JP5541128B2 - 反射型マスク、反射型マスクの製造方法、および反射型マスク欠陥修正装置 - Google Patents
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Description
EUVマスクにおいても、フォトマスクと同様に堆積膜形成による白欠陥修正が可能である。例えば特許文献2には、EUVマスクの白欠陥修正方法としてFIBおよびEBを用いたCVD法が開示されている。
例えば、EUVマスクにおけるコンタミネーションクリーニング技術として、水素ラジカルクリーニングが提案されている(学会:「Emerging Lithographic Technologies IX」、タイトル:「Contamination Removal from EUV Multilayer Using Atomic Hydrogen Generated by Heated Catalyzer」、講演者:H. Oizumi et. al.、講演集:Proc. SPIE vol.5751 (2005) 140)。
特許文献3に記載されているような多層膜の周期構造の規則性を破壊する方法において、FIBとしてガリウムイオンなどの原子量が比較的大きいイオンを用いた場合には、FIBの侵入深さが浅いため、多層膜中の数層までしか周期構造の規則性を破壊することができず、EUVマスクとして必要なコントラストが得られない。そこで、特許文献3には、FIBの侵入深さが十分ではない場合には、多層膜の周期構造の規則性を破壊してなる非反射部上に吸収体を形成することにより、白欠陥を修正する方法が提案されている。
しかしながら、多層膜の周期構造の規則性を破壊してなる非反射部上に吸収体を形成する際に、非反射部上に上記堆積膜を形成する場合には、上述のように洗浄による堆積膜の体積縮小が問題となる。
EUVリソグラフィにおいて高い転写精度を実現するには、吸収層が全く欠落している白欠陥だけでなく、吸収層の膜厚が薄くなっている白欠陥を修正することが重要となってくる。
本発明の反射型マスクは、基板と、上記基板上に形成された多層膜と、上記多層膜上にパターン状に形成された吸収層とを有する反射型マスクであって、上記吸収層の膜厚不足に起因する白欠陥部に位置する上記多層膜の周期構造の規則性が乱された修正部を有し、上記白欠陥部に位置する上記吸収層が当初から設けられているものであることを特徴とするものである。
図1は、本発明の反射型マスクの一例を示す概略断面図である。図1に例示するように、反射型マスク1は、基板2と、基板2上に形成された多層膜3と、多層膜3上に形成されたキャッピング層4と、キャッピング層4上にパターン状に形成された吸収層6とを有している。また、反射型マスク1は、吸収層6の膜厚不足に起因する白欠陥部10を有しており、白欠陥部10に位置する多層膜3の周期構造の規則性が乱された修正部13を有している。この修正部13は、多層膜3の周期構造の規則性が乱されているので、EUV反射率の低い領域となる。白欠陥部10に位置する吸収層6は当初から設けられているものであり、白欠陥部10以外の領域に位置する吸収層6と連続して形成されている。
本発明における白欠陥部は、吸収層の膜厚不足に起因するものである。
ここで、反射型マスクの欠陥検査においては、検査光として例えば深紫外線(DUV:Deep Ultra Violet)が使用される。反射型マスクは、露光光であるEUVに対して高いコントラストを確保できるように多層膜および吸収層が設計されているが、多層膜および吸収層は検査光として使用するDUVに対しては反射率の差が小さい場合が多い。そのため、吸収層はDUVに対しても反射率が十分小さくなるように表面処理されていることが好ましい。表面処理としては、例えば、吸収層表面に自然酸化膜を形成する、あるいは、吸収層表面に酸素を導入する方法を用いる方法が挙げられる。すなわち、図2に例示するように、吸収層6の表面には酸化膜7が形成されていることが好ましい。酸化膜7は検査光を吸収するので、欠陥検査の精度を向上させることができる。吸収層6の表面に酸化膜7が形成されている場合、EUV露光時には吸収層内部6aでEUVが主に吸収されることになる。
一般的に、酸化膜7の厚みは吸収層6全体の厚みの3分の1以下、吸収層内部6aの厚みは吸収層6全体の厚みの3分の2以上とされる。そのため、吸収層内部6aの厚みが吸収層6全体の厚みの3分の2以下であると、EUV露光時にEUVを十分に吸収することができず、転写特性が劣化するおそれがある。すなわち、ある領域の吸収層の膜厚が、他の領域の吸収層の膜厚の3分の2以下である場合、その領域では、EUV露光時にEUVを十分に吸収することができず、転写特性が劣化するおそれがあるのである。したがって、白欠陥部に位置する吸収層の膜厚が、白欠陥部以外の領域に位置する吸収層の膜厚の3分の2以下である場合に、白欠陥修正が有効である。
なお、白欠陥部に位置する吸収層の膜厚の下限は特に限定されるものではなく、0nmよりも大きければよい。
なお、白欠陥部が独立して存在する場合においても、白欠陥部に位置する吸収層が当初から設けられているものであることは、上述の方法により確認することが可能である。
なお、吸収層の材料および形成方法等については、後述の吸収層の項に記載するので、ここでの説明は省略する。
本発明における修正部は、吸収層の膜厚不足に起因する白欠陥部に位置する多層膜の周期構造の規則性が乱された部分である。
多層膜を構成する層のうち、周期構造の規則性が乱されている層の数としては、白欠陥修正領域のEVU反射率を吸収領域のEUV反射率と同程度とすることができれば特に限定されるものではなく、白欠陥部に位置する吸収層の膜厚や材料等に応じて適宜選択される。例えば、多層膜中のすべての層の周期構造の規則性が乱されていてもよく、多層膜中の4分の3程度の層の周期構造の規則性が乱されていてもよい。白欠陥修正領域のEVU反射率が2%程度となるのであれば、多層膜中のすべての層の周期構造の規則性が乱されている必要はない。
本発明に用いられる多層膜は、基板上に形成されるものである。
多層膜の成膜方法としては、例えば、イオンビームスパッタ法やマグネトロンスパッタ法などが用いられる。
本発明における吸収層は、多層膜上にパターン状に形成されるものであり、本発明の反射型マスクを用いたEUVリソグラフィにおいてEUVを吸収するものである。
なお、吸収層をパターン状に形成する方法については、後述の「B.反射型マスクの製造方法」の項に記載するので、ここでの説明は省略する。
本発明においては、多層膜と吸収層との間にキャッピング層が形成されていてもよい。キャッピング層は、多層膜の酸化防止や、反射型マスクの洗浄時の保護のために設けられるものである。キャッピング層が形成されていることにより、多層膜の最表面がSi膜やRu膜である場合には、Si膜やRu膜が酸化されるのを防ぐことができる。Si膜やRu膜が酸化されると、多層膜の反射率が低下するおそれがある。
本発明において、多層膜上に後述のバッファ層が形成されている場合には、通常、多層膜上にキャッピング層およびバッファ層の順に積層される。
また、キャッピング層の厚みとしては、例えば2nm〜15nm程度とすることができる。
キャッピング層の成膜方法としては、スパッタリング法等を挙げることができる。
本発明においては、多層膜と吸収層との間にバッファ層が形成されていてもよい。バッファ層は、下層の多層膜に損傷を与えるのを防止するために設けられるものである。バッファ層が形成されていることにより、吸収層をドライエッチング等の方法でパターンエッチングする際に、下層の多層膜がダメージを受けるのを防止することができる。
このようなバッファ層の材料としては、例えば、SiO2、Al2O3、Cr、CrN等が挙げられる。
バッファ層の成膜方法としては、例えば、マグネトロンスパッタ法、イオンビームスパッタ法などが挙げられる。SiO2を用いる場合は、RFマグネトロンスパッタ法によりSiO2ターゲットを用いてArガス雰囲気下で、多層膜上にSiO2を成膜するのが好ましい。
白欠陥修正後のバッファ層の剥離方法としては、一般的なバッファ層の剥離方法を用いることができ、例えばドライエッチング等を挙げることができる。
本発明に用いられる基板としては、一般的に反射型マスクの基板に使用されるものを用いることができ、例えば、ガラス基板や金属基板を使用することができる。中でも、ガラス基板が好ましく用いられる。ガラス基板は、良好な平滑性および平坦度が得られるので、特に反射型マスク用基板として好適である。ガラス基板の材料としては、例えば、石英ガラス、低熱膨張係数を有するアモルファスガラス(例えばSiO2−TiO2系ガラス等)、β石英固溶体を析出した結晶化ガラス等が挙げられる。また、金属基板の材料としては、例えば、シリコン、Fe−Ni系のインバー合金等が挙げられる。
本発明の反射型マスクは、パターン転写のためのEUVの照射によって反射型マスクの表面に付着した付着物を洗浄する、すなわちコンタミネーションクリーニングを行うことが好ましい。本発明の反射型マスクは、上述したようにコンタミネーションクリーニングに対して耐性を有するので、洗浄による白欠陥修正領域での膜厚や寸法の変動をなくすことができ、洗浄後においても転写特性を維持することができる。また、反射型マスクをパターン転写に繰返し使用することで反射型マスクの表面に異物が付着し、反射型マスクの反射特性が変化した場合でも、コンタミネーションクリーニングを行うことにより、反射型マスクを容易に確実に再生することができる。
水素ラジカル処理では、反射型マスクを構成する材料の化学変化を起こさずに付着物を選択的に除去することができる。
本発明の反射型マスクの製造方法は、多層膜が形成された基板上に吸収層をパターン状に形成する吸収層形成工程と、水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウムまたはネオンをイオン源とするエネルギービームの照射により、上記吸収層の膜厚不足に起因する白欠陥部に位置する上記多層膜の周期構造の規則性を乱す修正工程とを有することを特徴とする。
本発明における吸収層形成工程は、多層膜が形成された基板上に吸収層をパターン状に形成する工程である。
本発明における修正工程は、水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウムまたはネオンをイオン源とするエネルギービームの照射により、上記吸収層の膜厚不足に起因する白欠陥部に位置する上記多層膜の周期構造の規則性を乱す工程である。
より具体的には、加速電圧は10kV〜100kVの範囲内であることが好ましい。イオン源が水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウムの場合、中でも10kV〜50kVの範囲内、特に10kV〜40kVの範囲内であることがより好ましい。また、イオン源がネオンの場合、中でも50kV〜100kVの範囲内、特に80kV〜100kVの範囲内であることがより好ましい。加速電圧が低すぎると、イオンの進入深さが白欠陥部の表面付近までとなり、白欠陥修正領域にて所望のEUV反射率を得ることが困難になる場合があり、加速電圧が高すぎると、反射型マスクがダメージを受けるおそれがあるからである。
また、イオン照射量は、1×1013 ions/cm2〜1×1019 ions/cm2の範囲内とすることができる。
本発明においては、上記吸収層形成工程前に、多層膜上にキャッピング層を形成するキャッピング層形成工程を行ってもよい。キャッピング層を形成することにより、多層膜の最表面がSi膜やRu膜である場合にはSi膜やRu膜が酸化されるのを防ぐことができ、また洗浄時に反射型マスクを保護することができる。
本発明においては、上記吸収層形成工程前に、多層膜上にバッファ層を形成するバッファ層形成工程を行い、上記修正工程後に、露出しているバッファ層を剥離するバッファ層剥離工程を行ってもよい。バッファ層を形成することにより、吸収層をパターニングする際に下層の多層膜がダメージを受けるのを防止することができる。
本発明において、上記キャッピング層形成工程を行う場合には、通常、キャッピング層形成工程後にバッファ層形成工程が行われる。
本発明の反射型マスク欠陥修正装置は、基板と、上記基板上に形成された多層膜と、上記多層膜上にパターン状に形成された吸収層とを有する反射型マスクの、上記吸収層の膜厚不足に起因する白欠陥部を修正する反射型マスク欠陥修正装置であって、上記反射型マスクに、水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウムまたはネオンをイオン源とするエネルギービームを照射する照射手段を備えることを特徴とするものである。
まず、欠陥検査装置において、白欠陥部の有無を検査し、白欠陥部が検出された場合には白欠陥部の位置を特定する。次に、本発明の反射型マスク欠陥修正装置において、欠陥検査装置から白欠陥部の位置情報を取得し、反射型マスクの白欠陥部にエネルギービーム鏡筒36から水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウムまたはネオンをイオン源32とするエネルギービームが照射されるように、反射型マスク1が設置されたステージ31を動かして反射型マスク1の位置決めを行う。ステージ31は、XYZ方向へ反射型マスク1を移動させるものであり、このステージ31を動かすことによって、集束イオンビーム37により反射型マスク1の白欠陥部を修正するための位置合わせを行う。
次に、反射型マスク1の白欠陥部に集束イオンビーム37を照射して、白欠陥部に位置する多層膜の周期構造の規則性を乱す。これにより、白欠陥部を修正することができる。
本発明における照射手段は、反射型マスクに、水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウムまたはネオンをイオン源とするエネルギービームを照射するものである。
本発明の反射型マスク欠陥修正装置は、上記照射手段の他に、反射型マスクを設置するステージ、反射型マスクを収容するチャンバー、欠陥検査装置から白欠陥部の位置情報を取得する位置情報取得手段、エネルギービームの照射を制御する照射制御手段等を有していてもよい。
反射型マスクへのイオン進入深さの加速電圧依存性をシミュレーションにより算出した。計算モデルは、酸化珪素からなる基板上に、モリブデン(膜厚2.8nm)および珪素(膜厚4.2nm)の40対からなる多層膜と、ルテニウムからなるキャッピング層(膜厚2.5nm)と、タンタルからなる吸収層(膜厚70nm)とが順に積層された積層体において、吸収層表面に各種イオンを照射するものとした。イオンは、水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウム、ネオンの5種類とし、加速電圧は10kV〜100kVに設定した。
酸化珪素からなる基板上に、モリブデン(膜厚2.8nm)および珪素(膜厚4.2nm)の40対からなる多層膜と、ルテニウムからなるキャッピング層(膜厚2.5nm)と、タンタルからなる吸収層(膜厚70nm)とが順に積層された積層体を準備した。積層体の吸収層の上から、1mm×1mmのエリアにヘリウムイオンを加速電圧20kV、照射量2×1017ions/cm2で照射した。その後、イオン照射部およびイオン未照射部のEUV反射率を測定するため、吸収層をすべてエッチング除去した。
また、本実験では、膜厚70nmの吸収層の上からイオンビームを照射しているが、吸収層の膜厚不足に起因する白欠陥部においても、同様の処理を行うことでEUV反射率を下げ得ることは自明である。
酸化珪素からなる基板上にモリブデン(膜厚2.8nm)および珪素(膜厚4.2nm)の40対からなる多層膜を形成し、多層膜上にルテニウムからなるキャッピング層(膜厚2.5nm)を形成し、キャッピング層上にタンタルからなる吸収層(膜厚70nm)をエッチング加工したパターンを形成した。
欠陥箇所にイオンビームを照射して多層膜の周期構造の規則性を乱すかわりに、欠陥箇所に従来技術に従って炭素を主成分とする堆積膜を形成したこと以外は、実施例3と同様にして反射型マスクを作製した。
欠陥修正箇所の洗浄処理前後の形状変化を評価した。洗浄方法は、EUV転写時に反射型マスク表面に付着したカーボンコンタミネーションを洗浄除去することを想定し、水素ラジカル、オゾンおよびVUV照射の各クリーニングを実施した。
比較例1の反射型マスクでは、すべての洗浄方式に対して、堆積膜が縮小することが確認された。
これに対して、実施例3の反射型マスクでは、欠陥修正箇所を各クリーニング前後で比較したところ、形状・寸法の変動は確認されなかった。
2 … 基板
3 … 多層膜
4 … キャッピング層
6 … 吸収層
10 … 白欠陥部
13 … 修正部
Claims (5)
- 基板と、前記基板上に形成された多層膜と、前記多層膜上にパターン状に形成された吸収層とを有する反射型マスクであって、
前記吸収層の膜厚不足に起因する白欠陥部に位置する前記多層膜の周期構造の規則性が乱された修正部を有し、
前記白欠陥部に位置する前記吸収層が当初から設けられているものであることを特徴とする反射型マスク。 - 前記白欠陥部に位置する前記吸収層と、前記白欠陥部以外の領域に位置する前記吸収層とが連続して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の反射型マスク。
- 多層膜が形成された基板上に吸収層をパターン状に形成する吸収層形成工程と、
水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウムまたはネオンをイオン源とするエネルギービームの照射により、前記吸収層の膜厚不足に起因する白欠陥部に位置する前記多層膜の周期構造の規則性を乱す修正工程と
を有することを特徴とする反射型マスクの製造方法。 - 前記エネルギービームの加速電圧が10kV〜100kVの範囲内であることを特徴とする請求項3に記載の反射型マスクの製造方法。
- 基板と、前記基板上に形成された多層膜と、前記多層膜上にパターン状に形成された吸収層とを有する反射型マスクの、前記吸収層の膜厚不足に起因する白欠陥部を修正する反射型マスク欠陥修正装置であって、
前記反射型マスクに、水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウムまたはネオンをイオン源とするエネルギービームを照射する照射手段を備えることを特徴とする反射型マスク欠陥修正装置。
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