JP5537061B2 - 床下構造及び防蟻方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シロアリの侵入防止を図った床下構造及び防蟻方法に関するものであり、詳しくは、床下コンクリートを貫通する配管の隙間からのシロアリ侵入を防止するものである。
建築物の床下施工として布基礎工法、ベタ基礎工法などが知られている。布基礎工法では、建築物の外周に沿って逆T字型の布基礎を形成し、この布基礎で囲まれた内側に防湿コンクリートを打設する。ベタ基礎工法では、建築物下の地面全体に打設するコンクリートと布基礎とを一体の鉄筋コンクリート造りとして基礎を形成する。
シロアリの進入経路の主な箇所として、コンクリート同士の接続部分に生じる経年変化等による隙間が挙げられる。この点につき、ベタ基礎工法は布基礎工法と違って、一体のコンクリート造りであるので、シロアリが侵入し難い構造となっている。
とは言え、いずれの工法においても上下水道等の各種の配管を屋外から屋内に導く必要があることから、配管が床下コンクリート(布基礎工法における上記防湿コンクリートや、ベタ基礎工法における地面上のコンクリートのこと)を貫通する箇所で隙間を生じる場合がある。
なお配管の配設方法としては、床下コンクリート打設前に配管を所定位置に設置し、その後床下コンクリートを打設、硬化させる様にすることが一般的であり、この方法によれば床下コンクリートと配管の間に隙間を形成し難い。しかしこの方法であっても、コンクリートが硬化に伴って収縮し、配管との界面に隙間を生じてしまったり、或いは隙間なくコンクリートを打設できても、その後建物の振動等によって床下コンクリートと配管の界面に隙間を生じたりすることがある。こうして生じた隙間がシロアリの進入経路となる虞がある。
そこで従来においては、防蟻剤を含有させた常温硬化性シーリング材で上記配管周りの隙間を埋めることが提案されている(例えば特許文献1参照)。図8はこの従来技術を示した断面図である。図に示すように、床下コンクリート61を貫く配管62周りの隙間がシーリング材63により塞がれている。こうしてシロアリの進入経路が封鎖されると共に、シーリング材63中の防蟻剤の効果によって、シロアリが配管62周りを避けるようになり、屋内への侵入が防止される。
特開2001−247850号公報
上述の様にシーリング材で隙間を埋めることによりシロアリの侵入防止を図ることができるものの、このシーリング材の施工は、作業者の技量に左右され易く、作業者によっては隙間の埋め残しを生じることがある。このため埋め残した隙間からシロアリが侵入するという問題がある。
本発明は上記の様な問題に着目してなされたものであって、その目的は、作業者の技量にかかわらずに、適確にシロアリが侵入することを防止できる床下構造及び施工方法を提供することにある。
本発明に係る床下構造は、床下コンクリートと、この床下コンクリートを貫通する配管との間が防蟻されている床下構造であって、コンクリート止水用弾性体に防蟻剤を含有させて得られる粘着性且つ塑性変形性のシート状物(以下、防蟻シートと称することある)が、前記配管における前記床下コンクリートとの接触面に配置されていることを特徴とする。
また本発明に係る防蟻方法は、床下コンクリートと、この床下コンクリートを貫通する配管との間の防蟻方法であって、コンクリート止水用弾性体に防蟻剤を含有させて得られる粘着性且つ塑性変形性のシート状物(例えば、十分咀嚼され粘着性を生じるチューインガム様の塑性変形性を有するシート状物。防蟻シート)を、前記配管における前記床下コンクリートとの接触面に配置し、次いで前記床下コンクリートを打設することを特徴とする。
上記従来技術のように作業者がシーリング材で埋め込む方法では、埋め残しやムラを生じがちである為に注意深く作業する必要があるが、本発明においては、シート状の防蟻シートを配管に巻き付ける等といった簡便な作業で済み、作業者の技量に左右されず、隙間を残さないように簡単に施工できる。加えて上記防蟻シートは、工場で一定の厚み,幅として生産することができるので、これを用いた床下構造は均質で良好な防蟻性を発揮し得る。
配管のうちコンクリートに貫通する箇所が予め分かっている場合には、工場等で機械によって上記配管に防蟻シートを被覆しておき、これを建築現場に設置するようにしても良い。これにより現場作業者の被覆操作を省略できる上、被覆状態を均一、確実なものとすることができる。従来のシーリング材で隙間を埋める手法においては、建築現場で作業者がシーリング材塗布操作を行わなければならないが、本発明では上述の様に工場等で機械によって準備することが可能であるので、一層安定した良品質の建築物床下構造の提供に資する。
なお上記「接触面に配置」とは、配管の周方向の全てに配置する意味である。配管の周方向の一部に防蟻シートが配置されていない箇所があると、ここがシロアリの進入経路となる虞がある。
上記防蟻シートにおける上記コンクリート止水用弾性体としては、主たるポリマーにブチル再生ゴムを用いたもの、更にこれに適宜天然ゴム或いはゴムを添加したものが挙げられる。この様なポリマーに補強剤、充填剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、粘着付与剤、加工助剤、着色剤、架橋剤、架橋助剤等を適宜配合し、混合分散したものとしても良い。この様な組成物を単独で用いたり、または2種以上を混合及び/或いは積層して用いても良い。
これらコンクリート止水用弾性体(ブチル再生ゴムを主ポリマーとするもの)は、生コンクリートに接触した状態で、コンクリートの硬化に伴いコンクリートに接着する性質を有する。従ってこの様なコンクリート止水用弾性体を基剤とする防蟻シートを配管表面に配置してコンクリート打設した場合、配管とコンクリートとの間に隙間を生じない。
加えて上記コンクリート止水用弾性体は伸縮性を有するので、例えば経年変化により床下コンクリートや配管等に沈降/隆起等の変位が生じても、これに追従して変形し、空隙を生じる虞が小さい。
ブチル再生ゴムを主体とする粘着性且つ塑性変形性のシート状物は、柔軟であるので配管に押し付け易く、また粘着性を示すので、配管に被覆したときに配管に密着させ易い。なお上記「主体とする」とは、全ゴム成分に対してブチル再生ゴムが50質量%以上であることを言う。
上記防蟻シートに含有される前記防蟻剤としては、無機系防蟻剤、特にホウ酸及び/又はホウ酸化合物が好ましい。なおホウ酸化合物としては、ホウ酸銅、ホウ酸亜鉛、ホウ砂が挙げられる。
上述の様に、床下構造に用いられた防蟻シートは、打設されたコンクリートに挟まれて一体となり、長期耐性がある。よって防蟻効果の長期継続性がある。さらに無機系防蟻剤は有機系防蟻剤に比べて防蟻効果の持続期間が長いため、防蟻シートに有用である。また無機系防蟻剤のうちでもホウ酸やホウ酸化合物は防蟻効果が高い。
上記防蟻シートにおける前記防蟻剤の含有量は0.5〜5質量%であることが好ましい。0.5質量%未満では防蟻効果が低いからである。一方、5質量%超含有させても防蟻効果が飽和することに加え、過剰に含有させると、防蟻シートが柔らかくなって取扱い性が悪くなるからである。
なおホウ酸やホウ酸化合物をコンクリート止水用弾性体に含有させた場合には、3〜5質量%という低い濃度でも優れた防蟻効果を示し、また0.5質量%であっても良好な防蟻効果を発揮することを実験により確認している。
前記防蟻シートの厚みとしては2mm以上であることが好ましい。配管とコンクリートの間の防蟻シートの厚みが2mm以上の場合は、建築物の振動等によって配管やコンクリートに隆起や沈降といった変位が起きたとき、この変位に対して防蟻シートが良好に追従変形して破断等を生じ難く、また隙間を生じる虞が小さいからである。より好ましくは3mm以上である。
配管における床下コンクリートとの接触面のうち、一部(床下コンクリートの厚みにおける一部だけ)が防蟻シートで被覆されていても良い。配管全周に渡って被覆されていれば、シロアリの進入経路は絶たれ、侵入防止を図ることができる。
また本発明の床下構造においては、前記配管における前記床下コンクリートとの接触面全て(床下コンクリートの厚み方向全域)が前記防蟻シートで被覆されていることが好ましい。
床下コンクリートと配管が接触する床下コンクリート厚み方向の一部を幅の狭い防蟻シートで被覆しただけであると、建築物の振動等で配管やコンクリートに変位が起きたとき、防蟻シートに接したコンクリート部分だけが剥がれるようにクラックを生じる懸念があり、また幅の狭い防蟻シートでは、上記変位を吸収しきれずに防蟻シートが断裂する虞があり、これらがシロアリの進入経路となる可能性がある。これに対し、上記の如く接触面の全てに防蟻シートが被覆された床下構造においては、防蟻シートとコンクリートとの接触面積が大きいので、上記の様にコンクリートの一部が剥がれるということが生じ難く、また防蟻シートが幅広のものとなるので、変位を十分に吸収でき、断裂し難い。
更に前記配管における前記床下コンクリートとの接触面を超えて、広く配管周りに防蟻シートを被覆するようにしても良い。前述の様に施工手順としてまず配管表面に防蟻シートを配置した後、コンクリートを打設することとなるが、配管周りに広く防蟻シートを被覆しておけば、確実にコンクリートとの接触面の全てに防蟻シートを配することができるからである。好ましくは、床下コンクリートと配管が接触する全幅(床下コンクリート厚みがこれに相当する)を100%とすると、防蟻シートを110%以上広く配管周りに被覆したものである。
本発明に係る防蟻方法によれば、作業者の技量にかかわらずに適確にシロアリの侵入を防止できるように施工することができる。また本発明に係る床下構造は、配管周りに隙間を形成せず、シロアリの侵入を防止し得る。しかも建築物の振動等で配管やコンクリートに変位が生じたときにも、この変位を防蟻シートが吸収することができ、シロアリの進入経路を生じる虞が小さい。
本発明の一実施形態に係る床下構造を示す断面図である。 配管に防蟻シートを配置した様子を表す斜視図である。 配管に防蟻シートを被覆する方法を説明するための斜視図である。 変位追従試験方法を説明するための断面図である。 剪断試験方法[その1]を説明するための断面図である。 剪断試験方法[その2]を説明するための断面図である。 穿孔試験方法を説明するための図である。 従来のシーリング材により隙間を封止した様子を表す断面図である。
<実施形態>
図1は、本発明の一実施形態に係る床下構造を示す断面図である。図2は、配管62に防蟻シート10を配置した様子を表す斜視図である。なお図8と同一の符号を付した箇所は、図8の例と同じ構成部分である。
本発明の実施形態に係る床下構造及び防蟻方法について説明するにあたり、まずこれに用いる防蟻シート10について説明する。
防蟻シート10はコンクリート止水用弾性体に防蟻剤を含有させたものである。コンクリート止水用弾性体としては、例えばブチル再生ゴムが挙げられ、これ単独、またはこれに天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマー等を一種以上混合したものである。なおコンクリート止水用弾性体に補強剤、充填剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、粘着剤、加工助剤、着色剤、架橋剤、架橋助剤等を適宜配合しても良い。
そしてこのコンクリート止水用弾性体に、防蟻剤としてホウ酸またはホウ酸化合物の1種以上を0.5〜5質量%配合する。
防蟻シート10の作製にあたっては、上記ブチル再生ゴム等のコンクリート止水用弾性体原料に防蟻剤と上記補強剤等の各種添加剤を配合し、常法のロール混練り、バンバリーミキサー、インターナルミキサー、加圧ニーダ等により混練し、次いで押出機、プレス成形機、射出成形機、ローラーヘッド等によりシート状に圧延し、一定厚さ(T:2〜5mmが好ましい)のシート状物(防蟻シート10)を得る。
なお種類の異なるコンクリート止水用弾性体を用いてそれぞれ防蟻剤を含有させ、これらを積層した防蟻シート10としても良い。
防蟻シート10の硬度としては針入度55〜75である。なおこの硬度は、「JIS K 2207 石油アスファルトの針入度(アスファルト硬さの尺度)」に準拠して測定した値(針入度)である。
防蟻シート10の長さとしては、配管62の外周長さ以上とする。配管62の周りを途切れることなく巻き付けるためである。
また防蟻シート10の幅(W)としては(図1参照)、床下コンクリート61の厚み以上であることが好ましく、より好ましくは、床下コンクリート61の厚み100%に対し、防蟻シート10の幅(W)が110%以上広いものである。
次に本実施形態の床下構造及び防蟻方法について、施工手順に沿って説明する。
まず通常の建築方法の通り、床下コンクリート61の打設前に配管(例えば硬質塩化ビニール製配管)62を設置する。そして図2に示すように、配管62における床下コンクリート61を貫通する予定の部分、即ち床下コンクリート61と接触することとなる配管62部分の外周面全体に、防蟻シート10を巻き付ける。この巻き付けにあたっては、当該部分の配管62外周表面に隙間を作らないようにする。具体的には、防蟻シート10としてその長さが配管62の外周長さ丁度のものを用い、図2に示すように防蟻シート10の端部同士が付き合わせされるように巻き付ければよい。或いは図3(配管に防蟻シートを被覆する方法を説明するための斜視図)に示すように、周方向に長い防蟻シート10を用いて重なり部分を設けつつ配管62に巻き付けてもよい。
また防蟻シート10は、上記の通り針入度55〜75(JIS K 2207 石油アスファルトの針入度)であるので柔らかく、また粘着性を示すので、手やハンドロール等で配管等に押し付けて密着させることができる。
防蟻シート10の幅(W)は上記の通り、床下コンクリート61の厚み100%に対し110%以上広いものを用いるのが良い(図1参照)。コンクリートの打設予定箇所に合わせて配管62に防蟻シート10を巻き付けることになるが、110%以上幅の広い防蟻シート10であれば、コンクリートの打設予定箇所に大凡で巻き付けても、打設したコンクリートと接触する配管表面全体に防蟻シート10を配することができるからである。
配管62への巻付操作に関しては必ずしも建築現場で行う必要はなく、予め配管62に防蟻シート10を巻き付けたものを、工場等で機械によって作製しておき、これを建築現場に配設するようにしても良い。
次いで図1に示すように、床下コンクリート61を打設し、硬化させる。なお床下コンクリート61は、配管62における防蟻シート10を巻いた箇所に位置する。そして生コンクリートが硬化するのに伴って、防蟻シート10の組成中のブチル再生ゴムがコンクリートと接着するように作用する。
こうして床下コンクリート61と防蟻シート10が接着することで、両者は強固に一体化され、配管62と床下コンクリート61との間に隙間を形成しない。従ってシロアリが屋内に侵入する虞が殆どない。また防蟻シート10には防蟻剤としてホウ酸及び/またはホウ酸化合物が含有されているので、シロアリがこの防蟻シートを食い破ることがなく、屋内への侵入が確実に防止される。
しかも上記防蟻シート10の配設手法には、作業者に高度な技量が要求されず、簡単な操作であるから、良好な品質の床下構造を提供できることに加えて、建築コストを低減することができる。
更に防蟻シート10は後述の剪断試験における剪断限界変位率が500%以上(好ましくは700〜1500%)であって伸縮性が良好であるので、振動等の様々な要因で床下コンクリートや配管に沈降・隆起等の変位を生じても、防蟻シートがこれに追従して伸縮する。従って防蟻シートの断裂や床下コンクリートの亀裂等を生じ難く、シロアリの進入経路を生じる虞が小さい。
<実験>
様々な防蟻シートを作製し、穿孔試験、変位追従試験、剪断試験を行った。これらについて以下に説明する。
1.穿孔試験
1−1.穿孔試験方法
防蟻シートの防蟻性能の評価として、(社)日本木材保存協会規格・第13号に準拠して穿孔試験を行なう。
具体的には、図7(穿孔試験方法を説明するための図)に示すように、2本の有底筒状のガラス製円筒管(口径2cm、高さ12cm)71,72を有底側を下にして立設させ、これらの下方部を連結するように両開口のガラス製円筒管(口径1.5cm、長さ10cm)73を連結してH型にする。5mm厚の試料11を準備し、この試料11が連結円筒管73のほぼ中央に位置するようにして、この両側に無処理の土壌75,76を詰める。なおシロアリ移動の確認のため、比較として、上記試料11に換えて土壌を詰めたものも用意する。一方の立設円筒管71には高さ2cmまで土壌77を入れ、他方の立設円筒管72には高さ2cmまで土壌78を入れると共に餌木(アカマツ木片)79を入れる。土壌77のみを入れた円筒管71の上部開口71aからイエシロアリの職蟻200頭と兵蟻20頭を投入して蓋をする。そしてこのイエシロアリが、連結円筒管73内の試料11を貫通して、餌木79のある立設円筒管72へ侵入する様子を観察する。21日後に上記試料11を取り出し、試料11に形成された穿孔状態を観察する。この試験を3回繰り返し、このうち最も穿孔が生じているものを選び、これについて評価する。
穿孔試験の評価基準は下記の通りである。
穿孔度0:試料11に穿孔が全く認められない。
穿孔度1:試料11に極僅かに穿孔が認められる。
穿孔度2:穿孔の深さが試料11の厚みの10%未満。
穿孔度3:穿孔の深さが試料11の厚みの10%〜50%未満。
穿孔度4:穿孔の深さが試料11の厚みの50%以上であって未貫通。
穿孔度5:試料11を貫通している。
1−2.実験
ブチル再生ゴム:100質量部、クレー:100質量部、タルク:30質量部、ブテン系長鎖状炭化水素:60質量部、テルペン系粘着付与剤:10質量部を基本配合とし、これにホウ酸を下記表1に示す通り配合して防蟻シートを作製した。この防蟻シートについて穿孔試験を行った。その結果を表1に併せて示す。
Figure 0005537061
表1に示す穿孔試験評価結果から分かるように、ホウ酸を配合しない試料No.1では貫通した穿孔が認められ、シロアリの侵入を防止できないが、ホウ酸濃度0.5質量%以上であればシロアリの侵入を防止することができる。更に防蟻性能をより良好なものとするにはホウ酸濃度1.0質量%以上とするのが良いことが分かる。ホウ酸濃度3質量%以上の試料No.5〜7ではいずれも穿孔被害がないことから、ホウ酸の多量配合によるコスト上昇を避ける観点で、ホウ酸濃度1〜3%質量として良いことが分かる。
2.変位追従試験
2−1.変位追従試験方法
試料(防蟻シート)12を幅10mm×長さ200mmに切り出し、図4(変位追従試験方法を説明するための断面図)に示すように、2枚のステンレス鋼板81,82の間に挟んで自重2kgのローラの間を一往復させることにより加圧圧着する。これを引張試験用治具83,84にセットし、万能引張試験機により離反方向に引っ張り(図4に示す矢印A)、防蟻シート12が断裂等する様子を目視確認すると共に、断裂までの変位量(引張限界変位量)を測定する。なお「引張限界変位量」とは、断裂する直前の試料12の厚みから変位追従試験実施前の試料の厚みを差し引いた値である。
2−2.実験
上記穿孔試験と同じ基本配合(ブチル再生ゴム:100質量部、クレー:100質量部、タルク:30質量部、ブテン系長鎖状炭化水素:60質量部、テルペン系粘着付与剤:10質量部)にホウ酸を2質量%配合してこれを1L加圧ニーダにより混練し、押出成形機を用いて厚み0.5mm、1.0mm、3.0mm、5.0mmの防蟻シート(試料No.8〜11)を作製した。これらの防蟻シート(試料No.8〜11)について上記の通り変位追従試験を行った。比較として、厚み0.1mmのブチルゴム系両面テープ(試料No.12)についても上記と同様に変位追従試験を行った。これらの結果を表2に示す。
Figure 0005537061
表2から分かるように、厚みが3.0mm以上の防蟻シート(試料No.10,11)においては、引張限界変位量が大きく、良く伸びることが伺える。従って厚み3.0mm以上の防蟻シートによれば、振動等によって床下コンクリートや配管に沈降・隆起等の変位を生じても、防蟻シートがこの変位に追従して伸縮変形し、亀裂や断裂等を生じ難く、よってシロアリの進入経路を生じる虞が小さい。他方、試料No.12(両面テープ)では引張限界変位量が小さく、殆ど追従変形しないことが分かる。
3.剪断試験
3−1.剪断試験方法[その1]
図5(剪断試験方法[その1]を説明するための断面図)に示すように、外径60mmの塩化ビニール管(商品番号VU50A)91の外周部に試料(防蟻シート)13を巻き付け、この外側に外径165mmの塩化ビニール管(商品番号VU150A)92を配置し、これらの間にコンクリート93を100mmの高さ(厚さ)に打設し硬化させる。なお建築物床下構造における床下コンクリートの厚さは通常100mmであり、上記コンクリート93はこれに合わせたものである。コンクリート93の硬化後、この上に外径114mmの塩化ビニール管(商品番号100A)94を、上記塩化ビニール管91の周りを囲むように敷設し、この中を水張り部95とする。これを架台96の上に設置する。この際、架台96に設けられた開口部96aに、上記塩化ビニール管91が位置するようにする。
水張り部95に水を入れ、加圧治具97により塩化ビニール管91を下方に加圧し(図5における矢印B)、試料13が破断するまで押し込む。水張り部95の水が架台96の下に漏水した時点を試料13の破断とし、このときの塩化ビニール管91の位置(図5に実線で画いた塩化ビニール管91及び加圧治具97)と初期の位置(図5に二点鎖線で画いた塩化ビニール管91及び加圧治具97)との差を剪断限界変位量(Δh)とする。また下記式(1)により剪断限界変位率(%)を求める。
剪断限界変位率(%)=剪断限界変位量Δh(mm)/試料の初期厚み(mm) …(1)
なお上記剪断試験方法は、実際の住宅の床下構造において配管や床下コンクリートが変位した場合を想定したものであり、この試験結果が良好であれば、シロアリの進入経路を発生し難いと言うことができる。
3−2.剪断試験方法[その2]
図6(剪断試験方法[その2]を説明するための断面図)に示すように、外径60mmの塩化ビニール管(商品番号VU50A)91の外側に外径165mmの塩化ビニール管(商品番号VU150A)92を配置し、これらの間にコンクリート93を100mmの高さ(厚さ)に打設し硬化させる。次いで、コンクリート打設部と塩化ビニール管91の境界の隅部分に、試料(防蟻剤入り変性シリコンコーキング剤)63を塗工し、硬化養生させる。なお試料(コーキング剤)63の塗工は図6に示すように、下側のみとする。因みに変性シリコンコーキング剤による処理は、従来において一般に行われている配管処理である。
その後、上記剪断試験方法[その1]と同様に、外径114mmの塩化ビニール管(商品番号100A)94を、上記塩化ビニール管91の周りを囲むように敷設してこの中を水張り部95とし、架台96の上に設置する。この際、架台96に設けられた開口部96aに、上記塩化ビニール管91が位置するようにする。
次いで水張り部95に水を入れ、加圧治具97により塩化ビニール管91を下方に加圧し(図6における矢印B)、コーキング剤63が破断するまで押し込む。水張り部95の水が架台96の下に漏水した時点をコーキング剤63の破断とし、上記方法[その1]と同じく、このときの塩化ビニール管91の位置(図6に実線で画いた塩化ビニール管91及び加圧治具97)と初期の位置(図6に二点鎖線で画いた塩化ビニール管91及び加圧治具97)との差を剪断限界変位量(Δh)とする。また上記方法[その1]と同じく式(1)により剪断限界変位率(%)を求める。
3−3.実験
上記変位追従試験と同様にして、厚み3.0mm、5.0mmの防蟻シート(試料No.10,11)を作製し(ホウ酸を2質量%含有)、これらについて剪断試験(方法[その1])を行った。またホウ酸を2質量%含有する変性シリコンコーキング剤(試料No.13)について剪断試験(方法[その2])を行った。これらの結果を表3に示す。
Figure 0005537061
試料No.13(コーキング剤処理の場合)では表3の通り剪断限界変位量が僅か2mmであり、試料No.13(コーキング剤)が塩化ビニール管91側より剥離し、ここから漏水が発生していた。従ってコーキング剤により隅部分を埋める処理では、配管等の上下動等により、容易に隙間を生じてシロアリの進入経路を生じる可能性がある。
一方防蟻シートの場合は、表3から分かるように、剪断限界変位率が試料No.10(厚み3.0mmの防蟻シート)では900%、試料No.11(厚み5.0mmの防蟻シート)では1100%であり、非常に良好な変形変位量を示した。
配管の上下動や地盤沈下/隆起等の恒久的な変位を想定した場合においても、剪断限界変位量が20mmを超える防蟻シートであれば、コンクリート面及び塩化ビニール管面に対して剥離や脱落を生じず、また防蟻シート自身にも亀裂を生じないと想定される。従って上記試料No.10,11によれば、床下コンクリートや配管に隆起や沈降等の変位が生じても、良好な封止性を発揮することができ、シロアリの進入経路を生じる虞が小さい。
以上、例を挙げて本発明を具体的に説明したが、本発明はもとより上記例によって制限を受けるものではなく、前記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
10,11,12,13 防蟻シート
61 床下コンクリート
62 配管

Claims (7)

  1. 床下コンクリートと、この床下コンクリートを貫通する配管との間が防蟻されている床下構造であって、
    コンクリート止水用弾性体に防蟻剤を含有させて得られる粘着性且つ塑性変形性のシート状物が、前記配管における前記床下コンクリートとの接触面に配置されていることを特徴とする床下構造。
  2. 前記コンクリート止水用弾性体が、そのゴム成分としてブチル再生ゴムを主体とするものである請求項1に記載の床下構造。
  3. 前記防蟻剤が、ホウ酸及び/又はホウ酸化合物である請求項1または2に記載の床下構造。
  4. 前記防蟻剤の含有量が0.5〜5質量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の床下構造。
  5. 前記シート状物の厚みが2mm以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の床下構造。
  6. 前記配管における前記床下コンクリートとの接触面全てが前記シート状物で被覆されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の床下構造。
  7. 床下コンクリートと、この床下コンクリートを貫通する配管との間の防蟻方法であって、
    コンクリート止水用弾性体に防蟻剤を含有させて得られる粘着性且つ塑性変形性のシート状物を、前記配管における前記床下コンクリートとの接触面に配置し、次いで前記床下コンクリートを打設することを特徴とする防蟻方法。
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