JP5900773B2 - マスクブランク、転写用マスク、転写用マスクの製造方法、及び半導体デバイスの製造方法 - Google Patents

マスクブランク、転写用マスク、転写用マスクの製造方法、及び半導体デバイスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、マスクブランク、転写用マスク、転写用マスクの製造方法及び半導体デバイスの製造方法に関する。特に、荷電粒子照射による欠陥修正技術を好適に用いることのできる転写用マスクを製造するためのマスクブランク及び転写用マスクの製造方法に関する。
一般に、半導体装置の製造工程では、フォトリソグラフィ法を用いて微細パターンの形成が行われている。また、この微細パターンの形成には通常何枚もの転写用マスク(フォトマスク)と呼ばれている基板が使用される。この転写用マスクは、一般に透光性のガラス基板上に、金属薄膜等からなる微細パターンを設けたものであり、この転写用マスクの製造においてもフォトリソグラフィ法が用いられている。
フォトリソグラフィ法による転写用マスクの製造には、ガラス基板等の透光性基板上に転写パターン(マスクパターン)を形成するための薄膜(例えば遮光膜など)を有するマスクブランクが用いられる。このマスクブランクを用いた転写用マスクの製造は、マスクブランク上に形成されたレジスト膜に対し、所望のパターン描画を施す露光工程と、所望のパターン描画に従って前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する現像工程と、レジストパターンに従って前記薄膜をエッチングするエッチング工程と、残存したレジストパターンを剥離除去する工程とを有して行われている。上記現像工程では、マスクブランク上に形成されたレジスト膜に対し所望のパターン描画を施した後に現像液を供給して、現像液に可溶なレジスト膜の部位を溶解し、レジストパターンを形成する。また、上記エッチング工程では、このレジストパターンをマスクとして、ドライエッチング又はウェットエッチングによって、レジストパターンの形成されていない薄膜が露出した部位を溶解し、これにより所望のマスクパターンを透光性基板上に形成する。こうして、転写用マスクが出来上がる。
半導体装置のパターンを微細化するに当たっては、転写用マスクに形成されるマスクパターンの微細化に加え、フォトリソグラフィで使用される露光光源波長の短波長化が必要となる。半導体装置製造の際の露光光源としては、近年ではKrFエキシマレーザー(波長248nm)から、ArFエキシマレーザー(波長193nm)へと短波長化が進んでいる。
また、転写用マスクの種類としては、従来の透光性基板上にクロム系材料からなる遮光膜パターンを有するバイナリマスクのほかに、近年では、特許文献1に記載されているようなMoSiN等の遷移金属とケイ素を主な金属成分とし、さらに窒素を含有させた材料を遮光膜として用いたバイナリマスクなどが出現している。
ところで、以前よりマスクブランクを用い、レジスト膜に電子線描画及び現像処理により形成されたレジストパターンやエッチングマスク膜に形成されたエッチングマスクパターンをマスクとしてドライエッチングにより、遮光膜に転写パターンが形成された転写用マスクについて、パターン検査機を用いて、設計上の転写パターンと遮光膜に形成された転写パターンとを比較し、設計上の転写パターンと比較して余分な遮光膜が残存してしまっている欠陥(所謂、黒欠陥)部分に対して、ナノマシニングや集束イオンビームFIB(Focused Ion Beam)を用いた物理加工により欠陥修正が行われてきた。しかし、このような物理加工では黒欠陥修正に時間を要するという問題を有していた。また、通常のFIB処理ではGaイオンの照射量が大きくなるため、QZ基板に残留するGaステインが問題となっていた。そこで反応性を上げ、Ga照射量を抑制するためにガス支援する手法などが報告されている(特許文献2参照)。
一方、特許文献3には、遮光膜の黒欠陥部分に対して、二フッ化キセノン(XeF2)ガスを供給し、さらにその部分に電子線を照射して黒欠陥部分をエッチングして除去する欠陥修正技術(以下、このような二フッ化キセノンガスのようなフッ素を含有する物質を供給しつつ、電子線等のような荷電粒子を照射して行う欠陥修正を単にEB欠陥修正と呼ぶ)が開示されている。かかるEB欠陥修正は、当初は、EUVリソグラフィ用の反射型マスクの吸収体膜における黒欠陥部分の修正に用いられていたが、MoSi系のハーフトーンマスクの欠陥修正にも使用され始めている。
特開2007−292824号公報 特開2000−10260号公報 特表2004−537758号公報
本発明者らは、特許文献1で開示されているような遷移金属とケイ素を主な金属成分とし、さらに窒素を含有させた材料からなる積層構造の遮光膜が形成されたバイナリ型マスクブランクを用いて、遮光膜に転写パターンを形成した転写用マスクを作製し、作製した転写用マスクの欠陥検査を行い、黒欠陥部分について、特許文献3に開示されているようなEB欠陥修正、すなわち黒欠陥部分へのXeF2ガス供給と電子線等の荷電粒子照射によるエッチングを行ってみたところ、積層構造の上下各層における膜組成の関係によっては、以下のような問題が生じる場合があることが判明した。
一般に遮光膜は、膜の表面反射を抑制するため、表面側の層(上層)の材料を基板側の層(下層)の材料よりも酸化や窒化の度合を高くすることで、遮光膜の表面反射率を低減させている。一方、バイナリ型マスクブランクでは、遮光膜に所定以上(例えば光学濃度(OD)2.8以上)の遮光性能が必要とされる。材料中の酸化や窒化の度合を高くすると遮光性能は低下する方向になる。他方、近年の転写パターンの微細化により、斜入射照明法や液浸露光技術を使用する必要が生じてきている。しかし、転写パターンの微細化に伴い、補助パターンの微細化・複雑化が著しい。それらに対応するためには、遮光膜の薄膜化が必要となってきている。従って、基板側の層(下層)では、極力薄い膜厚で遮光性能を確保するため、酸化や窒化の度合を極力抑える必要がある。他方、遮光膜の基板側の表面の反射率(裏面反射率)も表面側の反射率(表面反射率)ほどではないが所定値以下には抑える必要があり、酸化や窒化をある程度行う必要がある。
XeF2ガスはケイ素の等方性エッチングガスとして知られており、そのメカニズムは表面吸着、XeとFに分離、ケイ素の高次フッ化物の生成、揮発というプロセスでエッチングが進行する。しかし、ケイ素は、Si3N4、SiO2、SiON、SiCのような窒化、酸化、あるいは炭化したケイ素であると、揮発性の高い高次のフッ化物を形成しにくいため、XeF2ガス等のフッ素系ガスに対して高いエッチング耐性を有する傾向がある。EB欠陥修正では、電子線などの荷電粒子照射を行うことで、XeF2ガスのエッチングレートが飛躍的に向上し、黒欠陥部分の選択的な異方性エッチングが可能となる。しかし、この場合においても、遮光膜中の酸化、窒化、あるいは炭化したケイ素の比率が多くなるに従い、エッチングレートが低下する傾向がある。上記のとおり、上層は表面反射率を低減させるため酸化や窒化の度合が高い材料を用いるため、上下層のエッチングレート差が大きくなり、段差が発生してしまう。極端な場合、大きなアンダーカットが生じてしまう。
さらに、上述したように、遮光膜の上層には酸化や窒化の度合が高い材料を用いているために、上層のエッチングレートは、下層のエッチングレートに比べて低くなっている。したがって、EB照射による黒欠陥部分の修正の際には、上層のエッチングに時間が大幅に掛かってしまい、この上層をエッチングしている間に、修正すべき黒欠陥部分に隣接するパターン部分の下層(例えば、同じパターンの黒欠陥部分に隣接する部分の下層や、黒欠陥部分を有するパターンに隣接するパターンの下層)がエッチングされてしまう(EBが照射されている部分以外の部分であっても、ある程度、エッチングされやすい状況に置かれているためである)。その結果、エッチングされた下層のパターン側壁が減退する一方、減退した部分の上層はEB修正エッチングレートが大幅に遅いために、パターン側壁はパターニングしたときのままの状態となる。これにより、修正すべき黒欠陥部分以外の部分(正常なパターン部分)にも大きなアンダーカットが生じてしまう。
なお、最近のEB欠陥修正技術では、水分を供給することによりエッチングレートを低下させるWater Passivation等のPassivation技術(水分のほか、酸化物系ガスの供給等)を用いることで、遮光膜の上層と下層との間である程度のエッチングレート差があっても不具合を低減することは可能であるが、このようなエッチングレート制御が可能な限界がある。また、過度にエッチングレートが低下してしまうと、修正時間が長くなり、合成石英等からなる透光性基板との間でエッチング選択性が低下し、基板の表面が荒れることや、局所的にエッチングされた凹部が発生する等の問題が生じる。このため、下層のエッチングレートを極端に落とす必要のある遮光膜の積層構造は好ましくない。
そこで本発明は、従来の課題を解決するべくなされたものであり、その目的とするところは、EB欠陥修正技術を好適に適用でき、なお且つ遮光膜の薄膜化を可能とするマスクブランク、転写用マスク、転写用マスクの製造方法及び半導体デバイスの製造方法を提供することである。
本発明者らは、従来の遷移金属とケイ素を主な金属成分とし、さらに窒素を含有させた材料からなる積層構造の遮光膜が形成されたバイナリ型マスクブランクを用いて、遮光膜に転写パターンを形成した転写用マスクに対し、黒欠陥部分の修正にEB欠陥修正を適用した場合の課題に関し、鋭意検討を行った。
本発明者らは、種々の材料について検討した結果、遷移金属、ケイ素、及び窒素を含む材料を主成分とする下層と、遷移金属、ケイ素、及び窒素を含む材料を主成分とする上層の少なくとも二層構造からなる遮光膜を備えるマスクブランクであって、EB欠陥修正における上層のエッチングレートに対する下層のエッチングレートの比を1.0以上5.0以下に調整することによって、従来のEB欠陥修正技術を適用した場合の課題を解決でき、なお且つ遮光膜の薄膜化を実現できることを突き止めた。
すなわち、上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
ArFエキシマレーザー露光光が適用される転写用マスクを作成するために用いられ、透光性基板上に、転写パターンを形成するための遮光膜を有するマスクブランクであって、
前記遮光膜は、前記透光性基板側から、下層及び上層の少なくとも二層構造からなり、
前記下層は、遷移金属、ケイ素、及び窒素を含む材料を主成分とし、
前記上層は、遷移金属、ケイ素、及び窒素を含む材料を主成分とし、
対象部分にフッ素を含有する物質を供給し、かつ荷電粒子を照射して行うエッチングにおける前記上層のエッチングレートに対する前記下層のエッチングレートの比が1.0以上5.0以下であることを特徴とするマスクブランク。
(構成2)
前記下層は、酸素を実質的に含有しておらず、前記上層は、その表層を除いた部分では酸素を実質的に含有していないことを特徴とする構成1に記載のマスクブランク。
(構成3)
前記上層中の窒素含有量と前記下層中の窒素含有量との差が30原子%未満であることを特徴とする構成1または構成2に記載のマスクブランク。
(構成4)
前記下層中の遷移金属の含有量を遷移金属およびケイ素の合計含有量で除した比率と、前記上層中の遷移金属の含有量を遷移金属およびケイ素の合計含有量で除した比率との差が4%以下であることを特徴とする構成1から構成3のうちいずれか1項に記載のマスクブランク。
(構成5)
前記下層の遷移金属の含有量を遷移金属およびケイ素の合計含有量で除した比率と窒素含有量は、下記式(1)の条件を満たす範囲であることを特徴とする構成1から構成4のうちいずれか1項に記載のマスクブランク。
式(1)
遷移金属の含有量を遷移金属およびケイ素の合計含有量で除した比率をCMo、窒素含有量をCとしたとき、
≧−0.00526CMo −0.640CMo+26.624
(構成6)
前記下層の遷移金属の含有量を遷移金属およびケイ素の合計含有量で除した比率と窒素含有量は、下記式(2)の条件も同時に満たす範囲であることを特徴とする構成5に記載のマスクブランク。
式(2)
遷移金属の含有量を遷移金属およびケイ素の合計含有量で除した比率をCMo、窒素含有量をCとしたとき、
≦−3.63×10−7Mo +7.60×10−5Mo
−4.67×10−3Mo +5.06×10−2Mo
+2.082CMo+1.075
(構成7)
前記上層中の遷移金属の含有量が10原子%以下であることを特徴とする構成1から構成6のうちいずれか1項に記載のマスクブランク。
(構成8)
前記下層中の遷移金属の含有量を遷移金属およびケイ素の合計含有量で除した比率が15%以下であることを特徴とする構成1から構成7のうちいずれか1項に記載のマスクブランク。
(構成9)
前記遮光膜の上面には、エッチングマスク膜が設けられ、該エッチングマスク膜は、クロムに、窒素、酸素のうち少なくともいずれかの成分を含み、該エッチングマスク膜中のクロムの含有量が50原子%以上であることを特徴とする構成1から構成8のうちいずれか1項に記載のマスクブランク。
(構成10)
構成1から構成9のうちいずれか1項に記載のマスクブランクを用いて作製されることを特徴とする転写用マスク。
(構成11)
ArFエキシマレーザー露光光が適用され、透光性基板上に転写パターンが形成された遮光膜を有してなる転写用マスクであって、
前記遮光膜は、前記透光性基板側から、下層及び上層の少なくとも二層構造からなり、
前記下層は、遷移金属、ケイ素、及び窒素を含む材料を主成分とし、
前記上層は、遷移金属、ケイ素、及び窒素を含む材料を主成分とし、
対象部分にフッ素を含有する物質を供給し、かつ荷電粒子を照射して行うエッチングにおける前記上層のエッチングレートに対する前記下層のエッチングレートの比が1.0以上5.0以下であることを特徴とする転写用マスク。
(構成12)
前記下層は、酸素を実質的に含有しておらず、前記上層は、その表層を除いた部分では酸素を実質的に含有していないことを特徴とする構成11に記載の転写用マスク。
(構成13)
構成1から構成9のうちいずれか1項に記載のマスクブランクを用いた転写用マスクの製造方法であって、
設計上の転写パターンと前記遮光膜に形成された転写パターンとを比較し、遮光膜が残存している欠陥部分に対してフッ素を含有する物質を供給し、かつ荷電粒子を照射してエッチングを行う欠陥修正工程を有することを特徴とする転写用マスクの製造方法。
(構成14)
構成11または構成12に記載の転写用マスクを用い、半導体ウェハ上に回路パターンを形成することを特徴する半導体デバイスの製造方法。
(構成15)
構成13に記載の転写用マスクの製造方法で製造された転写用マスクを用い、半導体ウェハ上に回路パターンを形成することを特徴する半導体デバイスの製造方法。
本発明によれば、遮光膜を、遷移金属、ケイ素、及び窒素を含む材料を主成分とする下層と、遷移金属、ケイ素、及び窒素を含む材料を主成分とする上層の少なくとも二層構造とし、EB欠陥修正における上層のエッチングレートに対する下層のエッチングレートの比を1.0以上5.0以下に調整することにより、従来のEB欠陥修正を適用した場合の課題を解決できるとともに、転写パターンの黒欠陥修正にEB欠陥修正技術を好適に適用できるマスクブランク、転写用マスク、転写用マスクの製造方法及び半導体デバイスの製造方法を提供することができる。
さらに、本発明によれば、バイナリマスクとして求められている遮光膜の光学濃度を例えば65nm未満の膜厚で実現することができ、転写パターンの微細化に伴う種々の課題の解決を図ることができるマスクブランク、転写用マスク、転写用マスクの製造方法及び半導体デバイスの製造方法を提供することができる。
本発明にかかるマスクブランクの一実施の形態の断面図である。 本発明にかかるマスクブランクの一実施の形態を用いて転写用マスクを製造する工程を示す断面図である。 所定の単位膜厚当たりの光学濃度等を満たすMo/(Mo+Si)比率と窒素含有量の関係を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述する。
本発明は、ArF露光光が適用される転写用マスクを作成するために用いられ、透光性基板上に、転写パターンを形成するための遮光膜を有するマスクブランクであって、前記遮光膜は、遷移金属、ケイ素、及び窒素を含む材料を主成分とする下層と、遷移金属、ケイ素、及び窒素を含む材料を主成分とする上層の少なくとも二層構造からなり、対象部分にフッ素を含有する物質を供給し、かつ荷電粒子を照射して行うエッチングにおける前記上層のエッチングレートに対する前記下層のエッチングレートの比が1.0以上5.0以下であることを特徴とするマスクブランクである。
図1は、本発明の実施形態に係るマスクブランクの断面図である。図1に示すように、本発明の一実施の形態に係るマスクブランク10は、透光性基板1の上に、遮光膜2を備えている。透光性基板1は、ArFエキシマレーザーに対して透過性を有するものであれば特に制限されない。本発明では、合成石英基板、CaF、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、アルミノシリケートガラス、その他各種のガラス基板を用いることができるが、この中でも合成石英基板は、ArFエキシマレーザーに対する透過性が高いので、本発明には特に好適である。
上記遮光膜2は、遷移金属、ケイ素、及び窒素を含む材料を主成分とする下層と、遷移金属、ケイ素、及び窒素を含む材料を主成分とする上層の少なくとも二層構造からなり、対象部分にフッ素を含有する物質(非励起状態)を供給し、かつ電子線等の荷電粒子を照射して前記物質によるエッチングレートを向上させたエッチング、つまりEB欠陥修正における前記上層のエッチングレートに対する前記下層のエッチングレートの比(下層のエッチングレート/上層のエッチングレート)が1.0以上とする必要がある。この比が1.0未満であると、下層のエッチング中に上層の転写パターンのエッジ部分をエッチングしてしまい、ラインエッジラフネスが悪化する恐れがある。また、上層の表面からエッチングが進行して減膜する等によって上層の光学特性が変わってしまう(露光光に対する表面反射率が上昇してしまう等)などの不具合が生じる。さらに、上層は、基本的に表面反射防止層として機能する膜であるため、表面反射率の面内均一性が低下する結果、完成した転写用マスクで半導体ウェハ上のレジスト膜等に露光転写する際に、悪影響が生じる恐れがある。なお、上層により良好なエッジ形状を維持させることを考慮すると、EB欠陥修正における前記上層のエッチングレートに対する前記下層のエッチングレートの比が1.2以上であるとより好ましい。
本発明において、EB欠陥修正における前記上層のエッチングレートに対する前記下層のエッチングレートの比が5.0以下とすることが必要である。この比が5.0よりも大きいと、EB欠陥修正における上層のエッチングレートが下層のエッチングレートに比べて大幅に遅くなる。EB照射による黒欠陥部分の修正の際、上層をエッチングするのに時間が掛かると、EB照射の影響を少なからず受けるその黒欠陥部分に隣接するパターン部分の下層(同じパターンの黒欠陥部分に隣接する部分の下層や、黒欠陥部分を有するパターンに隣接するパターンの下層)がエッチングされやすくなる。これによって、そのパターン部分の下層の側壁が予定していた位置よりも大きく減退してしまい、上層よりも下層が横方向に減退した状態(アンダーカット)が生じてしまう。
ところで、EB欠陥修正における上層及び下層のエッチングレートは、層中の酸素や窒素の含有量が多くなるに従い減少する傾向がある。つまり、EB欠陥修正における上層及び下層のエッチングレートは、層中の酸素及び窒素の含有量に大きく影響を受ける。
特に、酸素を含有することによるEB欠陥修正におけるエッチングレートの低下は、窒素を含有する場合に比べて著しい。しかし、従来、遮光膜の上層には酸素を含有させた材料が用いられる場合が多い。遮光膜の上層は、通常、縮小光学系のレンズから反射された一部の露光光が遮光膜の表面に当たった時の反射(表面反射率)を低減させる役割を担うのが一般的である。遮光膜の表面反射率を低減させるのに、上層を形成する材料に酸素を含有させる場合が多い。酸素を含有させるとその材料の露光光に対する透過率を容易に上げることができるためである。
これに対し、遮光膜の下層は、遮光膜全体で所定の遮光性能(例えば光学濃度(OD)2.8以上)を薄い全体膜厚(65nm未満)で実現させるために、遮光性能の高い材料を選定する必要がある。このため、下層に、透過率を上げてしまう特性(遮光性能を大きく下げてしまう特性)を有する酸素を含有させることはできる限り避ける必要がある。上層のエッチングレートに対する下層のエッチングレートの比を5.0以下とするためには、上層及び下層にそれぞれ含まれる窒素及び酸素の含有量(特に酸素の含有量)をできるだけ近づけるように調整すればよいのだが、上記の遮光膜に求められる制約があり、困難である。
そこで、本発明においては、上層および下層ともに、遷移金属、ケイ素、及び窒素を含む材料を主成分とし、上層および下層ともに酸素を極力含有させないようにしている。さらに、上層は、下層よりも窒素を多く含有するようにすることで、上層の表面反射率を所定値以下(例えば、30%以下)に維持しつつ、上層のエッチングレートに対する下層のエッチングレートの比を5.0以下となるように調整することを可能としている。
さらに、本発明においては、下層は酸素を実質的に含有せず、上層も酸化が避けられない表層を除いた部分では酸素を実質的に含有しない構成とすることで、上層のエッチングレートに対する下層のエッチングレートの比をさらに小さくなる(例えば、4.0以下、さらには3.0以下)ように調整し、かつ、遮光膜の全体膜厚をより薄くする(例えば、60nm以下)ことを可能としている。このような効果が得られる理由は、上層の材料に酸素を含有させた場合には、窒素を含有させた場合よりもEB欠陥修正におけるエッチングレートが大幅に低下してしまうからである。なお、このことは、本発明者らが種々の実験及び検討を重ねた結果突き止められた事実である。
したがって、本発明によれば、EB欠陥修正における上層のエッチングレートが遅すぎることによって、上層のエッチングに時間が大幅に掛かってしまい、この上層をエッチングしている間に、修正すべき黒欠陥部分に隣接するパターン部分の下層(例えば、同じパターンの黒欠陥部分に隣接する部分の下層や、黒欠陥部分を有するパターンに隣接するパターンの下層)がエッチングされてしまうことを防止することが可能である。これにより、修正すべき黒欠陥部分以外の部分(正常なパターン部分)にも大きなアンダーカットが生じてしまうことを防止することが可能である。本発明の遮光膜の構成は、特にパターン同士の間隔が小さい部分で有効である。例えば、ラインアンドスペースのラインパターンに修正すべき黒欠陥が存在する場合などは、その効果は顕著である。
上述したように、遮光膜2を構成する上層及び下層のうち、下層は、酸素を実質的に含有しておらず、上層は、その表層を除いた部分では酸素を実質的に含有していないことが望ましい。ここで、「酸素を実質的に含有していない」とは、酸素を積極的に含有させないことを意味しており、コンタミ等によって酸素が不可避的に含有される場合も含まれ、少なくとも酸素の含有量が5原子%以下であることを意味している。
上層は、その表層を除いた部分では酸素を実質的に含有していないが、その表層部分では酸素を含有することがある。通常、遮光膜2を成膜後、遮光膜2表面の洗浄処理を行う。このとき、遮光膜2の表層(すなわち、上層の表層)は酸化されることが避けられない。また、透光性基板1の上に遮光膜2を形成した後、その遮光膜2の膜応力を低減させるために、その遮光膜2を大気中で例えば450℃の温度で加熱する処理(アニール処理)を行う場合がある。このアニール処理において、上層の表層部分が大気中の酸素と不可避的に結合する、すなわち酸化される。酸化される上層の膜厚は、厚くても3nmであり、好ましくは2nm以下である。
上層のエッチングレートに対する下層のエッチングレートの比を1.0以上5.0以下に調整するためには、上層及び下層にそれぞれ含まれる遷移金属、ケイ素、及び窒素の含有量をできるだけ近づけるように調整する必要がある。このため、下層中の遷移金属の含有量を遷移金属およびケイ素の合計含有量で除した比率と、上層中の遷移金属の含有量を遷移金属およびケイ素の合計含有量で除した比率との差は、4%以下であることが好ましく、3%以下であるとより好ましく、2%以下であるとさらに好ましい。また、上層中の窒素含有量と下層中の窒素含有量との差は、30原子%未満であることが好ましく、25原子%以下であるとより好ましく、20原子%以下であるとさらに好ましい。上層及び下層の材料の組成をこのようにできるだけ近づけることによって、EB欠陥修正における上層のエッチングレートに対する下層のエッチングレートの比を1.0以上5.0以下に調整することができる。
下層中に含まれる窒素の含有量であるが、遮光性能のことだけを考慮するならば、窒素含有量が少ないことが望まれる。しかし、EB欠陥修正のことも考慮する必要があり、窒素は所定量以上含有させる必要がある。図3に、モリブデンとケイ素にさらに窒素を含有する材料からなる薄膜(遮光膜の下層や上層)において、フッ素を含有する物質に対する電子線等の荷電粒子の照射を受けていない状態におけるエッチングレートが0.3nm/sec以下となる範囲を示す。図3のグラフの横軸は、薄膜中のモリブデンの含有量[原子%]をモリブデンとケイ素の合計含有量[原子%]で除した比率(すなわち、薄膜中のモリブデンとケイ素の合計含有量[原子%]を100としたときのモリブデンの含有量[原子%]の比率を百分率[%]で表したもの。以下、(Mo/Mo+Si)比率という。)である。図3のグラフの縦軸は、薄膜中の窒素の含有量[原子%]である。図3の「■0.3nm/sec」のプロットの近似曲線から上のグラフ領域にある(Mo/Mo+Si)比率と窒素含有量の範囲を有する薄膜は、フッ素を含有する物質に対する荷電粒子の照射を受けていない状態におけるエッチングレートが0.3nm/sec以下となる。
EB欠陥修正を黒欠陥部分に対して行っている間、その黒欠陥部分にはフッ素を含有する物質が気体の状態で供給される。このため、黒欠陥部分を中心に、フッ素を含有する物質の気体が広がって、周囲の遮光膜のパターン側壁に接触することになる。荷電粒子の照射を受けていなくても、フッ素を含有する物質の気体によってエッチングはされる。このときの遮光膜のフッ素を含有する物質に対する荷電粒子の照射を受けていない状態におけるエッチングレートが0.3nm/secよりも大きいと、黒欠陥部分のEB欠陥修正を行っている間に、パターン側壁がエッチングされてしまう恐れがある。上層は、表面反射率を低減させる役割を有するため窒素を多く含有させている。このため、上層は、基本的に、フッ素を含有する物質に対する荷電粒子の照射を受けていない状態におけるエッチングレートが0.3nm/sec以下の範囲の窒素含有量となっている。
しかし、下層は、フッ素を含有する物質に対する荷電粒子の照射を受けていない状態におけるエッチングレートが0.3nm/sec以下の範囲の窒素含有量になるとは限らない。このため、下層は、フッ素を含有する物質に対する荷電粒子の照射を受けていない状態におけるエッチングレートが0.3nm/sec以下の範囲の窒素含有量となるようにする必要がある。下層中の(Mo/Mo+Si)比率に関係なく、フッ素を含有する物質に対する荷電粒子の照射を受けていない状態におけるエッチングレートを0.3nm/sec以下とするには、下層中の窒素含有量を少なくとも27[原子%]以上とする必要がある。図3におけるフッ素を含有する物質に対する荷電粒子の照射を受けていない状態におけるエッチングレートが0.3nm/sec以下の範囲の近似曲線式は、遮光膜中の(Mo/Mo+Si)比率をCMo、窒素の含有量をCとしたとき、たとえばC=−0.00526CMo −0.640CMo+26.624である。なお、この近似曲線は、図中の5点のプロットを基にそれぞれ算出される近似曲線式であるため、算出方式によって多少変動するが、その近似曲線式の変動で生じる所定エッチングレートを満たす各組成比の境界線の移動がエッチングレートに与える影響は小さく、許容される範囲である。
また、遮光膜2は、求められる遮光性能(光学濃度)を実質的に下層で確保することが必要である。下層で遮光膜2全体の光学濃度のほとんどを確保するには、下層に用いる材料の単位膜厚当たりの光学濃度(OD)が0.05nm−1(波長:193nm)以上であることが必要である。また、0.06nm−1(波長:193nm)以上であることが望ましく、0.065nm−1(波長:193nm)以上であることがより好ましい。図3には、単位膜厚当たりの光学濃度が所定値(0.05nm−1,0.06nm−1,0.065nm−1)である遮光膜(下層)の(Mo/Mo+Si)比率および窒素の含有量をプロットし、近似曲線を引いたものが示されている。この図3では、例えば0.05nm−1の近似曲線(「△0.05OD/nm」のプロットの近似曲線)上を含む下側のエリアが0.05nm−1以上の光学濃度である遮光膜(下層)を形成可能な組成範囲であることを示している。この近似曲線式は、たとえば、C=2.97×10−8Mo −5.22×10−6Mo +3.39×10−4Mo −9.35×10−3Mo +4.19×10−2Mo +2.470CMo+9.531である。
また、単位膜厚当たりの光学濃度が0.06nm−1以上の遮光膜(下層)を形成可能な(Mo/Mo+Si)比率および窒素の含有量についても、図3に示されている0.06nm−1の近似曲線(「●0.06OD/nm」のプロットの近似曲線)上を含む下側のエリアの組成範囲の条件を満たせばよい。この近似曲線式は、たとえば、C=−3.63×10−7Mo +7.60×10−5Mo −4.67×10−3Mo +5.06×10−2Mo +2.082CMo+1.075である。さらに、単位膜厚当たりの光学濃度が0.065nm−1以上の遮光膜(下層)を形成可能な(Mo/Mo+Si)比率および窒素の含有量についても、図3に示されている0.065nm−1の近似曲線(「◆0.065OD/nm」のプロットの近似曲線)上を含む下側のエリアの組成範囲の条件を満たせばよい。この近似曲線式は、たとえば、C=−3.0×10−7Mo +7.0×10−5Mo −5.0×10−3Mo +8.2×10−2Mo +1.722CMo−6.621である。なお、これらの近似曲線は、図中の5点のプロットを基にそれぞれ算出される近似式であるため、算出方式によって多少変動するが、その近似式の変動で生じる所定の光学濃度を満たす各組成比の境界線の移動が光学濃度に与える影響は小さく、許容される範囲である。
図3の近似曲線から、単位膜厚当たりの光学濃度が0.05nm−1以上の遮光膜(下層)とするには、窒素の含有量が少なくとも40原子%以下である必要があることがわかる。また、同時にフッ素を含有する物質に対する荷電粒子の照射を受けていない状態における遮光膜のエッチングレートが0.3nm/sec以下となる条件も満たすには、(Mo/Mo+Si)比率が6%以上である必要がある。単位膜厚当たりの光学濃度が0.06nm−1以上の遮光膜(下層)とするには、窒素の合計含有量が少なくとも35原子%以下である必要があることがわかる。また、同時にフッ素を含有する物質に対する荷電粒子の照射を受けていない状態における遮光膜のエッチングレートが0.3nm/sec以下となる条件も満たすには、(Mo/Mo+Si)比率が9%以上である必要がある。単位膜厚当たりの光学濃度が0.065nm−1以上の遮光膜(下層)とするには、窒素の合計含有量が少なくとも30原子%以下である必要があることがわかる。また、同時にフッ素を含有する物質に対する荷電粒子の照射を受けていない状態における遮光膜のエッチングレートが0.3nm/sec以下となる条件も満たすには、(Mo/Mo+Si)比率が12%以上である必要がある。なお、(Mo/Mo+Si)比率の上限であるが、40%以下であることが好ましい。これよりも多くモリブデンを含有させると耐薬性や耐洗浄性が低下するという問題もあるからである。
上記下層の材料に含まれる遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、クロム、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ルテニウム、ロジウム、ニオブ、パラジウム等が適用可能である。下層中の遷移金属の含有量[原子%]を遷移金属とケイ素の合計含有量[原子%]で除した比率(すなわち、遮光膜中の遷移金属とケイ素の合計含有量[原子%]を100としたときの遷移金属の含有量[原子%]の比率を%で表したもの。以下、(M/M+Si)比率という。ただし、M:遷移金属)については、前記の例ではモリブデンについて述べたが他の列記した遷移金属についても概ね同様の傾向を示す。
遮光膜2は、全体の膜厚を65nm未満に抑制することが望ましい。このようにすることによって、EMF効果に起因するバイアスを抑制することができる。ここで、EMF効果とは、電磁界(EMF:ElectroMagnetics Field)効果のことであり、遮光膜の膜厚が大きいと発生する効果である。このEMF効果に起因するバイアスが大きいと、半導体ウェハ上のレジストへの転写パターン線幅のCD精度に大きな影響を与えてしまう。また、遮光膜2の全体膜厚を65nm未満にするには、下層の単位膜厚当たりの光学濃度を0.05nm−1以上とする必要があり、0.06nm−1以上とすると望ましく、0.065nm−1以上とするとより好ましい。
EB欠陥修正を行う際に対象部分(黒欠陥部分)に供給するフッ素を含有する物質としては、XeF2、XeF4、XeF6、XeOF2、XeOF4、XeO2F2、XeO3F2、XeO2F4、ClF3、ClF、BrF5、BrF、IF3、IF5、KrF、ArF等が適用可能であり、特に、XeF2が好適である。これらはガス状態で対象部分に供給されることが望ましい。
本発明のマスクブランクでは、遮光膜は、EB欠陥修正における上層のエッチングレートに対する下層のエッチングレートの比を5.0以下と小さくしている。このため、EB欠陥修正時、水や酸化物系ガスを除去すべき対象部分に適量供給して下層のエッチングレートを低下させるPassivation技術を基本的に使用しなくてもアンダーカットの発生は抑制できる。Passivation技術ではエッチングレートを低下できる範囲が限られている。また、上層のエッチングレートに対して下層のエッチングレートが相対的に小さくなるため、欠陥修正に時間がかかり、製造のスループットが悪化し、物理加工による修正との間のメリットが得られない場合がある。さらに、水を供給しすぎると、水から酸素が分離した後の水素が、XeF2ガス等のフッ素系ガスから分離したフッ素と結合してフッ酸を形成し、上層や基板を溶解させる恐れもある。遮光膜の黒欠陥の状態によって、EB欠陥修正時にPassivation技術を用いるかどうか判断すればよい。
遷移金属とケイ素を含有する薄膜において、薄膜中の酸素含有量および窒素含有量に対するエッチングレートの変化の傾向は、EB欠陥修正のエッチングの場合と、プラズマ化したフッ素系ガスによるエッチング、すなわち通常のドライエッチングの場合とで異なる。EB欠陥修正の場合、薄膜中の酸素や窒素の含有量が増えていく、すなわちケイ素の酸化物や窒化物の含有量が増加していくと、エッチングレートが低下する傾向がある。これに対して、通常のフッ素系ガスプラズマによるドライエッチングの場合、薄膜中の酸素や窒素の含有量が増えていっても、エッチングレートはほぼ変わらないか、遷移金属の含有量によっては上昇する傾向がある。よって、遷移金属とケイ素を含有する薄膜に対する励起状態(プラズマ状態)のフッ素系ガスでのドライエッチングの場合におけるエッチングレートの傾向は、非励起状態のフッ素系ガスを供給しつつ荷電粒子を照射するEB欠陥修正におけるエッチングレートを調整するための参考にはなり難い。
遮光膜2の上層(表面反射防止層)は、遷移金属、ケイ素、及び窒素を含む材料を主成分とするが、遮光膜2の表面反射率を所定値(例えば、30%)以下となるようにするには、上層中の窒素の含有量が30原子%以上であることが好ましい。また、遮光膜全体の薄膜化の観点で考慮すると、上層中の窒素の含有量は60原子%以下であることが好ましい。遮光膜2全体の膜厚を薄くしつつ、表面反射率を低減するには、光の干渉効果を利用する膜構造とすることが望ましい。光の干渉効果を利用するとは、上層と空気との界面で反射する露光光と、上層と空気との界面を透過し、上層と下層との界面で反射する露光光との間で干渉を生じさせて減衰させることで、遮光膜2の表面からの反射を低減させることである。この干渉効果を生じさせるには、上層における下層側の界面近傍の組成と、下層における上層側の界面近傍の組成が異なることが少なくとも必要である。また、この干渉効果を利用するには、上層の表層以外の部分が膜厚方向での組成傾斜が小さいことが好ましく、成膜プロセス要因を除いた組成傾斜がないことがより好ましい。上層の表層以外の部分における層内の組成傾斜は、遷移金属の含有量を遷移金属およびケイ素の合計含有量で除した比率に関しては、4%以下であることが好ましく、3%以下であるとより好ましく、2%以下であるとさらに好ましい。
上層中の材料に含まれる遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、クロム、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ルテニウム、ロジウム等が適用可能であるが、なかでも、モリブデンが好ましい。また、その上層中の遷移金属の含有量は、10原子%以下であることが好ましい。上層の遷移金属の含有量が10原子%よりも多いと、このマスクブランクから転写用マスクを作製したとき、マスク洗浄(アンモニア過水等によるアルカリ洗浄や、温水洗浄)に対する耐性が低く、上層の溶解による光学特性の変化(表面反射率の上昇)、転写パターンエッジ部分の形状変化によるラインエッジラフネスの低下やCD精度の悪化が生じるおそれがある。この傾向は、上層の遷移金属にモリブデンが用いられている場合に特に顕著である。特に、上層の遷移金属にモリブデンが用いられる場合、遮光膜の応力制御のために高温で加熱処理(アニール処理)すると、上層(表面反射防止層)の遷移金属の含有量が高いと、表面が白く曇る(白濁する)現象が発生する。これは、モリブデンの酸化物が表面に析出することが原因と考えられる。このような現象を抑制するためにも、上層の遷移金属の含有量が10原子%以下であることが好ましい。
窒素や酸素を含有するケイ素は、電気伝導度が低い(シート抵抗値が高い)傾向にある。このため、遷移金属とケイ素にさらに窒素や酸素を含有する遮光膜では、電気伝導度を上げるには、膜中の遷移金属の含有量を増やす必要がある。マスクブランクから転写マスクを作製する際において、図2に示すように遮光膜2上(エッチングマスク膜3上)にレジスト膜4を塗布し、レジスト膜4に設計パターンを露光転写し、レジスト膜4を現像・洗浄を行って、レジストパターン4aを形成する。近年、このレジスト膜に電子線描画露光用のレジストを適用し、電子線を照射して描画する(電子線露光描画)ことで設計パターンを露光する方法が使用されてきている。
この電子線描画露光では、描画位置精度やチャージアップの観点から、レジスト膜4の下の薄膜(遮光膜2、エッチングマスク膜3を備える構成の場合には、遮光膜2かエッチングマスク膜3の少なくとも一方の膜)には、導電性が必要とされている。すなわち、遮光膜2およびエッチングマスク膜3のうち少なくとも一方の膜には、シート抵抗値が3kΩ/□以下であることが望まれている。
バイナリマスクブランクに用いる遮光膜の光学濃度としては、少なくとも2.3以上、好ましくは2.5以上が必要である。ただし、ダブル露光技術等で用いるバイナリ転写マスクを作製するためのバイナリマスクブランクの場合には、光学濃度が2.3や2.5では、ウェハ上のレジストの重ね露光部分に漏れ光に起因する問題が生じる場合がある。その点を考慮すると、遮光膜の光学濃度は2.8以上が好ましく、より好ましくは3.0以上である。
一方、本発明のArF露光光が適用されるリソグラフィであって、DRAM hp32nm以降の世代では、遮光膜に形成される転写パターンのSRAF(Sub Resolution Assist Feature)等の補助パターンの線幅が40nm前後と非常に微細になる。エッチングマスク膜3を用いた場合でも、補助パターンが形成された部分のレジスト膜4のアスペクト比は高くなる傾向にある。このため、遮光膜の膜厚を65nm未満とすることが好ましく、60nm以下とすることがより好ましい。つまり、遮光膜2は、上層と下層の合計膜厚が65nm未満で所定の光学濃度を確保することが好ましく、60nm以下で所定の光学濃度を確保することがより好ましい。
上述のレジスト膜4の膜厚の問題を考慮すると、遮光膜2全体の膜厚が65nm未満であることが好ましく、主に下層(遮光層)で遮光膜に必要な光学濃度を確保する必要があることから、上層の膜厚が20nm以下であることが好ましい。また、上層の膜厚は、求められる低反射性と遮光膜全体の望ましい膜厚(60nm以下)を考慮すると、7nm以上15nm以下であることがより好ましい。
本発明の遮光膜は、上層と下層の少なくとも2層構造を有する必要があるが、3層以上の積層構造であってもよい。たとえば、最下層、中間層、最上層の3層積層構造の場合、最上層を本発明の上層に、中間層を本発明の下層にそれぞれ適用し、本発明の上層と下層の関係を最上層と中間層の関係に適用してもよい。また、中間層を本発明の上層に、最下層を本発明の下層にそれぞれ適用し、本発明の上層と下層の関係を中間層と最下層の関係に適用してもよい。
本発明は、上述の本発明により得られるマスクブランクにおける前記遮光膜を、エッチングによりパターニングするエッチング工程と、黒欠陥部分をEB欠陥修正技術により修正を行う欠陥修正工程を有する転写用マスクの製造方法についても提供する。この場合のエッチングは、微細パターンの形成に有効なドライエッチングが好適に用いられる。
本発明にかかるマスクブランクは、図1に示すように、透光性基板1の上に遮光膜2を備え、さらに該遮光膜2の上に、エッチングマスク膜3を備えたマスクブランク10であってもよい。
本発明においては、上記エッチングマスク膜3は、転写パターンを形成するためのパターニング時のドライエッチングに対して遮光膜2とのエッチング選択性を確保できるように、例えば、クロムに、窒素、酸素のうち少なくともいずれかの成分を含む材料を用いることが好ましい。このようなエッチングマスク膜3を遮光膜2の上に設けることにより、マスクブランク上に形成するレジスト膜の薄膜化を図ることができる。また、エッチングマスク膜中にさらに炭素等の成分を含んでもよい。具体的には、例えば、CrN、CrON、CrOC、CrOCN等の材料が挙げられる。
近年、レジスト膜4に電子線描画露光用のレジストを適用し、電子線を照射して描画する(電子線露光描画)ことで設計パターンを露光する方法が使用されている。この電子線描画露光では、描画位置精度やチャージアップの観点から、遮光膜2かエッチングマスク膜3の少なくともいずれか一方には、ある程度以上の導電性が必要とされている。すなわち、遮光膜2およびエッチングマスク膜3のうち少なくとも一方の膜には、シート抵抗値が3kΩ/□以下であることが望まれている。図3に、シート抵抗値が3kΩ/□以下である遮光膜(下層)の(Mo/Mo+Si)比率と窒素含有量をプロットし、近似直線(「×シート抵抗値3kΩ/□」のプロットの近似曲線)を引いたものが示されている。この近似直線式は、たとえば、C=2.593CMo−24.074である。この図3では、この近似直線の右側のエリアが3kΩ/□以下のシート抵抗値である遮光膜(下層)が形成可能な組成範囲であることを示している。
遮光膜2のシート抵抗値が、3kΩ/□以下である場合、エッチングマスク膜3はシート抵抗値が高くても、チャージアップを起こさずに電子線描画することができる。レジスト膜4の薄膜化には、エッチングマスク膜3の塩素と酸素の混合ガスに対するドライエッチングのエッチングレートを向上させることがより望ましい。そのためには、金属成分(クロム)の含有量を50原子%未満、好ましくは45原子%以下、さらには40原子%以下とすることが好ましい。
一方、遮光膜2のシート抵抗値が、3kΩ/□よりも大きい場合、エッチングマスク膜3のシート抵抗値を、3kΩ/□以下とする必要がある。この場合、エッチングマスク膜3が単層構造の場合には、エッチングマスク膜3中のクロム含有量は50原子%以上であることが好ましく、60原子%以上であることがより好ましい。また、エッチングマスク膜3が複数層の積層構造の場合には、少なくともレジスト膜4に接する側の層のクロム含有量は50原子%以上(好ましくは60原子%以上)とし、遮光膜2側の層のクロム含有量は50原子%未満(好ましくは45原子%以下、さらには40原子%以下)とすることが好ましい。さらに、エッチングマスク膜3は、遮光膜2側からレジスト膜4に接する側(ただし、表面酸化によるクロム含有量の低下が避けられないレジスト膜4に接する表層は除く)に向かってクロム含有量が増加していく組成傾斜構造としてもよい。この場合、エッチングマスク膜3のクロム含有量が最も少ないところでは50原子%未満(好ましくは45原子%以下、さらには40原子%以下)であり、クロム含有量が最も多いところでは50原子%以上(好ましくは60原子%以上)であることが好ましい。
また、上記エッチングマスク膜3は、膜厚が5nm以上、20nm以下であることが好ましい。膜厚が5nm未満であると、エッチングマスク膜パターンをマスクとして遮光膜に対するドライエッチングが完了する前にエッチングマスク膜のパターンエッジ方向の減膜が進んでしまい、遮光膜に転写されたパターンの設計パターンに対するCD精度が大幅に低下してしまう恐れがある。一方、膜厚が20nmよりも厚いと、エッチングマスク膜に設計パターンを転写するときに必要なレジスト膜厚が厚くなってしまい、微細パターンをエッチングマスク膜に精度よく転写することが困難になる。
以下、実施例により、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。併せて、実施例に対する比較例についても説明する。
(実施例)
合成石英ガラスからなる透光性基板1上に、枚葉式スパッタ装置を用いて、スパッタターゲットにモリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(原子%比 Mo:Si=13:87)を用い、アルゴンと窒素との混合ガス雰囲気で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、MoSiN膜(下層(遮光層))を膜厚47nmで成膜し、引き続いて、Mo/Siターゲット(原子%比 Mo:Si=13:87)を用い、アルゴンと窒素との混合ガス雰囲気で、MoSiN膜(上層(表面反射防止層))を膜厚13nmで成膜することにより、下層(膜組成比 Mo:9.9原子%,Si:66.1原子%,N:24.0原子%)と上層(膜組成比 Mo:7.5原子%,Si:50.5原子%,N:42.0原子%)との積層からなるArFエキシマレーザー(波長193nm)用遮光膜2(総膜厚60nm)を形成した。なお、遮光膜2の各層の元素分析は、ラザフォード後方散乱分析法を用いた。
次に、この遮光膜2を備えた基板1に対して450℃で30分間加熱処理(アニール処理)を行い、遮光膜2の膜応力を低減させる処理を行った。
次に、遮光膜2の上面に、エッチングマスク膜3を形成した。具体的には、枚葉式スパッタ装置で、クロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴンと窒素との混合ガス雰囲気で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、CrN膜(膜組成比 Cr:75.3原子%,N:24.7原子%)を膜厚5nmで成膜した。さらに、エッチングマスク膜3(CrN膜)を前記遮光膜2のアニール処理よりも低い温度でアニールすることにより、遮光膜2の膜応力に影響を与えずにエッチングマスク膜3の応力を極力低く(好ましくは膜応力が実質ゼロに)なるように調整した。以上の手順により、バイナリ型マスクブランク10を得た。
次に、上記のようにして作製したマスクブランク10を用いてバイナリ型の転写用マスクを作製した。図2に製造工程を示す。
まず、上記マスクブランク10上に、電子線描画用化学増幅型ポジレジスト膜4(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ社製 PRL009)を形成した(図2(a)参照)。
次に上記レジスト膜4に対し、電子線描画装置を用いて所望のパターン描画(DRAMハーフピッチ(hp)45nmのライン&スペースパターンを含む回路パターン)を行った後(同図(b)参照)、所定の現像液で現像してレジストパターン4aを形成した(同図(c)参照)。なお、このとき、EB欠陥修正の検証を行うために、パターン描画時にプログラム欠陥部分(黒欠陥となる部分)をあらかじめ入れておいた。
次に、上記レジストパターン4aをマスクとして、CrN膜からなるエッチングマスク膜3のドライエッチングを行ってエッチングマスク膜パターン3aを形成した(同図(d)参照)。ドライエッチングガスとして、酸素と塩素の混合ガス(O:Cl=1:4)を用いた。
次に、残存している上記レジストパターン4aをアッシング処理等により除去した後、上記エッチングマスク膜パターン3aをマスクとして、遮光膜2のドライエッチングを行って遮光膜パターン2aを形成した(同図(e)参照)。ドライエッチングガスとして、SFとHeの混合ガスを用いた。最後に、酸素と塩素の混合ガス(O:Cl=1:4)を用いてエッチングマスク膜パターン3aを除去した(同図(f)参照)。
以上のようにしてバイナリ型の転写用マスク20を得た(同図(f)参照)。
次に、このバイナリ型転写用マスク20のプログラム欠陥部分(遮光膜が残存している黒欠陥部分)に対して、フッ素を含有する物質であるXeF2ガスを供給し、さらにそこに電子線(5.0keV)を照射して、黒欠陥部分をエッチングして除去するEB欠陥修正を行った。このようなEB欠陥修正における上層のエッチングレートに対する下層のエッチングレートの比は1.45であり、1.0〜5.0の範囲内であった。
このようなEB欠陥修正の結果、下層のアンダーカットなどの不具合が生じることなく、黒欠陥を良好に修正することができた。
また、得られたバイナリ型転写用マスク20に対して、分光光度計SolidSpec−3700DUV(島津製作所社製)で光学特性の測定を行った。その結果、遮光膜2のArF露光光に対する光学濃度は3.0以上であり、バイナリ型転写用マスクとしては十分な遮光性能であった。また、ArF露光光に対する遮光膜2の表面反射率が18.6%、裏面反射率が30.0%であり、いずれもパターン転写に影響のない反射率であった。
次に、得られたバイナリ型転写用マスク20を用いて、転写対象物である半導体ウェハ上のレジスト膜に対して、転写パターンを露光転写する工程を行った。露光装置には、ArFエキシマレーザーを光源とする輪帯照明(Annular Illumination)が用いられた液浸方式のものが用いられた。具体的には、露光装置のマスクステージに、この実施例のバイナリ型転写用マスク20をセットし、半導体ウェハ上のArF液浸露光用のレジスト膜に対して、露光転写を行った。露光後のレジスト膜に対して、所定の現像処理を行い、レジストパターンを形成した。さらに、レジストパターンを用いて、半導体ウェハ上にDRAMハーフピッチ(hp)45nmのライン&スペース(L&S)パターンを含む回路パターンを形成した。
得られた半導体ウェハ上の回路パターンを電子顕微鏡(TEM)で確認したところ、DRAMハーフピッチ(hp)45nmのL&Sパターンの仕様を十分に満たしていた。すなわち、この実施例のバイナリ型転写用マスクは、半導体ウェハ上にDRAMハーフピッチ(hp)45nmのL&Sパターンを含む回路パターンを転写することが十分に可能であることが確認できた。
(比較例)
石英ガラスからなる透光性基板1上に、枚葉式スパッタ装置を用いて、スパッタターゲットにモリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(原子%比 Mo:Si=11:89)を用い、アルゴンと窒素との混合ガス雰囲気で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、MoSiN膜(下層(遮光層))を膜厚40nmで成膜し、引き続いて、Mo/Siターゲット(原子%比 Mo:Si=4:96)を用い、アルゴンと酸素と窒素との混合ガス雰囲気で、MoSiON膜(上層(表面反射防止層))を膜厚10nmで成膜することにより、MoSiN膜(膜組成比 Mo:9.9原子%,Si:82.3原子%,N:7.8原子%)とMoSiON膜(膜組成比 Mo:2.6原子%,Si:57.1原子%,O:15.9原子%,N:24.4原子%)との積層からなるArFエキシマレーザー(波長193nm)用遮光膜(総膜厚50nm)を形成した。この遮光膜2の光学濃度(OD)は、ArFエキシマレーザーの露光光の波長に対して、3.0であった。
次に、上記実施例と同様の手順で、遮光膜2に対してアニール処理を行い、遮光膜2の上面にエッチングマスク膜3を形成し、バイナリ型マスクブランクを得た。さらに、上記実施例と同様の手順で、このマスクブランクを用いて、バイナリ型の転写用マスクを作製した。
次に、上記実施例と同様に、このバイナリ型転写用マスクのプログラム欠陥部分(遮光膜が残存している黒欠陥部分)に対して、フッ素を含有する物質であるXeF2ガスを供給し、さらにそこに電子線(5.0keV)を照射して、黒欠陥部分をエッチングして除去するEB欠陥修正を行った。なお、上記下層のエッチング時に水(水蒸気)を供給して下層のエッチングレートを適度に低下させるようにした。このようなEB欠陥修正における上層のエッチングレートに対する下層のエッチングレートの比は21.8であり、1.0〜5.0の範囲外であった。
このようなEB欠陥修正の結果、本来修正されるべきでない箇所までエッチングされたり、下層のアンダーカットなどの不具合が生じ、黒欠陥部分のみを良好に修正することができず、新たな欠陥を発生させた。
次に、実施例と同様に、得られた比較例のバイナリ型転写用マスク20を用いて、転写対象物である半導体ウェハ上のレジスト膜に対して、転写パターンを露光転写する工程を行った。得られた半導体ウェハ上の回路パターンを電子顕微鏡(TEM)で確認したところ、特に、L&Sパターン部分で短絡箇所や断線箇所が多く発生しており、DRAMハーフピッチ(hp)45nmの仕様を満たせていなかった。
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
1 透光性基板
2 遮光膜
3 エッチングマスク膜
4 レジスト膜
10 マスクブランク
20 転写用マスク

Claims (15)

  1. ArFエキシマレーザー露光光が適用される転写用マスクを作成するために用いられ、透光性基板上に、転写パターンを形成するための遮光膜を有するマスクブランクであって、
    前記遮光膜は、前記透光性基板側から、下層及び上層の少なくとも二層構造からなり、
    前記遮光膜は、光学濃度が2.8以上であり、
    前記下層は、遷移金属、ケイ素、及び窒素を含む材料を主成分とし、
    前記下層は、酸素を実質的に含有しておらず、
    前記上層は、遷移金属、ケイ素、及び窒素を含む材料を主成分とし、
    前記上層は、その表層を除いた部分では酸素を実質的に含有しておらず、
    対象部分に非励起状態のフッ素を含有する物質を供給し、かつ荷電粒子を照射して行うエッチングにおける前記上層のエッチングレートに対する前記下層のエッチングレートの比が1.0以上5.0以下であり、
    前記遮光膜の上面には、複数層の積層構造を有するエッチングマスク膜が設けられ、
    前記エッチングマスク膜は、遮光膜側の層におけるクロム含有量が50原子%未満であり、かつ遮光膜側とは反対側の層のクロム含有量が50原子%以上であり、
    前記エッチングマスク膜は、膜厚が20nm以下であることを特徴とするマスクブランク。
  2. 前記上層の表層は、厚さが3nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のマスクブランク。
  3. 前記上層は、膜厚が20nm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のマスクブランク。
  4. 前記上層中の窒素含有量と前記下層中の窒素含有量との差が30原子%未満であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のマスクブランク。
  5. 前記下層中の遷移金属の含有量を遷移金属およびケイ素の合計含有量で除した比率と、前記上層中の遷移金属の含有量を遷移金属およびケイ素の合計含有量で除した比率との差が4%以下であることを特徴とする請求項1から請求項のうちいずれか1項に記載のマスクブランク。
  6. 前記下層の遷移金属の含有量を遷移金属およびケイ素の合計含有量で除した比率と窒素含有量は、下記式(1)の条件を満たす範囲であることを特徴とする請求項1から請求項のうちいずれか1項に記載のマスクブランク。
    式(1)
    遷移金属の含有量を遷移金属およびケイ素の合計含有量で除した比率をCMo、窒素含有量をCとしたとき、
    ≧−0.00526CMo −0.640CMo+26.624
  7. 前記下層の遷移金属の含有量を遷移金属およびケイ素の合計含有量で除した比率と窒素含有量は、下記式(2)の条件を満たす範囲であることを特徴とする請求項1から請求項のうちいずれか1項に記載のマスクブランク。
    式(2)
    遷移金属の含有量を遷移金属およびケイ素の合計含有量で除した比率をCMo、窒素含有量をCとしたとき、
    ≦−3.63×10−7Mo +7.60×10−5Mo
    −4.67×10−3Mo +5.06×10−2Mo
    +2.082CMo+1.075
  8. 前記下層の遷移金属の含有量を遷移金属およびケイ素の合計含有量で除した比率と窒素含有量は、下記式(3)の条件を満たす範囲であることを特徴とする請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載のマスクブランク。
    式(3)
    遷移金属の含有量を遷移金属およびケイ素の合計含有量で除した比率をC Mo 、窒素含有量をC としたとき、
    >2.593C Mo −24.074
  9. 前記上層中の遷移金属の含有量が10原子%以下であることを特徴とする請求項1から請求項のうちいずれか1項に記載のマスクブランク。
  10. 前記下層中の遷移金属の含有量を遷移金属およびケイ素の合計含有量で除した比率が15%以下であることを特徴とする請求項1から請求項のうちいずれか1項に記載のマスクブランク。
  11. 請求項1から請求項10のうちいずれか1項に記載のマスクブランクを用いて作製されることを特徴とする転写用マスク。
  12. 請求項1から請求項10のうちいずれか1項に記載のマスクブランクを用いた転写用マスクの製造方法であって、
    転写パターンを有するレジスト膜をマスクとする酸素と塩素の混合ガスによるドライエッチングを行い、前記エッチングマスク膜に転写パターンを形成する工程と、
    前記転写パターンを有するエッチングマスク膜をマスクとするドライエッチングを行い、前記遮光膜に転写パターンを形成する工程と、
    酸素と塩素の混合ガスによるドライエッチングを行い、前記転写パターンを有するエッチングマスク膜を除去する工程とを有することを特徴とする転写用マスクの製造方法。
  13. 請求項1から請求項10のうちいずれか1項に記載のマスクブランクを用いた転写用マスクの製造方法であって、
    設計上の転写パターンと前記遮光膜に形成された転写パターンとを比較し、遮光膜が残存している欠陥部分に対して非励起状態のフッ素を含有する物質を供給し、かつ荷電粒子を照射してエッチングを行う欠陥修正工程を有することを特徴とする転写用マスクの製造方法。
  14. 請求項11に記載の転写用マスクを用い、半導体ウェハ上に回路パターンを形成することを特徴する半導体デバイスの製造方法。
  15. 請求項13に記載の転写用マスクの製造方法で製造された転写用マスクを用い、半導体ウェハ上に回路パターンを形成することを特徴する半導体デバイスの製造方法。
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