JP5542270B2 - 光合成基板、その製造方法、光合成反応法および光合成装置 - Google Patents

光合成基板、その製造方法、光合成反応法および光合成装置 Download PDF

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この発明は、光合成基板、その製造方法、光合成反応法および光合成装置に関し、さらに詳しくは基材に電子伝達体、光増感色素分子および酵素を固定してなる光照射による反応効率の高い光合成基板、その製造方法、光合成反応法および光合成装置に関する。
従来、電子伝達体の1種であるメチルビオロゲンを用いた反応系は知られており、例えば酵素とともに光増感色素が存在する系においてメディエータを含ませる光合成反応系が知られていて、メチルビオロゲンと酵素の反応効率を向上させるために種々の試みがなされている(非特許文献1)。
一方、酵素を種々の基材に適用することによって、酵素の機能を高める種々の試みがなされている(特許文献1〜4)。
特開平6−153904号公報 特開2004−264027号公報 特開2004−361387号公報 特開2005−13210号公報
ケミストリー・レターズ(Chemistry Letters)2004年、Vol.33、No.12、1544−1545頁
上記の特許文献1には、酸化還元の酵素反応を利用した補酵素再生用電極において電極表面上に密着させたアミノ基含有重合層の水素原子を末端ハロゲン化アルキレン基含有メチルビオロゲンで置換して化学的に結合させた補酵素再生用電極によって、メディエータによる反応系の汚染が防止されることが示されている。しかし、上記特許文献1に具体的に開示されている電極は炭素板であり反応系で光照射を用いた開示はない。
また、上記の特許文献2には、架橋剤として一般式X−R−Yで表されるヘテロ二官能型親水性高分子を用いて固体表面上に生体分子(A)を固定化した基板を用いて、生体分子(A)と生体分子(B)又はその集合体との相互作用を測定する工程を有する生体分子相互作用測定方法が記載されている。そして、基板の具体例として金薄層を表面に有する基板が記載されている。
また、上記の特許文献3には、基板と、生体物質を固定化する金薄膜と、前記基板と前記金薄膜の間に形成され、前記基板と前記金薄膜との結合力を向上させる有機高分子リンカー物質層と、を備え、前記金薄膜の厚さは30〜200nmであり、前記金薄膜にX線を1.5度の入射角で照射する時に(111)及び(200)面でXRDピークを示す生体物質固定用基板および前記基板の製造方法が記載されている。
また、特許文献4には、電極系に酵素および電子受容体化合物を同時に固定化し、酵素の触媒機能を電極系に組み込んだ効率的な機能性を実現するのに好適な固定化担体が記載されている。しかし、具体例として光反応系の基板についての記載はない。
また、上記の非特許文献1には、酵素とともに光増感色素が存在する系において電子伝達メディエータとしてメチルビオロゲンを含ませた光化学酵素合成反応によるHCO からのメタノール合成反応が記載されている。さらに、反応系をアルゴンガスパージし、メチルビオロゲンを使用することによってメタノール合成反応収率が時間とともに増大する結果が図(文献の図1)に示されている。
このように、メチルビオロゲンなどの電子伝達体を含む材料として、メチルビオロゲンを特殊な化学結合体に変形した溶解性ビオロゲンを用いる溶液系、あるいは電極などの固定用材料にメチルビオロゲンを固定した電極系については知られているが、電子伝達体を基板に固定した光反応系の具体例は知られていない。
一方、電子伝達体を基板に固定した例は知られているが、具体例として記載されている基板は電極である。
そして、溶液系の電子伝達体材料は光合成によって得られた生成物と溶解性ビオロゲンとの分離が困難であり、また電極系の電子伝達体材料は基板として通常使用される炭素に固定された電子伝達体のうち光反応に関与しうるものの割合が基材の光透過性が低いため低くなる。
つまり、従来公知の電子伝達体材料によっては、光照射による高い反応効率の光反応を可能とする光合成基板を得ることはできなかったのである。
従って、この発明の目的は、光照射による高い反応効率の光反応を可能とし得る光合成基板を提供することである。
また、この発明の目的は、光照射による高い反応効率の光反応を可能とし得る光合成基板の製造方法を提供することである。
また、この発明の他の目的は、光照射による高い反応効率の光反応を可能とし得る光合成反応法を提供することである。
さらに、この発明の他の目的は、光照射による高い反応効率の光反応を可能とし得る光合成装置を提供することである。
この発明は、基材の少なくとも表面に電子伝達体、前記電子伝達体との比率(光増感色素分子/電子伝達体、モル比)が0.2〜1.2である光増感色素分子および酸化還元酵素を固定してなる光照射による物質変換用の光合成基板に関する。
また、この発明は、基材の少なくとも表面に電子伝達体、前記電子伝達体との比率(光増感色素分子/電子伝達体、モル比)が0.2〜1.2である光増感色素分子および酸化還元酵素を固定する光照射による物質変換用の光合成基板の製造方法に関する。
また、この発明は、光照射下に、反応原料溶液を前記の光合成基板に接触させる光合成反応法に関する。
さらに、この発明は、光照射下に、反応原料溶液が流れる流路内面を前記の光合成基板として使用してなる光合成装置に関する。
この発明の光合成基板は、電子伝達体、光増感色素分子および酵素を1枚の基材の単一の面に固定した態様だけでなく、基材が同一又は異種の基材を組み合わせたものであって前記の各成分のうちの電子伝達体および光増感色素分子を1枚の基材の少なくとも表面に固定し、残りの1成分である酵素を前記2成分と酵素とが近接するように前記基材とは異なる他の基材の表面に固定した1組の基材を含む態様を含むものである。
この発明によれば、光照射による高い反応効率(高い物質変換効率)の光反応を可能とし得る光合成基板を得ることができる。
また、この発明によれば、光照射による高い反応効率の光反応を可能とし得る光合成基板を容易に得ることができる。
また、この発明によれば、光照射による高い反応効率の光反応が可能である。
さらに、この発明によれば、光照射による高い反応効率の光反応が可能である光合成装置を得ることができる。
図1は、この発明の光合成基板の実施態様の部分模式図である。 図2は、この発明の光合成基板の他の実施態様の部分模式図である。 図3は、この発明の光合成基板の実施態様の製造工程の一例の模式図である。 図4は、この発明の光合成反応法に用いる光合成装置の実施態様の一例の模式図である。 図5は、この発明の光合成反応法に用いる光合成装置の実施態様の他の一例の模式図である。 図6は、実施例および比較例の光合成反応の結果をまとめて示すグラフである。 図7は、実施例3で得られた結果に基いてギ酸生成速度および光増感色素分子と電子伝達体との比率の関係についてまとめて示すグラフである。 図8は、金ナノ粒子の固定化法による金ナノ粒子の溶出率への影響を示すグラフである。
この発明における好適な態様を次に示す。
1)電子伝達体が、下記一般式
Figure 0005542270
(但し、式中、Rはメチル基、FGはCOOH、NH、OH又はSHを、nは1〜29の整数を意味する。)
で示される化合物である前記の光合成基板。
2)酵素がチオール基(−SH)を有し、該チオール基によって基板上に設けた金属層に固定してなる前記の光合成基板。
3)金属層が金属ナノ粒子を分散させたものである前記の光合成基板。
4)電子伝達体と光増感色素分子との比率(モル比)が、電子伝達体/光増感色素分子=0.2〜1.2であり高い光反応速度が得られる前記の光合成基板。
5)光増感色素分子が、基材にスパッタリングにより形成された金属ナノ粒子上に固定されていて光増感色素分子の基材との固定化強度が高められ得る前記の光合成基板。
6)基材を酸処理した後、光増感色素分子を固定することによって光増感色素分子の基材との固定化強度が高められ得る前記の光合成基板の製造方法。
この発明の光合成基板は、基材の少なくとも表面に前記の電子伝達体、光増感色素分子および酵素を固定してなるものである。
前記の基材としては、この発明における電子伝達体、光増感色素分子および酵素を化学的あるいは物理的、例えば吸着によって固定化できる無機基材あるいは官能基を有する樹脂であれば特に制限はないが、光透過性を有する基材、特にガラスあるいはアルミナが挙げられる。基材について光透過性を有するとは透明性の高い基材であることを意味する。従って、透明性の低い金属あるいは炭素材は好ましくない。前記の樹脂としては、表面に極性基(例えば、COOH基、OH基、アミド基など)を有するものが好ましい。
前記のガラスあるいはアルミナは酸化物であるがOH基を何らかの形で有していることが知られている。このため、ガラスあるいはアルミナと少なくとも電子伝達体および光増感色素分子とは、ガラスあるいはアルミナの少なくとも表面に存在するOH基と電子伝達体および光増感色素分子の前記一般式におけるFG、例えばCOOH基とが何らかの化学的な結合によって固定すると考えられる。
また、基材としては、膜状であれば形状には特に制限はなく、膜、シート、板のいずれであってもよい。
さらに、この発明の光合成基板は、基材が同一又は異種の基材を組み合わせたものであって前記の各成分のうちの電子伝達体および光増感色素分子を1枚の基材の少なくとも表面に固定し、残りの1成分である酵素を前記2成分と酵素とが近接するように前記基材とは異なる他の基材の表面に固定した1組の基材を含む態様であってよい。
前記の態様における基材として、前記の電子伝達体および光増感色素分子を化学的あるいは物理的、例えば吸着によって固定化できる基材と酵素を固定化するための基材、例えばシリコンとの組合せが挙げられる。
この発明における前記基材として、その少なくとも表面に金属層を設けたものが好ましい。この金属層により酵素を基材に固定することが容易となり好適である。
この発明において1枚の基材を用いる場合は、前記の金属層として、金属コロイド溶液によって金属粒子を含浸担持させる金属粒子の含浸担持法あるいは金属のスパッタリング法、特にスッパタリング装置を用いて金属層、特に金属粒子、その中でも金属ナノ粒子を固定化したものが、基板からの金属粒子、例えば金ナノ粒子の流出防止が可能となり好適である。スパッタリング法によって金属粒子を形成する場合、スッパタリングの処理時間を短くすることによって均一層ではない分散した金属粒子を形成することができる。
前記金属層として、特に金属ナノ粒子を分散させた酵素と同じ程度の大きさ(5〜20nmφ)であるものが好適である。その中でも、前記金属層として、金の粒子、例えば金のナノ粒子を分散させたものが好適である。
金の粒子を分散させた基材には、金と酵素のチオール基とが結合し易く、酵素を基材に強固に固定することが容易である。
また、異種の基材を用いる場合、例えばシリコンを基材として用いる場合には、金をスパッタリングして金の薄層を設けることが好ましい。
この発明において、電子伝達体とは、電子を受け取って他の物質に電子を伝達する電子供与機能を有するものであり、例えば光照射された反応系において光増感色素分子を通じてあるいは光励起型の電子供与補助剤の存在下に光増感色素分子を通じて電子を受け取った電子伝達体が一旦は電子を保持し、補酵素などの電子受容体に電子を供与する機能、すなわち還元機能を有するものをいい、電子供与体(還元型補酵素)又は電子伝達メディエータと呼ばれることもある。反応系においては、酵素に伝達された電子によって原料物質(例えば二酸化炭素)が化学変換されて生成物質(ギ酸、メタノールなど)が得られる。
前記の電子伝達体としては、下記一般式
Figure 0005542270
(但し、式中、Rはメチル基、FGは官能基を、nは1〜29の整数を意味する。)
で示される化合物が好適である。
さらに、前記一般式におけるC2nで示されるアルキレン基は直鎖状であっても分岐状であってもよく、好適には直鎖状の(CHで示されるアルキレン基であり、1〜29、好適にはnが5〜29、特に5〜19、その中でも特に9〜19を意味する。
この発明における前記の電子伝達体として、特に分子中に極性基(例えば、COOH基、OH基、アミド基、NH、あるいはSH基など)を導入したもの(化学修飾MVということもある。)が挙げられる。
前記一般式中におけるC2nで示されるアルキレン基として、例えばCH、C、C、C、C10、C12、C14、C16、C18、C1020、C1122、C1224、C1326、C1428、C1530、C1632、C1734、C1836、C1938、C2040、C2142、C2244、C2346、C2448、C2550、C2652、C2754、C2856、C2958などを挙げることができる。
前記一般式で示される電子伝達体は、例えば反応容器に所定量の4−メチルピリミジウム沃化物と溶媒、例えばアセトニトリルとを加え、混合して均一溶液とし、攪拌機で混合しながら加熱(例えば、約85℃程度)して、予め溶媒、例えばアセトニトリルに溶解しておいた過剰量、例えば約10倍モル量の下記式
Figure 0005542270
(但し、式中、FGは官能基、好適にはCOOH、NH、OHあるいはSHを、nは1〜29、好適には5〜29、特に5〜19、その中でも特に9〜19の整数を意味する。)
で示される臭素化合物を加え、引き続いて前記の温度に保ちながら反応が完了するまで、例えば数時間程度攪拌を続け、攪拌終了後に適当な時間、例えば数時間〜1昼夜かけて放冷し、沈澱物を吸引ろ集・乾燥する方法によって、得ることができる。
前記の臭素化合物としては、ブロモ脂肪酸、ブロモ脂肪族アルコール、ブロモ脂肪族アミン、ブロモ脂肪族チオールを挙げることができ、好適には炭素数5〜19のブロモ脂肪酸、ブロモ脂肪族アルコールを挙げることができる。特に、11−ブロモウンデカン酸、8−ブロモオクタン酸、6−ブロモヘキサン酸、3−ブロモプロピオン酸、ブロモ酢酸などのω―ブロモアルカン酸を挙げることができる。
前記一般式で示される電子伝達体は、水の存在する系において水分子と親和性を有する式中のビオロゲンイオンと非水性のアルキレン基によって水媒体中でミセルを形成し得るため溶存酸素との衝突の確立が小さくなり、水媒体中で溶存酸素の存在下であっても還元体の寿命が長く好適である。
前記一般式で示される電子伝達体は、好適には基材の少なくとも表面に前記の前記官能基FGによって直接固定されると考えられる。そして、前記一般式中のビオロゲンイオンと非水性のアルキレン基によって水媒体中でミセルを形成し得るため、従来のメチルビオロゲンに比べて、水媒体中で開放系(従って、酸素存在下)であっても還元体が長寿命であり好適である。
この発明における前記の光増感色素分子としては、特に制限はなく、例えばポルフィリン誘導体(官能基を有するクロリン誘導体)、ルテニウムビピリジン錯体誘導体、ピエン誘導体、クロルフィリン誘導体などを挙げることができ、例えば、テトラキス(4−メチルピリジル)ポルフィリン亜鉛(ZnTMPyP)、テトラフェニルポルフィリンテトラスルフォネート亜鉛(ZnTPPS)、ルテニウムトリスビピリジンなどが好適である。
この発明における前記の酵素としては、特に制限はなく、例えば酸化還元酵素、加水分解酵素、異性化酵素、合成酵素などの酵素が挙げられる。これらの酵素として、例えばADH(アルコールデヒドロゲナーゼ)、AldDH(アルデヒドデヒドロゲナーゼ)、FDH(ホルメートデヒドロゲナーゼ:ギ酸脱水素酵素)、LDH(ラクテートデヒドロゲナーゼ)などの酵素が挙げられる。これらの酵素はタンパク質の一種であり一般的にチオール基を有していて、このチオール基は金属、特に金と結合し得る。
この発明においては、前記の電子伝達体と光増感色素分子との比率(モル比)が、電子伝達体/光増感色素分子=0.2〜1.2、特に0.35〜0.85であることが光合成反応の反応速度、例えばギ酸生成速度を増大させ得るので好適である。
この発明の光合成基板は、好適には前記基材に、この発明における電子伝達体、光増感色素分子および酵素の1種又は2種以上を各々含む溶媒分散溶液を任意の順番で接触させる方法、例えば分散溶液中に基材を浸漬する浸漬法あるいは基材に分散液をスプレーするスプレー法などによって、基材の少なくとも表面に前記電子伝達体、光増感色素分子および酵素の各々を、好適にはその官能基(例えば、前記のCOOH、NH、OHあるいはSH)によって吸着、化学結合させるなどして固定することによって得ることができる。
前記の溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、アセトンなどが挙げられる。
この発明の光合成基板について、この発明の光合成基板の実施態様の部分模式図である図1を用いて説明する。図1において、光合成基板1は、金コロイド粒子2を分散させた基板状の基材3の少なくとも表面に化学修飾された電子伝達体4、光増感色素分子5および酵素6が固定されている。この基材3の裏面にも電子伝達体、光増感色素分子および酵素が固定されていてもよい。また、図1においては、基板の金が担持された部位にチオール基を有する酵素6以外の他の酵素が固定されていてもよい。また、前記の化学修飾された電子伝達体4と光増感色素分子5とは金以外の基材部分に固定化されている。
この光合成基板1には基材の表面方向からの光照射だけでなく裏面方向からも光照射を受けて、光励起および電子伝達が生じるので光照射による反応効率が高くなり、高い設計自由度が得られる。
さらに、この発明の光合成基板について、この発明の光合成基板の他の実施態様の部分模式図である図2を用いて説明する。図2において、光合成基板1は、化学修飾された電子伝達体4および光増感色素分子5を1枚のガラスの表面に固定し、残りの1成分である酵素6を前記2成分と酵素とが近接するように前記基材とは異なる他の基材であるシリコンの表面の金の薄層に固定した1組の基材を含む構成である。
さらに、この発明の光合成基板について、この発明の実施態様の製造工程の一例の模式図である図3を用いて説明する。
図3において、未処理の基材を金属コロイド溶液に浸漬した後、乾燥して金属コロイド粒子(ナノ粒子)、すなわち金属ナノ粒子、例えば金ナノ粒子を分散させた基材とし、この基材を化学修飾された電子伝達体(化学修飾MV1)および光増感色素分子(クロリン)を含む分散溶液に浸漬した後、乾燥して電子伝達体および光増感色素分子を基材に固定し、次いで酵素を含む溶液にこの基材を浸漬した後、乾燥して酵素を基材に固定し、この発明の実施態様である光合成基板を得ることができる。
前記の図3に示す実施態様の製造工程においては基材を金属コロイド溶液に浸漬する方法が示されているが、基材に金属層を設ける方法として基材にスパッタリングにより金属ナノ粒子、特に金ナノ粒子を形成する方法を好適に採用し得る。
前記の製造工程において、未処理の基材を酸処理した後に金属粒子、好適には金ナノ粒子を固定化した基材に光増感色素分子を固定することが好ましく、例えば未処理の基材を酸処理、例えば塩酸で表面処理を行った後、この基材の少なくとも表面に金属粒子、好適には金ナノ粒子を固定し、次いで電子伝達体、光増感色素分子および酵素を固定することによって、光合成基板を得ることができる。前記の電子伝達体、光増感色素分子および酵素を固定する前に基材を酸処理することによって、光増感色素分子の溶出が防止される。
この発明の光合成基板は、前記の構成を有しているために前記の電子伝達機能とともに、さらに従来公知の溶液系材料では不可能であった高い反応効率および反応系からの基板の分離容易性など高い設計自由度を兼ね備えている。
つまり、従来公知のメチルビオロゲンやメチルビオロゲンの多量体あるいは色素とメチルビオロゲンとの結合体などの溶液系では、溶液に分散した状態であるため反応速度が電子伝達体と光増感色素と酵素との衝突確率に律速されてしまう。そして、従来の溶液中などの反応系では、反応が平衡に達するとそれ以上は生成物が得られないので溶解性ビオロゲン系を生成物を含む反応溶液から分離する必要があり、分離に多くの操作が必要である。
これに対して、この発明の光合成基板は、基材上に電子伝達体と光増感色素分子と酵素とが近い位置に分散状態で固定化されているため、各酵素に電子が伝達される確率が高くなり、光照射による高い反応効率を得ることができる。また、基材が水に非溶解性であるため基板と生成物との分離が容易であり可搬性を有している。さらに、基板の表面方向からの光照射だけでなく裏面方向からも光照射を受けて、光励起および電子伝達が生じるので光照射による効率が高くなり、高い設計自由度が得られる。
このように、この発明の光合成基板は従来の溶解性ビオロゲン系材料あるいは非透明性の電極などに固定したビオロゲン系材料に比べて、光照射による高い反応効率および可搬性を兼ね備えているのである。
従って、この発明の光合成基板は、種々の光反応用の装置に用いることができる。
この発明の光合成基板は、反応媒体中で、反応場への光照射によって種々の化学反応をもたらすことができる。
また、この発明の光合成基板は、反応系における取り扱いが容易になり、工程全体が簡素化される。
さらに、この発明の好適な態様である前記一般式で示される電子伝達体を用いて得られる光合成基板は、空気密閉系(例えば、不活性ガス雰囲気下)であっても又は空気開放系においても長寿命とすることが可能であり、効果的である。
前記の反応媒体としては、水性媒体が好適であり、水または水と混合可能な有機溶媒との混合媒体が挙げられる。前記の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、エチレングリコール等の低級アルコール、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。水性媒体としてはリン酸カリウムなどを含むリン酸緩衝溶液によって緩衝能力を付与してもよい。
前記の媒体中に補酵素、電子供与補助剤を含有させても良い。
前記の補酵素としては、特に制限はなく目的とする反応に応じて適宜選択することができ、例えばFAD(フラビン−アデニンジヌクレオチド)、NAD(ニコチンアミド−アデニンジヌクレオチド)、NADP(ニコチンアミド−アデニンジヌクレオチドリン酸)、FMN(フラビンモノヌクレオチド)、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(以下、NADPHと略記する。)などが挙げられる。
また、前記の電子供与補助剤としては、特に制限はなく目的とする反応に応じて適宜選択することができ、例えばトリエタノールアミン、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸塩、エチレンジアミン塩酸塩、トリエチルアミンなどを挙げることができる。
この発明の光合成反応法は、光照射下に、例えばキセノンアークランプなどからの光照射下に、反応原料をこの発明の光合成基板に接触させることによって行うことができる。
この発明の光合成反応法について、この発明の実施態様の光合成反応法に用いる光合成装置の一例の模式図である図4を用いて説明する。
図4において、ボンベから供給される二酸化炭素およびNADPHを含む反応原料溶液がこの発明の光合成基板および光照射装置の一例であるキセノンアークランプを備えた光合成装置に供給されて、反応原料溶液を光合成基板に接触させる。
前記の光照射の光源としては、特に制限はなく、図4に示すキセノンアークランプや、太陽光や蛍光灯、紫外線ランプ、水銀ランプ、ハロゲンランプなどの光励起型光源装置を挙げることができる。
前記の光合成反応法による化学反応の一例として、二酸化炭素(又は炭酸イオン)からのギ酸又はメタノールの生成反応が挙げられるがこれに限定されない。例えば、前記の原料物質としては、前記の二酸化炭素以外に温室効果ガスであるメタンや、蟻酸、ホルムアルデヒドなどが挙げられる。また、前記の生成物質としては供給する原料物質により、蟻酸、メタノール以外にマレイン酸やリンゴ酸などが挙げられる。
この発明の光合成装置は、光照射下に、反応原料が流れる流路内面を前記の光合成基板として使用して得ることができる。
この発明において、流路内面を前記の電子伝達体、光増感色素分子および酵素が固定された単一面の光合成基板として使用してもよく、又は流路内面を電子伝達体および光増感色素分子を固定した単一の基材(基材1)と酵素を固定した他の基材(基材2)とが前記2成分と酵素とが近接するように配置して挟み込む構成、例えば前記の基材1と基材2とを固定する基材(基材3、基材4)によって形成される箱の構成、を有する光合成基板として使用してもよい。
さらに、この発明の光合成反応法について、この発明の光合成装置の他の実施態様の模式図である図5を用いて説明する。
図5において、基板固定部分を流路にして、反応原料が流れるガラス板およびシリコン板からなる流路において、電子伝達体および光増感色素分子を固定したガラスと、酵素をシリコンに金をスパッタリングして設けた金の薄層に固定して電子伝達体および光増感色素分子と酵素とが近接するようにガラスに対向する面に配置されたシリコンとで挟み込み流路を構成することにより、透明なガラスを透過する光によって、二酸化炭素(炭酸イオンとして含まれる)およびNADPHを含む水溶液である反応原料が光反応を起こし、流路の出口からギ酸を含む水溶液が得られる。
この実施態様によれば、金の薄層上に酵素をより高密度に固定化することが可能となり、光照射による生成物の生成効率の向上が期待できる。
実施例1
1)電子伝達体の調製
三角フラスコに4−メチルピリミジウム沃化物(C1111IN、分子量:298.13)0.1g(0.3354ミリモル)を採り、50mlのアセトニトリルに溶解した。ホットスターラーで加熱攪拌しながら、予めアセトニトリルに溶解しておいた11−ブロモウンデカン酸(C1121BrO、分子量=265.19)0.8895g(3.354ミリモル)を加え、85℃に保ちながら約5時間攪拌した。加熱・攪拌終了後、放冷し、15時間後に沈殿物を吸引ろ過し、デシケータで乾燥して、合成物を得た。
沈殿物ができることによって、下記の化学式で示される電子伝達体(化学修飾MV1と略記する。)であることを確認した。
Figure 0005542270
(但し、式中、Rはメチル基、FGはCOOH、nは10である。)
2)光合成基板の作製
図3に示す工程に従って、上記の電子伝達体である化学修飾MV1および下記の材料を用い、以下の操作工程によって、光合成基板を作製した。
イ)材料
基材としてのTLC(薄層クロマトグラフィー)プレート(TLC用のワットマン社(Whatman)社のフレキシブルプレート(250μm、AL層SIL G)(1.4×2.8cm)
金コロイド(金GC5nm、ポリサイエンス社)
電子伝達体:化学修飾MV1
光増感色素分子:クロリン(タマ生化学社製、クロリンe6 トリナトリウム塩)
酵素:ギ酸脱水素酵素(Roche社製)
ロ)光合成基板の作製工程
金コロイド水溶液(濃度10ppm)にTLCプレートを1日間浸漬した後、乾燥して、金コロイド担持TLCプレートを調製した。分光光度計を用いて浸漬前後の溶液の525nmの吸光度を測定し、その差から金コロイド担持量を見積った。
クロリン(濃度5mM)、化学修飾MV1(5mM)の混合溶液(溶媒:メタノール)に前記の金コロイド担持TLCプレートを1日間浸漬した後、乾燥して、クロリンおよび化学修飾MV1担持TLCプレートを調製した。分光光度計を用いて浸漬前後の溶液の680nmおよび270nmの吸光度を測定し、その差からクロリンおよび化学修飾MV1の固定化量を見積もった。
ギ酸脱水素酵素水溶液(濃度5Units/mL)に前記のクロリンおよび化学修飾MV1担持TLCプレートを1日間浸漬した後、乾燥して、クロリン、化学修飾MV1およびギ酸脱水素酵素担持TLCプレートである光合成基板を作製した。分光光度計を用いて浸漬前後の溶液の280nmの吸光度もしくはギ酸1mMに対する酵素の活性測定により、ギ酸脱水素酵素の固定化量を見積った。
得られた光合成基板に固定された各成分の量を以下に示す。
化学修飾MV1:0.5μmol/プレート(1.4×2.8cm)
クロリン:0.5μmol/プレート(1.4×2.8cm)
ギ酸脱水素酵素:0.38U/プレート(1.4×2.8cm)
実施例2
光合成反応
実施例1で作製した光合成基板2枚を用いて図4に示す構成の光合成反応装置を作製した。次いでこの光合成反応装置を用いて、容器からポンプで原料溶液(NADPH、COを含む炭酸水溶液)を基板部分へ流通させながら、基板部分に光照射した。流通している反応溶液(未反応のCO、生成したギ酸および水を含む)の一部を一定時間経過後に採取し、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)でギ酸生成濃度を分析した。9時間ほど継続して光合成反応を行った。結果をまとめて図6に示す。
比較例1
光合成反応
電子伝達体として化学修飾MV1、光増感色素分子および酵素を基材に固定しないで、下記の組成の原料溶液を、基板に代えてTLCプレートを用いて光合成反応装置に流通させた他は実施例2と同様にして、原料溶液(NADPH、CO)を流通させながら、TLCプレートの基板部分に光照射した。流通している反応溶液の一部を一定時間毎に採取して一定時間経過毎にHPLCでギ酸生成濃度を分析した。6時間ほど継続して光合成反応を行った。結果をまとめて図6に示す。
溶液系反応液組成
化学修飾MV1:0.05mM
光増感色素分子:クロロフィリン(Chlorophylin)0.05mM
酵素:ギ酸脱水素酵素0.0375Units/mL
犠牲試薬:NADPH 20mM リン酸緩衝溶液(pH8.0)20mL
実施例2と比較例1の結果をまとめて示す図6から、反応原料溶液をこの発明の光合成基板部分へ流通させながら基板部分に光照射して光合成反応を行わせることにより、電子伝達体、光増感色素分子および酵素を基板に固定せずに溶液中に分散させて流通させながら光照射する溶液系に比べて4倍以上に反応効率(変換収率)が向上していることが理解される。
実施例3
光合成基板の作製
基材としてのTLCプレート(TLC用のワットマン社のフレキシブルプレート 250μm Al層 SIL G)を28x14mmに切断した。0.01M塩酸水溶液をシャーレに入れ、静かに基材全体を30分浸漬させた後、イオン交換水で表面をよく洗った。電気炉で100℃、30分乾燥させた後、卓上デシケータで30分乾燥させた。
金スパッタリング装置(JEOL JFC−1600 オートファインコータ)で電流40mA、30秒間スパッタリングを行い、金ナノ粒子を固定化した。
次いで、下記の成分を用いて基材に固定した。
光増感色素分子:クロリンe6 トリナトリウム塩(タマ生化学社製)
電子伝達体:化学修飾MV1
酵素:ギ酸脱水素酵素(Roche社製)
5.6mlの各成分の比率(モル比)が光増感色素分子/電子伝達体=6μM:50μM、6μM:120μM、6μM:300μM、20μM:120μM、20μM:300μM、60μM:50μM、60μM:120μM、60μM:300μMの各々のメタノール混合溶液を規格瓶に入れ、金スパッタ直後の基板を25℃で21時間浸漬後、メタノールで表面を洗浄した。基板を図4と同様のリアクターにセットし、10mlのメタノールを10分間循環させることにより、物理吸着した光増感色素分子、電子伝達体を溶出させた後、デシケータで一晩乾燥させた。
5UM/mlに調整した酵素溶液0.8mlに基板を4℃で1時間浸漬した後、約1mlのBis−Trisバッファーで表面を洗浄した。基板をリアクターにセットし、10mlのバッファーを1時間循環させることにより、物理吸着した酵素を溶出させて光合成基板を作製した。
ギ酸生成の光合成反応
得られた光合成基板をリアクターにセットし、COをバブリングした20mM NADPH、Bis−Trisバッファー水溶液からなる反応原料溶液10mlを循環させながら、キセノンランプ(YSS−E40、山下電装株式会社製)を用いて100mW/cmの強度で比光照射した。光照射後30分、1時間、2時間、3時間後の循環溶液をサンプリングし、イオンクロマトグラフ(ICS−2000、DIONEX社製)によりギ酸生成量を定量した。最小二乗法によりギ酸生成速度を求めた。
得られた結果を、光増感色素分子/電子伝達体の固定化比率(モル比)に対するギ酸生成速度の関係としてまとめて図7に示す。
図7の結果から、光増感色素分子/電子伝達体の固定化比率(モル比)が0.2を上回るとギ酸生成速度が著しく向上し、0.5で最大となった。その後、光増感色素分子の固定化量が限界に達する固定化比率(モル比)1.2においても高いギ酸生成速度が維持されている。
この結果から、前記の光増感色素分子/電子伝達体の固定化比率(モル比)は0.2〜1.2が好適であり、特に0.35〜0.85が好適であると理解される。
実施例4
基材の塩酸処理
実施例3に記載の方法と同様にしてTLCプレートを28x14mmを用いて金スパッタリング装置(JEOL JFC−1600 オートファインコータ)でスパッタリングを行い、金ナノ粒子を固定化した基材を得た。
この金ナノ粒子を固定化した基材又は金ナノ粒子を固定化しなかった基材について、下記の条件で0.01Mの塩酸処理した場合と処理しない場合とで光増感色素分子の溶出への影響を確認した。
塩酸処理条件
処理時間:30分
処理温度:室温
上記の塩酸処理又は未処理の基材に光増感色素分子としてクロリンe6 トリナトリウム塩を固定化した後、基板をリアクターにセットし10mlのメタノールを10分間循環させるか、又は基板をメタノールに3時間浸漬させることにより、化学吸着していない(物理吸着した)クロリンを溶出させた。
得られた結果を、各種基板、各種溶出条件におけるクロリンの溶出率を表1に示す。
Figure 0005542270
表1の結果から、基材にクロリンを固定化後メタノールを10分間循環させた場合を比較する(実験1と実験4)と、塩酸処理をしない場合の方が溶出率が16倍に増加しており、塩酸処理によるクロリン固定化効果が顕著であった。基材にクロリン固定化後、メタノールに3時間浸漬させた場合を比較する(実験2と実験5)と、塩酸処理をしない場合の方が溶出率が8.5倍に増加しており、塩酸処理によるクロリン固定化効果が確認された。この結果から、基材の表面を塩酸などの酸を用いて酸処理することにより基材表面の−OHが−OHになり、−OHが光増感色素分子の−COOとの静電気的な親和力により結合力が増し、光増感色素分子の固定化強度が高められたことを示していると考えられる。
また、金ナノ粒子がない基材について比較する(実験3と実験6)と塩酸処理をしない場合、溶出率が3.4倍増加しており、金ナノ粒子がある場合の16倍と比較して、塩酸処理による効果は小さかった。このことは、クロリンの固定化強度に金ナノ粒子が影響していることを示唆している。
塩酸処理した基材を用いる光合成基板の作製
上記の実験2で得られたクロリンを固定化した基材を用いて、下記の各成分を実施例3と同様にして固定化して、クロリンの固定化強度の大きい光合成基板を作製し得る。
電子伝達体:化学修飾MV1
酵素:ギ酸脱水素酵素(Roche社製)
実施例5
スパッタリングによる基材への金ナノ粒子固定化
基材に金ナノ粒子を固定化する際に金スパッタリング装置を用いて固定化する方法と基材を金コロイド溶液に浸漬させて固定化する方法とを比較した。
金スパッタリング装置を用いる方法ではJEOL JFC−1600 オートファインコータで電流40mA、30秒間スパッタリングを行った。この場合、金はスパッタリング時間が短いため成膜せずに金ナノ粒子として基材表面に存在する。金コロイド溶液に浸漬させて固定化する方法では金コロイド溶液(Gold GC 5nm、コスモバイオ社製)5.6mlに基材を24時間浸漬した後、イオン交換水でよく洗浄した後、暗所で乾燥させた。
それぞれの基材をリアクターにセットし、Bis−Trisバッファー10mlを循環させ、1、2、3、4時間後の溶液をサンプリングし、吸光度測定装置により525nmの吸光度変化を測定し、金ナノ粒子の溶出率を算出した。結果を図8に示す。
図8の結果から、金スパッタリングによる金ナノ粒子はバッファー溶液を4時間循環させても全く溶出しなかったのに対し、金コロイド溶液による金ナノ粒子は2時間で約20%流出した。
スパッタリングによる金ナノ粒子固定化基材を用いる光合成基板の作製
上記のスパッタリング固定化で得られた金ナノ粒子固定化基材を用いて、下記の各成分を実施例3と同様にして固定化して、金ナノ粒子の固定化強度の大きい光合成基板を作製し得る。
光増感色素分子:クロリンe6 トリナトリウム塩(タマ生化学社製)
電子伝達体:化学修飾MV1
酵素:ギ酸脱水素酵素(Roche社製)
本発明の光合成基板、光合成反応によって、光照射によって高い反応効率で温室効果ガスの二酸化炭素を有用な化学原料物質に変換することを可能とし得る。
1 光合成基板
2 金コロイド粒子
3 基材
4 化学修飾された電子伝達体
5 光増感色素分子
6 酵素

Claims (9)

  1. 基材の少なくとも表面に電子伝達体、前記電子伝達体との比率(光増感色素分子/電子伝達体、モル比)が0.2〜1.2である光増感色素分子および酸化還元酵素を固定してなる光照射による物質変換用の光合成基板。
  2. 電子伝達体が、下記一般式
    Figure 0005542270
    (但し、式中、Rはメチル基、FGはCOOH、NH、OH又はSHを、nは1〜29の整数を意味する。)
    で示される化合物である請求項1に記載の光合成基板。
  3. 酵素が、チオール基(−SH)を有し、該チオール基によって基板上に設けた金属層に固定してなる請求項1に記載の光合成基板。
  4. 金属層が金属ナノ粒子を分散させたものである請求項3に記載の光合成基板。
  5. 光増感色素分子が、基材にスパッタリングにより形成された金属ナノ粒子上に固定されている請求項4に記載の光合成基板。
  6. 基材の少なくとも表面に電子伝達体、前記電子伝達体との比率(光増感色素分子/電子伝達体、モル比)が0.2〜1.2である光増感色素分子および酸化還元酵素を固定する光照射による物質変換用の光合成基板の製造方法。
  7. 基材を酸処理した後、光増感色素分子を固定する請求項6に記載の光合成基板の製造方法。
  8. 光照射下に、反応原料溶液を請求項1に記載の光合成基板に接触させる光合成反応法
  9. 光照射下に、反応原料溶液が流れる流路内面を請求項1に記載の光合成基板として使用してなる光合成装置。
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