 例示的実施形態によるスピンドルの上側部分を示す斜視図である。 排気弁の開閉サイクルの間のスピンドルの移動の異なる相における、排気弁のアクチュエータ部分における油圧流体の流れを示す断面図である。弁が閉じていて開放できる状態であるときの頂部位置にあるスピンドルを示す図である。 排気弁の開閉サイクルの間のスピンドルの移動の異なる相における、排気弁のアクチュエータ部分における油圧流体の流れを示す断面図である。下向きの運動中の位置にあるスピンドルを示す図である。 排気弁の開閉サイクルの間のスピンドルの移動の異なる相における、排気弁のアクチュエータ部分における油圧流体の流れを示す断面図である。スピンドルが下向きの運動の制動相に入るときの位置にあるスピンドルを示す図である。 排気弁の開閉サイクルの間のスピンドルの移動の異なる相における、排気弁のアクチュエータ部分における油圧流体の流れを示す断面図である。最も伸長した位置にあるスピンドル、すなわち排気弁が完全に開いているときのスピンドルを示す図である。 排気弁の開閉サイクルの間のスピンドルの移動の異なる相における、排気弁のアクチュエータ部分における油圧流体の流れを示す断面図である。排気弁の閉鎖開始時の油圧流体の流れを示す図である。 排気弁の開閉サイクルの間のスピンドルの移動の異なる相における、排気弁のアクチュエータ部分における油圧流体の流れを示す断面図である。制動室の流出が始まるときの位置にあるスピンドルを示す図である。 排気弁の開閉サイクルの間のスピンドルの移動の異なる相における、排気弁のアクチュエータ部分における油圧流体の流れを示す断面図である。 本発明による装置を有する排気弁と有さない排気弁との動きを示すグラフである。
好ましい実施形態の詳細な説明
以下においては、クロスヘッドが設けられた大型低速2ストロークユニフロー燃焼機関に関して、本発明による排気弁装置を説明する。本発明による排気弁装置は、好ましい実施形態によって説明される。
図1は、クロスヘッドを有する大型低速2ストロークユニフローディーゼル機関に用いられるユニフロー型のシリンダ100を示す。クロスヘッドを有する大型低速2ストロークユニフローディーゼル機関は通常、線状に配置された3個から16個のシリンダを有する。各シリンダ100は、空気ボックス103内に置かれた掃気ポート102を有し、ここには掃気レシーバ(図示せず)から、たとえばターボチャージャ(図示せず)などによって加圧された掃気が供給される。この内燃機関は船の推進機関であってもよいし、発電所の固定原動機であってもよい。
排気弁1は、シリンダカバー124内で各シリンダ100の頂部の中央に設置される。機関の膨張行程の最後に、該当するシリンダ内に受け取られた機関ピストン105が下に行って掃気ポート102を通過する前に排気弁1が開くことによって、ピストン105の上の燃焼室106内の燃焼ガスが、排気ガスレシーバ108内に向けて開いている排気通路107を通って流出し、新鮮な掃気またはガスがシリンダ100の内側の燃焼室に入る。排気弁1は、たとえばその後の燃焼に対する所望の有効圧縮比/圧縮圧力などに依存し得る調整可能な時期におけるピストン105の上向きの移動の際に再び閉じる。閉鎖運動の間、排気弁1は空気バネ123によってシリンダカバー内の自身の弁座に向けて駆動される。つまり、排気弁1は空気バネ123によって自身の弁座に向けて弾力的に付勢される。
排気弁1は、油圧で駆動されるアクチュエータ109によって開かれる。加圧された油圧流体、たとえば油圧油などは、アクチュエータ109上のポート80と、コンソール113によって支持されるディストリビュータブロック112の頂面上の制御ポートとを接続する圧力導管110を通って高圧にて供給される。コンソール113は、たとえば200バールから500バールの範囲、たとえば300バールなどであってもよい圧力にて共通レール(図示せず)から供給される油圧流体のための高圧導管114に接続される。共通レールは、燃料噴射システムのための高圧流体の供給源の役割をしてもよい。
共通レール内の油圧流体は、弁アクチュエータ109を直接駆動するために用いられてもよいし、たとえば燃料油などであってもよい共通レール内の油圧流体と弁アクチュエータ109用の油圧流体とを分離する圧力増幅器/分離器を介して間接的に駆動するために用いられてもよい。共通レール燃料システムの圧力は、たとえば運転速度および荷重条件など、機関の動作状態に依存して変動する。典型的に、大型2ストロークディーゼル機関に対する共通レール燃料システムの圧力は、800バールから2000バールの間で変動する。
弁アクチュエータ109に対する専用の共通レールが用いられるとき、油圧流体は貯蔵タンク(図示せず)からポンプ場(図示せず)を通って供給されてもよく、油圧流体はたとえば標準的な油圧油などであってもよいが、好ましくは機関の潤滑油が油圧流体として用いられ、システムは機関の油溜めから給油を受ける。
機関の各シリンダ100は電子制御ユニット115に関連付けられてもよく、電子制御ユニット115はワイヤ116を通じて一般的な同期および制御信号を受け取り、電子制御信号を、たとえばワイヤ118を通じて制御弁117などに送信し、たとえばワイヤ173を通じて空気バネ123に送信する。シリンダごとに一つの制御ユニット115があってもよいし、いくつかのシリンダが同じ電子制御ユニット115に関連付けられてもよい。加えて、電子制御ユニット115はすべてのシリンダに共通の全体制御ユニット(図示せず)からの信号を受け取ってもよい。
代替的には(図示せず)、空気バネ123および/または油圧制御弁117がカム、すなわち機械的油圧制御によって制御されてもよい。
油圧制御弁117はあらゆる通常のタイプのものであってもよく、好ましくはスプール弁などの比例弁である。図3に示されるとおり、電子制御された比例6/3ウェイスプール弁は、本発明とともに用いるために好適であろう。本例示的実施形態において、制御弁117は、電子制御されたソレノイド動作比例弁117の形のいわゆるFIVA(Fuel Injection & Valve Activation)弁である。本実施形態における制御弁117は、3つのランドと、タンクに接続された2つのポートと、供給および戻り導管を介してポート80に接続されたポート191と、戻り導管195、ならびにチャネル85および導管195の間の流体接続を確立するポート197を介してチャネル85に接続されたポート193とを有する6/3ウェイスプール弁である。この制御弁は、中に主スプール62が配されたハウジングと、電気的に駆動されるパイロット弁(図示せず)と、電子レギュレータ(図示せず)と、線形位置送信機(図示せず)とを備える。レギュレータは、電子制御ユニット115からのコマンド信号と、線形位置送信機からのフィードバックスプール位置信号とを受信する。レギュレータは、周知の閉ループの態様でスプールの位置を制御する。
排気弁1の開放が望ましいときは、制御ユニット115からの制御信号が制御弁117を作動させることによって、高圧の油圧流体が圧力導管110および油圧流体供給ポート80に自由に近付けるようにする。排気弁1が閉鎖されるときは、制御弁117が再作動されて、戻りライン122への接続によって導管110内の高圧が失われるようにする。油圧アクチュエータが減圧されることによって、空気バネ123が排気弁1をその閉鎖位置に向けさせる。
図2は、シリンダ100の上側部分および排気弁1の断面をより詳細に示す。排気弁1は、たとえば図1と同様にクロスヘッド型の大型2ストロークユニフローディーゼル機関に対して用いられる種類のものである。
排気弁1は弁ディスク3から垂直に突出するスピンドル(またはステム)10を有し、スピンドル10は底部または下端部12と、上端部11と、中央部分13とを有する。スピンドル10は伸長した形であり、長手軸Aを有する。
図2において、排気弁の開放位置は、シリンダカバー124と一体化した弁座4に接触している閉鎖位置の弁ディスク3の位置から距離Dだけ下にある、点線で示された弁ディスク3'によって示される。スピンドル10の中央部分13は、空気シリンダ126内で圧力封止し、かつ長手方向に移動可能であるようにスピンドル上に固定して装着されたバネピストン125を支持する。バネピストン125の下には、好適な弁156を介して加圧空気供給部(図示せず)に接続されたバネ室127があり、それによって、たとえば4.5バールの超過圧力など、予め定められた最小圧力の加圧空気がバネ室に満たされ続ける。これによって空気バネ123が提供され、空気バネ123はスピンドル10に上向きの付勢を与えて弁ディスク3を弁座4に向けて動かす。たとえば3バールから10バールなど、他の空気圧も用いられ得る。最小圧力は、空気バネ123の所望のバネ特性に従って選択される。いくつかの異なるシリンダのバネ室127を相互接続することも可能だが、好ましくは各バネ室127が加圧空気供給部における逆止弁によって個々に分断される。バネ室127内の加圧空気は、バネピストン125および結果としてスピンドル10に対する持続性の上向きの力を生成する。よって弁ディスク3は弁座4に向けて、すなわち上方向に永続的に駆動される。バネピストン125が油圧弁アクチュエータ109(下記を参照)によって下向きに移動されて、逆止弁156によって流出を防止されたバネ室127内の空気を圧縮するとき、上向きの力は増加する。
ハウジング128は、空気バネ123の周囲および上に空洞129を画定する。この空洞は排出管ドレイン(図示せず)に接続されているため、空洞は大気圧を有する。
油圧弁アクチュエータ109は、アクチュエータシリンダ131と、スピンドル10のアクチュエータ部分10'とから構築される。アクチュエータシリンダ131はハウジング128の頂部によって支持されてもよいし、図示されるとおり、アクチュエータシリンダ131およびハウジング128が一体片に形成されてもよい。
ここで図3を参照すると、スピンドル10のアクチュエータ部分10'はアクチュエータシリンダ131内の中央ボア6に受け入れられ、このアクチュエータシリンダは弁アクチュエータ109のための静止ハウジングを形成し、中央ボア6はスピンドルボア5の上側部分を形成する。中央ボア6は頂部クロージャ132によってアクチュエータシリンダ131の頂部で閉鎖されており、かつアクチュエータシリンダ131の底部に対して開いていることによって、中央ボア6はスピンドルボア5の残りの部分と連絡する。中央ボア6は、ハウジング128およびさらに排気弁1の下側部分の中にスピンドルボア5と同軸に配置される。スピンドルのアクチュエータ部分10'は、中央ボア6においてプランジャを形成する。
ここで、排気弁1の弁アクチュエータ109の頂部の拡大図を示す図4を参照すると、アクチュエータシリンダ131の中央ボア6は、異なる直径(または断面積)を有する同軸部分に分割されている。すなわち、最上部分6'は最大直径を有し、中間部分6''は中間の直径を有し、最下部分6'''は最も狭い直径を有する。最上部分6'と中間部分6''との間に第1の上向きのレッジ7が形成されている。中間部分6''と最下部分6'''との間に第2の上向きのレッジ8が形成されている。たとえば図3および図6Aに示されるとおり、中央ボア6の最下部分6'''は弁アクチュエータ109の底端部に延在しており、そこで弁アクチュエータ109は空気バネ123に接続される。中央ボア6の最下部分6'''は底部クロージャ133(図3を参照)によって閉じられる。底部クロージャ133は、スピンドル10のアクチュエータ部分10'の下側部分の第2の直径低減部分16''を受け取る開口を有する。図3を参照すると、中央ボア6の最下部分6'''には2つの室が形成される。それらの室は、中央ボア6の最下部分6'''の第1の広がった部分65'と、中央ボア6の最下部分6'''の第2の広がった部分65''との形である。第1の広がった部分65'は第2の広がった部分65''の上に形成される。第1の広がった部分65'はポート83を通じてチャネル85と連絡し、チャネル85はアクチュエータシリンダ131内に形成されている。第2の広がった部分65''はポート80を通じて圧力導管110と連絡する。第1の広がった部分65'および第2の広がった部分65''の間には中間部分66が形成され、中間部分66は中央ボア6の最下部分6'''の一部であって、同じ直径または断面積を有する。中間部分66は、上側端縁66'(図6Aを参照)と、中央ボア6の最下部分6'''の表面に平行な表面を有する壁66''と、下側端縁66'''とを有する。
図5から認識され得るとおり、スピンドル10のアクチュエータ部分10'は上側部分14を有する。上側部分14は直径d1を有する。この直径d1は、中央ボア6の最下部分6'''内で摺動するように適合される。アクチュエータ部分10'は3つの部分に分割された下側部分をさらに有し、その3つの部分とは第1の直径低減部分16'と、上側部分14と同じ直径d1を有する封止部分16と、封止部分16の下の第2の直径低減部分16''とである。第1の直径低減部分16'と第2の直径低減部分16''とは同じ直径(または円筒形でない場合は断面積)を有してもよいし、それらが異なる直径を有してもよいが、それらはどちらも上側部分14および封止部分16の直径よりも小さい。一番下に位置する第2の部分16''は、空気バネ123内のスピンドル10の中央部分13に接続される。
封止部分16は(底部クロージャ133とともに)、(大気圧が優勢である)室または空洞129に油圧油が漏れないように中央ボア6を封止する。
スピンドル10のアクチュエータ部分10'の上側部分14の上端部14'には上側環状表面15が形成される。上側部分14の下端部14''と第1の直径低減部分16'との間に下向きのレッジ18が形成される。第1の直径低減部分16'と部分16との間に上向きのレッジ17が形成される。部分16と第2の直径低減部分16''との間に下向きのレッジ17'が形成される。
上側部分14の下端部14''の外表面には少なくとも一つのスリット19が形成される。単数または複数のスリット19は、スピンドル10の長手軸Aに平行な長手方向を有して伸長しており、上側部分14の下端部14''内の凹みまたは溝として形成される。各スリット19は上端部19'および下端部19''を有する。各スリット19は、その下端部19''と、スリット19がその中に開いている下向きのレッジ18とに向かって増加する深さを有する。スリットが単体で提供されてもよいし、上側部分14の周囲に配置されたスリットの組があってもよい。好ましくは3から20個のスリット19が存在する。2つ以上のスリット19があるとき、それらのスリットはすべて(軸Aの方向に上端部19'から下端部19''まで)同じ長さであってもよい。代替的な実施形態(図示せず)においては、それらのスリット19が異なる長さを有する。
別の実施形態(図示せず)において、スリット19は代替的に、中央ボア6の最下部分6'''の一部である中間部分66の壁に形成されてもよい。単数または複数のスリット19は、スピンドル10の長手軸Aに平行な長手方向を有して伸長しており、中間部分66内の凹みまたは溝として形成される。各スリット19は上端部19'および下端部19''を有する。各スリット19は、その上端部19'と、中間部分66の上側端縁66' と、スリット19がその中に開いている第1の広がった部分65'とに向かって増加する深さを有する。スリットが単体で提供されてもよいし、中間部分66の周囲に配置されたスリットの組があってもよい。好ましくは3から20個のスリット19が存在する。2つ以上のスリット19があるとき、それらのスリットはすべて(軸Aの方向に上端部19'から下端部19''まで)同じ長さであってもよい。代替的な実施形態(図示せず)においては、それらのスリット19が異なる長さを有する。
さらなる実施形態(図示せず)において、上述のとおりのスリット19は、中間部分66と、スピンドル10の上側部分14の下端部14''とに形成される。
本出願において、スリット、溝および凹みとは、別の表面に対して凹んで形成された底面を有する構成であることを理解されたい。ここでの他の表面とは、スピンドル10の円筒形の上側部分14の外表面である。スリット19が中央ボア6の最下部分6'''の中間部分66に形成される場合は、他の表面とはその場所におけるボア6の壁である。
ピストン90は、(スピンドルボア5の上側部分を形成する)中央ボア6内に摺動可能に配置される。ピストン90は、円筒形の主部分91と、主部分91の上に配置されたカラー92とを有する。ピストン90は、スピンドル10の上側部分14をその上端部11において摺動可能に受け入れるために適合された中央ボア90'を有する。カラー92は、ピストン90の主部分91よりも大きな直径(または断面積)を有する。主部分91の直径は、中央ボア6の中間(middle)部分6''(代替的に仲介(intermediate)部分6''と呼ばれる)内に摺動可能に配置されるように微小な隙間を伴って適合される。カラー92の直径は、中央ボア6の最上部分6'内に摺動可能に配置されるように微小な隙間を伴って適合される。ピストン90の中央ボア90'内の主部分91とカラー92との間に下向きの内部レッジ93が形成されている。内部レッジ93は、スピンドル10の上側環状表面15の少なくとも外側部分と係合するために適合される。ピストン90はさらに、カラー92上に形成された上向きの上側表面94を有する。このカラー92上の上側表面94は、スピンドル10の上側環状表面15と同様にリング形である。しかし、上側表面94の表面積はスピンドル10の上側環状表面15の面積よりもかなり大きい。
ピストン90の外表面上のカラー92と主部分91との間には下向きの外部レッジ95が形成されている。主部分91はさらに下側表面96を有する。この下側表面96はリング形または環状である。
頂部クロージャ132内には制動室81が形成されており、制動室81は中央ボア6の最上部分6'内に開いている。制動室81は、排気弁1の開放相の際の油圧流体のための入口と、排気弁の閉鎖の際の出口とを提供し、かつスピンドルの上向きの動きを制動する(さらに下記を参照)。制動室81はアクチュエータシリンダ131内の中央ボア6内に開いている。
前述のとおり、ピストン90はスピンドル10の上端部11において上側部分14に対して摺動してもよく、かつ中央ボア6の部分6'、6''および6'''に対して摺動してもよい。
中央ボア6の上側部分6'と、頂部クロージャ132の下向きの表面132'と、制動室81と、ピストン90の上向きの頂部表面と、スピンドル10の上端部11との間に、可変体積弁作動室60が定められる。可変体積弁作動室60も制動室81を備える。好ましくは、中央ボア6の上側部分6'および制動室81は、円錐形の表面32の最下部分と制動室81の壁との間の微小な隙間を介して永続的に流体連絡している。代替的または付加的に、スリット39の組が中央ボア6の上側部分6'および制動室の間の永続的な流体連絡を可能にする。
上述のとおり、油圧流体はポート80を介して弁アクチュエータ109に供給され、かつそこから排出される。ポート80は圧力導管110に接続しており、圧力導管110の端部110'が図6Aにみられる。圧力導管110を介して、ポート80は制御弁117によって高圧供給源および戻りライン122に交互に接続される。
可変体積弁作動室60は、制動室81内のポート82、導管85(図6Aを参照)、およびポート83を介して第1の圧力室65に接続される。第1の圧力室65は、以下のものの間に画定される。
・ 中央ボア6の最下部分6'''、
・ スピンドル10の上側部分10'の部分14、
・ 中央ボア6の第1の広がった部分65'、
・ 中央ボア6の第2の広がった部分65''、ならびに
・ スピンドル10の上側16'および下側16''の直径低減部分の間に形成された、スピンドル10の封止部分16。
供給ポート80は第2の広がった部分65''に接続する。第2の広がった部分65''は、中央ボア6の部分6''''(図3を参照)を通じて第1の広がった部分に接続する。少なくとも一つのポート83は、第1の広がった部分65'をチャネル85(ポート83当り一つのチャネル85)に接続する。各チャネル85は、チャネル85と制動室81との間のポート82を通じて制動室81に接続する。
再び図4を参照すると、スピンドルの上端部11内のボア20の中にスライダ30が形成されており、このスライダはバネ40によって上方向に付勢されており、かつ(軸Aに平行な)ボア20の長手方向に摺動可能である。スライダ30は上向きの表面31と、排気弁を閉鎖する際にスピンドル10の上向きの移動を制動するために上述の制動室81と協働するために適合された円錐形の表面32(図5を参照)とを有する。スライダ30はスピンドル長さ調整機構として作用する。他の実施形態においては、代替的にスピンドル10の上端部11がスピンドル長さ調整機構なしで形成されることによって、スピンドルが固定長を有してもよい。この場合(図示せず)には上向きの表面31が環状表面15と同一平面上にあってもよく、対応する円錐形の表面32がスピンドル10の上側部分14の上端部の上に直接形成されてもよい。
図6A〜6Gを参照して、排気弁の開閉サイクルを説明する。この実施形態において、電気油圧制御弁は、2つの独立した電気油圧制御弁120および121によって形成される。電気油圧制御弁120は電子制御ユニットからのコマンドによってポート80を圧力の供給源か、またはタンクに選択的に接続するように構成され、電気油圧制御弁121は電子制御ユニットからのコマンドによってポート197をタンクに接続するか、またはポート197のタンクへの接続を閉鎖するように選択的に構成される。
燃焼室106から燃焼ガスまたは排気ガスを排出するために排気弁1が開放されるとき、燃焼室106内の圧力は非常に高い。したがって、排気弁1を開放するために、弁ディスク3と弁スピンドル10との初期の下向きの移動の際に大きな力が必要とされる。以下に説明されるとおり、ピストン90は弁アクチュエータ109の圧力表面の有効面積を増加させることによってこの初期相を助ける。
排気弁1を開くために、制御弁117はポート80に高圧流体を供給し、その油圧流体は第1の圧力室65および(チャネル85を介して)可変体積弁作動室60を加圧する。その流れは図6A中の矢印によって示される。第1の圧力室65において、油圧流体は、上側の直径低減部分16'とスピンドル10の部分16との間の上向きのレッジ17に作用する。第1の圧力室65およびその機能についてのさらなる詳細が以下に提供される。
チャネル85によって提供される流体接続を通じた油圧流体の流入によって、制動室81および中央ボア6の最上部分6'を備える可変体積弁作動室60内の圧力が増加する。その圧力がスライダ30の表面31、スピンドル10の上側表面15、およびピストン90の上側表面94に作用することによって、スピンドル10をピストン90とともに下方向に動かす。
図6Bにおける矢印は、第1の圧力室65に油圧流体が流入して内部の圧力を増加させていることを示す。その圧力がスピンドルの部分16の上向きのレッジ17に作用することによって、スピンドルを下方向に押して排気弁1を開く。
油圧流体は可変体積弁作動室60内の圧力を増加させ、その圧力がピストン90の上側表面94、上側環状表面15、およびスピンドル10の上側部分11の上側表面31(ならびに上向きのレッジ17)に作用する。下向きの内部レッジ93は、スピンドル10の上側環状表面15の部分に当接する。これによってスピンドル10およびピストン90が下方向に押される(図6Bを参照)。
下方向にある距離だけ移動した後、ピストン90の下向きの外部レッジ95は、中央ボア6の最上および中間部分6'、6''の間の上向きのレッジ7に到達してそれに当接する前に停止する。図6Bを参照。
中央ボア6のボア最上部分6''内の伸長した凹みとして形成された伸長軸Bに平行な溝99(図4を参照)は、ピストン90の上の空間およびピストン90の下の空間の間を油圧流体が通ることを可能にする。ピストン90が下向きに押されるとき(下側表面95の面積は上向きの表面94の面積よりも小さい)、油圧流体はピストン90の下から上に通される。単数または複数の溝99は、中央ボア6の最上および中間部分6'、6''の間に形成されたレッジ7よりもある距離だけ上にて終止する。ピストン90の下向きの外部レッジ95が単数または複数の溝99の底部を通過するとき、油圧流体がピストン90の下の空間から上の空間に通ることが妨げられる。これによってピストン90の下の空間の圧力が増加し、それによってピストン90の下向きの移動が減速して最終的に停止する。そのために小さい油圧燃料圧力室が形成されて、ピストン90の下向きの移動を制動するために用いられ、この室は油圧バネと似た働きをする。
よって、スピンドル10がその下向きの移動を継続している間にピストン90の下向きの移動が停止される。図6Cを参照。ピストンのさらなる下向きの移動は妨げられる。図6Cにおいて、ピストン90はまだ上向きのレッジ7によって静止しているが、スピンドル10はその下向きの移動を継続している。アクチュエータ部分10'の上側部分14は、ピストン90に対して下に移動している。
よって、ピストン90は、排気弁の開放中に可変体積弁作動室60内の圧力が作用するためのより大きい面積を提供することによって加速機構として作用し、燃焼室106の高圧に対抗して排気弁を開くのを助ける。一旦弁ディスク3が弁座4から離されると、燃焼ガスが排気導管107を通って室106から出ることによって、燃焼室106内の圧力が低減される。したがって、排気弁1が完全に開くように下方向に動かし続けるために必要な力は、開放の初期相よりもかなり小さくなる。よってピストン90が止まった後は、可変体積弁作動室60内の圧力は、スピンドル10の上側部分11の上側環状表面15と上側表面31(ここでは上側表面31がスライダ30の上に設けられる)とのみに作用する。
それによって、スピンドル10の上側部分14の下向きのレッジ18が可変体積弁作動室60への油圧流体の流れを分断するまでスピンドル10はその下向きの移動を続け、次いでスピンドル10は減速を始めて停止する。これについて以下にさらに詳細に説明する。
排気弁1の開放相におけるスピンドル10の下向きの移動の際に、スピンドル10の上側部分14の下向きのレッジ18は、上側および下側の広がった部分65'および65''の間に形成された中央ボアの中間部分66の上側端縁66'を通過する。この状況は図6Cに示される。上側端縁66'を通過することによって、チャネル85および結果的に可変体積弁作動室60への流れの分断が始まる。スピンドル10の上側部分14の下端部に形成された単数または複数のスリット19は、スリット19の上端部19'が中央ボアの中間部分66の上側端縁66'を通過するまで、可変体積弁作動室60への流れを可能にする。よってスリット19の下端部19''から上端部19'まで、スリット19は可変体積弁作動室60に対する徐々に減少する流れ面積を提供する。図6Cにおいて、これは短くされた矢印303によって示される。可変体積弁作動室60への流れが徐々に低減することによって、可変体積弁作動室60内の圧力が、上方向に作用する空気バネ123によって与えられる圧力によって釣り合わされるために、スピンドル10の下向きの動きの制動がもたらされる。
図6Dにおいては、スリット19の上端部19'が上側端縁66'を通過した様子が示される。可変体積弁作動室60への流れはない。さらに、スピンドル10がさらに短い距離だけ下向きに移動することによって、スピンドル10の部分16の下向きのレッジ17'が底部クロージャ133に当接しそうになっている。スピンドル10は制動されて停止される。燃焼室106が完全に排気されるまで、(図6Dの矢印304によって示されるとおり)レッジ17および可変体積弁作動室60にはなおも圧力が働くことによって、空気バネ123によって与えられる圧力と釣り合いを取り、排気弁1の開放を維持する。
スリット19は、排気弁1の開放の際にスピンドルの下向きの動きを制動するための先行技術の解決策に対して、大きな改善を提供することが示された。円錐形の面ではなくスリット19を適用することによって、完全に開いた位置にあるときの排気弁1の振動がさらに低減された。
図6Eは、圧力が中止され、空気バネ123によって与えられる圧力によってスピンドルが上向きの移動を開始する直前の瞬間の状況を示す。レッジ17上の圧力は低減される。なおも室65'を塞いでいるスピンドル10の上側部分14によって、可変体積弁作動室60とポート80との間の流れはなおも阻止されている。
燃焼室106が掃気されたとき、排気弁1を閉じるために、図6Fに示されるとおり、制御弁117(または制御弁120および121)が電気油圧制御弁117の位置を変更してポート80およびポート197がタンクに接続されるようにし、油圧流体がポート197および80を通って逆流することを可能にすることによって、油圧流体供給の圧力が中止される。空気バネ123はスピンドル10を上向きにさせることによって、2次圧力室65および可変体積弁作動室60内の油圧流体を押し出す。戻る流れはスリット19による流れ制限を通過する必要がないため、制御弁117(または制御弁120および121)が位置を変えた瞬間からタンクへの逆流が受ける抵抗は比較的小さい(特にスリットによる制限が最も強い排気弁の戻り行程の最初部分において、流れのわずかな部分はなおもスリットを通るが、タンクへの逆流の大部分はポート197および導管195を介して進む)。
図6Gにおいて、レッジ18は室65'を通過しており、図面(図6G)における長い方の矢印によって示されるとおり、両方のポート80および197を介した可変体積弁作動室60からの流れに対する完全なアクセスを提供する。
図6Fに示される状況においては、スピンドル10自体のみが上向きに移動しており、ピストン90はなおも上向きのレッジ7の上で静止している。よって、上側表面31および環状表面15のみが可変体積弁作動室60から油圧流体を押し出す。
スピンドル10が上向きに移動するとき、図6Gに示されるとおり、スピンドル10の上側環状表面15は最終的にピストン90の下向きの内部レッジ93に当接し、スピンドル10とともにピストン90がその下側の静止位置(ピストン90の外部レッジ95が上向きのレッジ7の上で静止しているところ)から上方向に動かす。
ピストンの上側表面94は組み合わされた表面15および31よりも大きいため、可変体積弁作動室60内の油圧流体にはかなり大きくなった表面積が作用することになる。これによってスピンドル10の上向きの移動の制動がもたらされる。
スピンドル10の上向きの移動は制動し、スピンドル10の上側部分11の頂部の円錐形の表面32が制動室81に入るときに最終的に停止して、中央ボア6の上側部分6'と制動室81との間の流体接続を徐々に閉鎖する。円錐形の表面32が制動室に突入するとき、ポート80を通じて制動室から油圧液を強制的に出すことによって残りの運動エネルギのほとんどが吸収され、スピンドル10の上側部分11の上側表面31は頂部クロージャ132の下向きの表面132'に穏やかに当接する。図6Gは、スピンドル10がその頂部位置に到達し、排気弁1が閉じられて新たな開閉サイクルの準備ができている状況を示す。
排気導管107内に置かれた、弁スピンドル10の部分の上の羽根214の組は、排気ガスが排気導管107を流れるとき、すなわち排気弁1が開いているときにスピンドル10を強制的に回転させる。それによって、排気弁が開くたびにスピンドル10が少なくともわずかに回転する。こうして確実な形で、弁ディスク3、弁座4ならびにスピンドル10およびスピンドルボア5の当接レッジがより均一に摩耗する。
図7は、排気弁1の開閉運動を示すグラフである。排気弁の動きが鉛直軸に表され、時間が水平軸に表されている。
破線は本発明を使用していない排気弁1の動きを表し、すなわちこれは、排気弁の閉鎖運動の最初の部分において、作動室60から排出される油圧流体が、スリット19による制限を通らなければならないときの曲線である。これによって、排気弁の開放運動の開始における遅延が生じる。t=Tにおいて、電子制御された油圧弁117は、電子制御ユニット115からのコマンドの下、作動室を高圧流体の供給源に接続するように位置を変えることによって、弁開放相を開始する。t=Tにおいて、電子制御された油圧制御弁117は、電子制御ユニット115からのコマンドにより、作動室60をタンクに接続するように位置を変えることによって、弁閉鎖相を開始する。閉鎖時期の最初部分における流れに対する制限によって、開放運動が減速されるとともに、閉鎖運動の再現性が悪影響を受ける。これは電子制御された油圧制御弁117が閉鎖相を開始する時期を制御することによって排気弁の実際の閉鎖時期を正確に定めることができないことを意味する。しかしながら、その後の圧縮圧力を精密に制御するために、排気弁の精密な閉鎖時期制御は非常に重要である。
実線は、本発明を使用している、すなわち排気弁の閉鎖行程の最初部分において作動室をタンクに接続する油圧通路における制限を迂回させる配置を有する排気弁1の動きを表す。ここにみられるとおり、t=Tの直後の排気弁の開放運動には実質的に遅延がない。排気弁の閉鎖運動はより再現性が高いことも分かり、よって排気弁の閉鎖運動が始まる時期を制御することによって、排気弁の正確な閉鎖時期が的確に制御され得る。
図1から図6を参照して説明された実施形態と本質的に同じである本発明の別の例示的実施形態(図示せず)において、開放行程の最終部分および戻り行程の最初部分の間に動作する流れ制限は、排気弁1のステム内のスリットによって形成されていない。代わりに、その制限はプランジャ内の狭いボアによって形成される。プランジャは弁スピンドルの端部に配置される。プランジャには作動室に向かって開いた凹みが設けられる。電子制御された油圧制御弁は、プランジャ内に形成されてプランジャの半径方向の外表面を凹みに接続する半径方向のボア285と協働するチャネルを介して、作動室をタンクまたは高圧油圧流体の供給源に選択的に接続する。電子制御された油圧制御弁は、電子制御ユニットに接続される。作動室にはポートが接続しており、それは排気弁の開放行程の際にもプランジャによって遮断されない。このポートは、導管を介して電子制御されたバイパス弁に接続される。電子制御されたバイパス弁221が開放位置にあるとき、それは導管をタンクに接続する。電子制御ユニットからのコマンドの下で、排気弁の戻り行程の最初部分の際に、電子制御されたバイパス弁は作動室をタンクに接続する。よって排気弁の戻り行程の最初部分は、ボアによる流れ制限によって妨げられないため、戻り行程の最初部分が再現可能かつ迅速となる。
上述の空気バネ123は、ある実施形態においては、第1のピストンを収縮位置に向けて促す戻り行程圧力室およびピストン表面積によって置換されてもよい。この実施形態(図示せず)は、ピストンを収縮位置に促すために圧力戻り行程室に加圧油圧流体を供給し得る、少し変更された制御弁を必要とする。第1のピストンの位置に対する戻り行程圧力室内の圧力を制御するために、前述のものと同じ原理が用いられてもよい。
例示目的で本出願の教示を詳細に説明してきたが、こうした詳細は単に例示目的のためであって、本出願の教示の範囲から逸脱することなく当業者によって変更が行われてもよいことを理解されたい。
特許請求の範囲において用いられる「含む」や「備える」という用語は、他の構成要素またはステップを排除するものではない。請求項において用いられる単数形の用語は、その複数形を排除するものではない。単一のプロセッサまたは他のユニットが、特許請求の範囲に述べられるいくつかの手段の機能を果たしてもよい。

Claims (9)

  1. クロスヘッドおよび複数のシリンダ(100)を有する大型低速2ストロークユニフローディーゼル機関用排気弁装置であって、前記排気弁装置は、
    ・ 前記排気弁のディスク(3)が前記機関のシリンダ(100)のシリンダカバー(124)内の弁座(4)上にある閉鎖位置と、前記シリンダ(100)の燃焼室(101)の掃気のために前記排気弁(1)のディスク(3)が前記弁座(4)上にない開放位置との間で開放可能である排気弁(1)であって、それによって前記排気弁(1)は開放行程および戻り行程において移動する、前記排気弁(1)と、
    ・ 前記排気弁(1)に作動的に接続されたガスバネ(123)であって、前記ガスバネ(123)によって前記排気弁(1)は前記閉鎖位置に向けて弾力的に付勢される、ガスバネ(123)と、
    ・ 前記排気弁(1)のスピンドル(10)に作動的に接続された油圧アクチュエータ(109)であって、前記油圧アクチュエータ(109)はボア(6)内に受け入れられたプランジャ(10')を備え、かつ前記ボア(6)と前記プランジャ(10')との間に作動室(60)を画定し、前記作動室(60)は、前記作動室(60)が加圧されるときに前記開放行程を行い、かつ前記作動室(60)がタンクに接続されるときに前記排気弁(1)に前記戻り行程を行わせるためのものである、油圧アクチュエータ(109)と、
    ・ 高圧油圧流体の供給源と、
    ・ 油圧流体を戻すタンクと、
    ・ 電子制御ユニット(115)に作動的に接続された、電子制御された油圧制御弁(117、120)と、
    を備え、
    ・ 前記作動室(60)は前記電子制御された油圧制御弁(117)を介して前記高圧油圧流体の供給源または前記タンクに選択的に接続可能である、前記排気弁装置であって、
    ・ 前記作動室(60)を前記電子制御された油圧制御弁(117)に接続する油圧通路(80、85)であって、
    ・ 前記排気弁(1)の前記開放行程の最終部分および前記戻り行程の最初部分の間に動作する流れ制限(19)を備える、前記油圧通路(80、85)と、
    ・ 少なくとも前記戻り行程の最初部分の間に前記油圧通路(80、85)内の前記流れ制限(19)を迂回させるバイパス装置(117、121)と、
    を備えることを特徴とする、排気弁装置。
  2. 前記バイパス装置は、電子制御された弁(117、121)を備えるバイパス通路(195)を備える、請求項1に記載の排気弁装置。
  3. 前記制限は、前記プランジャ内の狭いボアによって形成される、請求項1に記載の排気弁装置。
  4. 前記可変の制限は、前記ボア(6)内に設けられたレッジ(66'')と協働する、前記プランジャ(10')内の一つ以上の軸方向に向けられたスリット(19)を備える、請求項1または2に記載の排気弁(1)装置。
  5. 前記油圧通路(80、85)は、前記作動室の頂部または端部におけるポート(81)を介して前記作動室(60)に接続するか、または前記作動室(60)の側壁内のポート(297)に接続する、請求項1または3に記載の排気弁装置。
  6. 前記電子制御された油圧弁(117、120)および前記油圧制御されたバイパス弁(121)に接続された電子制御ユニット(115)をさらに備え、前記電子制御ユニット(115)は、前記制限が動作する前記戻り行程の前記部分の間に前記油圧制御されたバイパス弁(121)を開くために構成される、請求項2に記載の排気弁装置。
  7. 前記電子制御されたバイパス弁(121)は、前記電子制御された油圧弁(117)の一体化した部分である、請求項2に記載の排気弁装置。
  8. 前記電子制御された油圧制御弁(117)は、前記電子制御されたバイパス弁の機能に割り当てられた一つのポートおよび一つの制御端縁を有する比例型スプール弁である、請求項1に記載の排気弁装置。
  9. 前記制限は、前記プランジャ(10')の半径方向の外表面を前記プランジャ(10')内の軸方向の凹みに接続する半径方向の通路によって形成され、前記軸方向の凹みは前記作動室(60)に対して開いている、請求項1に記載の排気弁装置。
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