JP5540823B2 - セルロース分散液の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セルロース分散液とその成形体に関する。詳しくは、一つの粒径ピークを有する酸化セルロースを含むセルロース分散液とその成形体に関する。
セルロースは、植物の細胞壁や微生物の体外分泌物、ホヤの外套膜などに含まれており、地球上でもっとも多く存在する多糖類である。また、セルロースは、生分解性を有し、結晶性が高く、安定性や安全性に優れており、環境配慮型の材料として注目されている。そのため、様々な分野へ応用展開が期待されている。
セルロースは、分子内の水素結合が強く、結晶性が高いことから、水や一般的な溶剤にはほとんど不溶であるため、溶解性を向上させる研究が盛んに行われている。中でも、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシラジカル)触媒系を用いて、セルロースのもつ3つの水酸基のうち、C6位の一級水酸基のみを酸化し、アルデヒド基あるいはケトン基を経てカルボキシル基に変換する手法は選択的に一級水酸基のみを酸化することができ、また、水系や常温下などの温和な条件下で反応を行うことが可能であるため、近年非常に注目されている。また、天然のセルロースを用いてTEMPO酸化を行うと、セルロースの結晶性を保ちつつナノオーダーの結晶表面のみを酸化させることができる。洗浄し、水に分散させ、軽微な機械的処理を加えるだけで微細な改質セルロースを水分散させることができることが知られている。
例えば、特許文献1では、セルロースをTEMPO酸化反応によって酸化し、その後に機械的な処理を加えることで、微細なセルロースを製造する方法について記載されている。
特開2009−263652号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、TEMPO酸化処理を行う前の体積平均粒子径を50μm以下と規定しており、酸化処理や機械的処理後のセルロースの粒子径は考慮されていない。また、紫外可視分光光度計による分散液の透過率や、SEMやTEM、AFMなどによる乾燥後のセルロースの形状観察で、類似したものが得られていたとしても、セルロースの体積平均粒子径が単分散でない場合、例えば、その後、分散液をコーティング剤として用いる場合や、分散液を用いて成形体を形成する場合に、その分散液の粘度や比重、成形体のガスバリア性等に影響がでるおそれがある。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、セルロースを含む分散液をコーティング剤として用いる場合や、セルロースを含む分散液を用いて成形体を形成する場合に、優れたコーティング特性を有し、高いガスバリア性を有する成形体を形成することができるセルロース分散液とその成形体を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、短方向繊維幅が、1nm以上20nm以下である改質微細セルロースを含み、せん断粘度(mPa・s)がせん断速度が10 −1 −1 において81200〜99700であり、せん断速度が10 −1 において26〜37であるセルロース分散液の製造方法であって、系内でセルロースを酸化して改質セルロースを調製する工程と、酸化反応の系内にアルコールを添加し、酸化反応を終了させる工程と、酸化反応を終了後、酸を添加する工程と、酸を添加した後、調製された改質セルロースを洗浄する工程と、前記改質セルロースを分散媒に分散させる工程と、前記改質セルロースに、微細化するために、改質セルロースを分散媒に分散させた分散液を、集中的に機械的処理し、体積平均粒径が、0.01μm以上100μm以下であり体積基準粒度分布が、一つの粒径ピークを有する改質微細セルロース分散液を調製する工程と、を具備することを特徴とするセルロース分散液の製造方法である。
また、請求項2に記載の発明は、前記改質微細セルロースの体積平均粒径が、0.01μm以上0.2μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のセルロース分散液の製造方法である。
また、請求項3に記載の発明は、前記改質微細セルロースが、セルロースI型の結晶構造を有する天然セルロースを改質し微細化したセルロースであることを特徴とする請求項1または2に記載のセルロース分散液の製造方法である。
また、請求項4に記載の発明は、前記改質微細セルロースが、N−オキシル化合物により酸化された、カルボキシル基を有するセルロースであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のセルロース分散液の製造方法である。
また、請求項5に記載の発明は、前記改質微細セルロースのカルボキシル基量が、1.0mmol/g以上2.0mmol/g以下であることを特徴とする請求項4に記載のセルロース分散液の製造方法である。
また、請求項6に記載の発明は、前記セルロース分散液の分散媒が、水、メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコールから選択される1種または2種以上の溶媒であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のセルロース分散液の製造方法である。
また、請求項7に記載の発明は、前記セルロース分散液の透過率(波長:600nm)が、80%以上99%以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のセルロース分散液の製造方法である。
本発明によれば、セルロースを含む分散液をコーティング剤として用いる場合や、セルロースを含む分散液を用いて成形体を形成する場合に、優れたコーティング特性を有し、高いガスバリア性を有する成形体を形成することができるセルロース分散液を得ることが可能になる。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明のセルロース分散液は、セルロース分散液に含まれる改質微細セルロースの体積平均粒径が、0.01μm以上100μm以下であり、改質微細セルロースの体積平均粒度分布が、上記体積平均粒径の範囲に、一つの粒径ピークを有することが好ましい。ここで、体積平均粒度分布とは、分散液中の粒子の分布を体積基準で測定した分布である。また、体積平均粒径とは、分散液中の粒径を体積基準で測定した粒径である。また、粒径ピークとは、体積平均粒度分布のピークである。なお、本発明のセルロース分散液に含まれる改質微細セルロースは、繊維形状、粒子形状または不定形状などの立体形状、特に、繊維形状を有しているため、体積平均粒径を用いて改質微細セルロースの大きさを特定した。
また、セルロース分散液が、可視光域(400〜700nm)において良好な透明性を示し、そのセルロース分散液を用いて形成した膜が、高いガスバリア性を発現するためには、改質微細セルロースの体積平均粒径が、0.01μm以上0.2μm以下であることがさらに好ましい。
本発明のセルロース分散液に含まれる改質微細セルロースの体積平均粒径が、上記範囲より広い場合、すなわち、体積平均粒度分布が大きい場合、そのセルロース分散液を用いて形成した膜中のセルロース間の空隙が多くなってしまい、膜のガスバリア性が低下するおそれがある。また、体積平均粒度分布がブロードになる場合、または、複数の粒径ピークをもっている場合、セルロース分散液を用いたコーディング剤において、せん断速度が小さい領域(10−4〜10−1−1)では、セルロース間の結合にムラが生じるため、粘度が低くなる。一方、せん断速度が高い領域(10〜10−1)では、粒径が大きなセルロースが存在するため、粘度が高くなる。そのため、コーティング時の高せん断速度領域では、ムラ等が生じ、コーティング後の低せん断速度領域(もしくはせん断が加わらない領域)では、液だれや平滑性等の問題が懸念される。
改質微細セルロースの体積平均粒度分布の一つの粒径ピークは、0.01μm以上100μm以下の体積平均粒径の範囲であれば、どの位置にあってもよいが、0.01μm以上0.2μm以下の範囲にあることがより好ましい。粒径ピークが0.01μm以上0.2μm以下の範囲にあることで、粒径が小さく均一で、緻密な構造をとることができる。
ここで、一つの粒径ピークの粒径を有する改質微細セルロースの存在比率は、他の粒径を有する改質微細セルロースより大きければ、特に限定されない。言い換えれば、0.01μm以上100μm以下の体積平均粒径の範囲で、体積平均粒度分布の山が一つ存在していればよい。その中でも、特に、一つの粒径ピークは、その存在比率が10%以上の粒径ピークであることが好ましい。
本発明のセルロース分散液に含まれる改質微細セルロースの体積平均粒度分布は、例えば、レーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定することができる。粒度分布計としては、レーザー回折散乱式と動的光散乱式の2方式が一般的に広く用いられている。本発明のセルロース分散液に含まれる改質微細セルロースは、非常に透明性が高い、固形分濃度が低い、粘度が高い、チキソ性を有している等の特徴をもっているため、上記特徴に合った方式を選択して測定することが好ましい。
上記方式のうち、動的光散乱式の場合、ブラウン運動している目的粒子にレーザー光を照射し、そのブラウン運動に対応して散乱される散乱光強度から体積平均粒度分布を算出する。よって、目的物質は静地状態で測定しなければならない。さらには、対象の粘度や凝集の影響を非常に強く受けるため、粘度が高く、チキソ性を有している改質微細セルロース分散液では再現性のあるデータを得ることが難しい。
一方、レーザー回折散乱式においては、目的粒子にレーザー光を照射し、前後・上下・左右に発せられる回折散乱光を測定することによって体積平均粒度分布を算出する。粒子径が大きいものは、回折散乱光が前方に集中し、粒子径が小さいものは、回折散乱光があらゆる方向に発せられるようになり、それぞれの角度で回折散乱光を検出することにより、粒子径の分布を得ることができる。この方式を用いることで、フローで常にセルロースを動かし続けることができるため、チキソ性による凝集の影響を排除することができ、液中でのより正確な粒子径を得ることが可能になる。しかし、改質微細セルロースは繊維幅が数nmであり、加えて粘度が高いため希釈を要するので、十分な回折散乱強度が検出することができない。検出に十分な回折散乱強度を得るために、固形分濃度を増加させると、粘度が上昇し、サンプル中の微細な気泡が抜けにくくなるため、影響が無視できなくなってしまう。そのため、回折散乱強度の小さな改質微細セルロース分散液を測定する際には、回折散乱光強度を増加させるために光源レーザーの波長を紫外線レーザーとし、さらに、レーザー出力を上げて測定することで、再現性よく正確な体積平均粒度分布を測定することができる。
本発明のセルロース分散液に含まれる改質微細セルロースは、カルボキシル基を有し、そのカルボキシル基量が、1.0mmol/g以上2.0mmol/g以下であることが好ましい。1.0mmol/gに満たない場合、その後に機械的な処理を加えても十分に静電的な反発が起こらずに改質微細セルロースを均一に分散させることが難しくなる。そのため、分散液の透明性が低下する等の問題が生じる。また、2.0mmol/gより多い場合、分散時の改質微細セルロースの分解が激しく、黄変等の問題を生じやすくなってしまう。改質微細セルロースのカルボキシル基量が、1.0mmol/gから2.0mmol/gの範囲の場合、セルロース分散液の透明性が優れ、さらに分解等も抑制できる。特に、改質微細セルロースは、改質微細セルロースの表面にカルボキシル基を有することが好ましい。改質微細セルロースの表面にカルボキシル基を有することで、改質微細セルロース同士の静電的な反発を十分に生じさせることができる。
また、本発明のセルロース分散液に含まれる改質微細セルロースは、その短方向繊維幅が、1nm以上20nm以下であることが好ましい。改質微細セルロースの短方向繊維幅が1nmより小さい場合、微細セルロースの結晶性が失われてしまう恐れがある。一方、20nmより大きい場合、調整された分散液が不透明になってしまう、粘度が上昇してしまう等の問題が生じる恐れがある。
本発明のセルロース分散液に含まれる改質微細セルロースは、原料であるセルロースを改質する工程および改質されたセルロースを微細化する工程を経て得られる。以下、各工程について説明する。
[セルロースを改質する工程について]
改質されるセルロースの原料としては、木材パルプ、非木材パルプ、古紙パルプ、コットン、バクテリアセルロース、バロニアセルロース、ホヤセルロース、微細セルロース、微結晶セルロース等を用いることができるが、セルロースI型の結晶構造を有する天然セルロースが好ましい。セルロースI型の結晶構造を有する天然セルロースを用いる場合、ガスバリア性を発現すると考えられている結晶領域を維持したまま改質することができる。
セルロースを改質する方法としては、水系の比較的温和な条件で、可能な限り構造を保ちながら、一級水酸基の酸化に対する選択性が高い、N−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いた手法が望ましい。上記のN−オキシル化合物としては、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル(TEMPO)などが好ましく用いられる。
また、上記の共酸化剤としては、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸や過ハロゲン酸、またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、窒素酸化物、過酸化物など、酸化反応を推進することが可能であれば、いずれの酸化剤も用いることができる。入手の容易さや反応性から、次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。
さらに、臭化物やヨウ化物の共存下で行うと、酸化反応を円滑に進行させることができ、カルボキシル基の導入効率を改善することができる。
N−オキシル化合物として用いられるTEMPOの使用量は、触媒として機能する量があれば十分である。また、臭化物としては、臭化ナトリウムまたは臭化リチウムを用いた系が好ましく、コストや安定性から臭化ナトリウムがより好ましい。共酸化剤、臭化物またはヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進することができる量があれば十分である。反応はpH9〜11がより望ましいが、酸化が進行するにつれて、カルボキシル基が生成されて系内のpHが低下してしまうため、系内をpH9〜11に保つ必要がある。
系内をアルカリ性に保つためには、pHを一定にスタットしながらアルカリ水溶液を添加していくことで調製することができる。アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア水溶液、さらには水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムなどの有機アルカリなどが用いられるが、コストなどから水酸化ナトリウムが好ましい。
酸化反応を終了させるためには、系内のpHを保ちながら他のアルコールを添加し共酸化剤を完全に反応し終える必要がある。添加するアルコールとしては反応をすばやく終了させるためメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの低分子量のアルコールが望ましい。反応により生成される副産物の安全性などからエタノールがより好ましい。
酸化し終わった酸化パルプの洗浄方法としては、アルカリと塩を形成したまま洗浄する方法、酸を添加してカルボン酸にして洗浄する方法、有機溶剤を添加して不要化して洗浄する方法等がある。ハンドリング性や収率等から酸を添加してカルボン酸にして洗浄する方法が好ましい。なお洗浄溶媒としては水が好ましい。
[改質されたセルロースを微細化する工程]
改質されたセルロースを微細化する方法としては、まず、改質セルロースを分散媒に浸漬してから、その分散液のpHを調整する。例えば、酸洗浄した酸化パルプを水に分散させたときは分散液のpHは4〜6程度であるため、アルカリを用いてpHを6〜12に調製する。
本発明で用いられる分散媒は、水、メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコールから選択される1種または2種以上の溶媒であることが好ましい。これらの溶媒を用いることにより、分散液の乾燥速度の上昇や濡れ性の向上、粘度の低下等を実現させることができる。
また、用いられるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア水溶液、さらには水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムなどの有機アルカリなどが挙げられる。コストなどから水酸化ナトリウムが好ましい。
続いて、物理的に改質セルロースを微細化する手段としては、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、カッターミル、遊星ミル、ジェットミル、アトライター、グラインダー、ジューサーミキサー、ホモミキサー、ナノジナイザー、水中対向衝突などの分散装置、さらにはこれらの分散装置の2種以上を併用することで微細化することができる。これらのような微細化処理を任意の時間行うことで、C6位にカルボキシル基を有する改質微細セルロースを含むセルロース分散液を得ることができる。
体積平均粒径が0.01μm以上100μm以下であり、体積平均粒度分布が上記体積平均粒径の範囲に、一つの粒径ピークを有する改質微細セルロースは、(1)上記の改質されたセルロースを微細化する工程で用いられる分散媒の種類および量を変更する、(2)微細化するための手段から適当な手段を選択し処理時間等を調整するなどの方法で得ることができるが、これらの方法に限定されない。
上記工程により得られた本発明のセルロース分散液は、その透過率(波長:600nm)が、80%以上99%以下であることが好ましい。本発明のセルロース分散液の透過率をこの範囲にすることで、例えばコーティング剤やフィルムとして用いた際に高い透明性を有した膜やフィルムを得ることができる。なお、上記透過率は、セルロース分散液の固形分濃度が0.1%以上10%以下の範囲で80%以上99%以下であることが好ましい。
本発明の成形体は、本発明のセルロース分散液をキャストもしくは基材上に塗布し乾燥することで形成される。成形体としては、フィルムもしくはシート状のものが一般的ではあるが、他に、カップ状、ボトル状、テープ状、中空状、パイプ状、チューブ状、ロッド状等のモールド成形品、異型押出品、射出成形品など種々の成形品によって得られるものを例示することができる。
上記の基材は、プラスチック材料を用いることができる。プラスチック材料の例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル系材料、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系材料、ポリスチレンフィルム、ナイロンなどのポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド等が挙げられる。さらには、プラスチック材料としては、ポリ塩化ビニル、セルロース、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリウレタン等を用いることもできる。また、以上のプラスック材料の少なくとも一種類以上を成分に持つ、あるいは共重合成分に持つ、あるいはそれらの化学修飾体を成分に有するプラスチック材料を用いることもできる。
また、上記の基材は、天然材料由来の基材を用いることもできる。天然材料由来の基材としては、ポリ乳酸、バイオポリオレフィン、ヒドロキシアルカノエート等を用いてもよい。また、木材や草木などのパルプ化、抄紙などの工程を経て得られる紙などを用いることもできる。
本発明のセルロース分散液の塗布方法としては、コンマコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、ダイレクトグラビアコーター、リバースグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、ロールキスコーター、リバースキスコーター、マイクログラビアコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーター、ブレードコーター、ブラシコーター、カーテンコーター、ダイスロットコーター等を用いた塗布方法を用いることができる。成形体を得る方法としては、コーティング剤を成形済みの基材に塗布してなる方法の他、成形済みの基材に塗布したコーティング皮膜を剥離し、コーティング層単独からなるフィルム状やシート状の成形体を得る方法、更にはキャストによるフィルムやシート状物を得る方法などが挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明の技術範囲はこれらの実施形態に限定されるものではない。
まず、実施例および比較例で用いる酸化パルプについて製造例に基づいて説明する。
[製造例]
<パルプのTEMPO酸化>
針葉樹晒クラフトパルプ30gを蒸留水1800gに懸濁し、蒸留水200gにTEMPOを0.3g、臭化ナトリウムを3g溶解させた溶液を加え、20℃まで冷却した。ここに1Nの塩酸でpH10に調整した2mol/l、密度1.15g/mlの次亜塩素酸ナトリウム水溶液172gを添加し、酸化反応を開始した。系内の温度は常に20℃に保ち、反応中のpHの低下は0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加することでpH10に保ち続けた。セルロースの質量に対して、水酸化ナトリウムが2.85mmol/gになったところで十分量のエタノールを添加し反応を停止させた。その後、pH3になるまで塩酸を添加した後、蒸留水で十分洗浄を繰り返し、酸化パルプを得た。
<酸化パルプのカルボキシル基測定>
製造例で得た酸化パルプを固形分重量で0.1g量りとり、1%濃度で水に分散させ、塩酸を加えてpHを3とした。その後、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を用いて電導度滴定法により、カルボキシル基量(mmol/g)を求めたところ1.6mmol/gであった。
次に、実施例および比較例のセルロース分散液について説明する。
[実施例1]
<酸化パルプの微細化>
上記製造例の酸化パルプ1gを99gの蒸留水に分散させ、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH10に調製した。調製した分散液をジューサーミキサーで60分間微細化処理し、1%セルロース分散液を得た。
[実施例2]
微細化処理を、ジューサーミキサーの代わりに超高圧ホモジナイザー(200MPa)で10パス行った以外は、実施例1と同様にして、1%セルロース分散液を得た。
[実施例3]
分散媒を蒸留水−エタノール混合溶媒(蒸留水:エタノール=8:2)にした以外は、実施例1と同様にして、1%セルロース分散液を得た。
[比較例1]
微細化処理時間を5分間にした以外は、実施例1と同様にして、1%セルロース分散液を得た。
[比較例2]
微細化処理を、ジューサーミキサーの代わりに超音波ホモジナイザーで15分間行った以外は、実施例1と同様にして、1%セルロース分散液を得た。
次に、実施例および比較例のセルロース分散液およびそれを用いて形成したフィルムの評価方法について説明する。
<体積平均粒度分布測定>
実施例1〜3および比較例1、2のセルロース分散液を、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製、SALD−7000H)を用いて測定した。約200mlの純水をセル中に循環させ、サンプルを滴下していくことで測定可能な濃度に調整し測定した。確認された体積平均粒径の最小値および最大値、さらに、確認された粒径ピークの数を表1に示す。
<透過率測定>
実施例1〜3および比較例1、2のセルロース分散液について、光透過率を測定した。石英製のサンプルセルに気泡が混入しないように分散液を入れ、光路長1cmにおける波長600nmの光透過率を分光光度計(日本分光、NRS−1000)にて測定した。結果を表2に示す。
<形状観察>
実施例1〜3および比較例1、2のセルロース分散液に含まれる改質微細セルロースの形状観察は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて観察した。1000倍に希釈した実施例1〜3および比較例1、2のセルロース分散液をマイカへき開面上にキャストし乾燥させ、タッピングAFMで観察し、その繊維高さを10点計測し平均を短方向繊維幅とした。結果を表2に示す。
<酸素透過度測定>
実施例1〜3および比較例1、2のセルロース分散液を、厚さ12μmの片面コロナ処理PETフィルム上に#20のワイヤーバーでコートし、120℃オーブンで十分乾燥させた。乾燥させたコート済みPETフィルムの酸素透過度を、モダンコントロール社製 MOCON OX−TRAN 2/21を用いて25℃−5%RHの雰囲気下で測定した。結果を表2に示す。
<フィルム比重>
実施例1〜3および比較例1、2のセルロース分散液を、ポリスチレンプレート上にキャストし、120℃オーブンで十分乾燥させ、剥離してフィルムを作製した。作製したフィルムの比重を溶媒にエタノール(比重:0.793、20℃)を用いてデジタル比重計で測定した。結果を表2に示す。
<せん断粘度測定>
実施例1〜3および比較例1、2のセルロース分散液のせん断粘度を、コーンプレートを用いた回転式レオメーターで25℃、せん断速度10−2〜10−1の範囲で測定した。10−1−1および10−1の結果を表2に示す。
Figure 0005540823
Figure 0005540823
表1の結果から、実施例1〜3はいずれも0.01μm以上0.2μm以下に一つの体積平均粒径ピークを持っていることが確認できた。
また、表2の結果から、一つの粒径ピークをもつセルロース分散液にすることで、セルロース同士がより密に膜を作り、ガスバリア性を向上させることができた。さらに、低せん断速度領域での粘度は高く、高せん断速度領域では粘度を低くさせることが可能になり、塗工性を向上させることができた。
以上のとおり、本発明によって得られるセルロース分散液もしくはその成形体はガスバリア性や透明性、塗工時の粘度特性に優れているため、食品やトイレタリー製品、薬品、医療品、電子部材などの容器や包材などの様々な分野へ応用することも可能である。

Claims (7)

  1. 短方向繊維幅が、1nm以上20nm以下である改質微細セルロースを含み、せん断粘度(mPa・s)がせん断速度が10 −1 −1 において81200〜99700であり、せん断速度が10 −1 において26〜37であるセルロース分散液の製造方法であって、
    系内でセルロースを酸化して改質セルロースを調製する工程と、
    酸化反応の系内にアルコールを添加し、酸化反応を終了させる工程と、
    酸化反応を終了後、酸を添加する工程と、
    酸を添加した後、調製された改質セルロースを洗浄する工程と、
    前記改質セルロースを分散媒に分散させる工程と、
    前記改質セルロースに、微細化するために、改質セルロースを分散媒に分散させた分散液を、集中的に機械的処理し、体積平均粒径が、0.01μm以上100μm以下であり体積基準粒度分布が、一つの粒径ピークを有する改質微細セルロース分散液を調製する工程と、
    を具備することを特徴とするセルロース分散液の製造方法。
  2. 前記改質微細セルロースの体積平均粒径が、0.01μm以上0.2μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のセルロース分散液の製造方法
  3. 前記改質微細セルロースが、セルロースI型の結晶構造を有する天然セルロースを改質し微細化したセルロースであることを特徴とする請求項1または2に記載のセルロース分散液の製造方法
  4. 前記改質微細セルロースが、N−オキシル化合物により酸化された、カルボキシル基を有するセルロースであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のセルロース分散液の製造方法
  5. 前記改質微細セルロースのカルボキシル基量が、1.0mmol/g以上2.0mmol/g以下であることを特徴とする請求項4に記載のセルロース分散液の製造方法
  6. 前記セルロース分散液の分散媒が、水、メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコールから選択される1種または2種以上の溶媒であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のセルロース分散液の製造方法。
  7. 前記セルロース分散液の透過率(波長:600nm)が、80%以上99%以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のセルロース分散液の製造方法。
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