JP5541395B2 - 太陽電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、安価で高効率を有する太陽電池の製造方法に関する。
単結晶や多結晶シリコン基板を用いた量産用太陽電池の概観を図1に示す。受光面の集電電極として、フィンガー電極(101)とよばれる数百〜数十μm幅の電極を多数有し、また、太陽電池セルを連結するための集電電極としてバスバー電極(102)を数本有するのが一般的である。この電極の形成方法としては、蒸着法、スパッタ法などを利用してもよいが、コストの面から、銀などの金属微粒子を有機バインダーに混ぜた金属ペーストを、スクリーン版などを用いて印刷し、数百度で熱処理を行って基板と接着する方法が広く利用されている。
太陽電池の光電変換効率の高効率化のためには、電池の内部直列抵抗を極力低下させる必要があり、電極には高い電気伝導性が求められる。このためには、電気伝導率が高い銅もしくは銀を用いるのが有効である。銅は銀に比べ非常に安価であることから、コスト低下に極めて有効であるが、下記理由から銅は殆ど用いられていない。
太陽電池はセル1枚の発電量が小さいため、普通数枚連結して使用される。連結には、製造コストや作業の容易性等の観点から、連結用の配線をバスバー電極にはんだ付けするのが一般的である。銅は銀に比べはんだ濡れ性が悪いため、セル連結の際の信頼性が低下してしまうおそれがあった。
特開平7−90204号公報(特許文献1)では銀銅合金を、特開2001−15782号公報(特許文献2)では銀ペーストに銅微粒子を加えるなどの提案がなされているが、いずれも銀を使用しており、コスト高につながってしまう。
一方、特開2008−42095号公報(特許文献3)に示される方法は、同一装置・同一製版でペースト印刷を積層していく手法であり、半導体基板に直接接合する第一電極層及び配線と接合される最表層の電極層を銀にし形成するものであるが、更にコストの低下が望まれる。
特開平7−90204号公報 特開2001−15782号公報 特開2008−42095号公報
本発明は、上記要望に応えたもので、製造コストを大幅に低減することを可能にした太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、PN接合が形成された半導体基板と、該半導体基板の少なくとも片面上に櫛歯状に形成されたフィンガー電極と、該フィンガー電極に接続するバスバー電極とを具備する太陽電池において、基板に直接接着する第一電極層を銅ペーストで形成し、連結用配線と接着する最表層電極を銀ペーストで形成すれば、性能を損なうことなくはんだ付け可能な太陽電池が製造でき、更にコスト低下を達成することができることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
従って、本発明は、PN接合が形成された半導体基板と、該半導体基板のPN接合形成面上に櫛歯状のフィンガー電極及び該フィンガー電極に接続するバスバー電極からなる受光面電極とを具備する太陽電池の製造方法であって、上記半導体基板のPN接合形成面上に反射防止膜を形成し、次いで受光面電極を形成する際に、バスバー電極として反射防止膜上に導電性材料として銅の微粒子のみを含有する第一導電性ペーストを印刷し、更にその上に銀、ニッケル、パラジウム、白金又は金を含有する第二導電性ペーストを第一導電性ペーストの印刷層を覆って積層して印刷した後に、焼成して上記反射防止膜を貫通させると共に、上記第一導電性ペーストから形成され上記半導体基板と直接接合する第一電極層と、上記第二導電性ペーストから形成され配線と接合される最表層となる第二電極層とからなり最表層に銅が露出しない2層構造の電極を形成する太陽電池の製造方法を提供する。電極ペーストとして銅を含有するペーストを用いることで、銀ペーストの場合に比べ、内部抵抗を維持したままコスト低下が可能となる。
この場合、上記第一導電性ペーストは、銅の微粒子を30〜90質量%含有することが好ましい。即ち、ペースト中の銅の微粒子の含有量は多いほどコスト低下につながり好ましいが、印刷性の観点からは、30〜90質量%であることが望ましい。
また、上記フィンガー電極として、上記第一導電性ペーストを印刷し、焼成して上記半導体基板と直接接合する電極を形成することが好ましい。
更に、フィンガー電極パターンとバスバー電極パターンを同時に印刷できるスクリーン版を用いて反射防止膜上に上記第一導電性ペーストを印刷し、更に同じスクリーン版を用いて上記第二導電性ペーストを積層して印刷した後に、焼成して上記2層構造のフィンガー電極及びバスバー電極を形成することが好ましい。この際、基板と接触する第一電極層を銅ペーストで形成し、配線と接合される最表層の電極層を銀等の銅以外の物質を含有するペーストを用いて形成すれば、太陽電池の性能を損なうことなく配線との接着強度が維持される。
本発明により、太陽電池の性能を損なうことなく、また、配線とのはんだ付けの信頼性も維持したまま、太陽電池の製造コストを大幅に低減することが可能となる。また、本発明はペーストの変更を行うのみであり、設備の変更が不要であるため、実施が極めて容易である。
本発明に係る、一般的な太陽電池の電極の配置図である。 本発明に係る、フィンガー電極の一例を示す断面図である。 本発明に係る、バスバー電極の一例を示す断面図である。 本発明に係る、フィンガー電極の他の例を示す断面図である。 本発明に係る、フィンガー電極の別の例を示す断面図である。 本発明に係る、バスバー電極の他の例を示す断面図である。
本発明の太陽電池は、PN接合が形成された半導体基板と、該半導体基板の少なくとも片面上に櫛歯状に形成されたフィンガー電極と、該フィンガー電極に接続するバスバー電極とを具備する太陽電池であって、少なくともフィンガー電極が銅もしくは銅化合物の微粒子を含有する導電性ペーストが印刷され焼成されたもので構成されたものである。
この場合、バスバー電極も銅もしくは銅化合物の微粒子を含有する導電性ペーストにて形成することができ、また、少なくともバスバー電極、場合によってはフィンガー電極も2層以上の多層構造を有するように形成することができ、この際、少なくとも上記半導体基板に直接接合するバスバー電極の第一電極層及び/又はフィンガー電極の第一電極層が銅もしくは銅化合物の微粒子を含有する導電性ペーストにより構成されることが好ましく、この場合、配線と接合される最表層の電極層は、銀等の物質を含有するペーストを用いて形成してもよい。また、フィンガー電極がバスバー電極のいずれかの層と同一のペーストを用いて形成することができる。
ここで、上記銅もしくは銅化合物の微粒子を含有する導電性ペーストとしては、銅もしくは銅化合物の微粒子の含有量が銅換算で30〜90質量%、特に60〜80質量%のものが好ましい。銅化合物としては、金、銀、亜鉛、錫、ニッケル等の遷移金属のうちの1以上からなる合金等が挙げられ、上記微粒子の平均粒径としては、走査型電子顕微鏡による測定法で、0.15〜15μm、特に1〜5μmであることが好ましい。
上記導電性ペーストのその他の成分としては、公知の成分が用いられ、例えば、エチルセルロース、ターピオネール等のバインダーを1〜20質量%、特に2〜15質量%の割合で用いられる他、基板との密着性を確保するためガラス粉末等を1〜20質量%の割合で使用することができる。
また、上記銀等の物質を含有するペーストとしては、導電性材料として銀、チタン、ニッケル、パラジウム、白金、金等の銅又は銅化合物以外のものが使用でき、その他の成分は上記銅含有導電性ペーストと同様である。
以下、本発明の太陽電池の作製方法の一例を述べる。但し、本発明はこの方法で作製された太陽電池に限られるものではない。
高純度シリコンにホウ素あるいはガリウムのようなIII族元素をドープし、比抵抗0.1〜5Ω・cmとしたアズカット単結晶{100}p型シリコン基板表面のスライスダメージを、濃度5〜60質量%の水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのような高濃度のアルカリ、もしくは、ふっ酸と硝酸の混酸等を用いてエッチングする。単結晶シリコン基板は、CZ法、FZ法いずれの方法によって作製されてもよい。
引き続き、基板表面にテクスチャとよばれる微小な凹凸形成を行う。テクスチャは太陽電池の反射率を低下させるための有効な方法である。テクスチャは、加熱した水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ溶液(濃度1〜10質量%、温度60〜100℃)中に10〜30分程度浸漬することで容易に作製される。上記溶液中に、所定量の2−プロパノールを溶解させ、反応を促進させることが多い。
テクスチャ形成後、塩酸、硫酸、硝酸、ふっ酸等、もしくはこれらの混合液の酸性水溶液中で洗浄する。経済的及び効率的見地から、塩酸中での洗浄が好ましい。清浄度を向上させるため、塩酸溶液中に、0.5〜5%の過酸化水素を混合させ、60〜90℃に加温して洗浄してもよい。
この基板上に、オキシ塩化リンを用いた気相拡散法によりエミッタ層を形成する。一般的なシリコン太陽電池は、PN接合を受光面にのみ形成する必要があり、これを達成するために基板同士を2枚重ね合わせた状態で拡散したり、拡散前に裏面にSiO2膜やSiNx膜等を拡散マスクとして形成して、裏面にPN接合ができないような工夫を施す必要がある。拡散後、表面にできたガラスをふっ酸等で除去する。なお、窒化珪素膜(SiNx膜)は化学量論比ではSi34の組成をとるが、マスク性を高めたり、後述のように反射防止膜として有効となるよう、通常化学量論比よりSiを多めにして使用することが多く、本発明においては便宜上SiNxと記述してある。
次に、受光面の反射防止膜形成を行う。製膜にはプラズマCVD装置等を用いSiNx膜を約100nm製膜する。反応ガスとして、モノシラン(SiH4)及びアンモニア(NH3)を混合して用いることが多いが、NH3の代わりに窒素を用いることも可能であり、また、プロセス圧力の調整、反応ガスの希釈、更には、基板に多結晶シリコンを用いた場合には基板のバルクパッシベーション効果を促進するため、反応ガスに水素を混合することもある。CVDの反応ガスの励起方法としては、前述のプラズマによるもののほか、熱CVDや光CVD等を用いてもよい。
次いで、裏面電極及び受光面の電極をスクリーン印刷法で形成する。上記基板の裏面に、Al粉末を有機物バインダで混合したペーストをスクリーン印刷する。印刷後、3〜30分間600〜800℃の温度で焼成して、裏面電極が形成される。裏面電極形成は製造コストの観点から印刷法によるほうが好ましいが、蒸着法、スパッタ法等で作製することも可能である。
受光面電極もスクリーン印刷法を用いる。印刷製版として、バスバー・フィンガーが同時に印刷できる製版を用いるのが生産性が向上し、好ましい。第一電極層には銅を含有するペーストを用い、コスト低下を図る。第二電極層には、第一電極層と同一の製版を用いて銀を含有するペーストを印刷する。結果として、フィンガー電極の断面は図2に示す構造となり、1層のみの場合に比べ電気抵抗は大幅に低下する。なお、図2中、200は基板、203は銅又は銅化合物の微粒子を含有する導電性ペースト(以下、銅ペーストという)にて形成されたフィンガー第一電極層、204は銀を含有する導電性ペースト(以下、銀ペーストという)にて形成されたフィンガー第二電極層である。また、バスバー電極の断面は図3に示す構造となり、最表層に銅が露出しないため、はんだ付けによる配線との接着強度信頼性が高まる。なお、図3中、300は基板、303は銅ペーストにて形成されたバスバー第一電極層、304は銀ペーストにて形成されたバスバー第二電極層である。第一電極層・第二電極層の印刷用製版のパターンをそれぞれ異なるものにすれば、フィンガー電極は図4や図5に示す構造をとることも可能である。バスバー電極上には配線が接続されるから、バスバーの配線抵抗は下げる必要はないため、バスバーは図6に示す構造としてもよい。
ここで、図4中、400は基板、403は銅ペーストにて形成されたフィンガー第一電極層、図5中、500は基板、504は銀ペーストにて形成されたフィンガー第一電極層、503は銅ペーストにて形成されたフィンガー第二電極層、図6中、600は基板、604は銀ペーストにて形成されたバスバー第一電極層である。
これらの印刷の後、熱処理によりSiNx膜に銀粉末を貫通させ(ファイアースルー)、電極とシリコンを導通させる。なお、裏面電極及び受光面電極の焼成は一度に行うことも可能である。
金属ペーストの単価はほぼ材料金属の単価で決定されている。銀に比べ銅は50分の1程度の単価であるから、ペーストの単価もおよそ50分の1となる。従来の製法による太陽電池セル製造の際の全材料費に占める銀ペーストの割合は12%程度であるが、本発明により、受光面の電極ペーストの占める割合は6%程度まで半減することができる。本発明によれば、製版や印刷機等は現状設備から変更する必要はないため、製造コストには設備投資は積み増しされず単純に材料費の低減分太陽電池の製造コストが低減され、非常に有効である。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例、比較例]
本発明の有効性を確認するため、第一電極層に銅ペーストを使用した場合の条件A(実施例)と銀ペーストを使用した場合の条件B(比較例)で特性の比較を行った。第二電極層は両条件とも銀ペーストとした。
100×100mm2、厚さ250μm、比抵抗1Ω・cmの、ホウ素ドープ{100}p型アズカットシリコン基板60枚に対し、熱濃水酸化カリウム水溶液によりダメージ層を除去後、水酸化カリウム/2−プロパノール水溶液中に浸漬し、テクスチャ形成を行い、引き続き塩酸/過酸化水素混合溶液中で洗浄を行った。次に、オキシ塩化リン雰囲気下、870℃で裏面同士を重ねた状態で熱処理し、エミッタ層を形成した。拡散後、ふっ酸にてガラスを除去し、洗浄、乾燥させた。
以上の処理の後、プラズマCVD装置を用いてSiNx膜を受光面反射防止膜として全試料に対し形成した。
次に、裏面電極としてAlペーストを裏面全面にスクリーン印刷し、180℃のホットプレート上で乾燥した。
次いで、上記のうち30枚に対し、受光面の第一電極層として銅ペーストを印刷し、乾燥した(条件A)。銅ペーストの粘度は有機溶剤で180Pa・s程度に調整し、断線やにじみは殆ど発生しなかった。残りの30枚には、比較例として銀ペーストを印刷し乾燥した(条件B)。
引き続き第一電極層と同じ製版を使用して、全試料に対して第二電極層として銀ペーストを印刷した。この際、第二電極層が第一電極層の真上にのるよう適宜ステージの微調整を行った。印刷後乾燥し、最後に780℃の空気雰囲気下で焼成した。
なお、銅ペーストの組成は以下の通りであった。銅約76質量%、エチルセルロース約8質量%、ターピオネール約4質量%、ガラス粉末約5質量%、有機溶媒約7質量%を追加して粘度調整して使用した。
また、銀ペーストの組成は以下の通りであった。銀約86質量%、エチルセルロース約5質量%、ターピオネール約2質量%、ガラス粉末約3質量%、有機溶媒約4質量%を追加して粘度調整して使用した。
山下電装社製ソーラーシミュレータを用いてAM1.5スペクトル、照射強度100mW/cm2、25℃の条件下で、作製されたセルの太陽電池特性を測定した。得られた結果の平均値を表1に示す。
Figure 0005541395
条件Aは形状因子がわずかに低下したが、短絡電流が向上して変換効率は比較例と同等となった。
各条件からそれぞれ任意の10枚を抜取り、連結用の配線をはんだ付けして引っ張り強度試験を実施した。どのセルも配線の剥離は認められなかった。
100、200、300、400、500、600 基板
101 フィンガー電極
102 バスバー電極
203、303、403、503 銅ペースト
204、304、504、604 銀ペースト

Claims (4)

  1. PN接合が形成された半導体基板と、該半導体基板のPN接合形成面上に櫛歯状のフィンガー電極及び該フィンガー電極に接続するバスバー電極からなる受光面電極とを具備する太陽電池の製造方法であって、上記半導体基板のPN接合形成面上に反射防止膜を形成し、次いで受光面電極を形成する際に、バスバー電極として反射防止膜上に導電性材料として銅の微粒子のみを含有する第一導電性ペーストを印刷し、更にその上に銀、ニッケル、パラジウム、白金又は金を含有する第二導電性ペーストを第一導電性ペーストの印刷層を覆って積層して印刷した後に、焼成して上記反射防止膜を貫通させると共に、上記第一導電性ペーストから形成され上記半導体基板と直接接合する第一電極層と、上記第二導電性ペーストから形成され配線と接合される最表層となる第二電極層とからなり最表層に銅が露出しない2層構造の電極を形成する太陽電池の製造方法。
  2. 上記第一導電性ペーストは、銅の微粒子を30〜90質量%含有することを特徴とする請求項1記載の太陽電池の製造方法。
  3. 上記フィンガー電極として、上記第一導電性ペーストを印刷し、焼成して上記半導体基板と直接接合する電極を形成することを特徴とする請求項1又は2記載の太陽電池の製造方法。
  4. ィンガー電極パターンとバスバー電極パターンを同時に印刷できるスクリーン版を用いて反射防止膜上に上記第一導電性ペーストを印刷し、更に同じスクリーン版を用いて上記第二導電性ペーストを積層して印刷した後に、焼成して上記2層構造のフィンガー電極及びバスバー電極を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の太陽電池の製造方法。
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