JP5537783B2 - 物理量センサおよび物理量計測方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体レーザから放射したレーザ光と物体からの戻り光との自己結合効果によって生じる干渉の情報から、物体との距離や物体の速度等の物理量を計測する物理量センサおよび物理量計測方法に関するものである。
半導体レーザの自己結合効果(自己混合効果)を用いたレーザセンサには、波長固定型と波長変調型の2種類がある。波長固定型のセンサについては例えば特許文献1に開示され、波長変調型のセンサについては例えば特許文献2に開示されている。
波長固定型のセンサは、測定対象の物体の変位に伴い、レーザ素子の活性層端面もしくは反射面と、物体の反射面との間の外部干渉長が変化するため、この外部干渉長の変化によって生じる干渉を自己結合信号として取り出すことにより、例えば物体の変位を計測する。しかしながら、このような波長固定型のセンサでは、物体に照射するレーザ光のゆらぎや外乱光と、自己結合信号との分離が非常に難しいという問題があった。
一方、波長変調型のセンサは、レーザ発振波長を変調することで、測定対象が静止している物体の場合でも外部干渉状態の変化による自己結合信号を作り出すことができると同時に、自己結合信号の発生周期に規則性を与えることができるために、自己結合信号と外乱との分離が容易になる。発振波長を変調する場合についてより具体的に説明すると、レーザから物体にレーザ光を照射しつつ、レーザの発振波長を変化させると、発振波長が最小発振波長から最大発振波長まで変化する間(あるいは最大発振波長から最小発振波長まで変化する間)における物体の変位は、自己結合信号の数に反映される。例えば、物体までの距離がL1のとき、自己結合信号の数が10個であったとすれば、半分の距離L2では、自己結合信号の数は5個になる。すなわち、ある一定時間においてレーザの発振波長を変化させた場合、測定距離に比例して自己結合信号の数は変わる。したがって、レーザの光出力を電気信号に変換し、この電気信号から自己結合信号を抽出すれば、容易に距離計測が可能となる。
特許第3282746号公報 特許第2733990号公報
波長変調型のセンサでは、注入電流の変調を行うことでレーザ素子の線膨張による干渉長変化を生じさせ、発振波長を変調している。そのため、波長変調型のセンサでは、波長変化量が距離分解能に比例する距離計測において、注入電流変調によるレーザの光出力変化が大きくなり、光出力の変化から微小な自己結合信号を抽出することが容易でなくなるため、距離分解能と自己結合信号抽出特性が相反するという問題点があった。さらに、波長変調型のセンサでは、レーザの光出力変化が物体からの戻り光の強度変化を引き起こし、自己結合信号の強度の安定性に悪影響を及ぼすため、測定精度の安定性が悪いという問題点があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、測定範囲の長距離化、高分解能、測定精度の安定化、および信号抽出の容易さを実現することができる物理量センサおよび物理量計測方法を提供することを目的とする。
本発明の物理量センサは、制御信号に応じた共振器長の調節により発振波長の制御が可能な波長可変機構を備え、測定対象にレーザ光を放射する波長可変半導体レーザと、この半導体レーザに駆動電流を供給して前記半導体レーザを発振させるレーザドライバと、前記半導体レーザに前記制御信号を供給して前記半導体レーザの発振波長を変調する発振波長変調手段と、前記半導体レーザから放射されたレーザ光と前記測定対象からの戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出する検出手段と、この検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形の情報から、前記測定対象の物理量を計測する計測手段とを備え、参照信号を生成する参照信号生成手段と、変調信号を生成する電圧制御発振手段と、前記参照信号と前記検出手段の出力に含まれる変調信号とを位相比較し、この変調信号が前記参照信号と同期もしくは前記変調信号と前記参照信号との位相差が一定になるように、前記電圧制御発振手段を制御する位相制御手段とを備え、前記レーザドライバは、前記電圧制御発振手段から出力される変調信号で前記駆動電流を変調し、前記発振波長変調手段は、前記制御信号を前記参照信号と同期させることを特徴とするものである。
また、本発明の物理量センサは、制御信号に応じた共振器長の調節により発振波長の制御が可能な波長可変機構を備え、測定対象にレーザ光を放射する波長可変半導体レーザと、この半導体レーザに駆動電流を供給して前記半導体レーザを発振させるレーザドライバと、前記半導体レーザに前記制御信号を供給して前記半導体レーザの発振波長を変調する発振波長変調手段と、前記半導体レーザから放射されたレーザ光と前記測定対象からの戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出する検出手段と、この検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形の情報から、前記測定対象の物理量を計測する計測手段とを備え、前記レーザドライバは、パルス状の前記駆動電流を前記半導体レーザに供給して、前記半導体レーザをパルス発光させることを特徴とするものである。
また、本発明の物理量センサの1構成例において、前記発振波長変調手段は、発振波長が連続的に単調増加する期間を少なくとも含む第1の発振期間と発振波長が連続的に単調減少する期間を少なくとも含む第2の発振期間とが交互に存在するように前記半導体レーザを動作させるものであり、前記計測手段は、前記検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形の数を、前記半導体レーザの発振波長の増加側の計数期間と前記発振波長の減少側の計数期間の各々について数える信号抽出手段と、前記信号抽出手段の計数結果から前記測定対象の物理量を算出する演算手段とからなることを特徴とするものである。
また、本発明の物理量センサの1構成例において、前記信号抽出手段は、前記検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形の数を、前記半導体レーザの発振波長の増加側の計数期間と前記発振波長の減少側の計数期間の各々について数える計数手段と、この計数手段が干渉波形の数を数える計数期間中の前記干渉波形の周期を干渉波形が入力される度に測定する周期測定手段と、この周期測定手段の測定結果から前記計数期間中の干渉波形の周期の度数分布を作成する度数分布作成手段と、前記度数分布から前記干渉波形の周期の分布の代表値を算出する代表値算出手段と、前記度数分布から、前記代表値の第1の所定数倍以下である階級の度数の総和Nsと、前記代表値の第2の所定数倍以上である階級の度数の総和Nwとを求め、これらの度数NsとNwに基づいて前記計数手段の計数結果を補正し、補正後の計数結果を出力する補正値算出手段とからなることを特徴とするものである。
また、本発明の物理量センサの1構成例において、前記測定対象の物理量は、前記測定対象との距離及び前記測定対象の速度の少なくとも一方である
また、本発明の物理量センサの1構成例は、さらに、前記測定対象からの戻り光を受光して電気信号に変換する戻り光検知用受光器と、この戻り光検知用受光器の出力信号を基に前記レーザ光の放射方向に測定対象が存在するかどうかを判定する物体検知手段とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の物理量センサの1構成例は、さらに、前記半導体レーザの光出力が一定になるように、前記レーザドライバから前記半導体レーザに供給される駆動電流を制御する光出力制御手段を備えることを特徴とするものである。
また、本発明の物理量センサの1構成例は、さらに、前記半導体レーザの光出力が周囲温度に応じた適切な値になるように、前記レーザドライバから前記半導体レーザに供給される駆動電流を制御する光出力制御手段を備えることを特徴とするものである。
また、本発明の物理量センサの1構成例は、さらに、前記測定対象からの戻り光を受光して電気信号に変換する戻り光検知用受光器と、この戻り光検知用受光器の出力信号に基づいて、前記測定対象からの戻り光量が一定になるように、前記レーザドライバから前記半導体レーザに供給される駆動電流を制御する光出力制御手段とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の物理量センサの1構成例は、さらに、前記検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形を、前記発振波長の増加側の複数回の計数期間について平均化すると共に前記発振波長の減少側の複数回の計数期間について平均化する平均化処理手段を備え、前記発振波長変調手段は、発振波長が連続的に単調増加する期間を少なくとも含む第1の発振期間と発振波長が連続的に単調減少する期間を少なくとも含む第2の発振期間とが交互に存在するように前記半導体レーザを動作させるものであり、前記計測手段は、前記検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形の数を、前記半導体レーザの発振波長の増加側の計数期間と前記発振波長の減少側の計数期間の各々について数える信号抽出手段と、前記平均化処理手段から出力された計数結果から前記測定対象の物理量を算出する演算手段とからなり、前記平均化処理手段は、前記平均化を行う平均化計算手段と、前記平均化後の干渉波形の数を、前記半導体レーザの発振波長の増加側の計数期間と前記発振波長の減少側の計数期間の各々について数える平均化処理後計数手段と、前記信号抽出手段から出力された計数結果の変化が所定の範囲内の場合、前記平均化処理後計数手段から出力された計数結果を前記演算手段に出力し、前記信号抽出手段から出力された計数結果の変化が所定の範囲を超える場合、前記信号抽出手段から出力された計数結果を前記演算手段に出力する状態判定手段とからなることを特徴とするものである。
また、本発明の物理量センサの1構成例において、前記信号抽出手段は、前記検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形の数を、前記半導体レーザの発振波長の増加側の計数期間と前記発振波長の減少側の計数期間の各々について数える平均化処理前計数手段と、この平均化処理前計数手段が干渉波形の数を数える計数期間中の前記干渉波形の周期を干渉波形が入力される度に測定する周期測定手段と、この周期測定手段の測定結果から前記計数期間中の干渉波形の周期の度数分布を作成する度数分布作成手段と、前記度数分布から前記干渉波形の周期の分布の代表値を算出する代表値算出手段と、前記度数分布から、前記代表値の第1の所定数倍以下である階級の度数の総和Nsと、前記代表値の第2の所定数倍以上である階級の度数の総和Nwとを求め、これらの度数NsとNwに基づいて前記平均化処理前計数手段の計数結果を補正し、補正後の計数結果を前記平均化処理手段に出力する補正値算出手段とからなり、前記状態判定手段は、前記信号抽出手段から出力された計数結果の変化を観測する代わりに、前記信号抽出手段で算出された周期の分布の代表値の変化を観測し、この代表値の変化が所定の範囲内の場合、前記平均化処理後計数手段から出力された計数結果を前記演算手段に出力し、前記代表値の変化が所定の範囲を超える場合、前記信号抽出手段から出力された計数結果を前記演算手段に出力する状態判定手段とからなることを特徴とするものである。
また、本発明の物理量センサの1構成例は、さらに、前記検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形の位相変化を検出して、前記半導体レーザの発振波長の変化率が一定になるように、前記発振波長変調手段から前記半導体レーザに供給される制御信号を制御する位相検出手段を備えることを特徴とするものである。
また、本発明の物理量センサの1構成例において、前記平均化処理後計数手段は、前記平均化後の干渉波形を小数点以下の単位で数えることを特徴とするものである。
また、本発明の物理量センサの1構成例において、前記レーザドライバは、レーザ発振のしきい値電流付近の前記駆動電流を前記半導体レーザに供給することを特徴とするものである。
また、本発明の物理量計測方法は、制御信号に応じた共振器長の調節により発振波長の制御が可能な波長可変機構を備え測定対象にレーザ光を放射する波長可変半導体レーザに、駆動電流を供給して前記半導体レーザを発振させる発振手順と、前記半導体レーザに前記制御信号を供給して前記半導体レーザの発振波長を変調する発振波長変調手順と、前記半導体レーザから放射されたレーザ光と前記測定対象からの戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出する検出手順と、この検出手順で得られた出力信号に含まれる前記干渉波形の情報から、前記測定対象の物理量を計測する計測手順と、参照信号を生成する参照信号生成手順と、変調信号を生成する電圧制御発振手順と、前記参照信号と前記検出手順の出力に含まれる変調信号とを位相比較し、この変調信号が前記参照信号と同期もしくは前記変調信号と前記参照信号との位相差が一定になるように、前記電圧制御発振手順を制御する位相制御手順とを備え、前記発振手順は、前記電圧制御発振手順で出力される変調信号で前記駆動電流を変調し、前記発振波長変調手順は、前記制御信号を前記参照信号と同期させることを特徴とするものである。
また、本発明の物理量計測方法は、制御信号に応じた共振器長の調節により発振波長の制御が可能な波長可変機構を備え測定対象にレーザ光を放射する波長可変半導体レーザに、駆動電流を供給して前記半導体レーザを発振させる発振手順と、前記半導体レーザに前記制御信号を供給して前記半導体レーザの発振波長を変調する発振波長変調手順と、前記半導体レーザから放射されたレーザ光と前記測定対象からの戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出する検出手順と、この検出手順で得られた出力信号に含まれる前記干渉波形の情報から、前記測定対象の物理量を計測する計測手順とを備え、前記発振手順は、パルス状の前記駆動電流を前記半導体レーザに供給して、前記半導体レーザをパルス発光させることを特徴とするものである。
本発明によれば、半導体レーザとして波長可変半導体レーザを用いることにより、光出力と発振波長とを独立に制御することができる。その結果、本発明では、半導体レーザの発振波長を変調しつつ、駆動電流を一定にして、一定の高光出力を維持することができるので、測定範囲の長距離化を実現することができる。また、本発明では、発振波長変化量が駆動電流振幅に依存しないため、発振波長変化量を大きくとることができ、従来の駆動電流変調型のVCSELを用いるセンサに比べて距離分解能を向上させることができる。また、本発明では、半導体レーザの光出力が一定であるため、半導体レーザの光出力に重畳している微小な干渉波形を容易に抽出することができる。また、本発明では、半導体レーザの光出力の変化が小さいため、光出力変化による干渉波形の強度の不安定性を回避することができ、測定精度の安定化を実現することができる。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る物理量センサの構成を示すブロック図である。図1の物理量センサは、測定対象である物体11にレーザ光を放射する半導体レーザ1と、半導体レーザ1の内部又はその近傍に配置され、半導体レーザ1の光出力を電気信号に変換する受光器であるフォトダイオード2と、半導体レーザ1からの光を集光して物体11に照射すると共に、物体11からの戻り光を集光して半導体レーザ1に入射させるレンズ3と、半導体レーザ1に駆動電流を供給するレーザドライバ4と、フォトダイオード2の出力電流を電圧に変換して増幅する電流−電圧変換増幅器5と、電流−電圧変換増幅器5の出力電圧に含まれる自己結合信号であるモードホップパルス(以下、MHPとする)の数を数える信号抽出部7と、MHPの数から物体11との距離および物体11の速度を算出する演算部8と、演算部8の算出結果などを表示する表示装置9と、半導体レーザ1の発振波長を変調する発振波長変調手段であるダイアフラムドライバ10とを有する。
フォトダイオード2と電流−電圧変換増幅器5とは、検出手段を構成している。信号抽出部7と演算部8とは、計測手段を構成している。
図2は本実施の形態の半導体レーザ1の要部構成断面図である。半導体レーザ1は、垂直共振面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting LASER)の一種であり、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を用いて作製された垂直共振器波長可変機構を備えたMEMS波長可変半導体レーザである。この垂直共振器波長可変機構は、共振器を構成する2枚のミラーの距離(共振器長)を静電力によって制御することにより、レーザの発振波長を変化させる。図2の例では、ミラー層1013と、活性層1014と、電極1015,1023と、ダイアフラム1022と、光学薄膜1019と、SOI基板1017とが、波長可変機構を構成している。
図2において、SOI(Silicon On Insulator)基板1017は、シリコン基板1017aと、シリコン基板1017a上の酸化膜1017bと、酸化膜1017b上のシリコン膜1017cとからなる。シリコン基板1017aの下面には、電極1023が形成される。酸化膜1017bの中央部には、酸化膜1017bをエッチングすることにより空洞となった静電駆動ギャップ1021が形成される。この静電駆動ギャップ1021は、酸化膜1017bの犠牲層エッチングにより形成される。
シリコン膜1017cの中央部上面には、凹面部1018が形成されている。この凹面部1018は、シリコンの選択研磨により形成される。この凹面部1018により薄くなった部分のシリコン膜1017cが、ダイアフラム1022を構成している。凹面部1018には、誘電体多層膜からなる光学薄膜1019が形成されている。光学薄膜1019は、ミラーとして機能する。凹面部1018の周囲のシリコン膜1017c上には、電極1015が形成される。電極1015の上面には、InP基板1012が設けられる。そして、電極1015の中央部には、凹面部1018と光学薄膜1019とが露出する空隙部1016が形成されている。この空隙部1016は、光共振ギャップを構成している。
電極1011は、InP基板1012の上面に形成される。ミラー層1013は、InP基板1012の内部に形成される。このミラー層1013は、InP化合物からなる。また、InP基板1012の上面には、ミラー層1013まで届く開口部1121が形成されている。この開口部1121がレーザ光の出射孔となる。活性層1014は、InP基板1012の下面に、ミラー層1013と接するようにして形成される。上述の空隙部1016は、この活性層1014の中央部下面が露出するように形成されている。
以上のような半導体レーザ1において、光共振器は、ミラー層1013と光学薄膜1019とからなる2枚のミラーの間に、InPの活性層1014と空隙部1016とが存在する構造となっている。
この半導体レーザ1の動作を説明する。電極1011と電極1015との間に電圧を印加することで活性層1014に電流が注入され、活性層1014に含まれる原子が励起状態になり、光が出射される。この光がミラー層1013と光学薄膜1019との間で反射されることにより、レーザ発振が生じる。そして、ミラー層1013から出射したレーザ光は、InP基板1012を通ることなく、開口部1121から半導体レーザ1の外部に出射する。
出射されるレーザ光の発振波長は、ミラー層1013と光学薄膜1019との間の距離で決定される。電極1015と電極1023との間に電圧を印加することにより、シリコンのダイアフラム1022とシリコン基板1017aとの間に静電力が発生し、ダイアフラム1022がシリコン基板1017a側に動くので、ミラー層1013と光学薄膜1019との間の距離が長くなり、レーザーの発振波長が長波長側にシフトする。このような動作でレーザの発振波長を変化させることが可能になる。
なお、以上のような半導体レーザ1の詳細は、例えば特開2005−223111号公報、特開2007−173550号公報に開示されている。
本実施の形態では、フォトダイオード2は、半導体レーザ1の内部に設けられている。すなわち、フォトダイオード2は、受光面が静電駆動ギャップ1021内に露出するように、シリコン基板1017aの中央部上面に設けられている。ミラー層1013から出射したレーザ光は、物体11に照射される。一方、光学薄膜1019から出射したレーザ光は、静電駆動ギャップ1021を通ってフォトダイオード2に入射する。したがって、フォトダイオード2に物体11からの戻り光や外乱光などが入射することがないため、SN比(Signal to Noise Ratio)を向上させることができる。
レーザドライバ4の出力は、半導体レーザ1の電極1011,1015に接続されている。レーザドライバ4は、電極1011,1015を介して半導体レーザ1の活性層1014に一定の駆動電流を供給する。
ダイアフラムドライバ10は、半導体レーザ1の電極1015と電極1023との間にダイアフラム制御信号を印加する。ダイアフラム制御信号の電圧を変化させることにより、半導体レーザ1の発振波長を変化させることが可能になる。
ダイアフラムドライバ10は、時間に関して一定の変化率で電圧増減を繰り返す三角波状のダイアフラム制御信号を半導体レーザ1に印加する。これにより、半導体レーザ1は、ダイアフラム制御信号の大きさに比例して発振波長が一定の変化率で連続的に増加する第1の発振期間P1と発振波長が一定の変化率で連続的に減少する第2の発振期間P2とを交互に繰り返すように動作する。
図3(A)はダイアフラムドライバ10から半導体レーザ1に供給されるダイアフラム制御信号を示す図、図3(B)はダイアフラム制御信号に応じた半導体レーザ1の発振波長の時間変化を示す図、図3(C)はレーザドライバ4から半導体レーザ1に供給される駆動電流を示す図、図3(D)は駆動電流に応じた半導体レーザ1の光出力を示す図である。なお、図3(C)では、ダイアフラム制御信号との比較を容易にするために、ダイアフラム制御信号を破線30で示している。また、図3(D)では、半導体レーザ1の発振波長変化との比較を容易にするために、発振波長を破線31で示している。
図3(A)〜図3(D)において、λaは半導体レーザ1の発振波長の最小値、λbは発振波長の最大値、Tは三角波の周期である。本実施の形態では、発振波長の最大値λbおよび発振波長の最小値λaはそれぞれ常に一定になされており、それらの差λb−λaも常に一定になされている。
半導体レーザ1から出射したレーザ光は、レンズ3によって集光され、物体11に入射する。物体11で反射された半導体レーザ1の光は、レンズ3によって集光され、半導体レーザ1に入射する。
フォトダイオード2は、半導体レーザ1の内部又はその近傍に配置され、半導体レーザ1の光出力を電流に変換する。
電流−電圧変換増幅器5は、フォトダイオード2の出力電流を電圧に変換して増幅する。
信号抽出部7は、電流−電圧変換増幅器5の出力電圧に含まれるMHPの数を第1の計数期間Q1と第2の計数期間Q2の各々について数える。信号抽出部7は、論理ゲートからなるカウンタを利用するものでもよいし、FFT(Fast Fourier Transform)を利用してMHPの周波数(すなわち単位時間あたりのMHPの数)を計測するものでもよい。なお、信号抽出部7は、必要に応じて信号抽出用のバンドパスフィルタなどを内部に備え、電流−電圧変換増幅器5の出力電圧からMHPを抽出するようにしてもよい。
第1の計数期間Q1は、第1の発振期間P1と同じ期間か、あるいは第1の発振期間P1内に含まれ、第1の発振期間P1の開始時点から所定時間後に始まる期間である。同様に、第2の計数期間Q2は、第2の発振期間P2と同じ期間か、あるいは第2の発振期間P2内に含まれ、第2の発振期間P2の開始時点から所定時間後に始まる期間である。第1の計数期間Q1と第2の計数期間Q2は、電流−電圧変換増幅器5の出力電圧の極大値と極小値のタイミングを除くように設定することが好ましい。この場合、第1の計数期間Q1と第2の計数期間Q2のそれぞれの長さは、T/2より短くなる。
なお、現時点が第1の発振期間P1か第2の発振期間P2かはダイアフラムドライバ10から通知されるので、信号抽出部7は、現時点が第1の計数期間Q1か第2の計数期間Q2かを認識できるようになっている。
ここで、自己結合信号であるMHPについて説明する。図4に示すように、ミラー層1013から物体11までの距離をL、レーザの発振波長をλとすると、以下の共振条件を満足するとき、物体11からの戻り光と半導体レーザ1の光共振器内のレーザ光は強め合い、レーザ出力がわずかに増加する。
L=qλ/2 ・・・(1)
式(1)において、qは整数である。この現象は、物体11からの散乱光が極めて微弱であっても、半導体レーザの共振器101内の見かけの反射率が増加することにより、増幅作用が生じ、十分観測できる。
図5は、半導体レーザ1の発振波長をある一定の割合で変化させたときの発振波長とフォトダイオード2の出力波形との関係を示す図である。式(1)に示したL=qλ/2を満足したときに、戻り光と光共振器内のレーザ光の位相差が0°(同位相)になって、戻り光と光共振器内のレーザ光とが最も強め合い、L=qλ/2+λ/4のときに、位相差が180°(逆位相)になって、戻り光と光共振器内のレーザ光とが最も弱め合う。そのため、半導体レーザ1の発振波長を変化させていくと、レーザ出力が強くなるところと弱くなるところとが交互に繰り返し現れ、このときのレーザ出力をフォトダイオード2で検出すると、図5に示すように一定周期の階段状の波形が得られる。このような波形は一般的には干渉縞と呼ばれる。この階段状の波形、すなわち干渉縞の1つ1つがMHPである。前記のとおり、ある一定時間において半導体レーザ1の発振波長を変化させた場合、測定距離に比例してMHPの数は変化する。
次に、演算部8は、半導体レーザ1の最小発振波長λaと最大発振波長λbと信号抽出部7が数えたMHPの数に基づいて、物体11との距離および物体11の速度を算出する。図6は演算部8の構成の1例を示すブロック図、図7は演算部8の動作を示すフローチャートである。演算部8は、半導体レーザ1の最小発振波長λaと最大発振波長λbとMHPの数に基づいて物体11との距離の候補値と物体11の速度の候補値とを算出する距離・速度算出部80と、距離・速度算出部80で算出された距離の候補値と直前に算出された距離の候補値との差である履歴変位を算出する履歴変位算出部81と、距離・速度算出部80と履歴変位算出部81の算出結果を記憶する記憶部82と、距離・速度算出部80と履歴変位算出部81の算出結果に基づいて物体11の状態を判定する状態判定部83と、状態判定部83の判定結果に基づいて物体11との距離および物体11の速度を確定する距離・速度確定部84とから構成される。
本実施の形態では、物体11の状態を所定の条件を満たす微小変位状態、あるいは微小変位状態よりも動きが大きい変位状態のいずれかであるとする。半導体レーザ1の発振波形の半周期あたりの物体11の平均変位をVとしたとき、微小変位状態とは(λb−λa)/λb>V/Lbを満たす状態であり(ただし、Lbは時刻tのときの距離)、変位状態とは(λb−λa)/λb≦V/Lbを満たす状態である。
まず、演算部8の距離・速度算出部80は、現時刻tにおける距離の候補値Lα(t),Lβ(t)と速度の候補値Vα(t),Vβ(t)を次式のように算出して、記憶部82に格納する(図7ステップS10)。
Lα(t)=λa×λb×(MHP(t−1)+MHP(t))
/{4×(λb−λa)} ・・・(2)
Lβ(t)=λa×λb×(|MHP(t−1)−MHP(t)|)
/{4×(λb−λa)} ・・・(3)
Vα(t)=(MHP(t−1)−MHP(t))×λb/4 ・・・(4)
Vβ(t)=(MHP(t−1)+MHP(t))×λb/4 ・・・(5)
式(2)〜式(5)において、MHP(t)は現時刻tにおいて算出されたMHPの数、MHP(t−1)はMHP(t)の1回前に算出されたMHPの数である。例えば、MHP(t)が第1の計数期間Q1の計数結果であるとすれば、MHP(t−1)は第2の計数期間Q2の計数結果であり、逆にMHP(t)が第2の計数期間Q2の計数結果であるとすれば、MHP(t−1)は第1の計数期間Q1の計数結果である。
候補値Lα(t),Vα(t)は物体11が微小変位状態にあると仮定して計算した値であり、候補値Lβ(t),Vβ(t)は物体11が変位状態にあると仮定して計算した値である。演算部8は、式(2)〜式(5)の計算を信号抽出部7によってMHPの数が測定される時刻毎(計数期間毎)に行う。
続いて、演算部8の履歴変位算出部81は、微小変位状態と変位状態の各々について、現時刻tにおける距離の候補値と、記憶部82に格納された、直前の時刻における距離の候補値との差である履歴変位を次式のように算出して、記憶部82に格納する(図7ステップS11)。なお、式(6)、式(7)では、現時刻tの1回前に算出された距離の候補値をLα(t−1),Lβ(t−1)としている。
Vcalα(t)=Lα(t)−Lα(t−1) ・・・(6)
Vcalβ(t)=Lβ(t)−Lβ(t−1) ・・・(7)
履歴変位Vcalα(t)は物体11が微小変位状態にあると仮定して計算した値であり、履歴変位Vcalβ(t)は物体11が変位状態にあると仮定して計算した値である。演算部8は、式(6)〜式(7)の計算を信号抽出部7によってMHPの数が測定される時刻毎に行う。なお、式(4)〜式(7)においては、物体11が本実施の形態の物理量センサに近づく方向を正の速度、遠ざかる方向を負の速度と定めている。
次に、演算部8の状態判定部83は、記憶部82に格納された式(2)〜式(7)の算出結果を用いて、物体11の状態を判定する(図7ステップS12)。
特開2006−313080号公報に記載されているように、物体11が微小変位状態で移動(等速度運動)している場合、物体11を微小変位状態と仮定して計算した履歴変位Vcalα(t)の符号は一定で、かつ物体11を微小変位状態と仮定して計算した速度の候補値Vα(t)と履歴変位Vcalα(t)の絶対値の平均値とが等しくなる。また、物体11が微小変位状態で等速度運動している場合、物体11を変位状態と仮定して計算した履歴変位Vcalβ(t)の符号は、MHPの数が測定される時刻毎に反転する。
したがって、状態判定部83は、物体11が微小変位状態にあると仮定して計算した履歴変位Vcalα(t)の符号が一定で、かつ物体11が微小変位状態にあると仮定して計算した速度の候補値Vα(t)と履歴変位Vcalα(t)の絶対値の平均値とが等しい場合、物体11が微小変位状態で等速度運動していると判定する。
特開2006−313080号公報に記載されているように、物体11が変位状態で移動(等速度運動)している場合、物体11を変位状態と仮定して計算した履歴変位Vcalβ(t)の符号は一定で、かつ物体11を変位状態と仮定して計算した速度の候補値Vβ(t)と履歴変位Vcalβ(t)の絶対値の平均値とが等しくなる。また、物体11が変位状態で等速度運動している場合、物体11を微小変位状態と仮定して計算した履歴変位Vcalα(t)の符号はMHPの数が測定される時刻毎に反転する。
したがって、状態判定部83は、物体11が変位状態にあると仮定して計算した履歴変位Vcalβ(t)の符号が一定で、かつ物体11が変位状態にあると仮定して計算した速度の候補値Vβ(t)と履歴変位Vcalβ(t)の絶対値の平均値とが等しい場合、物体11が変位状態で等速度運動していると判定する。
特開2006−313080号公報に記載されているように、物体11が微小変位状態で、等速度運動以外の運動をしている場合、物体11を微小変位状態と仮定して計算した速度の候補値Vα(t)と物体11を微小変位状態と仮定して計算した履歴変位Vcalα(t)の絶対値の平均値とは一致しない。同様に、物体11を変位状態と仮定して計算した速度の候補値Vβ(t)と物体11を変位状態と仮定して計算した履歴変位Vcalβ(t)の絶対値の平均値も一致しない。
また、物体11が微小変位状態で、等速度運動以外の運動をしている場合、物体11を微小変位状態と仮定して計算した履歴変位Vcalα(t)の符号はMHPの数が測定される時刻毎に反転し、物体11を変位状態と仮定して計算した履歴変位Vcalβ(t)では符号の変動はあっても、この変動はMHPの数が測定される時刻毎ではない。
したがって、状態判定部83は、物体11が微小変位状態にあると仮定して計算した履歴変位Vcalα(t)の符号がMHPの数が測定される時刻毎に反転し、かつ物体11が微小変位状態にあると仮定して計算した速度の候補値Vα(t)と履歴変位Vcalα(t)の絶対値の平均値とが一致しない場合、物体11が微小変位状態で等速度運動以外の運動をしていると判定する。
なお、速度の候補値Vβ(t)に着目すると、Vβ(t)の絶対値は定数となり、この値は半導体レーザ1の波長変化率(λb−λa)/λbと等しい。そこで、状態判定部83は、物体11が変位状態にあると仮定して計算した速度の候補値Vβ(t)の絶対値が波長変化率と等しく、かつ物体11が微小変位状態にあると仮定して計算した速度の候補値Vα(t)と履歴変位Vcalα(t)の絶対値の平均値とが一致しない場合、物体11が微小変位状態で等速度運動以外の運動をしていると判定してもよい。
特開2006−313080号公報に記載されているように、物体11が変位状態で、等速度運動以外の運動をしている場合、物体11を微小変位状態と仮定して計算した速度の候補値Vα(t)と物体11を微小変位状態と仮定して計算した履歴変位Vcalα(t)の絶対値の平均値とは一致せず、物体11を変位状態と仮定して計算した速度の候補値Vβ(t)と物体11を変位状態と仮定して計算した履歴変位Vcalβ(t)の絶対値の平均値も一致しない。
また、物体11が変位状態で、等速度運動以外の運動をしている場合、物体11を変位状態と仮定して計算した履歴変位Vcalβ(t)の符号はMHPの数が測定される時刻毎に反転し、物体11を微小変位状態と仮定して計算した履歴変位Vcalα(t)では符号の変動はあっても、この変動はMHPの数が測定される時刻毎ではない。
したがって、状態判定部83は、物体11が変位状態にあると仮定して計算した履歴変位Vcalβ(t)の符号がMHPの数が測定される時刻毎に反転し、かつ物体11が変位状態にあると仮定して計算した速度の候補値Vβ(t)と履歴変位Vcalβ(t)の絶対値の平均値とが一致しない場合、物体11が変位状態で等速度運動以外の運動をしていると判定する。
なお、速度の候補値Vα(t)に着目すると、Vα(t)の絶対値は定数となり、この値は半導体レーザ1の波長変化率(λb−λa)/λbと等しい。したがって、状態判定部83は、物体11が微小変位状態にあると仮定して計算した速度の候補値Vα(t)の絶対値が波長変化率と等しく、かつ物体11が変位状態にあると仮定して計算した速度の候補値Vβ(t)と履歴変位Vcalβ(t)の絶対値の平均値とが一致しない場合、物体11が変位状態で等速度運動以外の運動をしていると判定してもよい。
演算部8の距離・速度確定部84は、状態判定部83の判定結果に基づいて物体11の速度および物体11との距離を確定する(図7ステップS13)。
すなわち、距離・速度確定部84は、物体11が微小変位状態で等速度運動していると判定された場合、速度の候補値Vα(t)を物体11の速度とし、距離の候補値Lα(t)を物体11との距離とし、物体11が変位状態で等速度運動していると判定された場合、速度の候補値Vβ(t)を物体11の速度とし、距離の候補値Lβ(t)を物体11との距離とする。
また、距離・速度確定部84は、物体11が微小変位状態で等速度運動以外の運動をしていると判定された場合、速度の候補値Vα(t)を物体11の速度とし、距離の候補値Lα(t)を物体11との距離とする。ただし、実際の距離は、距離の候補値Lα(t)の平均値となる。また、距離・速度確定部84は、物体11が変位状態で等速度運動以外の運動をしていると判定された場合、速度の候補値Vβ(t)を物体11の速度とし、距離の候補値Lβ(t)を物体11との距離とする。ただし、実際の距離は、距離の候補値Lβ(t)の平均値となる。
なお、MHP(t−1)とMHP(t)の大小関係によって、Vβ(t)は必ず正の値となり、Vα(t)は正又は負の値のいずれかとなるが、これらの符号は物体11の速度の向きを表現したものではない。発振波長が増加している方の半導体レーザのMHPの数が、発振波長が減少している方の半導体レーザのMHPの数よりも大きいとき、物体11の速度は正方向(レーザに接近する方向)となる。
演算部8は、ステップS10〜S13の処理を、信号抽出部7によってMHPの数が測定される時刻毎(計数期間毎)に行う。
表示装置9は、物体11との距離などの演算部8によって算出された物理量を表示する。
以上のように、本実施の形態では、半導体レーザ1としてMEMS波長可変半導体レーザを用いることにより、光出力と発振波長とを独立に制御することができる。その結果、本実施の形態では、図3(B)に示すように半導体レーザ1の発振波長を変調しつつ、駆動電流を一定にして、図3(D)に示すように一定の高光出力を維持することができるので、測定範囲の長距離化を実現することができる。
自己結合型の距離計において、距離分解能は発振波長変化量に比例する。よって、従来の駆動電流変調型のVCSELを用いるセンサの場合、距離分解能を向上させるには、VCSELに供給する駆動電流の変化量を大きくする必要があり、それに伴いレーザ出力の増減が大きくなる。その結果、駆動電流が小さくなるときに、物体からの戻り光が、自己結合効果を得られるだけの十分な光強度を下回るという課題がある。
これに対して、本実施の形態では、MHPを抽出する期間の光出力の変化を小さくすることができる。自己結合効果はわずかな戻り光で生じるため、戻り光を受光素子で検知するタイプのセンサと比較すると、物体11の反射率や距離に依存せずにMHPを得ることができる。しかし、光出力に対してMHPそのものが小さいため、遠距離に存在する低反射率の物体11に対して高光出力を保持しながらセンシングできる効果は大きい。また、本実施の形態では、発振波長変化量が駆動電流振幅に依存しないため、発振波長変化量を大きくとることができ、従来の駆動電流変調型のVCSELを用いるセンサに比べて距離分解能を向上させることができる。
また、本実施の形態では、半導体レーザ1の光出力が一定、すなわち電流−電圧変換増幅器5の出力電圧がほぼ一定であるため、この電流−電圧変換増幅器5の出力電圧に重畳している微小なMHPを容易に抽出することができる。したがって、信号抽出部7の内部にフィルタを設けることは必須ではなく、ノイズを除去するためにフィルタが必要な場合には、簡単なバンドパスフィルタを設けるようにすればよい。
また、本実施の形態では、半導体レーザ1の光出力の変化が小さいため、光出力変化によるMHPの強度の不安定性を回避することができ、測定精度の安定化を実現することができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図8は本発明の第2の実施の形態における半導体レーザ1の要部構成断面図であり、図2と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態は、フォトダイオード2を半導体レーザ1の外部に設けた例を示している。
シリコン基板1017aと電極1023の中央部には、シリコン基板1017aと電極1023を貫通する貫通孔1024が形成されている。光学薄膜1019から出射したレーザ光は、静電駆動ギャップ1021と貫通孔1024を通ってフォトダイオード2に入射する。
物理量センサのその他の構成は、第1の実施の形態と同じである。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態においても、物理量センサの構成は第1の実施の形態、第2の実施の形態と同様であるので、図1の符号を用いて説明する。
レーザ出力は、その安全性の観点からクラス分けがなされている。一般的に、レーザの安全性を高めるためにとられる手法として、パルス発光による平均光出力の低減手法が知られている。しかしながら、パルス状の駆動電流を従来の駆動電流変調型のVCSELに供給してVCSELをパルス発光させようとしても、発振波長の変化は駆動電流変化で生じる熱膨張・熱収縮によるので、レーザの伸び縮みに遅れが生じ、所望の発振波長変調を行うことは難しい。
図9(A)は従来の駆動電流変調型のVCSELに供給される駆動電流を示す図、図9(B)は駆動電流に応じたVCSELの発振波長の時間変化を示す図である。図9(A)の例では、VCSELをパルス発光させつつ、その発光期間内においてVCSELの発振波長を変調するために、頭頂部が三角波状の駆動電流をVCSELに供給している。この駆動電流に対して、VCSELの期待される発振波長の変化は図9(B)の破線90で示すような波形となる。しかし、実際にはレーザの伸び縮みの遅れにより、図9(B)の91で示すような波形となる。図9(B)を拡大した図10によると、VCSELの期待される発振波長の変化90に対して、実際の発振波長の変化91がずれていることが分かる。図10に示すように、VCSELの発振波長の変化率が一定でなくなると、MHPの周期にばらつきが生じてしまうので、距離や速度の測定に誤差が生じてしまう。
これに対して、本実施の形態では、半導体レーザ1としてMEMS波長可変半導体レーザを用いることにより、第1の実施の形態で説明したとおり、光出力と発振波長とを独立に制御することができる。静電駆動を用いたMEMS波長可変半導体レーザにおける波長変調では、駆動電流による熱膨張・熱収縮を利用した波長変化のような大きな非線形性を持たないため、半導体レーザ1をパルス発光させる際の発振波長変化の非線形性を改善することができる。
本実施の形態の発振波長の制御を図11(A)〜図11(D)を用いて説明する。図11(A)はダイアフラムドライバ10から半導体レーザ1に供給されるダイアフラム制御信号を示す図、図11(B)はダイアフラム制御信号に応じた半導体レーザ1の発振波長の時間変化を示す図、図11(C)はレーザドライバ4から半導体レーザ1に供給される駆動電流を示す図、図11(D)は駆動電流に応じた半導体レーザ1の光出力を示す図である。なお、図11(C)では、ダイアフラム制御信号との比較を容易にするために、ダイアフラム制御信号を破線110で示している。また、図11(D)では、半導体レーザ1の発振波長変化との比較を容易にするために、発振波長を破線111で示している。P1は第1の発振期間、P2は第2の発振期間、λaは発振波長の最小値、λbは発振波長の最大値、TLはパルス発光の周期である。
物理量センサのその他の構成は、第1、第2の実施の形態と同じである。ただし、第1、第2の実施の形態では、第1の発振期間P1と第2の発振期間P2が間断なく交互に現れるため、物体11との距離および物体11の速度が連続的に測定されるが、本実施の形態では、第1の発振期間P1と第2の発振期間P2が断続的に現れるので、距離および速度の測定も断続的に行われることは言うまでもない。
以上のように、本実施の形態では、図11(C)に示すようにパルス状の駆動電流を半導体レーザ1に断続的に供給することにより、半導体レーザ1を図11(D)のようにパルス発光させることができ、平均光出力を小さくすることができるので、人に対する安全性を確保することができる。
また、本実施の形態では、少なくともパルス発光の期間内において図11(A)に示すように電圧が三角波状に変化するダイアフラム制御信号を半導体レーザ1に供給することにより、図11(B)に示すように発振波長が一定の変化率で連続的に増加する第1の発振期間P1と発振波長が一定の変化率で連続的に減少する第2の発振期間P2とがパルス発光の期間内に現れるように、発振波長を変調することができる。このとき、半導体レーザ1の発振波長は、駆動電流の変化に影響されることなく、ダイアフラム制御信号に応じて変化するので、半導体レーザ1をパルス発光させる際の発振波長変化の非線形性を改善することができる。その結果、本実施の形態では、物体11との距離と無関係にMHPの数が変化してしまうことがなくなるので、従来の駆動電流変調型のVCSELを用いてパルス発光させる場合に比べて、距離や速度の測定誤差を向上させることができる。
なお、本実施の形態では、半導体レーザ1の駆動電流と発振波長が独立の関係にあるとしているが、厳密には、ダイアフラム1022上の光学薄膜1019と活性層1014との間隔がわずかに変化するために、駆動電流と発振波長は完全に独立とはいえない。しかしながら、発振波長制御用のダイアフラム制御信号は駆動電流と独立なので、ダイアフラム制御信号によって駆動電流の変化の影響を容易に補正することができる。より具体的には、半導体レーザ1の発振波長が一定の変化率で増加したり一定の変化率で減少したりするように、ダイアフラム制御信号の波形を予め設定しておけばよい、
このようなダイアフラム制御信号を生成するには、例えばダイアフラムドライバ10内のメモリ(不図示)にダイアフラム制御信号のデジタル値を予め設定しておき、このデジタル値をD/Aコンバーター(不図示)でアナログ信号に変換して、ダイアフラムドライバ10から出力すればよい。
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図12は本発明の第4の実施の形態に係る物理量センサの構成を示すブロック図である。図12の物理量センサは、第1、第2の実施の形態の物理量センサに対して、ビームスプリッター12と、戻り光検知用受光器であるフォトダイオード13と、フォトダイオード13の出力電流を電圧に変換して増幅する電流−電圧変換増幅器14と、電流−電圧変換増幅器14の出力電圧を基にレーザ光の放射方向に物体が存在するかどうかを判定する物体検知部15とを追加したものである。
ダイアフラムドライバ10から半導体レーザ1に供給されるダイアフラム制御信号、ダイアフラム制御信号に応じた半導体レーザ1の発振波長、レーザドライバ4から半導体レーザ1に供給される駆動電流、および駆動電流に応じた半導体レーザ1の光出力は、図11(A)〜図11(D)に示したとおりである。
半導体レーザ1から出射したレーザ光は、ビームスプリッター12を透過し、レンズ3によって集光され、物体11に入射する。物体11からの戻り光は、レンズ3によって集光され、戻り光の一部はビームスプリッター12で反射されてフォトダイオード13に入射し、戻り光の残りはビームスプリッター12を透過して半導体レーザ1に入射する。
電流−電圧変換増幅器14は、フォトダイオード13の出力電流を電圧に変換して増幅する。
物体検知部15は、電流−電圧変換増幅器14の出力電圧に基づいて、半導体レーザ1の放射方向に物体11が存在するかどうかを判定する。半導体レーザ1の放射方向に物体11が存在しない場合、フォトダイオード13に入射する光量がなくなるか若しくは低下する。物体検知部15は、電流−電圧変換増幅器14の出力電圧が例えば所定のしきい値以下の場合、半導体レーザ1の放射方向に物体11が存在しないと判定する。
また、物体検知部15は、電流−電圧変換増幅器14の出力電圧が所定のしきい値を超える場合、半導体レーザ1の放射方向に物体11が存在すると判定し、物体11を検知したことを示す物体検知信号を出力する。物体検知信号の出力に応じて、表示装置9は物体11を検知したことを表示する。
物理量センサのその他の構成は、第1、第2の実施の形態と同じである。
なお、物体検知部15は、半導体レーザ1のパルス発光の周期TL毎に電流−電圧変換増幅器14の出力電圧がしきい値を超える場合、半導体レーザ1の放射方向に物体11が存在すると判定するようにしてもよい。このように、パルス発光の周期TL毎に電流−電圧変換増幅器14の出力電圧がしきい値を超えるかどうかを複数周期にわたって確認するのは、フォトダイオード13に入射する外乱光の影響を排除し、物体11の有無を正しく判定するためである。
こうして、本実施の形態では、パルス状の戻り光をモニタすることによって、反射型の光電スイッチと同じ機能を付加することができ、物体検知機能を実現することができる。また、一般的なパルス発光型の光電スイッチと同様に、外乱光除去機能や複数のセンサの相互干渉防止機能を実現することができる。
自己結合型のレーザセンサは、照射光と戻り光の外部干渉の原理を用いているため、物体がランダムな運動をしている場合などに、MHPとノイズの分離ができず、物体の物理量を計測できない場合がある。安全性の観点から、物体の検知機能を付加しようとしたとき、従来の駆動電流変調型のVCSELを用いるセンサにおいても、VCSELをパルス発光させることで、パルス発光させたレーザ光を一般的な光電スイッチの光源として用いることができる。
しかしながら、第3の実施の形態で説明したとおり、従来の駆動電流変調型のVCSELをパルス発光させようとしても、所望の発振波長変調を行うことは難しい。したがって、従来の駆動電流変調型のVCSELを用いるセンサでは、物体検知機能を付加しようとすると、物体検知用のレーザ駆動方法と物体検知後の測定時のレーザ駆動方法を分ける必要がある。
これに対して、本実施の形態では、光電スイッチとしての機能のための光出力のパルス変調と物理量センサとしての機能のための発振波長の変調とを同時に実施することができ、簡単な構成で物体検知機能を付加することができる。
なお、第3、第4の実施の形態では、パルス発光の期間内において電圧が三角波状に変化するダイアフラム制御信号を用いたが、駆動電流と三角波が同期しているのであれば、連続的な三角波のダイアフラム制御信号を用いてもよい。この場合のダイアフラム制御信号を図13(A)に示し、ダイアフラム制御信号に応じた半導体レーザ1の発振波長の時間変化を図13(B)に示す。なお、図13(A)では、駆動電流との比較を容易にするために、駆動電流を破線130で示している。また、図13(B)では、半導体レーザ1の光出力との比較を容易にするために、光出力を破線131で示している。
また、第4の実施の形態では、ビームスプリッター12を用いているが、物体11からの戻り光を検知できればよいので、ビームスプリッター12は必須の構成ではない。
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。図14は本発明の第5の実施の形態に係る物理量センサの構成を示すブロック図である。図14の物理量センサは、第1、第2の実施の形態の物理量センサに対して、光出力制御部16を追加したものである。
光出力制御部16は、フォトダイオード2の出力電流が一定になるように、レーザドライバ4から半導体レーザ1に供給される駆動電流を制御する。より具体的には、光出力制御部16は、電流−電圧変換増幅器5の出力電圧が所定の基準値になるように駆動電流を制御する。物理量センサのその他の構成は、第1、第2の実施の形態と同じである。
こうして、本実施の形態では、半導体レーザ1の光出力を一定にすることができ、半導体レーザ1の長寿命化を実現することができる。
レーザデバイスの駆動電流−光出力特性には温度依存性がある。図15は半導体レーザ1の駆動電流−光出力特性の1例を示す図である。C0,C10,C20,C30,C40,C50は、それぞれ0℃、10℃、20℃、30℃、40℃、50℃の特性である。測定対象が遠距離にある低反射率の物体の場合、高光出力の保持は有効であるが、高い周囲温度と高駆動電流はレーザデバイスの寿命を縮める原因になる。
従来の駆動電流変調型のVCSELを用いるセンサの場合、駆動電流で発振波長を変化させる方法でフィードバックをかけることができるが、発振波長を変化させるために駆動電流に振幅を持たせることが必要で、波長変化量と寿命の両立が難しくなる。これに対して、本実施の形態では、光出力と発振波長とを独立に制御することができるので、半導体レーザ1の寿命を考慮した光出力制御を行うことができる。つまり、本実施の形態では、光出力量に相当する電流−電圧変換増幅器5の出力電圧を検出して、検出結果に基づく信号をレーザドライバ4にフィードバックすることにより、適切な駆動電流を選択することができ、半導体レーザ1の長寿命化を実現することができる。
半導体レーザ1の寿命の観点から考えると、半導体レーザ1の温度に制限を掛ける必要があり、周囲温度が高いときの最大駆動電流を決めることが必要である。周囲温度が高くなるほど半導体レーザ1の光出力は低下するので、物理量センサの使用が想定される最高周囲温度のときの最大駆動電流での光出力量(図15の例では例えば1mW)を基準光出力量として、半導体レーザ1から基準光出力量が出力されているときの電流−電圧変換増幅器5の出力電圧を基準値として、光出力制御部16に予め設定しておけばよい。
なお、第1の実施の形態で説明したとおり、電流−電圧変換増幅器5の出力電圧にはMHPが重畳しているが、MHPの大きさは電流−電圧変換増幅器5の出力電圧に比べて非常に小さいものなので、MHPが光出力の制御に影響を与えることはない。
[第6の実施の形態]
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。図16は本発明の第6の実施の形態に係る物理量センサの構成を示すブロック図である。図16の物理量センサは、第1、第2の実施の形態の物理量センサに対して、光出力制御部17を追加したものである。
光出力制御部17は、半導体レーザ1の光出力が周囲温度に応じた適切な値になるように、レーザドライバ4から半導体レーザ1に供給される駆動電流を制御する。物理量センサのその他の構成は、第1、第2の実施の形態と同じである。
半導体レーザ1の光出力量を、周囲温度が高いときの基準光出力量に一致させる第5の実施の形態の方式では、周囲温度が低いときに半導体レーザ1の温度に余裕があるため、温度によって光出力を大きくしたい場合がある。その際、駆動電流を一定にして低温時に過大な光出力を出すよりも、周囲温度によって光出力を変化させる方法が適切である。
光出力制御部17は、周囲温度に応じて駆動電流を変化させるものであり、具体的には予め温度特性が規定された抵抗などから構成される。その温度特性は、例えば図15の丸印150で示したように、周囲温度が変化しても駆動電流と光出力との積が常に一定になるように規定されている。
こうして、本実施の形態では、周囲温度に応じて半導体レーザ1の光出力を変化させることができ、半導体レーザ1の長寿命化を実現しつつ、周囲温度が低くて半導体レーザ1の温度に余裕がある場合には、光出力を大きくして測定範囲の長距離化を実現することができる。
なお、図14のように電流−電圧変換増幅器5の出力電圧を光出力制御部17にフィードバックして、光出力制御部17は、電流−電圧変換増幅器5の出力電圧が表す光出力と駆動電流との積が常に一定になるように駆動電流を制御してもよい。
[第7の実施の形態]
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。図17は本発明の第7の実施の形態に係る物理量センサの構成を示すブロック図である。図17の物理量センサは、第1、第2の実施の形態の物理量センサに対して、ビームスプリッター12と、戻り光検知用受光器であるフォトダイオード13と、電流−電圧変換増幅器14と、光出力制御部18とを追加したものである。
第4の実施の形態で説明したように、半導体レーザ1から出射したレーザ光は、ビームスプリッター12を透過し、レンズ3によって集光され、物体11に入射する。物体11からの戻り光は、レンズ3によって集光され、戻り光の一部はビームスプリッター12で反射されてフォトダイオード13に入射し、戻り光の残りはビームスプリッター12を透過して半導体レーザ1に入射する。
電流−電圧変換増幅器14は、フォトダイオード13の出力電流を電圧に変換して増幅する。
光出力制御部18は、フォトダイオード13の出力電流が一定になるように、レーザドライバ4から半導体レーザ1に供給される駆動電流を制御する。より具体的には、光出力制御部18は、電流−電圧変換増幅器14の出力電圧が所定の基準値になるように駆動電流を制御する。物理量センサのその他の構成は、第1、第2の実施の形態と同じである。こうして、本実施の形態では、物体11からの戻り光量を一定にすることができる。
物体11との距離や物体11の反射率に依存せずに、半導体レーザ1の光出力からMHPを安定的に抽出するには、自己結合効果が得られるように戻り光量を適切に制御することが好ましい。具体的な目標としては、MHPが最大となるレーザ発振状態、あるいはMHPが安定的に生じるレーザ発振状態を保てばよい。そこで、MHPが最大となるレーザ発振状態あるいはMHPが安定的に生じるレーザ発振状態が得られる戻り光量を基準戻り光量として、フォトダイオード13が基準戻り光量を受光しているときの電流−電圧変換増幅器14の出力電圧を基準値として、光出力制御部18に予め設定しておけばよい。
こうして、本実施の形態では、MHPを安定的に抽出することができるので、物体11の物理量の測定精度、測定の信頼性を向上させることができる。また、本実施の形態では、物体11からの戻り光量が一定になるように光出力を制御するので、MHPの抽出に十分以上の戻り光量が得られている場合、光出力を小さくすることになる。したがって、本実施の形態によれば、半導体レーザ1の長寿命化を実現することができる。
また、本実施の形態では、ビームスプリッター12を用いているが、物体11からの戻り光を検知できればよいので、ビームスプリッター12は必須の構成ではない。
[第8の実施の形態]
次に、本発明の第8の実施の形態について説明する。本実施の形態は、信号抽出部の別の構成例を示すものである。図18は本実施の形態の信号抽出部7aの構成の1例を示すブロック図である。信号抽出部7aは、判定部71と、論理積演算部(AND)72と、カウンタ73と、計数結果補正部74と、記憶部75とから構成される。
図19は計数結果補正部74の構成の1例を示すブロック図である。計数結果補正部74は、周期測定部740と、度数分布作成部741と、代表値算出部742と、補正値算出部743とから構成される。
図20(A)〜図20(F)は信号抽出部7aの動作を説明するための図であり、図20(A)は電流−電圧変換増幅器5の出力電圧の波形、すなわちMHPの波形を模式的に示す図、図20(B)は図20(A)に対応する判定部71の出力を示す図、図20(C)は信号抽出部7aに入力されるゲート信号GSを示す図、図20(D)は図20(B)に対応するカウンタ73の計数結果を示す図、図20(E)は信号抽出部7aに入力されるクロック信号CLKを示す図、図20(F)は図20(B)に対応する周期測定部740の測定結果を示す図である。
まず、信号抽出部7aの判定部71は、図20(A)に示す電流−電圧変換増幅器5の出力電圧がハイレベル(H)かローレベル(L)かを判定して、図20(B)のような判定結果を出力する。このとき、判定部71は、電流−電圧変換増幅器5の出力電圧が上昇してしきい値TH1以上になったときにハイレベルと判定し、電流−電圧変換増幅器5の出力電圧が下降してしきい値TH2(TH2<TH1)以下になったときにローレベルと判定することにより、電流−電圧変換増幅器5の出力を2値化する。
AND72は、判定部71の出力と図20(C)のようなゲート信号GSとの論理積演算の結果を出力し、カウンタ73は、AND72の出力の立ち上がりをカウントする(図20(D))。ここで、ゲート信号GSは、計数期間(本実施の形態では第1の発振期間又は第2の発振期間)の先頭で立ち上がり、計数期間の終わりで立ち下がる信号である。したがって、カウンタ73は、計数期間中のAND72の出力の立ち上がりエッジの数(すなわち、MHPの立ち上がりエッジの数)を数えることになる。
一方、計数結果補正部74の周期測定部740は、計数期間中のAND72の出力の立ち上がりエッジの周期(すなわち、MHPの周期)を立ち上がりエッジが発生する度に測定する。このとき、周期測定部740は、図20(E)に示すクロック信号CLKの周期を1単位としてMHPの周期を測定する。図20(F)の例では、周期測定部740は、MHPの周期としてTα,Tβ,Tγを順次測定している。図20(E)、図20(F)から明らかなように、周期Tα,Tβ,Tγの大きさは、それぞれ5クロック、4クロック、2クロックである。クロック信号CLKの周波数は、MHPの取り得る最高周波数に対して十分に高いものとする。
記憶部75は、カウンタ73の計数結果と周期測定部740の測定結果を記憶する。
ゲート信号GSが立ち下がり、計数期間が終了した後、計数結果補正部74の度数分布作成部741は、記憶部75に記憶された測定結果から計数期間中のMHPの周期の度数分布を作成する。
続いて、計数結果補正部74の代表値算出部742は、度数分布作成部741が作成した度数分布から、MHPの周期の中央値(メジアン)T0を算出する。
計数結果補正部74の補正値算出部743は、度数分布作成部741が作成した度数分布から、周期の中央値T0の0.5倍以下である階級の度数の総和Nsと、周期の中央値T0の1.5倍以上である階級の度数の総和Nwとを求め、カウンタ73の計数結果を次式のように補正する。
N’=N+Nw−Ns ・・・(8)
式(8)において、Nはカウンタ73の計数結果であるMHPの数、N’は補正後の計数結果である。
図21に度数分布の1例を示す。図21において、Tsは周期の中央値T0の0.5倍の階級値、Twは中央値T0の1.5倍の階級値である。図21における階級が、MHPの周期の代表値であることは言うまでもない。なお、図21では記載を簡略化するため、中央値T0とTsとの間、及び中央値T0とTwとの間の度数分布を省略している。
図22はカウンタ73の計数結果の補正原理を説明するための図であり、図22(A)は電流−電圧変換増幅器5の出力電圧の波形、すなわちMHPの波形を模式的に示す図、図22(B)は図22(A)に対応するカウンタ73の計数結果を示す図である。
本来、MHPの周期は測定対象12との距離によって異なるが、測定対象12との距離が不変であれば、MHPは同じ周期で出現する。しかし、ノイズのために、MHPの波形には欠落が生じたり、信号として数えるべきでない波形が生じたりして、MHPの数に誤差が生じる。
信号の欠落が生じると、欠落が生じた箇所でのMHPの周期Twは、本来の周期のおよそ2倍になる。つまり、MHPの周期が中央値T0のおよそ2倍以上の場合には、信号に欠落が生じていると判断できる。そこで、周期Tw以上の階級の度数の総和Nwを信号が欠落した回数と見なし、このNwをカウンタ73の計数結果Nに加算することで、信号の欠落を補正することができる。
また、ノイズをカウントした箇所でのMHPの周期Tsは、本来の周期のおよそ0.5倍になる。つまり、MHPの周期が中央値のおよそ0.5倍以下の場合には、信号を過剰に数えていると判断できる。そこで、周期Ts以下の階級の度数の総和Nsを信号を過剰に数えた回数と見なし、このNsをカウンタ73の計数結果Nから減算することで、誤って数えたノイズを補正することができる。以上が、式(8)に示した計数結果の補正原理である。
補正値算出部743は、式(8)により計算した補正後の計数結果N’の値を演算部8に出力する。信号抽出部7aは、以上のような処理を第1の計数期間Q1と第2の計数期間Q2の各々について行う。なお、本実施の形態では、MHPの周期の代表値として中央値を用いたが、周期の代表値として最頻値を用いてもよい。
以上、本実施の形態で説明した信号抽出部7aを、第1〜第7の実施の形態において、信号抽出部7の代わりに使用することが可能である。
信号抽出部7aによれば、計数期間中のMHPの周期を測定し、この測定結果から計数期間中のMHPの周期の度数分布を作成し、度数分布からMHPの周期の中央値を算出し、度数分布から、中央値の0.5倍以下である階級の度数の総和Nsと、中央値の1.5倍以上である階級の度数の総和Nwとを求め、これらの度数NsとNwに基づいてカウンタの計数結果を補正することにより、MHPの計数誤差を補正することができるので、物理量の測定精度を向上させることができる。
[第9の実施の形態]
次に、本発明の第9の実施の形態について説明する。図23は本発明の第9の実施の形態に係る物理量センサの構成を示すブロック図である。図23の物理量センサは、半導体レーザ1と、フォトダイオード2と、レンズ3と、変調信号で変調された駆動電流を半導体レーザ1に供給するレーザドライバ4aと、電流−電圧変換増幅器5と、信号抽出部7と、演算部8と、表示装置9と、参照信号に同期したダイアフラム制御信号を半導体レーザ1に供給するダイアフラムドライバ10aと、参照信号を生成する参照信号生成回路19と、電圧制御発振器を制御する位相制御手段であるPLL(Phase Locked Loop )回路20と、変調信号を生成する電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)21と、電流−電圧変換増幅器5の出力電圧に含まれるMHP波形を平均化する平均化処理部22とを有する。
参照信号生成回路19は、正弦波状の参照信号を生成する。この参照信号の周波数は、MHPの想定される最低周波数よりも低い値に設定されている。
ダイアフラムドライバ10aは、第1の実施の形態のダイアフラムドライバ10と同様に、時間に関して一定の変化率で電圧増減を繰り返す三角波状のダイアフラム制御信号を半導体レーザ1に供給する。ただし、ダイアフラムドライバ10aは、ダイアフラム制御信号を、参照信号生成回路19から出力される参照信号と同期させて出力する。
VCO21は、正弦波状の変調信号を生成する。レーザドライバ4aは、VCO21から出力される変調信号によって駆動電流の振幅を変調し、変調後の駆動電流を半導体レーザ1に供給する。このとき、駆動電流に重畳される変調信号の振幅は、駆動電流の大きさよりも小さい値に設定されている。
PLL回路20は、参照信号生成回路19から出力される参照信号と電流−電圧変換増幅器5の出力電圧に含まれる変調信号とを位相比較し、変調信号の周波数が参照信号の周波数と等しく、かつ変調信号が参照信号と同期もしくは変調信号と参照信号との位相差が一定になるように、VCO21を制御する。
波長変調型のセンサによる物理量の測定においては、MHPを直接計数した値を用いることが多いが、MHPが発振波長変調の搬送波(ダイアフラム制御信号)の3桁以上速い周波数になることがあるため、計数値の繰り返し精度を向上させるためには、発振波長変調の搬送波と同期したタイミングもしくは一定の位相差のタイミングとなるように、MHPの計数を開始するタイミング及び計数を行う時間の長さを高精度に制御する必要がある。
図24(A)は第1、第2の実施の形態においてダイアフラムドライバ10から半導体レーザ1に供給されるダイアフラム制御信号を示す図、図24(B)、図24(C)は電流−電圧変換増幅器5の出力から抽出されるMHPを示す図である。ただし、図24(B)では図24(A)のダイアフラム制御信号と同じ時間でMHPを示し、図24(C)では計数開始時点を起点としてMHPを示している。
第1、第2の実施の形態のようにダイアフラム制御信号で半導体レーザ1の発振波長を変調する場合、図24(A)、図24(B)に示すようにダイアフラム制御信号のタイミングを基準として、MHPを数える期間をある程度制御することができ、MHPの計数値のばらつきを少なくすることができる。しかし、MHPの計数開始のタイミングのばらつきは、図24(C)に示すように計数開始時点を起点にした時間と抽出したMHPとの相関を小さくすることとなり、同期信号を利用したMHPの平均化によるノイズ除去などの手法が行えなくなる。つまり、MHPのタイミングが計数の度にずれ、繰り返し精度が悪いため、複数の計数期間にわたってMHPを平均化する手法が使用できない。
これに対して、本実施の形態では、PLL回路20を用いることにより、ダイアフラム制御信号と半導体レーザ1の光出力に含まれる変調信号とが同期するか若しくは一定の位相差になるように、変調信号の位相を制御することができ、光出力をダイアフラム制御信号と同期して変調することができるので、MHPの計数期間のタイミングを高精度に制御することができ、計数開始時点を起点にした時間とMHPとの相関(繰り返し精度)を高めることができ、平均化などのノイズ除去手法を用いることができる。つまり、MHPは、物体11の状態が変化しない場合、ダイアフラム制御信号に対して計数の度に位置がずれることがなくなり、常に同じ位置に現れるため、ダイアフラム制御信号でトリガが掛け、平均化を施すことによってMHPのノイズを除去することができる。
信号抽出部7の構成および動作は第1の実施の形態と同様であるが、ここでは信号抽出部7は、MHPの計数結果を平均化処理部22に出力する。
また、信号抽出部7の代わりに、第8の実施の形態で説明した信号抽出部7aを用いることも可能である。この場合、信号抽出部7aの補正値算出部743は、式(8)により計算した補正後の計数結果N’とMHPの周期の代表値(中央値または最頻値)を平均化処理部22に出力する。
図25は平均化処理部22の構成の1例を示すブロック図である。平均化処理部22は、A/Dコンバータ(ADC)220と、メモリ221と、平均化計算部222と、計数部223と、状態判定部224とから構成される。
ADC220は、電流−電圧変換増幅器5の出力をデジタル信号に変換する。メモリ221は、ADC220から出力されたデジタル信号を記憶する。
平均化計算部222は、メモリ221に記憶されたデジタル信号を、複数回の第1の計数期間Q1について平均化すると共に、複数回の第2の計数期間Q2について平均化する。
第1の計数期間Q1は、第1の発振期間P1と同じ期間か、あるいは第1の発振期間P1内に含まれ、第1の発振期間P1の開始時点から所定時間後に始まる期間である。同様に、第2の計数期間Q2は、第2の発振期間P2と同じ期間か、あるいは第2の発振期間P2内に含まれ、第2の発振期間P2の開始時点から所定時間後に始まる期間である。なお、現時点が第1の発振期間P1か第2の発振期間P2かはダイアフラムドライバ10aから通知されるので、平均化計算部222は、現時点が第1の計数期間Q1か第2の計数期間Q2かを認識できるようになっている。
図26(A)〜図26(C)は平均化計算部222の動作を説明するための図であり、図26(A)はメモリ221に記憶された最新の第1の計数期間Q1におけるMHPを示し、図26(B)は最新からi回前(iは整数)の第1の計数期間Q1におけるMHPを示し、図26(C)は複数回の第1の計数期間Q1ついて平均化されたMHPを示す。なお、平均化計算部222は、デジタル信号を処理するものであるが、図26(A)〜図26(C)ではMHPをアナログ信号で簡便的に示している。
平均化計算部222は、計数期間の開始時点から経過時間tのタイミングでADC220によってサンプリングされた最新のサンプル値をAt(n)、最新からi回前の計数期間において同一経過時間tのタイミングでサンプリングされたサンプル値をAt(n−i)とすると、m回(例えばm=10)の計数期間のサンプル値の平均値Atavを、以下のようにして計算する。
Atav={At(n)+At(n−1)+・・・・+A(n−m−1)}/m
・・・(9)
平均化計算部222は、以上のような平均化を、複数回の第1の計数期間Q1同士で各計数期間の開始時点からの経過時間が同一のタイミング毎に行うと共に、複数回の第2の計数期間Q2同士で各計数期間の開始時点からの経過時間が同一のタイミング毎に行う。なお、平均化計算部222が計算を行う間隔(図26(A)〜図26(C)の時間tとt+1との間隔)は、ADC220のサンプリング間隔である。以上のようにして、平均化計算部222はMHPを平均化することができる。
計数部223は、平均化計算部222の出力に含まれるMHPの数を第1の計数期間Q1と第2の計数期間Q2の各々について数える。計数部223は、カウンタを利用するものでもよいし、FFTを利用するものでもよい。
次に、状態判定部224は、信号抽出部7,7aから出力された計数結果とMHPの周期の代表値(中央値または最頻値)に基づいて、物体11の状態を判定し、信号抽出部7,7aから出力された計数結果と計数部223から出力された計数結果のうちどちらを演算部8に出力するかを判定する。
状態判定部224は、信号抽出部7から出力された現時点の計数結果をT(Tは三角波周期)時間前に信号抽出部7から出力された計数結果と比較して、その変化が所定の範囲内の場合、物体11の状態が変化していないと判定し、計数部223から出力された現時点の計数結果を演算部8に出力する。また、状態判定部224は、信号抽出部7から出力された現時点の計数結果をT時間前に信号抽出部7から出力された計数結果と比較して、その変化が所定の範囲を超える場合、物体11の状態が変化したと判定し、信号抽出部7から出力された現時点の計数結果を演算部8に出力する。なお、現時点の値をT時間前の値と比較することは、第1の計数期間Q1の値を1回前の第1の計数期間Q1の値と比較し、第2の計数期間Q2の値を1回前の第2の計数期間Q2の値と比較することを意味する。
信号抽出部7の代わりに信号抽出部7aを用いる場合、状態判定部224は以下のような動作を行う。すなわち、状態判定部224は、信号抽出部7aの補正値算出部743から出力された現時点のMHPの周期の代表値をT時間前に補正値算出部743から出力されたMHPの周期の代表値と比較して、その変化が所定の範囲内の場合、物体11の状態が変化していないと判定し、計数部223から出力された現時点の計数結果を演算部8に出力する。また、状態判定部224は、補正値算出部743から出力された現時点のMHPの周期の代表値をT時間前に補正値算出部743から出力されたMHPの周期の代表値と比較して、その変化が所定の範囲を超える場合、物体11の状態が変化したと判定し、補正値算出部743から出力された現時点の計数結果を演算部8に出力する。
さらに、状態判定部224は、補正値算出部743から出力された現時点の計数結果をT時間前に補正値算出部743から出力された計数結果と比較して、計数結果の変化が所定の範囲内の場合、計数部223から出力された現時点の計数結果を演算部8に出力し、計数結果の変化が所定の範囲を超える場合、補正値算出部743から出力された現時点の計数結果を演算部8に出力するようにしてもよい。なお、計数結果を比較する場合、周期の代表値を比較する場合のいずれにおいても、ある範囲の平均値と比較するようにしてもよい。
平均化処理部22は、以上のような処理を第1の計数期間Q1と第2の計数期間Q2の各々について行う。
演算部8は、半導体レーザ1の最小発振波長λaと最大発振波長λbと平均化処理部22から出力された計数結果に基づいて、第1の実施の形態で説明したように、物体11との距離および物体11の速度を算出すればよい。物理量センサのその他の構成は、第1、第2の実施の形態と同じである。
以上のように、本実施の形態では、半導体レーザ1の光出力をダイアフラム制御信号と同期して変調することにより、ダイアフラム制御信号に対するMHPの計数期間のタイミングのばらつきを除去することができ、物体11の物理量の測定精度を向上させることができる。また、本実施の形態では、ダイアフラム制御信号をトリガとして、複数の計数期間にわたってMHPを平均化することにより、ノイズを除去することができ、ノイズとMHPの分離性能を向上させることができるので、測定精度をさらに向上させることができる。なお、平均化処理部22は必須の構成ではない。平均化処理部22を用いない場合には、他の実施の形態と同様に、信号抽出部7または7aの計数結果を演算部8に直接入力すればよい。
本実施の形態における光出力の変調は、トリガを掛けてMHPの同期をとるためのものなので、非常に小さな変調量でよい。すなわち、本実施の形態における駆動電流の変調量は、従来の駆動電流変調型のセンサにおいて距離分解能を確保するための駆動電流の変調量とはレベルが大きく異なる。したがって、本実施の形態では、光出力は概ね一定であると云えるので、本実施の形態の構成が第1の実施の形態で説明した効果を損なうことはない。
[第10の実施の形態]
次に、本発明の第10の実施の形態について説明する。図27は本発明の第10の実施の形態に係る物理量センサの構成を示すブロック図である。図27の物理量センサは、第9の実施の形態の物理量センサに対して、位相検出部23を追加したものである。
第9の実施の形態で説明したように、ダイアフラム制御信号に対するMHPの計数期間のタイミングが高精度に制御されている場合、静止した基準面にレーザ光を照射したときに、ダイアフラム制御信号に対して毎回同じタイミングでMHPが発生することになる。駆動電流とダイアフラム制御信号との相関が高いと、周囲温度の変化などによって生じる発振波長の変化はMHPの位相変化として現れる。例えば、周囲温度の変化によって半導体レーザ1の発振波長変化率が増加すると、単位距離あたりのMHPの数が増加するために、基準面にレーザ光を照射したときのMHPの周期が短くなる。
そこで、MHPの位相変化を駆動電流にフィードバックすることによって、周囲温度変化による測定誤差を小さくすることができる。
すなわち、位相検出部23は、複数回の第1の計数期間Q1について電流−電圧変換増幅器5の出力に含まれるMHPの位相を調べたときに、位相変化がある場合には、複数回の第1の計数期間Q1についてMHPの位相が一致するように、すなわち半導体レーザ1の発振波長の変化率が一定になるように、ダイアフラムドライバ10aから半導体レーザ1に供給されるダイアフラム制御信号の振幅を制御する。
物理量センサのその他の構成は、第9の実施の形態と同じである。第9の実施の形態で説明したとおり、信号抽出部7の代わりに信号抽出部7aを用いてもよい。なお、上記の説明では、第1の計数期間Q1についてのみ述べたが、位相検出部23は、ダイアフラム制御信号の制御を複数回の第1の計数期間Q1と複数回の第2の計数期間Q2の各々について行えばよい。
こうして、本実施の形態では、周囲温度が変化したとしても、半導体レーザ1の発振波長変化率を一定にすることができ、周囲温度変化による測定誤差を小さくすることができる。なお、本実施の形態は、静止した基準面を観測している場合のみ有効である。基準面としては、例えば物体11が侵入する予定の空間を挟んで半導体レーザ1と向かい合う反射壁面がある。半導体レーザ1の放射方向に物体11が存在しない場合、この反射壁面からの光が半導体レーザ1に戻る。
また、半導体レーザ1を保護する透明カバーの内面と外面のうち無反射防止処理が施されていない何れか1つの面を基準面とすることもできる。図28は半導体レーザ1の入出射部の要部概略構成を示す図である。図28において、140は半導体レーザ1を収納する密閉ケース、141は半導体レーザ1の前面に設けられて半導体レーザ1を保護するガラス等の透明カバー(透明体)、142は透明カバー141の表面に設けられた反射防止膜(ARコート)である。
透明カバー141は、密閉ケース140の窓部に嵌め込んで設けられる。そして、半導体レーザ1は、その前面であるレーザ光入出射面を透明カバー141に対峙させて密閉ケース140内に組み込まれる。
ガラス等の透明体を通してレーザ光を入出力する場合、透明体と空気との界面で僅かではあるがレーザ光の反射が生じる。このような反射を防ぐ場合、専ら、低屈折率材料を分散させたフィラーを透明体の表面にコーティングして反射防止膜を形成することが行われる。本実施の形態においても、レーザ光の入出射面となる透明カバー141での不要な反射を抑えるべく、透明カバー141の表面に反射防止膜142を設けるが、この際、透明カバー141の内面にだけ反射防止膜142を設け、その外面には反射防止膜を形成しないことで、敢えて透明カバー141の外面においてレーザ光の反射が生じるようにしている。そして、半導体レーザ1から出力されたレーザ光の一部が透明カバー141の外面にて反射して半導体レーザ1に戻るようにしている。
なお、透明カバー141の外面については、無反射防止処理を施さないことは勿論のことではあるが、敢えて半導体レーザ1において自己結合効果が生じる強度の反射光を得るに必要な処理を施すようにしても良い。具体的には透明カバー141の外面を鏡面研磨したり、或る程度の反射率を有する光学膜を被覆形成することも可能である。図28に示した構成によれば、半導体レーザ1の放射方向に物体11が存在しない場合、半導体レーザ1から出射したレーザ光は、その一部が透明カバー141の外面によって反射されて半導体レーザ1に戻る。
[第11の実施の形態]
次に、本発明の第11の実施の形態について説明する。本実施の形態においても、物理量センサの構成は第9の実施の形態と同様であるので、図23の符号を用いて説明する。
第9の実施の形態において、信号抽出部7は、平均化処理部22の出力に含まれるMHPの数を整数単位で数えている。しかしながら、第9の実施の形態で説明したように、ダイアフラム制御信号に対するMHPの計数期間のタイミングが高精度に制御され、さらに複数の計数期間にわたってMHPを平均化すると、平均化処理部22の計数部223は、計数期間の始めから終わりまでのMHPを小数点以下の単位で数えることができる。
こうして、本実施の形態では、MHPを小数点以下の単位で数えることができ、式(2)〜式(5)におけるMHPの数に小数点以下の数を代入することができるので、算出する物理量の分解能を向上させることができる。
[第12の実施の形態]
第1〜第11の実施の形態では、MHP波形を含む電気信号を検出する検出手段としてフォトダイオード2と電流−電圧変換増幅器5とを用いたが、フォトダイオードを使用することなくMHP波形を抽出することも可能である。図29は本発明の第12の実施の形態に係る物理量センサの構成を示すブロック図であり、図1と同様の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の物理量センサは、第1、第2の形態のフォトダイオード2と電流−電圧変換増幅器5の代わりに、検出手段として電圧検出回路24を用いるものである。
電圧検出回路24は、半導体レーザ1の端子間電圧、すなわちアノード−カソード間電圧を検出して増幅する。半導体レーザ1から放射されたレーザ光と物体11からの戻り光とによって干渉が生じるとき、半導体レーザ1の端子間電圧には、MHP波形が現れる。したがって、半導体レーザ1の端子間電圧からMHP波形を抽出することが可能である。
信号抽出部7は、電圧検出回路24の出力電圧に含まれるMHPの数を第1の計数期間Q1と第2の計数期間Q2の各々について数える。物理量センサのその他の構成は、第1、第2の実施の形態と同じである。他の実施の形態と同様に、信号抽出部7の代わりに信号抽出部7aを用いてもよい。
こうして、本実施の形態では、フォトダイオードを使用することなくMHP波形を抽出することができ、第1〜第11の実施の形態と比較して物理量センサの部品を削減することができ、物理量センサのコストを低減することができる。また、本実施の形態では、フォトダイオードを使用しないので、外乱光による影響を除去することができる。
本実施の形態では、レーザドライバ4から半導体レーザ1に供給する駆動電流をレーザ発振のしきい値電流付近に制御することが好ましい。これにより、半導体レーザ1の端子間電圧からMHPを抽出することが容易になる。
なお、第1〜第12の実施の形態において少なくとも信号抽出部7と演算部8とは、例えばCPU、記憶装置およびインタフェースを備えたコンピュータとこれらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。このようなコンピュータを動作させるためのプログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、メモリカードなどの記録媒体に記録された状態で提供される。CPUは、読み込んだプログラムを記憶装置に書き込み、このプログラムに従って実施の形態で説明した処理を実行する。
また、第1〜第12の実施の形態では、物理量センサの1例として距離・速度計を例に挙げて説明しているが、これに限るものではなく、距離計でもよいし、速度計でもよいし、その他の物理量を計測するセンサであってもよい。
本発明は、半導体レーザから放射したレーザ光と物体からの戻り光との自己結合効果によって生じる干渉の情報から、物体の物理量を計測する技術に適用することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る物理量センサの構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態における半導体レーザの要部構成断面図である。 本発明の第1の実施の形態においてダイアフラムドライバから半導体レーザに供給されるダイアフラム制御信号、半導体レーザの発振波長の時間変化、レーザドライバから半導体レーザに供給される駆動電流、および半導体レーザの光出力を示す図である。 モードホップパルスについて説明するための図である。 半導体レーザの発振波長とフォトダイオードの出力波形との関係を示す図である。 本発明の第1の実施の形態における演算部の構成の1例を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態における演算部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態における半導体レーザの要部構成断面図である。 従来の駆動電流変調型の半導体レーザを用いてパルス発光させる場合の駆動電流、および半導体レーザの発振波長の時間変化を示す図である。 図9の半導体レーザの発振波長の時間変化を拡大した図である。 本発明の第3の実施の形態においてダイアフラムドライバから半導体レーザに供給されるダイアフラム制御信号、半導体レーザの発振波長の時間変化、レーザドライバから半導体レーザに供給される駆動電流、および半導体レーザの光出力を示す図である。 本発明の第4の実施の形態に係る物理量センサの構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施の形態、第4の実施の形態においてダイアフラムドライバから半導体レーザに供給されるダイアフラム制御信号の別の例、および半導体レーザの発振波長の時間変化を示す図である。 本発明の第5の実施の形態に係る物理量センサの構成を示すブロック図である。 半導体レーザの駆動電流−光出力特性の1例を示す図である。 本発明の第6の実施の形態に係る物理量センサの構成を示すブロック図である。 本発明の第7の実施の形態に係る物理量センサの構成を示すブロック図である。 本発明の第8の実施の形態における信号抽出部の構成の1例を示すブロック図である。 図18の信号抽出部における計数結果補正部の構成の1例を示すブロック図である。 図18の信号抽出部の動作を説明するための図である。 本発明の第8の実施の形態における周期の度数分布の1例を示す図である。 本発明の第8の実施の形態におけるカウンタの計数結果の補正原理を説明するための図である。 本発明の第9の実施の形態に係る物理量センサの構成を示すブロック図である。 ダイアフラムドライバから半導体レーザに供給されるダイアフラム制御信号およびモードホップパルスを示す図である。 本発明の第9の実施の形態における平均化処理部の構成の1例を示すブロック図である。 本発明の第9の実施の形態における平均化処理部の動作を説明するための図である。 本発明の第10の実施の形態に係る物理量センサの構成を示すブロック図である。 本発明の第10の実施の形態に係る半導体レーザの入出射部の要部概略構成を示す図である。 本発明の第12の実施の形態に係る物理量センサの構成を示すブロック図である。
符号の説明
1…半導体レーザ、2,13…フォトダイオード、3…レンズ、4,4a…レーザドライバ、5,14…電流−電圧変換増幅器、7,7a…信号抽出部、8…演算部、9…表示装置、10,10a…ダイアフラムドライバ、11…物体、12…ビームスプリッター、15…物体検知部、16,17,18…光出力制御部、19…参照信号生成回路、20…PLL回路、21…電圧制御発振器、22…平均化処理部、23…位相検出部、24…電圧検出回路、71…判定部、72…論理積演算部、73…カウンタ、74…計数結果補正部、75…記憶部、80…距離・速度算出部、81…履歴変位算出部、82…記憶部、83…状態判定部、84…距離・速度確定部、220…A/Dコンバータ、221…メモリ、222…平均化計算部、223…計数部、224…状態判定部、740…周期測定部、741…度数分布作成部、742…代表値算出部、743…補正値算出部。

Claims (28)

  1. 制御信号に応じた共振器長の調節により発振波長の制御が可能な波長可変機構を備え、測定対象にレーザ光を放射する波長可変半導体レーザと、
    この半導体レーザに駆動電流を供給して前記半導体レーザを発振させるレーザドライバと、
    前記半導体レーザに前記制御信号を供給して前記半導体レーザの発振波長を変調する発振波長変調手段と、
    前記半導体レーザから放射されたレーザ光と前記測定対象からの戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出する検出手段と、
    この検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形の情報から、前記測定対象の物理量を計測する計測手段と
    参照信号を生成する参照信号生成手段と、
    変調信号を生成する電圧制御発振手段と、
    前記参照信号と前記検出手段の出力に含まれる変調信号とを位相比較し、この変調信号が前記参照信号と同期もしくは前記変調信号と前記参照信号との位相差が一定になるように、前記電圧制御発振手段を制御する位相制御手段とを備え、
    前記レーザドライバは、前記電圧制御発振手段から出力される変調信号で前記駆動電流を変調し、
    前記発振波長変調手段は、前記制御信号を前記参照信号と同期させることを特徴とする物理量センサ。
  2. 制御信号に応じた共振器長の調節により発振波長の制御が可能な波長可変機構を備え、測定対象にレーザ光を放射する波長可変半導体レーザと、
    この半導体レーザに駆動電流を供給して前記半導体レーザを発振させるレーザドライバと、
    前記半導体レーザに前記制御信号を供給して前記半導体レーザの発振波長を変調する発振波長変調手段と、
    前記半導体レーザから放射されたレーザ光と前記測定対象からの戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出する検出手段と、
    この検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形の情報から、前記測定対象の物理量を計測する計測手段とを備え、
    前記レーザドライバは、パルス状の前記駆動電流を前記半導体レーザに供給して、前記半導体レーザをパルス発光させることを特徴とする物理量センサ。
  3. 請求項1記載の物理量センサにおいて、
    前記発振波長変調手段は、発振波長が連続的に単調増加する期間を少なくとも含む第1の発振期間と発振波長が連続的に単調減少する期間を少なくとも含む第2の発振期間とが交互に存在するように前記半導体レーザを動作させるものであり、
    前記計測手段は、
    前記検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形の数を、前記半導体レーザの発振波長の増加側の計数期間と前記発振波長の減少側の計数期間の各々について数える信号抽出手段と、
    前記信号抽出手段の計数結果から前記測定対象の物理量を算出する演算手段とからなることを特徴とする物理量センサ。
  4. 請求項記載の物理量センサにおいて、
    前記信号抽出手段は、
    前記検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形の数を、前記半導体レーザの発振波長の増加側の計数期間と前記発振波長の減少側の計数期間の各々について数える計数手段と、
    この計数手段が干渉波形の数を数える計数期間中の前記干渉波形の周期を干渉波形が入力される度に測定する周期測定手段と、
    この周期測定手段の測定結果から前記計数期間中の干渉波形の周期の度数分布を作成する度数分布作成手段と、
    前記度数分布から前記干渉波形の周期の分布の代表値を算出する代表値算出手段と、
    前記度数分布から、前記代表値の第1の所定数倍以下である階級の度数の総和Nsと、前記代表値の第2の所定数倍以上である階級の度数の総和Nwとを求め、これらの度数NsとNwに基づいて前記計数手段の計数結果を補正し、補正後の計数結果を出力する補正値算出手段とからなることを特徴とする物理量センサ。
  5. 請求項記載の物理量センサにおいて、
    前記測定対象の物理量は、前記測定対象との距離及び前記測定対象の速度の少なくとも一方であることを特徴とする物理量センサ。
  6. 請求項記載の物理量センサにおいて、
    さらに、前記測定対象からの戻り光を受光して電気信号に変換する戻り光検知用受光器と、
    この戻り光検知用受光器の出力信号を基に前記レーザ光の放射方向に測定対象が存在するかどうかを判定する物体検知手段とを備えることを特徴とする物理量センサ。
  7. 請求項1記載の物理量センサにおいて、
    さらに、前記半導体レーザの光出力が一定になるように、前記レーザドライバから前記半導体レーザに供給される駆動電流を制御する光出力制御手段を備えることを特徴とする物理量センサ。
  8. 請求項1記載の物理量センサにおいて、
    さらに、前記半導体レーザの光出力が周囲温度に応じた適切な値になるように、前記レーザドライバから前記半導体レーザに供給される駆動電流を制御する光出力制御手段を備えることを特徴とする物理量センサ。
  9. 請求項1記載の物理量センサにおいて、
    さらに、前記測定対象からの戻り光を受光して電気信号に変換する戻り光検知用受光器と、
    この戻り光検知用受光器の出力信号に基づいて、前記測定対象からの戻り光量が一定になるように、前記レーザドライバから前記半導体レーザに供給される駆動電流を制御する光出力制御手段とを備えることを特徴とする物理量センサ。
  10. 請求項記載の物理量センサにおいて、
    さらに、前記検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形を、前記発振波長の増加側の複数回の計数期間について平均化すると共に前記発振波長の減少側の複数回の計数期間について平均化する平均化処理手段を備え、
    前記発振波長変調手段は、発振波長が連続的に単調増加する期間を少なくとも含む第1の発振期間と発振波長が連続的に単調減少する期間を少なくとも含む第2の発振期間とが交互に存在するように前記半導体レーザを動作させるものであり、
    前記計測手段は、
    前記検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形の数を、前記半導体レーザの発振波長の増加側の計数期間と前記発振波長の減少側の計数期間の各々について数える信号抽出手段と、
    前記平均化処理手段から出力された計数結果から前記測定対象の物理量を算出する演算手段とからなり、
    前記平均化処理手段は、
    前記平均化を行う平均化計算手段と、
    前記平均化後の干渉波形の数を、前記半導体レーザの発振波長の増加側の計数期間と前記発振波長の減少側の計数期間の各々について数える平均化処理後計数手段と、
    前記信号抽出手段から出力された計数結果の変化が所定の範囲内の場合、前記平均化処理後計数手段から出力された計数結果を前記演算手段に出力し、前記信号抽出手段から出力された計数結果の変化が所定の範囲を超える場合、前記信号抽出手段から出力された計数結果を前記演算手段に出力する状態判定手段とからなることを特徴とする物理量センサ。
  11. 請求項10記載の物理量センサにおいて、
    前記信号抽出手段は、
    前記検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形の数を、前記半導体レーザの発振波長の増加側の計数期間と前記発振波長の減少側の計数期間の各々について数える平均化処理前計数手段と、
    この平均化処理前計数手段が干渉波形の数を数える計数期間中の前記干渉波形の周期を干渉波形が入力される度に測定する周期測定手段と、
    この周期測定手段の測定結果から前記計数期間中の干渉波形の周期の度数分布を作成する度数分布作成手段と、
    前記度数分布から前記干渉波形の周期の分布の代表値を算出する代表値算出手段と、
    前記度数分布から、前記代表値の第1の所定数倍以下である階級の度数の総和Nsと、前記代表値の第2の所定数倍以上である階級の度数の総和Nwとを求め、これらの度数NsとNwに基づいて前記平均化処理前計数手段の計数結果を補正し、補正後の計数結果を前記平均化処理手段に出力する補正値算出手段とからなり、
    前記状態判定手段は、前記信号抽出手段から出力された計数結果の変化を観測する代わりに、前記信号抽出手段で算出された周期の分布の代表値の変化を観測し、この代表値の変化が所定の範囲内の場合、前記平均化処理後計数手段から出力された計数結果を前記演算手段に出力し、前記代表値の変化が所定の範囲を超える場合、前記信号抽出手段から出力された計数結果を前記演算手段に出力する状態判定手段とからなることを特徴とする物理量センサ。
  12. 請求項10記載の物理量センサにおいて、
    さらに、前記検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形の位相変化を検出して、前記半導体レーザの発振波長の変化率が一定になるように、前記発振波長変調手段から前記半導体レーザに供給される制御信号を制御する位相検出手段を備えることを特徴とする物理量センサ。
  13. 請求項10記載の物理量センサにおいて、
    前記平均化処理後計数手段は、前記平均化後の干渉波形を小数点以下の単位で数えることを特徴とする物理量センサ。
  14. 請求項7記載の物理量センサにおいて、
    前記レーザドライバは、レーザ発振のしきい値電流付近の前記駆動電流を前記半導体レーザに供給することを特徴とする物理量センサ。
  15. 制御信号に応じた共振器長の調節により発振波長の制御が可能な波長可変機構を備え測定対象にレーザ光を放射する波長可変半導体レーザに、駆動電流を供給して前記半導体レーザを発振させる発振手順と、
    前記半導体レーザに前記制御信号を供給して前記半導体レーザの発振波長を変調する発振波長変調手順と、
    前記半導体レーザから放射されたレーザ光と前記測定対象からの戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出する検出手順と、
    この検出手順で得られた出力信号に含まれる前記干渉波形の情報から、前記測定対象の物理量を計測する計測手順と
    参照信号を生成する参照信号生成手順と、
    変調信号を生成する電圧制御発振手順と、
    前記参照信号と前記検出手順の出力に含まれる変調信号とを位相比較し、この変調信号が前記参照信号と同期もしくは前記変調信号と前記参照信号との位相差が一定になるように、前記電圧制御発振手順を制御する位相制御手順とを備え、
    前記発振手順は、前記電圧制御発振手順で出力される変調信号で前記駆動電流を変調し、
    前記発振波長変調手順は、前記制御信号を前記参照信号と同期させることを特徴とする物理量計測方法。
  16. 制御信号に応じた共振器長の調節により発振波長の制御が可能な波長可変機構を備え測定対象にレーザ光を放射する波長可変半導体レーザに、駆動電流を供給して前記半導体レーザを発振させる発振手順と、
    前記半導体レーザに前記制御信号を供給して前記半導体レーザの発振波長を変調する発振波長変調手順と、
    前記半導体レーザから放射されたレーザ光と前記測定対象からの戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出する検出手順と、
    この検出手順で得られた出力信号に含まれる前記干渉波形の情報から、前記測定対象の物理量を計測する計測手順とを備え、
    前記発振手順は、パルス状の前記駆動電流を前記半導体レーザに供給して、前記半導体レーザをパルス発光させることを特徴とする物理量計測方法。
  17. 請求項15記載の物理量計測方法において、
    前記発振波長変調手順は、発振波長が連続的に単調増加する期間を少なくとも含む第1の発振期間と発振波長が連続的に単調減少する期間を少なくとも含む第2の発振期間とが交互に存在するように前記半導体レーザを動作させるものであり、
    前記計測手順は、
    前記検出手順で得られた出力信号に含まれる前記干渉波形の数を、前記半導体レーザの発振波長の増加側の計数期間と前記発振波長の減少側の計数期間の各々について数える信号抽出手順と、
    前記信号抽出手順の計数結果から前記測定対象の物理量を算出する演算手順とからなることを特徴とする物理量計測方法。
  18. 請求項17記載の物理量計測方法において、
    前記信号抽出手順は、
    前記検出手順で得られた出力信号に含まれる前記干渉波形の数を、前記半導体レーザの発振波長の増加側の計数期間と前記発振波長の減少側の計数期間の各々について数える計数手順と、
    この計数手順で干渉波形の数を数える計数期間中の前記干渉波形の周期を干渉波形が入力される度に測定する周期測定手順と、
    この周期測定手順の測定結果から前記計数期間中の干渉波形の周期の度数分布を作成する度数分布作成手順と、
    前記度数分布から前記干渉波形の周期の分布の代表値を算出する代表値算出手順と、
    前記度数分布から、前記代表値の第1の所定数倍以下である階級の度数の総和Nsと、前記代表値の第2の所定数倍以上である階級の度数の総和Nwとを求め、これらの度数NsとNwに基づいて前記計数手順の計数結果を補正し、補正後の計数結果を信号抽出手順の計数結果として出力する補正値算出手順とからなることを特徴とする物理量計測方法。
  19. 請求項17記載の物理量計測方法において、
    前記測定対象の物理量は、前記測定対象との距離及び前記測定対象の速度の少なくとも一方であることを特徴とする物理量計測方法。
  20. 請求項16記載の物理量計測方法において、
    さらに、前記測定対象からの戻り光を受光して電気信号に変換する戻り光検知手順と、
    この戻り光検知手順で得られた出力信号を基に前記レーザ光の放射方向に測定対象が存在するかどうかを判定する物体検知手順とを備えることを特徴とする物理量計測方法。
  21. 請求項15記載の物理量計測方法において、
    さらに、前記半導体レーザの光出力が一定になるように、前記半導体レーザに供給される駆動電流を制御する光出力制御手順を備えることを特徴とする物理量計測方法。
  22. 請求項15記載の物理量計測方法において、
    さらに、前記半導体レーザの光出力が周囲温度に応じた適切な値になるように、前記半導体レーザに供給される駆動電流を制御する光出力制御手順を備えることを特徴とする物理量計測方法。
  23. 請求項15記載の物理量計測方法において、
    さらに、前記測定対象からの戻り光を受光して電気信号に変換する戻り光検知手順と、
    この戻り光検知手順で得られた出力信号に基づいて、前記測定対象からの戻り光量が一定になるように、前記半導体レーザに供給される駆動電流を制御する光出力制御手順とを備えることを特徴とする物理量計測方法。
  24. 請求項15記載の物理量計測方法において、
    さらに、前記検出手順で得られた出力信号に含まれる前記干渉波形を、前記発振波長の増加側の複数回の計数期間について平均化すると共に前記発振波長の減少側の複数回の計数期間について平均化する平均化処理手順を備え、
    前記発振波長変調手順は、発振波長が連続的に単調増加する期間を少なくとも含む第1の発振期間と発振波長が連続的に単調減少する期間を少なくとも含む第2の発振期間とが交互に存在するように前記半導体レーザを動作させるものであり、
    前記計測手順は、
    前記検出手順で得られた出力信号に含まれる前記干渉波形の数を、前記半導体レーザの発振波長の増加側の計数期間と前記発振波長の減少側の計数期間の各々について数える信号抽出手順と、
    前記平均化処理手順で得られた計数結果から前記測定対象の物理量を算出する演算手順とからなり、
    前記平均化処理手順は、
    前記平均化を行う平均化計算手順と、
    前記平均化後の干渉波形の数を、前記半導体レーザの発振波長の増加側の計数期間と前記発振波長の減少側の計数期間の各々について数える平均化処理後計数手順と、
    前記信号抽出手順の計数結果の変化が所定の範囲内の場合、前記平均化処理後計数手順の計数結果を前記演算手順で使用させ、前記信号抽出手順の計数結果の変化が所定の範囲を超える場合、前記信号抽出手順の計数結果を前記演算手順で使用させる状態判定手順とからなることを特徴とする物理量計測方法。
  25. 請求項24記載の物理量計測方法において、
    前記信号抽出手順は、
    前記検出手順で得られた出力信号に含まれる前記干渉波形の数を、前記半導体レーザの発振波長の増加側の計数期間と前記発振波長の減少側の計数期間の各々について数える平均化処理前計数手順と、
    この平均化処理前計数手順で干渉波形の数を数える計数期間中の前記干渉波形の周期を干渉波形が入力される度に測定する周期測定手順と、
    この周期測定手順の測定結果から前記計数期間中の干渉波形の周期の度数分布を作成する度数分布作成手順と、
    前記度数分布から前記干渉波形の周期の分布の代表値を算出する代表値算出手順と、
    前記度数分布から、前記代表値の第1の所定数倍以下である階級の度数の総和Nsと、前記代表値の第2の所定数倍以上である階級の度数の総和Nwとを求め、これらの度数NsとNwに基づいて前記平均化処理前計数手順の計数結果を補正し、補正後の計数結果を信号抽出手順の計数結果として出力する補正値算出手順とからなり、
    前記状態判定手順は、前記信号抽出手順の計数結果の変化を観測する代わりに、前記信号抽出手順で算出された周期の分布の代表値の変化を観測し、この代表値の変化が所定の範囲内の場合、前記平均化処理後計数手順の計数結果を前記演算手順で使用させ、前記代表値の変化が所定の範囲を超える場合、前記信号抽出手順の計数結果を前記演算手順で使用させる状態判定手順とからなることを特徴とする物理量計測方法。
  26. 請求項24記載の物理量計測方法において、
    さらに、前記検出手順で得られた出力信号に含まれる前記干渉波形の位相変化を検出して、前記半導体レーザの発振波長の変化率が一定になるように、前記半導体レーザに供給される制御信号を制御する位相検出手順を備えることを特徴とする物理量計測方法。
  27. 請求項24記載の物理量計測方法において、
    前記平均化処理後計数手順は、前記平均化後の干渉波形を小数点以下の単位で数えることを特徴とする物理量計測方法。
  28. 請求項21記載の物理量計測方法において、
    前記発振手順は、レーザ発振のしきい値電流付近の前記駆動電流を前記半導体レーザに供給することを特徴とする物理量計測方法。
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