JP5541128B2 - 反射型マスク、反射型マスクの製造方法、および反射型マスク欠陥修正装置 - Google Patents

反射型マスク、反射型マスクの製造方法、および反射型マスク欠陥修正装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5541128B2
JP5541128B2 JP2010274798A JP2010274798A JP5541128B2 JP 5541128 B2 JP5541128 B2 JP 5541128B2 JP 2010274798 A JP2010274798 A JP 2010274798A JP 2010274798 A JP2010274798 A JP 2010274798A JP 5541128 B2 JP5541128 B2 JP 5541128B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
multilayer film
reflective mask
absorption layer
white defect
regularity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010274798A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012124372A (ja
Inventor
剛 天野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2010274798A priority Critical patent/JP5541128B2/ja
Publication of JP2012124372A publication Critical patent/JP2012124372A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5541128B2 publication Critical patent/JP5541128B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)
  • Preparing Plates And Mask In Photomechanical Process (AREA)

Description

本発明は、極紫外線(EUV:Extreme Ultra Violet)リソグラフィに用いられる反射型マスクに関するものである。
半導体素子製造に使用するEUVリソグラフィ用反射型マスク(以下、EUVマスクと称する場合がある。)としては一般的に、基板上に多層膜が形成され、多層膜上に吸収層がパターン状に形成されたものが挙げられる(例えば特許文献1参照)。
EUVマスクの製造過程においては、吸収層をエッチング加工することでパターンを形成した後、通常、パターン欠陥を検査する。欠陥が見つかった場合には、欠陥を修正する。ここで、パターンが欠けている箇所は白欠陥と呼ばれる。
半導体素子製造用フォトマスク(以下、フォトマスクと称する場合がある。)の白欠陥の修正方法としては、集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)もしくは電子ビーム(EB:Electron Beam)を用いた化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)によって白欠陥に堆積膜を形成する方法が知られている。
EUVマスクにおいても、フォトマスクと同様に堆積膜形成による白欠陥修正が可能である。例えば特許文献2には、EUVマスクの白欠陥修正方法としてFIBおよびEBを用いたCVD法が開示されている。
また、X線または真空紫外線の反射型マスクの白欠陥の修正方法として、多層膜の周期構造の規則性を破壊することで非反射部を形成する方法が提案されている(例えば特許文献3参照)。特許文献3には、多層膜の周期構造の規則性を破壊する方法として、集束したイオンビームまたはレーザービーム等の集束エネルギービームを照射する方法や、レジストパターンの上からイオンシャワーを照射する方法が例示されている。
特開2002−319542号公報 特開2003−133206号公報 特開平7−240364号公報
従来、特許文献2に記載されているような白欠陥修正用のCVD法による堆積膜としては、堆積膜の形状制御の簡便さから、炭素を主成分とした膜が用いられている。フォトマスクの製造過程においては、通常、欠陥修正後に洗浄が行われており、主に薬液を用いた洗浄が行われている。そのため、堆積膜には、マスクの洗浄プロセスに対し耐性をもつことが要求される。炭素を主成分とした堆積膜は、薬液洗浄に対しては耐性があるため、従来では洗浄による体積縮小は問題視されていなかった。
一方、EUVマスクの場合、EUV露光によりEUVマスク表面に異物(コンタミネーション)が付着するため、一般的なフォトマスクでは行われない特殊な洗浄が必要となる。ここで、投影露光装置内において、EUVマスクを用いてEUVを照射する場合、環境は真空であるが、EUVマスクの周囲から酸素・水分、有機物を完全に排除することができない。そして、EUVは非常に大きなエネルギーをもつ。そのため、酸素・水分などとEUVマスクとがEUVに照射されることで酸化反応を起こしてしまう。また、有機物とEUVマスクとがEUVに照射されることで光化学気相堆積(光CVD)を起こし、EUVマスク表面に炭素膜(カーボンコンタミネーション)が生成してしまう。これらの現象により、EUVマスクの反射特性が低下する。よって、EUV照射後のEUVマスクを洗浄する必要があるのである。このコンタミネーションクリーニングは定期的に行うことが望ましい。
例えば、EUVマスクにおけるコンタミネーションクリーニング技術として、水素ラジカルクリーニングが提案されている(学会:「Emerging Lithographic Technologies IX」、タイトル:「Contamination Removal from EUV Multilayer Using Atomic Hydrogen Generated by Heated Catalyzer」、講演者:H. Oizumi et. al.、講演集:Proc. SPIE vol.5751 (2005) 140)。
EUVマスク表面に付着する異物(コンタミネーション)は、主にカーボンコンタミネーションであることが報告されている。炭素を主成分とする堆積膜はカーボンコンタミネーションと主成分が同じであることから、コンタミネーションクリーニングを行うと、カーボンコンタミネーションが除去されると共に堆積膜も除去されてしまい、堆積膜の厚みや寸法が変わってしまう。特に、水素ラジカルクリーニングの場合、水素ラジカルにより炭素を水素化物(例えばCH4)として気化させることで、カーボンコンタミネーションを除去することから、堆積膜の厚みや寸法の変動が起こる。堆積膜の厚みや寸法が変わると、白欠陥修正箇所の転写特性が劣化するという問題が生じる。
ここで、FIBとしては、関連分野での使用実績が多く、実用性が高いことから、ガリウムイオンが好ましく用いられている。
特許文献3に記載されているような多層膜の周期構造の規則性を破壊する方法において、FIBとしてガリウムイオンなどの原子量が比較的大きいイオンを用いた場合には、FIBの侵入深さが浅いため、多層膜中の数層までしか周期構造の規則性を破壊することができず、EUVマスクとして必要なコントラストが得られない。そこで、特許文献3には、FIBの侵入深さが十分ではない場合には、多層膜の周期構造の規則性を破壊してなる非反射部上に吸収体を形成することにより、白欠陥を修正する方法が提案されている。
しかしながら、多層膜の周期構造の規則性を破壊してなる非反射部上に吸収体を形成する際に、非反射部上に上記堆積膜を形成する場合には、上述のように洗浄による堆積膜の体積縮小が問題となる。
ところで、吸収層パターンが欠けている白欠陥には、吸収層が全く欠落している白欠陥と、吸収層の膜厚が薄くなっている白欠陥とがある。白欠陥の修正方法として多層膜の周期構造の規則性を破壊する方法を適用する場合、吸収層が全く欠落している白欠陥では、吸収層がないため多層膜へのイオンの侵入が阻害されることはないが、吸収層の膜厚が薄くなっている白欠陥では、吸収層によって多層膜へのイオンの侵入が阻害されることになる。したがって、吸収層の膜厚不足に起因する白欠陥を修正する際に、多層膜の周期構造の規則性を破壊する方法を適用する場合には、吸収層を透過するエネルギービームを使用する必要がある。
EUVリソグラフィにおいて高い転写精度を実現するには、吸収層が全く欠落している白欠陥だけでなく、吸収層の膜厚が薄くなっている白欠陥を修正することが重要となってくる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、コンタミネーションクリーニングを行っても転写特性を維持することが可能であり、吸収層の膜厚不足に起因する白欠陥を良好に修正することが可能な反射型マスク、反射型マスクの製造方法、および反射型マスク欠陥修正装置を提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、基板と、上記基板上に形成された多層膜と、上記多層膜上にパターン状に形成された吸収層とを有する反射型マスクであって、上記吸収層の膜厚不足に起因する白欠陥部に位置する上記多層膜の周期構造の規則性が乱された修正部を有し、上記白欠陥部に位置する上記吸収層が当初から設けられているものであることを特徴とする反射型マスクを提供する。
本発明によれば、白欠陥部に堆積膜が形成されているのではなく、白欠陥部に位置する多層膜の周期構造の規則性が乱されていることで白欠陥が修正されている。また、白欠陥部は吸収層の膜厚不足に起因するものであるので、修正部は吸収層で覆われており、この吸収層は当初から設けられているものであるので、一般的に洗浄プロセスに対して耐性を有する。したがって、本発明の反射型マスクは、コンタミネーションクリーニングを繰返し行っても、白欠陥修正領域での厚みや寸法の変動が少なく、白欠陥修正領域の転写特性を維持することが可能である。
上記発明においては、上記白欠陥部に位置する上記吸収層と、上記白欠陥部以外の領域に位置する上記吸収層とが連続して形成されていることが好ましい。一般的に、白欠陥部が独立して存在することは少なく、白欠陥部に位置する吸収層と白欠陥部以外の領域に位置する吸収層とが連続して形成されていることが多いからである。
また本発明は、多層膜が形成された基板上に吸収層をパターン状に形成する吸収層形成工程と、水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウムまたはネオンをイオン源とするエネルギービームの照射により、上記吸収層の膜厚不足に起因する白欠陥部に位置する上記多層膜の周期構造の規則性を乱す修正工程とを有することを特徴とする反射型マスクの製造方法を提供する。
本発明においては、原子量が小さい水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウム、ネオンをイオン源とするエネルギービームを照射するので、イオンの進入深さが深くなるため、多層膜中のほぼすべての層にわたって周期構造の規則性を乱すことができ、白欠陥を良好に修正することが可能となる。また本発明においては、白欠陥部に位置する多層膜の周期構造の規則性を乱すことで白欠陥を修正し、多層膜の周期構造の規則性が乱された修正部上には膜厚の薄い吸収層が存在するので、コンタミネーションクリーニングを繰返し行っても、白欠陥修正領域での厚みや寸法の変動が少なく、白欠陥修正領域の転写特性を維持することが可能な反射型マスクを得ることが可能となる。
上記発明においては、上記エネルギービームの加速電圧が10kV〜100kVの範囲内であることが好ましい。加速電圧が低すぎると、イオンの進入深さが白欠陥部の表面付近までとなり、白欠陥修正領域にて所望のEUV反射率を得ることが困難になる場合があり、加速電圧が高すぎると、反射型マスクがダメージを受けるおそれがあるからである。
また本発明は、基板と、上記基板上に形成された多層膜と、上記多層膜上にパターン状に形成された吸収層とを有する反射型マスクの、上記吸収層の膜厚不足に起因する白欠陥部を修正する反射型マスク欠陥修正装置であって、上記反射型マスクに、水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウムまたはネオンをイオン源とするエネルギービームを照射する照射手段を備えることを特徴とする反射型マスク欠陥修正装置を提供する。
本発明においては、照射手段が、原子量が小さい水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウム、ネオンをイオン源とするエネルギービームを照射するものであるので、イオンの進入深さが深くなるため、多層膜中のほぼすべての層にわたって周期構造の規則性を乱すことができ、白欠陥を良好に修正することが可能である。
本発明によれば、吸収層の膜厚不足に起因する白欠陥部に位置する多層膜の周期構造の規則性を乱すことで白欠陥を修正し、修正部は吸収層で覆われているので、コンタミネーションクリーニングを繰返し行っても、白欠陥修正領域での厚みや寸法の変動が少なく、白欠陥修正領域の転写特性を維持することが可能であるという効果を奏する。また、原子量が小さい水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウム、ネオンをイオン源とするエネルギービームを照射するので、イオンの進入深さが深くなるため、多層膜中のほぼすべての層にわたって周期構造の規則性を乱すことができ、白欠陥を良好に修正することが可能であるという効果を奏する。
本発明の反射型マスクの一例を示す概略断面図である。 本発明の反射型マスクの他の例を示す概略断面図である。 本発明の反射型マスクの他の例を示す概略断面図である。 本発明の反射型マスクにおける修正部の一例を示すTEM写真である。 本発明の反射型マスクの製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の反射型マスク欠陥修正装置の一例を示す模式図である。 実施例1のシミュレーションによる加速電圧とイオン進入深さとの関係を示すグラフである。 実施例2における反射型マスクのイオン未照射部(正常な多層膜)とイオン照射部(周期構造の規則性を乱した多層膜)の反射率を示すグラフである。
以下、本発明の反射型マスク、反射型マスクの製造方法、および反射型マスク欠陥修正装置について詳細に説明する。
A.反射型マスク
本発明の反射型マスクは、基板と、上記基板上に形成された多層膜と、上記多層膜上にパターン状に形成された吸収層とを有する反射型マスクであって、上記吸収層の膜厚不足に起因する白欠陥部に位置する上記多層膜の周期構造の規則性が乱された修正部を有し、上記白欠陥部に位置する上記吸収層が当初から設けられているものであることを特徴とするものである。
本発明の反射型マスクについて、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の反射型マスクの一例を示す概略断面図である。図1に例示するように、反射型マスク1は、基板2と、基板2上に形成された多層膜3と、多層膜3上に形成されたキャッピング層4と、キャッピング層4上にパターン状に形成された吸収層6とを有している。また、反射型マスク1は、吸収層6の膜厚不足に起因する白欠陥部10を有しており、白欠陥部10に位置する多層膜3の周期構造の規則性が乱された修正部13を有している。この修正部13は、多層膜3の周期構造の規則性が乱されているので、EUV反射率の低い領域となる。白欠陥部10に位置する吸収層6は当初から設けられているものであり、白欠陥部10以外の領域に位置する吸収層6と連続して形成されている。
本発明によれば、白欠陥部に堆積膜が形成されているのではなく、白欠陥部に位置する多層膜の周期構造の規則性が乱されていることで、白欠陥が修正されている。また、修正部は吸収層で覆われており、この吸収層は当初から設けられているものであり、一般的に洗浄プロセスに対して耐性を有する。したがって、本発明の反射型マスクは、コンタミネーションクリーニングを繰返し行っても、白欠陥修正領域での厚みや寸法の変動が少なく、白欠陥修正領域の転写特性を維持することが可能である。
なお、「白欠陥部に位置する吸収層が当初から設けられているものである」とは、白欠陥部に位置する吸収層が、多層膜の周期構造の規則性を乱した後あるいは多層膜の周期構造の規則性を乱すと同時に形成されたものではなく、多層膜の周期構造の規則性を乱す前から形成されたものであることを意味する。すなわち、白欠陥部に位置する吸収層は、白欠陥部以外の領域に位置する吸収層と同時に形成されたものである。
白欠陥部に位置する吸収層が当初から設けられているものであることは、電子顕微鏡を用いて白欠陥部と正常部の画像取得することで判別できる。白欠陥部にCVD法等により堆積膜を形成した場合、堆積膜は当初から設けられている吸収層に対して材質および表面粗さが異なるため、電子線を照射した場合に2次電子の発生量が異なる。そのため、電子顕微鏡の観察画像には、正常部と比較して濃淡の異なる画像が得られる。より正確に判別するためには、オージェ電子分光法やX線光電子分光分析法などの技術を用い、白欠陥部に位置する吸収層の元素分析を行うことで、当初から設けられている吸収層の成分構成であるか否かを解析することにより確認することができる。
以下、本発明の反射型マスクにおける各構成について説明する。
1.白欠陥部
本発明における白欠陥部は、吸収層の膜厚不足に起因するものである。
吸収層の膜厚が他の部分と比較して少しでも薄い部分があれば白欠陥部となり得る。また、吸収層の膜厚が非常に薄く、吸収層がほとんどない部分も白欠陥部となる。そのため、白欠陥部における吸収層の膜厚としては、白欠陥部以外の領域における吸収層の膜厚よりも薄ければよく、吸収層の材料に応じて異なり、特に限定されるものではない。
中でも、白欠陥部に位置する吸収層の膜厚は、白欠陥部以外の領域に位置する吸収層の膜厚の3分の2以下であることが好ましい。
ここで、反射型マスクの欠陥検査においては、検査光として例えば深紫外線(DUV:Deep Ultra Violet)が使用される。反射型マスクは、露光光であるEUVに対して高いコントラストを確保できるように多層膜および吸収層が設計されているが、多層膜および吸収層は検査光として使用するDUVに対しては反射率の差が小さい場合が多い。そのため、吸収層はDUVに対しても反射率が十分小さくなるように表面処理されていることが好ましい。表面処理としては、例えば、吸収層表面に自然酸化膜を形成する、あるいは、吸収層表面に酸素を導入する方法を用いる方法が挙げられる。すなわち、図2に例示するように、吸収層6の表面には酸化膜7が形成されていることが好ましい。酸化膜7は検査光を吸収するので、欠陥検査の精度を向上させることができる。吸収層6の表面に酸化膜7が形成されている場合、EUV露光時には吸収層内部6aでEUVが主に吸収されることになる。
一般的に、酸化膜7の厚みは吸収層6全体の厚みの3分の1以下、吸収層内部6aの厚みは吸収層6全体の厚みの3分の2以上とされる。そのため、吸収層内部6aの厚みが吸収層6全体の厚みの3分の2以下であると、EUV露光時にEUVを十分に吸収することができず、転写特性が劣化するおそれがある。すなわち、ある領域の吸収層の膜厚が、他の領域の吸収層の膜厚の3分の2以下である場合、その領域では、EUV露光時にEUVを十分に吸収することができず、転写特性が劣化するおそれがあるのである。したがって、白欠陥部に位置する吸収層の膜厚が、白欠陥部以外の領域に位置する吸収層の膜厚の3分の2以下である場合に、白欠陥修正が有効である。
なお、白欠陥部に位置する吸収層の膜厚の下限は特に限定されるものではなく、0nmよりも大きければよい。
本発明においては、図1に例示するように、白欠陥部10に位置する吸収層6が、白欠陥部10以外の領域に位置する吸収層6と連続して形成されていてもよく、図3に例示するように、白欠陥部10に位置する吸収層6が、白欠陥部10以外の領域に位置する吸収層6に対して独立して形成されていてもよい。一般的に、白欠陥部が独立して存在することは少ないことから、白欠陥部に位置する吸収層と白欠陥部以外の領域に位置する吸収層とは連続して形成されていることが好ましい。
なお、白欠陥部が独立して存在する場合においても、白欠陥部に位置する吸収層が当初から設けられているものであることは、上述の方法により確認することが可能である。
本発明において、白欠陥部に位置する吸収層は当初から設けられているものであり、その材料および形成方法等は、白欠陥部以外の領域に位置する吸収層と同様である。
なお、吸収層の材料および形成方法等については、後述の吸収層の項に記載するので、ここでの説明は省略する。
2.修正部
本発明における修正部は、吸収層の膜厚不足に起因する白欠陥部に位置する多層膜の周期構造の規則性が乱された部分である。
なお、「多層膜の周期構造の規則性が乱された」とは、多層膜を構成する各層の界面や、多層膜の周期構造が不明瞭になっていることをいう。図4は、本発明における修正部の一例を示す透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。図4において、多層膜3では2種類の層が約40層ずつ(約40対)形成されており、多層膜3の上側の領域Uでは約30対について層の界面や周期構造が不明瞭となっており、周期構造の規則性が乱されている。層の界面や周期構造が不明瞭であると、EUVの反射特性が損なわれる。そのため、修正部はEUV反射率の低い領域となる。
白欠陥部に位置する多層膜では、修正部が形成されている白欠陥修正領域のEUV反射率が、多層膜上に吸収層が形成されている領域であって、白欠陥部以外の領域である吸収領域のEUV反射率と同程度になるように、多層膜の周期構造の規則性が乱されていればよい。具体的には、白欠陥修正領域のEVU反射率が2%程度となるように、多層膜の周期構造の規則性が乱されていることが好ましい。
多層膜を構成する層のうち、周期構造の規則性が乱されている層の数としては、白欠陥修正領域のEVU反射率を吸収領域のEUV反射率と同程度とすることができれば特に限定されるものではなく、白欠陥部に位置する吸収層の膜厚や材料等に応じて適宜選択される。例えば、多層膜中のすべての層の周期構造の規則性が乱されていてもよく、多層膜中の4分の3程度の層の周期構造の規則性が乱されていてもよい。白欠陥修正領域のEVU反射率が2%程度となるのであれば、多層膜中のすべての層の周期構造の規則性が乱されている必要はない。
本発明においては、後述の「B.反射型マスクの製造方法」の項に記載するように、白欠陥部に位置する多層膜に、水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウムまたはネオンをイオン源とするエネルギービームを照射して、多層膜の周期構造の規則性を乱し、白欠陥を修正する。そのため、修正部には、水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウムまたはネオンのいずれかが含まれていると推量される。リチウム、ベリリウムは、常温で固体であることから、修正部に含まれている場合には、分析可能であると考えられる。一方、水素、ヘリウム、ネオンは、常温で気体であることから、修正部に含まれているとしても、分析困難であると考えられる。
3.多層膜
本発明に用いられる多層膜は、基板上に形成されるものである。
多層膜の材料としては、一般的に反射型マスクの多層膜に使用されるものを用いることができ、中でも、EUVに対する反射率が極めて高い材料を用いることが好ましい。反射型マスク使用時においてコントラストを高めることができるからである。例えば、EUVを反射する多層膜としては、通常、Mo/Siの周期多層膜が用いられる。また、特定の波長域で高い反射率が得られる多層膜として、例えば、Ru/Siの周期多層膜、Mo/Beの周期多層膜、Mo化合物/Si化合物の周期多層膜、Si/Nbの周期多層膜、Si/Mo/Ruの周期多層膜、Si/Mo/Ru/Moの周期多層膜、Si/Ru/Mo/Ruの周期多層膜等も用いることができる。
多層膜を構成する各層の膜厚や、各層の積層数としては、使用する材料に応じて異なるものであり、適宜調整される。例えば、Mo/Siの周期多層膜としては、数nm程度の厚さのMo膜とSi膜とが40層〜60層ずつ積層された多層膜を用いることができる。
多層膜の厚みとしては、例えば280nm〜420nm程度とすることができる。
多層膜の成膜方法としては、例えば、イオンビームスパッタ法やマグネトロンスパッタ法などが用いられる。
4.吸収層
本発明における吸収層は、多層膜上にパターン状に形成されるものであり、本発明の反射型マスクを用いたEUVリソグラフィにおいてEUVを吸収するものである。
吸収層の材料としては、EUVを吸収可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、Ta、TaN、Taを主成分とする材料、Cr、Crを主成分としN、O、Cから選ばれる少なくとも1つの成分を含有する材料等が用いられる。さらに、TaSi、TaSiN、TaGe、TaGeN、WN、TiN等も使用可能である。
吸収層の成膜方法としては、例えば、マグネトロンスパッタ法、イオンビームスパッタ法、CVD法、蒸着法などが用いられる。
なお、吸収層をパターン状に形成する方法については、後述の「B.反射型マスクの製造方法」の項に記載するので、ここでの説明は省略する。
5.キャッピング層
本発明においては、多層膜と吸収層との間にキャッピング層が形成されていてもよい。キャッピング層は、多層膜の酸化防止や、反射型マスクの洗浄時の保護のために設けられるものである。キャッピング層が形成されていることにより、多層膜の最表面がSi膜やRu膜である場合には、Si膜やRu膜が酸化されるのを防ぐことができる。Si膜やRu膜が酸化されると、多層膜の反射率が低下するおそれがある。
本発明において、多層膜上に後述のバッファ層が形成されている場合には、通常、多層膜上にキャッピング層およびバッファ層の順に積層される。
キャッピング層の材料としては、上記機能を発現するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、SiやRu等が挙げられる。
また、キャッピング層の厚みとしては、例えば2nm〜15nm程度とすることができる。
キャッピング層の成膜方法としては、スパッタリング法等を挙げることができる。
6.バッファ層
本発明においては、多層膜と吸収層との間にバッファ層が形成されていてもよい。バッファ層は、下層の多層膜に損傷を与えるのを防止するために設けられるものである。バッファ層が形成されていることにより、吸収層をドライエッチング等の方法でパターンエッチングする際に、下層の多層膜がダメージを受けるのを防止することができる。
バッファ層の材料としては、耐エッチング性が高いものであればよく、通常、吸収層とエッチング特性の異なる材料、すなわち吸収層とのエッチング選択比が大きい材料が用いられる。バッファ層および吸収層のエッチング選択比は5以上であることが好ましく、より好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上である。さらに、バッファ層の材料としては、低応力で、平滑性に優れた材料であることが好ましい。特にバッファ層の平滑性は、0.3nmRms以下であることが好ましい。このような観点から、バッファ層の材料は、微結晶またはアモルファス構造であることが好ましい。
このようなバッファ層の材料としては、例えば、SiO、Al、Cr、CrN等が挙げられる。
また、バッファ層の厚みとしては、例えば2nm〜25nm程度とすることができる。
バッファ層の成膜方法としては、例えば、マグネトロンスパッタ法、イオンビームスパッタ法などが挙げられる。SiO2を用いる場合は、RFマグネトロンスパッタ法によりSiO2ターゲットを用いてArガス雰囲気下で、多層膜上にSiO2を成膜するのが好ましい。
白欠陥修正後のバッファ層の剥離方法としては、一般的なバッファ層の剥離方法を用いることができ、例えばドライエッチング等を挙げることができる。
7.基板
本発明に用いられる基板としては、一般的に反射型マスクの基板に使用されるものを用いることができ、例えば、ガラス基板や金属基板を使用することができる。中でも、ガラス基板が好ましく用いられる。ガラス基板は、良好な平滑性および平坦度が得られるので、特に反射型マスク用基板として好適である。ガラス基板の材料としては、例えば、石英ガラス、低熱膨張係数を有するアモルファスガラス(例えばSiO−TiO系ガラス等)、β石英固溶体を析出した結晶化ガラス等が挙げられる。また、金属基板の材料としては、例えば、シリコン、Fe−Ni系のインバー合金等が挙げられる。
基板は、反射型マスクの高反射率および転写精度を得るために、平滑性が0.2nmRms以下であることが好ましく、また平坦度が100nm以下であることが好ましい。なお、平滑性を示す単位Rmsは、二乗平均平方根粗さであり、原子間力顕微鏡を用いて測定することができる。また、平坦度は、TIR(Total Indicated Reading)で示される表面の反り(変形量)を示す値である。この値は、基板表面を元に最小二乗法で定められる平面を焦平面としたとき、この焦平面より上にある基板表面の最も高い位置と、焦平面より下にある最も低い位置の高低差の絶対値である。また、上記平滑性は10μm角エリアでの平滑性であり、上記平坦度は142mm角エリアでの平坦度である。
また、基板の厚みとしては、例えば6mm〜7mm程度とすることができる。
8.反射型マスクの洗浄方法
本発明の反射型マスクは、パターン転写のためのEUVの照射によって反射型マスクの表面に付着した付着物を洗浄する、すなわちコンタミネーションクリーニングを行うことが好ましい。本発明の反射型マスクは、上述したようにコンタミネーションクリーニングに対して耐性を有するので、洗浄による白欠陥修正領域での膜厚や寸法の変動をなくすことができ、洗浄後においても転写特性を維持することができる。また、反射型マスクをパターン転写に繰返し使用することで反射型マスクの表面に異物が付着し、反射型マスクの反射特性が変化した場合でも、コンタミネーションクリーニングを行うことにより、反射型マスクを容易に確実に再生することができる。
コンタミネーションクリーニングとしては、例えば、水素ラジカル処理、オゾン処理、または真空紫外線(VUV)の照射が挙げられる。
水素ラジカル処理では、反射型マスクを構成する材料の化学変化を起こさずに付着物を選択的に除去することができる。
B.反射型マスクの製造方法
本発明の反射型マスクの製造方法は、多層膜が形成された基板上に吸収層をパターン状に形成する吸収層形成工程と、水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウムまたはネオンをイオン源とするエネルギービームの照射により、上記吸収層の膜厚不足に起因する白欠陥部に位置する上記多層膜の周期構造の規則性を乱す修正工程とを有することを特徴とする。
図5(a)〜(c)は、本発明の反射型マスクの製造方法の一例を示す工程図である。まず、図5(a)に示すように、多層膜3およびキャッピング層4が順に積層された基板2上に吸収層6をパターン状に形成する(吸収層形成工程)。この中間製品21は、吸収層6の膜厚不足に起因する白欠陥部10を有している。白欠陥部10を修正するために、図5(b)〜(c)に示すように、白欠陥部10に、水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウムまたはネオンをイオン源とするエネルギービーム27を照射して、白欠陥部10に位置する多層膜3の周期構造の規則性を乱し、修正部13を形成する(修正工程)。この修正部13は、多層膜3の周期構造の規則性が乱されているので、EUV反射率の低い領域となる。このようにして、反射型マスク1が得られる。
本発明において、エネルギービームのイオン源として用いる水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウム、ネオンは原子量が小さいので、ガリウムのような原子量が比較的大きい元素と比較して、イオンの進入深さが深くなるため、多層膜中のほぼすべての層にわたって周期構造の規則性を乱すことが可能となる。また、水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウム、ネオンは原子量が小さいので、比較的穏やかな照射条件で、多層膜中のほぼすべての層にわたって周期構造の規則性を乱すことが可能であり、反射型マスクへのダメージを軽減することが可能となる。例えば、これらのイオンは物質透過性が高いため、加速電圧を低く設定でき、照射条件が穏やかとなる。また、イオンの原子量が大きい場合は、イオン衝突による物理的なスパッタ効果が発生するが、イオンの原子量が照射対象物と比較して十分に小さい場合は、スパッタ効果が発生しにくくなり、反射型マスクへのダメージ発生確率が穏やかとなる。さらに、水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウムまたはネオンをイオン源とするエネルギービームは、吸収層の膜厚不足に起因する白欠陥部に位置する吸収層を透過することができるので、吸収層の下に形成されている多層膜の周期構造の規則性を乱すことが可能である。したがって、本発明においては、白欠陥を良好に修正することが可能となる。
また本発明によれば、白欠陥部に堆積膜を形成するのではなく、白欠陥部に位置する多層膜の周期構造の規則性を乱すことで、白欠陥を修正する。また、多層膜の周期構造の規則性が乱された修正部上には膜厚の薄い吸収層が存在し、この吸収層は当初から設けられているものであり、一般的に洗浄プロセスに対して耐性を有する。したがって、本発明においては、コンタミネーションクリーニングを繰返し行っても、白欠陥修正領域での厚みや寸法の変動が少なく、白欠陥修正領域の転写特性を維持することが可能な反射型マスクを得ることが可能となる。
以下、本発明の反射型マスクの製造方法における各工程について説明する。
1.吸収層形成工程
本発明における吸収層形成工程は、多層膜が形成された基板上に吸収層をパターン状に形成する工程である。
吸収層をパターン状に形成する方法としては、通常、フォトリソグラフィー法が用いられる。具体的には、多層膜が形成された基板上に吸収層を形成し、この吸収層上にレジスト層を形成し、レジスト層をパターニングし、レジストパターンをマスクとして吸収層をエッチングし、残存するレジストパターンを除去して、吸収層をパターン状に形成する。フォトリソグラフィー法としては、一般的な方法を用いることができる。
なお、基板、多層膜およびその成膜方法、吸収層の成膜方法およびその他の点については、上記「A.反射型マスク」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
2.修正工程
本発明における修正工程は、水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウムまたはネオンをイオン源とするエネルギービームの照射により、上記吸収層の膜厚不足に起因する白欠陥部に位置する上記多層膜の周期構造の規則性を乱す工程である。
エネルギービームのイオン源は、水素(H)、ヘリウム(He)、リチウム(Li)、ベリリウム(Be)またはネオン(Ne)である。水素やヘリウムは、安定したイオンビームを照射することができるという利点を有する。さらに、ヘリウムは、取扱いが容易であるという利点も有する。一方、ネオンは、上記元素の中で原子量が大きいので、加速電圧等の照射条件に応じて多層膜へのイオンの進入深さを制御することができ、白欠陥修正領域でのEUV反射率を調整することが可能である。
エネルギービームとしては、水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウムまたはネオンをイオン源とするものであればよく、通常、集束イオンビームが用いられる。集束イオンビームは、高度な微細加工が可能であり、微細な白欠陥部に対応できる。
エネルギービームの照射条件としては、白欠陥修正領域のEUV反射率が、多層膜上に吸収層が形成されている領域であって、白欠陥部以外の領域である吸収領域のEUV反射率と同程度になるように、多層膜の周期構造の規則性を乱すことができる条件であればよく、イオン源の種類や、白欠陥部に位置する吸収層の膜厚や材料等に応じて適宜選択される。具体的には、白欠陥修正領域のEVU反射率が2%程度となるような条件であることが好ましい。
より具体的には、加速電圧は10kV〜100kVの範囲内であることが好ましい。イオン源が水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウムの場合、中でも10kV〜50kVの範囲内、特に10kV〜40kVの範囲内であることがより好ましい。また、イオン源がネオンの場合、中でも50kV〜100kVの範囲内、特に80kV〜100kVの範囲内であることがより好ましい。加速電圧が低すぎると、イオンの進入深さが白欠陥部の表面付近までとなり、白欠陥修正領域にて所望のEUV反射率を得ることが困難になる場合があり、加速電圧が高すぎると、反射型マスクがダメージを受けるおそれがあるからである。
また、イオン照射量は、1×1013 ions/cm2〜1×1019 ions/cm2の範囲内とすることができる。
白欠陥部に位置する多層膜において、多層膜を構成する層のうち、周期構造の規則性を乱す層の数としては、白欠陥修正領域のEVU反射率を吸収領域のEUV反射率と同程度とすることができれば特に限定されるものではない。例えば、多層膜中のすべての層の周期構造の規則性を乱してもよく、多層膜中の4分の3程度の層の周期構造の規則性を乱してもよい。白欠陥修正領域のEVU反射率が2%程度となるのであれば、多層膜中のすべての層の周期構造の規則性を乱す必要はなく、反射型マスクへのダメージを軽減しつつ、多層膜の周期構造の規則性を乱すことができる。
なお、白欠陥部、および、多層膜の周期構造の規則性が乱された修正部等については、上記「A.反射型マスク」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
3.キャッピング層形成工程
本発明においては、上記吸収層形成工程前に、多層膜上にキャッピング層を形成するキャッピング層形成工程を行ってもよい。キャッピング層を形成することにより、多層膜の最表面がSi膜やRu膜である場合にはSi膜やRu膜が酸化されるのを防ぐことができ、また洗浄時に反射型マスクを保護することができる。
なお、キャッピング層の成膜方法およびその他の点については、上記「A.反射型マスク」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
4.バッファ層形成工程およびバッファ層剥離工程
本発明においては、上記吸収層形成工程前に、多層膜上にバッファ層を形成するバッファ層形成工程を行い、上記修正工程後に、露出しているバッファ層を剥離するバッファ層剥離工程を行ってもよい。バッファ層を形成することにより、吸収層をパターニングする際に下層の多層膜がダメージを受けるのを防止することができる。
本発明において、上記キャッピング層形成工程を行う場合には、通常、キャッピング層形成工程後にバッファ層形成工程が行われる。
なお、バッファ層の成膜方法および剥離方法、ならびにその他の点については、上記「A.反射型マスク」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
C.反射型マスク欠陥修正装置
本発明の反射型マスク欠陥修正装置は、基板と、上記基板上に形成された多層膜と、上記多層膜上にパターン状に形成された吸収層とを有する反射型マスクの、上記吸収層の膜厚不足に起因する白欠陥部を修正する反射型マスク欠陥修正装置であって、上記反射型マスクに、水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウムまたはネオンをイオン源とするエネルギービームを照射する照射手段を備えることを特徴とするものである。
図6は、本発明の反射型マスク欠陥修正装置の一例を示す模式図である。反射型マスク欠陥修正装置30は、反射型マスク1を収容するチャンバー35と、反射型マスク1を設置するステージ31と、反射型マスク1に水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウムまたはネオンをイオン源とするエネルギービームを照射するエネルギービーム鏡筒36(照射手段)とを有している。このエネルギービーム鏡筒36は、イオン源32と、光学系33とを有している。エネルギービーム鏡筒36は、イオン源32から引き出された高輝度イオンビームを光学系33により集束させて、この集束された集束イオンビーム37をステージ31上に配置された反射型マスク1の白欠陥部に照射する。
本発明の反射型マスク欠陥修正装置を用いて反射型マスクの白欠陥部を修正する方法について説明する。
まず、欠陥検査装置において、白欠陥部の有無を検査し、白欠陥部が検出された場合には白欠陥部の位置を特定する。次に、本発明の反射型マスク欠陥修正装置において、欠陥検査装置から白欠陥部の位置情報を取得し、反射型マスクの白欠陥部にエネルギービーム鏡筒36から水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウムまたはネオンをイオン源32とするエネルギービームが照射されるように、反射型マスク1が設置されたステージ31を動かして反射型マスク1の位置決めを行う。ステージ31は、XYZ方向へ反射型マスク1を移動させるものであり、このステージ31を動かすことによって、集束イオンビーム37により反射型マスク1の白欠陥部を修正するための位置合わせを行う。
次に、反射型マスク1の白欠陥部に集束イオンビーム37を照射して、白欠陥部に位置する多層膜の周期構造の規則性を乱す。これにより、白欠陥部を修正することができる。
本発明においては、照射手段が、原子量が小さい水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウム、ネオンをイオン源とするエネルギービームを照射するものであるので、ガリウムのような原子量が比較的大きい元素と比較して、イオンの進入深さが深くなるため、多層膜中のほぼすべての層にわたって周期構造の規則性を乱すことが可能となる。また、水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウム、ネオンは原子量が小さいので、比較的穏やかな照射条件で、多層膜中のほぼすべての層にわたって周期構造の規則性を乱すことが可能であり、反射型マスクへのダメージを軽減することが可能となる。さらに、水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウムまたはネオンをイオン源とするエネルギービームは、吸収層の膜厚不足に起因する白欠陥部に位置する吸収層を透過することができるので、吸収層の下に形成されている多層膜の周期構造の規則性を乱すことが可能である。したがって、本発明においては、白欠陥を良好に修正することが可能となる。
以下、本発明の反射型マスク欠陥修正装置における各構成について説明する。
1.照射手段
本発明における照射手段は、反射型マスクに、水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウムまたはネオンをイオン源とするエネルギービームを照射するものである。
イオン源としては、例えば、水素、ヘリウム、ネオンを引き出す気体電界イオン源(GFIS:Gas Field Ion Source)、あるいは、リチウム、ベリリウムを引き出す液体金属イオン源(LMIS:Liquid Metal Ion Source)が用いられる。
エネルギービームのイオン源は、水素(H)、ヘリウム(He)、リチウム(Li)、ベリリウム(Be)またはネオン(Ne)である。水素やヘリウムは、安定したイオンビームを照射することができるという利点を有する。さらに、ヘリウムは、取扱いが容易であるという利点も有する。一方、ネオンは、上記元素の中で原子量が大きいので、加速電圧等の照射条件に応じて多層膜へのイオンの進入深さを制御することができ、白欠陥修正領域でのEUV反射率を調整することが可能である。さらに、本発明の反射型マスク欠陥修正装置において反射型マスクの白欠陥部の位置を特定する場合には、ネオンは、上述のように加速電圧等の照射条件に応じて多層膜へのイオンの進入深さを制御することができるので、穏やかな照射条件でネオンイオンを照射することで、多層膜の周期構造の規則性を乱すことなく、白欠陥部の位置を特定することが可能となる。
照射手段は、水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウムまたはネオンをイオン源とするエネルギービームを照射することができるものであれば特に限定されるものではなく、一般的なものを使用することができる。
照射手段は、反射型マスクの白欠陥部に位置する多層膜の周期構造の規則性を乱し、白欠陥部を修正するために用いられるが、白欠陥部の位置を特定するために用いられてもよい。反射型マスク欠陥修正装置においても白欠陥部の位置を特定することにより、白欠陥部の位置を正確に特定することができる。
なお、エネルギービーム、照射条件等については、上記「B.反射型マスクの製造方法」に記載したので、ここでの説明は省略する。
2.その他の構成
本発明の反射型マスク欠陥修正装置は、上記照射手段の他に、反射型マスクを設置するステージ、反射型マスクを収容するチャンバー、欠陥検査装置から白欠陥部の位置情報を取得する位置情報取得手段、エネルギービームの照射を制御する照射制御手段等を有していてもよい。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
反射型マスクへのイオン進入深さの加速電圧依存性をシミュレーションにより算出した。計算モデルは、酸化珪素からなる基板上に、モリブデン(膜厚2.8nm)および珪素(膜厚4.2nm)の40対からなる多層膜と、ルテニウムからなるキャッピング層(膜厚2.5nm)と、タンタルからなる吸収層(膜厚70nm)とが順に積層された積層体において、吸収層表面に各種イオンを照射するものとした。イオンは、水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウム、ネオンの5種類とし、加速電圧は10kV〜100kVに設定した。
イオン照射により、多層膜の周期構造の規則性の乱れを発生させるためには、イオンが多層膜まで到達することが必要である。上記計算モデルにおいて、多層膜を構成する40対すべてに周期構造の規則性の乱れを発生させるためには、イオン進入深さは約353nm必要となる。
図7に加速電圧とイオン進入深さとの関係を示す。この計算結果から、多層膜すべてに周期構造の規則性の乱れを発生させるためには、水素イオンでは18kV程度、ヘリウムイオンでは20kV程度、リチウムイオンでは30kV程度、ベリリウムイオンでは40kV、ネオンイオンでは100kV程度の加速電圧で照射すればよいことがわかる。また、上記5種類のイオン種は、多層膜の周期構造の規則性に乱れを発生させる要件を満たすことがわかる。
上記の計算モデルは、吸収層の膜厚不足に起因する白欠陥部を有するものではないが、白欠陥部では、吸収層が正常に形成された箇所と比較して、吸収層によるイオン進入阻害が減り、イオン進入深さが大きくなることから、白欠陥部でも同様に多層膜の周期構造の規則性を乱すことが可能である。
[実施例2]
酸化珪素からなる基板上に、モリブデン(膜厚2.8nm)および珪素(膜厚4.2nm)の40対からなる多層膜と、ルテニウムからなるキャッピング層(膜厚2.5nm)と、タンタルからなる吸収層(膜厚70nm)とが順に積層された積層体を準備した。積層体の吸収層の上から、1mm×1mmのエリアにヘリウムイオンを加速電圧20kV、照射量2×1017ions/cmで照射した。その後、イオン照射部およびイオン未照射部のEUV反射率を測定するため、吸収層をすべてエッチング除去した。
EUV反射率計(EUV Technology社製、LPR1016−FS1515)を用いて、イオン未照射部(正常な多層膜)とイオン照射部(周期構造の規則性を乱した多層膜)の波長13.5nmにおける反射率を測定した。結果を図8に示す。イオン未照射部(正常な多層膜)とイオン照射部(周期構造の規則性を乱した多層膜)の反射率はそれぞれ61%と4%であり、イオン照射により反射率が低下することが確認された。
以上の結果から、吸収層の上からイオンビームを照射することにより、イオン照射部の多層膜の周期構造の規則性を乱し、EUVリソグラフィで問題とならない程度まで反射率を下げ得ることが実証された。
また、本実験では、膜厚70nmの吸収層の上からイオンビームを照射しているが、吸収層の膜厚不足に起因する白欠陥部においても、同様の処理を行うことでEUV反射率を下げ得ることは自明である。
[実施例3]
酸化珪素からなる基板上にモリブデン(膜厚2.8nm)および珪素(膜厚4.2nm)の40対からなる多層膜を形成し、多層膜上にルテニウムからなるキャッピング層(膜厚2.5nm)を形成し、キャッピング層上にタンタルからなる吸収層(膜厚70nm)をエッチング加工したパターンを形成した。
得られた反射型マスクを、マスクパターン欠陥検査装置(株式会社ニューフレアテクノロジー製、NPI−6000EUVα)にて欠陥検査を行ったところ、欠陥が検出された。当該欠陥箇所をAFMで観察したところ、図5(a)に例示するような吸収層表面に直径1mm、最大深さ60nmのくぼみが検出された。当該欠陥箇所のEUV反射率を反射率計(EUV Technology社製、LPR1016−FS1515)にて計測したところ、吸収層が正常に形成されている箇所の反射率が1%であったのに対して、欠陥箇所の反射率は32%であった。
欠陥箇所に、ヘリウムイオン照射装置を用いて、加速電圧30kV、照射量2×1017ions/cmに設定したイオンビームを照射し、多層膜の周期構造の規則性を乱した。イオンビーム照射箇所(欠陥修正箇所)の反射率を上記反射率計で測定したところ、吸収層が正常に形成されている箇所と同等の2%まで低下していることが確認された。
[比較例1]
欠陥箇所にイオンビームを照射して多層膜の周期構造の規則性を乱すかわりに、欠陥箇所に従来技術に従って炭素を主成分とする堆積膜を形成したこと以外は、実施例3と同様にして反射型マスクを作製した。
[評価]
欠陥修正箇所の洗浄処理前後の形状変化を評価した。洗浄方法は、EUV転写時に反射型マスク表面に付着したカーボンコンタミネーションを洗浄除去することを想定し、水素ラジカル、オゾンおよびVUV照射の各クリーニングを実施した。
比較例1の反射型マスクでは、すべての洗浄方式に対して、堆積膜が縮小することが確認された。
これに対して、実施例3の反射型マスクでは、欠陥修正箇所を各クリーニング前後で比較したところ、形状・寸法の変動は確認されなかった。
1 … 反射型マスク
2 … 基板
3 … 多層膜
4 … キャッピング層
6 … 吸収層
10 … 白欠陥部
13 … 修正部

Claims (5)

  1. 基板と、前記基板上に形成された多層膜と、前記多層膜上にパターン状に形成された吸収層とを有する反射型マスクであって、
    前記吸収層の膜厚不足に起因する白欠陥部に位置する前記多層膜の周期構造の規則性が乱された修正部を有し、
    前記白欠陥部に位置する前記吸収層が当初から設けられているものであることを特徴とする反射型マスク。
  2. 前記白欠陥部に位置する前記吸収層と、前記白欠陥部以外の領域に位置する前記吸収層とが連続して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の反射型マスク。
  3. 多層膜が形成された基板上に吸収層をパターン状に形成する吸収層形成工程と、
    水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウムまたはネオンをイオン源とするエネルギービームの照射により、前記吸収層の膜厚不足に起因する白欠陥部に位置する前記多層膜の周期構造の規則性を乱す修正工程と
    を有することを特徴とする反射型マスクの製造方法。
  4. 前記エネルギービームの加速電圧が10kV〜100kVの範囲内であることを特徴とする請求項3に記載の反射型マスクの製造方法。
  5. 基板と、前記基板上に形成された多層膜と、前記多層膜上にパターン状に形成された吸収層とを有する反射型マスクの、前記吸収層の膜厚不足に起因する白欠陥部を修正する反射型マスク欠陥修正装置であって、
    前記反射型マスクに、水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウムまたはネオンをイオン源とするエネルギービームを照射する照射手段を備えることを特徴とする反射型マスク欠陥修正装置。
JP2010274798A 2010-12-09 2010-12-09 反射型マスク、反射型マスクの製造方法、および反射型マスク欠陥修正装置 Active JP5541128B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010274798A JP5541128B2 (ja) 2010-12-09 2010-12-09 反射型マスク、反射型マスクの製造方法、および反射型マスク欠陥修正装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010274798A JP5541128B2 (ja) 2010-12-09 2010-12-09 反射型マスク、反射型マスクの製造方法、および反射型マスク欠陥修正装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012124372A JP2012124372A (ja) 2012-06-28
JP5541128B2 true JP5541128B2 (ja) 2014-07-09

Family

ID=46505508

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010274798A Active JP5541128B2 (ja) 2010-12-09 2010-12-09 反射型マスク、反射型マスクの製造方法、および反射型マスク欠陥修正装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5541128B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5772185B2 (ja) * 2011-04-25 2015-09-02 富士通セミコンダクター株式会社 パターン欠陥修正方法及びパターン欠陥修正装置

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3412898B2 (ja) * 1994-03-02 2003-06-03 キヤノン株式会社 反射型マスクの作製方法と作製装置、これによる反射型マスクを用いた露光装置とデバイス製造方法
JPH11204403A (ja) * 1998-01-13 1999-07-30 Hitachi Ltd マスクの修正方法
JP2002313694A (ja) * 2001-04-11 2002-10-25 Nikon Corp 反射マスク
JP4212025B2 (ja) * 2002-07-04 2009-01-21 Hoya株式会社 反射型マスクブランクス及び反射型マスク並びに反射型マスクの製造方法
JP4541654B2 (ja) * 2003-03-25 2010-09-08 Hoya株式会社 反射型マスクの製造方法
JP2007201306A (ja) * 2006-01-30 2007-08-09 Nikon Corp 反射型レチクル及び反射型レチクルの製造方法
JP5218190B2 (ja) * 2009-03-19 2013-06-26 凸版印刷株式会社 パターン形成方法、極端紫外露光用マスク、極端紫外露光用マスクの製造方法および極端紫外露光用マスクの修正方法
JP2010286728A (ja) * 2009-06-12 2010-12-24 Dainippon Printing Co Ltd 反射型マスクおよびその製造方法
JP5533016B2 (ja) * 2010-02-24 2014-06-25 大日本印刷株式会社 反射型マスクの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012124372A (ja) 2012-06-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5581797B2 (ja) 反射型マスクの製造方法
KR101993929B1 (ko) 반사형 마스크 블랭크, 반사형 마스크 및 반사형 마스크의 제조 방법
JP5533016B2 (ja) 反射型マスクの製造方法
KR101511790B1 (ko) Euvl 마스크의 가공 방법
US20030000921A1 (en) Mask repair with electron beam-induced chemical etching
US20060040418A1 (en) Method of correcting amplitude defect in multilayer film of EUVL mask
JP5900773B2 (ja) マスクブランク、転写用マスク、転写用マスクの製造方法、及び半導体デバイスの製造方法
TW201730368A (zh) 用於永久修復光罩上材料缺損的缺陷的方法和裝置
JP2004531905A (ja) 多層コーティング中の振幅欠陥の修復
JP5053030B2 (ja) フォトマスクの欠陥修正方法、製造方法および欠陥修正装置
JP2009188047A (ja) Euvlマスクの黒欠陥修正方法
JP5790073B2 (ja) 反射型マスクブランクの製造方法
JP4923923B2 (ja) 極端紫外線露光用マスクおよびそれを用いた半導体集積回路製造方法
JP5541128B2 (ja) 反射型マスク、反射型マスクの製造方法、および反射型マスク欠陥修正装置
Nishiyama et al. Carbon contamination of EUV mask: film characterization, impact on lithographic performance, and cleaning
JP2013089691A (ja) 反射型マスクの欠陥修正方法および製造方法
JP2010286728A (ja) 反射型マスクおよびその製造方法
JP5381167B2 (ja) 反射型フォトマスク用ブランク及び反射型フォトマスク
US9298085B2 (en) Method for repairing a mask
Seo et al. Properties of EUVL masks as a function of capping layer and absorber stack structures
Amano et al. Study of EUV mask defect repair using FIB method
JP5471798B2 (ja) 反射型マスクの製造方法および反射型マスク
Yan et al. EUV mask absorber defect repair with focused ion beam
KR20100135099A (ko) 극자외선 마스크의 결함 수정 방법
US11099477B2 (en) Photomask and method of repairing photomask

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20131017

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140319

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140408

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140421

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5541128

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150